(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態のファイバセンサ1の構成を概念的に示す図である。
ファイバセンサ1は、後述するように、例えば、長尺で可撓性を有する部材である被検体に沿うように装着することにより、その被検体の屈曲状態や屈曲方向を検出する。また、被検体にファイバセンサ1を装着する際に、被検体の曲がり部分を指標位置として、ファイバセンサ1の識別部60を位置合わせすることにより、光特性変換部50を被検体の適正な位置に設置する。以下もファイバセンサ1を装着する物品等を被検体と称する。また、適正な位置とは、設計通り若しくは指定通りの位置のことであり、以下で指定位置と称する。
【0014】
第1の実施形態のファイバセンサ1は、
図1に示されるように、検出光を射出する光源10と、細長い形状を有し、光源10から射出された光を導光する光ファイバ30と、光ファイバ30により導光された光を受光する受光部20とを有している。光源10は、例えば、LED若しくはレーザー光源である。光ファイバ30は、少なくともコアを有し、被覆部を有してもよい。例えば、被覆部はクラッド及び/又は被覆材を有する。
【0015】
光ファイバ30は、光を導入路・導出路に分岐する光ファイバ結合部35で三方に分岐されて、それぞれに延伸してY形状を成す、検出用ファイバ部31、光供給用ファイバ部32及び受光用ファイバ部33で構成される。
光供給用ファイバ部32は、光ファイバ30における導入路であり、端部に設けられた光源10から射出された光を光ファイバ結合部35に導光する。
【0016】
検出用ファイバ部31は、被検体のフレキシブルな動作に追従し、先端に光を反射する端面(反射部)34等を有し光を往来させる。即ち、光ファイバ結合部35を経た光供給用ファイバ部32からの光を端面34まで導光し、その端面34で反射された反射光を光ファイバ結合部35まで戻すように導光する。
【0017】
受光用ファイバ部33は、光ファイバ30における導出路であり、端部に設けられた受光部20へ、端面34で反射されて光ファイバ結合部35に分岐された反射光を導光する。
検出用ファイバ部31は、曲がり検出部である光特性変換部50と、位置及び形状が判別しやすいように成形された識別部60とを有する。本実施形態の検出用ファイバ部31は、識別部60によって光特性変換部50の設置位置及び姿勢を指定して設置できる。
【0018】
本実施形態の光特性変換部50は、導光された光の特性を変換する機能を有する。例えば、導光損失部若しくは波長変換部である。例えば、導光損失部ならば、光吸収体であり、波長変換部ならば、蛍光体等が挙げられる。本実施形態で、光特性変換部は導光損失部として扱う。
【0019】
光特性変換部50は、検出用ファイバ部31の所定の部分に設けられ、所定の長さと幅とを有する。ここで、所定の部分とは、即ち、検出用ファイバ部31上における湾曲していることを検出したい部分、例えば、端面34の近傍部分又は、端面34から任意距離を離れた部分等とする。この部分の位置は、後述するように正確に把握している必要がある。また、
光特性変換部50の所定の長さと幅とは、伝搬してきた光がこの光特性変換部に達した場合に、屈曲を適切に検出できるように光量を変化させる長さと幅とである。即ち、
光特性変換部50は、コアに接する部分で、光ファイバが屈曲した際に、適切に光量を変化させるような面積を有する。
【0020】
識別部60は、隣接する部分と、異なる断面形状に成形されている。ここで、断面形状は光ファイバ30の長手方向に垂直な面の形状と規定する。一般的に光ファイバの断面形状は円形形状である。例えば、
図1に示されているように、光ファイバ30は、断面A−Aの断面形状で円形形状を有し、識別部60である断面B−Bの断面形状が楕円形状を有する。この場合、識別部60以外の断面形状は断面A−Aの断面形状と同一である。尚、光特性変換部50及び識別部60は、光供給用ファイバ部32及び/又は受光用ファイバ部33に設けられてもよい。また、光特性変換部50及び識別部60は、各々、複数の部分に設けられてもよい。
【0021】
次に、第1の実施形態の作用について説明する。
光源10から照射された光は、光供給用ファイバ部32、光ファイバ結合部35及び検出用ファイバ部31を経て導光され、反射部34で反射される。その反射部34で反射された反射光は、検出光として、光ファイバ結合部35で分岐されて、受光用ファイバ部33を導光して受光部20に到達する。受光部20は受光した検出光を光電変換し、光量を示す電気信号を出力する。
【0022】
図2(a)乃至(c)は、各々、ファイバセンサ1の動作の概要図である。
本実施形態では、光ファイバ30内を導光される検出光は、光特性変換部50において損失が生じる。この導光損失量は、
図2(a)乃至(c)に示されるように、検出用ファイバ部31の屈曲の方向及び量によって変化する。
【0023】
図2(b)において、検出用ファイバ部31が直線状の状態であっても、光特性変換部50の開口面積に従い、ある程度の光量が光特性変換部50で損失される。この光の損失量を基準とした場合に、例えば、
図2(a)に示されるように、光特性変換部50が屈曲する検出用ファイバ部31の屈曲方向における外周面上に配置されたとき、
図2(b)において基準とした導光損失量よりも多い導光損失量が生じる。反対に、
図2(c)に示すように、光特性変換部50が屈曲する検出用ファイバ部31の屈曲方向における内周面上に配置されたときには、
図2(b)において基準とした導光損失量よりも少ない導光損失量が生じる。
【0024】
この導光損失量の変化は、受光部20で受光される検出光量に反映される。即ち、受光部20の出力信号に反映される。従って、受光部20の出力信号によって、ファイバセンサ1、即ち被検体の光特性変換部50の設けられた位置での屈曲方向及び屈曲量(角度)を把握することができる。
【0025】
次に、第1の実施形態の効果について説明する。
本実施形態によれば、細長い形状を有する光ファイバにおいて視覚的に、且つ触覚的に識別部60を判別できるために、装置及び/又は使用者等が光特性変換部50の設置位置及び姿勢を容易に把握することができる。即ち、
検出用ファイバ部31を指定位置に指定する姿勢で容易に設置することができる。例えば、指定位置とは、被検体の屈曲部を指す。
【0026】
図3は、本実施形態のファイバセンサが設けられた検出用ファイバ部31を治具等の部材である被検体110に取り付ける一例について示す図である。
この例では、検出用ファイバ部31の取り付け箇所に少なくとも1つの屈曲箇所があり、屈曲箇所の目印αを付している。この目印αを基準にファイバセンサの位置決めをすることにより、設計通りの位置に装着することができる。即ち、被検体110の屈曲位置αに、識別部60を宛がうことで、
検出用ファイバ部31の光特性変換部50が正確な取り付け位置に設置される。また、例えば屈曲位置αに識別部60に嵌合する突起部を設けることにより、さらに容易且つ正確に検出用ファイバ部31を装着することが可能である。
【0027】
さらに、被検体110に対する検出用ファイバ部31の設置姿勢を容易に規定することができる。即ち、光特性変換部50の設置位置及び姿勢を考慮して検出用ファイバ部31を自由な姿勢で、且つ容易に設置することができる。ここで、光特性変換部50の設置位置とは、検出用ファイバ部31の所定の部分であり、光ファイバを導光する光を損失させるために漏れ出る開口部の位置を示す。検出用ファイバ部31の設置姿勢とは、例えば、検出用ファイバ部31を周方向へ回転させて被検体に設置した場合、若しくは被検体に巻きつくように設置した場合等の動きを加えた設置を指す。また、光特性変換部50の姿勢とは、その開口部の開口方向であり、即ち光ファイバから損失する光が放射される方向であり、その方向が特に限定されているものではない。
【0028】
さらにまた、識別部60は、光特性変換部50の加工(切削等)の際に加工位置の目印として利用できる。即ち、光特性変換部50の設置加工の精度が向上される。従って、光特性変換部50が設計通りに設置加工されるために、光特性変換部50の設置位置が正確に把握できる。
【0029】
尚、識別部60は、光特性変換部50の設置位置と一致していなくても良い。例えば、予め、識別部60の形状と光特性変換部50の位置及び/又は姿勢とを関連付けておくことで、光特性変換部50の位置及び姿勢を把握することができる。
また、光源からの検出光と受光部への検出光との分岐及び/又は分離のための構成及び方法は、本実施形態で限定するものでない。
【0030】
本実施形態では、光ファイバ結合部を有し、端面(反射部)で光を反射させて、導入と導出とを1つの光ファイバ(検出用光ファイバ部)内で往来させている構成例を一例として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ファイバセンサの一端部に設けられた光源と、光源と受光部とを繋ぎ、光源からの射出光を導光する光ファイバと、光源と反対側の他端部に設けられた受光部と、を有し、これらが直線状に配置されている導光式のファイバセンサ等にも容易に適用できることは当然である。
【0031】
[第2の実施形態]
次に第2の実施形態について説明する。本実施形態のファイバセンサは、前述した第1の実施形態のセンサ構造と同等であるが、識別部の形状等が異なっている。
即ち、本実施形態は
図1における識別部60の形状についての一例を示しており、本実施形態の識別部60b、60c、60d、60eは、各々、
図1の識別部60と構成要素及び位置はほとんど共通である。本実施形態の構成要素の参照符号において、前述した第1の実施形態の構成要素と共通のものには同じ参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0032】
図4(a)乃至(e)は、本実施形態の光ファイバの断面を示す図である。
図4(a)は、
図1の断面A−Aの断面形状を示している。
図4(b)乃至(e)の各々は、
図1の識別部60の断面である断面B−Bの断面形状の一例を示す図である。
本実施形態の光ファイバは、第1の実施形態の共通の構成である光ファイバの識別部に異なる形状の識別部60b乃至60eのいずれか一つを有する。識別部60b乃至60eは、各々、光特性変換部50b、50c、50d、50eの内の対応するいずれか1つと、光を導光するコア130と、被覆部140b、140c、140d、140eの内の対応するいずれか1つと、を有する。コア130は、各識別部60b乃至60eで共通の構成である。
【0033】
光特性変換部50b乃至50eは、各々、被覆部140b乃至140eの外周形状に合わせて形成され、コア130に接するように設けられている。被覆部140b乃至140eは、各々、クラッドと、被覆材と、の少なくとも1つを有する。このため、コア130の断面形状を変化させることなく、各識別部60b乃至60eを成形することができる。尚、コア130の断面形状は、例えば円形形状であるが、円形形状でなくても構わない。
【0034】
本実施形態では、各光ファイバおける特異な形状に成形されている識別部60b乃至60e以外の部分は、
図4(a)に示すように、断面形状が円形形状になるように成形されている。また、光ファイバ30は、断面B−Bの断面形状が円形形状と比較して特異な形状になるように成形されている。
【0035】
次に、
図4(b)、(c)、(d)、(e)を参照して、B−B断面の形状の一例について説明する。
図4(b)は、識別部の断面形状が楕円形状であるB−B断面を示す図である。
図4(b)に示されるように、識別部60bは、断面形状が楕円形状になるように被覆部140bの外周形状が成形されている。
検出用ファイバ部31の被覆部140の外周形状が円形形状であるため、被覆部140の外周形状を楕円形状に成形することは容易である。この場合でも、識別部60bを配置した部分のみの外周形状が異なっているため、判別することが容易にできる。
【0036】
また、楕円形状は、長軸と短軸とを有するために方向を容易に規定できる。従って、光ファイバの設置姿勢が容易に把握できる。即ち、光特性変換部50bの設置位置及び姿勢を容易に把握することができる。例えば、予め、光特性変換部50bの開口部が楕円形状の上側に向くように設置されていることを把握することによって、光ファイバを指定通りの姿勢に設置できる。
【0037】
図4(c)は、識別部の断面形状が矩形形状であるB−B断面を示す図である。
図4(c)に示されるように、識別部60cは、断面形状が矩形形状になるように被覆部140cの外周形状が成形されている。光ファイバの被覆部140の外周を4辺に加工(切削等)することで、断面形状が矩形形状の光ファイバを成形することは容易にできる。この場合でも、光ファイバの長手方向において識別部60cを形成した部分のみの形状が異なっているため、光ファイバ上の識別部60を容易に判別することができる。
【0038】
また、矩形形状が長方形である場合、長方形は、長辺と短辺とを有するために、方向を容易に規定できる。従って、光ファイバ30の設置姿勢が容易に把握できる。即ち、光特性変換部50の設置位置及び姿勢を容易に把握することができる。例えば、予め、長方形断面の長辺部分若しくは短辺部分に光特性変換部50の開口部が向くように設置されていることを把握することによって、光ファイバ30を指定する姿勢に設置できる。
【0039】
図4(d)は、断面形状が円形形状と直線形状とを組み合わせたトラック形状(俵形状)であるB−B断面を示す図である。トラック形状若しくは俵形状とは、2つの曲面形状と2つの平面形状とを組み合わせた俵形の断面形状を成し、円筒形状における上下側に平行面に設けられた形状である。以下では、
図4(d)のような形状をトラック形状と称する。
図4(d)に示すように、識別部60dは、断面形状がトラック形状になるように被覆部140dの外周形状が成形されている。
検出用ファイバ部31の被覆部140の外周の2辺を平面に加工(切削等)することで断面形状がトラック形状の光ファイバ30を成形することは容易にできる。この形状の場合でも、平面と曲面とが交互に接する形状であり、光ファイバ上の識別部60を容易に判別することができる。
【0040】
また、円形形状部分と矩形形状部分とを有するために、平面部分を基準とすれば、方向を容易に規定できる。従って、光ファイバ30の設置姿勢が容易に把握できる。即ち、光特性変換部50の設置位置及び姿勢を容易に把握することができる。例えば、予め、平面部分若しくは曲面部分の所定の部分に光特性変換部50が設置されていることを把握することによって、光ファイバ30を指定通りの方向に設置できる。
【0041】
図4(e)は、断面形状がかまぼこ形状であるB−B断面を示す図である。
かまぼこ形状とは、円筒面部と平面部との組合せによる形状である。
図4(d)に示すように、識別部60eは、断面形状がかまぼこ形状になるように被覆部140eの外周形状が成形されている。
検出用ファイバ部31の被覆部140の外周を加工(切削等)し、平行な2つの平面を形成することで断面形状がトラック形状の光ファイバ30を成形することが容易にできる。この場合でも、平面部を設けることにより、光ファイバ上の識別部60を容易に判別できる。
【0042】
また、平面部を基準面とすることにより容易に方向が規定できる。従って、光ファイバ30の設置方向が容易に把握できる。即ち、光特性変換部50の設置位置及び姿勢を容易に把握することができる。例えば、予め、平面部を基準として、所定の位置に光特性変換部50を設置が設置されていることを把握することによって、光ファイバ30を指定通りの方向に設置できる。
【0043】
次に、第2の実施形態の効果について説明する。
本実施形態によれば、識別部60b乃至60eは、円形形状の断面形状である光ファイバから容易に加工(切削等)できる。また、識別部60b乃至60eは、特異な形状に成形されているために、光ファイバの設置位置及び姿勢が容易に判別できる。即ち、光ファイバに形成されている光特性変換部50の設置位置及び姿勢が容易に把握される。
尚、識別部60の断面形状は、本実施形態で示した形状に限定されない。識別部60の設置位置、開口方向及び形状が容易に判別されるならば特に限定されるものではない。
【0044】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態について説明する。
本実施形態のファイバセンサは、前述した第1,2の実施形態のセンサ構造と同等であるが、配置及び配置数等が異なっている。即ち、本実施形態は
図1の光ファイバ30における識別部60の配置及び配置数についての一例を示しており、光ファイバ30a、30b、30c、30dの構成要素及び位置は
図1の光ファイバ30とほとんど共通である。本実施形態の構成要素の参照符号において、前述した第1の実施形態の構成要素と共通のものには同じ参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0045】
図5(a)乃至(d)は、各々、本実施形態の光ファイバ30a乃至30dの識別部60の異なる配置例を示す図である。
本実施形態のファイバセンサは、光源と、光ファイバ30a、30b、30c、30dのいずれか1つと、受光部と、を有する。光ファイバ30a乃至30dは、各々、コアと被覆部と、で構成されている。
【0046】
図6(a)は、本実施形態の光ファイバの断面C−Cの断面形状の一例について示す図である。
図6(b)は、本実施形態の光ファイバの識別部の断面D−Dの断面形状の一例について示す図である。
図7(a)は、本実施形態の光ファイバの断面E−Eの断面形状の一例について示す図であり,
図7(b)乃至(d)は、本実施形態の光ファイバの各識別部の断面形状の一例について示す図である。例えば、
図6(a)に示されるように、被覆部141は、クラッド141aと被覆材141bとで構成されている。同様に、
図6(a)に示されるように、
図5(a)の光ファイバの断面C−Cの被覆部142は、クラッド142aと被覆材142bとで構成されている。さらに、
図7(a)乃至(d)の各々に示されるように、被覆部143,144,145,146は、各々、クラッド143a、
144a、
145a、
146aと被覆材
143b、144b、
145b、
146bとで構成されている。被覆部141乃至146は、共通の構成ある。尚、
図7(a)乃至(d)に示される断面形状は、一例であり、各々、他の断面形状でも構わない。また、被覆部141及び142、若しくは被覆部143乃至146は、各々、形状が異なる仕様でも構わないし、同一の仕様でも構わない。また、形状が同一の仕様の場合、例えば、被覆部の径が異なる等の判別できるように成形されている。
【0047】
本実施形態では、各光ファイバの断面形状は、識別部61、62、63、64以外の部分で円形形状である。尚、
図5(a)乃至(d)の各光ファイバの形状及び識別部61乃至64の断面形状は、異なる形状でも構わないし、判別可能であれば同一形状でも構わない。
【0048】
光ファイバ30a乃至30dは、各々、図示しない光供給用ファイバ部と、検出用ファイバ部31a乃至31dの内の対応するいずれか1つと、図示しない受光用ファイバ部と、図示しない光ファイバ結合部と、反射部34a、34b、34c、34dの内の対応するいずれか1つと、を有する。ここで反射部34a乃至34dは、各々、第1の実施形態の反射部34と共通の構成である。
【0049】
検出用ファイバ部31a乃至31dは、各々、光特性変換部51、52、53、54の内の対応するいずれか1つと、識別部61乃至64の内の対応するいずれか1つと、を有する。尚、光特性変換部51乃至54及び識別部61乃至64は、各々、光供給用ファイバ部及び/又は検出用ファイバ部に設けられていてもよい。光特性変換部51乃至54は、各々、コア130に接するように設置されている。
【0050】
光ファイバ30a乃至30dの断面形状は、各々、識別部61乃至64で円形形状と比較して、特異な形状になるように成形されている。例えば、
図6(b)に示すように、識別部61の被覆部142は、クラッド142aと被覆材142bとで構成されている。識別部61の被覆材142bは、外周形状が
図6(a)の円形形状と異なる楕円形状に成形されている。
【0051】
識別部61乃至64の断面形状は、各々、第2の実施形態に示した断面形状のように判別が容易な形状に成形されている。例えば、識別部61乃至64の断面形状が、各々、楕円形状、矩形形状、トラック形状、若しくはかまぼこ形状になるように成形されている。本実施形態では、コア130の断面形状は、光伝搬特性を変化させないために、光ファイバの全長に亘って真円形状である。また、識別部61乃至64の断面形状は、各々、識別部61乃至64以外の部分の断面形状の面積と同じになるように成形されている。
【0052】
次に、各識別部61乃至64の配置について説明する。
図5(a)は、光ファイバの外周の一部分に形成された識別部の配置図である。
図5(a)に示すように、光ファイバ30aでは、識別部61が光特性変換部51の設置位置の少なくとも一部分にかかるように光ファイバ30aの外周に形成されている。例えば、
図6(a),(b)に示すように、光特性変換部50aの設置位置の断面C−Cと断面D−Dとで、断面形状が異なっても構わない、若しくは同一でもよい。ここで、断面形状が同一な場合、断面の径が異なる等の光ファイバの他の部分と判別できるように成形されている。
【0053】
このような配置によって、光特性変換部51の設置位置及び姿勢を把握することができる。また、例えば、光ファイバ30aに光特性変換部51を加工(切削等)する際の目印として、識別部61を利用することもできる。尚、前述及び後述の実施形態においても、光特性変換部を加工(切削等)する際の目印として識別部は適用できる。さらに、光ファイバ内部での光特性変換部51の設置位置及び/又は姿勢によって識別部60aの形状を変えることで、光ファイバ30aの断面における光特性変換部51の設置姿勢を把握することができる。例えば、
図6(b)において、識別部61が楕円形状である場合に、光特性変換部51の開口部が楕円形状の下側を向くように形成していることを予め把握することで、識別部61の形状によって光ファイバ30aを指定する姿勢で設置ができる。さらにまた、この場合に、光ファイバ30aの方向規定が容易になるために、被検体(図示せず)に合わせた姿勢で光ファイバ30aを設置できる。
【0054】
図5(b)は、光ファイバ30bの概略図である。
図5(b)に示すように、識別部62は、光ファイバ30bの全長に亘って設置されている。即ち、光ファイバ30bの断面形状が、全長に渡って同一な形状を有する。従って、光特性変換部52の姿勢を形状毎に規定しておくことで、容易に光特性変換部52の姿勢を把握することができる。
【0055】
また、全長に亘って形状が同一であるために、光ファイバ30bの加工が容易である。さらにまた、光ファイバ30bの方向規定が容易になるために、被検体(図示せず)に合わせた姿勢で光ファイバ30bを設置できる。
【0056】
図5(c)は、外周面上の異なる位置に複数個の識別部63が成形されている光ファイバ30cの概略図である。
図5(c)に示すように、複数の識別部63の断面形状は同一形状になるように形成されている。また、複数の識別部63は、各々、異なる位置に等間隔で成形されている。本実施形態では複数個の識別部63に対して1つの光特性変換部53が設置されているため、光ファイバ30cの外周に形成された複数の識別部63のいずれかを判別することによって光特性変換部53の姿勢が容易に把握することができる。従って、識別部63の形状毎に光特性変換部53姿勢を形状毎に規定しておくことで、光特性変換部53の姿勢を容易に把握することができる。また、例えば、端部から数えて識別部63のいずれかの位置にかかるように光特性変換部53を設置することで、光特性変換部53の位置も容易に把握できる。さらにまた、光ファイバ30cの方向規定が容易になるために、被検体(図示せず)に合わせた姿勢で光ファイバ30cを設置できる。
【0057】
図5(d)は、断面形状毎に異なる光特性変換部54の位置及び姿勢で配置された光ファイバ30dの概略図である。
検出用ファイバ部31dは、複数の識別部64a、64b、64cと、複数の光特性変換部54aと、54bと、54cと、を有する。複数の識別部64a乃至64cは、各々、光特性変換部54a乃至54cの設置範囲の少なくとも一部分にかかるように光ファイバ30dの外周に成形されている。複数の識別部64はそれぞれ異なる形状を有する。
【0058】
例えば、
図7(a)は
図5(d)の断面E−Eの断面形状を示す図である。
図7(a)に示すように、光ファイバ30dにおいて識別部64以外の部分は円形形状である。
図7(b)は
図5(d)の識別部64aの断面F−Fの断面形状を示す図である。識別部64aの断面F−Fは楕円形状である。さらに、
図7(c)は
図5(d)の識別部64bの断面G−Gの断面形状を示す図である。識別部64bの断面G−Gは長方形形状である。
図7(d)は
図5(d)の識別部64cの断面H−Hの断面形状を示す図である。識別部64cの断面H−Hは、トラック形状である。このように
検出用ファイバ部31dにおいて識別部64a乃至64cの被覆
部144乃至146の外周形状が、各々、異なる形状に成形されている。
【0059】
これら複数の識別部の位置及び形状によって、複数の光特性変換部54の各々の位置及び姿勢が容易に把握することができる。即ち、これらの識別部64の位置によって、複数の光特性変換部54の長手方向の各設置位置が容易に判別できる。また、これらの各識別部64の形状によって、各光特性変換部54の設置位置及び姿勢を容易に判別することができる。
【0060】
また、複数の光特性変換部54の各配置部分が、各光ファイバの長手方向の隣接する部分の形状と一箇所だけ異なる形状を有する場合、光特性変換部
54の姿勢をさらに正確に把握できる。例えば、識別部64の断面形状がかまぼこ形状であり、隣接する部分が円形形状である場合に、かまぼこ形状の平面部分に光特性変換部を設置することで光特性変換部の設置姿勢をさらに正確に把握することができる。さらに、この場合、光ファイバ30dの方向規定が容易になるために、被検体(図示せず)に合わせた姿勢で光ファイバ
30dを設置できる。
【0061】
次に、第3の実施形態の効果について説明する。
本実施形態によれば、識別部61乃至64の配置によって、各光特性変換部
51乃至
54の位置及び姿勢をさらに容易に把握することができる。
尚、本実施形態は、識別部の配置を限定するものではない。識別部を容易に判別可能な配置ならば、どのような配置でも構わない。
【0062】
[第4の実施形態]
次に第4の実施形態について説明する。
本実施形態のファイバセンサは、前述した第1、2、3の実施形態のファイバセンサと共通の構成であるが、識別部の機能及び形状等が異なっている。本実施形態の構成要素の参照符号において、前述した第1の実施形態の構成要素と共通のものには同じ参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0063】
前述の実施形態の識別部よりも容易に被検体に嵌合若しくは挟持されるために、本実施形態の識別部65は嵌合部材若しくは挟持部材等で固定される凹部を有している。本実施形態における反射部340は、第1の実施形態の反射部34と共通の構成要素で構成されている。
【0064】
次に、第4の実施形態の作用について説明する。
図8は、光ファイバ300の設置図である。嵌合部材である凸部211を有する被検体210に設置する場合に、光ファイバ300は識別部65を凸部211に嵌合若しくは当接し、設置できる。また識別部65は嵌合若しくは当接される部分の目印として利用される。尚、識別部65と被検体とで凹凸は逆でも良い。同様に、前述の他の実施形態においても、例えば、識別部以外の光ファイバの断面形状である円形形状よりも出っ張るトラック形状のような識別部でもよい。識別部65が凸部である場合は、嵌合部材である凹部を有する被検体に設置され、挟持部材を有する被検体には適用されない。
【0065】
図9は、挟持された本実施形態の光ファイバ300の設置図である。把持部221を有する被検体220に設置する場合に、固定箇所として識別部65を利用することができる。また、識別部61aは挟持される部分の目印としても利用される。
【0066】
次に、第4の実施形態の効果について説明する。
本実施形態によれば、光ファイバ300は、嵌合部材若しくは挟持部材を有する被検体210,220に対して正確且つ確実に設置できる。従って、嵌合部材若しくは挟持部材等で固定される凹部を有する識別部65によってファイバセンサの検出精度が向上される。
【0067】
尚、嵌合部材若しくは挟持部材等で固定される凹部を有する識別部65は複数設置されていても構わない。また、識別部65の設置位置は、反射部340にかかっても構わない。
以上に説明した実施形態は、ファイバセンサの形状及び配置を制限するものではない。