特許第6234012号(P6234012)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234012
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】回転機械部品の携帯端末利用検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 13/04 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
   G01M13/04
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-134532(P2012-134532)
(22)【出願日】2012年6月14日
(65)【公開番号】特開2013-228352(P2013-228352A)
(43)【公開日】2013年11月7日
【審査請求日】2015年3月9日
【審判番号】不服2016-17615(P2016-17615/J1)
【審判請求日】2016年11月25日
(31)【優先権主張番号】特願2012-72864(P2012-72864)
(32)【優先日】2012年3月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(72)【発明者】
【氏名】高田 声一
(72)【発明者】
【氏名】糸見 正二
【合議体】
【審判長】 清水 稔
【審判官】 関根 洋之
【審判官】 須原 宏光
(56)【参考文献】
【文献】 特許第3864146(JP,B2)
【文献】 特開2012−27027(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/141908(WO,A2)
【文献】 特開2011−60161(JP,A)
【文献】 特許第3858977(JP,B2)
【文献】 特開2004−171377(JP,A)
【文献】 特開2003−215228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転機械部品を検査する方法であって、スマートフォンと、前記回転機械部品の状況を検出しその検出データを前記スマートフォンに入力する専用センサとを用い、
前記専用センサで検出し前記スマートフォンに付与された検出データを、前記スマートフォンに備えられたデータ処理ソフトウェアと、前記回転機械部品の型番毎の仕様のデータとを用いてデータ処理する過程を含み、
このデータ処理の処理結果を前記スマートフォンの画面に表示させ、
前記データ処理ソフトウェアおよび前記回転機械部品の型番毎の仕様のデータを同じ可搬の記憶装置に記憶し、
この可搬の記憶装置を前記スマートフォンに接続し、
前記可搬の記憶装置に記憶された前記データ処理ソフトウェアおよび前記回転機械部品の型番毎の仕様のデータを、前記スマートフォンに入力し、
前記スマートフォンは前記入力された前記データ処理ソフトウェアをインストールし、 前記データ処理をすることは、前記スマートフォンの前記インストールされた前記データ処理ソフトウェアが、前記入力された、前記仕様のデータを用いてデータ処理することを含む、
回転機械部品の携帯端末利用検査方法。
【請求項2】
請求項において、前記携帯情報端末器に、前記データ処理ソフトウェアでデータ処理された処理結果を記憶し、複数の処理結果を比較する回転機械部品の携帯端末利用検査方法。
【請求項3】
請求項または請求項において、前記データ処理による処理結果として数値データを求め、この数値データが、前記型番毎に定められた閾値を超えるか、または閾値以内であっても経時的な処理結果の比較で定められた条件に該当するときは異常であると判断し、その判断結果を前記スマートフォンの画面に表示させる、回転機械部品の携帯端末利用検査方法。
【請求項4】
データ処理ソフトウェア、および前記回転機械部品の型番毎の仕様のデータを記憶した可搬の記憶装置と専用センサを番号で対応させ、可搬の記憶装置を専用センサとセットで販売する請求項ないし請求項のいずれか1項に記載の携帯端末利用検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、転がり軸受や等速ボールジョイント等の転動体を備えた機械部品である回転機械部品の運転状態につき、一般に普及しているスマートフォン等の携帯情報端末器を
用いて検査する回転機械部品の携帯端末利用検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
軸受等の回転機械部品の検査方法として、軸受等の回転機械部品の振動や温度の測定を行い、状態の表示や検査を行う方法がある(例えば、特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平5−17625号公報
【特許文献2】特許第2954183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2等に開示された従来の検査方法は、検査するための専用の表示装置や処理装置が必要であり、装置も大きく高価なものであり、一般的には使用が難しいという問題点がある。
【0005】
この発明の目的は、一般的に普及している携帯情報端末器を使用し、これに入力する専用センサ用いることで、軸受等の回転機械部品の動作状態を簡易に検査することができる
回転機械部品の携帯端末利用検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の基本となる回転機械部品の携帯端末利用検査方法は、回転機械部品1を検査する方法であって、汎用の携帯情報端末器2と、前記回転機械部品1の状況を検出しその検出データを前記携帯情報端末器2に入力する専用センサ3とを用い、
前記専用センサ3で検出し前記携帯情報端末器2に付与された検出データを、前記携帯情報端末器2に備えられるか、またはサーバ6に備えられたデータ処理ソフトウェア4,4Aと、前記回転機械部品1の型番毎の仕様のデータ5とを用いてデータ処理し、処理結果を前記携帯情報端末器2の画面21aに表示させる。
【0007】
この明細書において、「回転機械部品」は、転がり軸受や等速ボールジョイント等の転動体を備えた機械部品を言う。前記汎用の携帯情報端末器2は、スマートフォンやタブレット等であり、電話機能は必ずしも備えていなくても良いが、電話網,インターネット等の広域の通信回線網7を介してサーバ6と接続可能で、かつアプリケーションプログラムをダウンロードしてインストール可能なOS(オペレーションプログラム)9を有する情報処理機器である。前記専用センサ3は、例えば振動を検出するピックアップや、温度検出用のセンサであり、マイクロUSB(接続インターフェース規格であるUSB規格の一つ)等の規格適合した端子8aを持つケーブル8や、無線LAN等で携帯情報端末器と接続される。前記専用センサ3は、この他に、メモリチップやUSBモメリ等の着脱自在な記憶媒体を介して携帯情報端末器2にデータの入力が可能なものあっても良い。前記データ処理ソフトウェア4は、前記携帯情報端末器2の持つOS9上で実行するアプリケーションプログラムである。前記回転機械部品1の型番は、軸受の場合、呼び名または呼び番号等とも称される、仕様毎に定められた回転機械部品の番号、または回転機械部品の1個毎に定められた番号である。前記仕様のデータ5は、回転機械部品1が転がり軸受の場合、例えば、ボール個数、ボール径、内輪・外輪寸法等である。
【0008】
この構成によると、汎用の携帯情報端末器2を、専用センサの検出データを読み込む手段、およびその検出データを処理するかまたはサーバに送って処理させる手段として用い、かつ処理結果の表示手段として用いる。そのため、専用センサ3を準備するだけで、その他は一般的に普及しているスマートフォンやタブレット等の携帯情報端末器2を用いて、回転機械部品1の動作状態を簡易に検査することができる。データ処理ソフトウェア4によるデータ処理には、前記仕様のデータ5と専用センサ3から付与された検出データの他に、携帯情報端末器2の持つ手入力手段22から入力した軸受等の回転機械部品1の回転速度等のデータを用いても良い。
【0009】
前記回転機械部品1は、転がり軸受や等速ボールジョイント等の転動体を備えた機械部品である。この種の回転機械部品1は、運転状態が振動や温度として表れるため、専用センサで振動および温度のいずれか一方または両方を検出することで、運転状態が検出できる。特に、転がり軸受の場合、振動,温度の検出により、異常判定や寿命判定等を適切に行える。
【0010】
参考提案例となる機械部品の第1の携帯端末利用検査方法は、前記基本となる携帯端末利用検査方法を具体化した一例であり、回転機械部品1を検査する方法であって、汎用の携帯情報端末器2と、前記回転機械部品1の状況を検出しその検出データを前記携帯情報端末器2に入力する専用センサ3とを用い、
前記携帯情報端末器2に検査のためのデータ処理を行わせるデータ処理ソフトウェア4、および前記回転機械部品の型番毎の仕様のデータ5を蓄積したサーバ6に、
前記携帯情報端末器2からアクセスして、前記データ処理ソフトウェア4と検査対象の回転機械部品1の仕様のデータ5とをダウンロードし、このダウンロードした前記データ処理ソフトウェア4は前記携帯情報端末器2にインストールし 、
前記専用センサ3で検出し前記携帯情報端末器2に付与された検出データを、前記携帯情報端末器2にインストールされた前記データ処理ソフトウェア4により、前記ダウンロードされた仕様のデータ5を用いてデータ処理し、処理結果を前記携帯情報端末器2の画面21aに表示させる。
【0011】
この構成によると、汎用の携帯情報端末器2をデータ処理および結果の表示手段として用い、また、サーバ6からデータ処理ソフトウェア4および回転機械部品1の仕様のデータ5をダウンロードする。そのため、専用センサ3を準備するだけで、その他は一般的に普及しているスマートフォンやタブレット等の携帯情報端末器2を用いて、回転機械部品1の動作状態を簡易に検査することができる。データ処理ソフトウェア4によるデータ処理には、前記仕様のデータ5と専用センサ3から付与された検出データの他に、携帯情報端末器2の持つ手入力手段22から入力した軸受等の回転機械部品1の回転速度等のデータを用いても良い。
【0012】
この発明方法において、前記回転機械部品1である転がり軸受の仕様のデータ5は、前記サーバ6において、軸受種類別に階層的に分類され、前記携帯情報端末器2にダウンロードされた前記仕様のデータ5を、前記携帯情報端末器2内で軸受種類別に階層的に分類されたフォルダ26a内に最下層のファイルとして保存するようにしても良い。
軸受種類で分類して携帯情報端末器2にその軸受の仕様のデータ5が保存されていると、必要な軸受の仕様のデータ5が容易に,かつ迅速に選択できる。
前記階層的な分類は、玉軸受ところ軸受の分類や、玉軸受のうちの深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受等、ころ軸受のうちのテーハころ軸受、円筒ころ軸受、針状ころ軸受等の分類、さらに軸受サイズ、シール付き、シール無し、シール形式等である。なお、玉軸受ところ軸受とに分類せずに、玉軸受およびテーバ軸受等を同じ階層として分類しても良い。
【0013】
この発明において、前記専用センサ3は専用番号を付して販売し、この専用番号を用いて、前記携帯情報端末器2による前記データ処理ソフトウェア4の前記ダウンロードを可能としても良い。この場合、専用センサ3にデータ処理ソフトウェア4の使用料を含めて販売でき、データ処理ソフトウェア4に対する料金の徴収、支払いが便利である。
【0014】
データ処理ソフトウェア4の他の料金徴収の方法として、前記サーバ6が、前記データ処理ソフトウェア4のダウンロード毎に課金を行うようにしても良い。課金の方法は、クレジットカードやプリペイドカード等により通信によって支払いを行わせるようにしても良く、また請求書の発行を行うようにしても良い。この場合、データ処理ソフトウェア4と専用センサ3の料金を明確に区別できる。
【0015】
この発明において、前記サーバ6が、前記携帯情報端末器2により前記データ処理ソフトウェア4でデータ処理された処理結果を記憶する処理結果記憶手段31を有し、前記データ処理ソフトウェア4は、前記処理結果を複数比較する機能を有し、この比較する機能を用いて前記複数の前記処理結果を比較しても良い。
複数の処理結果を比較することで、より一層適切な検査や、検査結果の評価を行うことができる。
【0016】
参考提案例に係る第1の回転機械部品の携帯端末利用検査システムは、回転機械部品1を検査するシステムであって、汎用の携帯情報端末器2で、前記回転機械部品1の状況を検出し、その検出したデータを携帯情報端末器2に入力する専用センサ3と、前記携帯情報端末器2に通信回線網7によって接続されるサーバ6とを備え、
前記サーバ6は、前記携帯情報端末器2に検査のためのデータ処理を行わせるデータ処理ソフトウェア4、および前記回転機械部品1の型番毎の仕様のデータ5を蓄積したデータベース15を有し、前記携帯情報端末器2からのアクセスによって、前記データ処理ソフトウェア4と検査対象の回転機械部品1の仕様のデータ5とを前記携帯情報端末器2にダウンロード可能であり、
前記データ処理ソフトウェア4は、前記携帯情報端末器2にインストールされて、前記専用センサ3で検出し前記携帯情報端末器2に付与された検出データを、前記携帯情報端末器2にダウンロードされた前記仕様のデータ5を用いてデータ処理し、処理結果を前記
携帯情報端末器2の画面21aに表示させる。
【0017】
この構成の検査システムの場合、この発明の検査方法につき前述したと同様に、一般的に普及している携帯情報端末器2を使用し、これに入力する専用センサ3を用いることで、軸受等の回転機械部品1の動作状態を簡易に検査することができる。
【0018】
参考提案例に係る回転機械部品1の携帯端末利用検査システムのサーバ6は、回転機械部品1を検査する回転機械部品1の携帯端末利用検査システムを構成するサーバ6であって、前記携帯端末利用検査システムは、
汎用の携帯情報端末器2と、前記回転機械部品1の状況を検出しその検出したデータを前記携帯情報端末器2に通信手段または着脱自在な記憶媒体で付与可能な専用センサ3と、前記携帯情報端末器2に入力する前記サーバ6とを備え、
このサーバ6は、前記携帯情報端末器2に検査のためのデータ処理を行わせるデータ処理ソフトウェア4、および前記回転機械部品1の型番毎の仕様のデータ5を蓄積したデータベース15を有し、前記携帯情報端末器2からのアクセスによって、前記データ処理ソフトウェア4と検査対象の回転機械部品1の仕様のデータ5とを前記携帯情報端末器2にダウンロード可能であり、
前記データ処理ソフトウェア4は、前記携帯情報端末器2にインストールされ 、前記専用センサ3で検出し前記携帯情報端末器2に付与された検出データを、前記携帯情報端末器2にダウンロードされた前記仕様のデータ5を用いてデータ処理し、処理結果を前記
携帯情報端末器2の画面21aに表示させる。
【0019】
この構成の場合、この発明の検査方法につき前述したと同様に、一般的に普及している携帯情報端末器2を使用し、これに接続され、または記憶媒体を介して検出データを入力する専用センサ3を用いることで、軸受等の回転機械部品1の動作状態を簡易に検査することができる。
【0020】
前記提案例となる第1の回転機械部品の携帯端末利用検査方法において、前記データ処理ソフトウェア4は、前記データ処理による処理結果として数値データを求め、この数値データが、前記型番毎に定められた閾値を超えるか、または閾値以内であっても経時的な処理結果の比較で定められた条件に該当するときは異常であると判断し、その判断結果を前記携帯情報端末器2の画面21aに表示させるようにしても良い。
このように、前記携帯情報端末器2で検出データの異常を判断して表示することで、回転機械部品1に異常が発生したか否かを簡単に知ることができる。上記の「閾値以内であっても経時的な処理結果の比較で定められた条件に該当すると」とは、例えば、複数回の検出データの前記処理結果である数値データが、前記閾値以内で定めた基準値を連続して超える場合や、頻繁に超える場合等である。前記基準値は、前記検出データの処理結果である数値データが一度超えた程度では異常とは判断できないが、上記のように連続して超えたり、頻繁に超えたりすると異常と判断できる値である。このように、経時的な処理結果を比較することで、異常の検出をより確実に行うことができる。
【0021】
この発明の回転機械部品の携帯端末利用検査方法は、具体的には、前記基本となる携帯端末利用検査方法を具体化した他の例であり、回転機械部品1を検査する方法であって、汎用の携帯情報端末器2と、前記回転機械部品1の状況を検出しその検出データを前記携帯情報端末器2に入力する専用センサ3とを用い、
前記携帯情報端末器2に、検査のためのデータ処理を行わせるデータ処理ソフトウェア4、および前記回転機械部品の型番毎の仕様のデータ5を記憶した可搬の記憶装置32から、前記携帯情報端末器2に前記データ処理ソフトウェア4および前記仕様のデータ5を入力し、この入力した前記データ処理ソフトウェア4は前記携帯情報端末器2にインストールし、
前記専用センサ3で検出し前記携帯情報端末器2に付与された検出データを、前記携帯情報端末器2にインストールされた前記データ処理ソフトウェア4により、前記入力された仕様のデータ5を用いてデータ処理し、処理結果を前記携帯情報端末器2の画面21a
に表示させる方法である。
この方法の場合、サーバ6との通信を行わずにデータ処理ソフトウェア4のインストールや、仕様のデータ5の入力が行える。前記可搬の記憶装置32は、例えば前記専用セン
サ3とセットして販売しても良い。
前記データ処理ソフトウェア4や仕様のデータ5は、前記携帯情報端末器2に保存し、
使用するようにしても良い。
【0022】
また、前記携帯情報端末器2により前記データ処理ソフトウェアで4データ処理された処理結果を携帯情報端末器2に記録し、複数の処理結果と比較しても良い。複数の処理結果の比較の機能は、例えばデータ処理ソフトウェア4に持たせる。
複数の処理結果を比較することで、より一層適切な検査や、検査結果の評価を行うことができる。
【0023】
この発明の回転機械部品の携帯端末利用検査方法においても、前記データ処理 ソフトウェアは、前記データ処理による処理結果として数値データを求め、この数値データが、前記型番毎に定められた閾値を超えるか、または閾値以内であっても経時的な処理結果の比較で定められた条件に該当するときは異常であると判断し、その判断結果を前記携帯情報端末器の画面に表示させるようにしても良い。
このように、前記携帯情報端末器で検出データの異常を判断して表示することで、回転
機械部品に異常が発生したか否かを簡単に知ることができる。
【0024】
この発明の回転機械部品の携帯端末利用検査方法の場合に、データ処理ソフトウェア4、および前記回転機械部品の型番毎の仕様のデータ5を記憶した可搬の記憶装置32と専用センサ3を番号で対応させ、可搬の記憶装置32を専用センサ3とセットで販売してもよい。
【0025】
第3の提案例の回転機械部品の携帯端末利用検査方法は、前記基本となる携帯 末利用検査方法を具体化したさらに他の例であり、回転機械部品1を検査する方法であって、汎用の携帯情報端末器2と、前記回転機械部品1の状況を検出しその検出データを前記携帯情報端末器2に入力する専用センサ3と、サーバ6とを用い、
前記サーバ6に、データ処理を行わせるデータ処理ソフトウェア4A、および前記回転機械部品の型番毎の仕様のデータ5を蓄積し、
前記携帯情報端末器2に前記専用センサ3から入力された検出データを、この携帯情報端末器2から前記サーバ6に送信し、
このサーバ6は、受信した検出データを、前記データ処理ソフトウェア4Aにより前記型番毎の仕様のデータ5を用いて処理し、処理結果を前記携帯情報端末器2に送り返し、 前記携帯情報端末器2は、この送り返された処理結果を画面21aに表示させる。
【0026】
この方法の場合、検出データの処理をサーバ6で行うため、携帯端末2から検出データの送信を行うことは必要となるが、サーバ6は携帯端末2に比べて大幅に高速の処理機能を持つものが通常であるため、その高速の処理機能を用いて検出データの処理を高速に行え、また高度な処理を行ってより詳しく精度の高い診断を行うことができる。その他の効果は第1の携帯端末利用検査方法と同様である。
【0027】
このサーバ6でデータ処理を行う方法の場合も、前記携帯情報端末器2に、前記データ処理ソフトウェア4Aでデータ処理された処理結果を記憶し、携帯情報端末器2で複数の処理結果を比較するようにしても良い。
【0028】
また、このサーバ6でデータ処理を行う方法の場合も、前記データ処理による処理結果として数値データを求め、この数値データが、前記型番毎に定められた閾値を超えるか、または閾値以内であっても経時的な処理結果の比較で定められた条件に該当するときは異常であると判断し、その判断結果を前記携帯情報端末器2の画面に表示させるようにしても良い。
【0029】
他の提案例の回転機械部品の携帯端末利用検査システムは、回転機械部品1を検査するシステムであって、汎用の携帯情報端末器2と、前記回転機械部品1の状況を検出しその検出したデータを前記携帯情報端末器2に入力する専用センサ3と、前記携帯情報端末器2に通信回線網7によって接続されるサーバ6とを備え、
前記携帯情報端末器2は、入力された前記回転機械部品1の型番と前記専用センサ3で検出された検出データとを前記サーバ6に送信する検出データ送信手段35を有し、
前記サーバ6は、前記携帯情報端末器2から送信された検出データを、前記回転機械部品1の型番毎の仕様のデータ5を用いて処理するデータ処理ソフトウェア4Aと、処理結果を前記携帯情報端末器2へ送り返す処理結果返送手段34と有し、
前記携帯情報端末器2は、この返送された処理結果を画面21aに表示させる処理結果表示手段36を有する。
この構成の携帯端末利用検査システムにおいても、前記第3の回転機械部品の携帯端末利用検査方法で説明したと同様に、サーバの持つ高速の処理機能を用いて検出データの処理を高速に行え、また高度な処理を行ってより詳しく精度の高い診断を行うことができる。
【発明の効果】
【0030】
この発明の基本となる回転機械部品の携帯端末利用検査方法は、回転機械部品を検査する方法であって、スマートフォンと、前記回転機械部品の状況を検出しその検出データを前記スマートフォンに入力する専用センサとを用い、前記専用センサで検出し前記スマートフォンに付与された検出データを、前記スマートフォンに備えられるデータ処理ソフトウェアと、前記回転機械部品の型番毎の仕様のデータとを用いてデータ処理する過程を含み、このデータ処理の処理結果を前記スマートフォンの画面に表示させ、前記データ処理ソフトウェアおよび前記回転機械部品の型番毎の仕様のデータを同じ可搬の記憶装置に記憶し、この可搬の記憶装置を前記スマートフォンに接続し、前記可搬の記憶装置に記憶された前記データ処理ソフトウェアおよび前記回転機械部品の型番毎の仕様のデータを、前記スマートフォンに入力し、前記スマートフォンは前記入力された前記データ処理ソフトウェアをインストールし、 前記データ処理をすることは、前記スマートフォンの前記インストールされた前記データ処理ソフトウェアが、前記入力された、前記仕様のデータを用いてデータ処理することを含むため、一般的に普及している携帯情報端末器を使用し、これに入力する専用センサ用いることで、軸受等の回転機械部品の動作状態を簡易に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1参考提案例に係る第1の実施形態に係る回転機械部品の携帯端末利用検査方法を示す説明図である。
図2】同携帯端末利用検査方法の具体的内容の説明図である。
図3】同回転機械部品の携帯端末利用検査方法および検査システムの概念構成のブロック図である。
図4】この発明の実施形態に係る回転機械部品の携帯端末利用検査方法を示す説明図である。
図5他の参考提案例に係る回転機械部品の携帯端末利用検査方法を示す説明図である。
図6】同回転機械部品の携帯端末利用検査方法および検査システムの概念構成のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
この発明に関連する第1の参考提案例図1ないし図3と共に説明する。この携帯端末利用検査方法は、回転機械部品1を検査する方法であって、スマートフォン等の汎用の携帯情報端末器2と、これに接続される専用センサ3とを用い、携帯情報端末器2にデータ処理ソフトウェア4と検査対象の回転機械部品1の仕様のデータ5とをサーバ6からダウンロードし、専用センサ3で検出した検出データを携帯情報端末器2の内部でデータ処理してその画面21aに表示させる。
【0039】
回転機械部品1は、転がり軸受や等速ボールジョイント等の転動体を備えた機械部品である。携帯情報端末器2は、スマートフォンやタブレット等であり、電話機能は必ずしも備えていなくても良いが、電話網,インターネット等の広域の通信回線網7を介してサーバ6と接続可能で、かつアプリケーションプログラムをダウンロードしてインストール可能なOS(オペレーションプログラム)9を有する情報処理機器である。なお、スマートフォンは、上記の携帯情報端末器2の定義のうち、電話機能を備えたものを言う。前記通信回線網7は、移動体通信が行える回線網である。
【0040】
前記専用センサ3は、例えば振動を検出するピックアップ、または温度検出用のセンサであり、この例では振動検出用のピックアップを用いている。専用センサ3は、マイクロUSB(接続インターフェース規格であるUSB規格の一つ)等の規格に適合した端子8aを持つケーブル8により携帯情報端末器2に差し込み接続される。この他に、専用センサ3は、無線LAN等で携帯情報端末器2と接続されるものであっても、また、メモリチップやUSBモメリ等の着脱自在な記憶媒体(図示せず)が着脱可能で、この記憶媒体を介して携帯情報端末器2にデータの付与が可能なものあっても良い。
【0041】
前記データ処理ソフトウェア4は、携帯情報端末器2に回転機械部品1の検査のためのデータ処理を行わせるプログラムおよびデータであって、携帯情報端末器2の持つOS(オペレーションプログラム)上で実行するアプリケーションプログラムである。データ処理ソフトウェア4は、サーバ6から携帯情報端末器2に通信回線網7を介して携帯情報端末器2にダウンロードされ、インストールされる。データ処理ソフトウェア4は、例えば、軸受振動データの周波数分析を行い、振動レベルを検出して閾値と比較し、閾値を超える場合は異常と判断して携帯情報端末器2の画面21aに異常があることを表示させ、閾値未満の場合は異常がないと判断して異常がない旨の表示を前記画面21aに表示させる処理機能を備える。データ処理ソフトウェア4は、この異常の判断を行うにつき、閾値以内であっても経時的な処理結果の比較で定められた条件に該当するときは異常であると判断し、その判断結果を前記携帯情報端末器2の画面21aに表示させるようにしても良い。
【0042】
回転機械部品1の仕様のデータ5は、回転機械部品が転がり軸受の場合、例えば、ボール個数、ボール径、内輪・外輪寸法等である。回転機械部品1の型番は、回転機械部品1の仕様毎に定められた回転機械部品の番号、または回転機械部品の1個毎に定められた番号であり、回転機械部品1が軸受の場合、呼び名または呼び番号等とも称される番号、または製造番号が用いられる。
【0043】
サーバ6は、前記通信回線網7を介して前記データ処理ソフトウェア4、および回転機械部品1の型番毎の仕様のデータ5を蓄積し、携帯情報端末器2のアクセスによって配信する情報処理装置である。サーバ6は、この回転機械部品の携帯端末利用検査方法,検査システムに用いる専用のサーバであっても、この回転機械部品の携帯端末利用検査方法とは無関係の種々のアプリケーションプログラムやデータを配信する機能を備えたものであっても良い。
【0044】
図3に示すように、サーバ6は、通信等処理手段11と、データ処理ソフトウェア4を記憶した記憶手段(図示せず)と、軸受等の回転機械部品1の仕様についてのデータベース15とを備える。通信等処理手段11は、通信制御手段12と、データ配信手段13と、課金処理手段14とを有する。通信等処理手段11は、通信回線網7を介して、携帯情報端末器2からのアクセスに対応し、通信を確立して通信に関する種々の制御を行う手段である。データ配信手段13は、携帯情報端末器21からのアクセスに応じて、データ処理ソフトウェア4、および回転機械部品1の仕様のデータ5を配信する手段である。データ配信手段13は、個々の専用センサ3に付された専用番号が携帯情報端末器2より正しく入力された場合にのみ、データ処理ソフトウェア4の配信を行うようにしても良い。
【0045】
データベース15は、携帯情報端末器2からのアクセスによって検索可能なデータベースマネジメントシステム(図示せず)とデータの記憶手段とでなり、検索項目16として、回転機械部品1が軸受の場合、その軸受を階層的に分類した名称を有している。検索項目16は、玉軸受ところ軸受とに区分した階層、玉軸受につき、深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受、その他の各形式の軸受に区分し、ころ軸受につき、テーパころ軸受と円筒ころ軸受、その他の各形式の軸受に区分した階層、さらにサイズ別に区分した階層、シール有無、シール形式に区分した階層に区分されている。検索項目16は、区分の形式が互いに異なる複数種類の階層を持つようにしても良い。最下層となる一つの型番についての仕様のデータ5は、ファイルとして設けられている。データベース15は、複数の仕様のデータ5を、種々の階層のフォルダとして抽出可能とされている。また、前記データ配信手段13は、そのデータベース15から抽出した複数の仕様のデータ5をフォルダとして配信可能としてある。
【0046】
課金処理手段14は、携帯情報端末器2からのデータ処理ソフトウェア4のダウンロード毎に課金を行う手段である。課金の方法は、データ処理ソフトウェア4のダウンロード前にクレジットカードやプリペイドカードによる支払いの要求を行い、入金が確認されたときにデータ処理ソフトウェア4のダウンロードを許可する形式としても良く、また請求書を発行する形式であっても良い。
【0047】
サーバ6は、上記各手段の他に、前記携帯情報端末器2により前記データ処理ソフトウェア4で処理された処理結果を記憶する処理結果記憶手段31を有するものとしても良い。処理結果記憶手段31は、例えばデータベースとして設けられ、データ処理ソフトウェア4で処理した仕様のデータ5や、専用センサ3から得たデータ、携帯情報端末器2の識別データ等と共に記憶する構成としても良い。また、前記データ処理ソフトウェア4は、前記処理結果を複数比較する機能、並びに処理結果をサーバ6の前記処理結果記憶手段31に記憶させる機能、およびこの処理結果記憶手段31から適宜の検索条件で検索して、記憶されている処理結果をダウンロードする機能を有するものとしても良い。前記携帯情報端末器2により、上記の比較する機能を用いて前記複数の前記処理結果を比較しても良い。複数の処理結果を比較することで、より一層適切な検査や、検査結果の評価を行うことができる。
【0048】
携帯情報端末器2の構成につき、具体的に説明する。携帯情報端末器2は、前述のようにスマートフォンやタブレット等であり、前述のアプリケーションプログラムをダウンロードしてインストール可能なOS9と、画面表示装置21と、手入力手段22と、通信制御手段23と、接続インタフェース24と、入力情報記憶手段25とを有する。
【0049】
画面表示装置21は、液晶等の画面21aに画像を表示する手段である。手入力手段21は、オペレータが手で入力するための手段であり、文字,数字の入力用のハードウェアキーボード、または画面21a上に手指やタッチペン等を触れて入力を可能とするソフトェアキーボード等からなる。通信制御手段23は、通信回線網7を介してサーバ6と通信を行う各種の処理を行う手段である。接続インタフェース24は、携帯情報端末器2と他の機器とを接続するインタフェースであり、この例では、前記マイクロUSB規格の差し込み接続用端子、およびその入出力処理の回路やソフトウェアで構成される。
【0050】
入力情報記憶手段25は、サーバ6や、手入力手段22、接続インタフェース24を介して入力された専用センサ3の検出データを記憶する手段である。入力情報記憶手段25には、前記データ処理ソフトウェア4が入力されて、実行可能なようにインストールされ、またサーバ6からダウンロードした仕様のデータ5が、階層構造のフォルダからなる仕様データ群26として記憶される。入力情報記憶手段25の検出データ記憶部27は、専用センサ3から得た検出データが記憶され、入力データ記憶部28には、手入力手段22から入力された各種のデータ、例えば軸受回転速度等が記憶される。
【0051】
図2と共に、この回転機械部品の携帯端末利用検査方法の具体例を説明する。携帯情報端末器2はスマートフォン、専用センサ3はピックアップ、回転機械部品1は軸受である。まず、携帯情報端末器2は、サーバ6にアクセスして、検査する軸受の仕様データ(「内部データ」とも言う)とデータ処理ソフトウェア4とをサーバ6から受け取る。サーバ6は、被検査軸受の仕様のデータおよび検査に必要なアプリケーションプログラムであるデータ処理ソフトウェア4を携帯情報端末器6へ送信する。
携帯情報端末器2は、手入力手段22から入力された軸受の回転速度から、軸受の各部(内輪、外輪、転動体、保持器)の振動数を算出する。この軸受の各部(内輪、外輪、転動体、保持器)の振動数を算出、およびその算出のための回転速度を入力させる案内の画面21aの表示は、前記データ処理ソフトウェア4によって行う。
【0052】
この後、携帯情報端末器2は、専用センサ3から軸受の振動データが入力され、データ処理ソフトウェア4によって軸受振動データのFFT分析(周波数分析)を行い、FFT分析結果から上記軸受各部の振動数の振動レベルを検出する。すなわち振動レベルの数値データを得る。検出した振動レベルを各閾値と比較する。検出した振動レベルが閾値超える場合は、異常と判断し、閾値を超えた部位(前述の内輪、外輪、転動体、保持器のいずれか)に異常があることを画面21aに表示させる。検出した各振動レベルが閾値をいずれも超えないときは、軸受は異常がないと判断し、異常が無い旨を表示を、画面21aに文字や絵文字,記号等により表示する。
このように、前記携帯情報端末器2で検出データの異常を判断して表示することで、回転機械部品1に異常が発生したか否かを簡単に知ることができる。上記の「閾値以内であっても経時的な処理結果の比較で定められた条件に該当するとき」とは、例えば、複数回の検出データの前記処理結果である数値データが、前記閾値以内で定めた基準値を連続して超える場合や、頻繁に超える場合等である。前記基準値は、前記検出データの処理結果である数値データが一度超えた程度では異常とは判断できないが、上記のように連続して超えたり、頻繁に超えたりすると異常と判断できる値である。このように、経時的な処理結果を比較することで、異常の検出をより確実に行うことができる。
【0053】
この回転機械部品の携帯端末利用検査方法,検査システム、サーバによると、このように、汎用の携帯情報端末器2をデータ処理および結果の表示手段として用い、また、サーバ6からデータ処理ソフトウェア4および回転機械部品1の仕様のデータ5をダウンロードする。そのため、専用センサ3を準備するだけで、その他は一般的に普及しているスマートフォンやタブレット等の携帯情報端末器2を用いて、回転機械部品1の動作状態を簡易に検査することができる。前記回転機械部品1は転がり軸受であるが、転がり軸受は、運転状態が振動や温度として表れるため、専用センサ3で振動を検出することで、運転状態が検出できる。特に、転がり軸受の場合、振動の検出により、異常判定や寿命判定等を適切に行えるデータの検出が行える。
【0054】
前記回転機械部品1である転がり軸受の仕様のデータ5は、一つだけ保存しても良いが、前記携帯情報端末器2にダウンロードされた前記仕様のデータ5を、前記携帯情報端末器2内で軸受種類別に階層的に分類されたフォルダ26a内に最下層のファイルとして保存しても良い。その場合、検査対象の軸受が異なる毎に仕様のデータ5をダウンロードする必要がなく、また必要な軸受の仕様のデータ5が容易に,かつ迅速に選択できる。
【0055】
この回転機械部品の携帯端末利用検査方法の適用については、前記専用センサ3は専用番号を付して販売し、この専用番号を用いて、前記携帯情報端末器2による前記データ処理ソフトウェア4の前記ダウンロードを可能としても良い。
この場合、専用センサ3にデータ処理ソフトウェア4の使用料を含めて販売でき、データ処理ソフトウェア4に対する料金の徴収、支払いが便利である。
【0056】
この他に、データ処理ソフトウェア4の他の料金徴収の方法として、前記サーバ6が、前記データ処理ソフトウェア4のダウンロード毎に課金を行うようにしても良い。課金の方法は、前述のようにクレジットカードやプリペイドカード等により通信によって行うようにしても良く、また請求書の発行を行うようにしても良い。この場合、データ処理ソフトウェア4と専用センサ3の料金を明確に区別できる。
【0057】
なお、上記実施形態では、専用センサ3は振動を検出するものとしたが、温度を検出するものであっても良く、または振動と温度との両方を検出するものとしても、またはその他の状況を検出するものとしても良い。データ処理ソフトウェア4によって振動と温度との両方を用いて検出するようにすれば、より精度良く異常判断が行える。また、上記実施形態は、回転機械部品1が転がり軸受である場合につき説明したが、等速ボールジョイントなど、軸受外の各種の回転機械部品1の検査につき、この発明が適用できる。
携帯情報端末器2とサーバ6との間の通信は、携帯情報端末器2から構外の電話網などの通信回線網7へ直接に行っても良いが、構内のLAN等を介して構外の通信回線網7からサーバ6に接続するようにしても良い。
【0058】
図4は、この発明の実施形態を示す。特に説明する事項の他は、前記実施形態と同様である。この実施形態では、サーバを用いず、検査のためのデータ処理を行わせるデータ処理ソフトウェア4、および前記回転機械部品の型番毎の仕様のデータ5を記憶した可搬の記憶装置32から、前記携帯情報端末器2に前記データ処理ソフトウェア4および前記仕様のデータ5を入力し、この入力した前記データ処理ソフトウェア4は前記携帯情報端末器2にインストールする。この後は、前記と同様に、前記専用センサ3で検出し前記携帯情報端末器2に付与された検出データを、前記携帯情報端末器2にインストールされた前記データ処理ソフトウェア4により、前記入力された仕様のデータ5を用いてデータ処理し、処理結果を前記携帯情報端末器23の画面21aに表示させる。
【0059】
前記可搬の記憶装置32は、マイクロSDカード等のカード型のメモリチップやUSBメモリ等である。携帯情報端末器2は、これらのカード型のメモリチップやUSBメモリに対するインタフェースを有する端子やカード収容部等の接続手段(図示せず)を一般的に有しており、その接続手段を用いる。
【0060】
この方法の場合、サーバ6との通信を行わずにデータ処理ソフトウェア4のインストールや、仕様のデータ5の入力が行える。前記可搬の記憶装置32は、例えば前記専用センサ3とセットして販売しても良い。このときデータ処理ソフトウェア4や仕様のデータ5は専用センサ3とシリアル番号等の番号による対応とし、一対一での対応とすることができる。
前記データ処理ソフトウェア4や仕様のデータ5は、前記携帯情報端末器2に保存し、使用するようにしても良い。
【0061】
また、前記携帯情報端末器2により前記データ処理ソフトウェアで4データ処理された処理結果を携帯情報端末器2に記録し、複数の処理結果と比較しても良い。複数の処理結果の比較の機能は、例えばデータ処理ソフトウェア4に持たせる。
複数の処理結果を比較することで、より一層適切な検査や、検査結果の評価を行うことができる。
【0062】
図5および図6は、他の参考提案例を示す。この実施形態は、検出データの処理をサーバ6で行うようにしており、これに関連して他の事項も第1の実施形態と異なっている部分がある。なお、この実施形態は、特に説明した事項を除き、図1ないし図3に示す実施形態と同様であり、重複する説明を省略する。
【0063】
この検査システムの構成を説明する。この例では、サーバ6に記憶されたデータ処理ソフトウェア4Aおよび軸受の使用のデータベース15は、携帯情報端末器2への送信用ではなく、サーバ6内での処理用とされる。サーバ6は、通信等処理手段11の一部として、または通信等処理手段11とは独立して、携帯情報端末器2からの要求に応答する手段である要求応答手段37を有しており、要求応答手段37は、携帯情報端末器2からのデータ処理の要求に対して、前記データ処理ソフトウェア4Aによるデータ処理を行わせる。この処理結果は、処理結果返送手段34により携帯情報端末器2へ返送する。この他に、サーバ6は、携帯情報端末器2へ送信するソフトウェアとして、端末側処理ソフトウェア33を記憶していて、携帯情報端末器2の送信要求に応答して前記要求応答手段37より端末側処理ソフトウェア33を携帯情報端末器2へ送信する。なお、サーバ6が行うデータ処理ソフトウェア4Aも、例えばFFT分析(周波数分析)を行い、FFT分析結果から上記軸受各部の振動数の振動レベルを検出する構成とされる。なお、端末側処理ソフトウェア33は、通信による他に、図4の例と同様に、可搬の記憶装置32から携帯情報端末器2に読み込むようにしても良い。
【0064】
前記端末側処理ソフトウェア33は、専用センサ3で検出して携帯情報端末器2に付与された検出データをサーバ6へ送信し、サーバ6にデータ処理を行わせる処理等のソフトウェアである。端末側処理ソフトウェア33は、携帯情報端末器2でインストールされ、つまり実行可能状態とされることで、携帯情報端末器2に、検出データ送信手段35、および処理結果表示手段36、および異常判断手段38を構成する。
【0065】
この実施形態の検査システムを用いた検査方法を説明する。まず、準備過程として、携帯情報端末器2から端末側処理ソフトウェア33の送信要求をサーバ6に行う。この送信要求に応答して、サーバ6は、端末側処理ソフトウェア33を携帯情報端末器2へ送信する。携帯情報端末器2は、ダウンロードした端末側処理ソフトウェア33をインストールし、実施可能な状態とする。
【0066】
検査に際しては、携帯情報端末器2に専用センサ3から入力された検出データと、手入力手段22等から入力された回転機械部品1の型番と、回転機械部品1における専用センサ3による検査時の回転数(=回転速度)のデータを、携帯情報端末器2から前記サーバ6に送信する。回転数のデータは、手入力手段22から入力したデータであっても、また回転検出器(図示せず)から得たデータであっても良い。
サーバ6は、受信した検出データを、前記データ処理ソフトウェア4Aにより前記型番毎の仕様のデータ5と回転数を用いて処理し、処理結果を処理結果返送手段34によって前記携帯情報端末器2に送り返す。携帯情報端末器2は、この送り返された処理結果を画面21aに表示させる。
【0067】
この方法の場合、検出データの処理をサーバ6で行うため、携帯端末2から検出データの送信を行うことは必要となるが、サーバ6は携帯端末2に比べて飛躍的に高速の処理機能を持つものが通常であるため、その高速の処理機能を用いて検出データの処理を高速に行え、また高度な処理を行ってより詳しく精度の高い診断を行うことができる。その他の効果は第1の携帯端末利用検査方法と同様である。
【0068】
このサーバ6でデータ処理を行う方法の場合も、前記携帯情報端末器2に、前記データ処理ソフトウェア4Aでデータ処理された処理結果を記憶し、複数の処理結果を比較するようにしても良い。この処理結果の比較は、端末側処理ソフトウェア4Aにより、つまり前記異常判断手段38により行う。
【0069】
また、このサーバ6でデータ処理を行う方法の場合も、前記データ処理による処理結果として数値データを求め、この数値データが、前記型番毎に定められた閾値を超えるか、または閾値以内であっても経時的な処理結果の比較で定められた条件に該当するときは異常であると判断し、その判断結果を処理結果表示手段36等で前記携帯情報端末器2の画面に表示させるようにしても良い。
【符号の説明】
【0070】
1…回転機械部品
2…携帯情報端末器
3…専用センサ
4,4A…データ処理ソフトウェア
5…仕様のデータ
6…サーバ
7…通信回線網
8…コード
21a…画面
31…処理結果記憶手段
32…可搬の記憶手段
33…端末側処理ソフトウェア
34…処理結果返送手段
35…検出データ送信手段
36…処理結果表示手段
37…要求応答手段
38…異常判断手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6