特許第6233968号(P6233968)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233968
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】床パネルの支持装置
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/024 20060101AFI20171113BHJP
   E04F 15/00 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   E04F15/024 603D
   E04F15/00 101J
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-2246(P2014-2246)
(22)【出願日】2014年1月9日
(65)【公開番号】特開2015-129424(P2015-129424A)
(43)【公開日】2015年7月16日
【審査請求日】2016年11月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000103404
【氏名又は名称】オーエム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114535
【弁理士】
【氏名又は名称】森 寿夫
(74)【代理人】
【識別番号】100075960
【弁理士】
【氏名又は名称】森 廣三郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155103
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 厚
(74)【代理人】
【識別番号】100187838
【弁理士】
【氏名又は名称】黒住 智彦
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 誠二
(72)【発明者】
【氏名】赤木 孝明
【審査官】 前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−234435(JP,A)
【文献】 特開平04−293853(JP,A)
【文献】 特開2003−120006(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00567679(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/00−15/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎床面に固定される接地板に雄ネジ体を立設した支持脚と、前記雄ネジ体に螺着する雌ネジ体を有する支持板とからなり、二重床を構成する床パネルを前記支持板に載せて位置固定させる床パネルの支持装置において、
雄ネジ体は、上方に雄ネジを刻んだ本体の下端に、前記本体から水平に突出するフランジであるツバと、前記ツバより下方に突出する円筒部とを設け、
接地板は、雄ネジ体の円筒部を挿通する連結孔を、前記円筒部の水平方向のかしめ代を確保する平面で囲んだ平面視形状で、かつ接地面から前記円筒部の垂直方向のかしめ代の高さで膨出した中央ビードと、前記中央ビードの連結孔に円筒部を挿入した雄ネジ体のツバの外周縁に交差して延び、接地面から膨出した複数の補強ビードとをそれぞれ接地面に設けてなり、
雄ネジ体は、ツバの外周縁を補強ビードに載せ、接地板の中央ビードに設けた連結孔から下方に突出させた円筒部を半径方向外側に拡開するようにかしめて接地板と結合し、支持脚を構成することを特徴とする床パネルの支持装置。
【請求項2】
接地板は、中央ビードの連結孔に円筒部を挿入した雄ネジ体のツバの外周縁に交差して前記中央ビードから延びる複数の補強ビードを設けた請求項1記載の床パネルの支持装置。
【請求項3】
接地板は、中央ビードの連結孔に円筒部を挿入した雄ネジ体のツバの外周縁に直交して延びる複数の補強ビードを設けた請求項1又は2記載の床パネルの支持装置。
【請求項4】
接地板は、雄ネジ体のツバの外周縁が載る上面が平坦面であり、前記外周縁が周方向線状に当接する請求項1〜3いずれか記載の床パネルの支持装置。
【請求項5】
接地板は、中央ビードに開口した連結孔の内周縁に、半径方向内向き又は下方に突出する回り止め突起を1又は複数設けた請求項1〜4いずれか記載の床パネルの支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎床面に固定される接地板に雄ネジ体を立設した支持脚と、前記雄ネジ体に螺着する雌ネジ体を有する支持板とからなり、二重床を構成する床パネルを前記支持板に載せて位置固定させる床パネルの支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二重床を構成する床パネルは、基礎床面に固定される接地板に雄ネジ体(例えばボルト)を立設した支持脚と、前記雄ネジ体に螺着する雌ネジ体を有する支持板とからなる支持装置の前記支持板に角部を載せて位置固定されることにより、基礎床面に対して空間を空けて二重床を構築する。雄ネジ体は、接地板と分離不能に結合されていればよく、接地板に開口した連結孔に挿通させた下端をかしめたり(特許文献1又は特許文献2)、接地板に上方から当接させた下端を溶接したり(特許文献3)して、接地板に結合される。
【0003】
特許文献1が開示する床パネルの支持装置は、金属製円板である接地板(接地板4)の中央に雄ネジ体(ボルト5)を立設した構成である。接地板は、金属製円板の中央を円錐台に膨出させて中央ビードを形成し、前記円錐台の上面と同じ高さで前記中央ビードから放射状に延びる複数の補強ビード(凸条2)を設けている(特許文献1・[0007][図3])。雄ネジ体は、中央ビード中央に設けた連結孔から下方に下端の円筒部を突出させ、前記円筒部直上に設けられたツバを中央ビードの上面に上方から接面させ、前記円筒部を拡開して下方から中央ビードにかしめて、接地板に結合している(特許文献1・[図1])。
【0004】
特許文献2が開示する床パネルの支持装置は、金属製方形板である接地板(接地板7)の中央に雄ネジ体(雄ネジ体8)を立設した構成である。接地板は、金属製方形板の中心を含む円盤状の中央ビードから放射状に延びる複数の補強ビード(補強ビード10)を設けている(特許文献2・[0010])。雄ネジ体は、中央ビード中央に設けた連結孔(孔9)から下方に下端の円筒部を突出させ、前記円筒部直上に設けられた円環状のツバ(頭部8a)を中央ビードに上方から接面させ、前記円筒部を拡開して下方から中央ビードにかしめ、接地板に結合している(特許文献2・[図3])。
【0005】
特許文献3が開示する床パネルの支持装置は、金属製方形板である接地板(ベース部51)の中央に雄ネジ体(立設部52)を立設した構成である。接地板は、金属製方形板の中心に同心である円環状ビード(凹部512)と、前記円環状ビードを横断し、金属方形板の中心で直交関係に交差する2本の補強ビード(凹部513)とを設けている(特許文献3・[0030])。雄ネジ体は、接地板中央にかしめた上で溶接している(特許文献3・[0030][図10])。具体的にどのようにかしめているかは、説明及び図が省略されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平05-230983公報
【特許文献2】特開2000-234435公報
【特許文献3】特開2011-140856公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
接地板と雄ネジ体との結合手段は、両者が分離せず、結合が安定する、例えばがたつかなければ、自由に選択できる。これから、かしめ結合と溶接結合とを検討した場合、両者の併用よりどちらか一方を選択し、どちらか一方であればかしめ結合を選択する方が、製造コストが低減できて好ましい。特許文献1及び特許文献2が開示する支持装置の接地板と雄ネジ体とが、いずれもかしめ結合を採用している理由は、こうした製造コストの低減を目的とするところが大きい。
【0008】
特許文献1及び特許文献2が開示する支持装置は、いずれも接地板の接地面(基礎床面に接面する基本平面)から上方に膨出させた平面視円形の中央ビードに雄ネジ体のツバを載せ、前記中央ビードの中央に開口した連結孔から下方に突出させた円筒部を半径方向外向きに拡開するようにかしめている。中央ビードは、接地板の強度及び剛性を高める構造要素であるほか、接地面から下方に突出部分が形成されないように、雄ネジ体の円筒部をかしめた変形部分を逃がすかしめ代(余剰空間)を水平方向及び上下方向に形成する。特許文献1及び特許文献2が開示する支持装置は、円筒部のかしめた部分と対になって中央ビードを挟み込むように、ツバを前記中央ビードに載せている。
【0009】
このため、床パネルや設置物又は歩行者の荷重は、雄ネジ体を介してすべて接地板の中央ビードの上面に加えられることになるので、従来の接地板は、強度又は剛性の高い材料を用いたり、材料そのものの板厚を大きくしたりして、前記荷重による中央ビードの陥没を抑制又は防止していた。これは、接地板に掛かる材料コストを高くさせ、ひいては支持装置の製造コストを高くさせていた。こうしたコスト増は、接地板単体では微少であるが、二重床を構成する支持装置は非常に多数が利用されるため、一つの二重床当たりのコスト増になると、無視できないものになっていた。
【0010】
接地板と雄ネジ体との結合手段としてかしめ結合を採用する限り、かしめた変形部分を逃がすかしめ代を確保するために中央ビードの存在が必要であり、また前記中央ビードに雄ネジ体のツバを載せる限り、接地板の材料コストを高くする事態を回避できない。そこで、かしめ結合される接地板と雄ネジ体とから支持脚を構成する床パネルの支持装置において、接地板の材料コストを低減することを目的として、かしめ結合される構造、具体的に雄ネジ体のツバを支持する構造と、ツバと対になって中央ビードを挟む円筒部のかしめた部分の位置について検討した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
検討の結果開発したものが、基礎床面に固定される接地板に雄ネジ体を立設した支持脚と、前記雄ネジ体に螺着する雌ネジ体を有する支持板とからなり、二重床を構成する床パネルを前記支持板に載せて位置固定させる床パネルの支持装置において、雄ネジ体は、上方に雄ネジを刻んだ本体の下端に、前記本体から水平に突出するフランジであるツバと、前記ツバより下方に突出する円筒部とを設け、接地板は、雄ネジ体の円筒部を挿通する連結孔を、前記円筒部の水平方向のかしめ代を確保する平面で囲んだ平面視形状で、かつ接地面から前記円筒部の垂直方向のかしめ代の高さで膨出した中央ビードと、前記中央ビードの連結孔に円筒部を挿入した雄ネジ体のツバの外周縁に交差して延び、接地面から膨出した複数の補強ビードとをそれぞれ接地面に設けてなり、雄ネジ体は、ツバの外周縁を補強ビードに載せ、接地板の中央ビードに設けた連結孔から下方に突出させた円筒部を半径方向外側に拡開するようにかしめて接地板と結合し、支持脚を構成することを特徴とする床パネルの支持装置である。
【0012】
「円筒部の水平方向のかしめ代」は、連結孔から突出させた雄ネジ体の円筒部を半径方向内側から拡開するようにかしめた際、前記連結孔から半径方向外側にはみ出る部分を逃がす余剰空間を意味する。同様に、「円筒部の垂直方向のかしめ代」は、連結孔から突出させた雄ネジ体の円筒部を半径方向内側から拡開するようにかしめた際、前記連結孔から下方にはみ出る部分を逃がす余剰空間を意味する。「ツバの外周縁を補強ビードに載せ」るとは、ツバ全体を均等に補強ビードに載せる場合を含むが、少なくともツバの外周縁を補強ビードに当接させる状態を意味する。
【0013】
本発明の支持装置は、接地板と雄ネジ体とをかしめ結合としながら、従来と異なり、雄ネジ体のツバの外周縁を、前記外周縁に交差して延びる補強ビードに載せる。補強ビードは、断面係数を高くして強度及び剛性を向上させた部分であり、補強ビードを設ける接地板に従来より強度又は剛性の低い材料を用いたり、補強ビードの板厚を決定する接地板の材料の板厚を薄くしたりしても、雄ネジ体のツバの外周縁に、床パネルや設置物又は歩行者の荷重が加わっても潰れることがなく、支持面に前記ツバを接面させる従来同様、雄ネジ体を安定して支持できる。また、傾倒しようとする雄ネジ体に対して強度及び剛性の高い補強ビードが対抗できるため、雄ネジ体の傾倒を抑制又は防止できる。
【0014】
中央ビードは、従来同様、円筒部をかしめた部分のかしめ代を確保するが、従来と異なり、雄ネジ体のツバを載せる必要がないことから、前記雄ネジ体の本体に比べて水平方向のかしめ代を確保する平面だけ大きい平面視形状として、接地面と円筒部のかしめた部分との距離を最小限にすることができる。円筒部のかしめた部分は、接地面との距離に応じたモーメントで浮き上がろうとするため、接地面との距離が小さくなることにより、前記モーメントも小さく抑えられ、接地板と雄ネジ体との結合を安定させると共に、雄ネジ体のぐらつきを抑制又は防止する。
【0015】
このように、本発明の支持装置において、接地板に設ける中央ビードと補強ビードとは役割が全く異なることから、両者は別部位として独立して接地板に設けることができる。しかし、いずれも接地板の強度及び剛性を向上させる構造要素であることから、中央ビードの連結孔に円筒部を挿入した雄ネジ体のツバの外周縁に交差して前記中央ビードから延びる複数の補強ビードを設けることにより、中央ビードと補強ビードとが交差する関係で一体に形成され、接地板の強度及び剛性を更に高めるとよい。
【0016】
また、雄ネジ体のツバの外周縁を載せる補強ビードは、前記外周縁に直交して延びる場合、床パネルや設置物又は歩行者の荷重に最も対抗しやすい。これから、接地板は、中央ビードの連結孔に円筒部を挿入した雄ネジ体のツバの外周縁に直交して延びる複数の補強ビードを設けるとよい。例えばツバの外周縁が蛇行していれば、隣り合う補強ビードは、周方向間隔によって個々の延在方向が変化することもあるが、ツバの外周縁が円形であれば、隣り合う補強ビードは、周方向間隔の均等又は不等を問わず、いずれもツバの半径方向に延びる。隣り合う補強ビードは、周方向間隔が不均一でも構わないが、ツバの外周縁から加えられる荷重が周方向に偏らないように、周方向均等間隔が好ましい。
【0017】
中央ビードに雄ネジ体のツバを載せていた従来の支持装置は、ツバと中央ビードの上面とを平行に作っていれば、ツバが全体的に中央ビードの上面に接面するので摩擦力が大きくでき、基礎床面に固定された接地板に対して雄ネジ体が空回りする虞が少ない。これに対し、補強ビードに雄ネジ体のツバの外周縁を載せる本発明の支持装置は、補強ビードが断面円弧状であれば、ツバと補強ビードとが点接触しかしなくなるため、基礎床面に固定された接地板に対して雄ネジ体が空回りしやすくなる問題が発生しかねない。そこで、接地板は、雄ネジ体のツバの外周縁が載る上面が平坦面とし、前記外周縁が周方向線状に当接するようにして接触面積を増やし、前記空回りに対抗する摩擦力を増やすとよい。
【0018】
より好ましくは、接地板は、中央ビードに開口した連結孔の内周縁に、半径方向内向き又は下方に突出する回り止め突起を1又は複数設けると、前記連結孔から突出する雄ネジ体の円筒部を半径方向内側から拡開してかしめた際、かしめた部分に回り止め突起が噛み込み、基礎床面に固定した接地板に対する雄ネジ体の空回りを積極的に抑制又は防止できる。回り止め突起は、最低1個あればよいが、より確実に雄ネジ体の空回りを防止するには複数あることが望ましい。また、雄ネジ体を空回りさせる負荷が偏らないように、複数の回り止め突起は周方向等間隔に設けることが望ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、雄ネジ体のツバを載せる部位の強度及び剛性が、接地板の材料や厚みではなく、断面係数を高める補強ビードの存在により高められるため、前記接地板の材料を低強度なものにしたり、また厚みを薄くしたりして、結果として材料コストを低減させる効果が得られる。また、雄ネジ体の円筒部をかしめた部分と、前記雄ネジ体のツバの外周縁の補強ビードに載る部分とが離れるため、前記雄ネジ体の円筒部をかしめた部分とツバの載る部分とが近い従来の支持脚に比べ、接地板と雄ネジ体との結合が安定する(がたつきにくい)効果も得られる。
【0020】
接地板は、中央ビードと補強ビードとを交差する関係で一体に形成すれば、接地板の強度及び剛性が高められ、更に中央ビードの連結孔に円筒部を挿入した雄ネジ体のツバの外周縁に直交して補強ビードを延ばすことにより、前記補強ビードにツバの外周縁を載せる雄ネジ体の支持安定性を向上させる。これは、強度又は剛性の低い材料を用いたり、板厚を薄くしたりした廉価な材料で接地板を製造できる効果をもたらす。中央ビードと補強ビードとを一体に形成した場合、両者は互いに補強し合う関係となり、中央ビードに対する雄ネジ体のかしめ結合を安定させたり、補強ビードにツバの外周縁を載せる前記雄ネジ体のぐらつきを抑制又は防止したりする効果も得られる。
【0021】
また、接地板は、雄ネジ体のツバの外周縁が載る上面が平坦面とし、前記外周縁が周方向線状に当接させることにより、基礎床面に固定した接地板に対する雄ネジ体の空回りが抑制又は防止され、更に中央ビードに開口した連結孔の内周縁に、半径方向内向き又は下方に突出する回り止め突起を1又は複数設けると、前記雄ネジ体の空回りが積極的に抑制又は防止される。これにより、雄ネジ体のツバの外周縁を接地板の補強ビードに載せる本発明の支持装置における前記雄ネジ体の空回りという自体を回避でき、あくまで雄ネジ体に対して雌ネジ部の螺合量を加減して支持板を昇降させ、前記支持板で支持する床パネルの高さのみを調整できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明を適用した床パネルの支持装置の一例を表す斜視図である。
図2】本例の支持装置における支持脚を表す平面図である。
図3】本例の支持脚を構成する接地板の平面図である。
図4】本例の支持脚を構成する接地板の底面図である。
図5】雄ネジ体の円筒部を接地板の連結孔に挿入する前の段階を表す図2中A-A相当断面図である。
図6】雄ネジ体の円筒部を接地板の連結孔に挿入し終えた後の段階を表す図2中A-A相当断面図である。
図7】雄ネジ体の円筒部を接地板の連結孔に挿入してかしめた段階を表す図2中A-A相当断面図である。
図8】雄ネジ体の円筒部を接地板の連結孔に挿入してかしめた段階を表す図2中B-B相当断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。本発明は、例えば図1に見られるように、コンクリート製の基礎床面5に固定される接地板2に雄ネジ体3を立設した支持脚1と、前記雄ネジ体3に螺着する雌ネジ体41を有する支持板4とからなる支持装置に適用される。支持装置自体は、従来同種の構成と同様であり、床パネル(図示略)の角部を前記支持板4に突き合わせるように載せ、中央に上方からパネル押さえ42を嵌め込んで前記床パネルを位置固定する。これにより、接地板2が固定される基礎床面5と支持板4に載せる床パネルとの間に空間を空けて、二重床を構築する。
【0024】
本発明は、図2に見られるように、支持脚1を構成する接地板2に設けた補強ビード23の上に、同じく支持脚1を構成する雄ネジ体3のツバ32の外周縁321を載せている点に特徴を有する。本例の支持脚1は、雄ネジ体3を接地板2に対してかしめ結合する点や、接地板2に中央ビード21や補強ビード23を形成する点が従来同種のものと同じであることから、従来の製造工程のまま製造でき、製造コストの増加を生まない。むしろ、雄ネジ体3を支持する接地板2を従来より薄くできるため、材料コストが低減できる。このように、本発明は支持脚1、ひいては支持装置を安価にする。
【0025】
接地板2は、図3及び図4に見られるように、平面視略正方形の金属製の板材で、全体を基礎床面5(図1参照)に接面する接地面24としながら、前記接地面24から上方に膨出する中央ビード21、補強ビード23、そして環状ビード25を設けている。中央ビード21、補強ビード23、そして環状ビード25は、それぞれ接地面24に対する凹凸を形成し、接地板2としての断面係数を高めて、前記接地板2の剛性及び強度を向上させる強度要素である。本発明の補強ビード23は、強度要素であるほか、雄ネジ体3を支持する構造要素としての働きを持たせている。
【0026】
中央ビード21は、雄ネジ体3の円筒部33(図5参照)を挿通する平面視円形の連結孔22を中心に開口し、前記円筒部33の水平方向のかしめ代を確保する環状平面で前記連結孔22を囲んだ平面視形状で、接地面24から前記円筒部33の垂直方向のかしめ代の高さで膨出している。本例の中央ビード21は、連結孔22の中心から放射状に延びる補強ビード23と一体に形成しているため、隣り合う補強ビード23の交差部分として構成されるが、補強ビード23と別体で形成した場合、連結孔22に相似な平面視円形に膨出した円錐台外形に形成するとよい。
【0027】
補強ビード23は、中央ビード21が囲む連結孔22の中心から周方向等間隔で八方向に延びる断面円弧状の凸条である。本例の補強ビード23は、既述したように、中央ビード21と一体に形成され、中心に近い部分で隣り合う補強ビード23相互が中央ビード21を介して連結している。これから、連結孔22に円筒部33を挿通させた雄ネジ体3は、中央ビード21を介して連結した部分を越えるツバ32の外周縁321を各補強ビード23に載せる。また、載せた雄ネジ体3のツバ32の外周縁321との接触長さを長くするため、本例の補強ビード23は、上面を平坦面231としている。
【0028】
環状ビード25は、中央ビード21及び補強ビード23を囲み、平面視八角形の外周に倣って折れ曲がる断面円弧状の凸条である。本例の接地板2は、全体に対する中央ビード21及び補強ビード23を必要最低限の大きさ(雄ネジ体3を接合及び支持するに必要な大きさ)に限定しており、周囲に広い接地面24を形成する。このため、広い接地面24の剛性を確保する観点から、補強ビード23に交差するように、中央ビード21及び補強ビード23を囲む環状ビード25を追加している。環状ビード25は、接地面24の剛性を向上させることができれば、平面視八角形でなくてもよし、閉じた環状でなく、周方向に断続的に形成されてもよい。
【0029】
本例の接地板2は、中央ビード21の中央に設けた連結孔22の内周縁に沿って、周方向等間隔に4つの回り止め突起221を形成している。回り止め突起221は、半径方向外側に拡開する雄ネジ体3の円筒部33の部分=かしめた部分331(後掲図7及び図8参照)に噛み込み、前記雄ネジ体3の接地板2に対する空回りを防止できれば、連結孔22の内周縁に沿って1つ設けるだけでもよい。しかし、雄ネジ体3に掛かる外的負荷により、かしめた部分331に対する噛み込みが緩む虞のあることから、前記外的負荷がどの方向から加えられても対向できるように、回り止め突起221は、連結孔22の内周縁に沿って、周方向等間隔に複数設けることが望ましい。
【0030】
また、本例の接地板2は、環状ビード25を挟んで中央ビード21及び補強ビード23の反対側(連結孔22を中心とする半径方向外側)で、前記環状ビード25に沿わせた位置に8つの貫通孔26を設けている。貫通孔26は、接地板2の接地面24の裏面に接着剤を塗布し、前記接地面24を基礎床面5に接面して前記接着剤により固定する際、接着剤の余剰を接地面24の表面に噴出させ、接着剤の層を均一に形成することにより、接地面24全体が均一に基礎床面5に固定されるようにすると共に、接地面24の表裏にわたる接着剤を固化することにより、基礎床面5に対する接地板2の接合強度を向上させる。このほか、貫通孔26にコンクリート釘等を打って接地板2を基礎床面5に固定してもよい。
【0031】
本例の回り止め突起221は、連結孔22を形成するパンチによる打ち抜き加工に際し、連結孔22周囲に接面して中央ビード21の膨出を形成する下金型に、連結孔22の内周縁に沿って周方向等間隔に4つの凹部を形成しておき、前記凹部に突出するバリを残すことにより、前記残されたバリとして形成する。このように、連結孔22を打ち抜いて形成する際に発生するバリを回り止め突起221として利用する構成は、改めて回り止め突起221を形成する別工程や治具を不要とし、製造コストの増加をもたらさない利点がある。
【0032】
雄ネジ体3は、従来同様の構成で、上方に雄ネジを刻んだ本体31の下端に、前記本体31より外径の大きい平面視円形の環状フランジであるツバ32と、前記ツバ32より下方に突出する円筒部33とを本体31に一体に設けた金属製の棒体であり、従来同種と比べて大きな相違点がない。本例のツバ32は、上面が傾斜した円錐台側面で、下面を平坦面としている(後掲図5参照)。円筒部33は、加工ドリルにより底面から内部を刳り貫いて形成される環状壁から構成され、前記環状壁を半径方向外側に拡開して接地板2の連結孔22の内周縁にかしめる。
【0033】
支持脚1を構成する接地板2及び雄ネジ体3の結合手順は、従来同様、次の通りである。まず、図5及び図6に見られるように、雄ネジ体3の円筒部33を接地板2の連結孔22に上方から挿入する。円筒部33の外径と連結孔22の内径とは同径で、ツバ32は接地板2の中央ビード21を覆う大きさであるため、連結孔22に円筒部33を挿入した雄ネジ体3は、ツバ32の下面を補強ビード23の平坦面231に接面させて安定に自立し、前記ツバ32の外周縁321を前記中央ビード21から延びる補強ビード23に載せる(図2参照)。
【0034】
そして、連結孔22に円筒部33を挿入した雄ネジ体3は、図7及び図8に見られるように、円筒部33に下方からかしめ治具(図示略)を宛てがって前記円筒部33を拡開するように、接地板2の連結孔22の周囲、すなわち中央ビード21の下面に対してかしめることにより、接地板2と結合する。中央ビード21は、水平方向及び高さ方向に円筒部33をかしめて形成される変形部分=かしめた部分331が収まる大きさに形成しているため、前記かしめた部分331が、中央ビード21から補強ビード23にはみ出すことがなく、また接地面24より下方に突出することもない。
【0035】
かしめた部分331は、中央ビード21に収まるように円筒部33を塑性変形させた部分で、連結孔22の周方向に沿ってほとんどの部分が前記中央ビード21の下面に接面し(図8参照)、前記連結孔22の内周縁に沿って下方に突出させた回り止め突起221が一部に噛み込む(図7参照)。回り止め突起221は、周方向等間隔に4つだけ形成されているため、かしめた部分331が周方向に断続して噛み込むことになる。これにより、接着剤で基礎床面5に固定された接地板2に対して、雄ネジ体3が空回りすることがなくなり、雄ネジ体3の本体に螺合する雌ネジ体41の螺合量により、支持板4の高さのみが調整自在となる(図1参照)。
【0036】
また、かしめた部分331は、上記回り止め突起221の部分も含めて、外周縁が中央ビード21の内周縁に近接しており、前記中央ビード21の内周縁は接地面24に隣接しているため、接地面24と円筒部33のかしめた部分331との距離Δを極めて接近させることができる(図8参照)。かしめた部分331が浮き上がろうとするモーメントは、前記距離Δが小さいほど小さく抑えられる。これから、本発明の支持装置は、接地面24と円筒部33のかしめた部分331との距離Δを小さくし、接地板2と雄ネジ体3との結合を安定させると共に、雄ネジ体3のぐらつきを抑制又は防止する効果も得られる。
【符号の説明】
【0037】
1 支持脚
2 接地板
21 中央ビード
22 連結孔
221 回り止め突起
23 補強ビード
231 平坦面
24 接地面
25 環状ビード
26 貫通孔
3 雄ネジ体
31 本体
32 ツバ
321 外周縁
33 円筒部
331 かしめた部分
4 支持板
41 雌ネジ体
42 パネル押さえ
5 基礎床面
Δ 接地面と円筒部のかしめた部分との距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8