(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234076
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】接合構造体及びこれを用いた半導体製造装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20171113BHJP
H02N 13/00 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H02N13/00 D
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-127026(P2013-127026)
(22)【出願日】2013年6月17日
(65)【公開番号】特開2015-2300(P2015-2300A)
(43)【公開日】2015年1月5日
【審査請求日】2016年6月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】591149089
【氏名又は名称】株式会社MARUWA
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕
(72)【発明者】
【氏名】豊福 和久
【審査官】
梶尾 誠哉
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−168724(JP,A)
【文献】
特開2003−59628(JP,A)
【文献】
特開2007−123601(JP,A)
【文献】
特開2012−216786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H02N 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のセラミック基材(1)と
その底部に順次接触させながら積層又は埋設させた電極(2)及び金属部材(3)と
前記セラミック基材の上面から前記金属部材に到達する端子穴(4)と
前記セラミック基材の上方から前記端子穴(4)を通して前記金属部材(3)に突き合わせる給電端子(5)と
からなる接合構造体において、
前記給電端子の下端に形成した拡径部のエッジ部(6a)と前記金属部材に凹設された給電端子用嵌合凹部とを嵌合させ、前記エッジ部(6a)と前記給電端子用嵌合凹部の角部(4b)とを略面一にし、前記エッジ部(6a)と前記給電端子用嵌合凹部の角部(4b)との接合部位を、前記端子穴の壁面と前記給電端子の軸部外周との略中間になるように配置し、前記接合部位を電子ビーム溶接、レーザー溶接、アーク溶接、ガス溶接、プラズマフレーム溶接から選択される1つの溶接方法によって接合したことを特徴とする接合構造体。
【請求項2】
前記セラミック基材と前記給電端子及び前記セラミック基材と前記金属部材との熱膨張係数差Δαがそれぞれ3.2(10−6/K)以下であることを特徴とする請求項1記載の接合構造体。
【請求項3】
前記金属部材は、融点が1800℃以上の高融点金属である請求項2記載の接合構造体。
【請求項4】
前記セラミック基材が窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素から選ばれる請求項1に記載の接合構造体。
【請求項5】
静電チャックが請求項1〜4のいずれか1項に記載の接合構造体から構成されている半導体製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は接合構造及びこれを用いた半導体製造装置、さらに詳しくは、セラミックス基体に埋設された埋設電極に電力を供給する給電端子を接合する接合構造体及びこの接合構造体を静電チャックまたはヒーターとして使用する半導体製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、CVD、スパッタ、エッチング用の半導体製造装置に使用されるヒーター付サセプタ、プラズマ電極付サセプタ、静電チャックなどには耐プラズマ性を有する材料が求められ、特に酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックスが用いられている。
【0003】
前記半導体製造装置の静電チャックまたはヒーターとして使用されている接合構造体の内部にはチャック用の電極や発熱体(抵抗体)と、これらに電気的に接続される金属部材が埋設されており、セラミックスと一体焼結される。さらに、前記電極や発熱体(抵抗体)に給電するため、金属部材に対して給電用の端子の接合が施されている。
【0004】
従来、この接合は、埋設されている金属部材を穴加工等により露出させ、その露出部に対して、給電端子をろう付けすることにより行われることが多い。
【0005】
例えば、特許文献1では、給電端子と金属部材とを同じ熱膨張係数の金属にし、ろう付けすることによって、熱による応力差をなくして、セラミックス部材への応力を緩和する技術が開示されている。
【0006】
しかしながら、ろう付けによる接合方法には、接合温度から室温まで冷却する過程で金属部材と給電端子の熱膨張係数差による残留応力が原因でセラミックスやその接合部分にクラックが発生する可能性があった。これは金属部材と給電端子を同一材料にしたとしても、その界面にはろう材が存在するため、熱膨張係数差を完全にはなくすことはできていなかった。
【0007】
また、ろう付け以外の接合方法として、接合時の残留応力を減らす目的でビーム溶接を用いる発明が公知である(特許文献2)。前記発明では板状の金属塊と円柱状の給電端子を用いており、その金属塊の深さ方向の溶け込みと給電端子の外周部の溶け込み深さのバランスをとるため、ビームの入射角を所定範囲にするようにしている。さらにセラミックスへの端子孔もビームが接触しないようにテーパー角度を設けて加工している。
【0008】
しかしながら、前記発明のように端子孔をテーパー状に加工することは、ストレートに加工することに比較して手間がかかり、加工の際により一層セラミックにクラックや破損が生じる恐れがあった。
【0009】
さらに、ヒーターとしての用途を考えた場合、この部材は室温から400℃以上の高温に加熱され、その後再び室温まで冷却されるような条件で使用されるため、接合部に熱膨張係数が大きく異なる材質が使用されていると、熱膨張差による疲労が蓄積され、接合部分の信頼性に欠けるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−188394号公報
【特許文献2】特開2012−49185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の課題は、接合強度が高く、熱サイクルに曝される場合でも給電端子の接合信頼性が高いセラミックス部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、前記課題を解決するために、
板状のセラミック基材と、その底部に順次接触しながら埋設されている電極及び金属部材と、
前記セラミック基材の上面から金属部材に到達する端子穴と、
前記セラミック基材の上方から前記端子穴を通して前記金属部材に突き合わせる給電端子と
からなる接合構造体において、
前記給電端子の下端に形成した拡径部のエッジ部と前記金属部材とを接合した接合構造体を採用し、接合部分の表面積を大きくすることによって、接合強度を大きくすることができる。
【0013】
さらに、熱サイクル下におけるクラック発生を低減するため、前記給電端子と前記金属部材とを熱膨張係数が同程度の金属を採用し、好ましくはその金属をMoとする接合構造体を採用する。給電端子はコバール(FeNiCo系合金)としても良い。
【0014】
また、前記給電端子を前記金属部材に凹設された給電端子嵌合用凹部に嵌合させた接合構造体とすることによって、給電端子の位置決めをしやすくする。
【0015】
前記した接合構造体において、前記給電端子と前記金属部材とを接合するとき、電子ビーム溶接、レーザー溶接、アーク溶接、ガス溶接、プラズマフレーム溶接から選択される1つの溶接方法によって溶接することによって、接合面にろう材などの異種材料が存在しないため、熱膨張係数差によるクラックをより一層発生しにくくすることができる。
【0016】
また、一般的にビーム溶接(電子ビーム溶接、レーザー溶接)は、エネルギー密度が高いため、局所溶接が容易であり、少ない入熱量で接合が可能であるため、溶接熱の発生が少なく脆性劣化などが発生しにくいという利点がある。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、熱サイクル下において、熱膨張係数差によるクラックが発生しにくい接合構造体を創出することができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る接合構造体をホットプレス機で製造するときの断面図である。
【
図3】本発明に係る接合構造体をホットプレス機で製造するときの別の断面図である。
【
図4】セラミック基材に端子穴を形成した断面図である。
【
図5】セラミック基材に端子穴を形成した別の断面図である。
【
図6】給電端子を給電端子用凹部に嵌合するときの断面図である。
【
図7】本発明に係る第1実施形態の給電端子接合方法を示した断面図である。
【
図10】給電端子の端部を拡径しないで金属部材に突き合わせて電子ビーム溶接したときの部分断面図である。
【
図11】給電端子の端部を拡径して金属部材に嵌合して電子ビーム溶接したときの部分断面図である。
【
図12】本発明に係る第2実施形態の給電端子接合方法を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の接合構造体の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状寸法を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。
【0020】
(第1実施形態)
本発明の好ましい実施形態である接合構造体の製造方法として、まず、セラミック基材に電極及び金属部材を埋設する工程について説明する(第1工程)。電極2及び金属部材3の製造方法は特に限定されないが、ここでは、電極2及び金属部材3を別々に作成する方法で説明する。
【0021】
セラミック基材の材質として、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、好ましくは、窒化アルミニウムが使用される。なお、焼結性や機能特性向上のため、適宜添加物を加えてもよい。
【0022】
図1に示すように、まず電極2が片面に印刷されたセラミック基板1aを用意し、それをホットプレス加工機の下型P2上に電極2を上向きにして載置する。電極2には、セラミック基材上に印刷されたものの他に、パンチングメタル、金属メッシュ、金属コイルなどを利用することができ、その材質には、セラミックと一体焼成されることを考慮して、融点が1800℃以上の高融点金属を採用する。具体的にはW、Mo、Nbなどから1つ以上選択される金属、合金、炭化物又は珪化物を採用する。セラミック基材が窒化アルミニウムの場合は、熱膨張係数が近いため、W又はMoが好ましい。
【0023】
次に、電極2の上から、融点が1800℃以上の高融点金属の金属部材3、好ましくは、Moを原料とした板状の金属部材3を電極2と接触するように載置する。金属部材3の幅t4は、任意に設定できる。電極2及び金属部材3に高融点金属を採用するのは、第一に、後述する加圧焼結工程で、電極2及び金属部材3が溶融せずに形状を維持できるようにするためと、第二に、高融点金属とセラミックスはともに熱膨張係数が小さく、熱膨張係数差は、3.2×10
−6以下で小さいため、熱サイクル下においても熱膨張係数差によってセラミック基材1にクラックが生じにくいためである。
【0024】
ここで、熱膨張係数差によってセラミック基材1にクラックが発生しやすくなるメカニズムについて説明する。セラミックスは、金属のように塑性変形しにくいため、熱応力で変形することなく、クラックが発生して破壊されやすい。つまり、熱膨張係数が極端に異なるもの同士を接合させると、その熱膨張の差によって、セラミックスにクラックが発生しやすくなる。したがって、セラミックスと同程度の熱膨張係数を有する高融点金属を電極2及び金属部材3に使用すると、熱膨張係数差が小さくなり、クラックは発生しにくい。
【0025】
ここで、表1にMo,W,コバール(FeNiCo系合金)、Ti,Niの熱膨張係数と窒化アルミニウムの熱膨張係数との熱膨張係数差を示す。熱膨張係数は、室温から設定温度(700℃)までの伸びを測定して計算したものである。設定温度は、窒化アルミニウムが半導体製造プロセスで用いられるフッ素系ガスに対する耐食性が限界になる温度であり、窒化アルミニウムは、700℃以下の使用が適している。熱膨張係数差(Δα)は、絶対値で窒化アルミニウムの熱膨張係数に対してどれだけあるかを示している。熱膨張係数差が小さいほどクラックは発生しにくい。
【0027】
さらにその上面にセラミック粉末1bをホットプレス加工機の中に入れる。添加物がある場合にはあらかじめ混合しておいてもよいし、スプレードライ法により顆粒粉末にすると流動性が向上するため好ましい。
【0028】
そして、ホットプレス加工機上型P1と下型P2とで前記したセラミック基板1a、セラミック粉末1b、電極2及び金属部材3を、予備プレスし、1800℃、100kg/cm2でホットプレス焼成し、
図2に示すように、電極2及び金属部材3がセラミック基材1の中に埋め込まれて一体化した接合構造体前駆体1cを形成する。
【0029】
第1工程において、セラミック基材1は、セラミック粉末1bのみから形成することもできる。つまり、
図3に示すように、まずプレス加工機P2上にセラミック粉末1bを載置し、次に、電極2を載置する。そして、その電極2の上から、融点が1800℃以上の高融点金属、好ましくはMoを原料とした金属部材3を電極に接触するように載置し、さらにその上面に、前記したセラミック粉末(混合粉末)をホットプレス加工機の中に入れ、1800℃、100kg/cm2でホットプレスしてもよい。
【0030】
さらに、先にも述べたように、電極2及び金属部材3の製造方法は、特に限定されず、電極2及び金属部材3を始めから一体的に形成した後に、セラミック粉末1bに埋め込んでホットプレス焼成もよい。また、電極2及び金属部材3を別々に形成した後に、それらを溶接、かしめ等で一体化してセラミック粉末に埋め込んでホットプレス焼成してもよい。
【0031】
次に、
図4に示すように、金属部材3が露出するまで、底面に対して垂直方向にセラミック基材1をダイヤモンド工具によって切削して端子穴4を形成する(第2工程)。金属部材3が露出するまで接合構造体前駆体1cを幅t1(3〜10mm)の範囲で切削し、端子穴4を形成する。
【0032】
ここで、端子穴4の幅t1は、金属部材の幅t4より小さくても、大きくても、さらには等しくてもよい。端子穴4の幅t1を金属部材3の幅t4より小さくすることによって、金属部材3に大きな応力がかかっても、端子穴4が小さいため、セラミック基材1に金属部材3が挟まれて端子穴4から抜け落ちなくなる。一方、
図5に示すように端子穴4の幅t1を金属部材3の幅t4より大きくする又は等しくすることによって、金属部材3及びセラミック基材1の間に生じる熱膨張係数差によるクラックは生じにくくなる。
【0033】
そして、
図6に示すように、後述する給電端子5が嵌合する給電端子嵌合用凹部4aを端子穴4の幅t1より小さい幅t2(3〜10mm)になるよう切削する(第3工程)。この給電端子嵌合用凹部4aを形成することによって、後述する給電端子5を位置決めすることができるとともに、t1より小さい幅のt2で給電端子嵌合用凹部4aを切削し、t2よりさらに小さい幅の給電端子5を嵌合することによって、セラミック基材1をテーパーに切削しなくても、金属部材3と給電端子5との間に十分な隙間t3(1〜3mm)を形成できるため、後述する工程において、セラミック基材1と給電端子5とを容易に溶着することができる。
【0034】
次に、
図7、
図8に示すように、給電端子用嵌合凹部4aに給電端子5を嵌合し、電子ビーム溶接、レーザー溶接、アーク溶接、ガス溶接、プラズマフレーム溶接から選択される1つの溶接方法又はろう付けによる接合によって、金属部材3と給電端子5のエッジ部6aとを溶着する(第4工程)。なお、以後電子ビーム溶接で溶着した場合で説明する。
【0035】
給電端子5は、
図9に示すように、下端がもう一方の端部より拡径した拡径部6を有する。給電端子5の下端を拡径することによって、端子穴4と給電端子5との間隔をt3(1〜3mm)に大きくすることができ、従来のように溶接する角度等を考慮しなくても、拡径部6のエッジ部6a及び金属部材3に真上(矢印Z方向)から容易に電子ビームを当てて給電端子5を溶着できるようになる。金属部材3と接合されない側の端部は、外部給電導体とねじ止め、溶接等などにより結合される。外部給電導体は金属部材3と給電端子5とを溶接した後に接合しても良いし、これらの接合前に予め接合しておいてもよい。
【0036】
次に、給電端子5を給電端子嵌合用凹部4aに嵌合して、端子穴4内で給電端子5を立たせて位置決めをする。
すると、拡径部6のエッジ部6aと給電端子嵌合用凹部4aの角部との接合部位は、端子穴4の壁面と給電端子5の軸部外周との略中間となる。このように、給電端子5に拡径部を設けることによって、拡径部6自体が給電端子5の土台になり、給電端子5を端子穴4内で垂直に安定して立たせて溶接できるため、溶接しやすい。なお、図示した給電端子5は、例として円柱形状としたが、円柱形状に限らず、四角柱、三角柱などの多角柱形状でもよい。
【0037】
ここで、従来の電子ビーム溶接と、本発明による電子ビーム溶接とでは、溶着面積にどれだけ違いがあるか、図面で比較する。
図10に示すように、従来の電子ビーム溶接では、給電端子5及び金属部材3の接触部分に向かって斜め方向(矢印X1方向)に電子ビームを当てるだけなので、溶接面Y1が給電端子5の側面と金属部材3の上面の2面だけである。
【0038】
これに対し、
図11に示すように、本発明による電子ビーム溶接では、
略面一となっている給電端子5のエッジ部6a及び給電端子嵌合用凹部4aの角部4b付近に、垂直方向(矢印X2方向)に電子ビームを当てるので、溶接面Y2が4面存在する(金属部材3の上面、給電端子嵌合用凹部4aの側面、拡径部6の上面及びエッジ部6aの側面)。したがって、当然に従来の電子ビーム溶接より金属溶融量が大きくなるため、接合強度を大きくすることができる。また、垂直であると斜め方向からの場合に比べて、狙いがつけやすいため溶接不良の発生を防ぎ再現性良く溶接することができる。
【0039】
さらに、金属部材3と給電端子5とを熱膨張係数が同程度の金属で形成すれば、熱サイクル下においても熱膨張係数差で生ずる金属疲労が起こりにくく、溶着部分のクラックが発生しにくい。また、好ましくは、金属部材3と給電端子5にMoを採用すると、セラミックとMoの熱膨張係数が同程度であり、金属部材3又は給電端子5と、セラミック基材1とに熱膨張係数差が生じにくく、セラミック基材1にクラックが発生しにくいため、給電端子5の接合強度をさらに大きくすることができる。
【0040】
熱膨張係数差による接合構造体のクラック発生防止のために、他の溶着方法として、金属部材3と給電端子5とをろう付けしてもよい。端部が拡径した給電端子5を用いることによって、金属部材3及び給電端子5をろう付けしたとき、給電端子5の拡径部にろうを塗布することができるため、拡径していない給電端子を用いるよりも接合強度を大きくすることができ、クラック発生防止に効果的である。
【0041】
(第2実施形態)
次に、本発明の別の実施形態である接合構造体の製造方法について説明する。第2実施形態では、前記した第1実施形態の給電端子嵌合用凹部4aを形成する第3工程を必要としない。つまり、給電端子5を端子穴4の中央付近に挿入し、金属部材3上に載置させて、
図12に示すように給電端子5のエッジ部6aの上面から溶接する。
【0042】
このように、エッジ部6aの上面から溶接したとしても、拡径部6の厚みt5は、0.3〜0.5mmで薄く形成されているため、溶接方法によらず、十分に金属部材3まで溶融させることができ、
図13に示すように、給電端子5を溶着させることができる。この場合も、従来の溶接方法よりも金属溶融量が大きくなるため、金属部材3に給電端子5を強度よく溶着させることができる。
【0043】
(第3実施形態)
第1、第2実施形態では、給電端子5の下端を拡径することによって、本発明の課題を解決してきたが、給電端子5及び金属部材3を、融点が1800℃以上の同種の高融点金属、好ましくはMoを用いて溶接接合すれば、給電端子5の下端を拡径することなく、給電端子5の端部外周を溶接するだけで、課題を解決できる。この場合の溶接とは、電子ビーム溶接、レーザー溶接、アーク溶接、ガス溶接、プラズマフレーム溶接から選択されるいずれか一つの溶接方法を意味する。
【0044】
このように、給電端子5及び金属部材3に、接合構造体と同程度の熱膨張係数である高融点金属、つまりセラミックとの熱膨張係数差が3.2×10
−6以下の高融点金属で、好ましくはMoを用いることによって、接合構造体成形時又は使用時に、セラミック基材1と給電端子5又は金属部材3との熱膨張係数差によって生じる接合構造体のクラックを防ぐことができる。
【0045】
また、給電端子5及び金属部材3を同種の高融点金属で溶接接合すると、給電端子5と金属部材3の接合界面に異種材料が含まれないため、熱サイクル下においても給電端子5と金属部材3との熱膨張係数差がなく、接合部分のクラック発生を防止できる。ただし、給電端子5の下端を拡径していないので、第1、第2実施形態より接合強度は小さくなる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、半導体製造装置用静電チャック、ヒーターなどに使用される接合構造体に広く利用できる。
【符号の説明】
【0047】
1:セラミック基材、1a:セラミック基板、1b:セラミック粉末、2:電極、3:金属部材、4:端子穴、4a:給電端子嵌合用凹部、4b:角部、5:給電端子、6:拡径部、6a:エッジ部。