特許第6233973号(P6233973)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ DOWAメタルテック株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233973
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】金属−セラミックス回路基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20171113BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20171113BHJP
   C25D 7/00 20060101ALI20171113BHJP
   C23C 18/32 20060101ALI20171113BHJP
   H05K 3/06 20060101ALI20171113BHJP
   H05K 3/24 20060101ALI20171113BHJP
   C04B 37/02 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   H01L23/12 D
   H01L23/12 Q
   H01L23/36 C
   C25D7/00 J
   C23C18/32
   H05K3/06 A
   H05K3/24 A
   C04B37/02 C
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-73255(P2014-73255)
(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2015-195309(P2015-195309A)
(43)【公開日】2015年11月5日
【審査請求日】2017年1月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】506365131
【氏名又は名称】DOWAメタルテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107548
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 浩一
(72)【発明者】
【氏名】島津 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】小山内 英世
【審査官】 秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2003/0008489(US,A1)
【文献】 特開2002−190658(JP,A)
【文献】 特開平05−226798(JP,A)
【文献】 特開2007−180592(JP,A)
【文献】 特開2003−031720(JP,A)
【文献】 特開平07−276035(JP,A)
【文献】 特開2008−218938(JP,A)
【文献】 特開平10−180433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
C04B 37/02
C23C 18/32
C25D 7/00
H01L 23/36
H05K 3/06
H05K 3/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックス基板に接合した金属板の略全面を覆うように第1のレジストを形成し、この第1のレジストの所定の部分を除去して金属板の一部を露出させ、この金属板の露出した部分にめっき皮膜を形成した後、このめっき皮膜を覆うように第2のレジストを形成し、第1レジストの所定の部分を除去して金属板の一部を露出させ、この金属板の露出した部分をエッチング処理により除去した後、第1および第2のレジストを剥離することを特徴とする、金属−セラミックス回路基板の製造方法。
【請求項2】
前記第1および第2のレジストが電着レジストであることを特徴とする、請求項1に記載の金属−セラミックス回路基板の製造方法。
【請求項3】
前記第1レジストの除去をレーザー加工によって行うことを特徴とする、請求項1または2に記載の金属−セラミックス回路基板の製造方法。
【請求項4】
前記めっきをめっき液に浸漬して行うことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の金属−セラミックス回路基板の製造方法。
【請求項5】
前記金属板がアルミニウムまたはアルミニウム合金からなることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の金属−セラミックス回路基板の製造方法。
【請求項6】
前記金属板と前記セラミックス基板との接合を、金属溶湯を前記セラミックス基板の一方の面に接触させた後に冷却して固化させて前記金属板を形成することにより行うことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の金属−セラミックス回路基板の製造方法。
【請求項7】
前記金属溶湯を前記セラミックス基板の一方の面に接触させる際に、前記金属溶湯を前記セラミックス基板の他方の面に接触させ、冷却して固化させることにより金属部材を形成して前記セラミックス基板の他方の面に接合することを特徴とする、請求項6に記載の金属−セラミックス回路基板の製造方法。
【請求項8】
前記金属部材が前記金属板と同じアルミニウムまたはアルミニウム合金からなることを特徴とする、請求項7に記載の金属−セラミックス回路基板の製造方法。
【請求項9】
前記金属部材の前記セラミックス基板と反対側の面に板状または柱状のフィンが形成されていることを特徴とする、請求項7または8に記載の金属−セラミックス回路基板の製造方法。
【請求項10】
前記めっき皮膜が、電気めっきまたは無電解めっきにより形成されることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれかに記載の金属−セラミックス回路基板の製造方法。
【請求項11】
前記めっき皮膜が、Ni、Ni合金、AuまたはAgからなることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれかに記載の金属−セラミックス回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックス基板の一方の面に金属回路板が接合された金属−セラミックス回路基板の製造方法に関し、特に、金属回路板上のチップ部品や端子の半田付けが必要な部分などに部分的にめっきが施された金属−セラミックス回路基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車、電車、工作機械などの大電力を制御するために、パワーモジュールが使用されている。このようなパワーモジュール用の絶縁基板として、セラミックス基板の一方の面に接合された金属回路板上のチップ部品や端子の半田付けが必要な部分などに部分的にめっきが施された金属−セラミックス回路基板が使用されている。
【0003】
このような金属−セラミックス回路基板の製造方法として、セラミックス基板に接合した金属板上に回路パターン形状の回路パターン形成用レジストを印刷し、金属板の不要部分をエッチング除去して回路パターンを形成し、回路パターン形成用レジストを剥離した後、回路パターン上の半田付けが必要な部分などの所定の部分以外に部分めっき用レジストを印刷して所定の部分にめっきを施した後に部分めっき用レジストを剥離するか、あるいは、回路パターン形成用レジストを剥離した後、回路パターン上の全面にめっきを施して、そのめっきの所定の部分に部分めっき用レジストを印刷してめっきの不要部分をエッチング除去した後に部分めっき用レジストを剥離する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかし、特許文献1の方法では、回路パターン形成用レジストを剥離し、部分めっき用レジストを印刷した後、部分めっき用レジストを剥離しているので、2回のレジスト剥離工程を行う必要があり、金属−セラミックス回路基板の製造時間が長くなり、製造コストが高くなる。
【0005】
このような問題を解消するため、セラミックス基板に接合した回路形成用金属板を所定の部分に窓部が設けられたマスキング部材に押圧しながら、窓部を介して回路形成用金属板の所定の部分にめっき液を噴射して、スパージャ方式(高圧噴射ジェット方式)により部分的にめっきを施す方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−31720号公報(段落番号0013−0034)
【特許文献2】特開2004−6604号公報(段落番号0013−0038)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2の方法では、部分めっき用レジストの印刷および除去の工程がないので、製造時間を短くすることができるが、所定の形状のマスキング部材を作製する必要があるので、製造コストの削減は十分とはいえず、めっきが必要な部分の大きさや形状が異なる金属−セラミックス回路基板を製造する場合に、マスキング部材を再度作製する必要がある。また、セラミックス基板に接合した回路形成用金属板の表面が凹状または凸状に反っている場合に、回路形成用金属板の表面にマスキング部材を密着させることができず、めっきが必要な部分からめっきがはみ出して、めっきパターンの精度が悪化したり、回路形成用金属板の角部にピンホールが形成され易くなる。
【0008】
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、セラミックス基板に接合された金属板上の所定の部分に精度よくめっきを施すことができるとともに製造コストを削減することができる、金属−セラミックス回路基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、セラミックス基板に接合した金属板の略全面を覆うように第1のレジストを形成し、この第1のレジストの所定の部分を除去して金属板の一部を露出させ、この金属板の露出した部分にめっき皮膜を形成した後、このめっき皮膜を覆うように第2のレジストを形成し、第1のレジストの所定の部分を除去して金属板の一部を露出させ、この金属板の露出した部分をエッチング処理により除去した後、第1および第2のレジストを剥離することにより、セラミックス基板に接合された金属板上の所定の部分に精度よくめっきを施すことができるとともに製造コストを削減することができる、金属−セラミックス回路基板の製造方法を提供することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明による金属−セラミックス回路基板の製造方法は、セラミックス基板に接合した金属板の略全面を覆うように第1のレジストを形成し、この第1のレジストの所定の部分を除去して金属板の一部を露出させ、この金属板の露出した部分にめっき皮膜を形成した後、このめっき皮膜を覆うように第2のレジストを形成し、第1のレジストの所定の部分を除去して金属板の一部を露出させ、この金属板の露出した部分をエッチング処理により除去した後、第1および第2のレジストを剥離することを特徴とする。
【0011】
この金属−セラミックス回路基板の製造方法において、第1および第2のレジストが電着レジストであるのが好ましく、第1のレジストの除去をレーザー加工によって行うのが好ましい。また、めっきはめっき液に浸漬して行うのが好ましい。また、金属板がアルミニウムまたはアルミニウム合金からなるのが好ましい。
【0012】
また、金属板とセラミックス基板との接合を、金属溶湯をセラミックス基板の一方の面に接触させた後に冷却して固化させて金属板を形成することにより行うのが好ましい。この場合、金属溶湯をセラミックス基板の一方の面に接触させる際に、金属溶湯をセラミックス基板の他方の面に接触させ、冷却して固化させることにより金属部材を形成してセラミックス基板の他方の面に接合してもよい。また、金属部材が金属板と同じアルミニウムまたはアルミニウム合金からなるのが好ましい。また、金属部材のセラミックス基板と反対側の面に板状または柱状のフィンを形成してもよい。さらに、めっき皮膜が、電気めっきまたは無電解めっきにより形成されるのが好ましく、Ni、Ni合金、AuまたはAgからなるのが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、セラミックス基板に接合された金属板上の所定の部分に精度よくめっきを施すことができるとともに製造コストを削減することができる、金属−セラミックス回路基板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】本発明による金属−セラミックス回路基板の製造方法の実施の形態において、セラミックス基板の一方の面に回路用金属板を接合し、他方の面にベース用金属板を接合する工程を示す断面図である。
図1B】本発明による金属−セラミックス回路基板の製造方法の実施の形態において、回路用金属板とベース用金属板の略全面にレジストを形成する工程を説明する断面図である。
図1C】本発明による金属−セラミックス回路基板の製造方法の実施の形態において、回路用金属板上のレジストの所定の部分を除去する工程を説明する断面図である。
図1D】本発明による金属−セラミックス回路基板の製造方法の実施の形態において、回路用金属板上のレジストを除去した部分にめっき皮膜を形成する工程を説明する断面図である。
図1E】本発明による金属−セラミックス回路基板の製造方法において、めっき皮膜を覆うようにレジストを形成する工程を説明する断面図である。
図1F】本発明による金属−セラミックス回路基板の製造方法の実施の形態において、回路用金属板とベース用金属板上のレジストの所定の部分を除去する工程を説明する断面図である。
図1G】本発明による金属−セラミックス回路基板の製造方法の実施の形態において、エッチング処理により回路用金属板とベース用金属板の不要部分を除去して、金属回路板と金属ベース板を形成する工程を説明する断面図である。
図1H】本発明による金属−セラミックス回路基板の製造方法の実施の形態において、金属回路板と金属ベース板上のレジストを除去する工程を説明する断面図である。
図2】本発明による金属−セラミックス回路基板の製造方法の実施の形態の変形例により製造された金属−セラミックス回路基板の裏面を示す図である。
図3】本発明による金属−セラミックス回路基板の製造方法の実施の形態の他の変形例により製造された金属−セラミックス回路基板の裏面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明による金属−セラミックス回路基板の製造方法の実施の形態について説明する。
【0016】
まず、図1Aに示すように、セラミックス基板10の一方の面に回路用金属板12が接合した金属−セラミックス接合基板を製造する。この金属−セラミックス接合基板は、鋳型内において金属溶湯をセラミックス基板10の一方の面に接触させ、冷却して固化させること(所謂溶湯接合法)により回路用金属板12を形成してセラミックス基板10の一方の面に接合することによって製造することができる。また、セラミックス基板10の他方の面にベース用金属板14が接合した金属−セラミックス接合基板を製造してもよい。この金属−セラミックス接合基板は、金属溶湯をセラミックス基板10の一方の面に接触させる際に、金属溶湯をセラミックス基板10の他方の面に接触させ、冷却して固化させることによりベース用金属板14を形成してセラミックス基板10の他方の面に接合することによって製造することができる。これらの場合、金属溶湯がアルミニウムまたはアルミニウム合金の溶湯であるのが好ましい。あるいは、所謂溶湯接合法に代えて、セラミックス基板10の一方の面に銅、銅合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる回路用金属板12を直接またはろう材を介して接合してもよく、他方の面に銅、銅合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるベース金属板14を直接またはろう材を介して接合してもよい。
【0017】
次に、図1Bに示すように、回路用金属板12とベース用金属板16の表面(それぞれセラミックス基板10と反対側の面)の略全面を覆うように(第1の)レジスト16を形成する。このレジスト16は、電着レジストであるのが好ましい。電着によって形成される電着レジストは、回路用金属板12とベース用金属板14の表面に凹凸があっても略均一の厚さにすることができる。なお、レジスト16をスプレー式(噴射式)やディップ式(浸漬式)などにより形成することもできるが、スプレー式ではレジストインクのロスが多く、また、ベース用金属板14の裏面(セラミックス基板10と反対側の面)に多数のフィンが狭ピッチで形成されている場合には、スプレー式やディップ式では、略均一の厚さのレジスト16を形成することができず、レジスト16が薄い部分にピンホールが形成され易く、ディップ式では、レジストインクの排出に時間がかかるため、レジストインクからの引き上げ速度が遅くなって、生産性が悪くなる。
【0018】
次に、図1Cに示すように、回路用金属板12の表面に形成されたレジスト16の所定の部分(めっきをする部分)を除去して、部分めっき用レジストを形成する。このレジスト16の除去は、レジスト16の所定の部分にレーザー照射するレーザー加工によって行うのが好ましい。
【0019】
次に、図1Dに示すように、回路用金属板12の表面のレジスト16が除去された部分にNi、Ni合金、AuまたはAgなどからなるめっき皮膜18を形成する。このめっき皮膜18の形成は、回路用金属板12をめっき液に浸漬して行うのが好ましく、電気めっきまたは無電解めっきのいずれでもよい。このようにしてめっき皮膜18を形成することにより、スパージャ方式(高圧噴射ジェット方式)で部分めっきを行う場合のように、形状が異なる毎にマスキング部材を作製する必要がなく、製造コストを削減することができる。また、セラミックス基板10に接合した回路用金属板12の表面が凹状または凸状に反っていても、めっきが必要な部分からめっきがはみ出すのを抑制して、めっき皮膜18を精度よく形成することができる。
【0020】
次に、図1Eに示すように、めっき皮膜18を覆うように(第2の)レジスト16を形成する。このレジスト16は、電着レジストであるのが好ましい。電着レジストであれば、めっき皮膜18を覆う(第2の)レジスト16の厚さを他の部分の(第1の)レジスト16と同じ厚さにして、回路用金属板12の表面のめっき皮膜18が形成されていない部分と形成されている部分で略均一の厚さに形成することができ、後でレジスト16を剥離するのが容易である。このように(第2の)レジスト16を形成することにより、回路用金属板12とめっき皮膜18の表面の略全面が(第1および第2の)レジスト16に覆われる。
【0021】
次に、図1Fに示すように、回路用金属板12とベース用金属板14の表面に形成されたレジスト16の所定の部分(回路用金属板12とベース用金属板14の不要部分に対応する部分)除去して、回路パターン形成用レジストおよび金属ベース板形成用レジストを形成する。このレジスト16の除去は、レーザー加工によって行うのが好ましい。
【0022】
次に、図1Gに示すように、塩化第二鉄溶液などのエッチング液によってエッチング処理を行うことにより、回路用金属板12の不要部分を除去して所望の回路パターンの金属回路板12を形成するとともに、ベース用金属板14の不要部分を除去して金属ベース板14を形成する。
【0023】
次に、図1Hに示すように、(第1および第2の)レジスト16を剥離することにより、セラミックス基板10の一方の面に所望の回路パターンの金属回路板12が接合されるとともに他方の面に金属ベース板14が接合された金属−セラミックス回路基板が得られる。なお、レジスト16の剥離工程が1回だけであるので、金属−セラミックス回路基板の製造時間および製造コストを削減することができるとともに、レジスト16の剥離液によるめっきの密着性の低下や金属板12、14およびセラミックス基板10へのダメージを抑制することができる。
【0024】
また、図2に示すように、平板状の金属ベース板14の裏面(セラミックス基板10と反対側の面)から略垂直方向に突出するとともに互いに所定の間隔で離間して略平行に伸びるように複数の板状の放熱フィン14aが金属ベース板14と一体に形成された板フィン付金属ベース板をセラミックス基板10に接合してもよいし、平板状の金属ベース板14の裏面から略垂直方向に突出するとともに互いに所定の間隔で離間して配置するように多数の柱状(ピン状)の放熱フィン14bが金属ベース板14と一体に形成されたピンフィン付金属ベース板をセラミックス基板10に接合してもよい。
【実施例】
【0025】
以下、本発明による金属−セラミックス回路基板の製造方法の実施例について詳細に説明する。
【0026】
[実施例1]
セラミックス基板を収容する空洞部が内部に形成されるとともにこの空洞部の両側にそれぞれベース用金属板と回路用金属板に対応する形状の空洞部が形成された鋳型内に、セラミックス基板を配置してアルミニウム溶湯を注入した後に冷却して固化させることにより、100mm×50mm×0.6mmの大きさの窒化アルミニウムからなるセラミックス基板の一方の面に90mm×40mm×0.6mmの大きさの平板状のベース用金属板が直接接合するとともに、他方の面に90mm×40mm×0.8mmの大きさの平板状の回路用金属板が直接接合した一体の金属−セラミックス接合基板を作製した。この金属−セラミックス接合基板は、回路用金属板側が凹状に反っていた。
【0027】
この金属−セラミックス接合基板を電着槽内の電着フォトレジスト液に浸漬し、回路用金属板とベース用金属板に電極を取り付けて120Vの電圧を印加することにより、回路用金属板とベース用金属板の表面(それぞれセラミックス基板と反対側の面)の略全面を覆うように電着レジスト皮膜を形成し、80℃で30分間乾燥した後、紫外線により露光して硬化させることにより、厚さ40μmの(第1の)電着レジストを形成した。
【0028】
次に、回路用金属板の表面に形成されたレジストの15mm×15mmの大きさの略矩形の部分にレーザー照射して、その部分のレジストを除去して回路用金属板を露出させた後、ワット浴からなるNiめっき液に浸漬して、電気めっきにより回路用金属板の露出部分に厚さ6μmのNiめっき皮膜を形成した。
【0029】
次に、上記の(第1の)電着レジストの形成方法と同様の方法により、めっき皮膜を覆うように厚さ40μmの(第2の)電着レジストを形成した。
【0030】
次に、回路用金属板の表面に形成されたレジストがめっき皮膜を取り囲む85mm×35mmの大きさの略矩形になり、ベース用金属板の表面のレジストが85mm×35mmの大きさの略矩形になるように、レジストの不要部分にレーザーを照射することにより、その不要部分のレジストを除去して回路用金属板およびベース用金属板を露出させた後、塩化第二鉄溶液によってエッチング処理を行うことにより、回路用金属板の不要部分を除去して所望の回路パターンの金属回路板を形成するとともに、ベース用金属板の不要部分を除去して金属ベース板を形成し、その後、乳酸を主成分とするレジスト剥離液によりレジストを剥離して、セラミックス基板の一方の面に所望の回路パターンの金属回路板が直接接合するとともに他方の面に平板状の金属ベース板が直接接合した金属−セラミックス回路基板を作製した。
【0031】
このようにして作製した金属−セラミックス回路基板について、工場顕微鏡によりめっき皮膜のはみ出し量(めっきが必要な部分からはみ出した部分の長さ)を測定してめっきパターンの精度を評価し、目視によりピンホールの発生の有無を観察してレジストの耐性を評価したところ、めっき皮膜のはみ出し量は0.01〜0.03mmと小さく、めっきパターンの精度は良好であり、金属回路板と金属ベース板にピンホールはなく、レジストの耐性は良好であった。
【0032】
[実施例2]
回路用金属板の大きさが90mm×40mm×0.4mmであり、回路用金属板側が凸状に反った以外は、実施例1と同様の金属−セラミックス接合基板を使用して、実施例1と同様の方法により、金属−セラミックス回路基板を作製し、めっき皮膜のはみ出し量を測定してめっきパターンの精度を評価し、ピンホールの発生の有無によりレジストの耐性を評価したところ、めっき皮膜のはみ出し量は0.01〜0.03mmと小さく、めっきパターンの精度は良好であり、金属回路板と金属ベース板にピンホールはなく、レジストの耐性は良好であった。
【0033】
[実施例3]
平板状の金属ベース板の代わりに、150mm×60mm×4mmの大きさの平板状の金属ベース板の裏面(セラミックス基板と反対側の面)から略垂直方向に突出するとともに互いに2mmの間隔で離間して略平行に伸びるように長さ90mm×幅5mm×高さ15mmの大きさの6個の板状の放熱フィンが金属ベース板と一体に形成された板フィン付金属ベース板がセラミックス基板に接合し、金属回路板側に凸状に反っていた以外は、実施例1と同様の金属−セラミックス回路基板を作製し、実施例1と同様の方法により、めっき皮膜のはみ出し量を測定してめっきパターンの精度を評価し、ピンホールの発生の有無によりレジストの耐性を評価したところ、めっき皮膜のはみ出し量は0.01〜0.03mmと小さく、めっきパターンの精度は良好であり、金属回路板と金属ベース板にピンホールはなく、レジストの耐性は良好であった。
【0034】
[実施例4]
平板状の金属ベース板の代わりに、150mm×60mm×4mmの大きさの平板状の金属ベース板の裏面(セラミックス基板と反対側の面)から略垂直方向に突出するとともに互いに2mmの間隔で離間して配置するように直径2.5mm×高さ8mmの大きさの160個のピン状の放熱フィンが金属ベース板と一体に形成されたピンフィン付金属ベース板がセラミックス基板に接合し、金属回路板側に凸状に反っていた以外は、実施例1と同様の金属−セラミックス回路基板を作製し、実施例1と同様の方法により、めっき皮膜のはみ出し量を測定してめっきパターンの精度を評価し、ピンホールの発生の有無によりレジストの耐性を評価したところ、めっき皮膜のはみ出し量は0.01〜0.03mmと小さく、めっきパターンの精度は良好であり、金属回路板と金属ベース板にピンホールはなく、レジストの耐性は良好であった。
【0035】
[実施例5]
Niめっき皮膜を形成した後、Auめっき液に浸漬して、Niめっき皮膜上にAuめっき皮膜を(めっき皮膜全体の厚さが6μmになるように)形成した以外は、実施例1と同様の方法により、金属−セラミックス回路基板を作製し、めっき皮膜のはみ出し量を測定してめっきパターンの精度を評価し、ピンホールの発生の有無によりレジストの耐性を評価したところ、めっき皮膜のはみ出し量は0.01〜0.03mmと小さく、めっきパターンの精度は良好であり、金属回路板と金属ベース板にピンホールはなく、レジストの耐性は良好であった。
【0036】
[実施例6]
Niめっき皮膜を形成した後、Agめっき液に浸漬して、Niめっき皮膜上にAgめっき皮膜を(めっき皮膜全体の厚さが6μmになるように)形成した以外は、実施例1と同様の方法により、金属−セラミックス回路基板を作製し、めっき皮膜のはみ出し量を測定してめっきパターンの精度を評価し、ピンホールの発生の有無によりレジストの耐性を評価したところ、めっき皮膜のはみ出し量は0.01〜0.03mmと小さく、めっきパターンの精度は良好であり、金属回路板と金属ベース板にピンホールはなく、レジストの耐性は良好であった。
【0037】
[実施例7]
電気めっきに代えて無電解Ni−Pめっきによりめっき皮膜を形成したした以外は、実施例1と同様の方法により、金属−セラミックス回路基板を作製し、めっき皮膜のはみ出し量を測定してめっきパターンの精度を評価し、ピンホールの発生の有無によりレジストの耐性を評価したところ、めっき皮膜のはみ出し量は0.01〜0.03mmと小さく、めっきパターンの精度は良好であり、金属回路板と金属ベース板にピンホールはなく、レジストの耐性は良好であった。
【0038】
[比較例1]
実施例1と同様の方法により作製した(回路用金属板側が凹状に反った)金属−セラミックス接合基板について、15mm×15mmの大きさの開口部が設けられたマスキング部材に回路用金属板を押圧しながら、開口部を介して回路用金属板にワット浴からなるめっき液を噴射して、スパージャ方式(高圧噴射ジェット方式)により、回路用金属板に厚さ6μmのNiめっき皮膜を形成した。
【0039】
次に、回路用金属板とベース用金属板の表面(それぞれセラミックス基板と反対側の面)の略全面を覆うように、スプレーコートによりレジストを塗布した。
【0040】
次に、回路用金属板の表面に形成されたレジストが85mm×35mmの大きさの略矩形になり、ベース用金属板の表面のレジストが85mm×35mmの大きさの略矩形になるように、レジストの不要部分にレーザーを照射することにより、その不要部分のレジストを除去して回路用金属板およびベース用金属板を露出させた後、塩化第二鉄溶液によってエッチング処理を行うことにより、回路用金属板の不要部分を除去して所望の回路パターンの金属回路板を形成するとともに、ベース用金属板の不要部分を除去して金属ベース板を形成し、その後、水酸化ナトリウム溶液によりレジストを剥離した。
【0041】
このようにしてセラミックス基板の一方の面に所望の回路パターンの金属回路板が直接接合するとともに他方の面に平板状の金属ベース板が直接接合した金属−セラミックス回路基板を作製し、実施例1と同様の方法により、めっき皮膜のはみ出し量を測定してめっきパターンの精度を評価し、ピンホールの発生の有無によりレジストの耐性を評価した。その結果、金属回路板の表面にマスキング部材を密着させることができず、めっき皮膜のはみ出し量が0.2mmと大きく、めっきパターンの精度が悪く、金属回路板の角部にピンホールが形成され、レジストの耐性は良好でなかった。
【0042】
[比較例2]
実施例2と同様の方法により作製した(回路用金属板側が凸状に反った)金属−セラミックス接合基板を使用して、比較例1と同様の方法により金属−セラミックス回路基板を作製し、実施例1と同様の方法により、めっき皮膜のはみ出し量を測定してめっきパターンの精度を評価し、ピンホールの発生の有無によりレジストの耐性を評価した。その結果、めっき皮膜のはみ出し量が0.1mmと大きく、めっきパターンの精度が良好でなく、金属回路板と金属ベース板の角部にピンホールが形成され、レジストの耐性は良好でなかった。
【0043】
[比較例3]
平板状の金属ベース板の代わりに、150mm×60mm×4mmの大きさの平板状の金属ベース板の裏面(セラミックス基板と反対側の面)から略垂直方向に突出するとともに互いに2mmの間隔で離間して略平行に伸びるように長さ90mm×幅5mm×高さ15mmの大きさの6個の板状の放熱フィンが金属ベース板と一体に形成された板フィン付金属ベース板がセラミックス基板に接合し、金属回路板側が凸状に反っていた以外は、比較例1と同様の金属−セラミックス回路基板を作製し、実施例1と同様の方法により、めっき皮膜のはみ出し量を測定してめっきパターンの精度を評価し、ピンホールの発生の有無によりレジストの耐性を評価した。その結果、めっき皮膜のはみ出し量が0.1mmと大きく、めっきパターンの精度が良好でなく、金属回路板の角部と放熱フィンの側面にピンホールが形成され、レジストの耐性は良好でなかった。
【0044】
[比較例4]
平板状の金属ベース板の代わりに、150mm×60mm×4mmの大きさの平板状の金属ベース板の裏面(セラミックス基板と反対側の面)から略垂直方向に突出するとともに互いに2mmの間隔で離間して配置するように直径2.5mm×高さ8mmの大きさの160個のピン状の放熱フィンが金属ベース板と一体に形成されたピンフィン付金属ベース板がセラミックス基板に接合し、金属回路板側が凸状に反っていた以外は、比較例1と同様の金属−セラミックス回路基板を作製し、実施例1と同様の方法により、めっき皮膜のはみ出し量を測定してめっきパターンの精度を評価し、ピンホールの発生の有無によりレジストの耐性を評価した。その結果、めっき皮膜のはみ出し量が0.1mmと大きく、めっきパターンの精度が良好でなく、金属回路板の角部と放熱フィンの側面にピンホールが形成され、レジストの耐性は良好でなかった。
【符号の説明】
【0045】
10 セラミックス基板
12 回路用金属板(金属回路板)
14 ベース用金属板(金属ベース板)
14a 板状の放熱フィン
14b 柱状(ピン状)の放熱フィン
16 レジスト
18 めっき
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図2
図3