【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のグラビア版はダイレクト網グラビア印刷版の版面に設けられる100%濃度部の
セルの形状、若しくはセルを形成する土手を含む1画素の形状が4辺からなる
2辺の長さの異なる平行四辺形又は台形の形状で、前記セルを形成する土手を含む1画素の交差する2辺に沿って土手は設けられ、
該2辺の土手の一つが隣接する画素の一つの土手と直線状に連り、該直線状
に連なる土手と交差する土手は任意の角度で設けられ、前記直線状
に連なる土手は前記グラビア印刷版の円周方向に対し±30度の範囲内の角度で設けられていることを特徴とする。
【0015】
(本発明のグラビア印刷版を作製するための感光膜の形状と作成されたセルの形状は、例えば、深さ25ミクロンの腐食(腐食深度)では、サイドエッチングにより5ミクロン程度感光膜の端下部が腐食されセルは広く、土手は狭くなる。この点を知ったうえで、以下の説明においては、感光膜形状に関しても、セル形状と略同じ形状として説明を加える。ただし、感光膜に関する内容に限定する場合は、感光膜と表現し説明を加えることとする。)
(1画素とは、1つのセルと土手からなるが、線数・線比において、線数は土手の端部から次の土手の端部までを持って算出され、線比は土手の幅とセルの幅を持って算出される。依って、本発明において、1画素は、1画素の交わる2辺に沿って土手を設け、土手を除く部分をセルとして記述をする。)
【0016】
従来汎用的に使用されている、45度の角度で交差する正方形からなるセルは、線数と線比を決めれば土手表面積、セル表面積が決まる。
【0017】
本発明のグラビア版に設けられるセル形状は、2辺の土手が所定の角度、好ましくはグラビア印刷版の円周方向に対して角度±30度の範囲で直線状に設けられ、該2辺の直線状
に連なる土手と任意の角度で交差する土手により形成されるセルである。
【0018】
従って、円周方向に直線状に連なり対向する2辺の土手(以下、直線状
に連なる土手と呼ぶ)の線数及び線比を決め、該2辺の土手に交差する土手(以下、交差する土手と呼ぶ)を任意に決めることが出来もので、該交差する2辺の土手の間隔を任意に決めれば、任意のセル表面積を持つグラビア版を設けることが出来るものである。
【0019】
本発明のより得られる効果は、円周方向に直線状
に連なる土手により、ドクターの加圧を受け止めドクターの摩耗を少なくすることであるが、この点については後段で詳細な説明をする。(尚、円周方向に直線状
に連なる土手は円周方向だけでなく、円周方向に対して角度±30度の範囲で振ることができる。)
【0020】
図1は、従来汎用的に使用されているグラビア印刷版のセル形状の1例として、175線・線比1対4の1画素を示している。(周囲の破線は周りの画素を示すものである。)
1画素を実線で示したが、1画素中のセル部を(A)、土手部を(B)で表示した。周りに設けた破線は、周りのセルの位置を示すものである。
尚、以下に図示する1画素図においても、(A)(B)を表示する。
【0021】
図2は、本発明のセル形状の1例であり、円周方向に設ける直線状
に連なる土手を175線・線比1対4とし、円周方向に直線状
に連なる土手に交差する土手を60度の角度で設け、1画素の面積、土手の面積、セルの面積を、
図1の1画素の面積、土手の面積、セルの面積と同一になるようにした1画素を示したものである。
【0022】
本発明は、ドクターの摩耗を少なくするグラビア版に関するものであり、
図1と
図2を比較すると、ドクターが当たるセルの最大幅は、
図1に示す白抜き両矢印の幅を、100とすると、
図2に示す白抜き両矢印の幅は、70弱となる。従って、セル幅の狭い本発明のグラビア版のドクター摩耗は減少することとなる。
【0023】
セルの幅がドクター摩耗に影響を与えることを次に説明する。セルの幅が狭いことが、セルを通過するドクターのタワミを少なくし、土手からセルへ落ち込むR部の深部には接触しないことにより、ドクター摩耗は少なくなる。次の示す例から容易に類推することができる。
【0024】
ドクターがセルを跨ぐ幅が少なければドクター摩耗が少ない事は、
図1のセルを形成する製版方法において、ドクター摩耗を100%濃度部と、セル幅が狭い80%濃度部でのドクター摩耗程度を比較すると前者はドクター摩耗が倍以上に激しいことからも解る。
【0025】
また、175線・線比1対4のグラビア印刷版と、200線・線比1対4のグラビア印刷版で、ドクター摩耗を比較すると前者のドクター摩耗が激しいことからも、セル幅が狭ければドクター摩耗が少ない事が分かる。
【0026】
更に、ドクターが、セルを跨ぐときにセル底の方向へタワミを生じていることは、剛性の異なる2種のドクターを使用して、版面に塗布されたインキを掻き落とし被印刷物に転写させると、インキの使用量は剛性の高いドクターを使用した場合の方が多く、印刷濃度が有る事よりもドクターはセルを通過するときにタワミが少なく、剛性の低いドクターを使用した場合は、ドクターのタワミが大きいことが分かる。従って、タワミによりドクターは、土手の研磨がされていないR部とより広範囲に接触していることが分かる。これより、セル幅が広いとドクター摩耗が大きくなることが分かる。
【0027】
図1の1画素を使用したグラビア版の表面拡大平面図を
図3に、
図2の1画素を使用したグラビア版の表面拡大平面図を
図4に示し説明を加える。表面拡大平面図においは、セルと土手を表示し、図の上がグラビア印刷版の円周方向であり太矢印で示す。
【0028】
図3において、版面の土手はジグザグに形成されており、このジグザグによりドクターはセル部と土手部で、タワミと戻りを繰り返しドクター摩耗は助長されているものと考えられる。これに対し
図4は、円周方向に直線状に設けられた
図1より狭い土手幅で、且つ同じ幅の土手により支えられ、ドクターは滑らかに移動することで振動は少なくなり、タワミの変化も少なく、摩耗が少なくなると考えられる。
【0029】
また、
図1のセルを設けたグラビア版と同じ量のインキを転移させ同濃度の印刷物を得るために、本発明のグラビア版に設けるセル形状は、
図2のセルを設けたグラビア版に限るものではなく無限の形状数で、同濃度の印刷物を得ることができる。
【0030】
一部の例として、
図5から
図9に示す本発明のグラビア版においても同濃度の印刷物を得ることができる。
【0031】
表1に
図1、
図2、及び
図5から
図9の1画素面積を100とした時の、セル部面積及土手部面積、線比及びドクターがセルを跨ぐ最大幅を汎用的に使用されている
図1の幅を100として比較する。
【0032】
本発明においては、線数を変えても交差する土手の間隔を調整すれば、セルの面積を同じにすることができるため、同濃度の印刷物を得ることができる。このことは、
図2と
図5の関係である。
【0033】
また、同じ線数で、線比を変えても土手の幅を調整すれば、同じセル面積のセルを得ることができるため、同濃度の印刷物を得ることができる。このことは、
図8と
図9の関係である。
【0034】
【表1】
【0035】
表1に記載した、
図5から
図9について説明を加える。
図5は、線数を165線と荒くしたものであるが、ドクターがセルを跨ぐ幅は、
図1の74%であり、ドクターへの負荷は低減された。また、直線状
に連なる土手幅も広くなってしっかりとドクターを受け止めることができる。1画素面積、セル部面積、土手部面積も変わらず、同濃度の印刷物を得ることができる。
【0036】
図6は、線数を187,5線と細かくしたものである。直線状
に連なる土手幅をしっかりとするための線比は1対3,6とたことで、しっかりとドクターを受け止めることができた。また、1画素面積、セル部面積、土手部面積も変わらず、同濃度の印刷物を得ることができる。
【0037】
図7は、線数を200線と更に細かくしたものである。これについても、。直線状
に連なる土手幅をしっかりとするための線比は1対3,33とたことで、ドクターを受け止め摩耗は低減することができた。また、1画素面積、セル部面積、土手部面積も変わらず、同濃度の印刷物を得ることができる。
【0038】
図8、
図9は、線数を210線と更に細かくしたものである。
図8は線比を1対4、
図9は線比を1対3,33とした。
図8については、直線状
に連なる土手の幅は狭くなっているが、セル幅が55%と狭くなっており、交差する土手が広いことでドクター摩耗を少なくすることはできた。また、
図9のように土手幅を広く取っても同様にドクター摩耗を少なくすることはできた。また、1画素面積、セル部面積、土手部面積も変わらず、同濃度の印刷物を得ることができる。
【0039】
この様に、本発明においてドクターは、円周方向に設けられた直線状
に連なる土手幅に対し、該土手に交差する土手幅は、任意の幅とすることが出来るため、先に示した表1より直線状
に連なる土手幅を広くし、該土手に直交しない土手幅を狭く、又は広くすることができる。
【0040】
セル表面積、直線状のセル幅を変更せずに、円周方向に直線状に設けられた土手に交差する土手幅を狭くすることもできる。
【0041】
また、本発明において、円周方向に直線状
に連なる土手の角度を±30度の範囲で変更し、振ることが出来るが、
図2及び5から
図9の場合は、時計回りと逆に30度の範囲に振ることが望ましい。後で示す
図10においては時計回りに30度の範囲に振ることが望ましい。
【0042】
本発明のグラビア版はダイレクト網グラビア印刷版であって、設けられるセルの1画素の形状が、前記直線状
に連なる土手の線数が1インチ間に100線から250線で、前記直線状
に連なる土手の土手幅とセル幅の線比は1対3から1対6で、前記直線状
に連なる土手の土手幅に対し前記交差する土手の土手幅は0.3倍から1.5倍で、セルの前記直線状
に連なる土手に垂直な1画素ピッチに対し平行な前記交差する土手の1画素ピッチは0.5倍から3倍であることを特徴とする。
【0043】
本発明のグラビア版に設けるセルの形状は、
図2から
図9に示したものに限るものではなく、例えば表1において交差する土手の角度を50度に変えれば、ドクターがセルを跨ぐ幅が小さくなる。
【0044】
本発明のグラビア版に設けるセルの形状は、任意に選択することができ上記の50度にするだけでなく45度でもよく、セル形状を任意に設ければ無限の形状設定ができる。
【0045】
本発明のセルの形状は、種々の選択ができ、
図10に示すグラビア版表面図は、
図4に対し直線状
に連なる土手に対し交差する土手の角度が対称に設けられるもので有る。また、
図4と
図10とが、1列づつ交互に組み合わされ矢羽模様状の配列になっていてもよい。また、
図11に示す台形のセルからなるグラビア版であってもよい。
【0046】
本発明のグラビア版は前記ダイレクト網グラビア印刷版であって、100%濃度部においてドクターが接触する位置に関わらず、ドクターが接触する前記交差する土手の合計の長さが、同じ長さになっていることを特徴とする。
【0047】
図2から
図11で説明を行なったグラビア版において、直線状
に連なる土手に対し交差する土手が配置される位置も、ドクターの摩耗に影響をする。
【0048】
例えば、
図12、
図13、
図14は、本発明のグラビア版の版面で、同じ線数、同じ土手面積、同じセル面積であるが、グラビア印刷時にドクターが受ける振動は異なるものである。
【0049】
図12は、ドクターが交差する土手を同時に通ることとなり、ドクターが受ける振動は大きくなり、好ましいものでない。
【0050】
図13、
図14は、ドクターは直線状
に連なる土手に交差する土手の配置は異なるが規則性を持って設けられておりドクターが受ける振動は分散されドクター摩耗は少ないものとなる。両者の差としては、インキのレベリングを考慮すれば
図14を選択する方が良く、ドクターへの振動をより少なくするには
図13が良い。
【0051】
このように、本発明のグラビア版において、グラビア印刷版にドクターが接触する幅が、前記直線状
に連なる土手幅と前記直線状
に連なる土手に交差する土手幅の合計長さが、同じ長さになっていることが好ましい。
【0052】
また、
図15に示した本発明のグラビア版のセルと土手からなる1画素は、4辺が同じ長さ(長辺と短辺を同じ長さとする)の菱形の形状であり、該1画素においては土手幅とセル幅の線比も同じである。
図15の1画素を用い、交差する土手も直線状の配置したグラビア印刷版の表面拡大平面図を、
図16に示す。このように、左右上下を対称にすることもできる。
図15は、
図1の直交する土手形状を、角度を変えて土手が交わるようにしたものであり、同じセル面積、同じ土手面積でドクターがセルを跨ぐ幅を狭くすることができドクター摩耗を少なくすることができる。
【0053】
このようにして得られる本発明のグラビア版を、ベタ柄と呼ばれる100%濃度の絵柄で構成されるグラビア版、全面ベタ絵柄で構成されるグラビア版、及び100%濃度の絵柄と100%濃度以下の階調で構成されるグラビア版として使用すれば、ドクターの摩耗は大幅に減少しグラビア印刷の安定性の向上が図れる。
【0054】
本発明は、汎用的な直線が直角に交差するセル形状と異なるものであるが、なぜ本発明の変形セルの形状が考えられ実用化されなかったのかは、下記2項目の固定概念によるものと考えてよいと思われる。
1、直交する等間隔の土手でセルを形成するとの固定概念と、土手の間隔を変えるとセルの面積が変わるためだと思われる。
2、グラビア印刷版の製造方法の革新は意匠性の向を目的としていたために、セルは正方形が良いとの固定概念により、グラビア印刷の印刷安定性の向上にセル形状及び幅が影響することに対する配慮、更には変形セルを用いる発想がなかったためと思われる。
【0055】
本発明のグラビア印刷方法は、墨インキと三原色インキを用いてカラー絵柄を印刷するグラビア印刷版において、直線状
に連なる土手の間隔、及び前記直線状
に連なる土手に交差する前記交差する土手の間隔を任意に決め、前記グラビア版の100%濃度のセル表面積を同じ面積と
し、且つ各色グラビア印刷版における直線状に設けられる土手のピッチ及び交差する土手のピッチを異なるものとすることで、モワレの発生を防止する前記請求項1から前記請求項3のダイレクト網グラビア印刷版を用いて印刷することを特徴とする。
【0056】
従来の、ダイレクト網グラビア印刷版において、カラーの絵柄を印刷する場合は、黄、紅、藍、墨色グラビア版は、線数を同じにしてスクリーン角度を±30度の範囲で角度を振ることによりモワレ現象を防止している。直交するスクリーンによりセルが形成されるため、スクリーン線数を変更することはセルの表面積を変更することとなりカラー絵柄を表現する黄、紅、藍、墨色において100%濃度のカラーバランスを確保することができないためである。
従って、モワレを防止するために、カラー印刷版はスクリーン角度を、15度又は30度振ったグラビア版を使用することとなる。
【0057】
本発明のおいては、ドクターの摩耗を少なくするため、円周方向に設ける直線状
に連なる土手の振り角度を少なくし、黄、紅、藍、墨色グラビア版の線数を個々の版により任意に設定し、線数を変更しても100%濃度を同等のセル表面積を確保でき、且つ線数を変える事でグラビア版の幅方向のピッチは変わり、交差する土手の長さも変化し、言い換えれば円周方向のピッチも変わるため、モワレの発生を防止することができる。
ただ、黄、紅、藍、墨色グラビア版の直線状
に連なる土手の半円中に対する角度を同じにする必要はなく、同じ線数、同じ線比、同じセル面積の版で角度を振ることでモワレを防止することもできる。
【0058】
表2に、前出の
図1及び
図2、
図5からから
図9の版幅方向のピッチ及び円周方向のピッチをまとめる。
【0059】
【表2】
【0060】
本発明のグラビア版を使用すれば、線数を変えても100%濃度部において同一の濃度の印刷物を得られることで、直線状
に連なる土手の角度を変えることなく、モワレが発生しない印刷をすることができる。
【0061】
表2に示す、
図1のセルと、
図5のセルでは、版幅方向でセルは16ピッチで1ピッチズレ、円周方向でセルは15ピッチで1ピッチのズレを生じる。このズレは2,3mmごとに1ピッチズレが発生するものでありモワレと認識できるものでなく、直線状
に連なる土手の角度を振ることなくモワレを防止できる。
【0062】
例えば、カラー絵柄を表現する黄、紅、藍、墨色グラビア版に、本発明の表2に示した200線数、187,5線、175線、165線の4版を使用すればモワレが発生しないカラー絵柄の印刷物が得ることができる。
【0063】
また、4種の線数を使わなくても、175線と、187,5線を使用し、同線数については5度から15度程度の角度を振ることで、より繊細なカラー絵柄の印刷物が得ることができる。
【0064】
このように、本発明のグラビア版を使用すれば、ドクター摩耗は大幅に減少し印刷品質が安定し、カラー絵柄の再現性も良好な印刷物を得ることができる。さらに、ドクターの摩耗が少なくなるだけでなく、ドクター摩耗片又は粉による品質不良である、ドクター筋、筋汚れ、ヒゲの発生を皆無にすることが出来た。
【0065】
本発明のグラビア印刷版はダイレクト網グラビア印刷版であって、版面に設けられる100%濃度部のセルは、該セルを形成する土手を含む1画素の形状が長辺と短辺とからなる平行四辺形であって、前記長辺の線数は1インチ間に100線から225線で、
短辺方向の土手幅とセル幅の比である線比は1対3から1対6で、前記短辺も長辺と同じ土手幅で、前記長辺と前記短辺とで挟まれた鋭角部の中心線が、前記グラビア印刷版の円周方向から±30度の範囲内の角度であって、前記1画素を1単位としてヘリンボーン模様に配置されていることを特徴とする。
【0066】
ドクター摩耗を低減するために、対向する辺の長さを同じとする、平行四辺形のセル形状であり、長辺と短辺短辺からなる1画素を、交互に一定の角度で配置することにより、従来汎用的に使用される45度の角度で傾けた正方形のセル幅より、ドクターがセルに接する幅を狭くし、且つ正方形のセル表面積と同じセル面積とした本発明のセルにより、ドクター摩耗が低減され同濃度の印刷物を得られるグラビア版とするものである。
【0067】
図17、
図18、
図19、
図20に、本発明のグラビア版のセル配列を表面拡大平面図で示し説明をする。尚、其々の図の右下に破線で1画素を示した。
【0068】
図17は、短辺の長さに対し、長辺の長さが2倍になる1画素をヘリンボーン模様に組み合わせ構成し、グラビア版に設けた表面の拡大平面図である。
【0069】
図18は、短辺の長さに対し、長辺の長さが2倍になる辺を平行四辺形(変形長方形)にした1画素をヘリンボーン模様に組み合わせ構成し、グラビア版に設けた表面の拡大平面図である。
【0070】
図19は、
図18と同じ平行四辺形(変形長方形)を別なヘリンボーン模様に組み合わせ構成したものである。
【0071】
図20は、短辺の長さに対し、長辺の長さが3倍になる1画素をヘリンボーン模様に組み合わせ構成し、グラビア版に設けた表面の拡大平面図である。
【0072】
図21は、短辺の長さに対し、長辺の長さが1,5倍になる辺を平行四辺形(変形長方形)にした1画素をヘリンボーン模様に組み合わせ構成し、グラビア版に設けた表面の拡大平面図である。
【0073】
本発明の
図17の平行四辺形の1画素を
図22に示し、汎用的に使われている正方形のセルである
図1と比較した。また、形状はおおよそ、4長辺は247線、短辺は124線で、長辺の線比は、1対2,8であった。
【0074】
図22に、白抜き両矢印にドクターが接するセルの幅を示した。
図1と比較するとセルの幅は65%弱、土手幅は93%強となり、ドクターの摩耗は大幅に低減できるものであった。
【0075】
このように、長方形又は平行四辺形(変形長方形)から、任意に選択されたセルを持つグラビア版を用い、ベタ柄と呼ばれる100%濃度の任意の柄印刷を行なえば、グラビア版に設けたセルに加圧され接触するドクターはセル部においてタワミが少なくなることで摩耗が大幅に低減され、印刷品質の向上及びドクター使用数の減少及び作業負荷の低減に大きな効果がある。
【0076】
本発明のグラビア印刷方法は、墨インキと三原色インキインキを使用し任意のカラー絵柄を印刷するダイレクト網グラビア印刷版において、前記ヘリンボーン模様の角度が任意に振られ、モワレの発生を防止する前記請求項5のダイレクト網グラビア印刷版を用いることを特徴とする。
【0077】
本発明の、セルを有するグラビア版を使用しカラー絵柄を印刷する場合は、カラー階調に準じて網点に変換すればよく、またモワレを防止するために、汎用的に使用されている正方形のセルと同様に、墨、三原色について任意にセル角度を±15度及び±30度振ればモワレの発生はない。
【0078】
これにより、ドクターの摩耗が少なくなるだけでなく、ドクター摩耗片又は粉による品質不良である、ドクター筋、筋汚れ、ヒゲの発生を皆無にすることが出来た。