(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234007
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】回転スパイラル羽根装置及びこれを用いたペレット燃焼器の煙管式熱交換器
(51)【国際特許分類】
F25B 33/00 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
F25B33/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-56296(P2012-56296)
(22)【出願日】2012年3月13日
(65)【公開番号】特開2013-190152(P2013-190152A)
(43)【公開日】2013年9月26日
【審査請求日】2015年2月20日
【審判番号】不服2016-11125(P2016-11125/J1)
【審判請求日】2016年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098017
【弁理士】
【氏名又は名称】吉岡 宏嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100107238
【弁理士】
【氏名又は名称】米山 尚志
(72)【発明者】
【氏名】木村 峻裕
【合議体】
【審判長】
中村 則夫
【審判官】
田村 嘉章
【審判官】
佐々木 正章
(56)【参考文献】
【文献】
特開平7−323915(JP,A)
【文献】
特開2003−275793(JP,A)
【文献】
特開平11−309515(JP,A)
【文献】
特開平10−25017(JP,A)
【文献】
特開平9−309611(JP,A)
【文献】
実開平6−47222(JP,U)
【文献】
実開平5−58430(JP,U)
【文献】
実開平4−107713(JP,U)
【文献】
特開2009−236322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 33/00
B65G 33/26 - 33/32
F28D 11/02
F28F 13/12
F28G 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒管内に回転可能に挿入されるスパイラル羽根と、前記スパイラル羽根を回転可能に支持するとともに回転駆動する駆動機構とを備えてなり、
前記スパイラル羽根は、帯板を当該帯板の長手方向に直交する断面の幾何学的中心から帯幅方向の片側に偏った点で、かつ板厚の中心線上から前記断面で直交方向に離した点を通り、前記帯板の長手方向に沿ったスパイラル軸Osの回りにらせん状に捻った形状を有し、前記スパイラル軸を回転軸Oとして前記駆動機構に回転可能に支持され、該スパイラル羽根の回転軸Oに直交する断面における羽根径Dのうち、前記回転軸Oから羽根先端までの一方の第1片羽根の羽根半径Daが前記円筒管の内壁との間に設定隙間を有して形成され、他方の第2片羽根の羽根半径Dbが前記第1片羽根の羽根半径Daよりも短く形成され、前記スパイラル羽根の前記回転軸Oを構成する部材を設けていないことを特徴とする回転スパイラル羽根装置。
【請求項2】
前記スパイラル軸が、前記帯板の長手方向に直交する矩形断面の内部に設定されることを特徴とする請求項1に記載の回転スパイラル羽根装置。
【請求項3】
前記スパイラル軸が、前記帯板の長手方向に直交する矩形断面の外部に設定されることを特徴とする請求項1に記載の回転スパイラル羽根装置。
【請求項4】
木質系ペレット燃料を燃焼する燃焼器を備えた炉と、再生対象の希溶液が導入される容器と、前記容器内に横置きに配置されたそれぞれ円筒管からなる複数の煙管を有し、前記炉から排出される燃焼排ガスを前記煙管に流通して前記希溶液を加熱して再生する煙管式熱交換器とを備えてなるペレット燃焼器の煙管式熱交換器において、
前記煙管の円筒管内に回転可能に挿入されるスパイラル羽根と、前記スパイラル羽根を回転可能に支持するとともに回転駆動する駆動機構とを備えてなり、
前記スパイラル羽根は、帯板を当該帯板の長手方向に直交する断面の幾何学的中心から帯幅方向の片側に偏った点を通り、又は該点を通る板厚の中心線上から前記断面で直交方向に離した点を通り、前記帯板の長手方向に沿ったスパイラル軸Osの回りにらせん状に捻った形状を有し、前記スパイラル軸を回転軸Oとして前記駆動機構に回転可能に支持され、該スパイラル羽根の回転軸Oに直交する断面における羽根径Dのうち、前記回転軸Oから羽根先端までの一方の第1片羽根の羽根半径Daが前記円筒管の内壁との間に設定隙間を有して形成され、他方の第2片羽根の羽根半径Dbが前記第1片羽根の羽根半径Daよりも短く形成され、前記スパイラル羽根の前記回転軸Oを構成する部材を設けていない回転スパイラル羽根装置を備えてなることを特徴とするペレット燃焼器の煙管式熱交換器。
【請求項5】
前記スパイラル軸が、前記帯板の長手方向に直交する矩形断面の内部に設定されることを特徴とする請求項4に記載のペレット燃焼器の煙管式熱交換器。
【請求項6】
前記スパイラル軸が、前記帯板の長手方向に直交する矩形断面の外部に設定されることを特徴とする請求項4に記載のペレット燃焼器の煙管式熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転スパイラル羽根装置に係り、例えば、木質系等のペレット燃焼器の燃焼熱を回収する煙管式熱交換器に用いられる回転スパイラル羽根装置、及び粉粒体を移送するスクリューフィーダ等の回転スパイラル羽根装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、木質系のバイオマス燃料(以下、木質系ペレット燃料という。)を燃料とするペレット燃焼器の燃焼熱により、吸収式冷温水機の希溶液を加熱して濃溶液に再生する高温再生器の熱源として用いる煙管式熱交換器が提案されている。具体的には、希溶液が導入される高温再生器内に、ペレット燃焼器の燃焼排ガスを流通させる伝熱管である複数の煙管を横置きに配列してなる構造の煙管式熱交換器が採用されている。特に、吸収液の希溶液との熱交換を向上させるため、煙管内に帯板を捻った形状のスパイラル羽根からなるバッフルプレートをガス流れ方向に沿って挿入し、バッフルプレートにより燃焼排ガスを旋回撹拌させることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−236322号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、特許文献1には、煙管式熱交換器の煙管内の燃焼排ガスの流速が低いことから、木質系ペレットの燃料排ガス中の灰や煤塵からなる飛灰が煙管内に堆積して熱交換効率が低下することに鑑み、煙管内に飛灰が堆積しにくい構造にすることが提案されている。しかし、同文献に記載の技術は、煙管内に堆積する飛灰による熱交換効率の低下を回避するには、必ずしも十分ではない場合がある。
【0005】
そこで、帯状の板材を捻った形状のスパイラル羽根の捻り軸を回転軸としてあるいはスパイラル羽根を回転軸周りに巻き付けて、煙管内にスパイラル羽根を回転可能に挿入することが考えられる。これによれば、スパイラル羽根の回転により煙管内に堆積した飛灰を煙管の一端に移送して排出することができるから、堆積飛灰による熱交換効率の低下を回避することができる。
【0006】
しかし、ペレット燃焼器の運転停止時等において煙管内の水分が凝縮すると、煙管内面に付着した飛灰が結露水によりペースト状になり、セメントのように硬化してしまうことがある。このような硬化した飛灰の固着層が煙管内壁に形成されると、スパイラル羽根の先端が固着層と接触して回転することになるから、それらの間の摩擦が大きくなってスパイラル羽根の回転駆動機構の負荷トルクが増大するという問題がある。また、スパイラル羽根先端と固着層との間に異物が噛み込むと、負荷トルクが急激に大きくなって回転駆動機構を損傷させ、あるいはスパイラル羽根自体を損傷させるおそれがある。
【0007】
このことについて
図3を参照して説明する。
図3は、特許文献1に記載のように、帯板をらせん状に捻って形成したスパイラル羽根101を円筒管である煙管102内に回転可能に挿入し、スパイラル羽根101を回転軸Oに直交する面で切った羽根断面103を示している。羽根断面103は回転軸Oに対称な矩形の断面である。なお、回転軸Oは、スパイラル羽根101の捻り軸であるスパイラル軸Osと一致する。図示例のスパイラル軸Osは、帯板の板幅方向の矩形断面の幾何学的中心、つまり矩形断面の対角線の交点を通り、帯板の長手方向に沿った線である。ここで、スパイラル羽根101を煙管102内で回転して用いると、例えば、高温再生器の運転停止時等において、煙管102内の水分が凝縮して、凝縮水により煙管内面に付着した飛灰がペースト状になって硬化してしまう場合がある。この場合、煙管102の内壁面に硬化した飛灰の固着層105が形成され、スパイラル羽根101の先端が固着層105と接触した状態で、例えば矢印106方向に回転する。そのため、スパイラル羽根101の先端と固着層105との間の摩擦が大きくなって、スパイラル羽根101の回転駆動機構の負荷トルクが増大する。しかも、スパイラル羽根101の先端と固着層105との間に異物107が噛み込むと、負荷トルクが急激に大きくなって回転駆動機構を損傷させ、あるいはスパイラル羽根101自体を損傷させるおそれがある。
【0008】
このような問題は、煙管式熱交換器に適用する回転スパイラル羽根装置に限られるものではなく、円筒管内に挿入されたスパイラル羽根を回転させて粉粒体を移送するスクリューフィーダ等の回転スパイラル羽根装置についても同様である。すなわち、粉粒体が凝縮水
等によってペースト状になると、スパイラル羽根が挿入された円筒管の内壁に粉粒体の固着層が形成される場合があり、スパイラル羽根と固着層との摩擦が増大する。また、スパイラル羽根先端と固着層との間に異物が噛み込むと、負荷トルクが急激に大きくなって回転駆動機構を損傷させ、あるいはスパイラル羽根自体を損傷させるおそれがある。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、回転駆動されるスパイラル羽根を円筒管内に挿入して形成される回転スパイラル羽根装置において、円筒管の内壁に形成される飛灰や粉粒体の固着層によるスパイラル羽根の回転トルクの増大、スパイラル羽根の損傷及び回転駆動機構の損傷を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明の回転スパイラル羽根装置は、円筒管内に回転可能に挿入されるスパイラル羽根と、前記スパイラル羽根を回転可能に支持するとともに回転駆動する駆動機構とを備えてなり、前記スパイラル羽根は、帯板を当該帯板の
長手方向に直交する断面の幾何学的中心から帯幅方向の片側に偏った点を通り、又は該点を通る板厚の中心線上から前記断面で直交方向に離した点を通り、前記帯板の長手方向に沿ったスパイラル軸Osの回りにらせん状に捻った形状を有し、前記スパイラル軸を回転軸Oとして前記駆動機構に回転可能に支持され、該スパイラル羽根の回転軸Oに直交する断面における羽根径Dのうち、前記回転軸Oから羽根先端までの一方の第1片羽根の羽根半径Daが前記円筒管の内壁との間に設定隙間を有して形成され、他方の第2片羽根の羽根半径Dbが前記第1片羽根の羽根半径Daよりも短く形成され、前記スパイラル羽根の前記回転軸Oを構成する部材を設けていないことを特徴とする。
【0011】
このような回転スパイラル羽根を備えた本発明の回転スパイラル羽根装置によれば、煙管などの円筒管の内壁との間に設定隙間(初期クリアランス)が形成される第1片羽根の先端により、結露水によりペースト状になった飛灰などの粉流体が、円筒管の内壁面に塗り付けられて硬化することがあっても、第2片羽根の羽根半径Dbは第1片羽根の羽根半径Daよりも短いから、硬化した粉流体の固着層に第2片羽根が接触することがない。その結果、スパイラル羽根の先端が固着層と接触して摩擦力が発生するのは第1片羽根側だけになるから回転トルクの増加を半減することができる。また、飛灰の固着層が形成されていない場合でも、駆動機構により片持ちで支持されるスパイラル羽根は、軸方向に複数形成される羽根半径Daの第1片羽根によって常に円筒管の内壁に接触して回転する。一方、羽根半径Dbの第2片羽根は円筒管の内壁に接触せずに回転するから、スパイラル羽根と円筒管との摩擦力を軽減して、負荷回転トルクを常時軽減できる。
【0012】
また、円筒管の内壁面に固着層が形成された状態では、従来のスパイラル羽根によれば、羽根と固着層との間には隙間(クリアランス)がなくなるため、小さな異物であっても羽根の先端と固着層との間に挟まってしまうと、スパイラル羽根が回転し難くなる。この点本発明の第1の態様によれば、捻り角の位相が180°異なる軸方向位置ごとに大径の第1片羽根が回転軸の上側と下側に形成されるから、例えば、上側に位置する第1片羽根の1つの先端と固着層との隙間に異物が噛み込んだとき、軸方向の両隣りの2つの第1片羽根の先端は下側の固着層に摺接している。そして、その両隣りの2つの第1片羽根が支点となって、異物を噛み込んだ第1片羽根に作用する力によってスパイラル羽根が下方の第2片羽根側に撓むことから、第1片羽根の先端と固着層との隙間が広がって、異物を乗り越えることができる。これにより、円筒管の内壁に形成される飛灰や粉粒体の固着層によるスパイラル羽根の損傷及び回転駆動機構の損傷を防止することができる。
【0013】
この場合において、スパイラル軸は、前記帯板の長手方向に直交する矩形断面の内部に、例えば、矩形断面の帯板の板厚の中心線上に設定することができる。また、スパイラル軸は、前記帯板の長手方向に直交する矩形断面の外部に、つまり矩形断面の帯板の板厚の中心線上から直交方向に離して(偏心させて)、矩形断面からはずれた帯板の長手方向に平行に設定することができる。後者のように、スパイラル軸を帯板の板厚の中心線上から偏心させることにより、スパイラル羽根の第1片羽根の先端の羽根面が円筒管の内壁面又は固着層面に対して常に斜めに当接することになる。その結果、第1片羽根の先端と固着層との間に異物が噛み込まれた場合でも、羽根面が固着層面に鉛直に当接する場合に比べて、スパイラル羽根の先端が異物を乗り越えるために必要なスパイラル羽根面の変形量(角度)が小さくて済むため、負荷トルクの増大を一層抑えることができる。なお、帯板の板厚の中心線上から偏心させるスパイラル軸(回転軸)の偏心方向は、スパイラル羽根の第1片羽根が進む方向の領域の反対側に偏心させることにより、異物を乗り越え易くなる。
【0014】
本発明の回転スパイラル羽根装置は、吸収冷温水機の高温再生器の煙管式熱交換器の煙管に適用することができる。この場合、吸収冷温水機の高温再生器は、木質系ペレット燃料を燃焼する燃焼器を備えた炉と、再生対象の希溶液が導入される容器と、前記容器内に横置きに配置された複数の煙管を有し、前記炉から排出される燃焼排ガスを前記煙管に流通して前記希溶液を加熱して再生する煙管式熱交換器とを備えて構成することができる。
【0015】
このように吸収冷温水機の高温再生器を構成することにより、飛灰の濃度が高い木質系ペレットの燃料排ガスを煙管式熱交換器の煙管内に流通させても、回転スパイラル羽根装置により飛灰が煙管内に堆積することなく排出されるから、熱交換効率の低下を回避することができる。しかも、ペレット燃焼器の運転停止時等において煙管内の水分が凝縮して、煙管内面に付着した飛灰がセメントのように硬化して固着層が煙管内壁に形成されても、スパイラル羽根の回転駆動機構の負荷トルクの増大を抑制できる。また、スパイラル羽根先端と固着層との間に異物が噛み込んでも負荷トルクの急激な増大を抑えることができるから、回転駆動機構を損傷させ、あるいはスパイラル羽根自体を損傷させることを回避できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、回転駆動されるスパイラル羽根を円筒管内に挿入して形成される回転スパイラル羽根装置において、円筒管の内壁に形成される飛灰や粉粒体の固着層によるスパイラル羽根の損傷及び回転駆動機構の損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の回転スパイラル羽根装置が適用される一実施形態の煙管式熱交換器を備えた吸収冷温水機の高温再生器の断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態の吸収冷温水機の高温再生器の全体を示す斜視図である。
【
図3】従来のスパイラル羽根を円筒管内で回転した場合の問題を説明する図である。
【
図4】本発明の回転スパイラル羽根の実施例1の構成を示す図である。
【
図5】実施例1の回転スパイラル羽根の動作を設明する図である。
【
図6】本発明の回転スパイラル羽根の実施例2の構成を示す図である。
【
図7】実施例2の回転スパイラル羽根の動作を設明する図である。
【
図8】実施例2の回転スパイラル羽根の効果を設明する図である。
【
図9】本発明の実施例1、2のスパイラル羽根をプレス加工により製造する場合の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1及び
図2を参照して、本発明の回転スパイラル羽根装置が適用される一実施形態の煙管式熱交換器を備えた吸収冷温水機の高温再生器について説明する。
図1は、本実施形態の吸収冷温水機の高温再生器を半割にして示しており、横形の円筒炉1と、円筒炉1の上方に配置された再生容器2と、再生容器2内に設けられた煙管式熱交換器3を備えて構成されている。煙管式熱交換器3は、再生容器2内に横置きに配列された複数の煙管4を備え、煙管4内に回転可能に支持されたスパイラル羽根5が管軸方向に挿入されている。円筒炉1の図において左側の端部の円筒部1aに、図示していない木質系ペレット燃料を燃焼する燃焼器が脱着可能に設けられている。円筒炉1の図において右側の端部の円筒部1bは、後部煙室6に開口されている。また、後部煙室6には、煙管式熱交換器3の煙管4の一端が開口されている。煙管4の他端は前部煙室7に開口されている。後部煙室6の底部は円筒炉1の位置よりも下方に位置させて設けられた灰集積箱8に連結されている。前部煙室7の底部には、円筒炉1の下方に位置させて排気筒7aが設けられ、排気筒7aは図示していないサイクロンを介して誘引ブロワに連結されている。再生容器2は、円筒炉1と煙管4の外周側を取り巻いて形成され、内部に希溶液が導入されるようになっている。また、後部煙室6と前部煙室7の上部と側部の壁は二重に形成され、その二重壁の内部に希溶液を流通して再生容器2の一部を構成している。なお、後部煙室6の背面側の壁には、断熱材13が設けられている。
【0019】
ここで、本実施形態の特徴構成である煙管式熱交換器3の詳細構成について説明する。複数の煙管4の内部には、帯板をらせん状に形成したスパイラル羽根5がそれぞれ挿入されている。スパイラル羽根5の一端は、再生容器2の容器壁を形成する前部煙室7のケーシングに開口された煙管4から引き出され、前部煙室7の容器壁の反対側のケーシングに設けられた軸受9に回転可能に軸支された回転軸10に連結されている。一方、スパイラル羽根5の他端は、後部煙室6に開口された煙管4内に回転可能にフリー状態で挿入されている。すなわち、スパイラル羽根5は回転軸10に回りに回転可能に片持ちで支持されている。軸受9に軸支された回転軸10は、スパイラル羽根5の回転駆動機構11に連結されている。本実施形態の回転駆動機構11は、モータ12により歯車、チェーン、スプロケットなどの動力伝達機構を介してスパイラル羽根5を回転軸10の回りに回転駆動するように構成されている。
【0020】
このように構成されることから、本実施形態の高温再生器によれば、円筒炉1の円筒部1aに装着される燃焼器によって燃焼された木質系ペレット燃料の燃焼排ガスは、後部煙室6を通って煙管式熱交換器2を構成する煙管4に導かれる。煙管4に導かれた燃焼排ガスは煙管4を流通して前部煙室7から煙突に排出される。円筒炉1及び複数の煙管4を流通する過程で、再生容器2内に導入される吸収液の希溶液が燃焼排ガスの熱によって加熱される。また、再生容器2内の希溶液は円筒炉1の炉壁からの熱によっても加熱される。これにより、希溶液が濃縮されて、図示していない低温再生器に導かれる一方、再生容器2で発生した蒸気は、同じく低温再生器に導かれ、再生容器2から供給される濃溶液の加熱再生に用いられる。
【0021】
一方、煙管4を流通する燃焼排ガスは流速が比較的低く、かつ飛灰濃度が高いが、スパイラル羽根5により燃焼排ガスが旋回されるため、煙管4の管壁から再生容器2内の希溶液を伝達される伝熱量を高めることができるので熱交換効率を向上させることができる。しかし、一方で、煙管4内に飛灰が沈降して堆積しやすいため、飛灰の堆積層により熱伝導が阻害される。この点、本実施形態によれば、スパイラル羽根5を回転駆動機構11により回転させているから、煙管4内に堆積する飛灰は回転するスパイラル羽根5によって、例えば後部煙室6に移送され下部の灰集積箱に排出される。また、煙管4内で浮遊した飛灰及び後述するようにスパイラル羽根5によって削られた粉状の灰は、燃焼排ガスに同伴して前部煙室7側に飛ばされて、排気筒7aを介してサイクロンで捕集されることになる。その結果、煙管4内の飛灰の堆積層により伝熱が阻害されるのを抑制することができる。
【0022】
以下、本発明の回転スパイラル羽根の実施例について、図を用いて説明する。
(実施例1)
図4に、本発明の回転スパイラル羽根の実施例1の構成を示す。同図(a)は本実施例1のスパイラル羽根51を回転軸方向から見た図、同図(b)はスパイラル羽根51の斜視図、同図(c)はスパイラル羽根51の側面図である。但し、同図(c)は、本実施例の特徴を誇張して表しており、同図(a)、(b)とは縮尺が異なっている。本実施例のスパイラル羽根51は、帯板52をらせん状に捻った形状に形成されている。スパイラル羽根51の回転軸Oに直交する任意の断面における羽根径Dのうち、回転軸Oから羽根先端までの一方の第1片羽根51aの羽根半径Daが、煙管4の内壁との間に設定隙間(初期クリアランス)が形成される寸法に形成されている。他方の第2片羽根51bの羽根半径Dbが第1片羽根51aの羽根半径Daよりも短く形成されている。なお、スパイラル羽根51は、羽根径Dに対応する幅の帯板52を、羽根半径Daと羽根半径Dbで按分した点を通り、帯板52の長手方向に延在する線を捻り軸(スパイラル軸)としてらせん状に捻った形状を有している。したがって、同図(c)に示すように、捻り角180°ごとの周期で、第1片羽根51aと第2片羽根51bの羽根周方向の位置が変わる。また、スパイラル羽根51のスパイラル軸は、
図4(a)に示したOsであるが、図から明らかなように、スパイラル羽根51の回転軸Oと一致させている。言い換えれば、本実施例のスパイラル羽根51は、帯板52の長手方向に直交する矩形断面の帯幅方向の中心よりも片側に偏った点を通り、帯板52の長手方向に延在する軸(スパイラル軸Os)の回りに帯板52を捻った形状を有し、スパイラル軸Osを回転軸Oとして回転可能に回転駆動機構11に支持されている。
【0023】
このように形成される実施例1によれば、
図5に示すように、飛灰の固着層20が煙管4の内壁に形成されても、回転駆動機構11の負荷トルクの増大を抑制でき、かつスパイラル羽根51の先端と固着層20との間に異物21が噛み込んでも、回転駆動機構11を損傷させ、あるいはスパイラル羽根51自体を損傷させることを回避できる。つまり、
図5(a)は、スパイラル羽根51の任意の位置における回転軸Oに直交する断面53を示す。同図に示すように、回転軸Oからの第1片羽根51aの羽根半径Daが、煙管4の内壁との間に設定隙間である初期クリアランスDcを保持する寸法に位置されている。一方、羽根半径Dbに形成されている第2片羽根51bの先端と煙管4の内壁との隙間は、初期クリアランスDcに羽根半径の差(Da−Db)を加えたクリアランスに保持される。
【0024】
その結果、本実施例1によれば、
図5(b)に示すように、スパイラル羽根51が図示矢印22の方向に回転すると、第1片羽根51aの先端が固着層20の表面を擦って回転する。一方、第2片羽根51bの先端の回転軌跡23は図示一点鎖線のようになるから、固着層20の表面との間には十分な隙間55がある。その結果、第2片羽根51bの先端は、固着層20の表面を擦ることなく回転する。つまり、スパイラル羽根51の先端が固着層20と接触して摩擦力が発生するのは、第1片羽根51aだけの片側になるから、固着層20が形成されたことによる回転駆動機構11の負荷トルクの増加を半減することができる。また、飛灰の固着層20が形成されていない場合でも、回転駆動機構11により片持ちで支持されるスパイラル羽根51は、軸方向に複数形成される羽根半径Daの第1片羽根51aによって常に煙管4の内壁に接触して回転する。一方、羽根半径Dbの第2片羽根51bは煙管4の内壁に接触せずに回転するから、スパイラル羽根51と煙管4との摩擦力を軽減して、負荷回転トルクを常時軽減できる。
【0025】
また、同図(c)に示すように、煙管4の内壁面に固着層20が形成された状態で、異物21が第1片羽根51aの先端と固着層20との間に挟まっても、第2片羽根51bの先端と固着層20との間に十分な隙間55がある。その結果、第1片羽根51aの先端が異物21を噛み込んだとき、その噛み込み力によって隙間55の分だけスパイラル羽根51が図示矢印56の方向に変位されるので、第1片羽根51aの先端は異物21を乗り越えることができる。すなわち、
図4(c)に示したように、捻り角の位相が180°異なる軸方向位置ごとに大径の第1片羽根51aが回転軸の上側と下側に形成されている。したがって、例えば、図において上側に位置する第1片羽根51aの1つの先端と固着層20との隙間に異物21が噛み込んだとき、軸方向の両隣りの2つの第1片羽根51aの先端は、下側の固着層20に摺接している。そして、その両隣りの2つの第1片羽根51aが支点となって、異物21を噛み込んだ第1片羽根51aに作用する力によってスパイラル羽根51が下方の第2片羽根側51b側に撓むことから、第1片羽根51aの先端と固着層20との隙間が広がって、異物21を乗り越えることができる。これにより、煙管4の内壁に形成される飛灰の固着層20によるスパイラル羽根51の損傷、及び回転駆動機構11の損傷を防止することができる。
【0026】
(実施例2)
図6に、本発明の回転スパイラル羽根の実施例2の構成を示す。同図(a)は本実施例2のスパイラル羽根61を回転軸方向から見た図であり、同図(b)は回転スパイラル羽根61の斜視図である。図示のように、本実施例2のスパイラル羽根61が、実施例1のスパイラル羽根51と相違する点は、スパイラル羽根61を形成する帯板52のスパイラル軸Osを、帯板52の長手方向に直交する矩形の断面63の内部ではなく外部に設定したことを特徴とする。すなわち、スパイラル軸Osを、帯板52の矩形の断面63の板厚の中心線上から直交方向に離して、つまり帯板52の厚み方向に偏心させて、断面63からはずれた帯板52の長手方向に平行に設定している。その他の構成は実施例1と同様である。つまり実施例1と同様の構成の第1片羽根と第2片羽根を備え、スパイラル羽根61のスパイラル軸Osと回転軸Oとを一致させて構成されている。
【0027】
このように形成される実施例2によれば、飛灰の固着層20が煙管4の内壁に形成されても、回転駆動機構11の負荷トルクの増大を抑制でき、かつスパイラル羽根61の先端と固着層20との間に異物21が噛み込んでも、回転駆動機構11を損傷させ、あるいはスパイラル羽根61自体を損傷させるおそれを回避できる。このことについて、
図7を参照して説明する。
図7(a)は、スパイラル羽根61の任意の位置における回転軸Oに直交する方向の断面63を示している。言い換えれば、スパイラル羽根61の任意の位置における回転軸O(Os)を通るスパイラル羽根61の断面63を示している。このように、本実施例のスパイラル羽根61は、帯板52の矩形の断面63を、スパイラル軸Osに直交する方向、つまり帯板52の厚み方向に偏心させてらせん状に形成し、そのスパイラル軸Osを回転軸Oとして、形成されている。
【0028】
本実施例2によれば、スパイラル羽根61の羽根面64は、回転軸Oから直交方向にシフトしているため、スパイラル羽根61の先端部の羽根面64が煙管4の内壁面又は固着層20の表面に対して、常に斜めに当接することになる。ところで、例えば、羽根面64が固着層20の表面に鉛直に当接する場合(
図8(a))に、スパイラル羽根61の先端と固着層20との間に異物21が噛み込まれた場合、スパイラル羽根61の角度θ変形しても、高さH1の異物しか乗り越えらない。これに比べて、本実施例2では、スパイラル羽根61の先端が角度θ変形すれば、高さH2>H1の異物21を乗り越えられる。言い換えれば、同じ高さの異物21を乗り越えるために必要な羽根面64の変形角度θが小さくて済む(
図8(b))。その結果、負荷トルクの増大を実施例1に比べて一層抑えることができる。さらに言い換えれば、本実施例2は、スパイラル羽根61を形成する帯板の板厚の中心線上から偏心させたスパイラル軸(Os=O)は、スパイラル羽根61の羽根面64がスパイラル軸Osから羽根面64の直交方向に離れるように、つまり羽根面64をスパイラル軸Osから図示矢印22側の領域(第1片羽根61aが進む方向の領域)にずらして、あるいはスパイラル羽根61のスパイラル軸Osを矢印22側の反対側に偏心させることにより、異物21を乗り越え易くなる。
【0029】
なお、上述した実施例1,2では、いずれもスパイラル羽根51、61の回転軸Oを構成する部材を設けていない例を示した。しかし、本発明は、これに限られるものではなく、回転軸Oを構成する部材にスパイラル羽根51、61を固定して形成することができ、また回転軸Oを構成する部材の回りにスパイラル羽根51、61を巻き付けて形成することもできる。さらに、実施例1、2のスパイラル羽根51、61は、帯板を捻って形成することができるが、これに代えて、他の周知の製法を適用することができる。例えば、プレス加工によりスパイラル羽根51、61を製造する場合は、
図9に示す上型71と下型72からなるプレス装置により、図示矢印73の方向に帯板を順次ずらしながら上型71と下型72を開閉してスパイラル羽根51、61を加工することができる。また、スパイラル羽根51を加工するときは、図示矢印73に直交する方向の上型71と下型72の中心に第1片羽根51aと第2片羽根51bの境界を位置させ、図示矢印73の方向に帯板を送って加工する。一方、スパイラル羽根61の加工方法も、スパイラル羽根51の加工方法と同じである。異なる点は、スパイラル羽根51は、第1片羽根51aと第2片羽根51bの境界を上型71と下型72の中心位置にセットし、その境界部分の伸びがゼロになるバランスの場合である。スパイラル羽根61は、第1片羽根61aと第2片羽根62bの伸びのバランスが崩れて、板幅の全長にわたって変位が発生した形状である。
【0030】
以上説明したように、本発明の一実施形態の煙管式熱交換器を備えた吸収冷温水機の高温再生器によれば、煙管4を流通する燃焼排ガスは流速が比較的低く、かつ飛灰濃度が高いが、煙管4内に実施例1又は2のスパイラル羽根51又は61を挿入したから、それらのスパイラル羽根により燃焼排ガスが旋回される。その結果、煙管4の管壁から再生容器2内の希溶液を伝達される熱移動量を高めることができるので熱交換効率を向上させることができる。
【0031】
また、煙管4内に飛灰が沈降して堆積しやすいため、飛灰の堆積層により熱伝導が阻害されるが、本実施形態の煙管4内に実施例1又は2のスパイラル羽根51又は61を挿入して回転駆動機構11により回転させているから、煙管4内に堆積する飛灰は回転するスパイラル羽根51又は61によって前部煙室7に移送されて灰排出口7aから灰集積箱に排出される。そのため、煙管4内の飛灰の堆積層により熱伝導が阻害されるのを抑制して、熱交換効率を一層向上させることができる。
【0032】
さらに、高温再生器の運転停止時等において、煙管4内の水分が凝縮して煙管4の内面に付着した飛灰が結露水により硬化して固着層20が形成されても、スパイラル羽根51又は61の先端が固着層20と接触回転するスパイラル羽根51又は61の長さを半減することができる。その結果、スパイラル羽根51又は61の回転駆動機構11の負荷トルクの増大を半減することができる。また、スパイラル羽根51又は61の先端と固着層20との間に異物21が噛み込んでも、スパイラル羽根51又は61がシフト又は変形して異物21を乗り越えるから、負荷トルクが急激に大きくなって回転駆動機構11を損傷させ、あるいはスパイラル羽根51又は61自体の損傷を回避できる。また、飛灰の固着層20が形成されていない場合でも、回転駆動機構11により片持ちで支持されるスパイラル羽根51又は61は、軸方向に複数形成される第2片羽根は煙管4の内壁に接触せずに回転するから、スパイラル羽根51又は61と煙管4との摩擦力を軽減して、負荷回転トルクを常時軽減できる。
【0033】
以上、本発明の回転スパイラル羽根装置を、吸収式冷温水器の高温再生器に備えられる煙管式熱交換器に適用した実施形態に基づいて説明したが、これに限らず、本発明の回転スパイラル羽根装置をスクリューフィーダ等の粉流体の移送装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0034】
5 スパイラル羽根
51 スパイラル羽根
51a 第1片羽根
51b 第2片羽根
52 帯板
61 スパイラル羽根
O 回転軸
Os スパイラル軸