特許第6233970号(P6233970)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6233970-加熱把持装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233970
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】加熱把持装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 3/02 20060101AFI20171113BHJP
   B23K 1/018 20060101ALI20171113BHJP
   B23K 3/03 20060101ALI20171113BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20171113BHJP
   B23K 101/42 20060101ALN20171113BHJP
【FI】
   B23K3/02 U
   B23K1/018 Z
   B23K3/03 A
   H05K3/34 510
   B23K101:42
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-3689(P2014-3689)
(22)【出願日】2014年1月10日
(65)【公開番号】特開2015-131317(P2015-131317A)
(43)【公開日】2015年7月23日
【審査請求日】2016年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000204136
【氏名又は名称】太洋電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(72)【発明者】
【氏名】福山 育子
(72)【発明者】
【氏名】山名 和也
(72)【発明者】
【氏名】片岡 栄一郎
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−169428(JP,A)
【文献】 特開2001−007490(JP,A)
【文献】 特開2009−164400(JP,A)
【文献】 特開2003−258402(JP,A)
【文献】 実開昭56−065433(JP,U)
【文献】 特開平11−221670(JP,A)
【文献】 特開2012−178414(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0054657(US,A1)
【文献】 特開2005−81373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 3/02
B23K 1/018
B23K 3/03
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の支持部材によってそれぞれ支持された一対の被加熱部材を備える加熱把持装置であって、
前記一対の被加熱部材にそれぞれ設けられ、直列接続あるいは並列接続された一対のヒータと、
前記一対の被加熱部材の温度を統合的に検出して単一の温度検出信号を出力する温度検出手段と、
前記温度検出信号に基づいて前記一対のヒータをフィードバック制御する加熱制御手段と、
前記一対のヒータと前記加熱制御手段とを接続すると共に前記温度検出手段と前記加熱制御手段とを接続する接続手段と
を具備することを特徴とする加熱把持装置。
【請求項2】
前記温度検出手段は、一対の熱起電力線が所定の接続手段によって中間金属を挟んだ状態で接続された単一の熱電対であり、
前記接続手段は、一対の入力端の一方を一方の前記熱電対の開放端に接続し、前記一対の入力端の他方を他方の前記熱電対の開放端に接続し、一対の出力端の一方を一方の前記ヒータの一方の開放端に接続し、前記一対の出力端の他方を他方の前記ヒータの他方の開放端に接続することを特徴とする請求項1記載の加熱把持装置。
【請求項3】
前記中間金属は、前記支持部材を構成する第1の金属及び前記被加熱部材を構成する第2の金属を含むことを特徴とする請求項2記載の加熱把持装置。
【請求項4】
前記第1の金属は、ステンレスであり、
前記第2の金属は、銅の表面に鉄がメッキされ、当該鉄の上に硬質クロムメッキが施されていることを特徴とする請求項3記載の加熱把持装置。
【請求項5】
前記中間金属が前記接続手段を介して接地されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の加熱把持装置。
【請求項6】
前記温度検出手段は、互いに直接接続された一対の熱電対であり、
前記接続手段は、一対の入力端の一方を前記一対の熱電対の一端にそれぞれ接続し、前記一対の入力端の他方を前記一対の熱電対の他端にそれぞれ接続し、一対の出力端の一方を一方の前記ヒータの一方の開放端に接続し、前記一対の出力端の他方を他方の前記ヒータの他方の開放端に接続することを特徴とする請求項1記載の加熱把持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱把持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、可動自在な一対の脚部の先端に設けられた接触片でICチップなどの電気部品を挟持すると共に接触片で電気部品を回路基板に固着している半田を加熱して溶融状態とし、この状態で電気部品を回路基板から取り除く装置(電気部品取り除き装置)が開示されている。この電気部品取り除き装置では、各脚部内に個別に設けられたヒータで各脚部を個別に加熱することにより、各脚部の先端に設けられた接触片を加熱し、当該接触片の熱で半田を溶融させる。このような電気部品取り除き装置は、対象物(電気部品等)を固定している固定剤(半田等)を加熱しつつ対象物を把持する装置(加熱把持装置)の一形態である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−058064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術では、各脚部にヒータを個別に設けるので、ヒータ毎にヒータ制御回路を設ける必要がある。すなわち、上記従来技術では、2つのヒータが設けられるので、当該2つのヒータに対応して2つのヒータ制御回路を設ける必要がある。しかしながら、2つのヒータは同一温度に制御すればよいので必ずしも個別に制御する必要はなく、また2つのヒータ制御回路を設けることは装置の複雑さや信頼性の低下、あるいは/及びコストアップを招くものであり、加熱把持装置として解決すべき重要な技術課題である。
【0005】
本発明は、単一のヒータ制御回路で一対のヒータを制御する加熱把持装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、第1の解決手段として、所定の支持部材によってそれぞれ支持された一対の被加熱部材を備える加熱把持装置であって、前記一対の被加熱部材に個別に設けられ、互いに直列接続あるいは並列接続された一対のヒータと、前記一対の被加熱部材の温度を統合的に検出して単一の温度検出信号を出力する温度検出手段と、前記温度検出信号に基づいて前記一対のヒータをフィードバック制御する加熱制御手段と、前記一対のヒータと前記加熱制御手段とを接続すると共に前記温度検出手段と前記加熱制御手段とを接続する接続手段とを具備する、という手段を採用する。
【0007】
第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記温度検出手段は、一対の熱起電力線が所定の接続手段によって中間金属を挟んだ状態で接続された単一の熱電対であり、前記接続手段は、一対の入力端の一方を一方の前記熱電対の開放端に接続し、前記一対の入力端の他方を他方の前記熱電対の開放端に接続し、一対の出力端の一方を一方の前記ヒータの一方の開放端に接続し、前記一対の出力端の他方を他方の前記ヒータの他方の開放端に接続する、という手段を採用する。
【0008】
第3の解決手段として、上記第2の解決手段において、前記中間金属は、前記支持部材を構成する第1の金属及び前記被加熱部材を構成する第2の金属を含む、という手段を採用する。
【0009】
第4の解決手段として、上記第3の解決手段において、第1の金属はステンレスであり、また第2の金属は銅の表面に鉄がメッキされ、当該鉄の上に硬質クロムメッキが施されている、という手段を採用する。
【0010】
第5の解決手段として、上記第2〜第4のいずれかの解決手段において、前記中間金属が前記接続手段を介して接地されている、という手段を採用する。
【0011】
第6の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記温度検出手段は、互いに直接接続された一対の熱電対であり、前記接続手段は、一対の入力端の一方を前記一対の熱電対の一端にそれぞれ接続し、前記一対の入力端の他方を前記一対の熱電対の他端にそれぞれ接続し、一対の出力端の一方を一方の前記ヒータの一方の開放端に接続し、前記一対の出力端の他方を他方の前記ヒータの他方の開放端に接続する、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、所定の支持部材によって支持された一対の被加熱部材を備える加熱把持装置であって、前記被加熱部材に個別に設けられ、互いに直接接続あるいは並列接続された一対のヒータと、前記一対の被加熱部材の温度を統合して検出して単一の温度検出信号を出力する温度検出手段と、前記温度検出信号に基づいて前記一対のヒータをフィードバック制御する加熱制御手段と、前記一対のヒータと前記加熱制御手段とを接続すると共に前記温度検出手段と前記加熱制御手段とを接続する接続手段とを具備するので、1つのヒータ制御回路で2つのヒータを制御することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る電子部品取外装置D1(加熱把持装置)の電気的構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第2実施形態に係る電子部品取外装置D2(加熱把持装置)の電気的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
〔第1実施形態〕
最初に、本発明の第1実施形態に係る電子部品取外装置D1について説明する。本電子部品取外装置D1は、図1に示すように、一対のヒータパイプ1A,1B(支持部材)、一対の被加熱部2A,2B、一対のヒータ3A,3B、熱電対4(温度検出手段)、グリップ基板5、配線6a,6b,7a〜7e及び制御基板8(加熱制御手段)を備えている。なお、上記グリップ基板5及び配線6a,6b,7a〜7eは、本実施形態における接続手段を構成している。
【0015】
また、図示するように、一対の被加熱部2A,2Bのうち、一方の被加熱部2Aは把持部9Aを備え、他方の被加熱部2Bは把持部9Bを備える。上記グリップ基板5は、複数の接続端子5a〜5h,5i〜5k,5m,5n及び複数のパターン配線5p〜5vを備えている。上記制御基板8は、第1センサ入力端子8a、第1給電端子8b、GND端子8c、第2給電端子8d、第2センサ入力端子8e及びヒータ制御回路8fを備える。
【0016】
一対のヒータパイプ1A,1Bは、ステンレス(第1の金属)からなる直管状部材であり、作業員が保持するグリップ部(図示略)によって近接/離間自在に支持されている。すなわち、一方のヒータパイプ1Aは、上記グリップ部に固定状態で支持されており、他方のヒータパイプ1Bは、作業員の指の操作によって一方のヒータパイプ1Aに対して近接あるいは離間するように、グリップ部(図示略)に対して可動自在に支持されている。
【0017】
一対の被加熱部2A,2Bは、表面処理された銅(第2の金属)からなる部材であり、上記一対のヒータパイプ1A,1Bの先端部に溶接等によって固定(支持)されている。上記第2の金属は、銅の表面に鉄がメッキされ、当該鉄の上に硬質クロムメッキが施されたものである。
【0018】
さらに詳しく説明すると、一方の被加熱部2Aは、内部に一方のヒータ3Aが設けられ、また先端部に把持部9Aが設けられている。このような一方の被加熱部2Aは、スポット溶接によって一方のヒータパイプ1Aに接続されている。他方の被加熱部2Bは、内部に他方のヒータ3Bが設けられ、また先端部に把持部9Bが設けられている。このような他方の被加熱部2Bは、スポット溶接によって他方のヒータパイプ1Bに接続されている。
【0019】
一方の把持部9Aは一方の被加熱部2Aに一体に形成されたもの、つまり第2の金属からなる一方の被加熱部2Aの先端部位である。また、他方の把持部9Bは他方の被加熱部2Bに一体に形成されたもの、つまり第2の金属からなる他方の被加熱部2Bの先端部位である。このような一対の把持部9A,9Bは、把持対象である電子部品(チップ抵抗やチップコンデンサ、等々)をプリント配線板(プリント基板)上に固定している半田に接触(当接)することにより当該半田を溶融させ、以って電子部品がプリント基板から取外し自在な状態にする。
【0020】
一対のヒータ3A,3Bは、一対の被加熱部2A,2B内に設けられる熱源である。すなわち、一方のヒータ3Aは、一方の被加熱部2A内に設けられており、一対のリード線を有する。他方のヒータ3Bは、他方の被加熱部2B内に設けられており、一対のリード線を有する。一方のヒータ3Aの一対のリード線のうち、一方(開放端)はグリップ基板5の接続端子5bに接続され、他方はグリップ基板5の接続端子5cに接続されている。また、他方のヒータ3Bの一対のリード線のうち、一方はグリップ基板5の接続端子5fに接続され、他方(開放端)はグリップ基板5の接続端子5gに接続されている。
【0021】
ここで、図示するように、一方のヒータ3Aの他方のリード線と他方のヒータ3Bの一方のリード線とは、グリップ基板5における接続端子5c、接続端子5f及びパターン配線5rによって接続されている。すなわち、本実施形態における一対のヒータ3A,3Bは直列接続されている。
【0022】
熱電対4は、2種類の金属線を直接接合した一般的なものではなく、熱電力を発生する一対の金属間に中間金属を挟んだ温度検出手段である。周知のように、熱電対における「中間金属の法則」は、熱電対の間に異種金属(中間金属)が挿入された場合において、当該異種金属の両端に温度差がない場合には、中間金属が存在しない場合と同一な熱電力が発生する、というものである。すなわち、中間金属の両端に温度差がない場合、熱電対から得られる温度検出信号は中間金属の影響を受けない。
【0023】
本実施形態の熱電対4は、このような「中間金属の法則」を利用したものであり、一対の熱起電力線4a、4bと中間金属Mとから構成される。一対の熱起電力線4a、4bのうち、一方の熱起電力線4aは、一端が一方の被加熱部2Aにスポット溶接され、他端(一方の開放端)がグリップ基板5の接続端子5aに接続されている。また、一対の熱起電力線4a、4bのうち、他方の熱起電力線4bは、一端が他方の被加熱部2Bにスポット溶接され、他端(他方の開放端)がグリップ基板5の接続端子5hに接続されている。
【0024】
また、上記中間金属Mは、図示するように、一対のヒータパイプ1A,1B(ステンレス:第1の金属)、一対の被加熱部2A,2B(表面処理された銅:第2の金属)、一対の配線6a,6b(銅)及びグリップ基板5(半田及び銅)から構成されている。このように中間金属Mは、複数の異種金属から構成されているが、一対の被加熱部2A,2Bは一対のヒータ3A,3Bによって同一温度に加熱されるので、一対のヒータパイプ1A,1B、一対の被加熱部2A,2B、一対の配線6a,6b(銅)及びグリップ基板5は、各々の両端温度が同等である。したがって、本実施形態の熱電対4は、中間金属Mの影響を受けることなく、一対の熱起電力線4a、4bの一端同士が直接接合された場合と同等の熱起電力を発生する。
【0025】
ここで、本実施形態では、一対のヒータパイプ1A,1B、一対の被加熱部2A,2B、一対の配線6a,6b及びグリップ基板5が中間金属Mを構成しているので、このような一対のヒータパイプ1A,1B、一対の被加熱部2A,2B、一対の配線6a,6b及びグリップ基板5と一対の熱起電力線4a、4bとは、本実施形態における熱電対4(温度検出手段)を構成している。
【0026】
また、本実施形態の熱電対4では、一方の熱起電力線4aの一端が一方の被加熱部2Aにスポット溶接され、かつ他方の熱起電力線4bの一端が他方の被加熱部2Bにスポット溶接されており、一方の熱起電力線4aの一端と他方の熱起電力線4bの一端との間に中間金属Mが介装されているので、一対の熱起電力線4a、4bの他端(開放端)に出力される熱起電力は、一方の被加熱部2Aの温度と他方の被加熱部2Bの温度との平均温度、つまり2つの温度を統合した温度を示す単一の温度検出信号である。すなわち、本実施形態の熱電対4は、一方の被加熱部2Aの温度と他方の被加熱部2Bの温度とを統合的に検出する温度検出手段である。
【0027】
グリップ基板5は、上述したグリップ部内に実装される矩形のプリント配線板(プリント基板)である。このグリップ基板5は、複数の接続端子5a〜5h,5i〜5k,5m,5n及び複数のパターン配線5p〜5vがガラスエポキシ基板等の絶縁板上に銅箔として形成されたものである。8つの接続端子5a〜5hは、図示するようにグリップ基板5の一方の辺に沿って所定間隔で並ぶように設けられ、また5つの接続端子5i〜5k,5m,5nは、上記一方の辺に平行な他方の辺に沿って所定間隔で並ぶように設けられている。
【0028】
また、このグリップ基板5において、パターン配線5pは、接続端子5aと接続端子5iとを接続する。パターン配線5qは、接続端子5bと接続端子5jとを接続する。パターン配線5rは、接続端子5cと接続端子5fとを接続する。パターン配線5sは、接続端子5dと接続端子5kとを接続する。パターン配線5tは、接続端子5eと接続端子5kとを接続する。パターン配線5uは、接続端子5gと接続端子5mとを接続する。パターン配線5vは、接続端子5hと接続端子5nとを接続する。
【0029】
なお、このようなグリップ基板5において、接続端子5d,5e,5k及びパターン配線5s,5tは、上述した熱電対4の中間金属Mを構成する金属(同及び半田)である。すなわち、接続端子5d,5e,5k及びパターン配線5s,5tは銅から形成され、また接続端子5d,5eと一対の配線6a,6bとは半田付け、つまり金属の一種である半田を介してそれぞれ接続されている。
【0030】
一対の配線6a,6bは、一対のヒータパイプ1A,1Bとグリップ基板5とを接続する電線(銅線)である。すなわち、一方の配線6aは、一方のヒータパイプ1Aとグリップ基板5の接続端子5dとを接続する。一方の配線6aの一端は、例えばスポット溶接によって一方のヒータパイプ1Aと接続され、一方の配線6aの他端は、例えば半田付けによってグリップ基板5の接続端子5dに接続される。他方の配線6bは、他方のヒータパイプ1Bとグリップ基板5の接続端子5eとを接続する。他方の配線6bの一端は、例えばスポット溶接によって他方のヒータパイプ1Bと接続され、他方の配線6bの他端は、例えば半田付けによってグリップ基板5の接続端子5eに接続される。
【0031】
5つの配線7a〜7eは、グリップ基板5と制御基板8とを接続する電線(銅線)である。すなわち、配線7aは、グリップ基板5の接続端子5iと制御基板8の第1センサ入力端子8aとを接続する。配線7bは、グリップ基板5の接続端子5jと制御基板8の第1給電端子8bとを接続する。配線7cは、グリップ基板5の接続端子5kと制御基板8のGND端子8cとを接続する。配線7dは、グリップ基板5の接続端子5mと制御基板8の第2給電端子8dとを接続する。配線7eは、グリップ基板5の接続端子5nと制御基板8の第2センサ入力端子8eとを接続する。
【0032】
制御基板8は、一対のヒータ3A,3Bを制御する制御回路(ヒータ制御回路8f)が実装されたプリント基板である。すなわち、制御基板8は、第1センサ入力端子8a、第1給電端子8b、GND端子8c、第2給電端子8d、第2センサ入力端子8eを備え、上述した5つの配線7a〜7eを介してグリップ基板5と接続されている。
【0033】
上記ヒータ制御回路8fは、第1センサ入力端子8a及び第2センサ入力端子8eに入力された熱電対4の熱起電力つまり一対の被加熱部2A,2Bの検出温度を制御信号として取り込み、この検出温度が所定の目標温度と等しくなるように調整したヒータ駆動電力を生成する。また、ヒータ制御回路8fは、上記ヒータ駆動電力を被制御信号として第1給電端子8b及び第2給電端子8dに給電することによって一対のヒータ3A,3Bを駆動する。
【0034】
ここで、制御基板8は、GND端子8cを内部のパターン配線を介して商用電源に接続される電源線(図示略)の接地ラインに接続する。すなわち、熱電対4を構成する中間金属Mは、配線7c及び制御基板8によって接地されている。
【0035】
次に、このように構成された本実施形態に係る電子部品取外装置D1の動作について詳しく説明する。
【0036】
本電子部品取外装置D1では、一方のヒータ3Aの他方のリード線がグリップ基板5の接続端子5c,5f及びパターン配線5rを介して他方のヒータ3Bの一方のリード線に接続されている。すなわち、本電子部品取外装置D1では、一対のヒータ3A,3Bが直接接続されているので、当該一対のヒータ3A,3Bには制御基板8の第1給電端子8b及び第2給電端子8dを介して同一なヒータ駆動電力が供給される。
【0037】
また、一対のヒータ3A,3B間には個体が異なることによって発熱効率(ヒータ駆動電力と発熱量との比)に若干の差異が存在するが、この発熱効率の差異については無視することができる。したがって、一対のヒータ3A,3Bは、共通のヒータ駆動電力によって同様に発熱するので、一対の被加熱部2A,2Bは同一温度に加熱される。
【0038】
一方、本電子部品取外装置D1における熱電対4は、中間金属Mを間に挟むことにより一対の熱起電力線4a、4bの他端をリード線とする。すなわち、本電子部品取外装置D1では、一対の被加熱部2A,2Bに対して個別に熱電対を設けるのではなく、一対のヒータパイプ1A,1B、一対の被加熱部2A,2B、一対の配線6a,6b及びグリップ基板5の接続端子5d,5e,5k及びパターン配線5s,5tを中間金属Mとして流用することにより、単一の熱電対4で一対の被加熱部2A,2Bの温度を総合的(統一的)に検出する。
【0039】
そして、上記熱電対4の熱起電力は、一対の熱起電力線4a、4b→グリップ基板5の接続端子5a,5h→グリップ基板5のパターン配線5p,5v→グリップ基板5の接続端子5i,5n→配線7a,7e→制御基板8の第1センサ入力端子8a及び第2センサ入力端子8eの順で経由して、制御基板8のヒータ制御回路8fに入力される。そして、ヒータ制御回路8fは、このようにして入力された熱電対4の熱起電力、つまり一対の被加熱部2A,2Bの温度検出値に基づいて、当該一対の被加熱部2A,2Bの温度が目標温度となるようにヒータ駆動電力を調整して第1給電端子8b及び第2給電端子8dに出力する。
【0040】
そして、このヒータ駆動電力は、第1給電端子8b及び第2給電端子8d→配線7b,7d→グリップ基板5の接続端子5i,5m→グリップ基板5のパターン配線5q,5u→グリップ基板5の接続端子5b,5gの順で経由して、一方のヒータ3Aの一方のリード線及び他方のヒータ3Bの他方のリード線に入力される。すなわち、ヒータ制御回路8fが出力するヒータ駆動電力は一対のヒータ3A,3Bに共通に通電され、この結果として一対の被加熱部2A,2Bは同一温度に加熱される。
【0041】
このように、本電子部品取外装置D1によれば、単一のヒータ制御回路8fによって一対のヒータ3A,3Bを同時かつ同様にフィードバック制御することができる。したがって、本電子部品取外装置D1によれば、従来のようにヒータ毎にヒータ制御回路を設ける必要がないので、装置の複雑さや信頼性の低下を抑制することができると共に装置のコストアップをも抑制することができる。
【0042】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係る電子部品取外装置D2について、図2を参照して説明する。なお、図2では、第1実施形態に係る電子部品取外装置D1と同様の構成要素については同一符合を付している。
【0043】
本電子部品取外装置D2は、図2に示すように、一対のヒータパイプ1A,1B、一対の被加熱部2A,2B、一対のヒータ3A,3B、一対の熱電対4A,4B、配線6a,6b,7a〜7e、制御基板8及びグリップ基板10を備えている。すなわち、第1実施形態に係る電子部品取外装置D1は単一の熱電対4を備えるものであるが、本電子部品取外装置D2は、一対の熱電対4A,4Bを備える。また、本電子部品取外装置D2は、第1実施形態のグリップ基板5に代えて、グリップ基板10を備える。このグリップ基板10は、接続端子10a〜10q及びパターン配線10r〜10xを備える。
【0044】
一対の熱電対4A,4Bのうち、一方の熱電対4Aは一方の被加熱部2Aの温度を検出するものであり、他方の熱電対4Bは他方の被加熱部2Bの温度を検出するものである。一方の熱電対4Aは、一対の熱起電力線の一端を接合したものであり、一対の熱起電力線の他端のうち、一方がグリップ基板10の接続端子10bに接続され、他方がグリップ基板10の接続端子10cに接続されている。他方の熱電対4Bは、上記一方の熱電対4Aと同様に一対の熱起電力線の一端を接合したものであり、一対の熱起電力線の他端のうち、一方がグリップ基板10の接続端子10hに接続され、他方がグリップ基板10の接続端子10iに接続されている。
【0045】
また、本電子部品取外装置D2では、一方のヒータ3Aの一方のリード線はグリップ基板10の接続端子10aに接続され、一方のヒータ3Aの他方のリード線はグリップ基板10の接続端子10dに接続されている。また、他方のヒータ3Bの一方のリード線はグリップ基板10の接続端子10gに接続され、他方のヒータ3Bの他方のリード線はグリップ基板10の接続端子10jに接続されている。さらに、配線6aの他端はグリップ基板10の接続端子10eに接続され、配線6bの他端はグリップ基板10の接続端子10fに接続されている。
【0046】
さらに、本電子部品取外装置D2では、配線7aの一端はグリップ基板10の接続端子10kに接続され、配線7bの一端はグリップ基板10の接続端子10mに接続され、配線7cの一端はグリップ基板10の接続端子10nに接続され、配線7dの一端はグリップ基板10の接続端子10pに接続され、配線7eの一端はグリップ基板10の接続端子10qに接続されている。
【0047】
グリップ基板10のパターン配線10rは、図示するように接続端子10aと接続端子10mとを接続する。グリップ基板10のパターン配線10sは、接続端子10bと接続端子10hと接続端子10kとを接続する。グリップ基板10のパターン配線10tは、接続端子10cと接続端子10iと接続端子10qとを接続する。グリップ基板10のパターン配線10uは、接続端子10dと接続端子10gとを接続する。グリップ基板10のパターン配線10vは、接続端子10eと接続端子10nとを接続する。グリップ基板10のパターン配線10wは、接続端子10fと接続端子10nとを接続する。グリップ基板10のパターン配線10xは、接続端子10jと接続端子10pとを接続する。
【0048】
すなわち、本電子部品取外装置D2におけるグリップ基板10は、一対の被加熱部2A,2Bに対してそれぞれ設けられた一対の熱電対4A,4Bを並列接続する。この結果、一対の熱電対4A,4Bの熱起電力の平均電力(平均熱起電力)が接続端子10k及び接続端子10qから配線7a,7eを介して制御基板8の接続端子8a,8eに入力される。
【0049】
制御基板8のヒータ制御回路8fは、このようにして入力された平均熱起電力、つまり一対の被加熱部2A,2Bの平均温度検出値に基づいて、当該一対の被加熱部2A,2Bの温度が目標温度となるようにヒータ駆動電力を調整して第1給電端子8b及び第2給電端子8dに出力する。そして、このヒータ駆動電力は、第1実施形態の電子部品取外装置D1と同様に一対のヒータ3A,3Bに共通に通電され、この結果として一対の被加熱部2A,2Bは同一温度に加熱される。
【0050】
このような本電子部品取外装置D2によれば、第1実施形態の電子部品取外装置D1と同様に、単一のヒータ制御回路8fによって一対のヒータ3A,3Bを同時かつ同様にフィードバック制御することができるので、従来のようにヒータ毎にヒータ制御回路を設ける必要がなく、よって装置の複雑さや信頼性の低下を抑制することができると共に装置のコストアップをも抑制することができる。
【0051】
なお、本願発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記各実施形態では一対のヒータ3A,3Bを直列接続したが、当該直列接続に代えて一対のヒータ3A,3Bを並列接続してもよい。
(2)上記第2実施形態では、一対の熱電対4A,4Bを一対の被加熱部2A,2B内に設けたが、一対の熱電対4A,4Bを一対の被加熱部2A,2Bの外部にスポット溶接等によって固定してもよい。
(3)上記各実施形態では、銅の表面に鉄がメッキされ、当該鉄の上に硬質クロムメッキが施された第2の金属を採用したが、硬質クロムメッキは、一対の被加熱部2A,2Bの酸化防止を目的とする表面処理である。したがって、このような表面処理として、硬質クロムメッキに代えて、例えばクロムメッキ、ニッケルメッキあるいはアルミ溶射などを採用してもよく、さらには金属以外の材料(例えば絶縁物)を被膜してもよい。なお、絶縁物を被膜した場合には、スポット溶接によって一対の被加熱部2A,2Bと一対のヒータパイプ1A,1Bとを被膜の一部を貫通させて電気的かつ機械的に接続することができる。
【符号の説明】
【0052】
D1 電子部品取外装置
1A,1B ヒータパイプ(支持部材)
2A,2B 被加熱部
3A,3B ヒータ
4 熱電対(温度検出手段)
5 グリップ基板
6a,6b、7a〜7e 配線
8 制御基板(加熱制御手段)
図1
図2