【文献】
東洋スチレンの高機能ポリスチレン,日本,東洋スチレン株式会社,2015年12月 1日,[平成29年7月19日検索],インターネット,,URL,http://www.toyo-st.o.jp/cgi-bin/toyo-st_cgi?name=high-performance_07&type=pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記発泡シートの見掛け密度に対する、前記表層部分の見掛け密度の比が、シート両面側共に1.35以上である、請求項1に記載の熱成形用ポリスチレン系樹脂発泡シート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の熱成形用ポリスチレン系樹脂発泡シートについて詳細に説明する。
本発明の熱成形用ポリスチレン系樹脂発泡シートは、ポリスチレン系樹脂で構成されている。
本願明細書において、ポリスチレン系樹脂とは、スチレン系単量体成分単位を50重量%以上含む樹脂を意味し、スチレン系単量体の重合体や、2種以上のスチレン系単量体の共重合体、スチレン系単量体と他のモノマーとの共重合体、具体的には、ポリスチレン、ゴム変性ポリスチレン、スチレン−αメチルスチレン共重合体、スチレン−pメチルスチレン共重合体や、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体等が挙げられる。なお、ポリスチレン系樹脂には、ジビニルベンゼンや多分岐状マクロモノマーなどの多官能モノマー成分単位が含まれていても良い。また、これらのポリスチレン系樹脂の2種以上の混合物であってもよい。上記ポリスチレン系樹脂の中でも特にポリスチレンが好ましい。
【0012】
また、前記ポリスチレン系樹脂は、他の熱可塑性樹脂やエラストマーとの混合物であってもよい。但し、他の熱可塑性樹脂やエラストマーの添加量は、ポリスチレン系樹脂100重量%中の10重量%以下が好ましく、より好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは3重量%以下である。
【0013】
本発明の発泡シートを構成するポリスチレン系樹脂のメルトフローレイト(200℃、5kg荷重)は、2g/10分未満である。メルトフローレイト(以下、MFRともいう。)が小さな樹脂は分子量が大きい傾向があり、メルトフローレイトが2g/10分未満のポリスチレン系樹脂を用いることにより、圧縮強度、突刺し強度、耐割れ性等の機械的強度にも優れる容器を熱成形可能なポリスチレン系樹脂発泡シートを得ることができる。かかる観点から、該樹脂のメルトフローレイトは、1.8g/10分以下が好ましく、より好ましくは1.6g/10分以下である。また、該メルトフローレイトの下限は、概ね0.1g/10分であり、好ましくは0.3g/10分である。
【0014】
本願明細書においては、メルトフローレイトは、JIS K7210:1999の条件H(200℃、荷重5kg)に基づいて測定される。
【0015】
なお、従来技術においては、MFRが小さい、分子量の大きな樹脂を使用して発泡シートを作製し、納豆容器の熱成形を行うと、熱線切断時のカットズレが激しくなった。さらに、熱線切断時において熱線に異物が付着し、その異物が納豆容器に付着してしまった。そのため、納豆容器の熱成形を行う発泡シートを作製するための樹脂としてMFRの値が小さすぎる樹脂は用いられていなかった。
しかし、本発明においては、後述するように発泡シートの表層部分の見掛け密度を維持しつつ、特定範囲の大きさの気泡とすることによって、MFRが2g/10分未満であっても上記のような熱線切断時のカットズレや熱線への異物の付着等が抑制された発泡シートを得ることができる。
【0016】
また、本発明の発泡シートを構成するポリスチレン系樹脂の200℃、剪断速度100sec
−1における溶融粘度は、1300Pa・s以上であることが好ましく、1500Pa・s以上がより好ましい。上限は概ね2500Pa・sである。
【0017】
上記溶融粘度は、例えば(株)東洋精機製作所製のキャピログラフ1Dなどの測定装置を使用して測定することができる。具体的には、シリンダー径9.55mm、長さ350mmのシリンダーと、ノズル径1.0mm、長さ10mmのオリフィスを用い、シリンダー及びオリフィスの設定温度を200℃とし、測定試料約15gを該シリンダー内に入れ、5分間放置してから、せん断速度100sec
−1で溶融樹脂をオリフィスから紐状に押出し、その時の溶融粘度を測定する。
【0018】
本発明の発泡シートを構成するポリスチレン系樹脂の200℃における溶融張力(以下、MTともいう。)は、15cN以上であることが好ましく、20cN以上であることがより好ましい。該溶融張力が高いと、良好な気泡構造の発泡シートを得ることが容易になる。溶融張力の上限は概ね60cN程度である。
【0019】
上記溶融張力の測定方法は、株式会社東洋精機製作所製のキャピログラフ1Dによって測定できる。具体的には、シリンダー径9.55mm、長さ350mmのシリンダーと、ノズル径2.095mm、長さ8.0mmのオリフィスを用い、シリンダー及びオリフィスの設定温度を200℃とし、ポリスチレン系樹脂試料の必要量を該シリンダー内に入れ、4分間放置してから、ピストン速度を10mm/分として溶融樹脂をオリフィスから紐状に押出して、この紐状物を直径45mmの張力検出用プーリーに掛け、4分で引き取り速度が0m/分から200m/分に達するように一定の増速で引取り速度を増加させながら引取りローラーで紐状物を引取って紐状物が破断した際の直前の張力の極大値を得る。ここで、引取り速度が0m/分から200m/分に達するまでの時間を4分とした理由は、樹脂の熱劣化を抑えるとともに得られる値の再現性を高めるためである。
【0020】
前記溶融粘度(Pa・s)に対する溶融張力(cN)の比(溶融張力/溶融粘度)は、0.01以上であることが好ましく、0.015以上であることがより好ましい。溶融粘度に対する溶融張力の比が大きい、つまり、同溶融粘度であっても溶融張力が高い樹脂が好ましく用いられ、それにより、良好な気泡構造の形成が可能となり、ひいては、このようなポリスチレン系樹脂から形成された発泡シートを熱成形してなる容器は、圧縮強度や耐割れ性が特に優れたものとなる。
【0021】
また、本発明の発泡シートを構成するポリスチレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、25万以上が好ましく、より好ましくは30万以上である。さらに、該ポリスチレン系樹脂のZ平均分子量(Mz)は、40万以上が好ましく、より好ましくは60万以上である。なお、該ポリスチレン系樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、概ね1.5〜3の範囲であることが好ましい。
【0022】
本願明細書において、前記Mn、Mw、Mzは、いずれもゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法(GPC法)により求められる。具体的には、発泡シートをテトラヒドロフラン(THF)20mlに溶解させ、下記に示す機器を用い、下記分析条件にてGPC法により測定し、得られたチャートのスチレン系樹脂によるピーク開始位置(本発明では、便宜上、分子量5.4×10
6位置を採用)を基準に水平(横軸と平行)にベースラインを引き、標準ポリスチレンを用いて作成した標準較正曲線により、各分子量を算出する。
【0023】
使用機器:株式会社ジーエルサイエンス製GPC仕様高速液体クロマトグラフ。
カラム:昭和電工株式会社製カラム、商品名Shodex GPC KF−806、同KF−805、同KF−803をこの順に直列に連結して使用。
カラム温度:40℃
溶媒:THF
流速:1.0ml/分
濃度:0.15w/v%
注入量:0.2ml
検出器:株式会社ジーエルサイエンス製紫外可視検出器、商品名UV702型(測定波長254nm)
分子量分布の計算に用いた較正曲線の分子量範囲:1.9×10
7〜5.4×10
3
【0024】
本発明の発泡シートの厚みは1〜2mmである。上記範囲であれば、機械的強度と積載効率とのバランスに優れることから好ましい。かかる観点から、該厚みは1.1〜1.8mmが好ましく、より好ましくは1.2〜1.6mmである。
【0025】
また、該発泡シート全体の見掛け密度は0.05〜0.11g/cm
3である。該見掛け密度が小さすぎると、前記圧縮強度等の機械的強度が低下する虞がある。一方、該見掛け密度が大きすぎると、得られる容器の軽量化を達成できなくなる虞がある。かかる観点から、該見掛け密度の下限は、好ましくは0.055g/cm
3、より好ましくは0.06g/cm
3、さらに好ましくは0.065g/cm
3、特に好ましくは0.07g/cm
3である。また、その上限は、好ましくは0.105g/cm
3、より好ましくは0.10g/cm
3、さらに好ましくは0.09g/cm
3、特に好ましくは0.085g/cm
3である。
【0026】
本発明の発泡シートにおいては、発泡シート全体の厚み方向の気泡数は、12〜18個である。該気泡数が少なすぎると耐割れ性が不十分となる虞がある。一方、該気泡数が多すぎると、熱線切断時のカットズレや黒色異物の付着が起きるおそれがある。
【0027】
また、該発泡シートの坪量は、90〜130g/m
2が好ましく、更に好ましくは100〜120g/m
2である。該発泡シートの坪量が上記範囲であれば、容器を軽量化できると共に圧縮強度等の機械的強度を維持することが可能であることから好ましい。
【0028】
本発明の発泡シートにおいては、表層部分の見掛け密度がシート両面側共に0.10〜0.15g/cm
3であることを要する。但し、表層部分の見掛け密度は発泡シートの見掛け密度よりも高い値である。なお、本発明における表層部分は、発泡シートの表面からシート厚みの20%までの部分として定められる。
【0029】
該表層部分の見掛け密度が前記範囲内であれば、納豆容器に要求される、十分な突刺し強度が得られる。該表層部分の見掛け密度が小さすぎると、突刺し強度が不十分になるおそれがある。一方、該表層部分の見かけ密度が大きくなりすぎると、軽量性が不十分になるおそれがある。
【0030】
前記表層部分の見掛け密度の測定は次のように行なう。
前記発泡シートの表面から20%までの部分をスライスし、幅5mm×長さ20mmの試験片に切りそろえるとともに、試験片の重量と厚みをゲージで測定する。試験片の重量を試験片の体積(幅×長さ×厚み)で割算し、単位換算して表層部分の見掛け密度を求める。
上記測定を、発泡シートの幅方向における等間隔の10箇所について行い、それらの算術平均値を表層部分の見掛け密度とする。
【0031】
また、本発明の発泡シートにおいては、表層部分の厚み方向平均気泡径が65〜150μmであることを要する。表層部分の厚み方向平均気泡径が小さいと、気泡膜数が増加し、発泡シートと熱線の接触抵抗が大きくなり、カットズレが発生し易くなる。更にカットズレが発生すると、熱線とシートの接触時間・接触量が多くなり、熱線への異物付着量が増えるおそれがある。また、表層部分の気泡数が小さくなると気泡膜厚が薄くなり、超音波融着性が悪化するおそれがある。一方、表層部分の厚み方向平均気泡径が大きすぎると、耐割れ性が不十分となるおそれがある。したがって、表層部分の厚み方向平均気泡径が上記範囲であることにより、耐割れ性の向上、熱線切断時のカットズレの防止、熱線への異物付着量低減、さらに超音波融着性の維持が可能であると考えられる。
【0032】
本明細書において、表層部分の厚み方向平均気泡径の測定は、次のように行う。
発泡シートの表面からシート厚みの20%までの表層部分について、発泡シートの幅方向に等間隔で10箇所、押出方向に垂直方向の断面を顕微鏡で撮影し、各々の断面写真について発泡シートの表面から20%の厚さt1を測定する。次に、各断面写真の厚さ方向に長さt1の直線l1を引き、直線l1と交わる全ての気泡の数n1を数える。
このようにして得られたt1とn1から各断面写真について気泡径(t1/n1)を計算し、10箇所の(t1/n1)の平均を表層部分の平均気泡径とする。
【0033】
本発明の発泡シートにおいては、前記したように、表層部分の見掛け密度がシート両面側共に0.10〜0.15g/cm
3であると共に、表層部分における厚み方向平均気泡径が、シート両面側共に65〜150μmであることを要する。かかる表層部分を有する発泡シートは、納豆容器に要求される突刺し強度、耐割れ性に優れると共に、多数個取りの熱成形後の熱線切断におけるカットズレが発生することがなく、熱線切断時における熱線に異物が付着することも起きにくいものである。
【0034】
なお、本発明においては、後述するように、環状ダイを構成する外側金型及び内側金型を温調してダイ内部にて発泡性溶融樹脂の内面側及び外面側から冷却することにより、表層部分の見掛け密度を0.10〜0.15g/cm
3という高密度に維持しつつ、表層部分の厚み方向平均気泡径が65〜150μmであるという気泡を形成し、突刺し強度と耐割れ性の確保、熱線切断におけるカットズレの発生防止、熱線切断時における熱線への異物付着の防止が可能となる。
【0035】
よって、本発明においては、発泡シートを構成するポリスチレン系樹脂のMFRが2g/10分未満であると共に、上記方法により表層部分の見掛け密度を特定範囲としつつ表層の気泡を拡大することによって、圧縮強度、突刺し強度、耐割れ性等の機械的強度に優れ、かつ熱線切断時のカットズレが起こりにくく、熱線への異物の付着が少なく、更に得られた容器の超音波融着性にも優れるといった、納豆容器として使用するのに適した容器を熱成形可能なポリスチレン系樹脂発泡シートを得ることが可能となる。
【0036】
また、本発明の発泡シートにおいては、全体の見掛け密度に対する表層部分の見掛け密度の比が、シート両面側共に1.35以上であることが好ましい。該比は、発泡剤の添加量と冷却の程度で調整され、強い冷却により大きな見掛け密度の表層部分が形成されていることを意味する。従って、該比が上記範囲である発泡シートを成形することにより、前記突刺し強度に特に優れる容器を得ることができる。かかる観点から、該比は1.4以上であることがより好ましい。また、該比の上限は、概ね2程度である。
【0037】
発泡シート全体の厚み方向平均気泡径の測定は、次のようにして行う。発泡シートの幅方向に等間隔で10箇所、押出方向に垂直方向の断面を顕微鏡で撮影し、各々の断面写真について発泡シートの厚さt2を測定する。次に、各断面写真の厚さ方向に直線l2を引き、直線l2と交わる発泡シート中の全ての気泡数n2を数える。このようにして得られた気泡数の平均を発泡シートの厚み方向の平均気泡数とする。
厚み方向の平均気泡径は、前記t2とn2から各断面写真について気泡径(t2/n2)を計算し、10箇所の(t2/n2)の平均を厚み方向平均気泡径とする。
【0038】
本発明の発泡シートにおいては、二次発泡後の厚みを2.5〜3mmとすることが好ましい。該厚みが上記範囲内であると、積載効率に優れる容器を得ることができるので好ましい。
【0039】
本明細書において、前記二次発泡厚みの測定は、発泡シートの厚みはそのままとして該発泡シートから、一辺260mmの正方形サンプルを切り出し、正方形サンプルの周囲四辺を固定したまま145℃で18秒加熱し、加熱後の発泡シートを室温に戻してから厚みを測定することにより、行なうものとする。
上記測定において加熱条件を145℃としたのは、連続生産時の加熱炉における発泡シートの挙動を再現できることによる。
【0040】
また、該発泡シートにおいては、2次発泡時の発泡シートが収縮する際の加熱寸法変化率を80〜100%とすることが好ましい。
該加熱寸法変化率がこの範囲内であれば、熱線切断時のカットズレや、熱線への異物の付着が特に発生しにくくなる。かかる観点から、該加熱寸法変化率の下限は、85%がより好ましい。一方、その上限は95%がより好ましい。
【0041】
本明細書における発泡シートの押出方向の加熱寸法変化率(MDの加熱寸法変化率)は、発泡シートの押出方向の加熱前寸法から発泡シートの押出方向の加熱後寸法を引算して得られた差を発泡シートの押出方向の加熱前寸法で除し、100を掛けて求められる値(%)である。発泡シートの押出方向と直交する幅方向の加熱寸法変化率(TDの加熱寸法変化率)は、発泡シートの幅方向の加熱前寸法から発泡シートの幅方向の加熱後寸法を引算して得られた差を発泡シートの幅方向の加熱前寸法で除し、100を掛けて求められる値(%)である。具体的には次の通り測定される。
【0042】
まず、発泡シートから、縦、横のそれぞれの辺が、発泡層の押出方向、幅方向と一致するようにして一辺200mmの正方形サンプルを切り出す。次に正方形サンプルの一方の面に、MDと平行であって、その面の中央を通るサンプルを縦断する直線(A)を引くと共に、TDと平行であって同面の中央を通るサンプルを横断する直線(B)を引く。直線(A)と直線(B)はそれぞれ200mmの長さの直線となる。そして、直線(A)の長さ(200mm)は、上記発泡シートの押出方向の加熱前寸法であり、直線(B)の長さ(200mm)は、上記発泡シートの幅方向の加熱前寸法となる。空気循環式オーブン(例えば、タバイエスペック株式会社製 品番PERFECT OVEN PH−200)の装置内の温度を145℃に、ダンパー開度を20%にそれぞれ設定し、その中に上記正方形サンプルを入れ、18秒加熱した後、オーブンから約25℃の部屋に取り出して放置して冷却する。その後、加熱前の直線(A)に対応する直線又は曲線(a)の長さと、加熱前の直線(B)に対応する直線又は曲線(b)の長さをそれぞれ測定する。この場合、直線又は曲線(a)の長さが発泡シートの押出方向の加熱後寸法となり、直線又は曲線(b)の長さが発泡シートの幅方向の加熱後寸法となる。これらの測定結果に基づいてMDの加熱寸法変化率とTDの加熱寸法変化率が計算される。
【0043】
次に、本発明のポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法について説明する。
本発明の発泡シートは、従来公知の所謂押出発泡により得ることができる。即ち、押出機を用いて前記ポリスチレン系樹脂、発泡剤、必要に応じて気泡調整剤等の各種の添加剤を溶融混練した後、目的とする樹脂温度に調整された発泡性溶融樹脂を、ダイ内から大気圧下に押出することによって形成される。
【0044】
発泡剤としては、例えばプロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、塩化メチル、塩化エチル、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル類または二酸化炭素、窒素、水等の物理発泡剤を用いることができる。この中では、発泡シートの製造が容易で、得られる発泡シートの物性が優れることから、ブタンが好ましく、イソブタン又はノルマルブタンとイソブタンとの混合物がより好ましい。
【0045】
物理発泡剤の添加量は、発泡剤の種類、目的とする厚みに応じて調整することができる。例えば、発泡剤としてブタンを用いて、厚み1〜2mmの発泡シートを得るためには、ブタンの添加量は発泡シートを構成する樹脂合計100重量部当たり2.5〜5重量部が好ましく、より好ましくは3〜4.5重量部、さらに好ましくは3.5〜4.0重量部である。
【0046】
主要な添加剤として、通常、気泡調整剤が添加される。気泡調整剤としては有機系のもの、無機系のもののいずれも使用することができる。無機系気泡調整剤としては、ホウ酸亜鉛、ホウ酸マグネシウム、硼砂等のホウ酸金属塩、塩化ナトリウム、水酸化アルミニウム、タルク、ゼオライト、シリカ、炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム等が挙げられる。また有機系気泡調整剤としては、リン酸−2,2−メチレンビス(4,6−tert−ブチルフェニル)ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カルシウム、安息香酸アルミニウム、ステアリン酸ナトリウム等が挙げられる。またクエン酸と重炭酸ナトリウム、クエン酸のアルカリ塩と重炭酸ナトリウム等を組み合わせたもの等も気泡調整剤として用いることができる。これらの気泡調整剤は2種以上を混合して用いることができる。気泡調整剤の添加量は、目的とする気泡径に応じて調節することができ、タルクを用いた場合、厚み方向の気泡数を12〜18個に調整するには、発泡シートを構成する樹脂合計100重量部当たり、0.1〜2重量部が好ましく、より好ましくは0.2〜0.7重量部である。
【0047】
前記発泡シート各々の表面の表層部分の見掛け密度を0.10〜0.15g/cm
3の範囲に調整すると同時に、表層部分の厚み方向平均気泡径を65〜150μmの範囲に調整するには、環状ダイの外側(発泡シートの外面側に当たる)、及び環状ダイの内側(発泡シートの内面側に当たる)を、ダイ内へ導入した発泡性溶融樹脂の樹脂温度より5〜15℃低い設定温度に温調することによって、ダイ内部にて発泡性溶融樹脂の外面側及び内面側を冷却すると同時に、環状ダイから押出された筒状体へ冷却エアを吹きかけて冷却することにより行う。このとき、ダイ内部で発泡性溶融樹脂の外面側及び内面側が冷却されていることにより、従来よりも冷却エアの風量を少なくすることができる。このようして表層を形成すれば、環状ダイから押出された筒状体表面の気泡が抑えられることなく成長するので、発泡シートの表層部分の見掛け密度を大きくすると同時に気泡径を微細化させることなく、表層部分の平均気泡径を65〜150μmにすることができる。
【0048】
環状ダイから押出された筒状体を冷却する冷却エアの風量は、表層部分の見掛け密度が前記範囲内となる量であれば特に制限されるものではないが、概ね0.018〜0.026m
3/m
2とすることが好ましい。
【0049】
本発明の発泡シートを熱成形して得られる成形体は納豆容器として好適に用いられるものである。
熱成形方法としては、真空成形や圧空成形、更にこれらの応用としてフリードローイング成形、プラグ・アンド・リッジ成形、リッジ成形、マッチド・モールド成形、ストレート成形、ドレープ成形、リバースドロー成形、エアスリップ成形、プラグアシスト成形、プラグアシストリバースドロー成形等やこれらを組み合わせた成形方法等が挙げられる。かかる熱成形法は、短時間に連続して容器を得ることができるので、好ましい方法である。
【実施例1】
【0050】
次に、本発明のポリスチレン系樹脂発泡シートについて、実施例、比較例によりさらに詳細に説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0051】
実施例、比較例において、製造装置として、第一押出機(スクリュー径115mm)と第一押出機の出口に接続された第二押出機(スクリュー径150mm)とからなるタンデム押出機であって、第二押出機の出口に口径180mmの環状ダイが取付けられた装置を用いた。
【0052】
ポリスチレン系樹脂
実施例1、2、比較例2〜4においては、PSジャパン株式会社製ポリスチレン「GX154」(MFR1.5g/10分、MT25cN、溶融粘度1600Pa・s、比(溶融張力/溶融粘度)0.016、Mw38.5万、Mz79.8万、Mw/Mn2.60)を用いた。
実施例3においては、DIC社製ポリスチレン「HP555」(MFR1.2g/10分、MT45cN、溶融粘度1700Pa・s、比(溶融張力/溶融粘度)0.027、Mw58.7万、Mz182.9万、Mw/Mn2.80)を用いた。
比較例1においては、PSジャパン株式会社製ポリスチレン「HH102」(MFR2.6g/10分、MT11cN、溶融粘度1210Pa・s、比(溶融張力/溶融粘度)0.009、Mw22.7万、Mz38.1万、Mw/Mn2.37)を用いた。
【0053】
気泡調整剤として、タルク:松村産業株式会社製商品名「ハイフィラー#12」)を用いた。
【0054】
実施例1〜3、比較例1〜4
前記ポリスチレン系樹脂100重量部に対し、気泡調整剤としてタルクを表1に示す量添加し、第一押出機に供給した。押出機のシリンダー温度は最高設定温度を240℃とし、発泡剤として表1に示すブタンを前記ポリスチレン系樹脂100重量部に対して表1に示す量圧入し、続いて第二押出機にて、表1に示す押出温度に冷却してから、環状ダイの先端側の外側と内側が表1に示す温度に温調された環状ダイに供給し、ダイのスリットを通して表1に示す吐出量で押出して円筒状の発泡体を形成し、その直後に、円筒状の発泡体を、その内側と外側に表1に示す風量のエア(25℃)をかけて冷却すると共に、直径675mmの冷却装置(マンドレル)の外面に沿って表1に示す速度で引取り、さらに押出方向に沿って2枚に切り開き、幅1050mmの発泡シートを得た。得られた発泡シートの物性を表1に示す。
【0055】
得られた発泡シートを連続成形機を用いて、二次厚みが約2.7mmとなるように加熱し、表面温度80℃に調整した雄雌嵌合金型で納豆用容器を成形した。該容器は、内容物を入れる本体部(開口部80mm×80mm、底部60mm×60mm、深さ25mm)と蓋部とがヒンジ部を介して一体となっており、蓋部を閉じて封をすることができる容器である。得られた容器を表面温度360℃の熱線で外形が200mm×100mmになるように切り出した。得られた容器の物性を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
表1における発泡シートの厚み、坪量及び見掛け密度は以下の方法により求めた。
まず、発泡シートを幅方向に亘って押出方向に100mmの長さに切り出し、さらに幅方向の両端部25mmずつ切除し幅方向中央部1000mmの部分を試験片とした。この試験片をさらに幅方向に10等分し、その中央付近の厚みをマイクロゲージにより測定した。各測定点における厚みを算術平均した値を発泡シートの厚みとした。
また、該試験片の重量を測定し、その重量を試験片の面積(具体的には、1000mm×100mm)で割り算し、g/m
2に単位換算して発泡シートの坪量とした。
さらに、該坪量を上記厚みで割り算し、g/cm
3に単位換算して発泡シートの見掛け密度とした。
【0058】
発泡シート全体における厚み方向の気泡数、平均気泡径は、前記の通り測定した。
【0059】
表層(表、裏)の見掛け密度、厚み方向平均気泡径は前記の通り測定した(n=10)。
【0060】
二次発泡後のシート厚み(n=10)、寸法変化率は前記の通り測定した(n=10)。
【0061】
容器の天地圧縮強度は、次のように測定した。
テンシロン万能試験機RTG−1310(オリエンテック社製)を用い、表面に空気抜き用の溝が掘られた専用板の上に容器本体の底部が上になるように設置した。φ120mmの圧縮板で、試験速度50mm/minで容器を圧縮した。この時の最大荷重の平均値をその容器の天地圧縮強度(単位:kgf)とした。
【0062】
容器本体底部の突刺強度は、次のように測定した。
容器を固定し、容器内面の中央部に直径2.5mm、先端形状半径1.25mmの半円形の針を、毎分100±0.5mmの速度で突き刺し、針が貫通するまでの最大荷重を測定して突刺強度とした。
【0063】
容器の耐割れ性は、次のように評価した。
発泡シートを加熱成形して得られた容器を2日間以上静置した後、容器本体に手で瞬間的な応力を加えた際の耐割れ性評価を下記の基準にて評価した。
○ 容易に欠け、割れが生じなかった。
× 容易に欠け、割れが生じた。
【0064】
熱線切断時のカットズレは、次のように測定し、評価した。
熱線切断時のカットズレは、ポリスチレン系樹脂発泡シートを熱成形して得られた、複数個の成形体が連接したシート状の成形体を50枚重ね、直径0.5mm、表面温度360℃の熱線で切断し、切断した成形品のシート切断面における凹凸を観察し、凹凸の最大と最小の差の測定値をカットズレ値とし、下記の基準にて評価した。
○ カットズレ値が2.0mm未満である。
× カットズレ値が2.0mm以上である。
【0065】
熱線切断時の熱線異物付着は、次のように評価した。
熱線切断時の熱線異物付着は、ポリスチレン系樹脂発泡シートを熱成形して複数個の成形体が連接したシート状の成形体を50枚重ね、直径0.5mm、表面温度360℃の熱線で切断を繰り返し行い、熱線への異物付着状況および成形容器への異物付着状況を観察した。
合格 成形容器に異物が付き始めるまでの時間が2時間以上。
不合格 成形容器に異物が付き始めるまでの時間が2時間未満。
【0066】
超音波融着性は、次のように評価した。
富士インパルス株式会社製 US−60Bを使用し、出力18W、周波数60kHz、
ホーン・アンビルのクリアランス3.6mm、ホーン・アンビル先端φ6mmフラット、発振時間0.5秒にて、容器の蓋と容器本体とを融着させ、下記の基準にて超音波融着性を評価した。
○ 蓋と容器本体とがしっかりと融着されている。
× 蓋と容器本体とが融着が不十分である、または融着されていない。
【0067】
総合評価は、次のように評価した。
○ 各々の評価において、不合格や×の評価が一つもない。
× 各々の評価において-、少なくとも一つ不合格や×の評価がある。