【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の基本となる回転機械部品の携帯端末利用検査方法は、回転機械部品1を検査する方法であって、汎用の携帯情報端末器2と、前記回転機械部品1の状況を検出しその検出データを前記携帯情報端末器2に入力する専用センサ3とを用い、
前記専用センサ3で検出し前記携帯情報端末器2に付与された検出データを、前記携帯情報端末器2に備えられるか、またはサーバ6に備えられたデータ処理ソフトウェア4,4Aと、前記回転機械部品1の型番毎の仕様のデータ5とを用いてデータ処理し、処理結果を前記携帯情報端末器2の画面21aに表示させる。
【0007】
この明細書において、「回転機械部品」は、転がり軸受や等速ボールジョイント等の転動体を備えた機械部品を言う。前記汎用の携帯情報端末器2は、スマートフォンやタブレット等であり、電話機能は必ずしも備えていなくても良いが、電話網,インターネット等の広域の通信回線網7を介してサーバ6と接続可能で、かつアプリケーションプログラムをダウンロードしてインストール可能なOS(オペレーションプログラム)9を有する情報処理機器である。前記専用センサ3は、例えば振動を検出するピックアップや、温度検出用のセンサであり、マイクロUSB(接続インターフェース規格であるUSB規格の一つ)等の規格適合した端子8aを持つケーブル8や、無線LAN等で携帯情報端末器と接続される。前記専用センサ3は、この他に、メモリチップやUSBモメリ等の着脱自在な記憶媒体を介して携帯情報端末器2にデータの入力が可能なものあっても良い。前記データ処理ソフトウェア4は、前記携帯情報端末器2の持つOS9上で実行するアプリケーションプログラムである。前記回転機械部品1の型番は、軸受の場合、呼び名または呼び番号等とも称される、仕様毎に定められた回転機械部品の番号、または回転機械部品の1個毎に定められた番号である。前記仕様のデータ5は、回転機械部品1が転がり軸受の場合、例えば、ボール個数、ボール径、内輪・外輪寸法等である。
【0008】
この構成によると、汎用の携帯情報端末器2を、専用センサの検出データを読み込む手段、およびその検出データを処理するかまたはサーバに送って処理させる手段として用い、かつ処理結果の表示手段として用いる。そのため、専用センサ3を準備するだけで、その他は一般的に普及しているスマートフォンやタブレット等の携帯情報端末器2を用いて、回転機械部品1の動作状態を簡易に検査することができる。データ処理ソフトウェア4によるデータ処理には、前記仕様のデータ5と専用センサ3から付与された検出データの他に、携帯情報端末器2の持つ手入力手段22から入力した軸受等の回転機械部品1の回転速度等のデータを用いても良い。
【0009】
前記回転機械部品1は、転がり軸受や等速ボールジョイント等の転動体を備えた機械部品である。この種の回転機械部品1は、運転状態が振動や温度として表れるため、専用センサで振動および温度のいずれか一方または両方を検出することで、運転状態が検出できる。特に、転がり軸受の場合、振動,温度の検出により、異常判定や寿命判定等を適切に行える。
【0010】
参考提案例となる機械部品の第1の携帯端末利用検査方法は、前記基本となる携帯端末利用検査方法を具体化した一例であり、回転機械部品1を検査する方法であって、汎用の携帯情報端末器2と、前記回転機械部品1の状況を検出しその検出データを前記携帯情報端末器2に入力する専用センサ3とを用い、
前記携帯情報端末器2に検査のためのデータ処理を行わせるデータ処理ソフトウェア4、および前記回転機械部品の型番毎の仕様のデータ5を蓄積したサーバ6に、
前記携帯情報端末器2からアクセスして、前記データ処理ソフトウェア4と検査対象の回転機械部品1の仕様のデータ5とをダウンロードし、このダウンロードした前記データ処理ソフトウェア4は前記携帯情報端末器2にインストールし 、
前記専用センサ3で検出し前記携帯情報端末器2に付与された検出データを、前記携帯情報端末器2にインストールされた前記データ処理ソフトウェア4により、前記ダウンロードされた仕様のデータ5を用いてデータ処理し、処理結果を前記携帯情報端末器2の画面21aに表示させる。
【0011】
この構成によると、汎用の携帯情報端末器2をデータ処理および結果の表示手段として用い、また、サーバ6からデータ処理ソフトウェア4および回転機械部品1の仕様のデータ5をダウンロードする。そのため、専用センサ3を準備するだけで、その他は一般的に普及しているスマートフォンやタブレット等の携帯情報端末器2を用いて、回転機械部品1の動作状態を簡易に検査することができる。データ処理ソフトウェア4によるデータ処理には、前記仕様のデータ5と専用センサ3から付与された検出データの他に、携帯情報端末器2の持つ手入力手段22から入力した軸受等の回転機械部品1の回転速度等のデータを用いても良い。
【0012】
この発明方法において、前記回転機械部品1である転がり軸受の仕様のデータ5は、前記サーバ6において、軸受種類別に階層的に分類され、前記携帯情報端末器2にダウンロードされた前記仕様のデータ5を、前記携帯情報端末器2内で軸受種類別に階層的に分類されたフォルダ26a内に最下層のファイルとして保存するようにしても良い。
軸受種類で分類して携帯情報端末器2にその軸受の仕様のデータ5が保存されていると、必要な軸受の仕様のデータ5が容易に,かつ迅速に選択できる。
前記階層的な分類は、玉軸受ところ軸受の分類や、玉軸受のうちの深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受等、ころ軸受のうちのテーハころ軸受、円筒ころ軸受、針状ころ軸受等の分類、さらに軸受サイズ、シール付き、シール無し、シール形式等である。なお、玉軸受ところ軸受とに分類せずに、玉軸受およびテーバ軸受等を同じ階層として分類しても良い。
【0013】
この発明において、前記専用センサ3は専用番号を付して販売し、この専用番号を用いて、前記携帯情報端末器2による前記データ処理ソフトウェア4の前記ダウンロードを可能としても良い。この場合、専用センサ3にデータ処理ソフトウェア4の使用料を含めて販売でき、データ処理ソフトウェア4に対する料金の徴収、支払いが便利である。
【0014】
データ処理ソフトウェア4の他の料金徴収の方法として、前記サーバ6が、前記データ処理ソフトウェア4のダウンロード毎に課金を行うようにしても良い。課金の方法は、クレジットカードやプリペイドカード等により通信によって支払いを行わせるようにしても良く、また請求書の発行を行うようにしても良い。この場合、データ処理ソフトウェア4と専用センサ3の料金を明確に区別できる。
【0015】
この発明において、前記サーバ6が、前記携帯情報端末器2により前記データ処理ソフトウェア4でデータ処理された処理結果を記憶する処理結果記憶手段31を有し、前記データ処理ソフトウェア4は、前記処理結果を複数比較する機能を有し、この比較する機能を用いて前記複数の前記処理結果を比較しても良い。
複数の処理結果を比較することで、より一層適切な検査や、検査結果の評価を行うことができる。
【0016】
参考提案例に係る第1の回転機械部品の携帯端末利用検査システムは、回転機械部品1を検査するシステムであって、汎用の携帯情報端末器2で、前記回転機械部品1の状況を検出し、その検出したデータを携帯情報端末器2に入力する専用センサ3と、前記携帯情報端末器2に通信回線網7によって接続されるサーバ6とを備え、
前記サーバ6は、前記携帯情報端末器2に検査のためのデータ処理を行わせるデータ処理ソフトウェア4、および前記回転機械部品1の型番毎の仕様のデータ5を蓄積したデータベース15を有し、前記携帯情報端末器2からのアクセスによって、前記データ処理ソフトウェア4と検査対象の回転機械部品1の仕様のデータ5とを前記携帯情報端末器2にダウンロード可能であり、
前記データ処理ソフトウェア4は、前記携帯情報端末器2にインストールされて、前記専用センサ3で検出し前記携帯情報端末器2に付与された検出データを、前記携帯情報端末器2にダウンロードされた前記仕様のデータ5を用いてデータ処理し、処理結果を前記
携帯情報端末器2の画面21aに表示させる。
【0017】
この構成の検査システムの場合、この発明の検査方法につき前述したと同様に、一般的に普及している携帯情報端末器2を使用し、これに入力する専用センサ3を用いることで、軸受等の回転機械部品1の動作状態を簡易に検査することができる。
【0018】
参考提案例に係る回転機械部品1の携帯端末利用検査システムのサーバ6は、回転機械部品1を検査する回転機械部品1の携帯端末利用検査システムを構成するサーバ6であって、前記携帯端末利用検査システムは、
汎用の携帯情報端末器2と、前記回転機械部品1の状況を検出しその検出したデータを前記携帯情報端末器2に通信手段または着脱自在な記憶媒体で付与可能な専用センサ3と、前記携帯情報端末器2に入力する前記サーバ6とを備え、
このサーバ6は、前記携帯情報端末器2に検査のためのデータ処理を行わせるデータ処理ソフトウェア4、および前記回転機械部品1の型番毎の仕様のデータ5を蓄積したデータベース15を有し、前記携帯情報端末器2からのアクセスによって、前記データ処理ソフトウェア4と検査対象の回転機械部品1の仕様のデータ5とを前記携帯情報端末器2にダウンロード可能であり、
前記データ処理ソフトウェア4は、前記携帯情報端末器2にインストールされ 、前記専用センサ3で検出し前記携帯情報端末器2に付与された検出データを、前記携帯情報端末器2にダウンロードされた前記仕様のデータ5を用いてデータ処理し、処理結果を前記
携帯情報端末器2の画面21aに表示させる。
【0019】
この構成の場合、この発明の検査方法につき前述したと同様に、一般的に普及している携帯情報端末器2を使用し、これに接続され、または記憶媒体を介して検出データを入力する専用センサ3を用いることで、軸受等の回転機械部品1の動作状態を簡易に検査することができる。
【0020】
前記提案例となる第1の回転機械部品の携帯端末利用検査方法において、前記データ処理ソフトウェア4は、前記データ処理による処理結果として数値データを求め、この数値データが、前記型番毎に定められた閾値を超えるか、または閾値以内であっても経時的な処理結果の比較で定められた条件に該当するときは異常であると判断し、その判断結果を前記携帯情報端末器2の画面21aに表示させるようにしても良い。
このように、前記携帯情報端末器2で検出データの異常を判断して表示することで、回転機械部品1に異常が発生したか否かを簡単に知ることができる。上記の「閾値以内であっても経時的な処理結果の比較で定められた条件に該当すると」とは、例えば、複数回の検出データの前記処理結果である数値データが、前記閾値以内で定めた基準値を連続して超える場合や、頻繁に超える場合等である。前記基準値は、前記検出データの処理結果である数値データが一度超えた程度では異常とは判断できないが、上記のように連続して超えたり、頻繁に超えたりすると異常と判断できる値である。このように、経時的な処理結果を比較することで、異常の検出をより確実に行うことができる。
【0021】
この発明
の回転機械部品の携帯端末利用検査方法
は、具体的には、前記基本となる携帯端末利用検査方法を具体化した他の例であり、回転機械部品1を検査する方法であって、汎用の携帯情報端末器2と、前記回転機械部品1の状況を検出しその検出データを前記携帯情報端末器2に入力する専用センサ3とを用い、
前記携帯情報端末器2に、検査のためのデータ処理を行わせるデータ処理ソフトウェア4、および前記回転機械部品の型番毎の仕様のデータ5を記憶した可搬の記憶装置32から、前記携帯情報端末器2に前記データ処理ソフトウェア4および前記仕様のデータ5を入力し、この入力した前記データ処理ソフトウェア4は前記携帯情報端末器2にインストールし、
前記専用センサ3で検出し前記携帯情報端末器2に付与された検出データを、前記携帯情報端末器2にインストールされた前記データ処理ソフトウェア4により、前記入力された仕様のデータ5を用いてデータ処理し、処理結果を前記携帯情報端末器2の画面21a
に表示させる方法である。
この方法の場合、サーバ6との通信を行わずにデータ処理ソフトウェア4のインストールや、仕様のデータ5の入力が行える。前記可搬の記憶装置32は、例えば前記専用セン
サ3とセットして販売しても良い。
前記データ処理ソフトウェア4や仕様のデータ5は、前記携帯情報端末器2に保存し、
使用するようにしても良い。
【0022】
また、前記携帯情報端末器2により前記データ処理ソフトウェアで4データ処理された処理結果を携帯情報端末器2に記録し、複数の処理結果と比較しても良い。複数の処理結果の比較の機能は、例えばデータ処理ソフトウェア4に持たせる。
複数の処理結果を比較することで、より一層適切な検査や、検査結果の評価を行うことができる。
【0023】
この発明
の回転機械部品の携帯端末利用検査方法においても、前記データ処理 ソフトウェアは、前記データ処理による処理結果として数値データを求め、この数値データが、前記型番毎に定められた閾値を超えるか、または閾値以内であっても経時的な処理結果の比較で定められた条件に該当するときは異常であると判断し、その判断結果を前記携帯情報端末器の画面に表示させるようにしても良い。
このように、前記携帯情報端末器で検出データの異常を判断して表示することで、回転
機械部品に異常が発生したか否かを簡単に知ることができる。
【0024】
この発明の回転機械部品の携帯端末利用検査方法の場合に、データ処理ソフトウェア4、および前記回転機械部品の型番毎の仕様のデータ5を記憶した可搬の記憶装置32と専用センサ3を番号で対応させ、可搬の記憶装置32を専用センサ3とセットで販売してもよい。
【0025】
第3の提案例の回転機械部品の携帯端末利用検査方法は、前記基本となる携帯 末利用検査方法を具体化したさらに他の例であり、回転機械部品1を検査する方法であって、汎用の携帯情報端末器2と、前記回転機械部品1の状況を検出しその検出データを前記携帯情報端末器2に入力する専用センサ3と、サーバ6とを用い、
前記サーバ6に、データ処理を行わせるデータ処理ソフトウェア4A、および前記回転機械部品の型番毎の仕様のデータ5を蓄積し、
前記携帯情報端末器2に前記専用センサ3から入力された検出データを、この携帯情報端末器2から前記サーバ6に送信し、
このサーバ6は、受信した検出データを、前記データ処理ソフトウェア4Aにより前記型番毎の仕様のデータ5を用いて処理し、処理結果を前記携帯情報端末器2に送り返し、 前記携帯情報端末器2は、この送り返された処理結果を画面21aに表示させる。
【0026】
この方法の場合、検出データの処理をサーバ6で行うため、携帯端末2から検出データの送信を行うことは必要となるが、サーバ6は携帯端末2に比べて大幅に高速の処理機能を持つものが通常であるため、その高速の処理機能を用いて検出データの処理を高速に行え、また高度な処理を行ってより詳しく精度の高い診断を行うことができる。その他の効果は第1の携帯端末利用検査方法と同様である。
【0027】
このサーバ6でデータ処理を行う方法の場合も、前記携帯情報端末器2に、前記データ処理ソフトウェア4Aでデータ処理された処理結果を記憶し、携帯情報端末器2で複数の処理結果を比較するようにしても良い。
【0028】
また、このサーバ6でデータ処理を行う方法の場合も、前記データ処理による処理結果として数値データを求め、この数値データが、前記型番毎に定められた閾値を超えるか、または閾値以内であっても経時的な処理結果の比較で定められた条件に該当するときは異常であると判断し、その判断結果を前記携帯情報端末器2の画面に表示させるようにしても良い。
【0029】
他の提案例の回転機械部品の携帯端末利用検査システムは、回転機械部品1を検査するシステムであって、汎用の携帯情報端末器2と、前記回転機械部品1の状況を検出しその検出したデータを前記携帯情報端末器2に入力する専用センサ3と、前記携帯情報端末器2に通信回線網7によって接続されるサーバ6とを備え、
前記携帯情報端末器2は、入力された前記回転機械部品1の型番と前記専用センサ3で検出された検出データとを前記サーバ6に送信する検出データ送信手段35を有し、
前記サーバ6は、前記携帯情報端末器2から送信された検出データを、前記回転機械部品1の型番毎の仕様のデータ5を用いて処理するデータ処理ソフトウェア4Aと、処理結果を前記携帯情報端末器2へ送り返す処理結果返送手段34と有し、
前記携帯情報端末器2は、この返送された処理結果を画面21aに表示させる処理結果表示手段36を有する。
この構成の携帯端末利用検査システムにおいても、前記第3の回転機械部品の携帯端末利用検査方法で説明したと同様に、サーバの持つ高速の処理機能を用いて検出データの処理を高速に行え、また高度な処理を行ってより詳しく精度の高い診断を行うことができる。