【実施例】
【0062】
以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明は下記実施例により制限されるものではない。
【0063】
(Y
3Al
5O
12:Ce+Al
2O
3焼成体の試料の作製)
平均粒径0.5μm、純度99.9%の酸化セリウム粉末と、平均粒径1.2μm、純度99.9%の酸化イットリウム粉末と、平均粒径0.4μm、純度99.9%の酸化アルミニウム粉末と、を所定の配合比率で混合し、原料粉末を得た。
この原料粉末に、エタノール、ポリビニルブチラール(PVB)系バインダ及びグリセリン系可塑剤を添加し、酸化アルミニウムボールを用いたボールミルにて40時間粉砕混合を行い、スラリーを調製した。
【0064】
このスラリーを用いて、ドクターブレード法により、所定厚さのグリーンシートを成形した。得られたグリーンシートを、大気中で脱脂、仮焼後、1.0×10
-2Pa以下の真空雰囲気下で焼成し、Y
3Al
5O
12:Ce+Al
2O
3焼成体を作製した(実施例1〜実施例18、比較例1〜比較例5)。
尚、Y
3Al
5O
12:Ce+Al
2O
3焼成体の気孔率、焼成面の測定長4mmでの10点平均の算術平均粗さ、蛍光性材料粒子及び透光性材料粒子の測定長1μmでの20点平均の算術平均粗さ、蛍光性材料粒子及び透光性材料粒子の20個平均直径は、焼成温度を1500℃〜1750℃の範囲で、またY
2O
3原料、CeO
2原料、及びAl
2O
3原料の平均粒径を上記数値範囲内で、適宜変更することで表1になるものを作製した。
【0065】
また、比較例3においては、上記実施例11と同等の条件でY
3Al
5O
12:Ce+Al
2O
3焼成体を作製し、その後、入射面及び出射面を3μmのダイヤモンドスラリーを用い鏡面加工を施した。
更に、比較例4においては、上記実施例14と同等の条件でY
3Al
5O
12:Ce+Al
2O
3焼成体を作製し、その後、入射面及び出射面を#200(メッシュ)の固定砥粒を用い、平面研削加工機により、研削加工を施した。
更に、比較例5においては、上記実施例15と同等の条件でY
3Al
5O
12:Ce+Al
2O
3焼成体を作製し、その後、入射面及び出射面を熱濃硫酸(25%H
2SO
4,150℃)にてエッチング加工を施した。
上記実施例1〜実施例18、比較例1〜比較例5を、表1、表2に示す。
【0066】
(Y
2Gd
1Al
5O
12:Ce+Al
2O
3焼成体の試料の作製)
平均粒径0.5μm、純度99.9%の酸化セリウム粉末と、平均粒径1.2μm、純度99.9%の酸化イットリウム粉末と、平均粒径0.5μm、純度99.9%の酸化ガドリニウム粉末と、平均粒径0.4μm、純度99.9%の酸化アルミニウム粉末とを所定の配合比率で混合し、原料粉末を得た。
この原料粉末に、エタノール、ポリビニルブチラール(PVB)系バインダ及びグリセリン系可塑剤を添加し、酸化アルミニウムボールを用いたボールミルにて40時間粉砕混合を行い、スラリーを調製した。
このスラリーを用いて、ドクターブレード法により、所定厚さのグリーンシートを成形した。得られたグリーンシートを、大気中で脱脂、仮焼後、1.0×10
-2Pa以下の真空雰囲気下で焼成し、Y
2Gd
1Al
5O
12:Ce+Al
2O
3焼成体を作製した。
そして、実施例19〜実施例36、比較例6〜比較例10にかかる焼成体を得た。上記実施例19〜実施例36、比較例6〜比較例10を、表3、表4に示す。
尚、実施例19〜実施例36及び比較例6,7における各特性値の変更は、上述のY
3Al
5O
12:Ce+Al
2O
3焼成体の場合と同様にして行った。比較例8(実施例31と同等のY
2Gd
1Al
5O
12:Ce+Al
2O
3焼成体)、比較例9(実施例36と同等のY
2Gd
1Al
5O
12:Ce+Al
2O
3焼成体)、比較例10(実施例25と同等のY
2Gd
1Al
5O
12:Ce+Al
2O
3焼成体)は、比較例3,4,5と同様な条件で鏡面加工、研削加工、エッチング加工を施した。
【0067】
(Lu
3Al
5O
1:Ce+Al
2O
3焼成体の試料の作製)
平均粒径0.5μm、純度99.9%の酸化セリウム粉末と、平均粒径1.7μm、純度99.9%の酸化ルテチウム粉末と、平均粒径0.4μm、純度99.9%の酸化アルミニウム粉末と,を所定の配合比率で混合し、原料粉末を得た。
この原料粉末に、エタノール、ポリビニルブチラール(PVB)系バインダ及びグリセリン系可塑剤を添加し、酸化アルミニウムボールを用いたボールミルにて40時間粉砕混合を行い、スラリーを調製した。
このスラリーを用いて、ドクターブレード法により、所定厚さのグリーンシートを成形した。得られたグリーンシートを、大気中で脱脂、仮焼後、1.0×10
-2Pa以下の真空雰囲気下で焼成し、Lu
2Al
5O
12:Ce+Al
2O
3焼成体を作製した(実施例37)。尚、実施例37を表5、表6に示す。
【0068】
(Y
3Ga
1Al
4O
1:Ce+Al
2O焼成体の試料の作製)
平均粒径0.5μm、純度99.9%の酸化セリウム粉末と、平均粒径1.2μm、純度99.9%の酸化イットリウム粉末と、平均粒径2μm、純度99.9%の酸化ガリウム粉末と、平均粒径0.4μm、純度99.9%の酸化アルミニウム粉末とを所定の配合比率で混合し、原料粉末を得た。
この原料粉末に、エタノール、ポリビニルブチラール(PVB)系バインダ及びグリセリン系可塑剤を添加し、酸化アルミニウムボールを用いたボールミルにて40時間粉砕混合を行い、スラリーを調製した。
このスラリーを用いて、ドクターブレード法により、所定厚さのグリーンシートを成形した。得られたグリーンシートを、大気中で脱脂、仮焼後、1.0×10
-2Pa以下の真空雰囲気下で焼成し、Y
3Ga
1Al
4O
12:Ce+Al
2O
3焼成体を作製した(実施例38)。尚、実施例38を表5、表6に示す。
【0069】
(Lu
3Sc
1Al
4O
12:Ce+Al
2O
3焼成体の試料の作製)
平均粒径0.5μm、純度99.9%の酸化セリウム粉末と、平均粒径1.7μm、純度99.9%の酸化ルテチウム粉末と、平均粒径0.3μm、純度99.9%の酸化スカンジウム粉末と、平均粒径0.4μm、純度99.9%の酸化アルミニウム粉末とを所定の配合比率で混合し、原料粉末を得た。
この原料粉末に、エタノール、ポリビニルブチラール(PVB)系バインダ及びグリセリン系可塑剤を添加し、酸化アルミニウムボールを用いたボールミルにて40時間粉砕混合を行い、スラリーを調製した。
このスラリーを用いて、ドクターブレード法により、所定厚さのグリーンシートを成形した。得られたグリーンシートを、大気中で脱脂、仮焼後、1.0×10
-2Pa以下の真空雰囲気下で焼成し、Lu
3Sc
1Al
4O
1:Ce+Al
2O
3焼成体を作製した(実施例39)。尚、実施例39を表5、表6に示す。
【0070】
(Lu
3Ga
1Al
4O
12:Ce+Al
2O
3焼成体の試料の作製)
平均粒径0.5μm、純度99.9%の酸化セリウム粉末
と、平均粒径1.7μm、純度99.9%の酸化ルテチウム粉末と、平均粒径2μm、純度99.9%の酸化ガリウム粉末と、平均粒径0.4μm、純度99.9%の酸化アルミニウム粉末と、を所定の配合比率で混合し、原料粉末を得た。
この原料粉末に、エタノール、ポリビニルブチラール(PVB)系バインダ及びグリセリン系可塑剤を添加し、酸化アルミニウムボールを用いたボールミルにて40時間粉砕混合を行い、スラリーを調製した。
このスラリーを用いて、ドクターブレード法により、所定厚さのグリーンシートを成形した。得られたグリーンシートを、大気中で脱脂、仮焼後、1.0×10
-2Pa以下の真空雰囲気下で焼成し、Lu
3Ga
1Al
4O
12:Ce+Al
2O
3焼成体を作製した(実施例40)。尚、実施例40を表5、表6に示す。
【0071】
(Y
3Sc
1Al
4O
12:Ce+Al
2O
3焼成体の試料の作製)
平均粒径0.5μm、純度99.9%の酸化セリウム粉末と、平均粒径1.2μm、純度99.9%の酸化イットリウム粉末と、平均粒径0.3μm、純度99.9%の酸化スカンジウム粉末と、平均粒径0.4μm、純度99.9%の酸化アルミニウム粉末とを所定の配合比率で混合し、原料粉末を得た。
この原料粉末に、エタノール、ポリビニルブチラール(PVB)系バインダ及びグリセリン系可塑剤を添加し、酸化アルミニウムボールを用いたボールミルにて40時間粉砕混合を行い、スラリーを調製した。
このスラリーを用いて、ドクターブレード法により、所定厚さのグリーンシートを成形した。得られたグリーンシートを、大気中で脱脂、仮焼後、1.0×10
-2Pa以下の真空雰囲気下で焼成し、Y
3Sc
1Al
4O
12:Ce+Al
2O
3焼成体を作製した(実施例41)。尚、実施例41を表5、表6に示す。
【0072】
(Tb
3Al
5O
12:Ce+Al
2O
3焼成体の試料の作製)
平均粒径0.5μm、純度99.9%の酸化セリウム粉末と、平均粒径0.7μm、純度99.9%の酸化テルビウム粉末と、平均粒径0.4μm、純度99.9%の酸化アルミニウム粉末と、を所定の配合比率で混合し、原料粉末を得た。
この原料粉末に、エタノール、ポリビニルブチラール(PVB)系バインダ及びグリセリン系可塑剤を添加し、酸化アルミニウムボールを用いたボールミルにて40時間粉砕混合を行い、スラリーを調製した。
このスラリーを用いて、ドクターブレード法により、所定厚さのグリーンシートを成形した。得られたグリーンシートを、大気中で脱脂、仮焼後、1.0×10
-2Pa以下の真空雰囲気下で焼成し、Tb
3Al
5O
12:Ce+Al
2O
3焼成体を作製した(実施例42)。尚、実施例42を表5、表6に示す。
【0073】
(Yb
3Al
5O
12:Ce+Al
2O
3焼成体の試料の作製)
平均粒径0.5μm、純度99.9%の酸化セリウム粉末と、平均粒径0.4μm、純度99.9%の酸化イッテルビウム粉末と、平均粒径0.4μm、純度99.9%の酸化アルミニウム粉末と、を所定の配合比率で混合し、原料粉末を得た。
この原料粉末に、エタノール、ポリビニルブチラール(PVB)系バインダ及びグリセリン系可塑剤を添加し、酸化アルミニウムボールを用いたボールミルにて40時間粉砕混合を行い、スラリーを調製した。
このスラリーを用いて、ドクターブレード法により、所定厚さのグリーンシートを成形した。得られたグリーンシートを、大気中で脱脂、仮焼後、1.0×10
-2Pa以下の真空雰囲気下で焼成し、Yb
3Al
5O
12:Ce+Al
2O
3焼成体を作製した(実施例43)。尚、実施例43を表5、表6に示す。
尚、上記実施例37〜実施例43における各特性値の変更は、上記のY
3Al
5O
12:Ce+Al
2O
3焼成体の場合と同様にして行った。また、実施例1〜43及び比較例1〜10の焼成体における入射面2及び出射面3以外の4つの側面は、#150(メッシュ)の固定砥粒を用い平面研削加工機により研削を行い、いずれの側面も測定長100μmでの20点平均の算術平均粗さRaは0.5〜1.5μmの範囲であった。
【0074】
(各実施例、各比較例の測定)
そして、各実施例、各比較例について、気孔率,20点平均の算術平均粗さRa1、Ra2,入射面及び前記出射面の平均表面粗さRa,蛍光性材料と透光性材料の含有比率,蛍光性材料粒子の20個平均直径d1及び前記透光性材料粒子の20個平均直径d2,発光効率,発光ムラを測定した。
【0075】
前記気孔率は、アルキメデス法によりを測定した(JIS C 2141)。
【0076】
また、前記表面に露出するY
3Al
5O
12:Ce粒子及びAl
2O
3粒子の20点平均の算術平均粗さRa1、Ra2は、バネ定数3N/m、共振周波数75kHzのカンチレバー(シリコンカンチレバー)を用いて、ACモード(タッピングモード)で原子間力顕微鏡(Digital Instruments製 Dimension 5000)を使用し、各サンプルの表面形状をスキャンすることで、測定した。
【0077】
測定は標準スキャナの最大範囲10μm四方で走査し、その後に、表面形状の特徴が反映されるよう視野の絞込み(拡大)を行った。算術平均粗さの算出は、1μm長さにて実施した。この測定されたRa1、Ra2から、Ra2/Ra1を求めた。
【0078】
また、入射面及び前記出射面の算術平均粗さRaは、接触式表面粗さ測定機にて測定長4μmで測定した(JIS B0601−2001)。
【0079】
また、蛍光性材料と透光性材料の含有比率は、まず蛍光性材料にかかる原料粉末と透光性材料にかかる原料粉末の混合量を変化させたサンプルを粉末X線解析にて測定し、蛍光性材料及び透光性材料のピーク強度比から検量線を作成した。その後、測定試料を測定し、蛍光性材料及び透光性材料の割合を算出した。
【0080】
前記蛍光性材料粒子の20個平均直径d1及び前記透光性材料粒子の20個平均直径d2は、FE−SEMの反射電子像により、蛍光相と透光相を特定し、それぞれの粒子直径を測定した。尚、1つの粒子の直径は、最長径と最短径を測定し、これを2で割った値とした。
【0081】
また、発光効率は、1mm四方、厚さ0.1mmに加工後、青色LED素子(発光領域1mm四方、発光波長460nm)上にシリコーン樹脂で固定した。発光を積分球にて集光後、分光器(オーシャンオプティクス社製「USB4000 ファイバメルチチャンネル分光器」)を用いて、発光スペクトルを測定した。
得られたスペクトルから発光ピーク波長及び吸収量で規格化した発光強度を算出した。発光強度は市販のYAG:Ce蛍光体(化成オプトニクス社製「P46−Y3」)の測定結果を100とした。
【0082】
発光ムラは、1mm四方、厚さ0.1mmに加工後、背面から直径0.3mmに集光した青色LED光を照射し、前方から分光器(オーシャンオプティクス社製「USB4000 ファイバメルチチャンネル分光器」)を用いて受光した。
得られたスペクトルデータよりCIExを算出した。表に示す値は、5mm四方エリアを0.1mmピッチで51×51(2601ポイント)測定した際の標準偏差を示す。
上記測定結果を表1〜表6に示す。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
【表3】
【0086】
【表4】
【0087】
【表5】
【0088】
【表6】
【0089】
従来例として記載した焼成体表面をエッチング処理した波長変換材料(比較例5)は機械的強度が低く、また色ムラが大きなものであった。
また、上記エッチング処理に変え、研削処理を行った波長変換材料(比較例4)は、機械的強度、色ムラ、いずれも比較例5と同程度のものであった。また、研磨処理を行った。
波長変換材料(比較例3)は発光効率が低いものであった。
これらに対し、表1及び表2から分かる通り、気孔率を1.0%以下とし、焼成面における測定長4mmでの10点平均の算術平均粗さRaを0.1μm〜0.5μm、表面に露出する蛍光性材料粒子及び透光性材料粒子の測定長1μmでの20点平均の算術平均粗さRaを各々0.2nm〜0.5nm,0.3nm〜0.7nmとした本願発明の波長変換焼成体(実施例1〜実施例3)は、更にこれら数値範囲外(比較例1,2)よりも、発光効率が高く、色ムラが小さくなることが確認された。
【0090】
また、更に蛍光性材料粒子及び透光性材料粒子の20個平均直径を各々d1:0.5〜5μm、d2:1〜10μmとし、各粒子の占める割合を各々22〜35容積%,65〜78容積%とした本願発明の波長変換焼成体(実施例5〜7)は、前記実施例1〜3よりも発光効率が高くなり、また色ムラが小さくなることが確認された。
また、更に蛍光性材料粒子の20個平均直径d1を、透光性材料粒子の20個平均直径d2の0.1〜0.78倍とした本願発明の波長変換焼成体(実施例10〜12)は、上記実施例5〜7よりも色ムラが更に小さくなることが確認され、また透光性材料粒子の測定長1μmでの20点平均の算術平均粗さRa2を、蛍光性材料粒子の同Ra1の1.2〜2.0倍とすることで、発光効率が更に向上することが確認された。
【0091】
また、表3及び表4から蛍光性材料としてY
2Gd
1Al
5O
12:Ceを用いた波長変換焼成体の場合においても、上記Y
3Al
5O
12:Ceの場合と同様であることが確認された。
更に、表5及び表6から蛍光性材料としてLu
3Al
5O
12:Ce、Lu
3Ga
1Al
4O
12:Ce、Y
3Sc
1Al
4O
12:Ce、Lu
3Ga
1Al
4O
12:Ce、Y
3Sc
1Al
4O
12:Ce、Tb
3Al
5O
12:Ce、Yb
3Al
5O
12:Ceを用いた波長焼成体の場合も、良好な発光効率と小さい色ムラとなることが確認された。
【0092】
以下、本発明の第2の実施形態を実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明は下記実施例により制限されるものではない。
【0093】
(第1の層のグリーンシートの作製)
第2の実施形態における第1層は、前記第1の実施形態の波長変換焼成体に相当するものである。
即ち、平均粒子径0.3〜1.5μmの純度99.9%の酸化セリウム粉末、平均粒子径0.6〜5μmの純度99.9%の酸化イットリウム粉末、及び平均粒子径0.2〜0.9μmの純度99.9%の酸化アルミニウム粉末を表7に示すような後で記載する焼成条件等で焼成した後の組成となるように所定量配合し原料粉末を得た。
前記原料粉末に対してエタノール、PVB系バインダおよびグリセリン系可塑剤を原料粉末に対して添加し、酸化アルミニウムボールを用いたボールミルによって10時間粉砕混合を行い、スラリーを作製した。
そして、得られたスラリーから、ドクターブレード法により、表7に示す所定厚みのグリーンシートを作製した。次に、作製したグリーンシートを口100mmに打ち抜き加工した。
【0094】
(中間層のグリーンシートの作製)
平均粒子径0.3〜2.1μmの純度99.9%の酸化アルミニウム粉末を、原料粉末とした。後で記載する焼成条件等で焼成した後の酸化アルミニウム粒子の直径が、表8に示す最小値及び最小値の範囲内になるように選定した。
この原料粉末に対してエタノール、PVB系バインダおよびグリセリン系可塑剤を原料粉末に対して添加し、酸化アルミニウムボールを用いたボールミルによって10時間粉砕混合を行い、スラリーを作製した。
そして、得られたスラリーから、ドクターブレード法により、表8に示す所定の厚みのグリーンシートを作製した。次に、作製したグリーンシートを口100mmに打ち抜き加工した。
【0095】
(第2の層のグリーンシートの作製)
純度99.9%、平均粒子径0.6〜5μmの酸化イットリウム粉末、純度99.9%、平均粒子径0.2〜0.9μmの酸化アルミニウム粉末を、表9に示すような、後で記載する焼成条件等で焼成した後の組成となるように所定量配合し、原料粉末を得た。
前記原料粉末に対してエタノール、PVB系バインダおよびグリセリン系可塑剤を原料粉末に対して添加し、酸化アルミニウムボールを用いたボールミルによって10時間粉砕混合を行い、スラリーを作製した。
そして、得られたスラリーから、ドクターブレード法により、表9に示す所定厚みのグリーンシートを作製した。次に、作製したグリーンシートを口100mmに打ち抜き加工した。
【0096】
(波長変換積層複合体(波長変換焼成体)の作成)
前記第1の層、中間層、第2の層の打ち抜き加工後、第1の層用グリーンシートと、第2の層用グリーンシートとの間に、中間層用のグリーンシートを挟み込み、グリーンシートの積層体した。
次いで、60℃、100MPaの雰囲気下で温間等方圧加圧法(WIP)を行い、積層構造を有する成形体を作製した。
そして、作製した成形体を大気中で脱脂仮焼後、真空雰囲気下、1550〜1750℃で焼成し、波長変換積層複合体(波長変換焼成体)を得た(実施例44〜実施例53、比較例11〜19)。
【0097】
[各実施例、各比較例の測定、評価]
(気孔率等の測定)
本発明の第1の実施形態にかかる実施例、比較例と同様な方法で、本発明の第2の実施形態にかかる実施例、比較例について、気孔率,20点平均の算術平均粗さRa1、Ra2,平均表面粗さRa,YAG系蛍光性材料粒子の20個平均直径d1及びAl
2O粒子の20個平均直径d2,YAG系蛍光性材料とAl
2O
3の含有比率、YAG系材料とAl
2O
3の含有比率を測定した。その結果を表7,8,9に示す。
(Al
2O
3粒子同士の連結の有無)
実施例44〜実施例53、比較例11〜19について、各層及び各層界面におけるAl
2O
3粒子同士の連結の有無につて検証した。
各層及び各層界面におけるAl
2O
3粒子同士の連結の有無は、波長変換積層複合体の厚さ方向の任意の垂直断面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察し、各層及び各層界面においてAl
2O
3粒子同士が連結(結合)しているか否か、確認した。その結果を表10に示す。
【0098】
(Al
2O
3粒子個数及び各粒子径の測定)
波長変換積層複合体の厚さ方向の任意の垂直断面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察し、中間層部分を延べ1mm
2の視野角で撮像した際にAl
2O
3粒子個数及び各粒子径を測定した。その結果を表8に示す。
【0099】
(焼成後の第1層と第2層におけるCe濃度(atom%)の測定)
焼成後の第1層と第2層におけるCe濃度(atom%)の測定は、各層をそれぞれ、研削加工により削り出した後、ICP発光分析により測定した。
【0100】
(色ムラの測定)
色ムラは、1mm四方に加工後、背面から直径0.3mmに集光した青色LED光を照射し、前方から分光器(オーシャンオプティクス社製「USB4000 ファイバメルチチャンネル分光器」)を用いて受光した。
得られたスペクトルデータよりCIExを算出した。表5に示す値は、5mm四方エリアを0.1mmピッチで51×51(2601ポイント)測定した際の標準偏差を示す。
【0101】
(色度(蛍光ピーク波長)、発光効率の測定)
色度および発光効率は、1mm四方に加工後、青色LED素子(発光領域1mm四方、発光波長460nm)上にシリコーン樹脂で固定した。発光を積分球にて集光後、分光器(オーシャンオプティクス社製「USB4000 ファイバメルチチャンネル分光器」)を用いて、発光スペクトルを測定した。
得られたスペクトルから蛍光ピーク波長の計測および吸収量で規格化した発光強度を算出した。蛍光ピーク波長は第2層にCeが拡散するほど、短波長よりとなる。青色光と組み合わせ所望の白色光(8000K以下)を得るためには発光ピーク波長は540nm以上である必要がある。
発光強度(発光効率)は市販のYAG:Ce蛍光体(化成オプトニクス社製「P46−Y3」)の測定結果を100とした。
【0102】
【表7】
【0103】
【表8】
【0104】
【表9】
【0105】
【表10】
【0106】
以上の結果、実施例44〜53のように、Al
2O
3により形成された中間層において直径20μm以上300μm以下の粒子が全体粒子個数の90%以上を占めることにより、焼成後の第2の層におけるCe(賦活剤)濃度を充分に低いものとすることができ、第2の層へのCe(賦活剤)の拡散を抑制することができることが確認された。
また、実施例44〜53のように、前記第1の層、中間層及び第2の層はいずれも気孔率が1.0%以下の焼成体からなり、前記第1の層及び第2の層の表面は非加工で露出する焼成面で、測定長4mmでの10点平均の算術平均粗さRaが0.1μm以上0.5μm以下であり、前記表面に露出する前記YAG系蛍光性材料の粒子及びYAG系材料の測定長1μmでの20点平均の算術平均粗さRa1が0.2nm以上0.5nm以下で、前記表面に露出するAl
2O
3の粒子の測定長1μmでの20点平均の算術平均粗さRa2が0.3nm以上0.7nm以下の場合に、出射光の色ムラを抑制され、かつ優れた発光効率を有することが確認された。
更に、実施例44〜47、49〜50、52、53のように、第1の層における賦活剤含有のYAG系蛍光性材料の粒子及び前記第2の層におけるYAG系材料の粒子の20個平均直径d1は0.5μm以上5μm以下で、前記第1,2の層の各層における前記Al
2O
3の粒子の20個平均直径d2は1μm以上10μm以下であり、前記第1の層におけるYAG系蛍光性材とAl
2O
3の容積組成比は、YAG系蛍光性材料が22容積%以上35容積%以下で、Al
2O
3が
65容積%以上78容積%以下の範囲内にあり、また前記第2の層におけるYAG系材料とAl
2O
3の容積組成比は、YAG系材料が22容積%以上35容積%以下で、Al
2O
3が
65容積%以上78容積%以下の範囲内にある場合に、より高い発光効率が得られることが確認された。