(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1〜
図5は、本実施形態に係る収納装置の一例を模式的に示す図である。
なお、一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
また、以下の実施形態では、収納装置の正面(開閉操作の可能な側)に対面した状態を基準として、手前側を前方、その逆側を後方とし、また、その状態を基準として、上下方向及び左右方向等の方向を説明する。
【0011】
本実施形態に係る収納装置1は、
図5に示すように、前方に開口する箱体2の開口を覆う上下に複数段の前板5,7,9を設けた構成とされている。この収納装置1は、厨房(キッチン)等に設置される厨房収納装置や、洗面室等に設置される洗面台収納装置等を構成するものとしてもよい。この場合は、箱体2の上側に配される図示省略の天板に、適宜、シンクや加熱調理器(コンロ)、洗面ボウル等が組み込まれるものとしてもよい。また、収納装置1は、このような水廻り収納装置を構成するものに限られず、種々の収納装置として設置されるものとしてもよい。また、収納装置1は、複数の本実施形態に係る収納装置1,1または本実施形態に係る収納装置1と他の収納装置(キャビネット)とを組み合わせて構成される収納システムに組み込まれるものとしてもよい。
【0012】
箱体2は、
図5に示すように、左右両側の側板3,3と、背板4と、を備え、これらによって前方及び上方に向けて開口した箱型形状とされ、この前方開口が複数段の前板5,7,9によって覆われる構成とされている。また、箱体2の上側には、図示は省略しているが天板が設けられる。この天板は、当該収納装置1が備えたものとしてもよく、または、当該収納装置1を含む複数の収納装置(キャビネット)を組み合わせて収納システムを構成する場合には、収納システムが備えるものとしてもよい。この場合は、横並び状に配される複数の収納装置1の上側に、単一の天板を一連状に設けた構成としてもよい。
【0013】
また、本実施形態では、
図5に示すように、上下に3段の前板5,7,9を設けた構成としており、以下では、最上段の前板5を上段前板5、中段の前板7を中段前板7、最下段の前板9を下段前板9として説明する。
上段前板5は、本実施形態では、その後方側の箱体2の内方空間がシンクや洗面ボウル等の水槽の収容空間とされているため、開閉不能に固定された固定前板とされている(
図5(b)参照)。この上段前板5は、その後面の収納間口方向(左右方向)両端部が左右の側板3,3の各前端面に対面するようにアウトセット状に納められる構成とされている。
なお、上段前板5を固定前板とした態様に代えて、下端部等を回動支点として手前側等に開放され、包丁や俎板等を収容する薄型状の開き収納の前板としてもよく、箱体2に対して前後方向に出し入れ自在とされた上段抽斗の前板5としてもよい。この場合には、適宜、上段前板5の上端部等に手掛部等を設けるようにしてもよい。
【0014】
上段前板5の下段側に配された中段前板7は、本実施形態では、箱体2に対して収納奥行方向(前後方向)に出し入れ自在とされた中段抽斗6の前板部を構成するものとされている。
中段抽斗6は、中段前板7の後面側に、図示は省略しているが底板部や背板部、側板部等を設けた上方開口の箱状とされている。なお、中段抽斗6の左右を区画する側板部は、板状とされたものに限られず、棒状部材や線材等によって構成されたものとしてもよい。
この中段抽斗6は、箱体2の内面を構成する左右の側板3,3の互いに向き合う内側面に設けられたスライドレール等を介して箱体2に対して前後方向に出し入れ自在に支持されている。
【0015】
中段前板7は、その後面の左右方向両端部が左右の側板3,3の各前端面に対面するようにアウトセット状に納められる構成とされている。
また、この中段前板7は、
図5(a)に示すように、当該中段前板7が閉鎖状態(中段抽斗6が収容された状態)で、その前面7aが上段前板5の前面5aと略同一平面状となるように設けられている。図例では、これら中段前板7及び上段前板5の厚さ寸法を互いに略同寸法とした例を示している。また、図例では、中段前板7の上下寸法を、上段前板5の上下寸法よりも大きい寸法とした例を示している。
また、互いに閉鎖状態で、これら中段前板7の上端面と上段前板5の下端面とは僅かな隙間を隔てて対面するように配される構成とされている。この隙間は、これら上下に隣接する各前板5,7の開閉時に必要となるクリアランス等を考慮して適宜、設定するようにしてもよく、数mm〜十数mm程度としてもよい。
【0016】
なお、中段前板7の上端部等に、適宜、手掛部を設けるようにしてもよい。このような手掛部としては、例えば、前方に開口する縦断面略コ字状(略U字状または略C字状)とされた掘り込み状とされたものとしてもよい。また、この手掛部を、左右方向の全体に亘ってライン状に設けられたものとしてもよい。なお、手掛部としては、このような態様に限られず、例えば、中段前板7の前面7aに付設状に設けられる取手状の手掛部としてもよい。
また、中段前板7は、中段抽斗6の前板部を構成するものに限られず、中段の開き収納部の前方開口を開閉する開き戸を構成するものとしてもよい。
また、下段前板9の上段側に、2段の前板5,7を設けた構成に限られず、1段または3段以上の前板を設けた構成としてもよい。
また、上段前板5及び中段前板7は、木質系材料や金属系材料、合成樹脂系材料等から上記形状に形成されたものとしてもよい。また、射出成形や押出成形されたものとしてもよく、例えば、収納間口方向に沿って押出成形されたものとしてもよい。
【0017】
中段前板7の下段側に配された下段前板9は、
図5に示すように、閉鎖状態で前方に蹴込空間が形成されるように、上段側の前板としての上段前板5及び中段前板7よりも後方に配される構成とされている。本実施形態では、この下段前板9も他の前板5,7と概ね同様、アウトセット状に納められる構成とされており、箱体2の左右の側板3,3の前方下端の角部に、蹴込空間に応じた切欠状の凹所を設けた構成としている。つまり、下段前板9は、その後面の左右方向両端部が左右の側板3,3の前方下端の凹所の各前端面に対面するようにアウトセット状に納められる構成とされている。
上記蹴込空間は、閉鎖状態の下段前板9の前方側の空間とされ、互いに閉鎖状態における上段側の前板5,7の前面5a,7aから下段前板9(前板本体20)の前面21までの前後方向に沿う寸法D1(
図1(b)参照)に相当する空間とされている。この蹴込空間は、収納装置1に対面して左右方向に移動しながら作業する使用者の足先を受け入れ可能な空間としてもよく、適宜の大きさとしてもよい。例えば、蹴込空間の前後方向に沿う寸法(D1)を、30mm〜70mm程度としてもよく、また、蹴込空間の上下方向に沿う寸法(下段前板9の上下寸法に概ね相当する寸法)を、50mm以上としてもよい。
【0018】
また、本実施形態では、下段前板9を、箱体2に対して前後方向に出し入れ自在とされた下段抽斗8の前板部を構成するものとしている。
下段抽斗8は、中段抽斗6と概ね同様、下段前板9の後面側に、図示は省略しているが底板部や背板部、側板部等を設けた上方開口の箱状とされている。なお、下段抽斗8の左右を区画する側板部は、板状とされたものに限られず、棒状部材や線材等によって構成されたものとしてもよい。
この下段抽斗8は、箱体2の内面を構成する左右の側板3,3の互いに向き合う内側面に設けられたスライドレール等を介して箱体2に対して前後方向に出し入れ自在に支持されている。
【0019】
また、図例では、この下段前板9の上下寸法を、その直上の中段前板7の上下寸法よりも小さい寸法とし、また、上段前板5の上下寸法と概ね同寸法とした例を示している。
また、この下段前板9は、その上面12と中段前板7の下端面7bとの間に上下方向に沿う僅かな隙間が形成されるように配される構成とされている。また、下段前板9は、その下端面と当該収納装置1が設置される床面等の設置面との間に上下方向に沿う僅かな隙間が形成されるように配される構成とされている。これら隙間は、上記と概ね同様、下段前板9の開閉時に必要となるクリアランス等を考慮して適宜、設定するようにしてもよく、数mm〜十数mm程度としてもよい。なお、床面側の隙間は、これよりも大きい隙間としてもよい。
また、本実施形態では、
図5(b)に示すように、各前板5,7,9を、左右方向に長尺状とされたものとした例を示している。なお、このような態様に代えて、これら前板5,7,9の全部または一部を、上下方向に長尺とされたものとしてもよい。
また、下段前板9は、下段抽斗8の前板部を構成するものに限られず、下段の開き収納部の前方開口を開閉する開き戸を構成するものとしてもよい。
【0020】
次に、
図1〜
図4を参照して、下段前板9の具体的構成の一例について説明する。
下段前板9は、
図1及び
図2に示すように、上端部に収納間口方向の全体に亘って手掛部11を設けた手掛部材10と、平板状の前板本体20と、に上下に分割された構成とされている。また、下段前板9は、これら手掛部材10及び前板本体20のそれぞれに設けられた係合部17,23を互いに係合させて接合される構成とされている。本実施形態では、これら手掛部材10及び前板本体20の各係合部17,23を、上下方向に互いに係合する構成としている。また、これら係合部17,23のうちの一方を、係合凸部17とし、他方を、この係合凸部17が嵌め入れられる係合凹部23としている。
また、本実施形態では、下段前板9を、
図4及び
図5に示すように、これら手掛部材10及び前板本体20の収納間口方向両端部のそれぞれに取り付けられる一対のキャップ部材30,30を備えた構成としている。
【0021】
前板本体20は、
図1及び
図2に示すように、厚さ方向を前後方向に沿わせた平板状とされており、当該下段前板9の上下方向の大部分を構成する。図例では、前板本体20の上下寸法を、下段前板9の上下寸法の4/5程度の寸法とした例を示しているが、前板本体20の上下寸法を、下段前板9の上下寸法の3/5以上の寸法としてもよい。
また、この前板本体20の厚さ寸法は、上記した上段側の前板5,7の厚さ寸法と略同寸法とされている。
また、この前板本体20は、縦断面形状(収納間口方向に見た断面形状)が収納間口方向の全体に亘って一様な形状とされている。
【0022】
また、本実施形態では、
図1及び
図3(a)、(b)に示すように、前板本体20の上端部に、係合部17,23の他方としての係合凹部23を設けている。この係合凹部23は、上方に向けて開口し、前板本体20の収納間口方向の全体に亘って凹溝状に設けられている。
この係合凹部23は、前後方向(板厚方向)に間隔を空けて設けられた一対の壁状片部24,24によって、前後方向に向く両溝内側面を区画した構成とされている。これら一対の壁状片部24,24は、厚さ方向を前後方向に沿わせた薄板状とされ、互いに略平行状に設けられている。
【0023】
また、これら一対の壁状片部24,24のうちの前方側の壁状片部24は、その前面が前板本体20の他の部位の前面21と同一平面状となるように設けられている。また、これら一対の壁状片部24,24のうちの後方側の壁状片部24は、その後面が前板本体20の他の部位の後面よりも僅かに後方側に位置するように設けられている。
また、これら一対の壁状片部24,24は、それぞれの上端面25,25が略同一平面状となるように設けられている。これら壁状片部24,24の上端面25,25が前板本体20の上端面を構成する。
また、図例では、これら一対の壁状片部24,24の互いに対向する内側面の上端側部位を、上方に向かうに従い拡開状のテーパー形状としている。このような構成とすれば、係合凹部23に、手掛部材10の係合凸部17をスムーズに嵌め入れることができる。
【0024】
また、本実施形態では、係合凹部23の溝底側を区画する底部に、手掛部材10の係合凸部17に設けられた被係止部18を係止する係止部26を設けている。本実施形態では、係止部26を、前後方向(板厚方向)に間隔を空けて設けられ、底部から上方に向けて突出する一対の係止爪片部26,26としている。また、これら一対の係止爪片部26,26は、それぞれが隣接する側の壁状片部24,24との間に、前後方向(板厚方向)に間隔を空けて設けられている。
これら一対の係止爪片部26,26の上下寸法は、互いに略同寸法とされ、一対の壁状片部24,24の上下寸法よりも小さい寸法とされている。つまり、これら一対の係止爪片部26,26は、係合凹部23内に設けられている。
また、これら一対の係止爪片部26,26は、厚さ方向を前後方向に沿わせた薄板状とされ、収納間口方向の全体に亘って互いに略平行状に設けられている。また、これら一対の係止爪片部26,26は、それぞれの上端部の反対向側部位に係止爪を設けた構成とされている。
【0025】
また、本実施形態では、前板本体20を、収納間口方向に貫通する中空部22を設けた中空構造としている。また、本実施形態では、前板本体20に、複数(図例では、2つ)の中空部22,22を上下に設けた構成としている。
これら中空部22,22は、これらの周囲を区画し、前板本体20の外郭形状を構成する壁部の厚さが概ね一様な厚さで比較的に薄い厚さとなるように形成されている。また、図例では、これら中空部22,22の周囲を区画する壁部の厚さ寸法を、上記した一対の壁状片部24,24の厚さ寸法よりも小さい寸法とした例を示している。
【0026】
手掛部材10は、
図1及び
図2に示すように、縦断面形状(収納間口方向に見た断面形状)が収納間口方向の全体に亘って一様な形状とされている。
また、本実施形態では、手掛部材10を、前板本体20の前面21よりも前方に向けて突出するように手掛部11を設けた構成としている。
この手掛部11は、上下方向に厚さ方向を沿わせた薄板状とされ、その前端部に下方に向けて垂れ下がるように、手掛かりとなる前端片部を設けた構成とされている。この手掛部11の前端面13から前板本体20の前面21までの前後方向に沿う寸法D2、つまりは、手掛部11の前方への突出寸法D2は、上記した蹴込空間の前後寸法D1に応じて、また、手掛け性や見栄え上の観点から適宜、設定するようにしてもよい。本実施形態では、手掛部11の前端面13を、互いに閉鎖状態で、中段前板7の前面7aよりも前方へ突出しないように設けている。つまり、手掛部11の前方への突出寸法D2を、蹴込空間の前後寸法D1と略同寸法または蹴込空間の前後寸法D1よりも小さい寸法としている。図例では、手掛部11の前端面13を、互いに閉鎖状態で、中段前板7の前面7aよりも僅かに後方に位置する構成とした例を示している。なお、このような態様に代えて、手掛部11の前端面13を、互いに閉鎖状態で、中段前板7の前面7aと略同一平面状となるように設けるようにしてもよい。
【0027】
また、本実施形態では、手掛部材10を、前板本体20に連なるように設けられる板状部14を備えた構成としている。手掛部11は、この板状部14の上端から前方に向けて突出するように設けられており、これらの上面12は同一平面状とされている。
この板状部14は、その厚さ寸法が前板本体20の厚さ寸法と略同寸法とされている。また、板状部14の前面15は、互いに接合された状態で、前板本体20の前面21と略同一平面状とされる。この板状部14の前面15は、前板本体20の前面21とともに下段前板9の前面を構成する。
また、本実施形態では、板状部14を、収納間口方向に貫通する中空部16を設けた中空構造としている。本実施形態では、板状部14に、単一の中空部16を設けた構成としている。この中空部16は、この周囲を区画し、板状部14の外郭形状を構成する壁部の厚さが概ね一様な厚さで比較的に薄い厚さとなるように形成されている。図例では、板状部14の前後両側及び下端側の外郭形状を構成する壁部の厚さを、前板本体20の外郭形状を構成する壁部の厚さと略同寸法とした例を示している。また、図例では、板状部14の前後両側及び下端側の外郭形状を構成する壁部の厚さを、手掛部11及び板状部14の上端側の外郭形状を構成する壁部の厚さよりも小さい寸法とした例を示している。
なお、図例では、板状部14の上下寸法を、板状部14の前後方向に沿う厚さ寸法よりも大きくした例を示しているが、板状部14の厚さ寸法よりも小さい寸法としてもよい。
【0028】
また、本実施形態では、
図1及び
図3(a)、(b)に示すように、手掛部材10の板状部14の下端部に、係合部17,23の一方としての係合凸部17を設けている。この係合凸部17は、下方に向けて突出し、手掛部材10の収納間口方向の全体に亘って凸条状に設けられている。この係合凸部17の下方側への突出寸法は、前板本体20の係合凹部23の深さ寸法と略同寸法とされている。つまり、係合凸部17を係合凹部23に嵌め入れた状態では、係合凸部17の先端が係合凹部23の底部に当接または近接対面される構成とされている。
また、この係合凸部17は、当該係合凸部17の前後両側に、前板本体20の一対の壁状片部24,24の厚さに応じた受け入れ凹所が形成されるように板状部14の下端部に設けられている。つまり、板状部14の下端の前後両側に、前板本体20の一対の壁状片部24,24の上端面25,25に当接または近接対面される下方側に向く段壁部19,19を設けた構成とされている。手掛部材10の前面側の段壁部19及び前板本体20の前面側の壁状片部24の上端面25が、手掛部材10と前板本体20との前面側における境界(継目)を構成する。
【0029】
また、本実施形態では、係合凸部17を、前後方向(板厚方向)に間隔を空けて設けられ、板状部14の下端部から下方に向けて突出する一対の係合突片17,17としている。
これら一対の係合突片17,17は、厚さ方向を前後方向に沿わせた薄板状とされ、収納間口方向の全体に亘って互いに略平行状に設けられている。また、これら一対の係合突片17,17は、それぞれの反対向側面(前後方向外方側に向く面)が、前板本体20の一対の壁状片部24,24の互いに対向する内側面のそれぞれに沿うように当接される構成とされている。
また、これら一対の係合突片17,17の下端部には、前板本体20の係合凹部23に設けられた一対の係止爪片部26,26にそれぞれ係止される被係止部18,18が設けられている。これら一対の係合突片17,17の被係止部18,18は、手掛部材10の収納間口方向の全体に亘って設けられている。また、これら被係止部18,18は、前板本体20の一対の係止爪片部26,26と、これらのそれぞれが隣接する側の壁状片部24,24と、の間に、嵌め入れられるように挿入され、係止される構成とされている。図例では、一対の係合突片17,17の下端部の被係止部18,18を、互いに近接する側に向けて突出するような被係止凸条とした例を示している。
【0030】
上記構成とされた手掛部材10と前板本体20とは、
図1及び
図2に示すように、互いの係合部17,23を上下に係合させて上下に接続される。
また、本実施形態では、
図1(b)に示すように、互いに閉鎖状態における上段側に隣接する中段前板7の前面7aから下段前板9(前板本体20)の前面21までの前後方向に沿う寸法D1を、上段側に隣接する中段前板7の下端面7bから手掛部材10と前板本体20との前面側における境界19,25までの上下方向に沿う寸法H1よりも大きくしている。つまり、中段前板7及び下段前板9が互いに閉鎖された状態で、前方側から斜め下向き45度の俯角でこれらの前面7a,21を見た際に、手掛部材10と前板本体20との前面側における境界19,25が中段前板7によって遮蔽される構成としている。
【0031】
また、本実施形態では、
図1(b)に示すように、手掛部材10の手掛部11の前端面13から下段前板9(前板本体20)の前面21までの前後方向に沿う寸法D2を、手掛部材10の上面12から手掛部材10と前板本体20との前面側における境界19,25までの上下方向に沿う寸法H2よりも大きくしている。つまり、前方側から斜め下向き45度の俯角で当該下段前板9の前面21を見た際に、手掛部材10と前板本体20との前面側における境界19,25が手掛部11によって遮蔽される構成としている。
【0032】
なお、上記構成とされた手掛部材10及び前板本体20は、アルミニウム等の金属系材料や、硬質の合成樹脂系材料等から上記形状にそれぞれ一体的に形成されたものとしてもよい。また、手掛部材10及び前板本体20は、射出成形や押出成形されたものとしてもよく、例えば、収納間口方向に沿って押出成形されたものとしてもよい。このような成形態様とすれば、収納間口方向に見た断面形状がそれぞれに収納間口方向の全体に亘って一様な形状とされた手掛部材10及び前板本体20を、効率的に製造することができる。なお、このような態様に代えて、適宜、曲げ加工や切削、打ち抜き、鋳造成形等によって形成されたものとしてもよく、別部材とされた各片部を適宜、溶接等によって接合して形成されたものとしてもよい。
【0033】
また、手掛部材10及び前板本体20の少なくとも閉鎖状態で前面側に露出する表面に、適宜、化粧シートの貼着や塗装等によって表面化粧処理を施すようにしてもよい。この場合、手掛部材10と前板本体20とを、互いに同色同柄状としてもよい。または、手掛部材10と前板本体20とを、互いに異なる色柄等としてもよい。この場合は、例えば、手掛部材10を、金属調(メタリック調)の色柄とし(この場合は、表面化粧処理を施さない態様としてもよい。)、前板本体20を、木目模様等の色柄としてもよい。その他、種々の色柄等を採用するようにしてもよい。
【0034】
一対のキャップ部材30,30は、上記構成とされた接合状態の手掛部材10及び前板本体20の収納間口方向両端面のそれぞれを覆う構成とされている。
これら一対のキャップ部材30,30は、概ね同様の構成とされており、互いに左右反転させたような形状とされている。
また、本実施形態では、
図3(c)及び
図4に示すように、一対のキャップ部材30,30の収納間口方向に見た外郭形状を、接合状態の手掛部材10及び前板本体20の収納間口方向に見た外郭形状よりも僅かに大きい形状としている。また、一対のキャップ部材30,30に、接合状態の手掛部材10及び前板本体20の収納間口方向両端部の周縁部を全周に亘ってそれぞれに覆う周縁覆い部31,31を設けた構成としている。このような構成とすれば、接合された手掛部材10及び前板本体20の収納間口方向両端部を、見栄え良く覆うことができる。また、これら手掛部材10及び前板本体20が金属系材料等から形成され、収納間口方向の寸法が切断等によって調整されたものである場合には、これらの切断端面及び周縁部(エッジ)をキャップ部材30,30の周縁覆い部31,31によって覆うことができる。
【0035】
また、本実施形態では、
図3(c)及び
図4に示すように、これら一対のキャップ部材30,30に、接合状態の手掛部材10及び前板本体20の各中空部16,22に挿入されて接合状態を保持する接合保持部32,33をそれぞれに設けている。
これら接合保持部32,33は、互いの係合部17,23が係合されて接合された手掛部材10と前板本体20との係合解除を抑止する構成とされ、これらの係合態様に応じた構成とされている。本実施形態では、手掛部材10及び前板本体20の係合部17,23を上下方向に互いに係合する構成とし、接合保持部32,33を、これらの係合解除を抑止するように手掛部材10と前板本体20との上下方向への離反を抑止する構成としている。このような接合保持部32,33としては、手掛部材10の中空部16内の少なくとも上向きの内面に当接される手掛側接合保持部32と、前板本体20の中空部22内の少なくとも下向きの内面に当接される本体側接合保持部33と、を有した構成等としてもよい。
【0036】
本実施形態では、各キャップ部材30,30に、手掛部材10の中空部16に挿入される手掛側接合保持部32と、前板本体20の各中空部22,22にそれぞれ挿入される本体側接合保持部33,33と、を設けている。これら接合保持部32,33,33は、それぞれの外郭形状が各中空部16,22,22の内周形状に応じた形状とされている。図例では、これら各接合保持部32,33,33を、それぞれの外周面が各中空部16,22,22の内周面に概ね全周に亘って当接または近接対面する形状としている。
なお、これら接合保持部32,33,33は、上記した態様に限られず、手掛部材10及び前板本体20の各中空部16,22の形状や各係合部17,23の係合態様等に応じて、適宜、変形可能である。また、これら接合保持部32,33,33の収納間口方向に沿う寸法(各キャップ部材30,30の本体部となる端面カバー部から収納間口方向内方側への突出寸法)は、手掛部材10と前板本体20との接合状態を保持する観点等から適宜、設定するようにしてもよい。また、例えば、当該収納装置1の収納間口寸法が複数種に定格化されているような場合には、最小幅の下段前板9の手掛部材10及び前板本体20の各中空部16,22に挿入可能な寸法等としてもよい。
【0037】
また、本実施形態では、
図3(c)に示すように、各キャップ部材30,30に、手掛部材10と前板本体20とが接合された状態で手掛部材10の一対の係合突片17,17間に挿入される係合挿入部34を設けている。また、この係合挿入部34に、手掛部材10の一対の係合突片17,17の被係止部18,18と前板本体20の係合凹部23の係止部26,26との係止状態を保持する係止保持部35を設けている。このような構成とすれば、手掛部材10と前板本体20との接合状態をより強固に保持することができる。
【0038】
係合挿入部34は、互いに係合状態における一対の係合突片17,17の対向内側面、これらの基端部間の下向きの面(板状部14の下端面)及び係合凹部23の一対の係止爪片部26,26の先端面(上端面)に当接または近接対面するようブロック状とされている。
また、係止保持部35は、係合挿入部34の下端側に連なるように設けられ、係合凹部23の一対の係止爪片部26,26間に挿入される構成とされている。この係止保持部35は、一対の係止爪片部26,26の対向内側面に当接または近接対面する形状とされ、これら一対の係止爪片部26,26の互いに近接する側への変形を抑止し、係止状態を保持する構成とされている。
【0039】
なお、係合挿入部34及び係止保持部35は、上記した態様に限られず、手掛部材10及び前板本体20の各係合部17,23の形状や係止態様等に応じて、適宜、変形可能である。また、これらの収納間口方向に沿う寸法は、上記した接合保持部32,33,33と概ね同様の観点から適宜、設定するようにしてもよい。また、これら係合挿入部34及び係止保持部35のうちの一方のみを設けた構成としてもよい。また、例えば、係合挿入部34を、一対の係合突片17,17間に圧入されるものとし、これにより、一対の係合突片17,17と係合凹部23との係合状態を保持可能としたような構成等としてもよい。
【0040】
また、本実施形態では、
図4(c)に示すように、各キャップ部材30,30に、下段抽斗8の側板部を連結するための固定具が挿入され、この固定具を保持する固定保持凹部36,36を設けている。これら固定保持凹部36,36は、各キャップ部材30,30の接合保持部(図例では、本体側接合保持部)33,33の後面において開口するように設けられている。また、本実施形態では、各キャップ部材30,30に、上下方向に間隔を空けて複数箇所(図例では、4箇所)に固定保持凹部36,36を設けた構成としている。また、前板本体20の後面部には、これら固定保持凹部36,36に板厚方向で一致する位置となるように、貫通孔27,27が設けられている(
図2も参照)。
【0041】
上記のような固定保持凹部36,36を設けた構成とすれば、下段前板9(前板本体20)を中空構造として軽量化等を図りながらも、側板部を連結するための固定具を比較的に強固に保持することができる。
なお、固定保持凹部36,36は、下段前板9を、開き戸とした場合には、蝶番等の回動連結部材の固定座を保持するものとしてもよい。この場合は、一方のキャップ部材30のみに固定保持凹部36を設けた構成等としてもよい。
また、キャップ部材30,30は、合成樹脂系材料や金属系材料等から上記形状に一体的に形成されたものとしてもよい。
【0042】
また、上記構成とされた下段前板9は、手掛部材10及び前板本体20の各係合部17,23を互いに係合させ、収納間口方向両側にキャップ部材30,30を取り付けることで組み付けるようにしてもよい。また、手掛部材10と前板本体20とを、ねじ等の止具や接着剤を併用して接合するようにしてもよい。この場合、例えば、前板本体20の後面側の壁状片部24及び手掛部材10の後面側の係合突片17に、後面側から止具を止着するような態様等としてもよい。また、キャップ部材30,30を、適宜、接着剤等によって手掛部材10及び前板本体20に取り付けるようにしてもよい。
【0043】
本実施形態に係る収納装置1は、上述のような構成としたことで、前板9の寸法や表面意匠などの違いに効率的に対応し得て汎用性を向上させながらも、見栄えを向上させることができる。
つまり、複数段の前板5,7,9のうちの最下段の前板9を、上端部に収納間口方向の全体に亘って手掛部11を設けた手掛部材10と平板状の前板本体20とに上下に分割されたものとしている。従って、例えば、上端側の手掛部材10を共通部品とし、前板本体20の上下寸法や色柄等を異ならせたり、前板本体20を共通部品とし、上端側の手掛部材10の形状等を異ならせたりすることができ、寸法や表面意匠などの違いに効率的に対応し得て汎用性を向上させることができる。また、このように手掛部材10と前板本体20とを上下に分割した構成とすることで、押出成形等によって成形する場合には、金型(ダイス)を小型化することができ、生産性を向上させることができる。また、このように押出成形されたものとすれば、最下段の前板9の収納間口寸法の違いにも容易に対応することができる。
【0044】
また、前板本体20の上端部に手掛部材10を上下に分割して設けた構成としているので、手掛部材10と前板本体20との色柄等を異ならせた場合には、これらの前面側の境界19,25が目立ち難くなり、見栄えを向上させることができる。
また、これら手掛部材10及び前板本体20のそれぞれに係合部17,23を設け、これらの係合部17,23を互いに係合させて接合される構成としている。従って、組付性を向上させることができる。
また、最下段の前板9を、閉鎖状態で前方に蹴込空間が形成されるように上段側の前板7よりも後方に配される構成としている。従って、手掛部材10と前板本体20との前面側の境界19,25が、最下段の前板9自体の上端側部位に位置することも相俟って、起立状態で前方側に位置する使用者の視界に入り難くなり、上記のように分割した構成でありながらも、見栄えをより向上させることができる。
【0045】
また、本実施形態では、互いに閉鎖状態における上段側の前板7の前面7aから前板本体20の前面21までの前後方向に沿う寸法D1を、上段側の前板7の下端面7bから手掛部材10と前板本体20との前面側における境界19,25までの上下方向に沿う寸法H1よりも大きくしている。従って、手掛部材10と前板本体20との前面側の境界19,25を、起立状態で前方側に位置する使用者の視界により入り難くすることができ、見栄えをより向上させることができる。なお、このような態様代えて、上段側の前板7の前面7aから前板本体20の前面までの前後方向に沿う寸法D1を、上段側の前板7の下端面7bから手掛部材10と前板本体20との前面側における境界19,25までの上下方向に沿う寸法H1よりも小さくしてもよく、また、これらの寸法を同寸法としてもよい。
【0046】
また、本実施形態では、手掛部材10を、前板本体20の前面21よりも前方に向けて突出するように手掛部11を設けた構成としている。従って、閉鎖状態で前方に蹴込空間が形成されるように上段側の前板7よりも後方に配される構成としながらも、手掛操作性を向上させることができる。
また、この手掛部11の前端面13から前板本体20の前面21までの前後方向に沿う寸法D2を、手掛部材10の上面12から手掛部材10と前板本体20との前面側における境界19,25までの上下方向に沿う寸法H2よりも大きくしている。従って、手掛部材10と前板本体20との前面側の境界19,25を、起立状態で前方側に位置する使用者の視界により入り難くすることができ、見栄えをより向上させることができる。また、最下段の前板9自体の手掛部材10の手掛部11によって、手掛部材10と前板本体20との前面側の境界19,25を視界に入り難くすることができるので、当該最下段の前板9を開放させた状態においても境界19,25を視界に入り難くすることができる。なお、このような態様代えて、手掛部11の前端面13から前板本体20の前面21までの前後方向に沿う寸法D2を、手掛部材10の上面12から手掛部材10と前板本体20との前面側における境界19,25までの上下方向に沿う寸法H2よりも小さくしてもよく、また、これらの寸法を同寸法としてもよい。また、例えば、手掛部11の突出寸法を小さくして掘り込み状とされたものとしてもよい。
【0047】
また、本実施形態では、手掛部材10及び前板本体20の各係合部17,23を、上下方向に互いに係合する構成としている。従って、例えば、これらの係合部17,23を前後方向(板厚方向)に係合する構成とした場合と比べて、手掛部11をして概ね前後方向に沿う方向に開閉される際に掛かる荷重に効果的に対抗でき、がたつき等を抑制することができる。また、これらの係合部17,23を前後方向に係合する構成とした場合と比べて、互いの係合の過不足等による前面側の境界19,25における段差等を生じ難くすることができる。なお、このような態様に代えて、これらの係合部17,23を前後方向(板厚方向)に互いに係合する構成としてもよく、また、これらの係合部17,23を収納間口方向にスライドさせるように係合する構成としてもよい。これらの場合には、キャップ部材30,30の接合保持部32,33,33等を適宜、変形するようにしてもよい。
【0048】
また、本実施形態では、手掛部材10に、前板本体20に連なるように設けられる板状部14を設けた構成としている。従って、このような板状部14を設けないものと比べて、前板本体20の上下寸法を小さくすることができ、押出成形等によって成形する場合には、前板本体20の金型(ダイス)をより小型化することができ、生産性を向上させることができる。
また、本実施形態では、前板本体20を、収納間口方向に貫通する中空部22を設けた中空構造とし、手掛部材10を、収納間口方向に貫通する中空部16を設けた中空構造とされ前板本体20に連なるように設けられる板状部14を備えたものとしている。従って、最下段の前板9の軽量化を図ることができる。また、押出方向を収納間口方向に沿わせて押出成形等によって容易に成形することができる。
【0049】
また、本実施形態では、最下段の前板9を、前板本体20及び手掛部材10の各中空部16,22に挿入されて接合状態を保持する接合保持部32,33をそれぞれに有しかつ収納間口方向両端部のそれぞれに取り付けられる一対のキャップ部材30,30を備えたものとしている。従って、一対のキャップ部材30,30によって手掛部材10及び前板本体20の収納間口方向両端側の開口を覆うことができる。また、これら一対のキャップ部材30,30によって手掛部材10と前板本体20との接合状態を保持させることができ、組付性及び接合強度を向上させることができる。また、手掛部材10及び前板本体20の収納間口方向両端側の開口を覆う一対のキャップ部材30,30を接合保持部32,33として機能させることができ、省部品化を図ることができる。
なお、このような接合保持部32,33を、一対のキャップ部材30,30に設けないようにしてもよく、さらには、これらキャップ部材30,30自体を設けないようにしてもよい。つまりは、最下段の前板9を、手掛部材10と前板本体20とを備えた構成としてもよい。また、手掛部材10の板状部14及び前板本体20の両方または一方を、中実構造としてもよい。
【0050】
また、本実施形態では、手掛部材10に、前板本体20に連なるような板状部14を設けた構成としているが、このような板状部14を設けないようにしてもよい。
また、本実施形態では、手掛部材10に、係合凸部17を設け、前板本体20に、この係合凸部17が嵌め入れられる係合凹部23を設けた構成としているが、これらを逆に設けるようにしてもよい。つまり、前板本体20に、係合凸部を設け、手掛部材10に、この係合凸部が嵌め入れられる係合凹部を設けた構成としてもよい。
また、手掛部材10及び前板本体20の各係合部17,23は、着脱自在に互いに係合する構造とされたものとしてもよい。