特許第6233952号(P6233952)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6233952固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液及びそれを用いて作製した固体電解コンデンサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233952
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液及びそれを用いて作製した固体電解コンデンサ
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/028 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
   H01G9/02 331G
   H01G9/02 331H
   H01G9/02 331F
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-114786(P2013-114786)
(22)【出願日】2013年5月31日
(65)【公開番号】特開2014-7401(P2014-7401A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2016年5月25日
(31)【優先権主張番号】特願2012-124180(P2012-124180)
(32)【優先日】2012年5月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】513244753
【氏名又は名称】カーリットホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小平 慎
(72)【発明者】
【氏名】阿部 智彦
(72)【発明者】
【氏名】田村 正明
(72)【発明者】
【氏名】金本 和之
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 章範
(72)【発明者】
【氏名】矢島 淳吾
【審査官】 田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−109065(JP,A)
【文献】 特開2012−099868(JP,A)
【文献】 特開2003−168631(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/044225(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 9/028
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化合物(A)又は(B)と、導電性高分子と、分散媒と、を少なくとも含有することを特徴とする固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液。
【化1】
【請求項2】
固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液における化合物(A)又は(B)で表される化合物の含有量が、0.01〜20質量%であることを特徴とする請求項に記載の固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液。
【請求項3】
導電性高分子が、ポリチオフェン類であることを特徴とする請求項1又はに記載の固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液。
【請求項4】
ポリチオフェン類を構成するドーパント成分が、ポリスチレンスルホン酸であることを特徴とする請求項に記載の固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液。
【請求項5】
エチレングリコール、γ−ブチロラクトン、ポリエチレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液。
【請求項6】
アルカリ性化合物を含有させることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液。
【請求項7】
誘電体酸化皮膜を有する弁作用金属を請求項1からのいずれか一項に記載の固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液に浸漬し引き上げた後、又は、誘電体酸化皮膜を有する弁作用金属に請求項1からのいずれか一項に記載の固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液と塗布した後、乾燥して、誘電体酸化皮膜を有する弁作用金属上に導電性高分子を含有する固体電解質層を形成させる工程を有することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項8】
誘電体酸化皮膜を有する弁作用金属上に、導電性高分子を含有する固体電解質層を有する固体電解コンデンサにおいて、
導電性高分子を含有する固体電解質層が、導電性高分子と、下記化合物(A)又は(B)と、を少なくとも含有することを特徴とする固体電解コンデンサ。
【化2】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液及びそれを用いて作製した固体電解コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子は、優れた安定性及び導電性を有することから、各種帯電防止剤、固体電解コンデンサ用電解質、防食塗料、EMIシールド、化学センサー、表示素子、非線形材料、メッキプライマー等への応用が期待されている。
【0003】
これらの導電性高分子物質は、一般に溶媒に不溶あるいは難溶であり、かつ、不融であるため成形、加工が困難であるという問題があった。
【0004】
このため、導電性高分子を微粒子あるいはフィラー状に部粉砕して水や有機溶剤等の分散媒に分散させることにより、成形性や加工性を向上させる技術が知られている。
【0005】
固体電解コンデンサは、誘電体酸化皮膜を有する弁作用金属上に、導電性高分子を含有する固体電解質層を形成した構成を有するものが一般的である。
【0006】
導電性高分子を含有する固体電解質層の製造方法としては、化学酸化重合法や電解重合法があるが、該方法以外の導電性高分子を含有する固体電解質層の形成方法としては、特許文献1に開示されているように、スルホ基、カルボキシル基等を持つドーパント成分を共存させながら、アニリンを化学酸化重合してポリアニリンを調整し、そのポリアニリン水溶液を塗布、乾燥して塗膜を形成する方法がある。該方法では、簡便に高い導電性を有する導電性高分子を含有する固体電解質層を形成することができる。
【0007】
特許文献2には、固体電解質層にπ共役系導電性高分子とポリアニオンとイオン伝導性化合物とを含有するコンデンサが記載されており、固体電解質層に、窒素含有芳香族性環式化合物、2個以上のヒドロキシル基を有する化合物、2個以上のカルボキシル基を有する化合物、1個以上のヒドロキシル基及び1個以上のカルボキシル基を有する化合物、アミド基を有する化合物、イミド基を有する化合物、ラクタム化合物、グリシジル基を有する化合物からなる群より選ばれる1種以上の導電性向上剤を含有させてもよいことが記載されている。
しかしながら、実際に実施例に記載されている導電性向上剤を導電性高分子溶液に含有させた溶液を用いて作製した固体電解コンデンサは、等価直列抵抗(以下、「ESR」と略記する。)及び充放電特性に劣る問題があった。
【0008】
以上より、優れたESR及び充放電特性を有する固体電解コンデンサを製造することのできる導電性高分子分散液及びそれを用いて作製した固体電解コンデンサが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平07−106718号公報
【特許文献2】特開2008−109065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、優れたESR及び優れた充放電特性を有する固体電解コンデンサを製造することのできる固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液及びそれを用いて作製した固体電解コンデンサ提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、一般式(1)で表される化合物と、導電性高分子と、分散媒と、を少なくとも含有することを特徴とする固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液及びそれを用いて作製した固体電解コンデンサが上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は以下に示すものである。
【0013】
第一の発明は、下記一般式(1)で表される化合物と、導電性高分子と、分散媒と、を少なくとも含有することを特徴とする固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液である。
【0014】
【化1】
(式(1)中、Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基のいずれかを示し、Rは、炭素数0〜6の炭化水素基又はアミノ基を示す。なお、炭素数0とは、CとCOOHが直接結合しているものをいう。)
【0015】
第二の発明は、一般式(1)で表される化合物が、下記化合物(A)又は(B)であることを特徴とする第一の発明に記載の固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液である。
【0016】
【化2】
【0017】
第三の発明は、固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液における一般式(1)で表される化合物の含有量が、0.01〜20質量%であることを特徴とする第一又は第二の発明に記載の固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液である。
【0018】
第四の発明は、導電性高分子が、ポリチオフェン類であることを特徴とする第一から第三の発明のいずれか一項に記載の固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液である。
【0019】
第五の発明は、ポリチオフェン類を構成するドーパント成分が、ポリスチレンスルホン酸であることを特徴とする第四の発明に記載の固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液である。
【0020】
第六の発明は、エチレングリコール、γ−ブチロラクトン、ポリエチレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする第一から第五の発明のいずれか一項に記載の固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液である。
【0021】
第七の発明は、アルカリ性化合物を含有させることを特徴とする第一から第六の発明のいずれか一項に記載の固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液である。
【0022】
第八の発明は、アルカリ性化合物が、第三級アミンであることを特徴とする第七の発明に記載の固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液である。
【0023】
第九の発明は、誘電体酸化皮膜を有する弁作用金属を第一から第八の発明のいずれか一項に記載の固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液に浸漬し引き上げた後、又は、誘電体酸化皮膜を有する弁作用金属に第一から第八の発明のいずれか一項に記載の固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液と塗布した後、乾燥して、誘電体酸化皮膜を有する弁作用金属上に導電性高分子を含有する固体電解質層を形成させる工程を有することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法である。
【0024】
第十の発明は、誘電体酸化皮膜が形成された弁作用金属上に導電性高分子層を形成する工程を有する固体電解コンデンサの製造方法において、
導電性高分子層を形成する工程が、
ポリアニリン溶液を誘電体酸化皮膜が形成された弁作用金属に接触させた後、加熱して乾燥させて弁作用金属上にポリアニリン層を形成させる工程と、
ポリアニリン層を有する弁作用金属を、第一から第八の発明のいずれか一項に記載の固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液に浸漬し引き上げた後、又は、誘電体酸化皮膜を有する弁作用金属に第一から第八の発明のいずれか一項に記載の固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液と塗布した後、乾燥して、ポリアニリン層を有する弁作用金属上に導電性高分子を含有する固体電解質層を形成させる工程と、
を有することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法である。
【0025】
第十一の発明は、誘電体酸化皮膜を有する弁作用金属上に、導電性高分子を含有する固体電解質層を有する固体電解コンデンサにおいて、
導電性高分子を含有する固体電解質層が、導電性高分子と、下記一般式(1)で表される化合物と、を少なくとも含有することを特徴とする固体電解コンデンサである。
【0026】
【化3】
(式(1)中、Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基のいずれかを示し、Rは、炭素数0〜6の炭化水素基又はアミノ基を示す。なお、炭素数0とは、CとCOOHが直接結合しているものをいう。)
【0027】
第十二の発明は、一般式(1)で表される化合物が、下記化合物(A)又は(B)であることを特徴とする第十一の発明に記載の固体電解コンデンサである。
【0028】
【化4】
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、優れたESR及び充放電特性を有する固体電解コンデンサを製造することのできる固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液及びそれを用いて作製した固体電解コンデンサを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液について説明する。
【0031】
本発明の導電性高分子分散液は、下記一般式(1)で表される化合物と、導電性高分子と、分散媒と、を少なくとも含有することを特徴とする固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液である。
【0032】
【化5】
【0033】
上記一般式(1)中、Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基のいずれかを示し、Rは、炭素数0〜6の炭化水素基又はアミノ基を示す。なお、炭素数0とは、CとCOOHが直接結合しているものをいう。
【0034】
上記炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
【0035】
炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基が挙げられる。
【0036】
炭素数0〜6の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソプロピレン基、イソブチレン基、t−ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基等のアルキレン基、ビニレン基、アリレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基等のアルケニレン基等が挙げられる。なお、炭素数0とは、CとCOOHが直接結合していることを表す。
【0037】
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、下記化合物(A)〜(L)が挙げられる。
【0038】
上記化合物(A)〜(L)の中でも、得られる固体電解コンデンサのESR及び充放電特性に優れる点より、化合物(A)〜(D)がより好ましく挙げられ、化合物(A)又は(B)が特に好ましく挙げられる。
【0039】
導電性高分子分散液における一般式(1)で表される化合物の含有量が0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜15質量%であることがより好ましく、0.1〜10質量%であることが特に好ましく挙げられる。該範囲にすることで特に優れたESRと充放電特性を有する固体電解コンデンサを製造することができる。
【0040】
一般式(1)で表される化合物を固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液に含有させることで、導電性高分子又は導電性高分子のドーパントと相互作用して、固体電解コンデンサの電気特性を向上させるものである。
【0041】
本発明に用いる導電性高分子は、ドーパント成分をドープした高分子である。導電性高分子に用いるモノマー化合物としては、特に制限されるものではなく、例えば、ピロール類、チオフェン類、アニリン類等を用いることができる。これらの中でもチオフェン類は、導電性及び分散安定性に優れる導電性高分子を得ることができる点より好ましく挙げられ、またこの分散体により形成される導電性皮膜の透明性に優れることから、下記一般式(2)で表される化合物の導電性高分子であることが好ましく挙げられる。
【0042】
【化6】
【0043】
上記一般式(2)中、Xは酸素原子又は硫黄原子を示す。Yはそれぞれ同一であっても異なっていても良い酸素原子又は硫黄原子を示す。Rは炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。
【0044】
上記一般式(2)で表される化合物として、具体的には、3,4−エチレンジオキシチオフェン、メチル−3,4−エチレンジオキシチオフェン、エチル−3,4−エチレンジオキシチオフェン、プロピル−3,4−エチレンジオキシチオフェン、3,4−プロピレンジオキシチオフェン、メチル−3,4−プロピレンジオキシチオフェン、エチル−3,4−プロピレンジオキシチオフェン、プロピル−3,4−プロピレンジオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシフラン、メチル−3,4−エチレンジオキシフラン、エチル−3,4−エチレンジオキシフラン、プロピル−3,4−エチレンジオキシフラン、3,4−プロピレンジオキシフラン、メチル−3,4−プロピレンジオキシフラン、エチル−3,4−プロピレンジオキシフラン、プロピル−3,4−プロピレンジオキシフラン、3,4−エチレンジチアチオフェン、メチル−3,4−エチレンジチアチオフェン、エチル−3,4−エチレンジチアチオフェン、プロピル−3,4−エチレンジチアチオフェン、3,4−プロピレンジチアチオフェン、メチル−3,4−プロピレンジチアチオフェン、エチル−3,4−プロピレンジチアチオフェン、プロピル−3,4−プロピレンジチアチオフェン等が挙げられる。
【0045】
これらの中でも、より分散性に優れる固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液を得ることができ、該固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液を用いて作製した固体電解コンデンサが電気特性に優れる点より、3,4−エチレンジオキシチオフェン、メチル−3,4−エチレンジオキシチオフェン、エチル−3,4−エチレンジオキシチオフェンが特に好ましく挙げられる。
【0046】
本発明に用いる導電性高分子は、上記一般式(2)で表される化合物を、上記ドーパント成分の存在下で化学酸化重合又は電解酸化重合することによって得ることができる。
【0047】
該ドーパント成分としては、高分子への化学酸化ドープが起こりうる官能基を有していればよく、硫酸エステル基、リン酸エステル基、リン酸基、カルボキシル基、スルホ基等が好ましく挙げられる。これらの中でも、ドープ効果の点より、硫酸エステル基、カルボキシル基、スルホ基がより好ましく挙げられ、スルホ基が特に好ましく挙げられる。
【0048】
ドーパント成分として、具体的には、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルスルホン酸)、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルカルボン酸)、ポリイソプレンカルボン酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、メチルナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸、又はこれらの金属塩等が挙げられる。これらは単独の重合体であっても、2種類以上の共重合体であってもよい。
これらの中でも、ポリスチレンスルホン酸が特に好ましく挙げられる。
【0049】
導電性高分子として、特に好ましくは、ポリスチレンスルホン酸ドープのポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリスチレンスルホン酸ドープのポリ(メチル−3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリスチレンスルホン酸ドープのポリ(エチル−3,4−エチレンジオキシチオフェン)が挙げられる。
【0050】
導電性高分子を製造する時に用いるモノマー化合物とドーパント成分との質量比は、1:1〜6が好ましく、1:2〜5が特に好ましく挙げられる。該質量比とすることで、より優れた導電性及び分散性を有する導電性高分子を得ることができ、その結果、得られた固体電解コンデンサはESRに優れたものとなる。モノマー化合物1とドーパントとの質量比を1:6超とすると、得られる固体電解コンデンサのESRが大きくなる問題がある。
【0051】
上記分散媒としては、水又は有機溶媒を用いることができる。
【0052】
有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、セロソルブ類、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類等を用いることができる。
【0053】
アルコール類としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、n−アミルアルコール、s−アミルアルコール、t−アミルアルコール、アリルアルコール、イソアミルアルコール、イソブチルアルコール、2−エチルブタノール、2−オクタノール、n−オクタノール、シクロヘキサノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、フルフリルアルコール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、ベンジルアルコール、メチルシクロヘキサノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、グリセリン、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。
【0054】
ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−プロピルケトン等が挙げられる。
【0055】
エステル類としては、アセト酢酸エチル、安息香酸エチル、安息香酸メチル、蟻酸イソブチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸メチル、酢酸イソブチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸メチル、サリチル酸メチル、シュウ酸ジエチル、酒石酸ジエチル、酒石酸ジブチル、フタル酸エチル、フタル酸メチル、フタル酸ブチル、γ−ブチロラクトン、マロン酸エチル、マロン酸メチル等が挙げられる。
【0056】
セロソルブ類としては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等が挙げられる。
【0057】
芳香族炭化水素類としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
【0058】
脂肪族炭化水素類としては、ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。
【0059】
分散媒の中でも特に、水が好ましく挙げられる。
【0060】
本発明の固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液には、高沸点有機溶媒を含有させてもよい。高沸点有機溶媒の中でも、特に沸点が150〜300℃である高沸点有機溶媒が好ましく挙げられる。該高沸点有機溶媒の具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン(沸点202℃)、ジメチルスルホキシド(沸点189℃)、γ−ブチロラクトン(沸点204℃)、スルホラン(沸点285℃)、ジメチルスルホン(沸点233℃)、エチレングリコール(沸点198℃)、ジエチレングリコール(沸点244℃)、ポリエチレングリコール(分子量200〜600)(沸点250℃)等が挙げられる。
これらの中でもエチレングリコール、γ−ブチロラクトン、ポリエチレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種が、表面が均一な導電性高分子を含有する固体電解質層を形成できる点より好ましく挙げられる。特にエチレングリコールとポリエチレングリコールを併用したものでは充放電特性に優れた固体電解コンデンサを製造することができる。
【0061】
固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液における有機溶媒の含有量は、1〜20質量%が好ましく挙げられ、5〜15質量%が特に好ましく挙げられる。1質量%未満の場合、表面が均一な導電性高分子を含有する固体電解質層を形成する効果に若干劣る問題があり、20質量%超の場合、乾燥工程に時間を要する問題がある。
【0062】
また、固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液には、成膜性、膜強度を調整するために、バインダ樹脂、界面活性剤、アルカリ化合物を含有させてもよい。
バインダ樹脂としては、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂が好ましく挙げられる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド等のポリイミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル等のビニル樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリウレタン、フェノール系樹脂、ポリエーテル、アクリル系樹脂及びこれらの共重合体等が挙げられる。
【0063】
コンデンサに対する含浸性を向上させるためにアルカリ性化合物を含有させてもよい。コンデンサに対する含浸性を向上させることで、優れた静電容量を有する固体電解コンデンサを製造することができる。
【0064】
上記アルカリ性化合物としては、アルカリ性を示す化合物であれば良く、公知の無機アルカリ性化合物や有機アルカリ性化合物が挙げられる。
無機アルカリ性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等が挙げられる。
有機アルカリ性化合物としては、芳香族アミン、脂肪族アミン、金属アルコキシド等が挙げられる。芳香族アミンとしては、イミダゾール、ピラゾール等が挙げられる。金属アルコキシドとしては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムブトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムブトキシド等が挙げられる。脂肪族アミンとしては、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミンが挙げられ、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、メタノールアミン、ジメタノールアミン、トリメタノールアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリアリルアミン等が挙げられる。脂肪族アミンの中でも第三級アミンが、コンデンサに含浸しやすい点より、好ましく挙げられ、第三級アミンの中でもトリメチルアミン又はトリエチルアミンが好ましく挙げられ、特にトリエチルアミンが好ましく挙げられる。
【0065】
界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤が挙げられる。陰イオン性界面活性剤としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩等が挙げられ、陽イオン界面活性剤としては、第三級アミン塩、第四級アンモニウム塩等が挙げられ、両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリウムベタイン等が挙げられ、非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド等が挙げられる。
【0066】
なお、本発明の固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液は、導電性高分子が分散媒に分散しているものであり、導電性高分子の一部が分散媒に溶解していてもよい。
【0067】
<固体電解コンデンサの製造方法>
固体電解コンデンサの製造方法を以下に詳細に説明する。
【0068】
上述した固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液を、誘電体酸化皮膜を有する弁作用金属に接触させた後、乾燥させることで、誘電体酸化皮膜を有する弁作用金属上に導電性高分子を含有する固体電解質層を形成させることができる、接触させる方法は、任意の方法でよいが、好ましくは、浸漬させる方法又は塗布する方法が挙げられる。
【0069】
詳細には、誘電体酸化皮膜を有する弁作用金属を上述した固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液に浸漬し引き上げた後、又は、誘電体酸化皮膜を有する弁作用金属に上述した固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液と塗布した後、乾燥して、誘電体酸化皮膜を有する弁作用金属上に導電性高分子を含有する固体電解質層を形成させる工程を有することが好ましい。
【0070】
また、誘電体酸化皮膜が形成された弁作用金属上に導電性高分子層を形成する工程を有する固体電解コンデンサの製造方法において、導電性高分子層を形成する工程が、ポリアニリン溶液を誘電体酸化皮膜が形成された弁作用金属に接触させた後、加熱して乾燥させて弁作用金属上にポリアニリン層を形成させる工程と、ポリアニリン層を有する弁作用金属を、上述した固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液に浸漬し引き上げた後、又は、誘電体酸化皮膜を有する弁作用金属に上述した固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液と塗布した後、乾燥して、ポリアニリン層を有する弁作用金属上に導電性高分子を含有する固体電解質層を形成させる工程と、を有することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法がより好ましく挙げられる。
【0071】
上記ポリアニリン溶液とは、ポリアニリンと有機溶媒とを含有するものである。該ポリアニリンは、アニリンのみの重合体であっても良いし、アニリンと置換基を有するアニリン誘導体との共重合体であってもよい。ポリアニリン溶液に用いる有機溶媒としては、N−メチルピロリドン等のピロリドン類、ジメチルホルムアミド、プロピオンアミド等のアミド類、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルピリミジノン、クレゾール、ジメチルプロピレンウレア等の極性溶媒等が挙げられる。これらの中でも、特にN−メチルピロリドン、N,N−ジメチルプロピレンウレア、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、またはこれらの混合溶媒がポリアニリンの溶解度に優れる点より好ましく挙げられる。
【0072】
誘電体酸化皮膜を有する弁作用金属上に、ポリアニリン層を形成させることで、得られる固体電解コンデンサの静電容量を向上させることができる。
【0073】
本発明に用いる弁作用金属としては、アルミニウム、タンタル、ニオブ又はチタンからなる群より選ばれる1種が挙げられ、焼結体又は箔の形状で用いられる。
【0074】
用いる弁作用金属の種類、形状により、チップ型又は巻回型のいずれとすることができる。
【0075】
誘電体酸化皮膜を有する弁作用金属を、上記固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液に浸漬し、引き上げた後、乾燥する工程を複数回繰り返してもよい。好ましい回数としては、1〜6回が好ましく挙げられ、2〜5回が特に好ましく挙げられる。
【0076】
また、誘電体酸化皮膜を有する弁作用金属を、上記固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液に塗布する後、乾燥する工程を複数回繰り返してもよい。好ましい回数としては、1〜6回が好ましく挙げられ、2〜5回が特に好ましく挙げられる。
【0077】
乾燥は室温での自然乾燥から加熱乾燥までのいずれでもよいが、固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液に高沸点有機溶媒を含有させている場合には、150℃以上に加熱して乾燥させるのが好ましく挙げられる。
【0078】
<固体電解コンデンサ>
本発明の固体電解コンデンサは、上記に記載した方法で作製してもよいし、該方法以外の方法で作製してもよい。
本発明の固体電解コンデンサは、誘電体酸化皮膜を有する弁作用金属上に、導電性高分子を含有する固体電解質層を有する固体電解コンデンサにおいて、導電性高分子を含有する固体電解質層が、導電性高分子と、下記一般式(1)で表される化合物と、を少なくとも含有しているものである。
【0079】
【化7】
【0080】
上記一般式(1)中、Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基のいずれかを示し、Rは、炭素数0〜6の炭化水素基又はアミノ基を示す。なお、炭素数0とは、CとCOOHが直接結合しているものをいう。
なお、一般式(1)で表される化合物及び導電性高分子の詳細な説明は、上述したものと同様である。
【0081】
一般式(1)で表される化合物の中でも、下記化合物(A)又は(B)が特に好ましく挙げられる。
【0082】
【化8】
【0083】
導電性高分子と一般式(1)で表される化合物との含有量の質量比は、1:0.1〜1:10が好ましく、1:0.5〜1:5であることがより好ましく挙げられる。
【0084】
弁作用金属としては、アルミニウム、タンタル、ニオブ又はチタンからなる群より選ばれる1種が挙げられ、焼結体又は箔の形状で用いられる。
【0085】
用いる弁作用金属の種類、形状により、チップ型又は巻回型のいずれとすることができる。
【0086】
本発明の固体電解コンデンサは、導電性高分子を含有する固体電解質層に上記一般式(1)で表される化合物を含有させることで、導電性高分子との相互作用し、優れたESRと充放電特性を得ることができる。
【実施例】
【0087】
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明する。なお、本発明は本実施例によりなんら限定されない。実施例中の「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を表す。
【0088】
(実施例1)
(固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液の製造)
14.2部の3,4−エチレンジオキシチオフェンと、42.6部のポリスチレンスルホン酸(質量平均分子量:75,000)を2000mlのイオン交換水に溶かした溶液とを20℃で混合して混合溶液を得た。
得られた混合溶液を20℃に保ち、撹拌しながら、200mlのイオン交換水に溶かした29.6部の過硫酸アンモニウムと8.0部の硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とを添加し、3時間撹拌して反応させた。
【0089】
反応後、強酸性陽イオン交換樹脂(三菱樹脂社製、PK−216)を添加し、アンモニウム塩を除去した後、イオン交換樹脂を取り除いた。次に、強塩基性陰イオン交換樹脂(三菱樹脂社製、PA−418)を添加して硫酸塩を除去した後、イオン交換樹脂を取り除いて、1.5%ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸水分散液を得た。
【0090】
1.5%ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸水分散液100部に、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(東京化成社製)3部、エチレングリコール10部を含有させて、固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液を得た。
【0091】
(固体電解コンデンサの製造)
陽極に用いる弁作用金属として、表面をエッチングし、粗面化処理を施したエッチドアルミニウム箔(縦8.0mm×横50.0mm)を用い、該アルミニウム箔に、アジピン酸アンモニウム水溶液中、電圧90Vで化成処理を行って誘電体層を形成した陽極にリード端子を取り付け、また、アルミニウム箔からなる陰極にリード端子を取り付け、それらのリード端子付き陽極と陰極とをセパレータを介して対向させることにより、コンデンサ素子を作製した。
【0092】
次に、上記で得られた固体電解コンデンサ製造用導電性高分子溶液に、上記コンデンサ素子を5分浸漬し、150℃5分乾燥させる工程を3回繰り返して、導電性高分子を含有する固体電解質層を有するコンデンサ素子を作製した。
【0093】
ついで、上記コンデンサ素子に、カーボンペースト及び銀ペーストを塗布した後、乾燥させ、陰極引き出し層を形成した。次に、陰極を銀ペースト等による接着、陽極を溶接によって接合し、コンデンサ素子をリードフレーム上に固定し、エポキシ樹脂でトランスファーモールドを行い、固体電解コンデンサを製造した。
【0094】
(実施例2)
実施例1に記載の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸を、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸に代えた以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0095】
参考例1
実施例1に記載の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸を、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン(東京化成社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0096】
参考例2
実施例1に記載の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸を、3−ヒドロキシ−2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロパン酸(アルドリッチ社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0097】
参考例3
実施例1に記載の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸を、4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)−3−メチルブタン酸に代えた以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0098】
(実施例
実施例1に記載の固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液にトリエチルアミンを1部含有させた以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0099】
(実施例
実施例2に記載の固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液にトリエチルアミンを1部含有させた以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0100】
参考例4
参考例1に記載の固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液にトリエチルアミンを1部含有させた以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0101】
(比較例1)
実施例1に記載の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸を用いなかった以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0102】
(比較例2)
実施例1に記載の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸を、ペンタエリスリトールに代えた以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0103】
(比較例3)
実施例1に記載の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸を、ペンタグリセロールに代えた以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0104】
(比較例4)
実施例1に記載の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸を、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(東京化成社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0105】
(比較例5)
実施例1に記載の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸を、2−ヒドロキシメチル安息香酸に代えた以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0106】
<固体電解コンデンサのESRと充放電特性の評価>
実施例1〜4、参考例1〜4及び比較例1〜5より得られた固体電解コンデンサについて、100kHzでの等価直列抵抗(ESR)を測定し、高温負荷試験(温度120℃の雰囲気に100時間保持)後のESRを測定した。
【0107】
また、実施例1〜4、参考例1〜4及び比較例1〜5より得られた固体電解コンデンサについて、充放電特性を測定した。固体電解コンデンサの充放電特性は、初期の静電容量と、下記充放電特性試験の条件に従い1万サイクル行った後の静電容量と、を測定して変化率を求めることで評価した。ESRと充放電特性の測定結果を表1に示す。
充放電特性試験の条件
印加電圧:50V
充電・放電抵抗:1kΩ
温度:105℃
充放電サイクル:30秒充電、30秒放電を1サイクルとする
【0108】
【表1】
【0109】
表中の略語は以下の通りである。
化合物(A):2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸
化合物(B):2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸
化合物(C):N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン
化合物(D):3−ヒドロキシ−2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロパン酸
化合物(E):4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)−3−メチルブタン酸
化合物I:ペンタエリスリトール
化合物II:ペンタグリセロール
化合物III:トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン
化合物IV:2−ヒドロキシメチル安息香酸
【0110】
表1より、比較例1〜5よりも実施例1〜の方が、固体電解コンデンサにおけるESR及び充放電特性に優れていることがわかる。特にトリエチルアミンを含有させた固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液を用いて作製した固体電解コンデンサにおいては、よりESRと充放電特性に優れていることがわかる。
【0111】
(実施例
(固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液の製造)
14.2部の3,4−エチレンジオキシチオフェンと、42.6部のポリスチレンスルホン酸(質量平均分子量:75,000)を2000mlのイオン交換水に溶かした溶液とを20℃で混合して混合溶液を得た。
得られた混合溶液を20℃に保ち、撹拌しながら、200mlのイオン交換水に溶かした29.6部の過硫酸アンモニウムと8.0部の硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とを添加し、3時間撹拌して反応させた。
【0112】
反応後、強酸性陽イオン交換樹脂(三菱樹脂社製、PK−216)を添加し、アンモニウム塩を除去した後、イオン交換樹脂を取り除いた。次に、強塩基性陰イオン交換樹脂(三菱樹脂社製、PA−418)を添加して硫酸塩を除去した後、イオン交換樹脂を取り除いて、1.5%ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸水分散液を得た。
【0113】
1.5%ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸水分散液100部に、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(東京化成社製)3部、エチレングリコール10部を含有させて、固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液を得た。
【0114】
(固体電解コンデンサの製造)
陽極に用いる弁作用金属として、表面をエッチングし、粗面化処理を施したエッチドアルミニウム箔(縦8.0mm×横50.0mm)を用い、該アルミニウム箔に、アジピン酸アンモニウム水溶液中、電圧90Vで化成処理を行って誘電体層を形成した陽極にリード端子を取り付け、また、アルミニウム箔からなる陰極にリード端子を取り付け、それらのリード端子付き陽極と陰極とをセパレータを介して対向させることにより、コンデンサ素子を作製した。
【0115】
次に、2%ポリアニリン溶液(溶媒:N−メチルピロリドン)に上記コンデンサ素子を5分浸漬し、150℃5分乾燥させた後、上記で得られた固体電解コンデンサ製造用導電性高分子溶液に、上記コンデンサ素子を5分浸漬し、150℃5分乾燥させる工程を3回繰り返して、導電性高分子を含有する固体電解質層を有するコンデンサ素子を作製した。
【0116】
ついで、上記コンデンサ素子に、カーボンペースト及び銀ペーストを塗布した後、乾燥させ、陰極引き出し層を形成した。次に、陰極を銀ペースト等による接着、陽極を溶接によって接合し、コンデンサ素子をリードフレーム上に固定し、エポキシ樹脂でトランスファーモールドを行い、固体電解コンデンサを製造した。
【0117】
(実施例
実施例に記載の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸を、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸に代えた以外は、実施例と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0118】
参考例5
実施例に記載の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸を、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン(東京化成社製)に代えた以外は、実施例と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0119】
参考例6
実施例に記載の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸を、3−ヒドロキシ−2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロパン酸(アルドリッチ社製)に代えた以外は、実施例と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0120】
参考例7
実施例に記載の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸を、4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)−3−メチルブタン酸に代えた以外は、実施例と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0121】
(実施例
実施例に記載の固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液にトリエチルアミンを1部含有させた以外は、実施例と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0122】
(実施例
実施例に記載の固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液にトリエチルアミンを1部含有させた以外は、実施例と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0123】
参考例8
参考例5に記載の固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液にトリエチルアミンを1部含有させた以外は、参考例5と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0124】
(実施例
実施例に記載の固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液にトリエチルアミンを1部含有させ、エチレングリコール10部の代わりに、エチレングリコール8部、ポリエチレングリコール2部用いた以外は、実施例と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0125】
(比較例6)
実施例に記載の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸を用いなかった以外は、実施例と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0126】
(比較例7)
実施例に記載の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸を、ペンタエリスリトールに代えた以外は、実施例と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0127】
(比較例8)
実施例に記載の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸を、ペンタグリセロールに代えた以外は、実施例と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0128】
(比較例9)
実施例に記載の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸を、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(東京化成社製)に代えた以外は、実施例と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0129】
(比較例10)
実施例に記載の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸を、2−ヒドロキシメチル安息香酸に代えた以外は、実施例と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0130】
<固体電解コンデンサのESRと充放電特性の評価>
実施例5〜9、参考例5〜8及び比較例6〜10より得られた固体電解コンデンサについて、100kHzでの等価直列抵抗(ESR)を測定し、高温負荷試験(温度120℃の雰囲気に100時間保持)後のESRを測定した。
【0131】
また、実施例5〜9、参考例5〜8及び比較例6〜10より得られた固体電解コンデンサについて、充放電特性を測定した。固体電解コンデンサの充放電特性は、初期の静電容量と、下記充放電特性試験の条件に従い1万サイクル行った後の静電容量と、を測定して変化率を求めることで評価した。ESRと充放電特性の測定結果を表2に示す。表中の略語は前述した通りである。
充放電特性試験の条件
印加電圧:50V
充電・放電抵抗:1kΩ
温度:105℃
充放電サイクル:30秒充電、30秒放電を1サイクルとする
【0132】
【表2】
【0133】
表2より、比較例6〜10よりも実施例5〜9の方が、固体電解コンデンサにおけるESR及び充放電特性に優れていることがわかる。特にトリエチルアミンを含有させた固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液を用いて作製した固体電解コンデンサにおいては、よりESRと充放電特性に優れていることがわかる。
また、実施例1〜と、実施例5〜9を比較すると、弁作用金属上にポリアニリン層を形成させた方が、固体電解コンデンサの静電容量が向上することがわかる。



【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明の固体電解コンデンサ製造用導電性高分子分散液を用いて作製した固体電解コンデンサは、等価直列電圧及び充放電特性に優れるため、高周波数のデジタル機器等に適用できる。