(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両のドアを閉状態でラッチするラッチ機構と、前記ドアに備えたドアハンドルの操作によるハンドル操作力を受けて回動するハンドル連動レバーとの間にロック切替機構を設け、そのロック切替機構により、前記ハンドル操作力を前記ラッチ機構に伝達して前記ドアのラッチを解除可能にするアンロック状態と、前記ハンドル連動レバーからの前記ハンドル操作力の伝達を遮断して前記ドアのラッチを解除不能にするロック状態とに切り替えられるドアロック装置において、
前記ドアに固定されると共に、前記ラッチ機構が組み付けられた樹脂製の支持ボディと、
前記支持ボディに設けられて、前記ドアにおける回動中心と反対側のドア端部壁に対向配置される部品支持壁と、
前記部品支持壁に突出形成されて、前記ハンドル連動レバーが有する貫通孔に挿通され、前記ハンドル連動レバーを回動可能に支持するレバー回動支持軸部と、
前記部品支持壁に突出形成されて、前記レバー回動支持軸部のうち前記部品支持壁側の端部における周方向の一部を側方から包囲する包囲壁と、
前記レバー回動支持軸部に挿通されて、前記包囲壁と前記レバー回動支持軸部との間に収容されたコイル部を有し、前記ラッチ機構の一部に係合して、前記ラッチ機構を、前記ドアをラッチする側に付勢するラッチ保持用トーションコイルバネと、
前記レバー回動支持軸部に形成されて抜き勾配を有した傾斜外周面と、
前記傾斜外周面の周方向のうち前記コイル部が当接する部分に突出形成されて前記レバー回動支持軸部の軸方向と平行な稜線を有したコイル当接突条と、を備えたドアロック装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る一実施形態を
図1〜
図19に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態のドアロック装置10は、樹脂製の支持ボディ11に複数の部品を組み付けて備えている。支持ボディ11は、例えば、ボディ本体90と第1及び第2のカバー91,92とからなる。ボディ本体90は、
図2に示すように上方から見ると、全体がL字形状をなし、外側角部を挟んで隣り合った両側面に第1と第2の部品収容部90A,90Bを有している。そして、ボディ本体90のL字形状の短辺側に位置した第1部品収容部90Aを覆うように第1カバー91がボディ本体90に組み付けられる一方、ボディ本体90のL字形状の長辺側に位置した第2部品収容部90Bを覆うように第2カバー92がボディ本体90に組み付けられて、支持ボディ11全体が、ボディ本体90と同様のL字形になっている。
【0021】
第1カバー91には、第1部品収容部90Aに収容される部品を支持する第1部品支持壁11Cが備えられ、その第1部品支持壁11Cの一側縁部から第2カバー92側にサイド突壁91Aを突出している。また、そのサイド突壁91Aに対応させて、第2カバー92には、
図8に示すように凹状湾曲縁部92Aが形成されている。そして、
図1に示すように、凹状湾曲縁部92Aにサイド突壁91Aの縁部が外側から重ね合わされている。なお、本実施形態では、第1部品支持壁11Cが本発明に係る「部品支持壁」に相当し、ボディ本体90のうち第1部品支持壁11Cに対向する第1部品収容部90Aの奧側の第2部品支持壁90Cが、本発明に係る「部品支持補助壁」に相当する。
【0022】
図2に示すように、第1部品支持壁11Cの外面には外面補強盤93が宛がわれる一方、第1カバー91の内面には、内面補強盤93Bが宛がわれ、これら外面補強盤93と内面補強盤93Bとが、第1部品支持壁11Cを貫通したラッチ支持シャフト13J及びラチェット支持シャフト14J(
図5参照)によって固定されている。そして、例えば、
図3に示すように、車両100の右横に配置された回動式のドア101における回動中心と反対側の端部壁101Aに内側から外面補強盤93が宛われ、端部壁101Aを貫通した図示しない複数のボルトを、外面補強盤93の複数の螺子孔N3(
図1参照)に締め付けて支持ボディ11がドア101に固定されている。
【0023】
図1に示すように、外面補強盤93は、第1部品支持壁11Cの外面における上縁部と下端部を除いた略全体を覆っている。また、外面補強盤93の上下方向の中間位置には、水平に延びてサイド突壁91A側の一端部が開放した板金溝93Mが形成されている。一方、第1部品支持壁11Cの外面のうち外面補強盤93によって覆われる部分には、
図13に示すように、ラッチ機構収容凹部91Bが陥没形成されている。また、そのラッチ機構収容凹部91Bの奥面には、奥面溝91Mが形成され、その一端部がサイド突壁91Aの外面に開放している。そして、
図1に示すように、板金溝93Mと奥面溝91Mとから重なり合ってストライカ受容溝12が構成され、そのストライカ受容溝12の一端部がサイド突壁91A側で開放したストライカ受容口12Kになっている。また、ストライカ受容溝12は、ドア101に形成された切り欠き孔101B(
図3及び
図4参照)を通してドア101の外部に露出し、車両100のドア枠100Wの内面に備えたストライカ15(
図3参照)が、ドア101を閉めた際に、ストライカ受容口12Kからストライカ受容溝12内に進入するようになっている。
【0024】
なお、
図13に示すように、第1部品支持壁11Cには、奥面溝91Mの上側にラッチ支持孔11Gが形成されて、そこをラッチ支持シャフト13Jが貫通している。また、第1部品支持壁11Cには、奥面溝91Mの下側にラチェット支持孔11Eが形成されて、そこをラチェット支持シャフト14Jが貫通している。
【0025】
ストライカ15全体は、例えば断面円形の線材を屈曲させた門形構造をなし、その門形構造の1対の脚部がドア枠100Wの内面から突出しかつ内外方向に並べられている。そして、ストライカ15の1対の脚部のうち外寄りに配置された一方の脚部に、次述するラッチ13が係合する。
【0026】
図5に示すように、第1カバー91のラッチ機構収容凹部91Bには、本発明に係るラッチ機構10Rのラッチ13及びラチェット14(「ポール」と呼ばれることもある)が収容されている。ラッチ13は、互いに平行になった第1と第2の係止爪13A,13Bを有し、それら第1と第2の係止爪13A,13Bの間がストライカ受容部13Cになっている。また、ラッチ13のうち第1と第2の係止爪13A,13B同士を連絡する部分に、上記したラッチ支持シャフト13Jが貫通していて、そのラッチ支持シャフト13Jを中心にしてラッチ13が回動する。
【0027】
また、
図13に示すように、ラッチ機構収容凹部91Bの奥面には、ラッチ支持孔11Gの周囲を陥没させてバネ収容溝13Mが形成され、そこに収容されたラッチ用トーションコイルバネ13S(
図18参照)によって、ラッチ13が、アンラッチ方向(
図5の時計回り方向)に付勢されている。そして、ドア101を開けた状態では、ラッチ13に備えたストッパ当接部13Dと支持ボディ11に備えたストッパ11Xとの当接によりラッチ13がアンラッチ位置(
図5に示した位置)に位置決めされる。
【0028】
そのアンラッチ位置では、第1係止爪13Aがストライカ受容溝12の上方に退避しかつ、第2係止爪13Bがストライカ受容溝12を横切った状態になり、ストライカ受容部13Cの開口端がストライカ受容溝12のストライカ受容口12K側を向く。そして、ストライカ受容溝12に進入したストライカ15がストライカ受容部13C内に受容されると共に、ストライカ15が第2係止爪13Bを押してラッチ13がラッチ方向(
図5における反時計回り方向)に回動する。これにより、
図6に示すように、ストライカ受容溝12のうちストライカ15よりストライカ受容口12K側が第1係止爪13Aによって塞がれて、ラッチ13がストライカ15と噛み合った状態になる。
【0029】
ラチェット14は、ラチェット支持シャフト14Jに回動可能に支持されている。また、ラチェット14は、ラチェット支持シャフト14Jからストライカ受容口12Kと反対側に延びたストッパ片14Bを備え、そのストッパ片14Bの中間位置から上方にラッチ回動規制片14Aが突出した構造をなしている。さらに、ラチェット14は、後述するラッチ保持用トーションコイルバネ14S(
図18参照)によって
図5における反時計回り方向に付勢され、通常は,ストッパ片14Bと支持ボディ11のラチェットストッパ11Dとの当接により原点位置に位置決めされている。そして、ドア101を閉じると、ストライカ15に押されて回動したラッチ13が、ラチェット14のラッチ回動規制片14Aを押し下げて通過してからラチェット14が原点位置に戻り、
図6に示すように、ラッチ13の第1係止爪13Aに対して、ストライカ受容部13Cの反対側からラチェット14のラッチ回動規制片14Aが突き当たる。これにより、ラッチ13がストライカ15と噛み合った状態に保持される。このようにして、ドア101はラッチ機構10Rにより閉状態にラッチされる。
【0030】
ラチェット14によるラッチ13の回動規制は、
図3に示すようにドア101の車外面に設けられたアウトサイドドアハンドル104と、
図4に示すようにドア101の車内面に設けられたインサイドドアハンドル105との何れかの操作によって解除することができる。ラッチ機構10Rは、アウトサイドドアハンドル104及びインサイドドアハンドル105からの操作力を受けるために、第1カバー91の内面に
図7に示したリフトレバー16を備えている。
【0031】
そのリフトレバー16は、例えば、板金製であって、第1部品支持壁11Cの内面側に配置されて、第1カバー91を介してラチェット支持シャフト14Jに回転可能に支持されている。また、リフトレバー16には、ラチェット支持シャフト14Jからストライカ受容溝12(
図5参照)のストライカ受容口12K側(以下、これを「前側」といい、その反対側を「後側」という)に向かって突出した第1傾動アーム16Aと、ラチェット支持シャフト14Jから後斜め下方に向かって突出した第2傾動アーム16Cとが備えられている。そして、第2傾動アーム16Cの上縁部から直角曲げされた係合突片16Kが、
図15に示した第1部品支持壁11Cの貫通孔11Fを通してラッチ機構収容凹部91B(
図5参照)側に突入し、ラチェット14に備えた係合孔14C(
図5参照)に凹凸係合している。これにより、リフトレバー16とラチェット14とは一体回転する。また、
図7に示すように、第1傾動アーム16Aには、ラッチ解除部16Bが設けられている。そのラッチ解除部16Bは、例えば、第1傾動アーム16Aの先端部をボディ本体90側に折り曲げて突出させた突片構造になっている。
【0032】
図10(A)に示すように、ラチェット支持シャフト14Jの後側斜め下方には、オープンレバー回動支持軸部97(本発明に係る「レバー支持軸部」に相当する)が設けられ、そのオープンレバー回動支持軸部97にアウトサイドハンドル連動レバー17(本発明に係る「ハンドル連動レバー」に相当する)が回動可能に支持されている。そのオープンレバー回動支持軸部97の詳細な構成に関しては、後に詳細に説明する。
【0033】
アウトサイドハンドル連動レバー17は、板金製であって、
図10(A)に示すようにオープンレバー回動支持軸部97が貫通した貫通孔17Fを備えると共に、オープンレバー回動支持軸部97から前側に突出した支持アーム17Aと、オープンレバー回動支持軸部97から後側に突出した操作アーム17Dとを有している。そして、アウトサイドハンドル連動レバー17は、
図8に示したハンドル連動レバー用トーションコイルバネ18によって支持アーム17Aが下がる方向に付勢されると共に、ボディ本体90に一体形成されたストッパ部90Sに操作アーム17Dの上縁部が当接した原点位置(
図10(A)及び
図10(B)参照)に、通常は位置決めされている。
【0034】
また、操作アーム17Dの後端上縁部からは、ロッド係止片17Eが直角曲げされ、そのロッド係止片17Eに形成された貫通孔に樹脂リング17Vが装着されている。また、その樹脂リング17Vの内側には、図示しないロッドの一端部が接続され、そのロッドの他端部が、
図3に示したドア101のアウトサイドドアハンドル104に接続されている。そして、アウトサイドドアハンドル104が操作されると、ロッド係止片17Eが下方に押されてアウトサイドハンドル連動レバー17が原点位置(
図10(A)及び
図10(B))から作動位置(
図11(A)及び
図11(B))へと回動する。
【0035】
また、支持アーム17Aの先端の下縁部からは、受圧片17Cが第2部品支持壁90C側(第1部品支持壁11Cの反対側)に折り曲げられて突出している。
【0036】
なお、アウトサイドハンドル連動レバー17は、原点位置では、支持アーム17Aが前下がりに傾斜した姿勢になり(
図10(A)参照)、作動位置では、支持アーム17Aが水平姿勢に近づき、わずかに前下がりに傾斜した姿勢になる(
図11(A)参照)。
【0037】
図10(A)に示すように、支持アーム17Aの先端部には、傾動連結孔17Bがオープンレバー回動支持軸部97の軸方向と平行な方向に貫通形成されている。その傾動連結孔17Bは、円形孔の内周面における180度離れた2位置から互いに接近する側に1対の山形突部17T,17Tを突出させた形状になっている。そして、その傾動連結孔17Bに、オープンリンク19の下端部が連結されている。そして、このオープンリンク19とリフトレバー16とから、本発明に係るロック切替機構16Zが構成されている。
【0038】
オープンリンク19は、板金製であって、
図7に示すように、全体が上下方向に延びた縦長形状をなし、オープンリンク19の下端部が、アウトサイドハンドル連動レバー17に対して第1部品支持壁11C側から重ねられている。そして、そのオープンリンク19の下端部には、傾動連結突片19Aが設けられている。傾動連結突片19Aは、
図10(A)に示すように、オープンリンク19の下端部における後縁部を、
図7に示すように第1部品支持壁11Cと反対側に折り曲げてなる。そして、1対の山形突部17T,17T(
図10(A)参照)の間に傾動連結突片19Aが通されて、オープンリンク19がオープンレバー回動支持軸部97と平行な傾動軸(傾動連結孔17Bの中心を貫通する架空の軸)を中心に傾動する。
【0039】
また、オープンリンク19は、後述するアクティブレバー25によって傾動範囲が規制される。そのアクティブレバー25からの傾動規制を受けるために、オープンリンク19には、
図7に示すように、ロック解除片19Bと摺接突片19Eとが備えられている。ロック解除片19Bは、オープンリンク19の下端寄り位置から前方に突出した下端アーム19Fの下縁部を第2部品支持壁90C側(第1部品支持壁11Cの反対側)に折り曲げてなる。また、摺接突片19Eは、オープンリンク19の上下方向における中間部の前縁部から、第2部品支持壁90C側(第1部品支持壁11Cの反対側)に折り曲げられて突出している。また、オープンリンク19とアウトサイドハンドル連動レバー17との間には、トーションコイルバネ29が装着され、このトーションコイルバネ29によってオープンリンク19が、
図10(A)における反時計回り方向に付勢されている。さらに、オープンリンク19の上縁部からは、押上突片19Cが第1部品支持壁11C側に折り曲げられて突出している。
【0040】
図17に示すように、支持ボディ11のうち第2部品収容部90Bの奧側に位置した第3部品支持壁90Eには、向かって右下端寄り位置にオープンレバー支持軸部20Jが突出形成され、そのオープンレバー支持軸部20Jに
図12に示したインサイドオープンレバー20が回動可能に軸支されている。また、そのインサイドオープンレバー20には、ワイヤーW1を介してインサイドドアハンドル105が接続されている。そして、インサイドドアハンドル105が操作されると、インサイドオープンレバー20が
図12における時計回りに回動して前述したアウトサイドハンドル連動レバー17の受圧片17Cを押し上げ、アウトサイドハンドル連動レバー17を原点位置から作動位置まで回動させる。
【0041】
図17に示すように、第3部品支持壁90Eには、左右方向の中央下端寄り位置にアクティブレバー支持軸部25Jが突出形成されると共に、上下左右の略中央位置にホイール支持軸部24Jが突出形成されている。そして、
図12に示すように、アクティブレバー支持軸部25Jにアクティブレバー25が回動可能に軸支される一方、ホイール支持軸部24Jにウォームホイール24が回転可能に軸支されている。また、第3部品支持壁90Eにおけるウォームホイール24の斜め左上となる位置には、モータ22が取り付けられている。さらには、モータ22の回転軸に備えたウォームギヤ23がウォームホイール24に噛合している。そして、車内の集中ロック操作スイッチ107(
図4参照)や無線キー108(
図3参照)の操作に応じて、モータ22がウォームホイール24を一方向と他方向とに回転駆動し、その際、ウォームホイール24に備えた係合突部24A,24Aがアクティブレバー25に当接して、アクティブレバー25をアンロック位置とロック位置の間で回転駆動する。
【0042】
図12に示すように、アクティブレバー25には、アクティブレバー支持軸部25Jから上方に張り出した第1扇形突片25Aと、アクティブレバー支持軸部25Jから斜め左下方に張り出した扇形の第2扇形突片25Dと、アクティブレバー支持軸部25Jから斜め右側に突出したアクティブ作用アーム25Cとが備えられている。
【0043】
図10(A)及び
図10(B)に示すように、アウトサイドハンドル連動レバー17が原点位置に配置された状態では、アクティブ作用アーム25Cの先端部は、オープンリンク19におけるロック解除片19Bに下方から当接している。また、第1扇形突片25Aのうちアクティブ作用アーム25Cに近い側の一側縁部からは、ロック維持アーム25Bが突出していてオープンリンク19の前方に位置し、
図9に示すように、ロック維持アーム25Bの先端部からはオープンリンク19側に向かって姿勢規制突部25Tが突出している。
【0044】
図12に示すように、第2扇形突片25Dの下端部には、ワイヤーW2を介してドア101の車内側に備えたロック切替操作部106(
図4参照)が接続されている。そして、ロック切替操作部106を操作することで、アクティブレバー25をアンロック位置とロック位置とに切り替えることができる。
【0045】
また、
図17に示すように、第3部品支持壁90Eには、オープンレバー支持軸部20Jの下方に支持孔11Jが形成され、第3部品支持壁90Eの裏面における支持孔11Jの開口縁から支持スリーブ11Tが突出している。そして、支持スリーブ11Tの内側を貫通した
図1に示す中継シャフト32のうち第2部品収容部90B内に位置した一端部から第1レバー32Aが側方に張り出し、その第1レバー32Aと第2扇形突片25Dとが中継リンク30によって連結されている。また、中継シャフト32の他端部からは第2レバー32Bが側方に張り出し、その第2レバー32Bと図示しないロッドを介して、ドア101に備えたキーシリンダ102(
図3参照)が連結されている。そして、キーシリンダ102にキー103(
図3参照)を挿入して操作することによっても、アクティブレバー25をアンロック位置とロック位置とに切り替えることができるようになっている。
【0046】
アウトサイドハンドル連動レバー17が原点位置に配置された状態で、アクティブレバー25がアンロック位置に配置されると、
図10(B)に示すように、アクティブレバー25のアクティブ作用アーム25Cとオープンリンク19のロック解除片19Bとの当接によって、オープンリンク19がアンロック位置に位置決めされ、オープンリンク19の押上突片19Cがリフトレバー16における先端当接部16Bの下方に位置する。このとき、ロック維持アーム25Bの姿勢規制突部25T(
図9参照)は、オープンリンク19の摺接突片19Eに対してのオープンリンク19の傾動軸方向(傾動連結孔17Bの中心を貫通する架空の軸の軸方向)でずれた配置となり、ロック維持アーム25Bのうち姿勢規制突部25Tを除くロック維持アーム本体25Sが、オープンリンク19の摺接突片19Eに前方から対向する。この状態でアウトサイドハンドル連動レバー17が原点位置から作動位置側に回動すると、
図11(B)に示すようにオープンリンク19の押上突片19Cがリフトレバー16のラッチ解除部16Bを押し上げ、これによりリフトレバー16がラチェット14(
図6参照)と共に原点位置からリリース位置へと回動して、ラチェット14とラッチ13との係合が解除され、ドア101を開くことができるようになる。
【0047】
一方、アウトサイドハンドル連動レバー17が原点位置に配置された状態で、アクティブレバー25がロック位置に配置されると、
図10(A)に示すように、アクティブレバー25のアクティブ作用アーム25Cとオープンリンク19のロック解除片19Bとの当接によって、オープンリンク19がロック位置に位置決めされ、オープンリンク19の押上突片19Cがリフトレバー16における先端当接部16Bの下方位置から後方にずれて位置する。また、ロック維持アーム25Bの姿勢規制突部25Tは、オープンリンク19の摺接突片19Eに前方から対向する。この状態でアウトサイドハンドル連動レバー17が原点位置から作動位置側に回動すると、
図11(A)に示すように、オープンリンク19の押上突片19Cがリフトレバー16の側方を通過して、リフトレバー16のラッチ解除部16Bがオープンリンク19よって押し上げられることがなくなり、ラッチ機構10Rによるドア101のラッチが維持される。なお、オープンリンク19が上方に移動する際に前側に傾動しても、ロック維持アーム25Bの姿勢規制突部25Tに当接し、オープンリンク19がアンロック側に移動することが規制される。
【0048】
さて、上記したアウトサイドハンドル連動レバー17を支持するオープンレバー回動支持軸部97は、
図18に示すように、第1カバー91の第1部品支持壁11Cから突出した支持突部95と、ボディ本体90の第2部品支持壁90Cから突出した支持筒部96とからなる。
【0049】
具体的には、
図13に示すように、第1部品支持壁11Cのうちラッチ機構収容凹部91Bより下側部分は、本発明に係る突部支持壁95Jになっていて、その突部支持壁95Jから支持突部95が第1部品収容部90Aに向けて突出形成されている。支持突部95は、
図15に示すように突部支持壁95Jから立ち上がった大径軸部95Aと、その先端を閉塞する先端壁95Bと、先端壁95Bの中心から下方に偏心した位置に突出形成された小経軸部95Cとからなり、小経軸部95Cの中心部には、孔95Dが形成されている。また、支持突部95の斜め前側上方位置には、突部支持壁95Jとラッチ機構収容凹部91Bの奥面との間の段差部分の壁を切除して段差開口11Hが形成されている。
【0050】
また、突部支持壁95Jには、大径軸部95Aを、その斜め前側上方を除いた全側方から包囲するように包囲壁95Fが突出形成されている。
図16に示すように、包囲壁95Fは、支持突部95の下方に位置する部分から後方に位置する部分までが円弧状に湾曲した円弧部95Vをなし、その円弧部95Vの両端部から段差開口11Hまで1対の直線部95W,95Wが斜め上方に延びた構造になっている。さらに、包囲壁95Fの内面のうち大径軸部95Aの前側に位置した一端部における突部支持壁95Jから離れた位置からは、係止突起95Uが内側に突出している。そして、ラッチ保持用トーションコイルバネ14Sのコイル部14Kが大径軸部95Aの外側に挿通されて大径軸部95Aと包囲壁95Fとの間に収容され、コイル部14Kの一端部から延設された第1係止アーム14Vが係止突起95Uの内側に係止する一方(
図5及び
図6参照)、コイル部14Kの他端部から延設された第2係止アーム14Wが段差開口11Hを通してラッチ機構収容凹部91B内に突入し、ラチェット14(
図5参照)に係止している。
【0051】
また、ラッチ保持用トーションコイルバネ14Sのコイル部14Kの内径は、大径軸部95Aに遊嵌される大きさをなし、大径軸部95Aの最下部にコイル部14Kの内面が当接して位置決めされている。ここで、大径軸部95Aの外周面は、
図19に強調して示すように、第1カバー91を射出成形する際に容易に成形型から大径軸部95Aを抜き取れるようにするための抜き勾配を備えた傾斜外周面95Sになっている。このため、コイル部14Kが大径軸部95Aの外周面に押し付けられると、その抜き勾配によってコイル部14Kが大径軸部95Aの先端側にずれていくおそれが生じる。これに対し、本実施形態では、大径軸部95Aの外周面のうちコイル部14Kが当接する最下部にはコイル当接突条95Eが形成されている。そのコイル当接突条95Eは、大径軸部95Aの軸方向に延びかつ下方に向かって膨出した形状をなし、そのコイル当接突条95Eにおける最下部に位置した稜線が、大径軸部95Aの中心軸と平行になっている。そして、コイル当接突条95Eにコイル部14Kの内面が当接することで、コイル部14Kが大径軸部95Aの先端側にずれずに位置決めされる。なお、
図14に示すように、コイル当接突条95Eの下方には、突部支持壁95Jと包囲壁95Fとが交差した角部の一部を切除して下端開口95Gが形成されている。
【0052】
図13に示すように、突部支持壁95Jの外面には、大径軸部95Aの内部に連通した中央開口95Yが形成されていて、複数の支持軸部補強リブ95Tが中央開口95Yから放射線状に延びている。より具体的には、複数の支持軸部補強リブ95Tのうちの中央開口95Y周りの一端の支持軸部補強リブ95Tは、中央開口95Yから斜め前側下方に延びる一方、他端の支持軸部補強リブ95Tは、一端の支持軸部補強リブ95Tに対して略180度近く離れた位置で中央開口95Yから斜め後側上方に延び、その他の複数の支持軸部補強リブ95Tが、一端と他端の支持軸部補強リブ95T,95Tの間で、下端開口95Gを避けた位置に分散配置されている。なお、各支持軸部補強リブ95Tの長手方向の両端部は、それぞれ長手方向の先方に向かって徐々に低くなるように丸みを帯びている。
【0053】
図17に示すように、支持筒部96は、第2部品支持壁90Cから突出した円筒体の先端を斜めにカットして先端傾斜面96Sを備えた形状をなし、
図18に示すように、第2部品支持壁90Cのうち支持筒部96の中心上には、貫通孔96Aが形成されている。そして、支持突部95の小経軸部95Cが支持筒部96の内側に挿入された状態で貫通孔96Aを通してタッピング螺子N2が孔95Dに締め付けられて、支持突部95と支持筒部96とからオープンレバー回動支持軸部97が構成されている。また、
図17に示すように、第2部品支持壁90Cには、支持筒部96の周囲の同心円上に環状突条83が突出形成され、その環状突条83から複数の補強リブ84が放射線状に延びている。また、それら補強リブ84は、環状突条83より第2部品支持壁90Cからの突出量が小さくなっている。そして、
図18に示すように、オープンレバー回動支持軸部97の支持筒部96が、その基端部までアウトサイドハンドル連動レバー17の貫通孔17Fに挿入されて、貫通孔17Fの開口縁が環状突条83に宛がわれている。また、ハンドル連動レバー用トーションコイルバネ18のコイル部18Kは、支持筒部96の外側に挿入されている。
【0054】
本実施形態のドアロック装置10の構成に関する説明は以上である。次に、このドアロック装置10の作用効果について説明する。上記したように本実施形態のドアロック装置10では、第1部品支持壁11Cのうちアウトサイドハンドル連動レバー17を回動可能に支持するオープンレバー回動支持軸部97の裏側周辺部分に複数の支持軸部補強リブ95Tを突出形成したので、第1部品支持壁11Cのうちオープンレバー回動支持軸部97の立ち上がり部分の強度が高くなってオープンレバー回動支持軸部97に作用する負荷に対する耐久性が向上する。これにより、オープンレバー回動支持軸部97全体が傾くことを防ぎ、アウトサイドハンドル連動レバー17の回動抵抗が大きくなったり、異音が発生するという問題の発生を防止することができる。しかも、それら複数の支持軸部補強リブ95Tは、放射線状に延びているので、第1部品支持壁11Cのうちオープンレバー回動支持軸部97の立ち上がり部分における上下、水平の両方向に負荷に対する耐久性を向上させることができる。そして、これら支持軸部補強リブ95Tによる突部支持壁95Jの補強により、車両側面からの衝撃力に対する突部支持壁95Jの耐久強度を大きくすることができる。
【0055】
また、オープンレバー回動支持軸部97は、アウトサイドハンドル連動レバー17以外にも、ハンドル連動レバー用トーションコイルバネ18及びラッチ保持用トーションコイルバネ14Sの支持にも兼用されているので、これらを別々に支持した場合に比べてドアロック装置10をコンパクトな構造にすることができる。また、第1部品支持壁11Cに突出形成された包囲壁95Fにてラッチ保持用トーションコイルバネ14Sのコイル部14Kを外側から包囲しているので、そのコイル部14Kの支持が安定する。
【0056】
また、オープンレバー回動支持軸部97は、第1部品支持壁11Cと第2部品支持壁90Cとの間で両持ち梁状態になっているので強度が高い。また、第2部品支持壁90Cにはオープンレバー回動支持軸部97を構成する支持筒部96の全体を側方から包囲する環状突条83が設けられ、その環状突条83にアウトサイドハンドル連動レバー17における貫通孔17Fの開口縁が宛われるので、例えば貫通孔17Fのエッジ部分にバリが残っていてもそのバリが環状突条83と支持筒部96との間に環状の隙間に受け入れられて、アウトサイドハンドル連動レバー17がスムーズに回動する。さらには、支持筒部96は、先端傾斜面96Sを有するように斜めにカットされているので、支持筒部96に支持突部95の小経軸部95Cを徐々に挿入することができ、その挿入作業が容易になる。また、第2部品支持壁90Cには、環状突条83から放射線状に延びた補強リブ84が設けられているので、第2部品支持壁90C全体の強度が高くなって支持筒部96に作用する負荷に対する耐久性が向上する。このことによっても、アウトサイドハンドル連動レバー17の回動抵抗が大きくなったり、異音が発生するという問題の発生を防ぐことができる。
【0057】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、上記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0058】
(1)前記実施形態では、前記支持軸部補強リブ95Tが突部支持壁95Jの外面に形成されていたが、例えば、
図20に示すように、本発明に係る支持軸部補強リブ96Tを、突部支持壁95Jの内面に形成してもよい。
【0059】
(2)前記実施形態では、複数の支持軸部補強リブ95Tは、放射線状に延びていたが、上下方向に延びていてもよいし、水平方向に延びていてもよいし、格子状に形成されていてもよい。
【0060】
(3)前記実施形態では、ラッチ保持用トーションスコイルバネ14Sのコイル部14Kが大径軸部95Aの抜き勾配によって大径軸部95Aの軸方向にずれないようにするためにコイル当接突条95Eが形成されていたが、例えば、
図21に示すように、支持突部95のうち大径軸部95Aと小経軸部95Cとの境界部分から下方に突出してラッチ保持用トーションスコイルバネ14Sのコイル部14Kを大径軸部95Aに抜け止めするようにコイル部14Kに係止する係止突起95Kを備えた構造にしてもよい。
【0061】
(4)前記実施形態のオープンレバー回動支持軸部97は、第1部品支持壁11Cと第2部品支持壁90Cとに両端部を支持された両持ち梁構造をなしていたが、オープンレバー回動支持軸部97は、第1部品支持壁11Cから片持ち梁状に突出していてもよい。