(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
二次元状に配列されたレンズごとに配置され被写体からの光を受光する受光素子対であって、一方の受光素子が、前記被写体の立体撮像画像を表示するための視差を有する撮像画像対のうちの一方を構成する画素信号を出力し、他方の側の受光素子が、前記撮像画像対のうちの他方を構成する画素信号を出力する、受光素子対と、
前記受光素子の入力信号または出力信号を伝送する離間して積層された複数の配線を有し、前記受光素子間に配設された配線層とを有し、
前記レンズのそれぞれの曲率半径をr、
前記レンズの間隔をp、
前記レンズと前記配線層の積層方向における上面までの間の媒質の平均屈折率をnav2、
前記配線層の、前記受光素子の受光面から積層方向における上面までの距離をhbとしたとき、
1.4 ≦ (1/p)・[r/(nav2-1)-hb] ≦ 3である、
撮像素子。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
図1は、本実施形態における撮像装置の概略構成を示すブロック図である。この撮像装置1は、被写体からの被写体光100に基づき、立体撮像画像を表示するための視差を有する一対の撮像画像を撮像する。撮像装置1は、撮像レンズ11、撮像素子10、画像処理部12、制御部14、記憶部16、及び表示部18を有する。撮像素子10、画像処理部12、制御部14、記憶部16、及び表示部18は、バス19に接続され、各種信号を互いに送受信可能に構成される。
【0016】
撮像素子10は、被写体光100が撮像レンズ11を介して入射されると、被写体光100に基づき視差を有する左眼用と右眼用の撮像画像対を撮像し、各撮像画像を構成する画素信号を出力する。各撮像画像は、2次元状に配列された画素からなる。1フレームの撮像画像を構成する画素数は、たとえば、640×480画素〜4000×3000画素であるが、この範囲に限られなくてもよい。撮像素子10は、各画素に対応して配設置された受光素子を有するCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)であり、受光素子により画素信号を生成して出力する。画素信号は、たとえば、1フレームごとに生成して出力される。画素信号は、画素ごとのたとえばR(Red)、G(Green)、B(Blue)の色の階調値を示す信号である。また、画素信号は、たとえば受光素子からの出力信号がA/D変換されたデジタル信号である。
【0017】
画像処理部12は、1フレーム分の画素信号を含む撮像画像データに対し、色や輝度補正、歪み補正等の所定の画像処理や、データの圧縮・伸張を行う。画像処理部12は、たとえば、1フレームごとの撮像画像データに対し画像処理を行う。画像処理部12は、たとえばDSP(Digital Signal Processor)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のプロセッサである。
【0018】
記憶部16は、画像処理前及び/または画像処理後の撮像画像データを記憶するフレームメモリである。記憶部16は、たとえば、SRAM(Static Random Access Memory)やDRAM(Dynamic RAM)である。または、記憶部16は、ハードディスクや可搬型フラッシュメモリなど各種記憶メディアへのデータ読込み・書込み装置を含んでもよい。
【0019】
表示部18は、撮像画像データに基づき立体撮像画像を表示する。表示部18は、たとえば左右の眼の視差に対応する偏光フィルタを備えたLCD(Liquid Crystal Display)とその制御回路を有する。表示部18は、視差を有する左右の撮像画像データを表示して、ユーザが立体感を知覚できるような立体撮像画像を表示する。
【0020】
制御部14は、撮像素子10、画像処理部12、記憶部16、及び表示部18に制御信号を送り、撮像装置1の動作を統合的に制御する。制御部14は、たとえばマイクロコンピュータである。
【0021】
図2、
図3は、撮像素子10の要部の構成を説明するための図である。
【0022】
図2に示すように、撮像素子10は、二次元状に配列された球面状のマイクロレンズ20からなるレンズ群2を有する。マイクロレンズ20は、立体撮像画像の絵素に対応して配設される。ここでは、X軸方向が撮像画像の左右方向に、Y軸方向が撮像画像の上下方向に対応する。また、Z軸方向が光軸方向に対応する。
【0023】
また、撮像素子10は、マイクロレンズ20ごとに配置された受光素子対22を有する。ここでは、便宜上、レンズ群2の一部についてのみ受光素子対22が示される。各受光素子対22は、立体撮像画像を表示するための視差を有する撮像画像対のうち左眼用の撮像画像を構成する画素信号を生成して出力する受光素子22Lと、右眼用の撮像画像を構成する画素信号を生成して出力する受光素子22Rとからなる。受光素子22L、22Rは、X軸方向に、すなわち左右方向に隣接して配置される。各受光素子22L、22Rは立体撮像画像を表示するための撮像画像対それぞれの画素に対応する。
【0024】
図3には、撮像素子10のZ軸方向に沿った断面図が示される。
図3に示すように、撮像素子10には、撮像レンズ11を介して被写体光100が入射される。被写体光100は、絞り32に応じた直径の入射瞳33、射出瞳34を介して撮像レンズ11を通過する。撮像レンズ11を通過した被写体光100は、マイクロレンズ20ごとに集光され、カラーフィルタ36を介して受光素子対22の受光素子22L、22R上に被写体像を結像する。カラーフィルタ36は、絵素ごとにR、G、Bのいずれかの色を有する。よって、受光素子22L、22R上には、R、G、Bいずれかの色の光が入射されて被写体像が結像される。
【0025】
各絵素において、被写体光100のうち光軸30に対し左側の光束100Lは左眼用の受光素子22Lに、右側の光束100Rは右眼用の受光素子22Rに入射される。そして、受光素子22Lは、左眼用の撮像画像を構成する画素の画素信号を生成し、出力する。一方、受光素子22Rは、右眼用の撮像画像を構成する画素の画素信号を生成し、出力する。受光素子22R、22Lは、たとえば、CMOSやCCDに含まれるフォトダイオードである。
【0026】
受光素子対22同士の間には、受光素子22R、22Lの入力信号または出力信号を伝送する配線が積層された配線層38が配設される。配線層38の作用を、
図4、5を用いて次に説明する。
【0027】
図4には、
図3のような配線層38を有さない撮像素子10の断面が示される。
図3と共通の構成には、
図3と同じ符号が付される。
図4に示すように、たとえば撮像レンズ11の像側の開口数が大きい(すなわちFナンバーが小さい)ときには、マイクロレンズ20に大きい傾きを持つ光線が入射する。ここで、一絵素分の受光素子対22に着目すると、左側の光束100Lが左眼用の受光素子22Lからはみ出して隣接する他の絵素の右眼用の受光素子22´Rに、右側の光束100Rが右眼用の受光素子22Rからはみ出して、隣接する他の絵素の左眼用の受光素子22´Lに、それぞれ入射される場合がある。すると、各絵素において本来の色と異なる色のカラーフィルタ36を通った光束が混入するため、撮像画像全体としての色むら発生の原因になる。また、絵素ごとのマイクロレンズ20に入射した光束が、隣の絵素への光とみなされてしまうため、解像度の低下の原因ともなってしまう。その結果、立体撮像画像の解像度が低下したり、左右の撮像画像においてクロストークが生じることで立体撮像画像の立体感が低下したりといった問題が生じるおそれがある。そこで、本実施形態では、配線層38が次のように作用する。
【0028】
図5は、
図3に示した断面図における、配線層38の部分を拡大して示す図である。
図3と共通の構成には、
図3と同じ符号が付される。本実施形態では、配線層38を設けることで、受光素子22L、22Rからはみ出そうとする光束100L、100Rを配線層38が遮蔽し、光束100L、100Rが隣接する他の絵素の受光素子22´R、22´Lに入射されることを防止できる。
【0029】
さらにここでは、Si基板5上に配線38a、38b、及び38cを積層して配線層38を構成する例が示される。配線38a、38b、及び38cは、画素信号を出力する受光素子を選択する、行または列の選択信号、出力される画素信号の伝送用配線や、グランド用の配線である。ここでは、3本の配線を例として示すが、配線の数は複数であればよく、3本に限られない。配線層38の配線38a、38b、及び38cは、積層方向に離間して積層することができる。配線38a、38b、及び38cのすべてが互いに離間していてもよいし、いずれか2つが接触していてもよい。また、各配線の延伸方向において、離間する箇所が一部でもあればよい。また、各配線38a〜cは、金属製である。金属製の配線38a〜cからなる配線層38に光束が到達すると、光は反射、散乱を起こすが、配線38a、38b、及び38cが積層方向に離間していても光は配線層38を透過しない。
【0030】
たとえば、本図におけるマイクロレンズ20の右端部54付近に入射した光56は、光軸30付近から入射する光100Rより大きい光軸30に対する入射角を有し、受光素子22R、22´L間の配線層38に対し斜め右方向から入射するが、配線38a、38b、及び38cに遮蔽されて受光素子22´Lに到達しない。このようにして、ある絵素においてマイクロレンズ20を通過した光束が配線層38に到達した場合、その光束が直接、隣の絵素の受光素子22L、22Rに到達することを防止できる。なお、ここでは、マイクロレンズ20から受光素子22L、22Rの受光面200までは、有機材料やSiO2などの媒質で満たされており、空気層はない。
【0031】
好ましい態様では、配線38a〜cは、遮光性を有するアルミニウム製である。そうすることで、確実に光を遮蔽できる。ただし、配線38a〜cが、たとえばある程度光が透過する銅製である場合には、配線層38にある程度の高さH(Z軸方向における基板5の表面からの距離)を持たせることで、それに応じた遮光性を補償できる。
【0032】
本実施形態では、上記のような配線層38の作用により、たとえばアルミニウム製の隔壁といった遮光用の追加的な構造を撮像素子10の受光素子間に設けなくても、各絵素において隣接する絵素の光束の混入を防止できる。よって、追加的な構造を設けるための製造プロセスを必要とすることなく、立体撮像画像の解像度や立体感が低下することを回避可能な撮像素子を製造できる。
【0033】
図6は、撮像素子10において配線層38がX−Y平面上に配設された状態を示す。
図6では、マス目状に受光素子22R、22Lが配設された状態が示される。なお、受光素子の形状は、ここに示される例に限らず、任意の形状とすることができる。
図6では、一対の受光素子22R、22Lからなるマス目が受光素子対22をなし、一絵素に対応する。
図6に示すように、配線層38は、X軸方向(つまり撮像画像の左右方向)において受光素子対22同士の間に設けられる。そうすることで、各絵素における左側、右側の光束100L、100Rが、隣接する他の絵素の右眼用、左眼用の受光素子22R、22Lにそれぞれ入射することを防止できる。配線層38は、X軸方向において二以上の受光素子対22ごと、または、ランダムな数の受光素子対22ごとに設けてもよいが、好ましくは、
図6に示すように、一の受光素子対22ごとに設けられる。さらに、受光素子対22における受光素子22R、22Lの間に配線層38を配設することも可能である。そうすることで、立体撮像画像の解像度低下や立体感の低下を防止できる。
【0034】
また、配線層38は、Y軸方向(つまり撮像画像の上下方向)において、隣接する絵素の受光素子22L間、または22R間に設けられる。そうすることで、各絵素において上下方向にはみ出した光が、上下に隣接する他の絵素の受光素子に入射することを防止できる。よって、上下に隣接する他の絵素の光が入射することで撮像画像の解像度が低下し、それにより立体撮像画像の解像度が低下するといった事態を防止することができる。配線層38は、Y軸方向において、二以上の受光素子22Lまたは22Rごと、または、ランダムな数の受光素子22Lまたは22Rごとに設けてもよいが、好ましくは、
図6に示すように、一の受光素子22Lまたは22Rごとに設けられる。そうすることで、立体撮像画像の解像度低下をより効果的に防止できる。
【0035】
なお、ここでは、受光素子が行方向と列方向に配列された例が示されるが、たとえばハニカム状に配設される場合も、本実施形態に含まれる。
【0036】
ここで、
図7、8を用いて、配線層38の好適な高さについて説明する。
図7、8には、
図5に示した断面図における撮像素子10の要部が、配線層38を省略して示される。
【0037】
まず
図7を用いて、一の絵素における光が隣接する他の絵素の受光素子に入射するときの条件について説明する。なお、
図7では、
図5と共通の構成には
図5と同じ符号が付してある。
【0038】
撮像レンズ11の射出瞳34のもっとも光線高さの高いところを通り、マイクロレンズ20の頂点に入射する光束70の光軸30に対する入射角をθ1、撮像レンズ11のFナンバーをFnとすると、次式(1)が成り立つ。
【0039】
式(1): tanθ1 = 1/(2・Fn)
【0040】
次に、マイクロレンズ20の曲率半径をr、マイクロレンズ20から受光素子22L、22Rの受光面200までの媒質の平均の屈折率をnavとすると、マイクロレンズ20の焦点距離fLは次式(2)で表される。
【0041】
式(2): fL = r/(nav-1)
【0042】
ここで、受光素子22L、22Rの受光面200はマイクロレンズ20のおおよそ後側焦点に配置される。また、撮像レンズ11は、たとえば射出瞳34の位置が無限遠付近となるように構成される。よって、撮像レンズ11の射出瞳34の像は、マイクロレンズ20を通して受光素子22L、22Rの受光面200上に結像する。ここにおいて、マイクロレンズ20への入射角がθ1の光束70の、受光素子22L、22Rの受光面200上における光軸30からの距離hは、次式(3)で表される。
【0043】
式(3): h = fL・tanθ1
【0044】
一方、マイクロレンズ20のピッチをpとすると、マイクロレンズ20の光軸30から隣接する絵素のマイクロレンズ20との境界72までの距離dは、次式(4)のとおりである。
【0046】
ここで、受光素子22L、22Rの開口率にもよるものの、h>d(式(5)) のとき、一の絵素のマイクロレンズ20を通った光束70が光軸30から距離dより離れた位置に到達し、隣接する他の絵素の受光素子に入射することになる。
【0047】
よって、式(1)〜(5)から、隣接する他の絵素の受光素子に入射するときの条件は、次式(6)で表される。
【0048】
式(6): r/[Fn・(nav-1)] > p
なお、ここでは、
撮像レンズ11のFナンバー:Fn
マイクロレンズ20の曲率半径:r
マイクロレンズ29から受光素子22L、22Rの受光面200までの媒質の平均屈折率:nav
マイクロレンズ20のピッチ:pである。
【0049】
次に、
図8を用いて、隣接する他の絵素へ光束70が到達しないような配線層38の高さについて説明する。
図8では、
図7と共通の構成には
図7と同じ符号が付してある。
【0050】
撮像レンズ11の射出瞳34において光軸30から最も離れた位置を通った光束70´がマイクロレンズ20の頂点に入射角θ1´で入射したとき、その光束70´が絵素の境界72を横切るときの受光素子22L、22Rの受光面200からの高さをhbとする。このとき、マイクロレンズ20の頂点から、高さhbまでの媒質の平均屈折率をnav2とすると、次式(7)が成り立つ。
【0051】
式(7): [r/(nav2-1) -hb]・tanθ1’ = p/2
【0052】
すると、この光線を遮るように配線層38の高さを設定すれば、隣の絵素に光束が到達することはない。すなわち、配線層38の高さは、式(7)から得られる次式(8)のhb以上であればよい。
【0053】
式(8): hb = r/(nav2 - 1) - p・Fn
【0054】
ここで、使用される最も明るい撮像レンズ11のFnを上記式(8)に代入することで、必要な配線層38の高さが導かれる。このようにして、上記のhb以上の高さとなる配線層38を配置することで、マイクロレンズ20を通った光束が隣接する他の絵素の受光素子に到達することを防止することができる。
【0055】
また、反対に、配線層38の高さhbが所与であるとき、使用可能な最も明るい撮像レンズ11のFナンバーは、上記式(8)を次式(9)のように変形することで求められる。
式(9): Fn = (1/p)・[r/(nav2-1)-hb]
【実施例】
【0056】
<配線層38の高さに関する第1実施例>
第1実施例では、
・マイクロレンズ20の曲率半径:r = 0.01mm(球面)
・マイクロレンズ20のピッチ:p = 0.01mm
・マイクロレンズ20から配線層38上面高さまでの媒質の平均屈折率:nav2 = 1.5
・マイクロレンズ20から受光素子22L、22Rの受光面200までの媒質の平均屈折率:nav = 1.5
・配線層38の高さ:hb = 0.006mm
とする。ここで、配線層38はアルミなどの金属製であり、光に対して実質的に不透明である。第1実施例では、式(9)から、F1.4までの明るさの撮像レンズ11を使用しても、隣の絵素の受光素子に光束が到達しない。よって、F1.4という比較的明るい撮像レンズ11を使用しても、立体撮像画像の解像度の低下や、色ずれなどの不具合発生を回避できる。
【0057】
<配線層38の配線の積層状態に関する第2実施例>
図9は、配線層38の配線の積層状態の第1実施例を示す。ここでは、配線層38が配線38a、38b及び38cを有する場合の配線相互の配設間隔が、撮像素子10の断面図により示される。たとえば、配線38bと38cが並行して配設され、その上に配線38aが積層された状態において、各配線38a、38b及び38cの断面におけるx軸方向の寸法が1μm、z軸方向の寸法が1.3μmとする。なお、マイクロレンズ20の曲率半径r、ピッチp、マイクロレンズ20から配線層38上面高さまでの媒質の平均屈折率nav2、マイクロレンズ20から受光素子22L、22Rの受光面200までの媒質の平均屈折率nav及び配線層38の高さhbは、第1実施例と同じである。
【0058】
この場合において、
・光軸30から配線38aの中心までの距離:a=5μm
・配線38bと38cのうち光軸30から近い方の配線38Cの中心までの距離:b=4μm
・配線38bと38cのうち光軸30から遠い方の配線38bの中心までの距離:c=6μm
・受光面200から配線38aの上面までの距離:d=6μm
・受光面200から配線38b(38c)の上面までの距離:e=3.5μm
・配線38aの下面から配線38b(38c)の上面までの距離:f=1.5μm
・受光面200から配線38b(38c)の下面までの距離:g=1.9μm
となるように配線38a、38b及び38cを配設することで、マイクロレンズ20のどの位置に入射した光であっても配線38a、38b及び38cにより遮蔽され、隣接する絵素の受光素子に光束が到達しない。
【0059】
なお、上記のような配線層38の高さと配線38a、38b及び38cの配設間隔は、受光素子対22における受光素子22R、22Lの間に配線層38を配設する場合にも適用できる。そうすることで、立体撮像画像の解像度低下や立体感の低下を防止できる。
【0060】
<配線層38の配線の積層状態に関する第3実施例>
図10は、配線層38の配線の積層状態の第3実施例を示す。ここでは、配線層38が配線38a、38b、38c及び38dを有する場合の各配線の配設間隔が、撮像素子10の断面図により示される。たとえば、最下層に配線38dが配設され、その上に配線38bと38cが並行して積層され、さらにその上に配線38aが積層された状態において、各配線38a、38b、38c及び38dの断面におけるx軸方向の寸法が1μm、z軸方向の寸法が1.3μmとする。なお、マイクロレンズ20の曲率半径r、ピッチp、マイクロレンズ20から配線層38上面高さまでの媒質の平均屈折率nav2、マイクロレンズ20から受光素子22L、22Rの受光面200までの媒質の平均屈折率nav及び配線層38の高さhbは、第1、第2実施例と同じである。
【0061】
この場合において、
・光軸30から配線38aの中心までの距離:a’=5μm
・配線38bと38cのうち光軸30から近い方の配線38Cの中心までの距離:b’=4μm
・配線38bと38cのうち光軸30から遠い方の配線38bの中心までの距離:c’=6μm
・受光面200から配線38aの上面までの距離:d’=6μm
・受光面200から配線38b(38c)の上面までの距離:e’=4μm
・受光面200から配線38dの上面までの距離:f’=2μm
・配線38aの下面から配線38b(38c)の上面までの距離:g’=0.7μm
・配線38b(38c)の下面から配線38dの上面までの距離:h’=0.7μm
となるように配線38a、38b、38c及び38dを配設することで、マイクロレンズ20のどの位置に入射した光であっても配線38a、38b、38c及び38dにより遮蔽され、隣接する絵素の受光素子に光束が到達しない。
【0062】
なお、上記のような配線層38の高さと配線38a、38b、38c及び38dの配設間隔は、受光素子対22における受光素子22R、22Lの間に配線層38を配設する場合にも適用できる。そうすることで、立体撮像画像の解像度低下や立体感の低下を防止できる。
【0063】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。たとえば、上述の説明では、絵素ごとに球面状のマイクロレンズを有する撮像素子を例として示したが、代わりにシリンドリカルレンズを用いた構成であってもよい。
【0064】
以上説明したとおり、本実施形態によれば、立体撮像画像の解像度や立体感の低下を防止することができる。