特許第6234032号(P6234032)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シャープ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6234032-筐体および無線通信装置 図000002
  • 特許6234032-筐体および無線通信装置 図000003
  • 特許6234032-筐体および無線通信装置 図000004
  • 特許6234032-筐体および無線通信装置 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234032
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】筐体および無線通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/02 20060101AFI20171113BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20171113BHJP
   H05K 5/06 20060101ALI20171113BHJP
   H01Q 1/24 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   H04M1/02 C
   H01Q1/38
   H05K5/06 E
   H01Q1/24 Z
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-23715(P2013-23715)
(22)【出願日】2013年2月8日
(65)【公開番号】特開2014-155064(P2014-155064A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2015年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】引野 望
【審査官】 廣川 浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−187741(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/086034(WO,A1)
【文献】 特開2009−027019(JP,A)
【文献】 特開2009−060268(JP,A)
【文献】 特開2007−288360(JP,A)
【文献】 実開昭56−1348(JP,U)
【文献】 特開2007−273808(JP,A)
【文献】 特開平10−322046(JP,A)
【文献】 特開平7−220558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M1/02−1/23
H01Q 1/24
H01Q 1/38
H05K 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その内部に回路基板を格納するための筐体であって、
該筐体の外側および内側に開口する貫通孔と、
該筐体の外側の表面から該貫通孔の内壁を通って該筐体の内側の表面に引き廻され、該回路基板に導通される導電パターンと、
該貫通孔を塞ぐ栓部材と、を備えており、
該貫通孔における該筐体の外側の開口部の方が、該貫通孔における該筐体の内側の開口部よりも大きく、
該貫通孔は、該外側の開口部側から該内側の開口部側に向けて先細になるテーパ状の形状を有し、
該栓部材は、該外側の開口部側から該内側の開口部側に向けて先細になるテーパ状の形状を有するものであって、絶縁性の注入材が固化したものであることを特徴とする筐体。
【請求項2】
上記筐体が格納する回路基板は、無線通信のための回路基板であり、
上記導電パターンは、アンテナエレメントであることを特徴とする請求項1に記載の筐体。
【請求項3】
上記筐体の外側の表面の少なくとも一部を覆う塗膜を備えており、
該塗膜が、上記栓部材を覆っていることを特徴とする請求項1または2に記載の筐体。
【請求項4】
その内部に回路基板を格納するための筐体であって、
該筐体の外側および内側に開口する貫通孔と、
該筐体の外側の表面から該貫通孔の内壁を通って該筐体の内側の表面に引き廻され、該回路基板に導通されるアンテナエレメントと、
該貫通孔を塞ぐ栓部材と、を備えており、
該貫通孔における該筐体の外側の開口部の方が、該貫通孔における該筐体の内側の開口部よりも大きく、
該アンテナエレメントは、該筐体の内側に該回路基板への接点を有し、該アンテナエレメントにおける、該接点に対して該貫通孔を通過する部分を挟んだ反対側の部分が、該筐体の外側に配置されていることを特徴とする筐体。
【請求項5】
請求項1〜の何れか一項に記載の筐体と、
上記回路基板とを備えていることを特徴とする無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板を格納する筐体および無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
貫通孔を有する筐体上に、当該貫通孔を通る導電パターンを形成する技術が開発されている。例えば、非特許文献1には、光(レーザ)照射を利用するLDS(Laser Direct Structuring)法を用いて、テーパ状に形成された貫通孔に導電パターンを設けることが記載されている。
【0003】
近年、このように形成した導電パターンをアンテナとして用いる携帯無線端末が開発されている。当該携帯無線端末において、導電パターンが通過する貫通孔の形状は、テーパ状であるとともに、外部から見たときに目立たないよう、筐体の内側に向けて開いていくように形成されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】LPKF、"Designing three-dimensional circuitry bodies(MIDs)"、http://www.lpkfusa.com/mid/lasersystems.htmより2012年6月7日に取得
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような従来技術では、導電パターンを通過させるための貫通孔が存在するため、防水および防塵機能が得られない。本発明者らは、防水および防塵機能を得るために、従来技術における貫通孔を注入材によって埋めた構成を検討したが、単に貫通孔を注入材によって埋めるだけでは、問題が生じることを見出した。
【0006】
すなわち、図4(a)およびその拡大図である図4(b)に示すように、外部から見たときに目立たないよう、筐体103の内側(図中B側)に向けて開いていくように形成された、テーパ状の貫通孔101を有する筐体103において、貫通孔101を注入材102で埋めた場合、筐体103の外側(図中A側)から圧力がかかったときに注入材102を支持することができず、注入材102が筐体103の内側(図中B側)に外れてしまうという問題がある。このことは、図4(c)に示すように、筐体103が、円筒状の貫通孔111を有する場合も、同様である。そして、注入材102が筐体103の内側(図中B側)に外れてしまうと、防水および防塵性能が劣化する他、注入材102が筐体103内で動き回り、回路基板104等の部品を損傷または破損するおそれがある。そのため、筐体103が有する貫通孔を好適に塞ぐための技術が求められている。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、導電パターンを通過させるための貫通孔を有する筐体において、当該貫通孔を好適に塞ぐための技術を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る筐体は、その内部に回路基板を格納するための筐体であって、該筐体の外側および内側に開口する貫通孔と、該筐体の外側の表面から該貫通孔の内壁を通って該筐体の内側の表面に引き廻され、該回路基板に導通される導電パターンと、該貫通孔を塞ぐ栓部材と、を備えており、該貫通孔における該筐体の外側の開口部の方が、該貫通孔における該筐体の内側の開口部よりも大きいことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、貫通孔における筐体の外側の開口部の方が、貫通孔における該筐体の内側の開口部よりも大きいため、貫通孔が、栓部材を筐体の内側から支持する形状となっている。これにより、筐体の外側から圧力が掛ったときに栓部材が外れることを防止することができ、貫通孔を好適に塞ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(a)は、本発明の実施形態1に係る携帯端末を示す図であり、(b)は、(a)の貫通孔の周囲を拡大した図である。
図2】本発明の実施形態2における貫通孔の周囲を拡大した図である。
図3】本発明の実施形態3における貫通孔の周囲を拡大した図である。
図4】(a)は、参考例に係る携帯端末を示す図であり、(b)は、(a)の貫通孔の周囲を拡大した図であり、(c)は、別の参考例における貫通孔の周囲を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0012】
(携帯端末20の構成)
図1(a)は、本発明の実施形態1に係る携帯端末(無線通信装置)20を示す図であり、(b)は、(a)の貫通孔1を拡大した図である。
【0013】
携帯端末20は、筐体3の内部に無線通信のための回路基板4を格納し、回路基板4に実装されるハードウェアおよびソフトウェアにより、携帯端末として機能する。筐体3は、貫通孔1、注入材(栓部材)2および導電パターン5を備えている。導電パターン5は、コネクタ6を介して回路基板4に接続されており、携帯端末20は、導電パターン5をアンテナとして、無線通信する機能を有している。
【0014】
筐体3は、誘電体からなる構造物であり、例えば、樹脂等によって形成することができる。
【0015】
また、本明細書において、導電パターンとは、任意の形状に形成された膜状または板状の導電体を意味する。導電パターン5は、筐体3の表面に設けられており、貫通孔1の内壁を通って、筐体3の内側(図中B側)の表面から筐体3の外側(図中A側)の表面に引き廻されている。すなわち、貫通孔1の内壁上に設けられた導電パターン5は、貫通孔1が開口する二面(筐体3の図中A側およびB側の表面)間を導電接続している。
【0016】
一つの局面において、導電パターン5は、LDS(Laser Direct Structuring)法を用いて形成することができる。すなわち、筐体3を構成する樹脂に有機金属を混合しておき、筐体3上の導電パターン5を形成する領域にレーザ照射することによって、レーザ照射部にメッキを析出させたり、レーザ照射部が微細に荒れることによって、メッキがそのレーザ照射部に結合し、導電パターン5を形成することができる。導電パターン5を構成する物質は特に限定されず、導電性を有する物質(例えば、銅メッキ、ニッケルメッキなどの金属)を用いればよい。なお、LDS法により貫通孔1の内壁に導電パターン5を形成する場合、貫通孔1が傾斜を有するテーパ形状であることが、貫通孔1の内壁にレーザを照射する上で好ましい。
【0017】
貫通孔1は、筐体3を貫通するように設けられた孔であり、筐体3の外側(図中A側)および内側(図中B側)にそれぞれ付された導電パターン5同士を接続するために、筐体3の外側(図中A側)および内側(図中B側)にそれぞれ開口するように形成されている。図1に示すように、貫通孔1は、貫通孔1における筐体3の外側(図中A側)の開口部の方が、貫通孔1における内側(図中B側)の開口部よりも大きくなるように形成されている。より詳細には、筐体3の外側(図中A側)から内側(図中B側)に向けて先細になる(径が狭まる)テーパ状の形状を有していている。これにより、上述したLDS法等により貫通孔1の内壁に導電パターンをより容易に形成することができる。なお、貫通孔1の各開口部の形状は限定されず、円形の他、例えば、楕円形、多角形(三角形および四角形を含む)、円または楕円と多角形とが複合した形状等が挙げられる。
【0018】
注入材2は、携帯端末20の筐体3の内側に対する防水および防塵機能を実現するために、貫通孔1を塞ぐように設けられる。注入材2は、注入時には粘性のある液体状またはジェル状であり、貫通孔1内に注入された後、固化(乾燥)するものであり得る。このような注入材2としては、特に限定されないが、例えば、液体糊、樹脂系の粘着剤、接着剤、補強材等が挙げられる。なお、注入材2は、絶縁体であってもよし、導電性を有していてもよい。
【0019】
なお、貫通孔1が傾斜を有するテーパ形状であることが、貫通孔1内に注入材2を注入する上で好ましい。
【0020】
(本実施形態の利点)
上述したように、貫通孔1は、貫通孔1における筐体3の外側(図中A側)の開口部の方が、貫通孔1における内側(図中B側)の開口部よりも大きくなるように形成されている。このような構造により、貫通孔1は、注入材2を筐体3の内側(図中B側)から支持することができるため、筐体3の外側(図中A側)から圧力がかかっても、注入材2が外れて筐体3の内部に入ることはない。
【0021】
これにより、注入材2が外れ、筐体3の防水および防塵機能が劣化することを防止することができる。また、注入材2が筐体3の内部に入り、回路基板4等の内部の部品を損傷または破損することを防止することができる。また、注入材2として、導電性を有する物質を用いた場合であっても、注入材2が筐体3の内部に入り、回路基板4をショートさせることを防止することができる。
【0022】
また、図4に示したような構成では、注入材2が外れることを防止し得るように、注入材2と筐体3との間の接着強度を考慮する必要があり、注入材2の材質等について設計制約があるが、本実施形態では、貫通孔1が物理的に注入材2を支持するため、注入材2の材質等についての設計制約が小さくなり、注入材2として、低損失体等の所望の機能を有するもの、コストを低減し得るもの等、用途および仕様に合わせて、様々な物質を使用することができる。
【0023】
また、図1(b)に示すように、貫通孔1における筐体3の外側(図中A側)の開口部の方が、貫通孔1における内側(図中B側)の開口部よりも大きいため、貫通孔1における内側(図中B側)の開口部の方が大きい場合に比べて、導電パターン5およびコネクタ6の接点32と、貫通孔中心31との間の距離33を短くすることができる。なぜなら、貫通孔1における筐体3の内側(図中B側)の開口部が大きくなると、貫通孔中心31近くに接点32を設けることができないためである。これにより、筐体3の内側(図中B側)に必要となる導電パターン5の長さを短くすることができる。例えば、接点32から、貫通孔1の反対斜面まで引き廻される導電パターン5の長さを短くすることができる。これにより、導電パターン5(アンテナエレメント)の全長を、所望の使用周波数帯域に対応した長さにする場合に、筐体3の内側(図中B側)に必要となる導電パターン5の長さを短くして、筐体3の外側(図中A側)に配置された導電パターン5(アンテナエレメント)の長さを長くすることができる。これにより、筐体3の外側にアンテナエレメントを配置して、回路基板4等の金属から距離を取ることが出来るため、アンテナ性能を改善することができる。
【0024】
(変形例)
なお、導電パターン5は、アンテナエレメントとしての用途以外にも様々な用途に用いることができる。例えば、一つの局面において、導電パターン5は、筐体3の内側(図中B側)と外側(図中A側)とを導電接続するために使用することができる。例えば、筐体3の外側(図中A側)に、板金等のグランドを配置し、導電パターン5と導通することにより、板金等のグランドと回路基板4とを導電パターン5を介して電気的に接続することができる。
【0025】
また、導電パターン5の形成方法はLDS法に限定されるものではない。例えば、導電ペースト、導電インク等を筐体3上に印刷してもよいし、MID(Molded Interconnect Devices)法を用いてもよいし、導電性の薄膜を筐体3に貼付けてもよい。
【0026】
また、貫通孔1を塞ぐ部材は、貫通孔1に注入される注入材2に限定されず、貫通孔1を塞ぐ栓となる栓部材であればよい。当該栓部材は、例えば、貫通孔1に挿入される弾性体等であり得る。
【0027】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図2に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。また、実施形態1における変形例は、同様に適用することができる。
【0028】
図2は、本発明の実施形態2における貫通孔11の周囲を拡大した図である。図2に示すように、貫通孔11は、筐体3の外側(図中A側)から内側(図中B側)に向かって径が狭まるような段差を有し、貫通孔11における筐体3の外側(図中A側)の開口部の方が、貫通孔11における内側(図中B側)の開口部よりも大きくなっている。実施形態2においても、実施形態1と同様、貫通孔11が注入材2を筐体3の内側(図中B側)から支持するため、筐体3の外側(図中A側)から圧力が掛ったときに注入材2が外れて筐体3の内部に入ることを防止することができる。また、貫通孔がテーパ形状を有する場合とは異なり、筐体3の厚さが増しても、貫通孔11における筐体3の外側(図中A側)の開口部の大きさが変わらないという利点がある。
【0029】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、図3に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。また、実施形態1における変形例は、同様に適用することができる。
【0030】
図3は、本発明の実施形態3における貫通孔1の周囲を拡大した図である。図3に示すように、貫通孔1の形状は、実施形態1と同様、筐体3の外側(図中A側)に向かって径が大きくなるすり鉢状である。このように、筐体3の外側(図中A側)に向けて貫通孔1が開いているため、筐体3の外側(図中A側)から注入材2を引っ掛ける力が働くと、注入材2が外れてしまうおそれがある。これに対し、実施形態3では、筐体3の外側(図中A側)の表面の少なくとも一部を覆う塗膜7を備えており、塗膜7は、注入材2を覆うように形成されている。塗膜7が固着することによって、注入材2と筐体3とが接着する力に加えて、塗膜7の固着力も加わるので、注入材2をより強固に筐体3に固定することができる。また、塗膜7が注入材2と筐体3との段差を埋めるため、筐体3と注入材2との間の境界を滑らかにし、引っかかりを低減することにより、注入材2が外れることをさらに好適に防止することができる。
【0031】
また、本実施形態では、塗膜7によって注入材2が外れることをさらに好適に防止することができるため、注入材2の材質等についての設計制約がさらに小さくなり、様々な物質を使用することができる。また、塗膜7により注入材2の腐食から保護することができるため、導電性を有する注入材2等を首尾よく使用することができる。
【0032】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る筐体は、その内部に回路基板(4)を格納するための筐体(3)であって、該筐体の外側および内側に開口する貫通孔(1)と、該筐体の外側の表面から該貫通孔の内壁を通って該筐体の内側の表面に引き廻され、該回路基板に導通される導電パターン(5)と、該貫通孔を塞ぐ栓部材(注入材2)と、を備えており、該貫通孔における該筐体の外側の開口部の方が、該貫通孔における該筐体の内側の開口部よりも大きいことを特徴としている。
【0033】
上記の構成によれば、貫通孔における筐体の外側の開口部の方が、貫通孔における該筐体の内側の開口部よりも大きいため、貫通孔が、栓部材を筐体の内側から支持する形状となっている。これにより、筐体の外側から圧力が掛ったときに栓部材が外れることを防止することができ、貫通孔を好適に塞ぐことができる。
【0034】
本発明の態様2に係る筐体では、上記態様1において、上記筐体が格納する回路基板は、無線通信のための回路基板であり、上記導電パターンは、アンテナエレメントであってもよい。
【0035】
上記の構成によれば、筐体の外側の表面に設けられた導電パターンをアンテナエレメントとして使用することにより、効率良く無線通信を行うことができる。特に、上記の構成によれば、貫通孔における筐体の外側の開口部の方が、貫通孔における筐体の内側の開口部よりも大きいため、筐体の内側の開口部の方が大きい場合に比べて、導電パターンと回路基板との接点を貫通孔の近くに配置することができる。これにより、筐体の外側にアンテナエレメントを配置して、回路基板等の金属から距離を取ることが出来るため、アンテナ性能を改善することができる。
【0036】
本発明の態様3に係る筐体は、上記態様1または2において、上記貫通孔が、上記筐体の外側から上記筐体の内側に向けて先細になるテーパ状の形状を有していてもよい。
【0037】
上記の構成によれば、貫通孔内に栓部材をより好適に注入することができる。また、例えば、LDS(Laser Direct Structuring)法等を用いて、貫通孔の内壁に導電パターンをより容易に形成することができる。
【0038】
本発明の態様4に係る筐体は、上記態様1〜3において、上記筐体の外側の表面の少なくとも一部を覆う塗膜を備えており、該塗膜が、上記栓部材を覆っていてもよい。
【0039】
上記の構成によれば、塗膜が固着することによって、栓部材をより強固に筐体に固定することができるとともに、塗膜によって、筐体と栓部材との間の境界を滑らかにし、引っかかりを低減することにより、栓部材が外れることをさらに好適に防止することができる。
【0040】
本発明の態様5に係る無線通信装置(携帯端末20)は、上記態様1〜4における筐体と、上記回路基板とを備えていることを特徴としている。
【0041】
上記の構成によれば、上記態様1〜4と同等の効果を奏する。
【0042】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、回路基板を格納する筐体を備えた電子機器に幅広く利用することができ、特に、スマートフォン、タブレット端末等の無線通信装置において、好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1、11 貫通孔
2 注入材(栓部材)
3 筐体
4 回路基板
5 導電パターン
6 コネクタ
7 塗膜
20 携帯端末(無線通信装置)
図1
図2
図3
図4