特許第6234071号(P6234071)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234071
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】歯磨組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20171113BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20171113BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20171113BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   A61K8/34
   A61K8/73
   A61K8/25
   A61Q11/00
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-117705(P2013-117705)
(22)【出願日】2013年6月4日
(65)【公開番号】特開2014-234373(P2014-234373A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2016年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】戸井 学
【審査官】 松村 真里
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−250937(JP,A)
【文献】 実開昭64−032626(JP,U)
【文献】 特開2011−068599(JP,A)
【文献】 特開2012−188377(JP,A)
【文献】 特開2011−190201(JP,A)
【文献】 特開平05−170630(JP,A)
【文献】 特開平05−170631(JP,A)
【文献】 特開平08−175942(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)並びに(D):
(A)20℃における水に対する溶解度が40質量%未満の糖アルコール(A−1)、及び20℃における水に対する溶解度が40質量%以上の糖アルコール(A−2)からなる糖アルコール 合計で40質量%以上75質量%以下、
(B)粘結剤 0.01質量%以上0.55質量%以下、
(C)吸油量が200〜400mL/100gである増粘性シリカ 5.5質量%以上12質量%以下、並びに
(D)水 11質量%以上25質量%以下
を含有し、かつ成分(A−1)の含有量が20質量%以上60質量%以下であって、
成分(C)と成分(B)の質量比((C)/(B))が10以上180以下であり、
成分(C)と成分(D)の質量比((C)/(D))が0.3以上1.0以下であり、
25℃における円柱形状のロータを用いた回転粘度が4000dPa・s以上15000dPa・s以下である歯磨組成物。
【請求項2】
成分(A−1)と成分(D)の質量比((A−1)/(D))が、1.5以上である請求項1に記載の歯磨組成物。
【請求項3】
研磨剤を8質量%以下含有する請求項1又は2に記載の歯磨組成物。
【請求項4】
成分(A−2)とグリセリンの合計含有量が、8質量%以上40質量%以下である請求項1〜のいずれか1項に記載の歯磨組成物。
【請求項5】
プロピレングリコールを0.1質量%以上10質量%以下含有する請求項1〜のいずれか1項に記載の歯磨組成物。
【請求項6】
油溶性薬効成分を含有する請求項1〜のいずれか1項に記載の歯磨組成物。
【請求項7】
25℃におけるヘリパス粘度が、2700dPa・s以上8000dPa・s以下である請求項1〜のいずれか1項に記載の歯磨組成物。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか1項に記載の歯磨組成物と、歯磨用塗布具とを備える歯磨剤キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯磨組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
歯磨組成物を用いて歯磨きを施すことにより、口腔内の汚れを除去して清潔にし、う蝕や歯周病等の口腔内疾患の予防等を図ることができる。従来より、こうした歯磨組成物において、さらに所望の効果をももたらすべく、糖アルコールを含有した種々の歯磨組成物が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、吸熱水和反応をする成分としてエリスリトール等の糖アルコールを含有し、水分量が10重量%以下である歯磨剤組成物が開示されており、歯磨き時において吸熱反応による清涼感をもたらすとともに、味の向上を図ることもできる。また、特許文献2には、特定の平均粒子径を有するエリスリトールを多量に含有するとともに、吸油量が200〜400mL/100gである、いわゆる増粘性シリカと称されるシリカを含有する粘度の低い歯磨組成物が開示されており、かかる増粘性シリカによって未溶解のエリスリトールの凝集を抑制しつつ、清涼感及び口中拡散性の向上を図っている。さらに、特許文献3には、フッ素イオン供給化合物とともに、水への溶解度が低い糖アルコールを水に対して十分な量で含有する歯磨組成物が開示されており、歯のエナメル質にフッ素イオンを効率よく取り込ませて、エナメル質の再石灰化を促進させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−191483号公報
【特許文献2】特開2011−190201号公報
【特許文献3】特開2011−74066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
こうしたなか、必ずしも歯磨きを施さずとも所望の作用をもたらすことのできる付加価値の高い歯磨組成物が求められつつあり、口腔内に適用した際には歯や歯肉への付着性に優れるとともに、次第に良好な口溶け性を発揮でき、例えばそのまま歯磨きを施すことをも可能とする歯磨組成物の実現が望まれている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の組成物では、水分量が低下するにつれて固くなり、また粉っぽくなる傾向にあるため、歯や歯肉に対して十分な付着性を発揮できない可能性が高い。特許文献2に記載の組成物であっても、粘度が低いが故に歯や歯肉への十分な付着性を発現するには至らず、特許文献3に記載の組成物においても、依然として歯や歯肉への付着性と口溶け性との両立に課題がある。
【0007】
したがって、本発明は、歯や歯肉への付着性に優れるとともに、良好な口溶け性をも兼ね備えることのできる歯磨組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで本発明者は、種々検討したところ、水に対する溶解度が異なる2種の糖アルコール、粘結剤、増粘性シリカ及び水の含有量や質量比を特定しつつ、円柱形状のロータを用いた回転粘度計による粘度を特定の範囲とすることにより、口腔内に適用した際には歯や歯肉に良好に付着するとともに、次第に優れた口溶け性をも発現できる歯磨組成物が得られることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)並びに(D):
(A)20℃における水に対する溶解度が40質量%未満の糖アルコール(A−1)、及び20℃における水に対する溶解度が40質量%以上の糖アルコール(A−2)からなる糖アルコール 合計で40質量%以上75質量%以下、
(B)粘結剤 0.01質量%以上0.6質量%以下、
(C)増粘性シリカ、並びに
(D)水 8質量%以上25質量%以下
を含有し、かつ成分(A−1)の含有量が20質量%以上60質量%以下であって、
成分(C)と成分(B)の質量比((C)/(B))が10以上1000以下であり、
成分(C)と成分(D)の質量比((C)/(D))が0.3以上1.0以下であり、
25℃における円柱形状のロータを用いた回転粘度計による粘度が4000dPa・s以上15000dPa・s以下である歯磨組成物に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の歯磨組成物によれば、口腔内に適用した際には歯や歯肉に対して優れた付着性を発揮するとともに良好な分散性を備えており、次第に歯磨きにも適した良好な口溶け性を発現することができる。したがって、適用時に歯や歯肉に付着することで、歯磨組成物による作用を十分にもたらすことが可能であり、続いてすみやかに口腔内で口溶けすることで、べとつきのないさわやかな口当たりを実感できるとともに、容易に歯磨きに移行することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の歯磨剤キットに備えられる歯磨用塗布具1の形状の一例を示す図である。図1(a)は歯磨用塗布具1の全体図を示し、図1(b)はその使用状態を示す図である。
図2】歯磨用塗布具1の形状のその他の例を示す図である。
図3】歯肉への付着性1の測定及び評価の様子を示す写真である。
図4】口溶け性1の測定及び評価の様子を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の歯磨組成物は、20℃における水に対する溶解度が40質量%未満の糖アルコール(A−1)、及び20℃における水に対する溶解度が40質量%以上(20℃において飽和水溶液100gに対して40g以上溶解)の糖アルコール(A−2)からなる糖アルコール(A)を40質量%以上75質量%以下含有する。すなわち、成分(A)の糖アルコールは、水への溶解度が異なる2種の糖アルコールである、成分(A−1)及び成分(A−2)からなり、本発明の歯磨組成物は、かかる成分(A)の糖アルコールを40質量%以上75質量%以下含有する。これにより、成分(A−1)によって組成物に良好な構造粘性を付与しながら組成物の良好な分散性を確保し、すみやかな口溶け性を実現することができるとともに、成分(A−2)によって歯や歯肉に対する付着性を高めることができる。
【0013】
成分(A−1)の糖アルコールは、20℃における水に対する溶解度が40質量%未満(20℃において飽和水溶液100gに対して40g未満溶解)であり、かかる成分(A−1)としては、エリスリトール、α−D−グルコピラノシル−1,6−ソルビトールとα−D−グルコピラノシル−1,6−マンニトールの混合物である還元パラチノース、マンニトール、並びにα−D−グルコピラノシル−1,6−ソルビトール又はα−D−グルコピラノシル−1,6−マンニトールであるグルコピラノシルソルビトールから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0014】
エリスリトールの20℃における水に対する溶解度は33質量%である。
還元パラチノースは、二糖類の糖アルコールであり、α−D−グルコピラノシル−1,6ーマンニトール及びその異性体であるα−D−グルコピラノシル−1,6ーソルビトールの等モル混合物である。還元パラチノースはシュクロースを原料とし、シュクロースを糖転移酵素によりパラチノースとした後に、水素添加反応させることによって得られる。また、還元パラチノースとして知られているパラチニットは、三井製糖、Sudzucker AG社(和名:南独製糖)の商品名であり、イソマルトという別名称もある。還元パラチノースの20℃における水に対する溶解度は28質量%である。
【0015】
マンニトールは、ヘキシトールの一種でありマンノースの糖アルコールである。工業的には、トウモロコシデンプン糖の電解還元、蔗糖の高圧還元により生産されている。本発明で用いるマンニトールは、D−マンニトール、L−マンニトール、D,L−マンニトールから選ばれる少なくとも1種であればよく、特に限定されるものではないが、天然界に存在するD−マンニトールが入手容易であり好ましい。マンニトールの20℃における水に対する溶解度は18質量%である。
【0016】
これら成分(A−1)のなかでも、組成物に良好な構造粘性を付与する観点から、エリスリトール及び還元パラチノースから選ばれる1種又は2種が好ましく、より優れた清涼感をもたらす観点からエリスリトールがさらに好ましい。
【0017】
成分(A−2)の糖アルコールは、20℃における水に対する溶解度が40質量%以上(20℃において飽和水溶液100gに対して40g以上溶解)であり、かかる成分(A−2)としては、キリシトール(20℃における水に対する溶解度が66質量%)、マルチトール(20℃における水に対する溶解度が60質量%)、及びソルビトール(20℃における水に対する溶解度が72質量%)から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。これら成分(A−2)のなかでも、歯及び歯肉への付着性を向上する観点から、ソルビトールが好ましい。
【0018】
成分(A)の糖アルコールの含有量は、適切な構造粘性を付与しながら分散性に優れ、口溶けを良好にする観点、及び歯や歯肉への良好な付着性を確保する観点から、本発明の歯磨組成物中に、成分(A−1)及び成分(A−2)の合計で40質量%以上であって、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは55質量%以上である。成分(A)の糖アルコールの含有量は、歯磨組成物の使用感と歯や歯肉への良好な付着性を確保する観点、及び歯磨組成物の使用感の観点から、本発明の歯磨組成物中に、成分(A−1)及び成分(A−2)の合計で75質量%以下であって、好ましくは70質量%以下であり、より好ましくは65質量%以下である。また、成分(A)の糖アルコールの含有量は、本発明の歯磨組成物中に、成分(A−1)及び成分(A−2)の合計で40〜75質量%であって、好ましくは50〜70質量%であり、より好ましくは55〜65質量%である。
【0019】
本発明の歯磨組成物において、成分(A−1)の含有量は、20質量%以上60質量%以下である。これにより、後述する特定量の成分(D)とも相まって、組成物中に成分(A−1)を粉末状又は粒状のまま未溶解状態で存在させて効果的に組成物に構造粘性を付与し、しかも口腔内に適用後は優れた分散性による口溶け性を付与することができる。成分(A−1)の含有量は、適切な構造粘性を実現する観点、及び良好な口溶け性、分散性、清涼感をもたらす観点から、本発明の歯磨組成物中に20質量%以上であって、好ましくは25質量%以上であり、より好ましくは30質量%以上である。成分(A−1)の含有量は、組成物の構造粘性が必要以上に高くなり、適用時の延びが低下する等の使用感への影響を防止する観点から、本発明の歯磨組成物中に60質量%以下であって、好ましくは55質量%以下であり、より好ましくは50質量%以下であり、さらに好ましくは45質量%以下である。また、成分(A−1)の含有量は、本発明の歯磨組成物中に20〜60質量%であって、好ましくは25〜55質量%であり、より好ましくは30〜50質量%であり、さらに30〜45質量%である。
【0020】
本発明の歯磨組成物は、粘結剤(B)を0.01質量%以上0.6質量%以下含有する。これにより、後述する成分(C)の増粘性シリカとの間で特定の質量比((C)/(B))を有することとも相まって、適切な粘度を保持しつつ、口腔内に適用した際には歯や歯肉への良好な付着性を発現するとともに、唾液で希釈されるにつれ、すみやかな口溶け性を発現することができる。
【0021】
成分(B)の粘結剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、グアガム及びコンドロイチン硫酸ナトリウム等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。なかでも、適度な粘度を保持しつつ良好な口溶けを確保する観点から、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガム及びカラギーナンから選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
【0022】
成分(B)の含有量は、保形性を確保する観点、及び後述する成分(C)の増粘剤とも相まって、適度な粘度を有効に付与して歯や歯肉に対する良好な付着性を確保する観点から、本発明の歯磨組成物中に0.01質量%以上であって、好ましくは0.03質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上である。成分(B)の含有量は、後述する成分(C)の増粘剤とも相まって、唾液で希釈されるにつれてすみやかに分散し、良好な口溶けを得る観点から、本発明の歯磨組成物中に0.6質量%以下であって、好ましくは0.55質量%以下である。また、成分(B)の含有量は、本発明の歯磨組成物中に0.01〜0.6質量%であって、好ましくは0.03〜0.55質量%であり、より好ましくは0.05〜0.55質量%である。
【0023】
本発明の歯磨組成物は、増粘性シリカ(C)を含有する。これにより、成分(B)の粘結剤及び後述する成分(D)の水との間で特定の質量比((C)/(B)及び(C)/(D))を有することとも相まって、適切な粘度を保持しつつ、口腔内に適用した際には歯や歯肉への良好な付着性を発現するとともに、唾液で希釈されるにつれ、すみやかな口溶け性を発現することができる。
【0024】
成分(C)の増粘性シリカとは、吸油量が200〜400mL/100gであり、好ましくは220〜380mL/100gであり、より好ましくは、250〜350mL/100gであるシリカを意味する。したがって、成分(C)の増粘性シリカは吸油量の多いシリカであり、研磨剤として用いられるシリカとは相違する。一般的に、研磨剤として用いられるシリカの吸油量は、50〜150mL/100gである。ここで、吸油量とは、シリカが担持できる油量を示したものであり、測定方法はJIS K5101−13−2(2004年制定)に基づく方法により、吸収される煮あまに油の量により特定する。成分(C)としては、サイリシア、サイロピュア(富士シリシア化学社製)、チキソシル(ローディア社製)、ソルボシル(イネオスシリカ社製)、ファインシール(トクヤマ社製)、ニップジェル(東ソー・シリカ社製)の市販品を用いることができる。
【0025】
成分(C)の含有量は、成分(B)の粘結剤とも相まって、歯磨組成物の保形性を確保しながら唾液で希釈されるにつれてすみやかに口溶けする観点、及び良好な付着性を得る観点から、本発明の歯磨組成物中に、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは5.5質量%以上であり、さらに好ましくは6質量%以上である。成分(C)の含有量は、成分(B)の粘結剤とも相まって、適度な粘度を有効に付与して歯や歯肉に対する良好な付着性を確保する観点、及び粉っぽさを抑制し歯磨組成物の歯や歯肉への適用時の延びを良好にする観点から、本発明の歯磨組成物中に、好ましくは12質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下であり、さらに好ましくは9質量%以下である。また、成分(C)の含有量は、本発明の歯磨組成物中に、好ましくは5〜12質量%であり、より好ましくは5.5〜10質量%であり、さらに好ましくは6〜9質量%である。
【0026】
本発明の歯磨組成物において、成分(C)と成分(B)の質量比((C)/(B))は、10以上1000以下である。これにより、後述する特定の量の成分(D)の水とも相まって、成分(C)を母体としながら成分(B)を分散させることとなり、組成物に適切な粘度を付与して、歯や歯肉に対する優れた付着性と、次第に発現する良好な口溶け性とを兼ね備えることができる。
【0027】
成分(C)と成分(B)の質量比((C)/(B))は、保存安定性を確保しつつすみやかな口溶け性を実現する観点から、10以上であって、好ましくは11以上であり、より好ましくは12以上である。成分(C)と成分(B)の質量比((C)/(B))は、組成物中における各成分の溶解性又は分散性を確保しつつ歯や歯肉への付着性を高める観点、及び良好な使用感の観点から、1000以下であって、好ましくは300以下であり、より好ましくは180以下である。また、成分(C)と成分(B)の質量比((C)/(B))は、10〜1000であって、好ましくは11〜300であり、より好ましくは12〜180である。
【0028】
本発明の歯磨組成物は、水(D)を8質量%以上25質量%以下含有する。これにより、組成物中における各成分の溶解性又は分散性を良好に保持しつつ、成分(A−1)の少なくとも一部を粉末状又は粒状のまま未溶解状態で存在させて組成物に構造粘性を付与することができ、歯や歯肉に対する優れた付着性と、次第に発現する良好な口溶け性とを兼ね備えることができる。
【0029】
成分(D)の含有量は、良好な口溶け性を確保する観点から、本発明の歯磨組成物中に8質量%以上であって、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは11質量%以上である。成分(D)の含有量は、歯や歯肉に対する優れた付着性を確保する観点から、本発明の歯磨組成物中に25質量%以下であって、好ましくは22質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下である。また、成分(D)の含有量は、本発明の歯磨組成物中に8〜25質量%であって、好ましくは10〜22質量%であり、より好ましくは11〜20質量%である。なお、成分(D)の含有量は、配合した水分量及び配合した成分中の水分量から計算によって算出することもできるが、例えばカールフィッシャー水分計で測定することができる。カールフィッシャー水分計としては、例えば、微量水分測定装置(平沼産業)を用いることができる。この装置では、歯磨組成物を5gとり、無水メタノール25gに懸濁させ、この懸濁液0.02gを分取して水分量を成分(D)の含有量として測定することができる。
【0030】
本発明の歯磨組成物において、成分(C)と成分(D)の質量比((C)/(D))は、0.3以上1.0以下である。これにより、組成物中における各成分の溶解性又は分散性のほか、保存安定性をも良好に保持しつつ、適度な粘度を付与して歯や歯肉に対する優れた付着性と良好な口溶け性とを両立させることができる。成分(C)と成分(D)の質量比((C)/(D))は、歯や歯肉に対する優れた付着性を確保する観点から、0.3以上であって、好ましくは0.32以上である。成分(C)と成分(D)の質量比((C)/(D))は、良好な口溶け性を確保する観点から、1.0以下であって、好ましくは0.9以下であり、より好ましくは0.8以下である。また、成分(C)と成分(D)の質量比((C)/(D))は、0.3〜1.0であって、好ましくは0.32〜0.9であり、より好ましくは0.32〜0.8である。
【0031】
成分(A−1)と成分(D)の質量比((A−1)/(D))は、成分(A−1)の少なくとも一部を粉末状又は粒状のまま未溶解状態で存在させて組成物に構造粘性を有効に付与する観点から、好ましくは1.5以上であり、より好ましくは1.8以上であり、さらに好ましくは2以上である。成分(A−1)と成分(D)の質量比((A−1)/(D))は、組成物の粘度が必要以上に上昇して口溶け性が低下するのを有効に抑制する観点から、好ましくは7以下であり、より好ましくは5以下であり、さらに好ましくは4以下である。また、成分(A−1)と成分(D)の質量比((A−1)/(D))は、好ましくは1.5以上であり、好ましくは1.5〜7であり、より好ましくは1.5〜5であり、さらに好ましくは1.8〜5であり、またさらに好ましくは2〜4である。
【0032】
本発明の歯磨組成物は、さらに研磨剤を含有してもよい。かかる研磨剤を含有する場合、その含有量は、良好な口溶性を確保する観点と、必要以上に構造粘性が付与されることを防止する観点から、本発明の歯磨組成物中に、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは8質量%以下であり、より好ましくは6質量%以下である。研磨剤の含有量は、歯磨組成物に良好な清掃感をもたらす観点から、本発明の歯磨組成物中に、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上である。
【0033】
研磨剤としては、成分(C)の増粘性シリカ以外の、吸油量50〜150mL/100g、好ましくは75〜125ml/100gである、含水シリカ、無水シリカ、シリカゲル、アルミノシリケート及びジルコノシリケート等の研磨性シリカのほか、第2リン酸カルシウム・2水和物及び無水和物、ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、酢酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム、ゼオライト、さらに合成樹脂系研磨剤等が挙げられる。
【0034】
本発明の歯磨組成物は、成分(A−2)の糖アルコールによる効果を補強して良好な付着性を確保する観点、及び成分(A-1)の安定性の観点から、さらにグリセリンを含有してもよい。グリセリンを含有する場合、成分(A−2)の糖アルコールとグリセリンの合計含有量は、成分(A−2)の糖アルコールによる効果を十分に補強する観点から、本発明の歯磨組成物中に、好ましくは8質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上であり、さらに好ましくは12質量%以上である。成分(A−2)の糖アルコールとグリセリンの合計含有量は、良好な味等を保持する観点から、本発明の歯磨組成物中に、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは35質量%以下であり、さらに好ましくは30質量%以下である。また、成分(A−2)の糖アルコールとグリセリンの合計含有量は、好ましくは8〜40質量%であり、より好ましくは10〜35質量%であり、さらに好ましくは12〜30質量%である。
【0035】
本発明の歯磨組成物は、良好な口溶け性及び使用感の向上の観点及び製造性の観点から、さらにプロピレングリコールを含有してもよい。プロピレングリコールを含有する場合、かかるプロピレングリコールの含有量は、良好な口溶け性の向上の観点から、本発明の歯磨組成物中に、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上であり、さらに好ましくは2質量%以上である。プロピレングリコールの含有量は、苦みを抑制する観点及び歯や歯肉に対する付着性が低下するのを抑制する観点から、本発明の歯磨組成物中に、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは8質量%以下であり、さらに好ましくは7質量%以下である。また、プロピレングリコールの含有量は、本発明の歯磨組成物中に、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは1〜8質量%であり、さらに好ましくは2〜7質量%である。
【0036】
本発明の歯磨組成物は、さらに油溶性薬効成分を含有することができる。これにより、本発明の歯磨組成物を適用して歯や歯肉に付着している間、これら歯や歯肉に薬効成分を有効に放出及び作用させることができる。
【0037】
油溶性薬効成分としては、特に限定されないが、例えば、アズレン、グアイアズレン、酢酸dl−α−トコフェロールやニコチン酸トコフェロール等のトコフェロール、α-グリチルレチン酸、β-グリチルレチン酸、グリチルリチン酸、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、ヒノキチオール、ジヒドロコレステロール、及びジヒドロアビエチン酸等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。なかでも、付着する歯磨組成物から歯や歯肉へと効果的に薬効をもたらす観点から、トコフェロール、トリクロサン、β-グリチルレチン酸、及びイソプロピルメチルフェノールから選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
【0038】
油溶性薬効成分の含有量は、効果的に薬効を作用させる観点から、本発明の歯磨組成物中に、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.02質量%以上である。油溶性薬効成分の含有量は、適度な適用量の範囲や良好な味等を保持する観点から、本発明の歯磨組成物中に、好ましくは2質量%以下であり、より好ましくは1.5質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以下である。
【0039】
本発明の歯磨組成物は、さらに、本発明の効果を阻害しない範囲で、アニオン性界面活性剤やノニオン性界面活性剤等の界面活性剤;フッ化スズ、フッ化ナトリウム、フッ化アンモニウム等のフッ素イオン供給化合物やモノフルオロリン酸ナトリウム等のフッ化物;グリセリンやプロピレングリコール以外の湿潤剤;香料;pH調整剤;その他有効成分等を含有することができる。
【0040】
本発明の歯磨組成物は、25℃における円柱形状のロータを用いた回転粘度が4000dPa・s以上15000dPa・s以下である。このような粘度の値を有することにより、歯磨組成物を口腔内に適用した際、歯や歯肉から直ちに垂れ落ちることなく良好に付着することができる。上記の回転粘度は、歯磨組成物のように液体に比べて粘度の高い組成に用いられる円柱形状のロータを用い、円筒型回転粘度計により測定される値であり、例えば、B8H型粘度計(東機産業 TVB−10R)、ロータH7、回転速度2.5rpm、1分間の条件で測定することができる。上記のロータH7は、円柱形状であって、一円柱形状の一部の径が小さくなっている領域を備えており、液状やジェル状の組成を測定する円盤形状を備えるロータと形状が相違する。上記の円柱形状のロータを用いた回転粘度は、粘性や硬さ、伸びの程度等をも加味して測定される値であり、ヘリパス粘度に比して、歯磨組成物の歯や歯肉への付着性に則して評価する指標として適していると考えられる。
【0041】
本発明の歯磨組成物の25℃における円柱形状のロータを用いた回転粘度は、歯や歯肉に対する優れた付着性を保持する観点から、4000dPa・s以上であって、好ましくは4200dPa・s以上であり、より好ましくは4500dPa・s以上である。本発明の歯磨組成物の25℃における円柱形状のロータを用いた回転粘度は、唾液で希釈されるにつれ、すみやかに口溶けする観点から、15000dPa・s以下であって、好ましくは12000dPa・s以下であり、より好ましくは10000dPa・s以下であり、さらに好ましくは8000dPa・s以下である。また、本発明の歯磨組成物の25℃における円柱形状のロータを用いた回転粘度は、4000〜15000dPa・sであって、好ましくは4200〜12000であり、より好ましくは4200〜10000dPa・sであり、さらに好ましくは4500〜8000dPa・sである。なお、上記回転粘度は、歯磨組成物を粘度測定用の容器に詰め、25℃の恒温器で24時間保存した後、例えばB8H型粘度計(東機産業 TVB−10R)を用い、ロータH7、回転数2.5rpm、1分間の条件で測定することができる。
【0042】
本発明の歯磨組成物の25℃におけるヘリパス粘度は、歯や歯肉に対する優れた付着性を保持しつつ良好な保形性や使用感を付与する観点から、好ましくは2700dPa・s以上であり、より好ましくは3000dPa・s以上であり、さらに好ましくは3500dPa・s以上である。本発明の歯磨組成物の25℃におけるヘリパス粘度は、良好な口溶け性を保持する観点から、好ましくは8000dPa・s以下であり、より好ましくは6000dPa・s以下であり、さらに好ましくは5000dPa・s以下である。また、本発明の歯磨組成物の25℃におけるヘリパス粘度は、好ましくは2700dPa・s以上8000dPa・s以下であり、より好ましくは3000〜6000dPa・sであり、さらに好ましくは3500〜5000dPa・sである。
なお、かかるヘリパス粘度は、T字型スピンドルをロータに用いて測定された値であり、歯磨組成物を粘度測定用の容器に詰め、25℃の恒温器で24時間保存した後、ヘリパス型粘度計(東機産業 VISCOMETER TVB−10)を用いて、ロータC、回転数2.5rpm、1分間の条件で測定することができる。
【0043】
本発明の歯磨剤用キットは、上記歯磨組成物と歯磨用塗布具とを備える。かかる歯磨剤用キットを用いることにより、歯磨用塗布具に歯磨剤組成物を載置し、歯磨用塗布具を介して歯や歯肉に歯磨剤組成物を塗布することができる。すなわち、歯磨用塗布具は歯磨剤組成物を歯や歯肉に塗布する際の補助器具として機能するものであり、その材質としては、歯や歯肉に与える負荷を軽減し得る軟質樹脂又は発泡性樹脂が好ましい。かかる軟質樹脂又は発泡性樹脂としては、例えば、シリコンゴム、イソプレンゴム、フッ素ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチレンゴム、ウレタンゴム、ナイロンエラストマー、ポリウレタン等が挙げられる。
【0044】
また、歯磨用塗布具の形状としては、歯磨剤組成物を載置して歯や歯肉に塗布することができるものであれば特に限定されないが、例えば、図1(a)に示すような指サック形状を呈する塗布具1であってもよい。塗布具1は、本体部2及びブラシ部3から構成され、図1(b)に示すように指に装着して用いる。また、歯磨用塗布具の形状は、これに限らず、本体部は通常の歯ブラシのような形状を呈しつつ、図2(a)及び図2(b)に示すように、ブラシ部においては1本1本の毛又は突起が軟質樹脂で形成され、好ましくは緩やかに湾曲した突起部を形成するものや、畝状の凹凸部を形成されるものであってもよい。さらに、本体部は歯ブラシ又は指サック形状を呈しつつ、スポンジ状のような柔軟性を高めたものを配置したブラシ部を有するものであってもよい。このような歯磨剤用キットを用いることにより、本発明の歯磨剤組成物を歯や歯肉に負担をかけることなく、繰り返し塗布することが可能であり、例えば、マッサージ効果等の付加的効果をも期待することができる。これらの歯磨用塗布具の形状としては、指で直接塗る感覚を得ることができることから、図1(a)に示すような指サック形状の塗布具1がより好ましい。
【0045】
上述した実施態様に関し、本発明はさらに以下の歯磨組成物及び歯磨剤用キットを開示する。
[1](A)20℃における水に対する溶解度が40質量%未満の糖アルコール(A−1)、及び20℃における水に対する溶解度が40質量%以上の糖アルコール(A−2)からなる糖アルコール 合計で40質量%以上75質量%以下、
(B)粘結剤 0.01質量%以上0.6質量%以下、
(C)増粘性シリカ、並びに
(D)水 8質量%以上25質量%以下
を含有し、かつ成分(A−1)の含有量が20質量%以上60質量%以下であって、
成分(C)と成分(B)の質量比((C)/(B))が10以上1000以下であり、
成分(C)と成分(D)の質量比((C)/(D))が0.3以上1.0以下であり、
25℃における円柱形状のロータを用いた回転粘度が4000dPa・s以上15000dPa・s以下である歯磨組成物。
[2]成分(A−1)が、好ましくはエリスリトール、α−D−グルコピラノシル−1,6−ソルビトールとα−D−グルコピラノシル−1,6−マンニトールの混合物である還元パラチノース、マンニトール、並びにα−D−グルコピラノシル−1,6−ソルビトール又はα−D−グルコピラノシル−1,6−マンニトールであるグルコピラノシルソルビトールから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはエリスリトール及び還元パラチノースから選ばれる1種又は2種であり、さらに好ましくはエリスリトールである上記[1]の歯磨組成物。
[3]成分(A−2)が、好ましくはキリシトール、マルチトール、及びソルビトールから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはソルビトールである上記[1]又は[2]の歯磨組成物。
【0046】
[4]成分(A)の含有量は、成分(A−1)及び成分(A−2)の合計で好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは55質量%以上であり、好ましくは70質量%以下であり、より好ましくは65質量%以下である上記[1]〜[3]のいずれか1記載の歯磨組成物。
[5]成分(A−1)の含有量は、好ましくは25質量%以上であり、より好ましくは30質量%以上であり、好ましくは55質量%以下であり、より好ましくは50質量%以下であり、さらに好ましくは45質量%以下である上記[1]〜[4]のいずれか1記載の歯磨組成物。
[6]成分(B)が、好ましくはカルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、グアガム及びコンドロイチン硫酸ナトリウムから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはカルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガム及びカラギーナンから選ばれる1種又は2種以上である上記[1]〜[5]のいずれか1記載の歯磨組成物。
[7]成分(B)の含有量は、好ましくは0.03質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上であり、好ましくは0.55質量%以下である上記[1]〜[6]のいずれか1記載の歯磨組成物。
【0047】
[8]成分(C)の含有量は、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは5.5質量%以上であり、さらに好ましくは6質量%以上であり、好ましくは12質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下であり、さらに好ましくは9質量%以下である上記[1]〜[7]のいずれか1記載の歯磨組成物。
[9]成分(C)と成分(B)の質量比((C)/(B))は、好ましくは11以上であり、より好ましくは12以上であり、好ましくは300以下であり、より好ましくは180以下である上記[1]〜[8]のいずれか1記載の歯磨組成物。
[10]成分(D)の含有量は、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは11質量%以上であり、好ましくは22質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下である上記[1]〜[9]のいずれか1記載の歯磨組成物。
【0048】
[11]成分(C)と成分(D)の質量比((C)/(D))は、好ましくは0.32以上であり、好ましくは0.9以下であり、より好ましくは0.8以下である上記[1]〜[10]のいずれか1記載の歯磨組成物。
[12]成分(A−1)と成分(D)の質量比((A−1)/(D))は、好ましくは1.5以上であり、より好ましくは1.8以上であり、さらに好ましくは2以上であり、好ましくは7以下であり、より好ましくは5以下であり、さらに好ましくは4以下である上記[1]〜[11]のいずれか1記載の歯磨組成物。
【0049】
[13]さらに研磨剤を含有してもよく、その含有量は、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは8質量%以下であり、より好ましくは6質量%以下であり、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上である上記[1]〜[12]のいずれか1記載の歯磨組成物。
[14]さらにグリセリンを含有してもよく、成分(A−2)の糖アルコールとグリセリンの合計含有量は、好ましくは8質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上であり、さらに好ましくは12質量%以上であり、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは35質量%以下であり、さらに好ましくは30質量%以下である上記[1]〜[13]のいずれか1記載の歯磨組成物。
[15]さらにプロピレングリコールを含有してもよく、その含有量は、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上であり、さらに好ましくは2質量%以上であり、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは8質量%以下であり、さらに好ましくは7質量%以下である上記[1]〜[14]のいずれか1記載の歯磨組成物。
【0050】
[16]さらに油溶性薬効成分を含有してもよく、その含有量は、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.02質量%以上であり、好ましくは2質量%以下であり、より好ましくは1.5質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以下である上記[1]〜[15]のいずれか1記載の歯磨組成物。
[17]油溶性薬効成分が、好ましくはアズレン、グアイアズレン、酢酸dl−α−トコフェロールやニコチン酸トコフェロール等のトコフェロール、α-グリチルレチン酸、β-グリチルレチン酸、グリチルリチン酸、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、ヒノキチオール、ジヒドロコレステロール、及びジヒドロアビエチン酸等から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはトコフェロール、トリクロサン、β-グリチルレチン酸、及びイソプロピルメチルフェノールから選ばれる1種又は2種以上である上記[16]の歯磨組成物。
【0051】
[18]25℃における円柱形状のロータを用いた回転粘度は、好ましくは4200dPa・s以上であって、より好ましくは4500Pa・s以上であり、好ましくは12000dPa・s以下であり、より好ましくは10000dPa・s以下であり、さらに好ましくは8000dPa・s以下である上記[1]〜[17]のいずれか1記載の歯磨組成物。
[19]25℃におけるヘリパス粘度は、好ましくは2700dPa・s以上であり、より好ましくは3000dPa・s以上であり、さらに好ましくは3500dPa・s以上であり、好ましくは8000dPa・s以下であり、より好ましくは6000dPa・s以下であり、さらに好ましくは5000dPa・s以下である上記[1]〜[17]のいずれか1記載の歯磨組成物。
【0052】
[20]上記[1]〜[19]のいずれか1記載の歯磨剤組成物と、歯磨用塗布具とを備える歯磨剤キット。
【実施例】
【0053】
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明する。なお、表中に特に示さない限り、各成分の含有量は質量%を示す。
【0054】
[実施例1、比較例1〜2]
表1及び表2に示す処方にしたがい、各歯磨組成物を調製し、下記方法にしたがって、25℃における円柱型ロータを用いた回転粘度及びT字型スピンドルを用いたヘリパス粘度を測定し、下記基準にしたがって歯肉への付着性及び口溶け性を評価した。
【0055】
《B8H回転粘度》
歯磨組成物を調製直後から1日間放置した後、粘度測定用の容器に詰め、25℃の恒温器で24時間保存した後に、B8H型粘度計(東機産業 TVB−10R)を用い、ロータH7、回転速度2.5rpm、1分間の条件で測定した。
結果を表1に示す。
【0056】
《ヘリパス粘度》
得られた歯磨組成物を調製直後から1日間放置した後、粘度測定用の容器に詰め、25℃の恒温器で24時間保存した後、ヘリパス型粘度計(東機産業 VISCOMETER TVB−10)を用いて、ロータT−C、回転数2.5rpm、1分間の条件で測定した。
結果を表1に示す。
【0057】
《歯肉への付着性1》
試験板として、歯肉の柔らかさに類似するJIS K6253−3(2012年版)に基づく硬度が10、厚さ3mmのシリコンゴム(共和工業社製)を用いた。図3(a)に示すように、100mm×100mmに切り取った試験板の上面に、マジックで基準線を記載し、水平においた試験板の基準線の一方側に25mmの長さで得られた歯磨組成物1.5gを付着させた。その後、基準線が下になるように試験板を垂直に配置し、垂直に配置してから10分経過した時点(図3(b))、及び30分経過した時点(図3(c))における、基準線より下に歯磨組成物が滑り落ちた個所までの最長距離(mm)を測定した。測定結果を表1に示す。
なお、付着性1の測定は、室温(25℃)において行った。
【0058】
《歯肉への付着性2》
得られた歯磨組成物1gを人さし指にとり、上の歯ぐきに付けて、歯ぐき及び歯への付着性を3名の専門パネラーにより、下記基準にしたがって評価した。3名の協議による評価結果を表1に示す。
結果を表1に示す。
4:良好に付着する
3:付着する
2:あまり付着しない
1:すべってかたまりになって落ちる
【0059】
《口溶け性1》
図4(a)に示すように、得られた歯磨組成物1g程度を幅26mm×長さ60mm(厚さ1mm)のスライドガラスの一方の端部側の表面に、端部から長さ23mmまでの領域に塗布し(図3)、塗布後の質量を測定した。次に、歯磨組成物を塗布したスライドガラスを、100mlの精製水をいれた200mlビーカーに、塗布した領域の全体が精製水につかるように入れて、手でゆっくりスライドガラスの面に垂直な方向に振りながら3分間撹拌した後、スライドガラス上の歯磨組成物の残存量を測定した(図4(b)及び図4(c))。残存量の測定は、ビーカーから引きあげた後、約1分間スライドガラスを垂直状態に保ち、その後、歯磨組成物を塗布した領域以外の水をティッシュで吸い取り、スライドガラスごとその質量を測定し、精製水につける前の質量との差から残存する歯磨組成物の質量を計算した。表2に塗布した歯磨組成物に対する残存する歯磨組成物の質量割合を残存率(%)で示す。なお、口溶け性1の評価は室温(25℃)にて行った。
【0060】
《口溶け性2》
得られた歯磨組成物1.5gを歯及び歯肉に付着させ、歯ブラシ(花王 ディープクリーン レギュラー)によりブラッシングを行った。1分間経過した時点での口腔内における口溶け性について、3名の専門パネラーにより、下記基準にしたがって官能評価した。3名の協議による評価結果を表1及び表2に示す。
4:すみやかに分散して付着残りを感じない
3:分散して付着残りをあまり感じない
2:やや分散しにくく、やや付着残りを感じる
1:分散しにくく、付着残りがあり、べたつく
【0061】
《使用感》
得られた歯磨組成物1.5gを用い、歯及び歯肉に付着させ、歯ブラシ(花王 ディープクリーン レギュラー)を用いて1分間ブラッシングを行った際の使用感を3名の専門パネラーにより、下記基準に従って官能評価した。協議による評価結果を表に示す。
4:とても良い
3:良い
2:やや課題がある
1:非常に悪い
結果を表2に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
表1及び図3に示すように、モデルによる「歯肉への付着性1」の評価により、30分経過後も10分経過後とほとんどかわりなく、モデル歯肉からの落下が少ない実施例1は、実際の使用における「歯肉への付着性2」の評価においても、良好な付着性の評価が得られた。これに対して、「歯肉への付着性1」の評価により、10分経過後の落下距離の長い比較例1は、実際の使用における「歯肉への付着性2」の評価においても、付着性に欠ける評価が得られた。
【0065】
表2及び図4に示すように、水の中での分散性を評価する「口溶け性1」の評価において、3分経過後には水中に分散し残存の少ない実施例1、2、3は、実際の使用における「口溶け性2」の評価においても分散性が認められた。これに対して「口溶け性1」の評価において、3分経過後も約半分の組成物が残存している比較例2、4は、実際の使用における「口溶け性2」の評価においても分散性に劣り、歯又は歯肉に付着残りを感じる評価であった。
【0066】
[実施例2〜8、比較例3〜4]
表3に示す処方にしたがい、各歯磨組成物を調製し、実施例1と同様にして、25℃におけるB8H回転粘度及びヘリパス粘度を測定し、歯肉への付着性2、口溶け性2、及び使用感を評価した。
結果を表3に示す。
【0067】
【表3】
【0068】
表1〜3の結果より、本発明の歯磨組成物は、歯や歯肉に対する付着性に優れるとともに、良好な口溶け性をも兼ね備えるものであることがわかる。
図1
図2
図3
図4