(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記1回目の走査時において前記光センサが取得した前記光量に基づいて、同一の前記検査対象物について、前記撮像素子が取得する画像と異なる角度から撮像された第2の画像を取得する画像取得部と、
を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の検査装置。
レーザ光を出射するレーザ光源と、検査対象物の表面上において反射される前記レーザ光の反射光を取り込んで画像を取得する撮像素子と、前記反射光の光量を取得する光センサと、を備える検査装置のコンピュータを、
前記レーザ光の投射方位を特定しながら、当該レーザ光を前記検査対象物の表面上において走査する制御を行うレーザ投射制御手段、
1回目の前記レーザ光の走査時における、前記光センサが取得する前記光量に基づいて、前記投射方位ごとに対応付けて位置強度対応テーブルに記憶された前記レーザ光の出力強度を示す出力強度情報を更新し、2回目の前記レーザ光の走査時における、前記光センサが取得する前記光量が予め定めた範囲内に収まるように、前記位置強度対応テーブルを参照しながら、前記投射方位ごとに、前記レーザ光源が出射する前記レーザ光の出力強度を特定するレーザ出力強度特定手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態に係る検査装置を、図面を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態に係る検査装置の機能構成を示す図である。この図において、符号1は検査装置である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態による検査装置1は、検査装置本体部10及び計測ヘッド20を備えている。
検査装置本体部10は、レーザ光を出力し、これを検査対象物Xの表面上において走査する制御を行う。また、検査装置本体部10は、検査対象物Xの表面上に投射されたレーザ光の反射光を取り込んで、検査対象物Xの表面形状に関する情報を取得する。
【0020】
計測ヘッド20は、検査対象物Xの周囲近辺に配され、検査装置本体部10の制御に基づいて、レーザ光の投光、走査、及び、その反射光の取得を行う。
図1に示すように、計測ヘッド20は、外部信号に応じて自らの鏡面角度を変化させることで、レーザ光の検査対象物Xへの投射方位を変更可能とするMEMS(Micro Electro Mechanical System)ミラー21を備えている。また、計測ヘッド20は、検査対象物Xの表面におけるレーザ光の反射光を集光して画像データを取得する撮像素子22を備えている。なお、MEMSミラー21及び撮像素子22の配置関係は予め把握されており、三角測量の演算に用いられる。
図1に示すように、計測ヘッド20は、検査装置本体部10から信号線及び光ファイバを介して引き回された先に配される。これにより、例えば検査装置本体の挿入が困難な狭隘箇所であっても、計測ヘッド20のみを検査対象物にまで引き回すことで観察可能となる。
【0021】
検査装置1は、以上のような構成により、検査対象物Xに対してレーザ光を投射し、その反射光を撮像素子で検知して、幾何学的関係から画像取得部と検査対象物Xまでの距離を求めることで、検査対象物X表面の三次元形状を測定する。
【0022】
次に、
図1に示す検査装置本体部10の機能構成について説明する。
まず、検査装置本体部10は、レーザ光源100、変換回路101、レーザ出力算出部102を備えている。
レーザ光源100は、レーザダイオードで構成されるレーザ光の出射源である。レーザ光源100は、レーザ出力算出部102が特定するレーザ光の出力強度を示す情報(出力強度情報)に応じて出射するレーザ光の出力強度を変更する。
図1に示すように、レーザ光源100から出射されたレーザ光は、光ファイバFAを介して計測ヘッド20まで送出された後、レンズLA、後述するMEMSミラー21を介して、検査対象物Xへと投射される。なお、レーザ光源100は、例えば、赤色レーザダイオード、緑色レーザダイオード及び青色レーザダイオードを同時または切り替えて出射する構成としてもよい。
変換回路101は、レーザ出力算出部102が特定する出力強度情報を、レーザ光源100に向けての信号に変換する。変換回路101は、D/A(Digital / Analog)変換回路、変調回路等を備え、レーザ出力算出部102から入力する出力強度情報(デジタル信号)を、実際のレーザ光の出力強度に反映させるためのアナログ信号へと変換する処理を行う。
レーザ出力算出部102は、予め記憶された出力強度情報に基づいて、レーザ光源100から出射されるレーザ光の出力強度を特定する。レーザ出力算出部102は、後述する位置強度対応テーブル12に記憶されている出力強度情報を参照しながら出力強度情報を特定する。なお、レーザ出力算出部102は、レーザ光が投射される位置を示す投射方位情報を、後述するレーザ投射制御部110から入力し、この投射方位情報に基づいて出力強度情報を特定する。
【0023】
また、検査装置本体部10は、レーザ投射制御部110と、投射方位テーブル111と、カウンタ112と、を備えている。
レーザ投射制御部110は、予め記憶された投射方位情報に基づいて、レーザ光の投射方位を制御する。具体的には、レーザ投射制御部110は、計測ヘッド20に備えられるMEMSミラー21の鏡面方位を操作することで、レーザ光の投射方位を制御する。レーザ投射制御部110は、MEMSミラー21の鏡面方位と、レーザ光の投射方位を一対一に対応付けている。そして、レーザ投射制御部110は、投射方位テーブル111を参照して、レーザ光を投射すべき位置を特定すると、その投射方位に対応する制御信号をMEMSミラー21に出力する。
投射方位テーブル111は、レーザ光の投射方位を示す投射方位情報を記憶する記憶テーブルである。投射方位テーブル111は、投射方位情報を、所定のカウント数ごとに対応付けて記憶している。
カウンタ112は、後述する撮像素子22から入力する同期信号に応じた所定のカウント数を出力する回路である。ここで、同期信号とは、撮像素子22の画像取得処理と同期しながら、適当な時間間隔をもって出力されるパルス信号である。カウンタ112は、このパルス信号を入力した回数を算出し、この回数を示す情報をレーザ投射制御部110に出力する。
【0024】
さらに、検査装置本体部10は、光センサ120、変換回路121、出力強度更新部122と、を備えている。
光センサ120は、フォトダイオードで構成される受光素子であって、検査対象物Xの表面に投射されたレーザ光の反射光(以下、レーザ反射光と記載)の光量を検知するセンサである。光センサ120は、計測ヘッド20に備えられたレンズLBでレーザ反射光を集光し、光ファイバFBを介してレーザ反射光を伝送し、その反射光の光量に応じたアナログ信号を出力する。
変換回路121は、光センサ120から入力するアナログ信号を、デジタル信号である光量情報に変換して出力する。変換回路121は、A/D(Analog / Digital)変換回路、復調回路等を備え、光センサ120から入力する光量に応じたアナログ信号を、デジタル信号である光量情報へと変換する処理を行う。
出力強度更新部122は、光センサ120、変換回路121を介して入力する光量情報とレーザ投射制御部110から入力した投射方位情報を対応付けして、後述する位置強度対応テーブル12が記憶する出力強度情報の値を更新する。出力強度更新部122は、レーザ光の特定の1ラインについての走査処理において取得された光量情報を一時的に保持して、位置強度対応テーブル12の、当該1ラインの走査箇所に対応する部分の出力強度情報を更新する。
【0025】
また、検査装置本体部10は、画像用メモリ13を備えている。
画像用メモリ13は、計測ヘッド20に備えられる撮像素子22が取得する画像データが記憶される記憶領域である。画像用メモリ13は、一般的な記憶手段、例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の大容量記憶デバイスで構築される。
【0026】
なお、撮像素子22は、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラ等の撮像用モジュールである。具体的には、撮像素子22は、レーザ光の走査処理の過程においてそのレーザ反射光を取り込むことで複数の画像データを取得し、画像用メモリ13に記憶、蓄積する処理を行う。検査装置本体部10は、全ての走査処理が完了した後に、画像用メモリ13に蓄積された画像データに基づいて、検査対象物Xの表面形状を表す三次元データを構築する。なお、三次元データの構築の手法には、既知の技術(三角測量原理等)を用いればよいので、この点については詳細な説明を省略する。
【0027】
図2は、第1の実施形態に係るレーザ投射制御部の機能を説明する図である。
図2を参照しながら、本実施形態に係るレーザ投射制御部110の機能を詳細に説明する。
まず、
図2(a)には、投射方位テーブル111の内容を示している。
図2(a)に示すように、投射方位テーブル111は、カウンタ112から入力するカウント数と、レーザ光の投射方位を示す投射方位情報、すなわち投射方位のX座標とを対応付けて記憶された記憶テーブルである。
【0028】
本実施形態に係るレーザ投射制御部110は、
図2(a)に示す投射方位テーブルを参照し、カウンタ112から入力するカウント数に基づいて次に投射すべき投射方位(x、y)を特定する。例えば、レーザ投射制御部110は、カウンタ112からカウント数“0003”を入力すると、投射方位テーブル111を参照して、次の投射方位のX座標値x3を特定する。なおY座標についてはy0、y1、・・・、ynを順次周期的に繰り返して出力する。
ここで、レーザ投射制御部110は、上記のように求められた投射方位(x、y)と、MEMSミラー21の鏡面方位を示す制御信号と、を一対一に対応付けて記憶している。したがって、レーザ投射制御部110は、投射方位(x0、y3)を特定すると、この投射方位(x0、y3)に対応する制御信号をMEMSミラー21に出力する。この制御信号に応じて決定されたMEMSミラー21の鏡面によって反射されたレーザ光は、画像取得領域Pのうち投射方位(x0、y3)に対応する位置に投射されることとなる。
【0029】
一方、カウンタ112は、撮像素子22からの同期信号を入力するごとにカウント数を一つずつ増加させて出力する処理を行う。ここで同期信号とは、撮像素子22の撮像処理(レーザ反射光に基づく画像データを取得して画像用メモリに記憶する一連の処理)と同期して出力されるパルス信号である。
【0030】
カウント数の増加に応じて投射方位が変化する過程を
図2(b)示す。投射方位テーブル111には、カウント数が“0000”、“0001”、・・・と増加するにつれて、レーザ光の投射方位が所定の画像取得領域P全体を二次元的に走査する動きとなるように、その投射方位のX座標が記憶されている(
図2(b)参照)。この画像取得領域Pは、投射方位テーブル111の記憶内容に応じた範囲となる。
【0031】
レーザ投射制御部110は、以上のようにして、レーザ光源100から出射されるレーザ光を、MEMSミラー21を介して二次元的に走査する制御を行う。
【0032】
図3は、第1の実施形態に係る位置強度対応テーブルの内容を示す図である。
次に、
図3を参照しながら、本実施形態に係るレーザ出力算出部102の機能を詳細に説明する。
図3に示すように、本実施形態に係る位置強度対応テーブル12は、レーザ光の投射方位(レーザ投射制御部110が特定する投射方位)ごとに対応するレーザ光の出力強度を示す情報(出力強度情報)A00、A01、・・・が記憶された記憶テーブルである。
【0033】
本実施形態に係るレーザ出力算出部102は、この位置強度対応テーブル12を参照して、次に出力すべきレーザ光の出力強度を特定する。具体的には、レーザ出力算出部102は、レーザ投射制御部110によって特定された、次に出力すべきレーザ光の投射方位を示す投射方位情報、すなわち投射方位(x、y)(
図2(a))を入力する。そして、レーザ出力算出部102は、この投射方位情報によって特定される光出力強度情報を参照して、次に出力すべきレーザ光の出力強度を特定する。
例えば、次に出力すべきレーザ光の投射方位が(x0、y2)であったとすると、レーザ出力算出部102は、レーザ投射制御部110から投射方位情報として投射方位(x0、y2)を取得する。そして、レーザ出力算出部102は、位置強度対応テーブル12を参照して、投射方位(x0,y2)に対応する出力強度情報A02を特定する。
レーザ出力算出部102は、次に出力すべきレーザ光の出力強度をA02と特定すると、その出力強度情報A02を、変換回路101に出力する。変換回路101は、デジタル信号である出力強度情報A02をアナログ信号に変換して、レーザ光源100に出力する。レーザ光源100は、変換回路101から入力したアナログ信号に基づき、出力強度情報A02に応じた出力強度のレーザ光を出力する。
【0034】
レーザ出力算出部102は、以上のようにして、レーザ光の出力強度を投射方位ごとに特定しながら変更する制御を行う。
【0035】
図4は、第1の実施形態に係る出力強度更新部の機能を説明する第1の図である。
出力強度更新部122は、上述したように、光センサ120(及び変換回路121)を介して入力する光量情報に基づいて、位置強度対応テーブル12に記憶される出力強度情報の値を更新する。以下、出力強度更新部122の機能について具体的に説明する。
まず、
図4(a)には、検査対象物Xについての三次元計測開始時における位置強度対応テーブル12の記憶内容を示している。
図4(a)に示すように、計測開始時における投射方位テーブル111には、レーザ光の全ての投射方位について、所定の出力強度である出力強度情報Arefが記憶されている。つまり、1回目の走査時においては、レーザ出力算出部102は、全ての投射方位について同一の出力強度Arefでレーザ光を出力する。
【0036】
次に、後述のフローチャート図(
図6)で説明するように、レーザ投射制御部110は、1回目の走査処理を実行する。ここで、例えば
図4(b1)に示すように、まず、レーザ投射制御部110は、1回目の走査処理として、投射方位(x0、y0)から投射方位(x0、ym)(mは1以上の整数)までの1ライン分の走査を行う。このとき、レーザ出力算出部102は、投射方位テーブル111に記憶されている投射方位(x0、y0)から投射方位(x0、ym)までに対応する出力強度情報(
図4(a)の破線で囲う部分)に基づいてレーザ光の出力強度を特定する。なお、1回目の走査時においては、その全ての投射方位についての出力強度情報は所定の値“Aref”のため、レーザ出力算出部102は、出力強度を常に一定値Arefを維持しながら1回目の走査処理を行う。
【0037】
次いで、光センサ120が、1回目の走査処理における投射方位(x0、y0)、(x0、y1)、・・・、(x0、ym)へのレーザ光の出射ごとにレーザ反射光の一部を受光してその光量を取得する。このとき、1回目の走査処理(投射方位(x0、y0)〜(x0、ym)の1ライン分の走査)において、光センサ120が受光した光量の分布が
図4(b2)のグラフのようになったとする。
図4(b2)に示すグラフによれば、1ライン分の走査の中央、投射方位(x0、yi)(iは、0<i<m(m≧2)の整数)付近において、光センサ120が受光する光量が増加している様子が見られる。すなわち、検査対象物X表面の投射方位(x0、yi)に対応する部分付近において局所的に反射率が高くなっていることが想定される。
【0038】
出力強度更新部122は、光センサ120から取得した光量の分布(
図4(b2))を示す情報である光量情報を一時的に記憶する。そして、出力強度更新部122は、取得された光量情報に基づいて、投射方位テーブル111に記憶された出力強度情報を更新する処理を行う。
具体的には、出力強度更新部122は、
図4(c)に示すように、1回目の走査時における投射方位(x0、y0)〜(x0、ym)に対応する出力強度情報(
図4(c)の破線で囲う部分)を新たな出力強度情報A00、A01、・・・、A0mに更新する。レーザ出力算出部102は、ここで新たに更新された出力強度情報を、2回目の走査時において参照することとなる。
【0039】
ここで、出力強度更新部122が、新たな出力強度情報A00、A01、・・・、A0mを定める具体的な手法の一例について説明する。例えば出力強度更新部122は、新たに更新すべき各出力強度情報A00、A01、・・・、A0mを、1回目の走査時において、各投射方位(x0、y0)、(x0、y1)、・・・、(x0、ym)へのレーザ光の投射によって取得された光量と反比例する関係を有するように算出して定める。
このようにした場合、レーザ投射制御部110は、例えば、1回目の走査時において、光センサ120が受光するレーザ反射光の光量が、他の投射方位に比べて相対的に小さかった投射方位(x0、y0)、(x0、ym)に対応する出力強度情報A00、A0mをその光量に応じて大きい値に設定する。同様に、出力強度更新部122は、光センサ120が受光する光量が相対的に大きかった投射方位(x0、yi)に対応する出力強度情報A0iをその光量に応じて小さい値に設定する。
【0040】
図5は、第1の実施形態に係る出力強度更新部の機能を説明する第2の図である。
図5(a)(
図4(c))に示すように、出力強度更新部122は、1回目の走査時において取得された光量情報(
図4(b2))に基づいて、位置強度対応テーブル12の出力強度情報を更新する。
この更新処理を行うと、次いで、レーザ投射制御部110は、1回目の走査時においてレーザ光を投射した位置(投射方位(x0、y0)〜(x0、ym))について、再度の走査処理を行う(2回目の走査処理)。
このとき、レーザ出力算出部102は、レーザ投射制御部110から2回目の走査処理に対応する投射方位情報を入力しつつ、投射方位テーブル111に記憶されている投射方位(x0、y0)〜(x0、ym)に対応する出力強度情報(
図5(a)の破線で囲う部分)を参照しながらレーザ光の出力強度を特定する。
【0041】
レーザ出力算出部102が
図5(a)に示す投射方位テーブル111に基づいてレーザ光の出力強度を調整しながら、レーザ投射制御部110は、2回目の走査処理を行う(
図5(b1)参照)。この2回目の走査処理において、レーザ出力算出部102は、投射方位(x0、y0)へのレーザ光については、相対的に大きい出力強度A00に設定する。同様に、レーザ出力算出部102は、投射方位(x0、yi)へのレーザ光については、相対的に小さい出力強度A0iに設定する。さらに、レーザ出力算出部102は、投射方位(x0、ym)へのレーザ光については、相対的に大きい出力強度A0mに設定する。レーザ出力算出部102は、以上のように、2回目の走査時において、動的な出力強度の調整を行う。
【0042】
この結果、2回目の走査時において光センサ120が受光する光量の分布は、
図5(b2)実線のグラフに示すものとなる。すなわち、レーザ出力算出部102は、2回目の走査時におけるレーザ光の出力強度を、1回目の走査時において受光する光量が小さかった部分(投射方位(x0、y0)、(x0、ym)等)については増加させ、1回目の走査時において受光する光量が大きかった部分(投射方位(x0、yi))については低減させる調整を行う。その結果、
図5(b2)に示すように、2回目の走査時において光センサ120が受光する光量は全体として均等化されることとなる。したがって、レーザ出力算出部102は、光センサ120が取得する光量が、予め定めた範囲内(範囲Q)に収まるように、投射方位ごとに、レーザ光の出力強度を特定することとなる。
なお、
図5(b2)の実線に示すグラフは、2回目の走査時において光センサ120が受光する光量の分布を示しているが、同時に撮像素子22が取り込むレーザ反射光の光量も同等に均等化されたものとなる。
【0043】
図6は、第1の実施形態に係る検査装置本体部の処理フローを示す図である。
次に、本実施形態に係る検査装置本体部10の処理フローを、
図6を参照しながら順を追って説明する。
【0044】
測定を開始する前の段階において、投射方位テーブル111には、ある画像取得領域Pに対応するレーザ光の投射方位を示す投射方位情報が予め記憶され、さらに、位置強度対応テーブル12には、各出力強度情報に初期値(Aref)が記憶されている状態にあるものとする。
【0045】
まず、レーザ投射制御部110は、1回目の走査処理を実行する(ステップS01)。具体的には、レーザ投射制御部110は、カウンタ112より入力するカウント数と、投射方位テーブル111に記憶される投射方位情報とを参照しながら、1回目の走査処理に対応する投射方位を特定する。そして、特定した投射方位に応じたMEMSミラー21への制御信号を出力する。一方、レーザ出力算出部102は、レーザ投射制御部110の走査処理に合わせて、投射方位テーブル111に記憶された出力強度情報を参照しながら、レーザ光の出力強度を特定する処理を行う(ステップS01では、レーザ光の出力強度は常にArefとなる)。
【0046】
次いで、出力強度更新部122は、ステップ01における1回目の走査処理において、光センサ120において受光する光量を示す光量情報を取得して一時的に記憶する(ステップS02)。ここで出力強度更新部122は、1回目の走査処理における投射方位(x、y)ごとの光量情報を取得する。
【0047】
次に、出力強度更新部122は、1回目の走査処理において取得した光量情報に基づいて、位置強度対応テーブル12に記憶される出力強度情報を更新する処理を行う(ステップS03)。ここで出力強度更新部122は、上述したように、新たに更新すべき各出力強度情報A00、A01、・・・を、1回目の走査時における各投射方位へのレーザ光の投射によって取得された光量と反比例する関係を有するように算出して定める。
【0048】
そして、ステップS03における位置強度対応テーブル12の更新が完了すると、レーザ投射制御部110は、直ちに2回目の走査処理を行う(ステップS04)。レーザ投射制御部110は、カウンタ112より入力するカウント数と、投射方位テーブル111に記憶される投射方位情報とを参照しながら、1回目の走査処理に対応する投射方位を再度特定する。そして、特定した投射方位に応じたMEMSミラー21への制御信号を出力する。一方、レーザ出力算出部102は、レーザ投射制御部110の2回目の走査処理に合わせて、投射方位テーブル111のステップS03で新たに更新された出力強度情報を参照しながら、レーザ光の出力強度を特定する処理を行う。
この結果、2回目の走査時において、撮像素子22が取り込むレーザ反射光の光量は均等化されたものとなる。
【0049】
撮像素子22は、2回目の走査時におけるレーザ反射光を取り込んで、画像データを取得する(ステップS05)。
ステップS05にて1ライン分の画像データの取得が完了すると、レーザ投射制御部110は、次の1ライン分の走査を行うか否かを判定する(ステップS06)。具体的には、レーザ投射制御部110は、投射方位テーブル111を参照して、次の1ライン分についての投射方位情報が存在するか否かに基づいて判定する。
ここで、次の1ライン分の走査を行う場合(ステップS06:YES)には、検査装置本体部10は、当該次の1ラインについて再度、ステップS01〜S05の処理を実行する。例えば、ステップS01〜S05において投射方位(x0、y0)〜(x0、ym)の走査処理が完了した場合には、レーザ投射制御部110は、次の1ライン分に対応する投射方位(x1、y0)〜(x1、ym)について1回目の走査処理を開始する。
一方、画像取得領域P全域の走査処理が完了し、次の1ライン分の走査を行わない場合(ステップS06:NO)には、検査装置本体部10は計測を終了する。
【0050】
以上に説明した処理フローによれば、検査装置本体部10は、1回目の走査時においてレーザ反射光の光量分布を検知した後、その光量分布が均等化されるようにレーザ光の出力強度を調整しながら再度(2回目)の走査処理を行う。そうすると、検査装置本体部10は、2回目の走査時において撮像素子22が取り込むレーザ反射光の光量が、予め定めた所定の範囲Qに収まり、均等化されることとなる。
したがって、検査装置1によれば、検査対象物Xの表面材質の影響で、レーザ光の走査処理においてレーザ反射光が極めて大きくなり反射外乱光を生成させてしまう場合や、逆にレーザ反射光が小さくなって検査対象物Xの表面を観測できなくなる状況を回避し、一層精度の高い三次元計測を実現することができる。
【0051】
以上、第1の実施形態に係る検査装置1によれば、検査対象物の表面形状をより正確に把握することができる。
【0052】
なお、上述した検査装置1の態様は、上記の内容に限定されるものではなく、以下のように変形可能である。
例えば、上述の説明において、出力強度更新部122は、位置強度対応テーブル12の出力強度情報を更新する際(
図6、ステップS03)、1回目の走査時における各投射方位に対応する出力強度情報の全てに対し、当該1回目の走査時において取得された光量と反比例する関係を有するように算出して更新することとした。
しかし、本実施形態の変形例に係る検査装置1は、例えば、光センサ120が受光する光量についての所定の上限値Rmax及び下限値Rminを設定しておき、1回目の走査時において受光する光量が、この上限値Rmaxと下限値Rminの範囲内に収まらなかった投射方位に対応する出力強度についてのみ、出力強度情報A00、A01、・・・を算出して更新する態様としてもよい。この場合において、さらに、検査対象物の表面材質等に応じて上限値Rmax、下限値Rminの何れか一方のみが設定される場合があってもよい。
【0053】
また、上述の説明において、レーザ投射制御部110は、1回目の走査処理と2回目の走査処理と、を1ライン分の走査ごとに繰り返す処理フロー(
図6、ステップS01〜S06)を実行するものと説明した。
しかし、本実施形態の他の変形例に係る検査装置1は、例えば、画像取得領域Pの全てについて1回目の走査処理を行い、その後、画像取得領域Pの全てについて2回目の走査処理を行う処理フローを実行してもよい。具体的には、出力強度更新部122は、1回目の走査時において画像取得領域P全域についての光量情報を取得して記憶し(
図6、ステップS02)、これに基づいて、位置強度対応テーブル12に記憶される全ての出力強度情報を更新する処理を行う(
図6、ステップS03)。そして、レーザ投射制御部110が、画像取得領域Pの全てについて2回目の走査処理を行う(
図6、ステップS04)。
【0054】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態に係る検査装置を、図面を参照して説明する。
図7は、第2の実施形態に係る検査装置の機能構成を示す図である。
なお、この図において、第1の実施形態と同一の機能構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0055】
図7に示すように、本実施形態に係る検査装置1は、第1の実施形態の機能構成に加え、さらに、画像取得部123を備えている。
画像取得部123は、1回目の走査時において光センサ120が取得した光量(光量情報)に基づいて、同一の検査対象物Xについて、撮像素子22が取得する画像(第1の画像)と異なる角度から撮像された第2の画像を取得する。
【0056】
ここで、第1の実施形態に係る検査装置1の場合、1回目の走査時において光センサ120を介して取得した光量情報は、出力強度更新部122のみが入力し、位置強度対応テーブル12の更新処理に利用された。
一方、第2の実施形態に係る検査装置1は、光センサ120が1回目の走査時において取得した光量情報を、出力強度更新部122に加え、さらに画像取得部123が入力して当該光量情報を一時的に記憶しておく。そして、画像取得部123は、レーザ投射制御部110が画像取得領域Pの全範囲について走査処理を完了した際に、1ラインごとの1回目の走査時において取得された全光量情報を結合して第2の画像データを形成する処理を行う。
【0057】
ここで、
図7に示すように、本実施形態に係る計測ヘッド20において、レーザ反射光を検査装置本体部10の光センサ120へと導くためのレンズLBは、撮像素子22の位置と異なる位置に配される。したがって、レンズLB、光ファイバFBを介して光センサ120へと入力される反射光に基づいて形成される第2の画像データは、撮像素子22が撮像処理によって取得する画像データ(第1の画像データ)とは異なる角度から撮像された画像データとなる。
【0058】
このように、本実施形態に係る検査装置1によれば、第2の走査時においては、撮像素子22が撮像精度の高い画像データを取得する一方で、第1の走査時においては、さらに、光センサ120(フォトダイオード)を通じて、撮像素子22が取得する画像データと異なる角度から撮像された第2の画像データを取得することが可能となる。
【0059】
図8は、第2の実施形態に係る検査装置本体部の処理フローを示す図である。
なお、この図に示す処理フローにおいて、第1の実施形態と同一の処理内容については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0060】
本実施形態に係る画像取得部123は、ステップS01の処理の後、ステップS02において、出力強度更新部122が、光センサ120を介して取得した光量情報と同一の光量情報を一時的に記憶する(ステップS07)。画像取得部123は、ステップS06の判定処理において次の1ラインの走査処理が実行される度に、ステップS07にてその1ラインに対応する光量情報を蓄積していく。
【0061】
そして、画像取得領域Pの全範囲の走査が完了した場合(ステップS06:NO)に、複数回のステップS07の処理で取得された画像取得領域Pの全範囲についての光量情報を組み合わせて一つの画像データ(第2の画像データ)を形成する処理を行う(ステップS08)。画像取得部123は、形成した第2の画像データを画像用メモリ13に記憶する。
以上のような処理フローにより、本実施形態に係る検査装置1は、光センサ120を介して取得した光量情報に基づいて、撮像素子22が取得する画像データ(以下、第1の画像データと記載)と異なる角度から撮像された第2の画像データを取得することが可能となる。
【0062】
このようにして取得された第2の画像データには、第1の画像データと異なる角度から撮像されているため、当該第1の画像データとは異なる表面形状を示す情報が含まれている場合がある。そうすると、検査装置1のオペレータは、例えば、検査対象物X表面の凹凸が大きい影響で、第1の画像データでは死角となって表面形状が不明確となっていた部分について、この第2の画像データを新たに参照することで、当該不明確となっていた部分の表面形状を把握できるようになる。また、オペレータは、第2の画像データに撮像された表面形状を参照しながら、レーザ光の投射角度や投射範囲を変更して再度の計測処理を行う際の判断材料とすることもできる。
また、本実施形態に係る検査装置1は、第1の画像データと第2の画像データとを組み合わせて、互いのデータ欠落部分を補いながら三次元形状を再現する演算処理を実施してもよい。
さらに、本実施形態に係る検査装置1は、劣悪な環境により故障した場合であっても、そのバックアップとして、光センサ120を介して画像取得部123が取得した第2の画像データを利用することも可能である。
【0063】
以上、第2の実施形態に係る検査装置によれば、第1の実施形態に加え、1回目の走査処理、及び、当該1回目の走査時時において光センサ(フォトダイオード)より取得された光量情報を、より有効に活用することができる。
【0064】
なお、第2の実施形態に係る検査装置は、上述の態様に限定されることはない。
例えば、
図8によれば、検査装置1は、1回目の走査処理(ステップS01)に基づいて光量情報を記憶し(ステップS07)、その後、2回目の走査処理に基づいて第1の画像データを取得する処理(ステップS03〜S05)を行っている。
しかし、本実施形態の他の変形例に係る検査装置1は、第1の実施形態による処理フローとは別に、例えば1回の走査処理のみに基づいて、光センサ120を介して画像取得部123が第2の画像データを取得すると同時に、撮像素子22が第1の画像データを取得する処理を行ってもよい。具体的には、
図8において、1回目の走査処理(ステップS01)に基づいて、光センサ120、画像取得部123による光量情報の記憶(ステップS07)と、撮像素子22による第1の画像データの取得(ステップS05)のみを行うこととする。
このようにすることで、第1の画像データと第2の画像データが取得される元となるレーザ光が同一となり、両画像データが同じタイミングで取得されることとなる。したがって、第1の画像データと第2の画像データとの整合性を高め、一層精度の高い三次元形状を取得することができる。
さらにこの場合、例えばCCDカメラである撮像素子22の代わりに、当該撮像素子22が配される箇所に、フォトダイオードからなる別の光センサを用いて第1の画像データを取得する態様であってもよい。
このようにすることで、撮像素子22を用いる場合よりも装置全体の構成が簡素化され、一層の小型化が可能となる。
【0065】
図9は、第1の実施形態、第2の実施形態に係る検査装置の全体構成の例を示した模式図である。
図9に示すように、上述の実施形態に係る検査装置1は、検査装置本体部10と、計測ヘッド20と、が有線ケーブルCによって連結されている。有線ケーブルCは、
図1または
図7に示した光ファイバFA、FB、及び、各種信号線が束ねてまとめられた通信ケーブルである。
図1または
図7で示したMEMSミラー21、撮像素子22等は、計測ヘッド20として一つの筐体にまとまった構成となっている。
このような構成とすれば、検査装置1のオペレータは、
図9に示すように、計測ヘッド20及び有線ケーブルCのみを筒状の狭隘部に挿通させて、当該狭隘部の先の領域における三次元計測を実施することができる。
また、第1の実施形態、第2の実施形態に係る検査装置1は、上記の構成に加え、さらに、所定の遠隔操作により、有線ケーブルCの先端を可動できる機構を備えていてもよい。このようにすることで、検査装置1のオペレータは、計測ヘッド20を一層深い狭隘部に挿通させた場合であっても、遠隔操作によって所望する領域の画像データを取得することができる。
【0066】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態に係る検査装置を、図面を参照して説明する。
図10は、第3の実施形態に係る検査装置の全体構成の例を示した模式図である。
なお、この図において、第1の実施形態及び第2の実施形態と同一の機能構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0067】
図10に示すように、本実施形態に係る検査装置1は、計測ヘッド20が2つの筐体、レーザ光投射部20A(第1筐体)と、撮像部20B(第2筐体)と、に分離されている。レーザ光投射部20Aは、有線ケーブルCAを介して検査装置本体部10に接続され、同様に撮像部20Bは、有線ケーブルCBを介して検査装置本体部10に接続されている。
また、レーザ光投射部20Aは、内部にMEMSミラー21を有しており、計測ヘッド20のうちレーザ光の投射口を有する筐体を成している。また
図10には図示しないが、レーザ光投射部20Aは、レーザ反射光を光センサ120へと送出するレンズLBも備えている。
一方、撮像部20Bは、内部に撮像素子22を備え、計測ヘッド20のうちレーザ反射光を取り込んで画像データを取得する部分を構成する筐体である。また、撮像部20Bは、この撮像素子22に加え、その筐体の長手方向に対する側面側に、側面撮像素子23を備えている。
【0068】
また、本実施形態に係る検査装置1の検査装置本体部10は、第1の実施形態(
図1)または第2の実施形態(
図7)の機能構成に加え、さらに、相対位置特定部14を備えている。この相対位置特定部14の機能構成については後述する。
【0069】
本実施形態に係る検査装置1は、以上のような双頭式の計測ヘッドとすることで、計測ヘッド20を構成する二つの筐体(レーザ光投射部20A、撮像部20B)各々を小型化することができる。したがって、本実施形態に係る検査装置1によれば、
図10に示すように、計測ヘッド20を一層狭い狭隘部へと挿通させることができる。
しかしながら、撮像素子22が取得した画像データに基づいて検査対象物X表面の三次元形状を再現するためには、例えば三角測量原理等の測量手法を用いる必要がある。そして、そのためには、レーザ光の出射口、及び、レーザ反射光を取り込む位置(撮像素子22)の相対的な位置関係を把握する必要がある。よって、本実施形態に係る検査装置1は、さらに以下のような機能構成を備えている。
【0070】
図11は、第3の実施形態に係る計測ヘッドの構造を詳細に示した図である。
図11に示すように、レーザ光投射部20Aは、その長手方向の側面側表面において、周方向に沿って複数のマーカー200が周期的に記されている。
一方、撮像部20Bの長手方向先端には、撮像素子22が設けられている。撮像素子22(第1の撮像素子)は、第1の実施形態、第2の実施形態と同様に、レーザ光投射部20Aが投射したレーザ光のレーザ反射光を取り込むことで、検査対象物Xの表面が撮像された画像データを取得する。
また、撮像部20Bは、撮像素子22とは異なる第2の撮像素子として、その側面側に配された側面撮像素子23を備えている。側面撮像素子23は、撮像素子22と同一の筐体に備えられることで、撮像素子22との相対的な位置関係が固定されている。側面撮像素子23は、その側面側に配されることで、撮像素子22とは異なる領域の画像データを取得する。
【0071】
側面撮像素子23は、レーザ光投射部20Aの側面に記されたマーカー200の配列パターンを撮像して画像データとして記憶する撮像素子(例えば、撮像素子22と同等のCCDカメラ)である。側面撮像素子23は、複数のマーカー200の配列パターンが撮像された画像データ(以下、相対位置特定用画像データ)を、相対位置特定部14に出力する。
【0072】
図12は、第3の実施形態に係る相対位置特定部の機能を説明する図である。
図12(a)、(b)、(c)には、側面撮像素子23が取得した相対位置特定用画像データの例を示している。
次に、相対位置特定部14の機能について、
図12を参照しながら説明する。
【0073】
相対位置特定部14は、側面撮像素子23から入力する相対位置特定用画像データに基づいて、レーザ光投射部20A、撮像部20Bの相対的な位置関係を特定する。この場合、マーカー200は、周方向の何れの方角から撮像されたとしても、いずれかのマーカー200が相対位置特定用画像データに取得されるように、レーザ光投射部20Aの筐体の周方向に沿って、例えば円周を8等分する間隔で複数配列されている。
【0074】
図11に示すように、周方向に沿って周期配列されるマーカー200は、それぞれ周方向ごとに異なる模様(または、色、形状等)を有して記されている。したがって、相対位置特定部14は、相対位置特定用画像データに撮像されているマーカー200の模様等の組み合わせから、レーザ光投射部20Aの筐体が、撮像部20Bに対して、周方向のいずれの方角を向いているかを特定することができる(
図12(a))。
具体的には、相対位置特定部14は、マーカー200の周方向ごとに異なる模様の配列パターンと、レーザ光投射部20Aの筐体の周方向についての回転位置を示す情報と、の対応関係が予め記憶された記憶テーブルを備えておく。そして、相対位置特定部14は、相対位置特定用画像データに撮像されたマーカー200の模様の配列パターンを抽出し、上記記憶テーブルを参照することで、レーザ光投射部20Aの筐体の周方向についての回転位置を特定する。
【0075】
また、
図11に示すように、マーカー200は、レーザ光投射部20Aの筐体の長手方向に沿って、同一の模様(または、色、形状等)をもって複数配置されている。したがって、相対位置特定部14は、この同一の模様の複数のマーカー200が、相対位置特定用画像データにおいて周期配列されている方向、または、当該長手方向に沿って放射状に広がる、または、狭まる度合いを特定することで、レーザ光投射部20Aの筐体の撮像部20Bに対する姿勢を特定することができる(
図12(b)、(c))。
例えば、相対位置特定部14は、相対位置特定用画像データに写された同一の模様の複数のマーカー200を通る直線を複数生成し、相対位置特定用画像データ内においてその直線の向く方向、及び、複数の直線の放射状に広がる、または、狭まる度合いを特定する処理を行う。
【0076】
さらに、相対位置特定部14は、周方向、長手方向に周期配列された複数マーカー200の大きさ、間隔幅を取得することで、撮像部20Bとレーザ光投射部20Aとの離間距離を特定することができる(
図12(d))。
この場合も、例えば、相対位置特定部14は、相対位置特定用画像データに写されたマーカー200の大きさまたはその間隔と、レーザ光投射部20Aの筐体との離間距離を示す情報と、の対応関係が予め記憶された記憶テーブルを備えている。
【0077】
相対位置特定部14は、以上のようにして、相対位置特定用画像データに撮像されたマーカー200の配列パターンに基づいて、撮像部20Bとレーザ光投射部20Aとの相対位置を特定する。
【0078】
このようにすることで、本実施形態に係る検査装置1は、計測ヘッド20を双頭式とし個々の筐体を小型化した際に、当該二つの筐体(レーザ光投射部20A、撮像部20B)の相対的な位置関係、すなわち、レーザ投射口と、レーザ反射光を取り込む部分(撮像素子22)と、の相対的な位置関係を取得することができる。
【0079】
以上、第3の実施形態に係る検査装置によれば、計測ヘッドを双頭式とすることでその小型化を実現し、より狭隘な領域における表面形状を計測することができる。
【0080】
なお、上述に説明した第3の実施形態に係る検査装置は、マーカー200が円形のスポット状に複数記されている例を示したが、上述したマーカー200の機能が発揮できる態様であれば、マーカー200はいかなる形状、模様、色彩等からなるものであってもよい。
【0081】
なお、上述の各実施形態に係る検査装置本体部10は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した検査装置本体部10の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)または半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0082】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。