特許第6233934号(P6233934)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6233934デスモシン、イソデスモシン、およびその誘導体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233934
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】デスモシン、イソデスモシン、およびその誘導体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 213/55 20060101AFI20171113BHJP
   C07B 53/00 20060101ALN20171113BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20171113BHJP
【FI】
   C07D213/55
   !C07B53/00 G
   !C07B61/00 300
【請求項の数】5
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2014-559652(P2014-559652)
(86)(22)【出願日】2014年1月24日
(86)【国際出願番号】JP2014051482
(87)【国際公開番号】WO2014119479
(87)【国際公開日】20140807
【審査請求日】2016年11月21日
(31)【優先権主張番号】特願2013-18473(P2013-18473)
(32)【優先日】2013年2月1日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502350504
【氏名又は名称】学校法人上智学院
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】臼杵 豊展
【審査官】 谷尾 忍
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−005962(JP,A)
【文献】 特表平10−502089(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/046626(WO,A1)
【文献】 AKAGAWA,M. et al,Mechanism of formation of elastin crosslinks,Connective Tissue Research,2000年,Vol.41, No.2,p.131-141
【文献】 DAVIS,N.R. et al,On the mechanism of formation of desmosine and isodesmosine cross-links of elastin,Journal of the American Chemical Society,1970年,Vol.92, No.12,p.3778-3782
【文献】 YU,L. et al,Lanthanide-Promoted Reactions of Aldehydes and Amine Hydrochlorides in Aqueous Solution. Synthesis of 2,3-Dihydropyridinium and Pyridinium Derivatives,Journal of Organic Chemistry,1997年,Vol.62, No.1,p.208-211
【文献】 NAKANISHI,T. et al,Formation of phosphatidyl 1-(2-hydroxyethyl)-2,3,5-trialkyl pyridinium on heating phosphatidyl ethanolamine with n-alkanal,Agricultural and Biological Chemistry,1974年,Vol.38, No.6,p.1141-1147
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 213/00 − 213/90
C07B 53/00
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)に示される化合物またはその塩の製造方法であって、
【化1】
(上記一般式(I)中、R1およびR2の一方は−CH2CH2CH2CH(NH2)COOH基であり、他方は水素原子である。また、上記一般式(I)中、一または二以上の水素原子、一または二以上の炭素原子、あるいは一または二以上の窒素原子が、同位体で置換されていてもよい。)
下記一般式(XII)に示される化合物またはその塩と下記一般式(XIII)に示される化合物とを下記一般式(XIV)に示される化合物の存在下に反応させて、下記一般式(XV)またはその塩に示される化合物を形成する工程を含む、製造方法。
【化2】
(上記一般式(XII)中、X1は保護されていてもよいアミノ基であり、Y1は保護されていてもよいカルボキシル基である。また、上記一般式(XII)中、一または二以上の水素原子、一または二以上の炭素原子、あるいは一または二以上の窒素原子が、同位体で置換されていてもよい。)
【化3】
(上記一般式(XIII)中、X2は保護されていてもよいアミノ基であり、Y2は保護されていてもよいカルボキシル基である。また、上記一般式(XIII)中、一または二以上の水素原子、一または二以上の炭素原子、あるいは一または二以上の窒素原子が、同位体で置換されていてもよい。)
M(OTf)3 (XIV)
(上記一般式(XIV)中、Mは3価の金属原子であり、Tfはトリフルオロメチルスルホニル基である。)
【化4】
(上記一般式(XV)中、X1およびY1はそれぞれ前記一般式(XII)におけるX1およびY1と同一であり、X2およびY2はそれぞれ前記一般式(XIII)におけるX2およびY2と同一である。また、R17およびR18の一方は−CH2CH2CH2CHX22基であり、他方は水素原子である。また、上記一般式(XV)中、一または二以上の水素原子、一または二以上の炭素原子、あるいは一または二以上の窒素原子が、同位体で置換されていてもよい。)
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法において、前記一般式(XII)におけるX1、Y1、前記一般式(XIII)におけるX2およびY2のうち、少なくとも1つが保護された基であり、
前記一般式(XV)に示す化合物またはその塩を前記一般式(I)に示した化合物またはその塩に変換する工程をさらに含む、製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の製造方法において、
前記一般式(XII)に示した化合物またはその塩が、下記一般式(II)に示される化合物またはその塩であり、
前記一般式(XIII)に示した化合物が、下記一般式(III)に示される化合物である、製造方法。
【化5】
(上記一般式(II)中、R3はtert−ブチルオキシカルボニル基またはベンジルオキシカルボニル基であり、R4はtert−ブチル基、ベンジル基、メチル基またはエチル基である。また、上記一般式(II)中、一または二以上の水素原子、一または二以上の炭素原子、あるいは一または二以上の窒素原子が、同位体で置換されていてもよい。)
【化6】
(上記一般式(III)中、R5は各々独立してtert−ブチルオキシカルボニル基またはベンジルオキシカルボニル基であり、R6はtert−ブチル基、ベンジル基、メチル基またはエチル基である。また、上記一般式(III)中、一または二以上の水素原子、一または二以上の炭素原子、あるいは一または二以上の窒素原子が、同位体で置換されていてもよい。)
【請求項4】
請求項3に記載の製造方法において、
下記一般式(VI)に示される化合物またはその塩を前記一般式(II)に示される化合物またはその塩に変換する工程をさらに含む、製造方法。
【化7】
(上記一般式(VI)中、R3は前記一般式(II)におけるR3と同一であり、R9はtert−ブチルオキシカルボニル基またはベンジルオキシカルボニル基であってR3とは異なる基である。)
【請求項5】
請求項1乃至4いずれか一項に記載の製造方法において、一般式(XV)に示される化合物を形成する前記工程における反応溶媒を水とし、反応温度を70℃以上100℃以下とする、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デスモシン、イソデスモシン、およびその誘導体ならびにその類縁体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:COPD)は、気管支炎や肺気腫などの病気の総称である。世界保健機関(World Health Organization:WHO)によると、現在死亡原因の第4位を占めており、2020年までに第3位に浮上すると警告している。COPDについては、そもそもの病態が極めて複雑で未知の部分が多く、根本的治療薬すら存在しない。今世紀、発展途上国での喫煙者の増加や産業発展による大気汚染により、世界規模でのCOPD患者の急増が危惧されているため、迅速かつ簡便な検査法の確立が至上命題となっている。
【0003】
COPD患者の痰・血液・尿を加水分解処理し、高速液体クロマトグラフ−質量分析計(Liquid Chromatography-Mass Spectrometry:LC−MS)で分析すると、肺胞の伸縮を司る弾性繊維エラスチンの架橋アミノ酸であり下記式(1)に示されるデスモシンおよびその異性体であり下記式(2)に示されるイソデスモシンが観測される。健常者と比べて、COPD患者におけるそれらの存在量が異なることから、デスモシン類はCOPDのバイオマーカーとして有望視されている。
【0004】
【化1】
【0005】
デスモシンの全合成に関する技術として、非特許文献1および2に記載のものがある。
【0006】
また、技術分野は異なるが、ピリジン環を有する化合物の合成法に関する技術として、非特許文献3に記載のものがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Toyonobu Usuki他7名、「Total synthesis of COPD biomarker desmosine that crosslinks elastin」、Chem. Commun.、2012年、48号、3233−3235ページ
【非特許文献2】Hiroto Yanuma他1名、「Total synthesis of the COPD biomarker desmosine via Sonogashira and Negishi cross-coupling reactions」、Tetrahedron Lett.、2012年、53号、5920−5923ページ
【非特許文献3】Li-Bing Yu他4名、「Lanthanide-Promoted Reactions of Aldehydes and Amine Hydrochlorides in Aqueous Solution. Synthesis of 2,3-Dihydropyridinium and Pyridinium Derivatives」、J. Org. Chem.、1997年、62号、208−211ページ
【非特許文献4】Yohei Koseki他2名、「Efficient synthesis of benzyl 2-(S)-[(tert-butoxycarbonyl)amino]-ω-iodoalkanoates」、Tetrahedron: Asymmetry、2011年、22号、580−586ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、デスモシン、イソデスモシンまたはその誘導体を少ない工程で安定的に得る新規な製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、
下記一般式(I)に示される化合物またはその塩の製造方法であって、
【化2】
(上記一般式(I)中、R1およびR2の一方は−CH2CH2CH2CH(NH2)COOH基であり、他方は水素原子である。また、上記一般式(I)中、一または二以上の水素原子、一または二以上の炭素原子、あるいは一または二以上の窒素原子が、同位体で置換されていてもよい。)
下記一般式(XII)に示される化合物またはその塩と下記一般式(XIII)に示される化合物とを下記一般式(XIV)に示される化合物の存在下に反応させて、下記一般式(XV)またはその塩に示される化合物を形成する工程を含む、製造方法が提供される。
【化3】
(上記一般式(XII)中、X1は保護されていてもよいアミノ基であり、Y1は保護されていてもよいカルボキシル基である。また、上記一般式(XII)中、一または二以上の水素原子、一または二以上の炭素原子、あるいは一または二以上の窒素原子が、同位体で置換されていてもよい。)
【化4】
(上記一般式(XIII)中、X2は保護されていてもよいアミノ基であり、Y2は保護されていてもよいカルボキシル基である。また、上記一般式(XIII)中、一または二以上の水素原子、一または二以上の炭素原子、あるいは一または二以上の窒素原子が、同位体で置換されていてもよい。)
M(OTf)3 (XIV)
(上記一般式(XIV)中、Mは3価の金属原子であり、Tfはトリフルオロメチルスルホニル基である。)
【化5】
(上記一般式(XV)中、X1およびY1はそれぞれ前記一般式(XII)におけるX1およびY1と同一であり、X2およびY2はそれぞれ前記一般式(XIII)におけるX2およびY2と同一である。また、R17およびR18の一方は−CH2CH2CH2CHX22基であり、他方は水素原子である。また、上記一般式(XV)中、一または二以上の水素原子、一または二以上の炭素原子、あるいは一または二以上の窒素原子が、同位体で置換されていてもよい。)
【0010】
また、本発明によれば、
下記一般式(I)に示される化合物またはその塩の製造方法であって、
【化6】
(上記一般式(I)中、R1およびR2の一方は−CH2CH2CH2CH(NH2)COOH基であり、他方は水素原子である。また、上記一般式(I)中、一または二以上の水素原子、一または二以上の炭素原子、あるいは一または二以上の窒素原子が、同位体で置換されていてもよい。)
下記一般式(II)に示される化合物またはその塩と下記一般式(III)に示される化合物とを下記一般式(IV)に示されるランタノイド化合物の存在下に反応させて、下記一般式(V)またはその塩に示される化合物を形成する工程と、
前記一般式(V)に示す化合物またはその塩を前記一般式(I)に示した化合物またはその塩に変換する工程と、
を含む、製造方法が提供される。
【化7】
(上記一般式(II)中、R3はtert−ブチルオキシカルボニル基またはベンジルオキシカルボニル基であり、R4はtert−ブチル基、ベンジル基、メチル基またはエチル基である。また、上記一般式(II)中、一または二以上の水素原子、一または二以上の炭素原子、あるいは一または二以上の窒素原子が、同位体で置換されていてもよい。)
【化8】
(上記一般式(III)中、R5は各々独立してtert−ブチルオキシカルボニル基またはベンジルオキシカルボニル基であり、R6はtert−ブチル基、ベンジル基、メチル基またはエチル基である。また、上記一般式(III)中、一または二以上の水素原子、一または二以上の炭素原子、あるいは一または二以上の窒素原子が、同位体で置換されていてもよい。)
Ln(OTf)3 (IV)
(上記一般式(IV)中、LnはLa、Pr、Nd、Gd、Sc、Y、Dy、ErまたはYbであり、Tfはトリフルオロメチルスルホニル基である。)
【化9】
(上記一般式(V)中、R3およびR4はそれぞれ前記一般式(II)におけるR3およびR4と同一であり、R5およびR6はそれぞれ前記一般式(III)におけるR5およびR6と同一である。また、R7およびR8の一方は−CH2CH2CH2CH(N(R52)COOR6基であり、他方は水素原子であって、R5およびR6はそれぞれ前記一般式(III)におけるR5およびR6と同一である。また、上記一般式(V)中、一または二以上の水素原子、一または二以上の炭素原子、あるいは一または二以上の窒素原子が、同位体で置換されていてもよい。)
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、デスモシン、イソデスモシンまたはその誘導体あるいはその類縁体を少ない工程で安定的に得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を具体例に基づいて説明する。複数の実施形態に記載の態様を組み合わせて用いることもできる。
【0013】
(第一の実施形態)
本実施形態は、下記一般式(I)に示される製造方法に関する。本実施形態における製造方法は、以下の工程を含む。
(工程21)下記一般式(XII)に示される化合物またはその塩と下記一般式(XIII)に示される化合物とを下記一般式(XIV)に示される化合物の存在下に反応させて、下記一般式(XV)またはその塩に示される化合物を形成する工程。
【0014】
【化10】
【0015】
(上記一般式(XII)中、X1は保護されていてもよいアミノ基であり、Y1は保護されていてもよいカルボキシル基である。また、上記一般式(XII)中、一または二以上の水素原子、一または二以上の炭素原子、あるいは一または二以上の窒素原子が、同位体で置換されていてもよい。)
【0016】
【化11】
【0017】
(上記一般式(XIII)中、X2は保護されていてもよいアミノ基であり、Y2は保護されていてもよいカルボキシル基である。また、上記一般式(XIII)中、一または二以上の水素原子、一または二以上の炭素原子、あるいは一または二以上の窒素原子が、同位体で置換されていてもよい。)
M(OTf)3 (XIV)
(上記一般式(XIV)中、Mは3価の金属原子であり、Tfはトリフルオロメチルスルホニル基である。)
【0018】
【化12】
【0019】
(上記一般式(XV)中、X1およびY1はそれぞれ前記一般式(XII)におけるX1およびY1と同一であり、X2およびY2はそれぞれ前記一般式(XIII)におけるX2およびY2と同一である。また、R17およびR18の一方は−CH2CH2CH2CHX22基であり、他方は水素原子であって、X2およびY2はそれぞれ前記一般式(XIII)におけるX2およびY2と同一である。また、上記一般式(XV)中、一または二以上の水素原子、一または二以上の炭素原子、あるいは一または二以上の窒素原子が、同位体で置換されていてもよい。)
【0020】
【化13】
【0021】
(上記一般式(I)中、R1およびR2の一方は−CH2CH2CH2CH(NH2)COOH基であり、他方は水素原子である。また、上記一般式(I)中、一または二以上の水素原子、一または二以上の炭素原子、あるいは一または二以上の窒素原子が、同位体で置換されていてもよい。)
【0022】
工程21においては、アミノ基を有する化合物であるリシンまたはその保護体あるいはその塩と、アルデヒド基を有する化合物であるアリシンまたはその保護体とを原料として、金属のトリフルオロメタンスルホン酸塩を触媒としたChichibabinピリジン合成により、ピリジン環を形成して一般式(XV)に示される化合物またはその塩を得る。
【0023】
上記原料のうち、アミノ基を有する化合物として一般式(XII)に示した化合物またはその塩が用いられる。一般式(XII)中、X1は保護されていてもよいアミノ基であり、Y1は保護されていてもよいカルボキシル基である。X1が保護されたアミノ基である場合の保護基の具体例、および、Y1が保護されたカルボキシル基である場合の保護基の具体例については、それぞれ、第二の実施形態で説明する。
また、一般式(XII)に示した化合物の塩の具体例として、一般式(XII)における末端アミンの塩酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩等が挙げられる。これらの塩を用いることにより、たとえば水溶性を高めることができる。
【0024】
また、アルデヒド基を有する化合物として、一般式(XIII)に示した化合物が用いられる。一般式(XIII)中、X2は保護されていてもよいアミノ基であり、Y2は保護されていてもよいカルボキシル基である。X2が保護されたアミノ基である場合の保護基の具体例、および、Y2が保護されたカルボキシル基である場合の保護基の具体例については、それぞれ、第二の実施形態で説明する。
【0025】
工程21における一般式(XIII)に示した化合物の使用量としては、目的とする反応を妨げない程度であれば特に制限はないが、たとえば、一般式(XII)に示した化合物に対して1モル当量以上、好ましくは3モル当量以上とし、また、たとえば20モル当量以下、好ましくは10モル当量以下とすることができる。
なお、一般式(XIII)に示した化合物は、公知の方法を用いて合成することができる。合成方法の具体例を実施例の項で後述する。
【0026】
一般式(XIV)に示した化合物は、金属のトリフルオロメタンスルホン酸塩であり、Chichibabinピリジン合成反応の触媒として機能する。また、一般式(XIV)に示した化合物は、たとえばプロトン性溶媒中で安定なルイス酸として機能する。一般式(XIV)において、Mは3価の金属原子を示す。Mの具体例として、ランタノイド系金属や遷移金属が挙げられる。
ランタノイド系金属の具体例として、La、Pr、Nd、Gd、Sc、Y、Dy、Er、Yb、Sm、Eu、Tb、Ho、Tm、Luが挙げられ、さらに具体的には第二の実施形態に記載のものを用いることができる。
また、遷移金属の具体例として、Cu、Fe、Znが挙げられる。
【0027】
反応に使用する溶媒は、反応条件下で安定であり目的とする反応を妨げないものであればとくに制限はないが、たとえば水;エタノール、メタノール等のアルコール類;およびアセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド等の極性非プロトン性溶媒;ならびにその他の有機溶剤類から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。
このうち、製造工程における操作性を向上させる観点からは、反応溶媒をたとえば水とする。
また、たとえば水とアルコールの混合溶媒を用いることもでき、さらに具体的には水とメタノールの混合溶媒とすることもできる。
【0028】
溶媒の使用量は、一般式(XII)に示した化合物に対してたとえば0.001〜1物質量倍程度とすることができ、0.01〜0.02物質量倍とすることが好ましい。
【0029】
反応温度は、たとえば−20℃程度から溶媒の沸点までとすることができるが、反応速度の観点からは20℃以上が好ましい。また、生成物の安定性の観点からは100℃以下が好ましい。
また、反応時間は、反応温度、撹拌効率等により設定することができるが、たとえば12〜24時間程度とする。
【0030】
また、工程21において、反応溶媒を水とすることにより、デスモシンまたはその誘導体と、イソデスモシンまたはその誘導体について選択的な合成が可能となる。
具体的には、反応溶媒を水とし、反応温度を70℃以上、好ましくは75℃以上、また、100℃以下とすることにより、イソデスモシンまたはその誘導体を選択的に得ることができる。
また、反応溶媒を水とし、反応温度を0℃以上、好ましくは15℃以上、また、60℃以下、好ましくは40℃以下とすることにより、デスモシンまたはその誘導体と、イソデスモシンまたはその誘導体との両方を同一工程にて得ることができる。
【0031】
反応溶媒を水とするとき、溶媒の使用量は、一般式(XII)に示した化合物に対してたとえば0.001〜1物質量倍程度とすることができ、0.01〜0.02物質量倍とすることが好ましい。
【0032】
また、反応温度は、たとえば−20℃程度から溶媒の沸点までとすることができるが、反応速度の観点からは20℃以上が好ましい。また、生成物の安定性の観点からは100℃以下が好ましい。また、0℃以下とすることも好ましい。
また、反応時間は、反応温度、撹拌効率等により設定することができるが、たとえば12〜24時間程度とする。
【0033】
一般式(XII)におけるX1、Y1、一般式(XIII)におけるX2およびY2がいずれも未保護のアミノ基またはカルボキシル基であるとき、工程(21)で得られる一般式(XV)に示した化合物は、式(I)の化合物、すなわちデスモシンまたはイソデスモシンとなる。
【0034】
また、一般式(XII)におけるX1、Y1、一般式(XIII)におけるX2およびY2のうち、少なくとも1つが保護された基であるとき、工程21の後、以下の工程をさらに含んでもよい:
(工程22)一般式(XV)に示す化合物またはその塩を前記一般式(I)に示した化合物またはその塩に変換する工程。
【0035】
工程22においては、工程21で得られた一般式(XV)の化合物中のアミノ基およびカルボキシル基を脱保護することにより、一般式(I)に示した化合物を得る。
工程22における脱保護方法については、第二の実施形態においてさらに具体的に説明する。
【0036】
一般式(XII)におけるX1、Y1、一般式(XIII)におけるX2およびY2が保護されたアミノ基またはカルボキシル基である場合、工程22における工程短縮化の観点からは、一般式(XII)中のX1および一般式(XIII)中のX2を同じ基とし、一般式(XII)中のY1および一般式(XIII)中のY2を同じ基とすることが好ましい。また、X1、Y1、X2およびY2が同一工程で除去可能な基である構成とすることがさらに好ましい。これにより、工程22においてX1、Y1、X2およびY2の脱保護を一段階でおこなうことができる。
【0037】
本実施形態によれば、原料として一般式(XII)に示したアミノ酸またはその誘導体および(XIII)に示したアミノ酸アルデヒドを用い、一般式(XIV)に示した金属のトリフルオロメタンスルホン酸塩を触媒としたChichibabinピリジン合成を鍵反応とすることにより、デスモシン、イソデスモシンおよびこれらの誘導体を少ない工程数で収率良く得ることができる。また、ピリジン環を安定的に形成するとともに、ピリジン環の側鎖の位置を制御することも可能となる。
【0038】
以下の実施形態において、一般式(XII)におけるX1、Y1、一般式(XIII)におけるX2およびY2が保護されたアミノ基またはカルボキシル基である場合を主に例に挙げて説明する。
また、以下の実施形態においては、一般式(XIV)に示した金属のトリフルオロメタンスルホン酸塩として、ランタノイド塩を用いる場合を主に例に挙げて説明する。
【0039】
(第二の実施形態)
本実施形態は、下記一般式(I)に示される製造方法に関する。本実施形態における製造方法は、以下の工程を含む。
(工程11)下記一般式(II)に示される化合物またはその塩と下記一般式(III)に示される化合物とを下記一般式(IV)に示されるランタノイド化合物の存在下に反応させて、下記一般式(V)に示される化合物またはその塩を形成する工程、および
(工程12)一般式(V)に示す化合物またはその塩を一般式(I)に示した化合物またはその塩に変換する工程。
【0040】
【化14】
【0041】
(上記一般式(II)中、R3はtert−ブチルオキシカルボニル基(以下、「Boc基」とも呼ぶ。)またはベンジルオキシカルボニル基(以下、「Cbz基」とも呼ぶ。)であり、R4はtert−ブチル基(以下、「Bu基」とも呼ぶ。)、ベンジル基(以下、「Bn基」とも呼ぶ。)、メチル基またはエチル基である。また、上記一般式(II)中、一または二以上の水素原子、一または二以上の炭素原子、あるいは一または二以上の窒素原子が、同位体で置換されていてもよい。)
【0042】
【化15】
【0043】
(上記一般式(III)中、R5は各々独立してBoc基またはCbz基であり、R6Bu基、Bn基、メチル基またはエチル基である。また、上記一般式(III)中、一または二以上の水素原子、一または二以上の炭素原子、あるいは一または二以上の窒素原子が、同位体で置換されていてもよい。)
【0044】
Ln(OTf)3 (IV)
(上記一般式(IV)中、LnはLa、Pr、Nd、Gd、Sc、Y、Dy、ErまたはYbであり、Tfはトリフルオロメチルスルホニル基である。)
【0045】
【化16】
【0046】
(上記一般式(V)中、R3およびR4はそれぞれ前記一般式(II)におけるR3およびR4と同一であり、R5およびR6はそれぞれ前記一般式(III)におけるR5およびR6と同一である。また、R7およびR8の一方は−CH2CH2CH2CH(N(R52)COOR6基であり、他方は水素原子であって、R5およびR6はそれぞれ前記一般式(III)におけるR5およびR6と同一である。また、上記一般式(V)中、一または二以上の水素原子、一または二以上の炭素原子、あるいは一または二以上の窒素原子が、同位体で置換されていてもよい。)
【0047】
【化17】
【0048】
(上記一般式(I)中、R1およびR2の一方は−CH2CH2CH2CH(NH2)COOH基であり、他方は水素原子である。また、上記一般式(I)中、一または二以上の水素原子、一または二以上の炭素原子、あるいは一または二以上の窒素原子が、同位体で置換されていてもよい。)
一般式(I)において、R1が−CH2CH2CH2CH(NH2)COOH基であり、R2が水素原子である化合物が、式(1)に示したデスモシンである。また、R1が水素原子であり、R2が−CH2CH2CH2CH(NH2)COOH基である化合物が、式(2)に示したイソデスモシンである。
以下、工程11、工程12の順にさらに具体的に説明する。
【0049】
工程11においては、アミノ基を有する化合物であるリシン保護体またはその塩とアルデヒド基を有する化合物であるアリシン保護体とを原料として、ランタノイド系化合物を触媒としたChichibabinピリジン合成により、ピリジン環を形成して一般式(V)に示される化合物またはその塩を得る。
上記原料のうち、アミノ基を有する化合物として一般式(II)に示した化合物またはその塩が用いられる。一般式(II)中、R3はBoc基またはCbz基であり、好ましくはBoc基である。また、R4Bu基、Bn基、メチル基またはエチル基であり、好ましくはBu基である。
一般式(II)に示した化合物の塩の具体例としては、一般式(II)における末端アミンの塩酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩等が挙げられる。これらの塩を用いることにより、たとえば水溶性を高めることができる。
【0050】
また、アルデヒド基を有する化合物として、一般式(III)に示した化合物が用いられる。一般式(III)中、R5はBoc基またはCbz基であり、好ましくはBoc基である。また、2つのR5基は同じであっても異なっていてもよいが、同じ基であることが好ましく、2つのR5基がいずれもBoc基であることがさらに好ましい。R6Bu基、Bn基、メチル基またはエチル基であり、好ましくはBn基またはBu基である。
【0051】
また、後述する工程12における工程短縮化の観点からは、一般式(II)中のR3および一般式(III)中のR5を同じ基とし、一般式(II)中のR4および一般式(III)中のR6を同じ基とすることが好ましい。また、R3〜R6が同一工程で除去可能な基である構成とすることが好ましい。具体的には、一般式(II)中のR3および一般式(III)中のR5をいずれもBoc基とし、一般式(II)中のR4および一般式(III)中のR6をいずれもBu基とすることが好ましい。これにより、工程12においてR3〜R6の脱保護を一段階でおこなうことができる。
【0052】
一般式(III)に示した化合物の使用量としては、目的とする反応を妨げない程度であれば特に制限はないが、たとえば、一般式(II)に示した化合物に対して3モル当量以上20モル当量以下とすることができる。
なお、一般式(III)に示した化合物は、公知の方法を用いて合成することができる。合成方法の具体例を実施例の項で後述する。
【0053】
一般式(IV)に示した化合物において、Lnはランタノイド系金属を示し、具体的にはLa、Pr、Nd、Gd、Sc、Y、Dy、ErまたはYbである。Lnの好ましい例として、PrおよびLaが挙げられ、Prがさらに好ましい。
また、トリフルオロメタンスルホン酸塩として、一般式(IV)に示したLn塩にかえて、第一の実施形態に記載の他の金属塩を用いることもできる。
【0054】
反応に使用する溶媒は、反応条件下で安定であり目的とする反応を妨げないものであればとくに制限はないが、たとえば水;エタノール、メタノール等のアルコール類;およびアセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド等の極性非プロトン性溶媒;ならびにその他の有機溶剤類から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。このうち、水とアルコールの混合溶媒を用いることが好ましく、水とメタノールの混合溶媒とすることがさらに好ましい。
【0055】
溶媒の使用量は、一般式(II)に示した化合物に対してたとえば0.001〜1物質量倍程度とすることができ、0.01〜0.02物質量倍とすることが好ましい。
【0056】
反応温度は、たとえば−20℃程度から溶媒の沸点までとすることができるが、反応速度の観点からは20℃以上が好ましい。また、生成物の安定性の観点からは100℃以下が好ましい。また、生成物の安定性の観点からは0℃以下とすることも好ましい。
また、反応時間は、反応温度、撹拌効率等により設定することができるが、たとえば12〜24時間程度とする。
【0057】
ここで、工程11において、溶媒の種類または溶媒のpHと、原料の仕込み比とを制御することにより、生成物である一般式(V)に示した化合物の構造を制御することができる。具体的には、R7およびR8のうち、いずれの基を−CH2CH2CH2CH(N(R52)COOR6基とするか制御することができ、デスモシン誘導体とイソデスモシン誘導体との作り分けが可能となる。
たとえば、水とメタノールの混合溶媒を用いる場合、水に対するエタノールの割合を0体積倍より大きく10体積倍以下とし、一般式(III)に示した化合物を一般式(II)に示した化合物に対して1モル当量以上20モル当量以下使用することにより、R8が−CH2CH2CH2CH(N(R52)COOR6基でありR7が水素原子である化合物、つまりイソデスモシン誘導体をデスモシン誘導体に対して選択的に合成することができる。
また、工程11の溶媒を水とすることによって、デスモシン誘導体とイソデスモシン誘導体の両方を合成することができる。このとき、たとえば一般式(III)に示した化合物を一般式(II)に示した化合物に対して1モル当量以上10モル当量以下使用することにより、デスモシン誘導体とイソデスモシン誘導体の両方を合成することができる。
【0058】
次に、工程12について説明する。
工程12においては、工程11で得られた一般式(V)の化合物中のアミノ基およびカルボキシル基を脱保護することにより、一般式(I)に示した化合物を得る。
【0059】
脱保護には、R3〜R6の保護基の種類に応じて公知の方法を用いることができる。
たとえば、一般式(II)中のR3および一般式(III)中のR5がいずれもBoc基であり、一般式(II)中のR4Bu基であり、一般式(III)中のR6がBn基である場合には、たとえば水素およびパラジウム炭素(Pd/C)を用いた接触還元によりBn基を除去する。接触還元の条件は、たとえばPd/C 500mol/%、室温(25℃、以下同じ。)、24時間とする。
次いで、たとえばトリフルオロ酢酸(TFA)水溶液等を用いた酸処理により、Boc基およびBu基を除去することができる。酸処理の条件は、たとえばTFA/水=95/5、室温、2時間とする。
【0060】
また、一般式(II)中のR3および一般式(III)中のR5がいずれもBoc基であり、一般式(II)中のR4および一般式(III)中のR6がいずれもBu基である場合には、たとえば、トリフルオロ酢酸(TFA)水溶液等を用いた酸処理により、Boc基およびBu基を同一工程で除去することができる。酸処理の条件は、たとえばTFA/水=95/5、室温、2時間とする。
【0061】
本実施形態において、工程11に先立ち、以下の工程10をおこなうこともできる。
(工程10)一般式(VI)に示される化合物またはその塩を一般式(II)に示される化合物またはその塩に変換する工程。
【0062】
【化18】
【0063】
(上記一般式(VI)中、R3は前記一般式(II)におけるR3と同一であり、R9はBoc基またはCbz基であってR3とは異なる基である。)
【0064】
工程10は、たとえば以下の工程を含む。
(工程10−1)一般式(VI)に示した化合物を下記一般式(VII)に示す化合物に変換する工程、および
(工程10−2)一般式(VII)に示した化合物を一般式(II)に示した化合物またはその塩に変換する工程。
【0065】
【化19】
【0066】
工程10−1は、式(VI)に示した化合物のカルボキシル基を保護する工程である。この工程には、保護基R4の種類に応じて、公知の方法を用いることができる。
式(VI)に示した化合物として、市販のものを用いることができる。また、たとえばR4Bu基の場合、実施例の項にて後述する方法のように、ウレア類を用いる反応によりBu化することが好ましい。
【0067】
また、工程10−2は、式(VII)に示した化合物のアミノ保護基R9を除去する工程である。この工程にも、保護基R9の種類に応じて、公知の方法を用いることができる。
たとえばR9がCbz基の場合、水素およびパラジウム炭素(Pd/C)を用いた接触還元によりCbz基を除去する。接触還元の条件は、たとえばPd/C 5mol/%、室温、2時間とする。
また、R9がBoc基の場合、TFAを用いた除去方法が好ましい。
工程10で得られた化合物は、工程11にて原料として用いることができる。
【0068】
本実施形態により、第一の実施形態と同様の作用効果が得られる。
また、本実施形態によれば、原料として一般式(II)に示したアミノ酸誘導体および(III)に示したアミノ酸アルデヒドを用い、ランタノイド系化合物を触媒としたChichibabinピリジン合成を鍵反応とすることにより、デスモシン、イソデスモシンおよびこれらの誘導体を少ない工程数で収率良く得ることができる。また、ピリジン環を安定的に形成するとともに、ピリジン環の側鎖の位置を制御することも可能となる。
【0069】
(第三の実施形態)
以上の実施形態において、一般式(I)に示した化合物またはその塩中、一または二以上の水素原子、一または二以上の炭素原子、あるいは一または二以上の窒素原子が、同位体で置換されていてもよい。たとえば、一または二以上の水素原子が重水素(D)で置換されていてもよい。また、一または二以上の炭素原子(12C)が13Cに置換されていてもよい。また、一または二以上の窒素原子(14N)が15Nに置換されていてもよい。一般式(I)に示した化合物を重水素等により同位体標識することにより、COPDバイオマーカーとして使用しうる化合物を安定的に得ることができる。
【0070】
同位体標識される元素は一種類であっても二種類以上であってもよい。また、化合物中の同位体標識される原子の数に特に制限はない。たとえば、一般式(I)に示した化合物またはその塩を質量分析測定におけるバイオマーカーとして用いる場合、同位体標識された化合物の分子量を、同位体標識される前の化合物の分子量よりもたとえば3以上大きくし、好ましくは4以上大きくする。
また、同位体標識する位置に特に制限はないが、側鎖の外れやすさの観点からは、ピリジン環の1位(N位)の側鎖を同位体標識するよりも、ピリジン環を構成する炭素原子に結合する側鎖を同位体標識することが好ましい。また、ピリジン環を構成する窒素または炭素原子を同位体置換してもよい。
【0071】
たとえば、一または二以上の水素原子が重水素で置換されるとき、重水素化される位置に特に制限はないが、ピリジン環に結合する側鎖中の水素原子を重水素化することが好ましく、ピリジン環を構成する炭素原子に結合する側鎖中の水素原子を重水素化することがさらに好ましく、ピリジン環を構成する炭素原子に結合する側鎖において、主鎖を構成する炭素原子に結合する水素原子を重水素化することがより一層好ましい。
【0072】
以下、第二の実施形態の場合を例に挙げ、同位体標識方法をさらに具体的に説明する。
同位体標識の方法に特に制限はないが、たとえば以下のスキーム1〜3に示す方法が挙げられる。スキーム1〜3中、黒丸(●)は13Cを示す。
【0073】
【化20】
【0074】
スキーム1は、式(I)に示した化合物中に13CおよびDを導入する例を説明するものである。スキーム1では、アリシン保護体すなわち一般式(III)に示した化合物中に、13CおよびDをそれぞれ1つずつ導入する。
一般式(III)に示した化合物の合成方法の具体例については、実施例の項で後述するが、一般式(III)に示した化合物の製造工程中、たとえばWittig反応の際に13Cを導入し、ヒドロホウ素化酸化でβ位にDを導入する。
そして、工程11において、一般式(III)に示した化合物として、上記同位体標識されたものを用いることにより、ピリジン環を構成する炭素原子を同位体置換するとともに、ピリジン環を構成する炭素原子に結合する側鎖中の水素原子を重水素化することができる。
【0075】
【化21】
【0076】
スキーム2は、式(I)に示した化合物中に13Cと15Nを導入する例を説明するものである。スキーム2では、アリシン保護体すなわち一般式(III)に示した化合物に13Cを1つ導入するとともに、リシン保護体すなわち一般式(II)に示した化合物に15Nを導入する。
この方法では、アリシン保護体にWittig反応において13Cを導入しておき、これと、市販の15Nの入ったリシン保護体とを用いて式(I)に示した化合物を合成する。Dを用いないため同位体率を低下させにくいという点で好ましい。
そして、工程11において、一般式(II)および一般式(III)に示した化合物として、それぞれ上記同位体標識されたものを用いることにより、ピリジン環を構成する炭素原子および窒素原子を同位体置換することができる。
【0077】
【化22】
【0078】
スキーム3は、式(I)に示した化合物中に4つのDを導入する例を説明するものである。スキーム3では、アリシン保護体すなわち一般式(III)に示した化合物に2つのDを導入する。導入方法として、たとえばアスパラギン酸もしくはグルタミン酸から2回のヒドロホウ素化酸化をおこなう方法が挙げられる。
そして、工程11において、一般式(III)に示した化合物として、上記重水素化したものを用いることにより、ピリジン環を構成する炭素原子に結合する側鎖中の水素原子を重水素化することができる。
【0079】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0080】
本発明は、以下の態様を含む。
[1]下記一般式(I)に示される化合物またはその塩の製造方法であって、
【化23】
(上記一般式(I)中、R1およびR2の一方は−CH2CH2CH2CH(NH2)COOH基であり、他方は水素原子である。また、上記一般式(I)中、一または二以上の水素原子、一または二以上の炭素原子、あるいは一または二以上の窒素原子が、同位体で置換されていてもよい。)
下記一般式(II)に示される化合物またはその塩と下記一般式(III)に示される化合物とを下記一般式(IV)に示されるランタノイド化合物の存在下に反応させて、下記一般式(V)またはその塩に示される化合物を形成する工程と、
前記一般式(V)に示す化合物またはその塩を前記一般式(I)に示した化合物またはその塩に変換する工程と、
を含む、製造方法。
【化24】
(上記一般式(II)中、R3はtert−ブチルオキシカルボニル基またはベンジルオキシカルボニル基であり、R4はtert−ブチル基、ベンジル基、メチル基またはエチル基である。また、上記一般式(II)中、一または二以上の水素原子、一または二以上の炭素原子、あるいは一または二以上の窒素原子が、同位体で置換されていてもよい。)
【化25】
(上記一般式(III)中、R5は各々独立してtert−ブチルオキシカルボニル基またはベンジルオキシカルボニル基であり、R6はtert−ブチル基、ベンジル基、メチル基またはエチル基である。また、上記一般式(III)中、一または二以上の水素原子、一または二以上の炭素原子、あるいは一または二以上の窒素原子が、同位体で置換されていてもよい。)
Ln(OTf)3 (IV)
(上記一般式(IV)中、LnはLa、Pr、Nd、Gd、Sc、Y、Dy、ErまたはYbであり、Tfはトリフルオロメチルスルホニル基である。)
【化26】
(上記一般式(V)中、R3およびR4はそれぞれ前記一般式(II)におけるR3およびR4と同一であり、R5およびR6はそれぞれ前記一般式(III)におけるR5およびR6と同一である。また、R7およびR8の一方は−CH2CH2CH2CH(N(R52)COOR6基であり、他方は水素原子であって、R5およびR6はそれぞれ前記一般式(III)におけるR5およびR6と同一である。また、上記一般式(V)中、一または二以上の水素原子、一または二以上の炭素原子、あるいは一または二以上の窒素原子が、同位体で置換されていてもよい。)
[2] [1]に記載の製造方法において、
下記一般式(VI)に示される化合物またはその塩を前記一般式(II)に示される化合物またはその塩に変換する工程をさらに含む、製造方法。
【化27】
(上記一般式(VI)中、R3は前記一般式(II)におけるR3と同一であり、R9はtert−ブチルオキシカルボニル基またはベンジルオキシカルボニル基であってR3とは異なる基である。)
[3] [1]または[2]に記載の製造方法において、一般式(V)に示される化合物を形成する前記工程を、アルコールと水との混合溶媒中でおこなう、製造方法。
【実施例】
【0081】
以下の例において、各工程で得られた化合物の同定は、NMR測定およびMS測定によりおこなった。
【0082】
(合成例1)
本例では、下記スキーム4に示す方法でアリシン保護体である化合物6を合成した。
【0083】
【化28】
【0084】
はじめに、Yohei Koseki他2名、「Efficient synthesis of benzyl 2-(S)-(tert-butoxycarbonyl)amino]-ω-iodoalkanoates」、Tetrahedron: Asymmetry、2011年、22号、580−586ページに記載の方法に準じて、化合物29を出発物質として化合物25を合成した。
【0085】
化合物30の合成
市販のグルタミン酸保護体である化合物29(5.00g、1.0当量)のCH2Cl2(50mL)溶液にトリエチルアミン(Et3N)を1.5当量加え、混合物を0℃に冷却した。そして、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP、0.1当量)およびMeOCOCl(1.2当量)を順に添加した。得られた溶液を室温まで温め、0.5時間攪拌した。反応混合物をCH2Cl2で希釈し、1MのNaHCO3水溶液で洗浄した後、CH2Cl2で3回抽出した。得られた有機層をNa2SO4にて乾燥させた。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc=2/1)により精製し、無色の油状物として化合物30を5.16g得た(収率99%)。
【0086】
化合物31の合成
化合物30(0.50g、1.0当量)のMeCN(3.0mL)溶液に、DMAP(0.2当量)を加えた。得られた混合物に、(Boc)2O(4.0当量)のMeCN(2.0mL)溶液を加え、室温にて20時間攪拌した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc=3/1)より精製し、無色の油状物として化合物31を0.62g得た(収率97%)。
【0087】
化合物32の合成
化合物31(2.00g、1.0当量)のEt2O(6.2mL)溶液を−78℃に冷却し、これに水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL−H、ヘキサン中1M溶液、1.4当量)を3分間かけて滴下した。反応混合物を5分間攪拌した後、水(150μL)を加えて反応停止し、室温に戻した。得られた白色濃厚液をCelite(登録商標)粉末にて濾過し、Et2Oにて3回洗浄した。濾液を濃縮し、トルエンを用いた共沸により残留する微量の水を除去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc=5/1)より精製し、無色の油状物として化合物32を1.66g得た(収率89%)。
【0088】
化合物27の合成
本例では、化合物32をWittig反応により増炭し、化合物27を得た。
すなわち、メチルトリフェニルホスフィンブロミド(MePPh3Br、807mg、1.2当量)のTHF(20mL)懸濁液に、−78℃にてn−BuLi(ヘキサン中2.64M溶液、1.1当量)を滴下した。0℃に昇温し、得られた混合物を1.5時間攪拌した後、得られたイリド溶液に化合物32(0.793g、1.0当量)のTHF(10mL)溶液を添加した。0℃にて0.5時間攪拌した後、飽和NH4Cl水溶液にて反応を停止させた。EtOAcにて3回抽出した。有機層をあわせてNa2SO4により乾燥させた。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc=19/1)より精製し、無色の油状物として化合物27を0.54g得た(収率68%)。
【0089】
化合物25の合成
化合物27(0.455g、1.0当量)のTHF(3.0mL)溶液を0℃に冷却し、これにNaBH4(1.3当量)を添加した。10分間攪拌した後、この溶液にBF3・Et2O(1.3当量)を添加した。混合物を室温まで温め、26時間攪拌した。その後、溶液を0℃に冷却し、1M NaOH(1.5当量)を添加した後、30%H22(1.33mL)を添加し、3時間攪拌した。混合物を水で希釈し、EtOAcにて3回抽出した。有機層をあわせてNa2SO4により乾燥させた。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc=1/1)より精製し、無色の油状物として化合物25を0.377g得た(収率80%)。
【0090】
化合物6(2-(S)-Bis-tert-butoxycarbonylamino-6-oxo-hexanoic acid benzyl ester)の合成
本例では、化合物25のDess-Martin酸化により、化合物6を得た。
すなわち、化合物25(100mg、0.229mmol)をジクロロメタン(2.86mL)に溶かし、0℃にした後、DMP(デス−マーチンペルヨージナン、145.4mg、0.343mmol)を加え1時間撹拌した。重曹/チオ硫酸ナトリウム=1/1の溶液を加え反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。抽出した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で単離精製を行い、化合物6を98%(97.6mg)で得た。
【0091】
(合成例2)
本例では、アリシン保護体である化合物54(2-(S)-Bis-tert-butoxycarbonylamino-6-oxo-hexanoic acid tert-butyl ester)を合成した。
【0092】
(合成例2−1)
以下の反応式により、化合物54を得た。
【0093】
【化29】
【0094】
合成例1に準じて、化合物53を得た。そして、得られた化合物53(104mg、0.258mmol)をジクロロメタン(3.1mL)に溶かし、0℃にした後、DMP(デス−マーチンペルヨージナン、157.7mg、0.378mmol)を加え1.5時間撹拌した。重曹/チオ硫酸ナトリウム=1/1の溶液を加え反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。抽出した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で単離精製を行い、化合物54を99%(103mg)で得た。
【0095】
(合成例2−2)
以下のスキーム5に示す手順により化合物53を合成し、得られた化合物53から化合物54を得た。
【0096】
【化30】
【0097】
N-[(1,1-Dimethylethoxy)carbonyl]-5-methyl-1-(phenylmethyl) ester (化合物30)の合成
以下の式に示すように、化合物30を合成した。
【0098】
【化31】
【0099】
化合物29(5.1g)をCH2Cl2 (40mL)に溶かし、Et3N(1.5当量)を加え、混合溶液を0℃に冷却した。次にDMAP(0.1当量)とMeOCOCl(1.2当量)を添加した後、室温まで温め、0.5時間攪拌した。反応溶液をCH2Cl2で希釈し、1M NaHCO3溶液で洗浄後、CH2Cl2を用いて抽出した。そして、得られた有機層をNaSO4で乾燥後、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc=2/1)により精製し、無色の油状物として化合物30を5.26gで得た(収率99%)。
【0100】
N-[(1,1-Dimethylethoxy)carbonyl]-5-methyl ester(化合物11)の合成
以下の式に示すように、化合物11を合成した。
【0101】
【化32】
【0102】
化合物30(487mg)をMeOH(2.9mL)に溶かした後、10wt% Pd/C(1.0mol%)を加えた。水素雰囲気下、室温にて3時間攪拌した。反応溶液の固形物をセライト濾過にて除去し、減圧濃縮することで化合物11を362mgで得た(収率100%)。
【0103】
N-[(1,1-Dimethylethoxy)carbonyl]-1-(1,1-dimethylethyl)-5-methyl ester(化合物12)の合成
以下の式に示すように、化合物12を合成した。
【0104】
【化33】
【0105】
化合物11(7.01g)のtBuOH(35.8mL)溶液に対して、(Boc)2O(1.2当量)のtBuOH(17.9mL)溶液、DMAP(0.1当量)を順に加えた。室温にて3時間攪拌後、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc=8/1)により精製し、無色の油状物として化合物12を6.37gで得た(収率75%)。
【0106】
N,N-Bis[(1,1-dimethylethoxy)carbonyl]-1-(1,1-dimethylethyl)-5-methyl ester(化合物13)の合成
以下の式に示すように、化合物13を合成した。
【0107】
【化34】
【0108】
化合物12(2.27g)をMeCN(20mL)に溶かした後、DMAP(0.2当量)を加え、さらに(Boc)2O(4.0当量)のMeCN(8mL)溶液を添加した。室温にて、24時間攪拌後、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc=8/1)により精製し、無色の油状物として化合物13を2.31gで得た(収率82%)。
【0109】
N,N-Bis[(1,1-dimethylethoxy)carbonyl]-5-oxo-1,1-dimethylethyl ester(化合物14)の合成
以下の式に示すように、化合物14を合成した。
【0110】
【化35】
【0111】
化合物13(184mg)をEt2O(4.5mL)に溶解させた後、−78℃に冷却した。そして、DIBAL−H(1.4当量)をゆっくりと添加し、5分間攪拌した。その後、水(150μL)を加えて、反応を停止させた。得られた反応溶液をセライト濾過にて、精製した。さらにシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc=4/1)により精製し、無色の油状物として化合物14を152mgで得た(収率98%)。
【0112】
N,N-[Bis[(1,1-dimethylethoxy)carbonyl]amino]-1,1-dimethylethyl ester(化合物15)の合成
以下の式に示すように、化合物15を合成した。
【0113】
【化36】
【0114】
MePPh3Br(1.2当量)のTHF(16mL)溶液に、−78℃にてn−BuLi(1.1当量)を添加した。その後、0℃にて1.5時間攪拌した。再び−78℃に冷却後、反応溶液に対して、化合物14(650mg)のTHF(8.2mL)を加えた。0℃に昇温し、0.5時間攪拌した。そして、飽和NH4Cl水溶液にて反応を停止させた後、EtOAcにて3回抽出した。有機層をNa2SO4で乾燥後、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc=20/1)により精製し、無色の油状物として化合物15を476mgで得た(収率72%)。
【0115】
tert-Butyl-2-(S)-[bis-(tert-butoxycarbonyl)-amino]-6-hydroxyhexanoate(化合物53)の合成
以下の式に示すように、化合物53を合成した。
【0116】
【化37】
【0117】
化合物15(437mg)のTHF(5.38mL)溶液を0℃に冷却後、NaBH4(1.3当量)を添加した。10分間攪拌後、さらにBF・Et2O(1.3当量)を加え、室温にて21時間攪拌した。そして、再び0℃に冷却後に1M NaOH(1.5当量)、30%H22(1.41mL)を順に加えた。混合物を水で希釈した後に、EtOAcで3回抽出した。Na2SO4で乾燥させた後に、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc=2/1)により精製し、白色結晶として化合物53を376mgで得た(収率82%)。
【0118】
N,N-Bis[(1,1-dimethylethoxy)carbonyl]-6-oxo-1,1-dimethylethyl ester(化合物54)の合成
以下の式に示すように、化合物54を合成した。
【0119】
【化38】
【0120】
化合物53(81.5mg)をCH2Cl2(2.5mL)に溶解させた後、DMP(1.5当量)を0℃に冷却しながら加えた。その後、1時間攪拌後にNaHCO3/Na223=1:1の溶液を加えて、反応を停止させた。次にEtOAcで3回抽出をした後にNaSO4で乾燥させた。そして、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc=4/1)により精製し、白色結晶として化合物54を89.1mgで得た(収率100%)。
本例の方法により、ウレア系の化合物を用いずに式54の化合物を得ることができた。
【0121】
(実施例1)
本実施例においては、合成例1で得られた化合物6を用いて、イソデスモシンの全合成をおこなった。
【0122】
化合物4(6-Benzyloxycarbonylamino-2-(S)-tert-butoxycarbonylamino-hexanoic acid tert-butyl ester)の合成
【0123】
【化39】
【0124】
市販の化合物3(1.00g、2.62mmol)をジクロロメタン(5.00mL)に溶かし、0℃にした後O−tBu−N,N'−ジイソプロピルイソウレア(1.57g、1.77mL、7.88mmol)を加えた。室温に戻し27時間撹拌した後、再びO−tBu−N,N'−ジイソプロピルイソウレア(1.57g、1.77mL、7.88mmol)を加え、26時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し溶媒を留去した後、ショートカラムにて固形物を除去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:3)で単離精製を行い、化合物4を98%(1.1278g)で得た。
【0125】
化合物5(6-Amino-2-(S)-tert-butoxycarbonylamino-hexanoic acid tert-butyl ester)の合成
【0126】
【化40】
【0127】
化合物4(98.8mg、0.226mmol)と10% Pd/C(12.1mg、11.4μmol)をメタノール(1mL)に溶かし、水素雰囲気下、室温にて2時間撹拌した。反応溶液の固形物をセライト濾過にて除去し、減圧濃縮することで化合物5を96%(66.1mg)にて得た。生成物はこれ以上の精製をせずに次の反応に用いた。
【0128】
化合物28(2-(4-(S)-Benzyloxycarbonyl-4-bis-tert-butoxycarbonylamino-butyl)-3,5-bis-(3-(S)-benzyloxycarbonyl-3-tert-butoxycarbonylamino-propyl)-1-(5-(S)-tert-butoxycarbonyl-5-tert-butoxycarbonylamino-pentyl)-pyridinium)の合成
【0129】
【化41】
【0130】
化合物5(7.2mg、23.8μmol)とPr(OTf)3(7.0mg、11.9μmol)を水(1.59mL)とメタノール(0.19mL)に溶かし、メタノール(0.60mL)に溶かした化合物6(40.9mg、93.9μmol)を加えた。つまり、本例では、化合物6と化合物5との仕込み組成をモル比で4/1とし、反応溶媒について、水/メタノールを2/1とした。24時間撹拌した後、酢酸エチルにて抽出した。抽出した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮し、残渣を中性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1を100mL、0/1を50mL、酢酸エチル/メタノール=10/1を100mL)で単離精製を行い、化合物28を29%(10.9mg)で得た。
【0131】
化合物39(2-(4-(S)-Bis-tert-butoxycarbonylamino-4-carboxy-butyl)-3,5-bis-(3-(S)-bis-tert-butoxycarbonylamino-3-carboxy-propyl)-1-(5-(S)-tert-butoxycarbonyl-5-tert-butoxycarbonylamino-pentyl)-pyridinium)の合成
【0132】
【化42】
【0133】
化合物28(18.7mg、11.0μmol)と10% Pd/C(64.0mg、60.2μmol)をメタノール(0.3mL)に溶かし、水素雰囲気下にて24時間撹拌した。反応溶液をセライトと中性シリカにて濾過し減圧下濃縮し化合物39を95%(14.9mg)で得た。生成物はこれ以上の精製をせずに次の反応に用いた。
【0134】
化合物2((+)-Isodesmosine)の合成
【0135】
【化43】
【0136】
化合物39(14.9mg、10.4μmol)にTFA(トリフルオロ酢酸)と蒸留水の混合溶液(2.4mL、TFA/water=95/5)を加え、2.5時間撹拌した。反応溶液を減圧下濃縮し、逆相シリカゲルクロマトグラフィー(蒸留水、含0.1%TFA)にて単離精製し、化合物2をquant.(定量的収率、8.1mg)にて得た。
【0137】
Rf 0.28 [MeOH (0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) = 1:9]; [α]D20 +10.6 (c 0.50, H2O); 1H NMR (500 MHz, D2O) δ 8.60 (1H, s, H6), 8.29 (1H, s, H4), 4.58 (2H, m, H7), 4.11 (1H, t, J = 6.1 Hz, H20), 4.05, 4.04 (1H, t, J = 6.1 Hz, H16/24), 4.01 (1H, t, J = 6.1 Hz, H11), 3.12-3.18 (2H, m, H13), 3.04-3.12 (1H, m, H18), 2.97-3.04 (1H, m, H22), 2.87-2.97 (2H, m, H18/22), 2.21-2.36 (4H, m, H19/H23), 2.09-2.21 (2H, m, H15), 1.91-2.07 (4H, m, H8/H10), 1.71-1.91 (2H, m, H14), 1.48-1.68 (2H, m, H9); 13C NMR (125 MHz, D2O) δ 173.1, 172.9, 172.7, 172.6 (C12/17/21/25), 154.3 (C2), 146.8 (C4), 144.0 (C6), 141.1 (C3), 139.3 (C5), 58.6 (C7), 53.6, 53.3, 53.0 (C11/16/20/24), 30.9 (C19/23), 30.3 (C15), 30.0 (C10), 29.1 (C8), 28.6 (C13), 27.9 (C18), 27.8 (C22), 24.4 (C14), 22.0 (C9); ESI-HRMS [M]+ calcd for C24H40N5O8 [M]+ 526.2877, found 526.2877.
【0138】
(実施例2)
実施例1において、化合物5および化合物6から化合物28を得る際の溶媒組成を変更し、実施例1に準じて合成反応をおこなった。
すなわち、反応溶媒について、実施例1では水/メタノールを2/1としたのに変えて、本例では水/メタノールを3/1とし、それ以外については実施例1に準じて化合物28を合成した。
その結果、本例においても化合物28を収率24%で得ることができた。
【0139】
(合成例3)
本例では、化合物5の塩酸塩5'(5-(S)-tert-Butoxycarbonyl-5-tert-butoxycarbonylamino-pentyl-ammonium chloride)を得た。
【0140】
(合成例3−1)
本例では、化合物4を原料として、化合物5の塩酸塩5'(5-(S)-tert-Butoxycarbonyl-5-tert-butoxycarbonylamino-pentyl-ammonium chloride)を得た。
【0141】
【化44】
【0142】
化合物4(40.0mg、0.916mmol)と10% Pd/C(4.88mg、4.58μmol)をエタノール(0.36mL)に溶かし、1M塩酸(0.1mL)を加え、水素雰囲気下、室温にて3.5時間撹拌した。反応溶液の固形物をセライト濾過にて除去し、減圧濃縮することで化合物5'を94%(29.2mg)にて得た。生成物はこれ以上の精製をせずに次の反応に用いた。
【0143】
(合成例3−2)
本例では、以下のスキーム6に示す手順により、合成例2−2に記載の方法に準じて化合物12および18を合成し、さらに式5'の化合物を得た。
【0144】
【化45】
【0145】
N-[(1,1-dimethylethoxy)carbonyl]-5-hydroxy-1,1-dimethylethyl ester(化合物18)の合成
以下の式に示すように、化合物18を合成した。
【0146】
【化46】
【0147】
LiCl(4.0当量)のTHF/EtOH(1:1)(10mL)溶液にNaBH4(4.0当量)を加え10分間撹拌した。−5℃に冷却後、化合物12(475.5mg)のTHF(15mL)溶液をゆっくり添加した。その後、室温に昇温し17時間撹拌した。水を加え反応を停止させた後、EtOAcで3回抽出してNa2SO4で乾燥させた。シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc=2/1)により精製し、白色結晶として化合物18を299.2mgで得た(収率69%)。
【0148】
5-bromo-N-[(1,1-dimethylethoxy)carbonyl]-1,1-dimethylethyl ester(化合物16)の合成
以下の式に示すように、化合物16を合成した。
【0149】
【化47】
【0150】
化合物18(210.2mg)のCH2Cl2(7.3mL)溶液を0℃に冷却後、CBr4(1.5当量)とPPh3(2.0当量)を順に加えて20分間撹拌した。ヘキサン/EtOAc=2:1で反応を止め、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc=2/1)により精製し、無色の油状物として化合物16を254.6mgで得た(収率100%)。
【0151】
5-cyano-2-[[(1,1-dimethylethoxy)carbonyl]amino]-1,1-dimethylethyl ester(化合物17)の合成
以下の式に示すように、化合物17を合成した。
【0152】
【化48】
【0153】
化合物16(131.2mg)のEtOH(8.0mL)溶液に、KCN(1.4当量)のEtOH/HO(9:1)(2.49mL)溶液を加え、40度から80度に温度を徐々に上げて2日間撹拌した。その後、ろ過をして固形物を除去した後、CH2Cl2で2回抽出してNa2SO4で乾燥させた。シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc=10/1)により精製し、無色の油状物として化合物17を47.4mgで得た(収率43%)。
【0154】
5-(S)-(tert-Butoxycarbonyl)-5-[(tert-butoxycarbonyl)-amino]-pentyl- amine hydrochloride(化合物5')の合成
以下の式に示すように、化合物5'を合成した。
【0155】
【化49】
【0156】
化合物17(47.4mg)の2-propanol(3.97mL)溶液に1M HCl(175μL)、PtO2(0.1当量)を順に加え、水素雰囲気下、2気圧で2日間撹拌した。反応溶液をセライトろ過して固形物を除去した後、減圧濃縮することで黄色の油状物である化合物5'を48.1mgで得た(収率89%)。
本例の方法により、ウレア系の化合物を用いずに式5'の化合物を得ることができた。式12の化合物から式5'の化合物を得た際の総収率は26%となった。
【0157】
(実施例3)
本実施例は、デスモシン、イソデスモシンを一挙に合成できたChichibabinピリジン合成に関する。
具体的には、本実施例においては、合成例2で得られた化合物54および合成例3で得られた化合物5'を用いて、デスモシンおよびイソデスモシンの全合成をおこなった。
【0158】
化合物55(2-(4-(S)-tert-butoxycarbonyl-4-bis-tert-butoxycarbonylamino-butyl)-3,5-bis-(3-(S)-tert-butoxycarbonyl-3-tert-butoxycarbonylamino-propyl)-1-(5-(S)-tert-butoxycarbonyl-5-tert-butoxycarbonylamino-pentyl)-pyridinium)および化合物56(3,5-Bis-(3-(S)-tert-butoxycarbonyl-3-tert-butoxycarbonylamino-propyl)-4-(4-(S)-tert-butoxycarbonyl-4-tert-butoxycarbonylamino-butyl)-1-(5-(S)-tert-butoxycarbonyl-5-tert-butoxycarbonylamino-pentyl)-pyridinium)の合成
【0159】
【化50】
【0160】
化合物5'(7.5mg、22.1μmol)と化合物54(38.1mg、94.4μmol)を水(1.48mL)に溶かし、Pr(OTf)3(6.5mg、11.1μmol)を加えた。24時間撹拌した後、酢酸エチルにて抽出した。抽出した有機層を硫酸ナトリウムにて乾燥、減圧下濃縮し、残渣を中性シリカゲルカラムクロマトグラフィー (ヘキサン/酢酸エチル=1/1を100mL、0/1を100mL、酢酸エチル/メタノール=10/1を100mL)で単離精製を行い、化合物55を28%(9.8mg)、化合物56を5%(1.9mg)で得た。
【0161】
化合物2(イソデスモシン)の合成
【0162】
【化51】
【0163】
化合物55(5.1mg,3.19μmol)にTFA(トリフルオロ酢酸)と蒸留水の混合溶液(0.78mL、TFA/water=95/5)を加え、2時間撹拌した。反応溶液を減圧下濃縮し、逆相シリカゲルクロマトグラフィー(蒸留水、含0.1% TFA)にて単離精製し、化合物2をquant.(2.2mg)にて得た。本実施例においても、NMRスペクトルおよびMSスペクトルから、得られた化合物が化合物2であることが確認された。
【0164】
化合物1(デスモシン)の合成
【0165】
【化52】
【0166】
化合物56(4.5mg、3.1μmol)にTFA(トリフルオロ酢酸)と蒸留水の混合溶液(0.69mL、TFA/water=95/5)を加え、2時間撹拌した。反応溶液を減圧下濃縮し、逆相シリカゲルクロマトグラフィー(蒸留水、含0.1% TFA)にて単離精製し、化合物1を78%(1.4mg)にて得た。
【0167】
Rf 0.22 [MeOH (0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) = 1:9]; [α]20D +9.8 (c 0.10, H2O); 1H NMR (D2O, 500 MHz) δ 8.53 (2H, s, H2/6), 4.50 (2H, t, J = 7.2 Hz, H7), 3.87-3.84 (1H, m, H20), 3.79-3.78 (1H, m, H16), 3.76-3.72, (1H, m, H11), 3.05-2.99 (2H, m, H13), 2.94-2.86 (4H, m, H18/18'), 2.18-2.13 (4H, m, H19/19'), 2.07-2.00 (4H, m, H8/15), 1.90-1.88 (2H, m, H10), 1.67-1.33 (4H, m, H9/14); 13C NMR (125 MHz, D2O) δ 175.1, 174.6 (C12/17/21), 159.2 (C4), 142.3 (C2/6), 140.8 (C3/5), 63.8 (C7), 55.0, 54.9, 54.8 (C11/16/20/20'), 31.7, 31.1 (C8/10/15/19/19'), 30.6 (C8), 28.9 (C13), 25.3 (C9/14); ESI-HRMS (m/z) calcd for C24H40N5O8 [M]+ 526.2877, found 526.2877.
【0168】
さらに、化合物56の仕込量を6.3mg(4.24μmol)とし、上述の手順および方法に準じて脱保護反応および精製をおこなった。その結果、以下の式に示すように、化合物1すなわちデスモシンが2.8mg得られた(収率 quant.)。
【0169】
【化53】
【0170】
(実施例4)
実施例3において、化合物5'および化合物54から化合物55、56を得る際の化合物5'および化合物54の仕込み組成比を変更し、それ以外については実施例3に準じて合成反応をおこなった。
また、化合物5'に変えて実施例1で使用した化合物5を用いるとともに、化合物5および化合物54の仕込み組成比を変更し、それ以外については実施例1に準じて合成反応をおこなった。
結果を表1に示す。表1より、原料の仕込み比および溶媒の組成比を調整することにより、デスモシンの合成中間体またはイソデスモシンの合成中間体の収率を調整することができる。
【0171】
【表1】
【0172】
(実施例5)
実施例3において、触媒として用いたLn(OTf)3の種類を変更し、それ以外については実施例1に準じて合成反応をおこなった。
結果を表2に示す。表2より、各種Ln(OTf)3を用いた場合にも、デスモシンの合成中間体およびイソデスモシンの合成中間体が得られた。
【0173】
【表2】
【0174】
(実施例6)
実施例3において、化合物5'および化合物54から化合物55、56を得る際の化合物5'および化合物54の仕込み組成比ならびに反応温度を変更し、それ以外については実施例1に準じて合成反応をおこなった。
結果を表3に示す。表3より、反応温度を80℃または100℃とすることにより、イソデスモシンの合成中間体を選択的に得ることができた。一方、室温または40℃においては、デスモシンの合成中間体およびイソデスモシンの合成中間体を得ることができた。
【0175】
【表3】
【0176】
(実施例7)
本例では、ピリジン環を構成する炭素原子および窒素原子が同位体標識されたデスモシン標識体およびイソデスモシン標識体の合成をおこなった。
[(6)-13C]-N,N-Bis[(1,1-dimethylethoxy)carbonyl]-6-oxo-1,1-dimethylethyl ester(化合物24)の合成手順をスキーム7に示す。
【0177】
【化54】
【0178】
まず、化合物29を出発物質として、合成例2−2に記載の手順に準じて、スキーム7における化合物14の合成までをおこなった。
【0179】
[(6)-13C]-1-tert-butyl-2-[bis-(tert-butoxycarbonyl)-amino]-5-hexenoate(化合物22)の合成
以下の式に示すように、化合物22を合成した。
【0180】
【化55】
【0181】
13CH3PPh3I(1.2当量)のTHF(13mL)溶液に、−78℃にてn−BuLi(1.1当量)を添加した。その後、0℃にて1.0時間攪拌した。再び−78℃に冷却後、反応溶液に対して、化合物14(417.2mg)のTHF(4.9mL)溶液を加えた。0℃に昇温し、0.5時間攪拌した。そして、飽和NH4Cl水溶液にて反応を停止させた後、EtOAcにて3回抽出した。有機層をNa2SO4で乾燥後、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc=18/1)により精製し、無色の油状物として化合物22を206.1mgで得た(収率50%)。
【0182】
[(6)-13C]-tert-Butyl-2-(S)-[bis-(tert-butoxycarbonyl)-amino]-6-hydroxyhexanoate (化合物23)の合成
以下の式に示すように、化合物23を合成した。
【0183】
【化56】
【0184】
化合物22(192.4mg)のTHF(2.37mL)溶液を0℃に冷却後、NaBH4(1.3当量)を添加した。10分間攪拌後、さらにBF3・Et2O(1.3当量)を加え、室温にて21時間攪拌した。そして、再び0℃に冷却後、1M NaOH(1.5当量)、30%H22(0.62mL)を順に加えた。混合物を水で希釈した後に、EtOAcで3回抽出した。Na2SO4で乾燥させた後に、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc=5/1)により精製し、白色結晶として化合物23を201.3mgで得た(収率82%)。
【0185】
[(6)-13C]-N,N-Bis[(1,1-dimethylethoxy)carbonyl]-6-oxo-1,1-dimethylethyl ester (化合物24)の合成
以下の式に示すように、化合物24を合成した。
【0186】
【化57】
【0187】
化合物23(84.5mg)のCH2Cl2(2.52mL)溶液を0℃に冷却後、DMP(1.5当量)を加えた。その後、1.5時間攪拌後にNaHCO3/Na223=1:1の溶液を加えて、反応を停止させた。次にEtOAcで3回抽出をした後にNa2SO4で乾燥させた。そして、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc=8/1)により精製し、白色結晶として化合物24を74.5mgで得た(収率89%)。
【0188】
次に、5-(S)-(tert-Butoxycarbonyl)-5-[(tert-butoxycarbonyl)-amino]-pentyl-amine-15N hydrochloride(化合物42)の合成手順をスキーム8に示す。
【0189】
【化58】
【0190】
まず、化合物29を出発物質として、合成例3−2に記載の手順に準じて、スキーム8における化合物16の合成までをおこなった。
【0191】
5-(cyano-15N)-2-[[(1,1-dimethylethoxy)carbonyl]amino]-1,1-dimethylethyl ester(化合物41)の合成
以下の式に示すように、化合物41を合成した。
【0192】
【化59】
【0193】
化合物16(117.1mg)のEtOH(7.07mL)溶液に、KC15N(1.4当量)のEtOH/H2O(9:1)(2.08mL)溶液を加えた。40℃から80℃に温度を徐々に上げて1日間撹拌した。その後、ろ過をして固形物を除去した後、CH2Cl2で2回抽出してNa2SO4で乾燥させた。シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc=10/1)により精製し、無色の油状物として化合物41を41.1mgで得た(収率41%)。
【0194】
5-(S)-(tert-Butoxycarbonyl)-5-[(tert-butoxycarbonyl)-amino]-pentyl-amine-15N hydrochloride(化合物42)の合成
以下の式に示すように、化合物42を合成した。
【0195】
【化60】
【0196】
化合物41(19.5mg)の2-propanol(1.67mL)溶液にHCl溶液(73.8μL)、PtO2(0.1当量)を順に加え、水素雰囲気下、2気圧で2日間撹拌した。反応溶液をセライトろ過して固形物を除去した後、減圧濃縮することで黄色の油状物である化合物42を20.8mgで得た(収率92%)。
【0197】
以上により得られた化合物24および化合物42を用いてイソデスモシンの同位体標識体の合成をおこなった。
2-{4'-(tert-butoxycarbonyl)-4'-(S)-[bis-(tert-butoxycarbonyl)-amino]-butyl}-3,5-bis-{3'-(tert-butoxycarbonyl)-3'-(S)-[bis-(tert-butoxycarbonyl)-amino]-propyl}-1-{5'-(tert-butoxcarbonyl)-5'-(S)-[bis-(tert-butoxycarbonyl)-amino]-pentyl}-pyridinium-13C (2), 13C (4), 13C (6), 15N (1)(化合物43)の合成
以下の式に示すように、化合物43を合成した。
【0198】
【化61】
【0199】
化合物24(70.1mg)に化合物42(14.8mg)を加えた後、蒸留水(2.9mL)、Pr(OTf)3(0.5当量)を順に加えた。室温にて24時間撹拌後、EtOAcで3回抽出し、Na2SO4で乾燥させた。中性シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc=1/1、EtOAc、CH2Cl2/メタノール=10:1)により精製し、黄色の油状物として化合物43を13.2mgで得た(収率20%)。
【0200】
2-(4'-(S)-amino-4'-carboxy-butyl)-1-(5''-(S)-amino-5''-carboxy-pentyl)-3,5-bis-(3'''-(S)-amino-3'''-carboxy-propyl)-pyridinium-13C (2), 13C (4), 13C (6), 15N (1), Isodesmosine-13C3, 15N1 (化合物44)の合成
以下の式に示すように、化合物44すなわちイソデスモシンの同位体標識体を得た。
【0201】
【化62】
【0202】
化合物43(8.7mg)にTFA/HO(95:1)(1.33mL)溶液を加えて室温にて2時間撹拌した。その後、逆相シリカゲルクロマトグラフィー(蒸留水、含0.1%TFA)により精製し、黄色の油状物として化合物44を4.8mgで得た(収率100%)。
【0203】
本明細書において、以下の略記を用いた。
Me:メチル
Et:エチル
Bu:ブチル
Ph:フェニル
Ac:アセチル
rt:室温
h:時間
d:日
【0204】
この出願は、2013年2月1日に出願された日本出願特願2013−018473号を基礎とする優先権を主張し、その開示のすべてをここに取り込む。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 下記一般式(I)に示される化合物またはその塩の製造方法であって、
(上記一般式(I)中、R1およびR2の一方は−CH2CH2CH2CH(NH2)COOH基であり、他方は水素原子である。また、上記一般式(I)中、一または二以上の水素原子、一または二以上の炭素原子、あるいは一または二以上の窒素原子が、同位体で置換されていてもよい。)
下記一般式(XII)に示される化合物またはその塩と下記一般式(XIII)に示される化合物とを下記一般式(XIV)に示される化合物の存在下に反応させて、下記一般式(XV)またはその塩に示される化合物を形成する工程を含む、製造方法。
(上記一般式(XII)中、X1は保護されていてもよいアミノ基であり、Y1は保護されていてもよいカルボキシル基である。また、上記一般式(XII)中、一または二以上の水素原子、一または二以上の炭素原子、あるいは一または二以上の窒素原子が、同位体で置換されていてもよい。)
(上記一般式(XIII)中、X2は保護されていてもよいアミノ基であり、Y2は保護されていてもよいカルボキシル基である。また、上記一般式(XIII)中、一または二以上の水素原子、一または二以上の炭素原子、あるいは一または二以上の窒素原子が、同位体で置換されていてもよい。)
M(OTf)3 (XIV)
(上記一般式(XIV)中、Mは3価の金属原子であり、Tfはトリフルオロメチルスルホニル基である。)
(上記一般式(XV)中、X1およびY1はそれぞれ前記一般式(XII)におけるX1およびY1と同一であり、X2およびY2はそれぞれ前記一般式(XIII)におけるX2およびY2と同一である。また、R17およびR18の一方は−CH2CH2CH2CHX22基であり、他方は水素原子であって、X2およびY2はそれぞれ前記一般式(XIII)におけるX2およびY2と同一である。また、上記一般式(XV)中、一または二以上の水素原子、一または二以上の炭素原子、あるいは一または二以上の窒素原子が、同位体で置換されていてもよい。)
2. 1.に記載の製造方法において、前記一般式(XII)におけるX1、Y1、前記一般式(XIII)におけるX2およびY2のうち、少なくとも1つが保護された基であり、
前記一般式(XV)に示す化合物またはその塩を前記一般式(I)に示した化合物またはその塩に変換する工程をさらに含む、製造方法。
3. 2.に記載の製造方法において、
前記一般式(XII)に示した化合物またはその塩が、下記一般式(II)に示される化合物またはその塩であり、
前記一般式(XIII)に示した化合物が、下記一般式(III)に示される化合物である、製造方法。
(上記一般式(II)中、R3はtert−ブチルオキシカルボニル基またはベンジルオキシカルボニル基であり、R4はtert−ブチル基、ベンジル基、メチル基またはエチル基である。また、上記一般式(II)中、一または二以上の水素原子、一または二以上の炭素原子、あるいは一または二以上の窒素原子が、同位体で置換されていてもよい。)
(上記一般式(III)中、R5は各々独立してtert−ブチルオキシカルボニル基またはベンジルオキシカルボニル基であり、R6はtert−ブチル基、ベンジル基、メチル基またはエチル基である。また、上記一般式(III)中、一または二以上の水素原子、一または二以上の炭素原子、あるいは一または二以上の窒素原子が、同位体で置換されていてもよい。)
4. 3.に記載の製造方法において、
下記一般式(VI)に示される化合物またはその塩を前記一般式(II)に示される化合物またはその塩に変換する工程をさらに含む、製造方法。
(上記一般式(VI)中、R3は前記一般式(II)におけるR3と同一であり、R9はtert−ブチルオキシカルボニル基またはベンジルオキシカルボニル基であってR3とは異なる基である。)
5. 1.乃至4.いずれか一項に記載の製造方法において、一般式(XV)に示される化合物を形成する前記工程における反応溶媒を水とし、反応温度を70℃以上100℃以下とする、製造方法。