特許第6233938号(P6233938)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233938
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】光警報システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 23/00 20060101AFI20171113BHJP
   G08B 29/12 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   G08B23/00 510A
   G08B29/12
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-131882(P2016-131882)
(22)【出願日】2016年7月1日
(62)【分割の表示】特願2012-100602(P2012-100602)の分割
【原出願日】2012年4月26日
(65)【公開番号】特開2016-170829(P2016-170829A)
(43)【公開日】2016年9月23日
【審査請求日】2016年7月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】松崎 彰子
(72)【発明者】
【氏名】杉山 泰周
【審査官】 望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開平2−148197(JP,A)
【文献】 特開2004−111347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B23/00
G08B29/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光警報回線に複数並列接続される光警報装置と、前記光警報装置を制御する光警報制御装置を備える光警報システムであって、
前記光警報装置は、光警報を発光する発光部と、光警報時と光警報試験時とで異なる発光パターンで前記発光部の発光を制御する制御部とを備え、
前記光警報制御装置は、前記光警報時と前記光警報試験時とで異なる発光パターンで前記発光部の発光が制御されるように異なる信号を前記光警報装置に送信し、
前記光警報制御装置は、前記光警報装置の発光動作を監視する監視部を備える、光警報システム。
【請求項2】
前記光警報制御装置は、光警報時において、前記監視部による監視結果を無視し、光警報試験時において、前記監視部による監視結果を光警報試験の結果とする、請求項1記載の光警報システム。
【請求項3】
前記光警報装置の光警報試験を行う試験器を更に備え、
前記試験器は、複数並列接続された前記光警報装置に対し、
特定の光警報装置にのみ試験を行う第1試験モードと、
複数の光警報装置に順次試験を行う第2試験モードと、
複数の光警報装置に一斉に試験を行う第3試験モードと、
のうち、何れかの試験モードを選択して光警報試験を行う、請求項1記載の光警報システム。
【請求項4】
前記光警報制御装置は、光警報試験の結果として、前記光警報装置が正常に動作したか否かの判断結果を表示する表示部を備える、請求項1記載の光警報システム。
【請求項5】
光警報回線に光警報装置が複数並列接続される光警報システムであって、
前記光警報装置は、光警報を発光する発光部と、光警報試験に関する情報を受信したときに前記発光部の発光制御を行なう制御部と、を備え、
試験器に接続した前記光警報装置と前記光警報装置の下流側の光警報装置を試験する、光警報システム。
【請求項6】
光警報回線に光警報装置が複数並列接続される光警報システムであって、
前記光警報装置は、 光警報を発光する発光部と、光警報試験に関する情報を受信したときに前記発光部の発光制御を行なう制御部と、を備え、
試験器に接続した前記光警報装置の下流側の光警報装置のみを試験する、光警報システム。
【請求項7】
光警報回線に複数並列接続される光警報装置と、前記光警報装置を制御する光警報制御装置とを備える光警報システムであって、
前記光警報装置に接続されて光警報試験を行う試験器を更に備え、
前記試験器によって光警報試験が行われる際に、前記光警報装置と前記光警報制御装置とを切り離す、光警報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光警報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
警報システムの警報は、ブザー等のベルを鳴動させて行なうものが一般的である。ところが、近年、火災等の災害発生を音響とともに視認性の高いフラッシュライト等を用いて災害発生を報知する光警報システムも提案されている(例えば、特許文献1乃至3参照)。このような光警報システムによると、音響だけでなく強い光により災害発生を報知するため、例えば聴覚不自由者に対しても有効な警報を行なうことができるようになる。以下、このような光による警報を、従来から行われているLEDや赤色ランプ等による表示報知と区別して、光警報という。
【0003】
上記のような目的のために光警報は、例えばキセノンランプ等をパルス発光した高光度の白色光(フラッシュライト)により行なう。このため従来の表示報知に比べ、例えば聴覚不自由者にも、災害の発生を早期に、且つ確実に認識させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3113946号公報
【特許文献2】特開2005−165740号公報
【特許文献3】特開2011−198194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光警報装置を含む光警報システム100は、例えば図17に示す如く構成される。従来の警報システムの受信装置4から引き出されている警報回線6に制御装置5をそれぞれ接続し、各制御装置5からそれぞれ、音響警報装置(例えばベル)2の制御回線(以下、「音響警報回線」という)BL(BL1〜BLn)と光警報装置の制御回線(以下、「光警報回線」という)KL1〜KLnを引き出し、光警報回線KL(KL1〜KLn)に光警報装置1を接続するようにしている。なお、各回線は2本の制御線を一対として成る。また、受信装置4からは警報回線6とは別に災害監視回線DL(DL1〜DLn)が引き出され、ここに例えば火災災害検知装置等の災害検知装置3が接続されている。音響警報回線BL、光警報回線KL、及び災害検知回線DLは、各エリア(地区)毎に分かれている。受信装置4の災害検知部は災害監視回線DLを介して災害検知装置3の作動信号を受信し、これに基づいて、転極部は必要な警報回線6に印加する電圧の極を転極させ、必要なベル制御、光警報制御を行なう。
【0006】
このような光警報システム100は、災害発生時に確実に警報を行なうために、例えば所定期間毎に試験をすることが求められる場合がある。試験の方法としては、例えば試験者が所定のエリアに設置される災害感知装置3に人工的な煙を感知させ、当該災害感知装置3と例えば同一エリアの音響警報装置が規定の音響を発し、並びに光警報装置が規定の光警報を発することができるか否かを目視で確認することにより行なう。所定期間毎に試験を行なうことにより、災害発生時に故障等により警報を発することができないという事態を未然に防止することができる。
【0007】
しかしながら、上記の試験方法においては、試験を行なうエリア全ての音響警報装置2及び光警報装置1が連動して警報を発するため、当該エリア内の人々にとって特に音響が煩わしい。また、警報システムの中には、災害が発生したエリアの直上階のエリア(例えば1階で災害が発した場合は2階)も同時に警報を行なうものもある。このような構成をした警報システムの場合、音響による煩わしさを与える範囲が広くなる。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、光警報試験時に発生する音響等の影響を無くすことができる光警報システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の光警報システムは、光警報回線に複数並列接続される光警報装置と、光警報装置を制御する光警報制御装置を備える光警報システムであって、光警報装置は、光警報を発光する発光部と、光警報時と光警報試験時とで異なる発光パターンで発光部の発光を制御する制御部とを備える。光警報制御装置は、光警報時と光警報試験時とで異なる発光パターンで発光部の発光が制御されるように異なる信号を光警報装置に送信する。光警報制御装置は、光警報装置の発光動作を監視する監視部を備える。
【0010】
光警報制御装置は、光警報時において、監視部による監視結果を無視し、光警報試験時において、監視部による監視結果を光警報試験の結果としてもよい。
【0011】
本発明の光警報システムは、光警報装置の光警報試験を行う試験器を更に備え、試験器は、複数並列接続された前記光警報装置に対し、特定の光警報装置にのみ試験を行う第1試験モードと、複数の光警報装置に順次試験を行う第2試験モードと、複数の光警報装置に一斉に試験を行う第3試験モードとのうち、何れかの試験モードを選択して光警報試験を行うのが好ましい。
【0012】
また、光警報制御装置は、光警報試験の結果として、光警報装置が正常に動作したか否かの判断結果を表示する表示部を備えるのが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、光警報試験時に発生する音響等の影響を無くすことができる光警報システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1の実施形態に係る光警報システムの構成を概略的に示す図である。
図2】同実施形態に係る光警報試験の一例を示す波形図である。
図3】第2の実施形態に係る受信装置の構成を示す図である。
図4】同実施形態に係る試験実行モード時の試験発光制御の一例を示す図である。
図5】同実施形態に係る試験実行モードを説明するための図である。
図6】同実施形態に係る試験発光時に出力される出力信号の一例を示す図である
図7】同実施形態に係る第1試験実行モード時に監視される電流を説明するための図である。
図8】同実施形態に係る光警報装置を特定する際に監視される電流の一例を示す図である。
図9】第3の実施形態に係る光警報装置及び試験器の構成を示す図である。
図10】同実施形態に係る通常時の回路の状態の一例を示す図である。
図11】同実施形態に係る抵抗値と回線の状態との関係を示す図である。
図12】同実施形態に係る災害発生時の回路の状態の一例を示す図である。
図13】同実施形態に係る第1光警報試験モード時の回路の状態の一例を示す図である。
図14】同実施形態に係る第2光警報試験モード時の回路の状態の一例を示す図である。
図15】同実施形態に係る第3光警報試験モード時の回路の状態の一例を示す図である。
図16】同実施形態に係る第3光警報試験モードの変形例を示す図である。
図17】従来例及び本発明の各実施形態に係る光警報システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る光警報システム101の構成を示す図である。光警報システム101は、図17に示す光警報システム100と同様な構成であるが、図示及び説明を簡略化するため、光警報試験に関係する構成以外は図示を省略している。また、本発明の光警報制御装置を受信装置10に適用した場合について説明する。
【0019】
受信装置10は、試験実行部11と、記憶部12とを有している。なお、光警報システム101の受信装置としての機能を発揮するための他の構成は従来と同様でよい。
【0020】
試験実行部11は、受信装置10が例えば光警報試験の試験者の操作に基づく光警報試験開始の指示を受信したときに、光警報試験を実行する。また、記憶部12は、光警報装置1を特定する固有番号(例えばアドレス:特定情報)の設定を記憶する。
【0021】
次に、受信装置10が実行する光警報装置1の光警報試験について説明する。試験実行部11は、例えば光警報試験の試験者の操作に基づく光警報試験の開始指示を受信したときに、光警報回線KLに対して光警報制御信号を出力する。ここで、出力される光警報制御信号(以下、出力信号ともいう)は、図2に示す如く、記憶部12に記憶される固有番号で特定される光警報装置A及びBへの動作指示となる。すなわち、出力信号の第1部分P1は光警報装置Aへの動作指示であり、第1部分P1の立下りによって光警報装置Aが光警報を行なう。また、出力信号の第2部分P2は光警報装置Bへの動作指示であり、第2部分P2の立下りによって光警報装置Bが光警報を行なう。また、このように各固有番号を利用して1台毎に光警報試験を行なう場合に限らず、例えば出力信号の第3部分P3の立下り時のように、全ての光警報装置(光警報装置A及び光警報装置B)を一斉に試験するようにしても良い。さらに、本第1の実施形態においては、第1部分P1及び第2部分P2の立下りによって光警報を行なう場合で説明するが、立ち上り時に光警報を行なうようにしても良い。
【0022】
なお、図2に示す一例においては、出力信号により光警報装置A及び光警報装置Bの光警報試験が順に行なわれるようになっているが、1つの光警報装置(例えば光警報装置A)のみ光警報試験を行なうようにしても良い。
【0023】
本第1の実施形態の受信装置10によると、光警報回線KLに接続される全ての光警報装置A及びBを固有番号に基づいて順に、又は特定の1つについて光警報試験の対象とすることができる。このため、光警報システム101の音響警報装置2の音響警報を鳴動させずに光警報装置A及びBの光警報試験を行なうことができる。また、例えば光警報システム101が災害発生時に、災害発生エリアの直上階のエリアも同時に警報を行なうように構成されていても、当該直上階に発生する音響及び光警報の煩わしさを無くすことができる。さらに、全ての光警報装置A及びBを順に、または光警報装置A及びB毎に光警報試験を行なうことができるため、光警報試験の対象となっていない光警報装置の光警報(発光)を行なわずに済み、例えばキセノンランプ等の寿命を延ばすことができる。
【0024】
また、光警報試験において、各光警報装置A及びBが順に光警報動作するため、試験者も光警報装置A及びBが正常に動作するか否かを順に確認すれば良いため、試験者の誤認を防止することができると共に、確認作業の負担を軽減することができる。
【0025】
さらに、光警報試験において、光警報装置A,Bの光警報試験を順に行なった後、図2に示す如く、光警報装置A及びBを同時に光警報動作させることができるため、光警報装置A及びBが正常に動作するか否かに加え、試験者は災害発生時の光警報の状態も合わせて視認することができる。
【0026】
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態について図3等を用いて説明する。第2の実施形態の光警報システム102は第1の実施形態の光警報システム101とは、受信装置20の構成及び制御が異なっている。よって、以下では、受信装置20が光警報試験を行なうための構成及び制御に着目して説明する。
【0027】
図3は、第2の実施形態に係る受信装置20の構成を示す図である。図3に示す如く、受信装置20は、CPU(制御部)21、電源22、発光パターン選択部23、信号出力部24、電流監視部25、及び試験実行/結果表示部26を有している。
【0028】
電源22は、外部電源(例えばAC又はDC電源)等からの電源供給を受け、CPU21等の受信装置20内の各部に電源を供給する。
【0029】
CPU21は、発光パターン選択部23、電流監視部25、及び試験実行/結果表示部26を制御する。例えばCPU21は災害監視回線DLを介して災害検知装置3の作動信号を受信しときには、又は、試験実行/結果表示部26を介して試験開始情報を受信したときには、光警報試験に用いる発光パターンを示す発光パターン情報を発光パターン選択部23に出力する。また、光警報装置1の光警報試験時においては、CPU21は電流監視部25の監視結果に基づいて、光警報が正常に動作したか否かを判断し、当該判断結果を含む試験結果を試験実行/結果表示部26に出力する。
【0030】
発光パターン選択部23は、CPU31から出力される発光パターン情報に基づいて、光警報試験に用いる発光パターンを選択する。使用される発光パターンは、例えば本発光パターンと、試験発光パターンとがあり、いずれかの発光パターンが選択される。本発光パターンは、災害検知装置3(図17参照)の作動信号を受信した場合に光警報を行なうための発光パターンである。なお、本発光パターンで光警報を行なうときには、CPU21は、電流監視部25の監視結果を無視する(電流監視部25を動作させないようにしても良い)。また、試験発光パターンは、光警報試験を実行するための発光パターンである。試験発光パターンの一例については、図4を参照して後述する
【0031】
信号出力部24は、発光パターン選択部23で選択された発光パターンに基づいて信号を出力する。また、信号出力部24には、光警報装置A等の光警報発光時に生じる電流が流れる。
【0032】
電流監視部25は、光警報試験時に、信号出力部24に流れる電流を監視し、その監視結果をCPU21へ出力する。
【0033】
試験実行/結果表示部26は、例えば試験者の操作に基づく光警報試験開始の指示(試験開始情報)を受信したときには、CPU21に当該指示を出力する。また、光警報試験時には、試験実行/結果表示部26は、CPU21から出力される光警報試験の試験結果を表示する。試験実行/結果表示部26が表示する試験結果は、例えば試験対象となる光警報装置1の固有番号(第1の実施形態参照)及び当該光警報装置1の光警報動作が正常に行なわれたか否かである。
【0034】
ここで、受信装置20が実行する試験実行モードについて説明する。本第2の実施形態においては、図5に示す如く、第1から第3の3つの試験実行モードが設けられている。第1試験実行モードは特定の光警報装置のみを試験するモードである。第2試験実行モードは光警報回線KLに接続される複数の光警報装置を順に試験するモードである。第3試験実行モードは複数の光警報装置を一斉に試験するモードである。また、第1の実施形態では説明したように、光警報装置A及びBに固有番号を予め割り当てておき、当該固有番号を利用することにより、第1から第3試験実行モードの光警報試験を実行する。さらに、第1試験実行モード及び第2試験実行モードについては、光警報装置A及び/又は光警報装置Bの固有番号と光警報の試験結果とを対応付けて試験実行/結果表示部26に表示する。試験結果の判断の方法については、図4を参照して後述する。第3試験実行モードにおいては、光警報の試験結果を試験実行/結果表示部26に表示する。例えば電流監視部25が監視する光警報発光時の電流値が所定範囲内の値であるか否かによって光警報が正常に行なわれたか否かが判断され、当該判断結果が試験結果として表示される。
【0035】
次に、第1試験実行モード時の試験発光制御の一例について図4を参照して説明する。図4に示す如く、信号出力部24から出力される出力信号(詳細は図6参照:固有番号は光警報装置Aと対応する)の立下りに応じて、当該出力信号に含まれる固有番号と対応する光警報装置Aが発光処理を実行する。一方、当該出力信号によって光警報装置Bは発光処理を実行しない。したがって、光警報装置Aのみを光警報試験の対象とすることができる。そして、電流監視部25の信号出力部24に流れる電流の監視結果に基づいて、CPU21は、光警報装置Aの試験発光中の電流値X1と試験発光前の電流値X2との差を算出し、当該算出した値が所定範囲内の値であるか否かを判断する。ここで、所定範囲内の値であれば正常であると判断され、所定範囲内の値でなければ異常(正常でない)と判断される。次に、CPU21は、光警報試験を実行した光警報装置Aの固有番号と、試験結果を試験実行/結果表示部26に出力する。これにより、例えば、上記の算出値が所定範囲内の値であるときには、試験実行/結果表示部26には、例えば「固有番号xxxxxx:正常」のように試験結果が表示される。
【0036】
図6は、試験発光時に出力される出力信号の一例を示す図である。図6に示す如く、信号出力部24から出力される信号は、固有番号を示す第1部分P11と、光警報の充電等に用いられる第2部分P12とで構成される。
【0037】
図7は、例えば第1試験実行モード時に電流監視部25で監視される電流を説明するための図である。出力信号、本発光時、光警報試験時で以下のような電流が監視される。図7に示す如く、本発光時においては、出力信号の立下りT1に応じて光警報が開始され、所定の間隔で光警報装置1の光警報が実行される。よって、電流監視部25が監視する電流は、当該出力信号の立下りT1に応じて大きくなり、所定時間経過後0になる。また、次の光警報発光時にも同様な電流が監視される。一方、光警報試験時においては、出力信号の立下りT1と同時に、光警報装置1を特定する固有番号の出力に対応する電流P21が監視される。そして、所定時間経過後に、当該光警報装置1の光警報が実行されるため、電流監視部25が監視する電流が大きくなり、所定時間経過後、電流が0になる。
【0038】
図8は、固有番号によって光警報装置を特定する際に監視される電流の一例を示す図である。図示上段及び中段は、試験実行モードにおいて、固有番号が光警報装置A及びBにそれぞれ設定された場合に、監視される電流値P31及びP32を示している(例えば第2試験実行モード)。また、図示下段は、試験実行モードにおいて、固有番号が光警報装置A及びBの2つに設定された場合に監視される電流値P33を示している(例えば第3試験実行モード)。光警報装置A及びBが同時に光警報を行なうため信号出力部24に流れる電流値は、図示上段及び中段の場合と比較して大きくなっている。
【0039】
本第2の実施形態の受信装置によると、上記第1の実施形態と同様な効果を奏することに加え、以下の効果を奏することができる。すなわち、受信装置20は、光警報試験を実行した光警報装置A及び/又はBが正常に光警報動作をしたか否かを試験実行/結果表示部26に表示することができる。このため、試験者が光警報装置A及び/又はBの近傍で光警報が正常に行なわれたか否かを確認する作業をする必要がなく、作業の負担を軽減することができる。
【0040】
なお、上記第1及び第2の実施形態においては、光警報制御装置を受信装置10及び20に適用した場合で説明したが、これに限るものではない。例えば、図17に示す制御装置5に光警報制御装置を適用しても良い。また、試験実行/結果表示部26を1つの部とした構成で説明したが、光警報試験を実行する試験実行部と、光警報試験の結果を表示する結果表示部とに分けて構成しても良い。
【0041】
(第3の実施形態)
次に第3の実施形態について図9等を用いて説明する。本第3の実施形態は、光警報装置1の構成が従来と異なっていると共に、試験器40を用いて光警報試験を行なうようになっている。このため、以下では本第3の実施形態に係る光警報装置30、試験器40、及び制御装置50について詳細に説明する。
【0042】
図9は、光警報装置30及び試験器40の構成を示す図である。図9に示す如く、光警報装置30は、制御部31、信号入力部32、試験回路部33、発光部制御回路部34、発光部35、試験モード認識部36aを含む試験入力部36、及び信号出力部37を有している。また、光警報装置30の光警報試験を行なうための試験器40は、試験モード選択部41、及び電源出力部42を有している。
【0043】
信号入力部32は、受信装置4、制御装置50又は上流側の光警報装置30から信号が入力される。入力される信号は、例えば光警報を制御する光警報制御信号である。ここで上流側とは、図17において、光警報回線KL上での光警報装置1の接続位置が、受信装置4に近くなる方向であり、下流側とは受信装置4から遠くなる方向である。
【0044】
制御部31は、災害発生時においては、信号入力部32から入力される光警報制御信号に基づいて発光部制御回路部34を制御する。また、制御部31は、光警報試験時においては、試験モード認識部36aで認識された光警報試験モードに応じて、試験回路部33を制御する。更に、制御部31は、信号出力部37を介して、下流側の光警報装置30へ光警報制御信号を出力する。
【0045】
発光部制御回路部34は、制御部31又は試験回路部33の制御に基づいて、発光部35の発光を制御する。
【0046】
発光部35は、例えばキセノンランプ等で構成されており、発光部制御回路部34の制御に基づいて発光する。
【0047】
試験入力部36は、試験器40から送信される光警報試験モードに関する情報を含む試験開始情報を受信したときには、試験モード認識部36aで認識した光警報試験モードを示す情報を制御部31へ送信する。本第3の実施形態においては、光警報装置30は3つの光警報試験モードのいずれかで動作するようになっている。第1光警報試験モードは、試験器40に接続した光警報装置30のみを試験するモードである。第2光警報試験モードは、試験器40を接続した光警報装置30及びその下流側の光警報装置30を試験するモードである。第3光警報試験モードは、試験器40を接続した光警報装置30の下流側の光警報装置30を試験するモードである。
【0048】
試験器40は、光警報装置30と有線又は無線により接続される。試験器40は、例えば試験者の操作に基づいて試験モード選択部41から光警報試験モードが選択された後、試験開始情報を光警報装置30の試験入力部36に入力する。ここで、試験開始情報には、光警報試験モードを示す情報が含まれる。また、電源出力部42は、光警報試験を行なうための電源(光警報制御信号)を光警報装置30に供給する。
【0049】
次に、図10から図16を参照して光警報試験を実行するときの作用について説明する。なお、図10図12から図16においては、説明を簡略化するため、制御装置50から引き出される光警報回線KLに2台の光警報装置30(以下、光警報装置A,Bという)が接続される場合で説明する。また、光警報装置30の光警報試験の制御に着目した構成以外は、従来と同様でよい。
【0050】
光警報試験の作用の説明に先だって、図10を用いて光警報システム102内の光警報装置A、光警報装置B、及び制御装置50の回路構成について説明する。図10に示す如く、制御装置50は、発光制御回路部51、端末監視回路部52、及び出力回路部53を有している。発光制御回路部51は、例えば受信装置4からの災害発生信号に基づいて、光警報回線KLに接続される光警報装置A及びBの光警報を制御する。端末監視回路部52は、通常時(光警報発光時以外)に、光警報回線KLの短絡・断線を監視する。出力回路部53は、発光制御回路部51から出力される信号に基づいて、リレー回路r11をグランド側の端子と発光制御回路部51側の端子とに切り替え、また、リレー回路r12をグランド側の端子と端末監視回路部52側の端子とに切り替える。
【0051】
光警報装置Aの試験回路部33は、制御装置50のリレー回路r11及びr12とそれぞれリレー回路r21及びr22を介して接続する光警報回線KL(KL1及びKL0)を有している。この光警報回線KL(KL1及びKL0)は、リレー回路r23及びr24、及び下流側の光警報装置B内のリレー回路r21及びr22を介して、当該光警報装置B内の光警報回線KL(KL1及びKL0)とそれぞれ接続する。
【0052】
試験回路部33は、テスト信号S1に基づいて、リレー回路r21を制御線KL1側の端子と試験抵抗R1を有する制御線側の端子とのいずれかに切り替えると共に及びリレー回路r22を制御線KL0側の端子と試験抵抗R1を有する制御線側の端子とのいずれかに切り替える。また、試験回路部33は、テスト信号S2に基づいて、リレー回路r23を制御線KL1側の端子と接離すると共にリレー回路r24を制御線KL0側の端子と接離する。さらに、試験回路部33は、テスト信号S3に基づいて、制御線KL1と接続されるリレー回路r25を、発光部制御回路部34側の端子と接離する。ここで、テスト信号S1,S2,S3は、試験器40から上記の試験開始情報を受信したときに、制御部31から試験回路部33内の対応するリレー回路(S1はr21,r22に対応し、S2はr23,r24に対応し、S3はr25に対応する)に対して出力されるリレー制御信号である。なお、光警報装置Bの回路構成については、リレー回路r23及びr24が下流の光警報装置ではなく終端抵抗Rと接続されていること以外は、光警報装置Aと同様でよい。
【0053】
図10は、光警報システム102の通常時の回路の状態の一例を示す図である。図10に示す如く、制御装置50において、出力回路部53内のリレー回路r11がグランド側の端子に接続し、リレー回路r12が端末監視回路部52側の端子に接続している。また、光警報装置Aにおいて、リレー回路r21及びr23は制御線KL1側の端子に接続し、リレー回路r22及びr24は制御線KL0側の端子に接続している。更に、光警報装置Bにおいても同様に、リレー回路r21及びr23は制御線KL1側の端子に接続し、リレー回路r22及びr24は制御線KL0側の端子に接続している。そして、端末監視回路部52は、光警報回線KLの抵抗値を検知し、当該検知した抵抗値が短絡領域、不定領域、正常領域、不定領域、断線領域(図11参照)のいずれの領域にあるか否かを判断し、光警報回線KLの状態を検知する。
【0054】
図12は、光警報システム102の災害発生時の回路の状態の一例を示す図である。災害発生信号が発光制御回路部51に入力されると、発光制御回路部51はリレー回路r11をグランド側の端子から発光制御回路部51側の端子に切り替え、また、リレー回路r12を端末監視回路部52側の端子からグランド側の端子に切り替える。言い換えれば、制御装置50は、光警報回線KLに印加する電圧の極性設定を反転させる。これにより、制御装置50から光警報装置Aへ、また、光警報装置Aから光警報装置Bへ、光警報制御信号が出力され、光警報装置A及び光警報装置Bの発光制御(光警報)が実行される。
【0055】
図13は、第1光警報試験モード時の光警報システム102の回路の状態の一例を示す図である。図13に示す如く、試験対象となる光警報装置Aに試験器40が接続される。そして、試験器40から試験開始情報が光警報装置Aの試験入力部36(図13で図示省略)に入力されると共に、電源出力部42から試験回路部33に電源が供給される。制御部31(図13で図示省略)は、試験開始情報に含まれる第1光警報試験モードを示す情報に基づいて、試験回路部33を以下のように動作させる。
【0056】
制御部31は、リレー回路r21及びr22を制御線KL1及びKL0側の端子から試験抵抗R1を有する制御線側の端子にそれぞれ接続するようにテスト信号S1を出力する。これにより、制御装置50と光警報装置Aとが分離される。ここで、試験抵抗R1は、終端抵抗Rと同等又は不定領域の抵抗値(図11参照)とする。なお、試験抵抗R1の抵抗値を不定領域内の抵抗値に設定すれば、制御装置50は、端末監視回路部52で不定領域にある抵抗値を検知したときには、光警報試験中であることを認識することが可能になる。また、制御部31はリレー回路r23及びr24を制御線KL1及びKL0からそれぞれ離間させるようにテスト信号S2を出力する。これにより、光警報装置Aと光警報装置Bとが分離される。このようにリレー回路r21〜r24が切り替えられた状態において、電源出力部42ら発光部制御回路部34等に電源(光警報制御信号)が供給され、発光部制御回路部34は発光部35の発光制御(光警報)を実行する。これにより、試験器40を接続した光警報装置Aのみを光警報の試験対象とすることができる。
【0057】
図14は、第2光警報試験モード時の光警報システム102の回路の状態の一例を示す図である。制御部31は、図13を用いて説明した場合と同様に、リレー回路r21及びr22を、試験抵抗R1を有する制御線側の端子に切り替えることにより、制御装置50と光警報装置Aとを分離する。このようにリレー回路r21及びr22が切り替えられた状態において、電源出力部42から発光部制御回路部34等に電源(光警報制御信号)が供給され、発光部制御回路部34は発光部35の発光制御(光警報)を実行する。また、光警報装置Aと光警報装置Bとは通常時(図10参照)と同様に接続されているため、光警報装置Aから光警報装置Bへ光警報制御信号が出力され、光警報装置Bの光警報が実行される。これにより、試験器40を接続した光警報装置A及びこの光警報装置Aの下流側の光警報装置Bの光警報試験を光警報の試験対象とすることができる。
【0058】
図15は、第3光警報試験モード時の光警報システム102の回路の状態の一例を示す図である。制御部31は、図13を用いて説明した場合と同様に、リレー回路r21及びr22を、試験抵抗R1を有する制御線側の端子に切り替えることにより、制御装置50と光警報装置Aとを分離する。また、制御部31は、リレー回路r25を発光部制御回路部34側の端子から離間するようにテスト信号S3を出力する。これにより、発光部制御回路部34への電源供給ができなくなる。一方、光警報装置Aから光警報装置Bへは、図14を用いて説明した場合と同様に、光警報制御信号が出力される。これにより、試験器40を接続した光警報装置Aの下流側の光警報装置Bを光警報の試験対象とすることができる。
【0059】
本第3の実施形態の光警報装置30によると、第1から第3光警報試験モードのうちから選択された光警報試験モードに応じて、光警報システム102内に含まれる光警報装置の光警報試験を行なうことができる。いずれの光警報試験モードにおいても音響警報装置の制御と分離して試験を行なうことができるため音響警報を鳴動させずに光警報装置の試験を行なうことができる。また、警報システム102が災害発生時に、災害発生エリアの直上階のエリアも同時に警報を行なう警報システムであっても、光警報試験時に直上階に発生する音響及び光警報の影響を無くすことができる。さらに、第1光警報試験モードにおいては、光警報装置A,B毎に試験対象とすることができるため、試験対象となっていない光警報装置30の光警報(発光)を行なわずに済み、例えばキセノンランプ等から構成される発光部35の寿命を延ばすことができる。
【0060】
なお、光警報回線KLに接続される全ての光警報装置30の光警報試験を同時に行なうには、図16に示す如く試験器40を構成しても良い。なお、図16に示す光警報システム103は、図10等を参照して説明した光警報システム102と回路構成は同様でよい。
【0061】
試験器40は、試験モード選択部41及び試験抵抗R2を有している。試験モード選択部は41、少なくとも光警報回線KLに接続される全ての光警報装置A及びBの光警報試験(順次又は一斉どちらでもよい。)を行なう第4光警報試験モードを選択できるように構成する。また、試験抵抗R2を含む制御線は、制御装置50及び光警報装置Aとの間に並列接続可能に構成する。
【0062】
さて、光警報試験の試験者は、先ず、試験モード選択部41で第4光警報試験モードを選択した後、図16に示す如く、試験抵抗R2を含む制御線を制御装置50と光警報装置Aとの間に並列接続する。ここで、試験器40の試験抵抗R2(又は試験器40の試験抵抗R2と終端抵抗Rとの合成)は、不定領域の値とする(図11参照)。このため、制御装置50は、端末監視回路部52で検知する抵抗値が不定領域の値となったときは、光警報試験中であることを認識できる。また、試験器40から光警報装置A及び光警報装置Bを並列接続しているため、試験器40の電源出力部(図16で図示省略)から電源(光警報制御信号)を出力することにより、光警報装置A及び光警報装置B(全ての光警報装置30)を光警報の試験対象とすることができる。
【符号の説明】
【0063】
1,30・・・光警報装置、2・・・音響警報装置、3・・・災害検知装置、4,10,20・・・受信装置、5,50・・・制御装置、11・・・試験実行部、12・・・記憶部、21・・・CPU、23・・・発光パターン選択部、24・・・信号出力部、25・・・電流監視部、26・・・試験実行/結果表示部、31・・・制御部、32・・・信号入力部、33・・・試験回路部、34・・・発光部制御回路部、35・・・発光部、36・・・試験入力部、36a・・・試験モード認識部、40・・・試験器、41・・・試験モード選択部、42・・・電源出力部、R・・・終端抵抗、R1,R2・・・試験抵抗、100,101,102,103・・・光警報システム
図1
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