特許第6234211号(P6234211)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234211
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】分散装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/12 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
   A47J37/12 371
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-262033(P2013-262033)
(22)【出願日】2013年12月19日
(65)【公開番号】特開2015-116354(P2015-116354A)
(43)【公開日】2015年6月25日
【審査請求日】2016年10月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】591105801
【氏名又は名称】丸大食品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 惠一
(72)【発明者】
【氏名】居出 学
(72)【発明者】
【氏名】津川 智
【審査官】 西田 侑以
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭53−069483(JP,U)
【文献】 国際公開第2009/031212(WO,A1)
【文献】 特開昭51−104766(JP,A)
【文献】 実開昭52−121073(JP,U)
【文献】 特開昭48−78662(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/12
A21C 5/00
B65G 47/00−47/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトコンベアに揚げ物材料を分散して配置する分散装置であって、
揚げ物材料が投入されるホッパと、
前記ベルトコンベアの幅方向に間隔をあけて並ぶ複数のノズルを備えた配管ユニットと、
前記ホッパ内の揚げ物材料を、前記配管ユニットに圧送して、前記複数のノズルから吐出させるポンプとを有し、
前記配管ユニットは、前記ポンプに接続される管路を最上層として、上層の各分岐路から下層の管路が二股に分岐する階層構造を有し、各階層の管路における上流端の径は、下層の管路ほど小さく、
前記複数のノズルは、最下層の管路の下流端に構成されるものであって、それぞれ揚げ物材料の一つのみを通過可能な径を有する分散装置。
【請求項2】
前記配管ユニットは、側面視において、直線状に延びる請求項1に記載の分散装置。
【請求項3】
前記配管ユニットは、側面視において、前記ノズルの位置が最も高くなるように傾斜する請求項1又は2に記載の分散装置。
【請求項4】
前記最上層の管路は、前記ポンプから圧送される前記揚げ物材料が主管部に流入する第1のT字管と、該第1のT字管の一方の枝管部に第1のフェルールを介して接続される第1の枝管と、前記第一T字管の他方の枝管部に第2のフェルールを介して接続される第2の枝管とを備え、前記第1のフェルール及び前記第2のフェルールによる角度調整で、それぞれ前記第1の枝管及び前記第2の枝管が上向きとされることで、前記配管ユニットは、前記ノズルの位置が最も高くなるように傾斜する請求項3に記載の分散装置。
【請求項5】
前記最上層以外の管路は、前記上層の管路を通過した前記揚げ物材料が主管部に流入する第2のT字管と、該第2のT字管の一方の枝管部に溶接で接続される第3の枝管と、該第2のT字管の他方の枝管部に溶接で接続される第4の枝管とを備える請求項4に記載の分散装置。
【請求項6】
前記配管ユニットは、直線形状部において第3のフェルールによる管体の接続が行われる階層を有する請求項1乃至5のいずれかに記載の分散装置。
【請求項7】
前記配管ユニットは、下流側になるにつれて縮径する第5の枝管が設けられた階層を有し、該第5の枝管が設けられた階層では、前記第5の枝管の下流端が、下層の管路に接続される請求項1乃至6のいずれかに記載の分散装置。
【請求項8】
前記配管ユニットは、U字状に分岐する階層を有する請求項1乃至7のいずれかに記載の分散装置。
【請求項9】
前記最下層の管路では、前記ベルトコンベアの幅方向に隣り合う2つのノズルの間隔が同一となるように、前記複数のノズルの位置が調整される請求項1乃至8のいずれかに記載の分散装置。
【請求項10】
前記最下層の管路は、前記ノズル側になるにつれて相互に接近するように傾斜した二股状を呈する請求項9に記載の分散装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトコンベア上に揚げ物材料を分散して配置する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鶏肉の唐揚げ製品を製造する工場では、ベルトコンベアを使用して、バッター液を貯留する容器や、加熱された油を貯留するフライヤまで、鶏肉を搬送することが行なわれている。そして唐揚げ製品の形状を安定させるために、ベルトコンベアの周囲に立った作業者が、ベルトコンベア上の鶏肉を、一つずつ分散する作業を行なっている。
【0003】
特許文献1には、鶏肉を一つずつフライヤに投入させる装置が開示されている。特許文献1の装置は、鶏肉をフライヤまで搬送するコンベアを備える。コンベアには、ポットが設けられており、バッター液に浸けられた鶏肉が一つずつ各ポッドに投入される。そして、コンベアによる移動でポッドがフライヤの直上に到達したときに、ポッドが回転することで、ポッド内の鶏肉がフライヤに投入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−95590公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ベルトコンベア上の鶏肉を作業者が分散する場合には、作業者に負担を要する。また、疲労等で作業者による分散作業が確実に行なわれない場合には、複数個の鶏肉が、塊状態のままで、ベルトコンベアで搬送されて、上記の容器やフライヤに投入される恐れがある。この場合、複数個の鶏肉が、塊状態のままで、フライヤの油で揚げられて、不良品が発生する。
【0006】
また、特許文献1に開示される装置は、鶏肉をカップに投入する作業を人手で行なう必要がある。このため、特許文献1に開示される装置は、鶏肉の分散作業を機械化したものではなく、鶏肉を分散するために、作業者に負担を要する。
【0007】
本発明は、上記事項に鑑みてなされたものであって、その目的は、人手を要することなく、揚げ物材料を一つずつ分散してベルトコンベアに配置可能な装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の観点に係る分散装置は、ベルトコンベアに揚げ物材料を分散して配置する分散装置であって、揚げ物材料が投入されるホッパと、前記ベルトコンベアの幅方向に間隔をあけて並ぶ複数のノズルを備えた配管ユニットと、前記ホッパ内の揚げ物材料を、前記配管ユニットに圧送して、前記複数のノズルから吐出させるポンプとを有し、前記配管ユニットは、前記ポンプに接続される管路を最上層として、上層の各分岐路から下層の管路が二股に分岐する階層構造を有し、各階層の管路における上流端の径は、下層の管路ほど小さく、前記複数のノズルは、最下層の管路の下流端に構成されるものであって、それぞれ揚げ物材料の一つのみを通過可能な径を有する。
【0009】
好ましくは、前記配管ユニットは、側面視において、直線状に延びる。
【0010】
好ましくは、前記配管ユニットは、側面視において、前記ノズルの位置が最も高くなるように傾斜する。
【0011】
好ましくは、前記最上層の管路は、前記ポンプから圧送される前記揚げ物材料が主管部に流入する第1のT字管と、該第1のT字管の一方の枝管部に第1のフェルールを介して接続される第1の枝管と、前記第一T字管の他方の枝管部に第2のフェルールを介して接続される第2の枝管とを備え、前記第1のフェルール及び前記第2のフェルールによる角度調整で、それぞれ前記第1の枝管及び前記第2の枝管が上向きとされることで、前記配管ユニットは、前記ノズルの位置が最も高くなるように傾斜する。
【0012】
好ましくは、前記最上層以外の管路は、前記上層の管路を通過した前記揚げ物材料が主管部に流入する第2のT字管と、該第2のT字管の一方の枝管部に溶接で接続される第3の枝管と、該第2のT字管の他方の枝管部に溶接で接続される第4の枝管とを備える。
【0013】
好ましくは、前記配管ユニットは、直線形状部において第3のフェルールによる管体の接続が行われる階層を有する。
【0014】
好ましくは、前記配管ユニットは、下流側になるにつれて縮径する第5の枝管が設けられた階層を有し、該第5の枝管が設けられた階層では、前記第5の枝管の下流端が、下層の管路に接続される。
【0015】
好ましくは、前記配管ユニットは、U字状に分岐する階層を有する。
【0016】
好ましくは、前記最下層の管路では、前記ベルトコンベアの幅方向に隣り合う2つのノズルの間隔が同一となるように、前記複数のノズルの位置が調整される。
【0017】
好ましくは、前記最下層の管路は、前記ノズル側になるにつれて相互に接近するように傾斜した二股状を呈する。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る分散装置によれば、ポンプを駆動させることで、配管ユニットの各ノズルから鶏肉が一つずつ吐出されて、ベルトコンベア上に配置される。したがって、人手を要することなく、揚げ物材料を一つずつ分散して、ベルトコンベアに配置可能である。
【0019】
また、ベルトコンベアで搬送される揚げ物材料を、バッター液を貯留する容器に投入させることで、該容器に揚げ物材料を一つずつ供給する作業を、機械化できる。このため、唐揚げ製品の生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る分散装置を備える唐揚げ製品の製造システムを示す平面図である。
図2】本発明の実施形態に係る分散装置を備える唐揚げ製品の製造システムを示す側面図である。
図3】配管ユニットを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に係る分散装置1を、図1図3を参照して説明する。本実施形態に係る分散装置1は、揚げ物材料を分散してベルトコンベア2に配置するものである。以下では、分散装置1を使用して、揚げ物材料としての鶏肉を分散させる例を説明する。
【0022】
分散装置1やベルトコンベア2は、鶏肉の唐揚げ製品を製造するシステムの一部を構成する。該システムは、分散装置1やベルトコンベア2に加えて、投入機3や、バッター液を貯留する容器(図示せず)や、加熱された油を貯留するフライヤ(図示せず)を備える。
【0023】
投入機3は、軸部材3aを軸として回転可能なバケット3bを備える。バケット3bには、例えば25mm×25mm×厚さ4cm以下の大きさにカットされた鶏肉が収容される。投入機3は、バケット3bを回転させることで、バケット3b内の鶏肉を、分散装置1のホッパ5に投入する。
【0024】
分散装置1は、上記のホッパ5と、配管ユニット6と、ポンプ7とを備える。図1及び図3に示すように、配管ユニット6は、8つのノズル9を備える。8つのノズル9は、ベルトコンベア2の幅方向に間隔をあけて並ぶ(図1)。ポンプ7は、ホッパ5に投入された鶏肉を、配管ユニット6に圧送して、各ノズル9から吐出させる。
【0025】
各ノズル9から吐出された鶏肉は、ベルトコンベア2のベルト2a上に落下する。ベルト2aは、鶏肉と異なる色(例えば水色)の樹脂から形成されたものであって、鶏肉との見分けが容易である。
【0026】
ベルト2a上に落下した鶏肉は、ベルト2aの回転によって、上記の容器へ搬送されて、バッター液に浸漬される。バッター液に浸漬された鶏肉は、図示しない搬送手段により、上記のフライヤに搬送されて、油で揚げられる。
【0027】
以下、分散装置1が備える構成を詳細に説明する。
【0028】
ポンプ7は、「モーノポンプ」と称されるものであり、本体部7aと、駆動モータ7bとを備える。本体部7aの一端は、ホッパ5ーの排出口に接続される。本体部7aの他端は、配管ユニット6に接続される。
【0029】
本体部7aは、ステータと、ステータ内に配置されるロータとを備える。ステータは、螺旋状に延びる貫通孔を有する。ロータは、外周面に螺旋状の突起が形成された軸部材である。ロータは、突起の先端がステータの内壁面に接するように、ステータの貫通孔に嵌め合わされる。
【0030】
ロータとステータとの間では、突起の側方にある空隙に、ホッパ5ーの鶏肉が入るようになっている。そして、駆動モータ7bの動力でロータが回転することで、上記の空隙がロータの軸方向に移動する。その結果、空隙に入った鶏肉がロータの軸方向に移動して、配管ユニット6に圧送される。
【0031】
上記「モーノポンプ」であるポンプ7は、ロータの回転数と鶏肉の圧送量とに一定の相関があるため、ロータの回転数を制御することで、所望量の鶏肉を圧送できる。
【0032】
配管ユニット6は、上層の各分岐路から下層の管路がU字状の二股に分岐する階層構造を有する(図1図3)。各階層の管路60,61,62は、ステンレスからなる管体が複数接続されたものであり、最上層の管路60がポンプ7に接続される。また、各階層の上流端を構成する管体の径は、下層の管路ほど小さい(最上層60の上流端を構成する管体(後述のT字管10)の径 > 第2層61の上流端を構成する管体(後述のT字管20)の径 > 最下層62の上流端を構成する管体(後述のT字管20)の径 )。
【0033】
具体的には、最上層の管路60は、61.0mmの径を有するT字管10(第1のT字管)と、T字管10と同一の径を有し、円弧状に湾曲する枝管11,12(第1,第2の枝管)と、下流側になるにつれて径が縮小するテーパ状の枝管13,14(第5の枝管)とを備える。T字管10の主管部10aは、図1に示す接続管Kを介して、ポンプ7の本体部7aに接続されており、ポンプ7により圧送される鶏肉が主管部10aに流入する。枝管11(第1の枝管)は、T字管10の一方の枝管部10bに接続される。枝管12(第2の枝管)は、T字管10の他方の枝管部10cに接続される。枝管13(第5の枝管)は、枝管11に接続される。枝管14(第5の枝管)は、枝管12に接続される。
【0034】
第2層の管路61は、2つの分岐路61A,61Bから構成される。分岐路61B,61Bの各々は、それぞれ、40.6mmの径を有するT字管20(第2のT字管)と、T字管20と同一の径を有し、円弧状に湾曲する枝管21,22(第3,第4の枝管)と、下流側になるにつれて径が縮小するテーパ状の枝管23,24(第5の枝管)とを備える。
【0035】
分岐路61Aでは、T字管20の主管部20aが、最上層60の枝管13の下流端に接続されており、最上層60の枝管13を通過した鶏肉が主管部20aに流入する。分岐路61Bでは、T字管20の主管部20aが、最上層60の枝管14の下流端に接続されており、最上層60の枝管14を通過した鶏肉が主管部20aに流入する。
【0036】
そして分岐路61A,61Bの各々では、枝管21(第3の枝管)は、T字管20の一方の枝管部20bに接続される。枝管22(第4の枝管)は、T字管20の他方の枝管部20cに接続される。枝管23(第5の枝管)は、枝管21に接続される。枝管24(第5の枝管)は、枝管22に接続される。
【0037】
最下層の管路62は、4つの分岐路62A,62B,62C,62Dから構成される。分岐路62A,62B,62C,62Dの各々は、それぞれ、30.5mmの径を有するT字管30(第2のT字管)と、T字管30と同一の径を有し、円弧状に湾曲する枝管31,32(第3,第4の枝管)と、下流側になるにつれて径が縮小する枝管33,34とを備える(図3では、分岐路62A,62Dについてのみ、管体31〜34の符号を付している)。
【0038】
分岐路62A,62Cでは、T字管30の主管部30aが、第2層61の枝管23の下流端に接続されており、第2層61の枝管23を通過した鶏肉が主管部30aに流入する。分岐路62B,62Dでは、T字管30の主管部30aが、第2層61の枝管24の下流端に接続されており、第2層61の枝管24を通過した鶏肉が主管部30aに流入する。
【0039】
そして分岐路62A,62B,62C,62Dの各々では、枝管31(第3の枝管)は、T字管30の一方の枝管部30bに接続される。枝管32(第4の枝管)は、T字管30の他方の枝管部30cに接続される。枝管33は、枝管31に接続される。枝管34は、枝管32に接続される。
【0040】
8つのノズル9は、最下層62の下流端(枝管33,34)に構成される。各ノズル9は、それぞれ鶏肉の一つのみを通過可能な径を有する。例えば、一つの鶏肉の大きさが25mm×25mm×厚さ4cm以下である場合には、各ノズル9の径は、25.4mmに設定される。
【0041】
図2に示すように、配管ユニット6は、側面視において、直線状に延びており、ノズル9の位置が最も高くなるように傾斜する。
【0042】
上記の配管ユニット6の傾斜を実現すべく、最上層の管路60では、分岐位置における管体の接続が、フェルールF1,F2(第1,第2のフェルール)を介して行なわれる。すなわち、T字管10と枝管11とがフェルールF1(第1のフェルール)を介して接続され、T字管10と枝管12とがフェルールF2(第2のフェルール)を介して接続される。フェルールF1,F2は、ステンレスから形成されるものであって、接続対象とする管体11,12の上下方向の角度を調整可能である。フェルールF1,F2による管体11,12の角度調整で、管体11,12が上向きとされることで、配管ユニット6は、ノズル9の位置が最も高くなるように傾斜する(図2)。
【0043】
また、最上層以外の階層61,62では、分岐位置における鶏肉の流れを円滑とすべく、分岐位置における管体の接続が、溶接で行なわれる。すなわち、第2層の管路61では、T字管20と枝管21,22とが溶接で接続される。最下層の管路62では、T字管30と枝管31,32とが溶接で接続される。
【0044】
また、各階層の管路60,61,62では、直線形状部における管体の接続が、フェルールF3,F4,F5,F6,F7,F8(第3のフェルール)を介して行なわれている。例えば、第2層の管路61では、直線形状をなす枝管21の下流部と枝管23とが、フェルールF5(第3のフェルール)を介して接続され、また、直線形状をなす枝管22の下流部と枝管24とが、フェルールF6(第3のフェルール)を介して接続されている。
【0045】
フェルールF3〜F8は、ステンレスから形成されたものである。
【0046】
また、ベルトコンベア2上に均等な間隔で鶏肉を配置すべく、ベルトコンベア2の幅方向に隣り合う2つのノズル9の間隔が同一とされる。図1図3に示す例では、ベルトコンベア2の幅と配管ユニット6の幅とが略一致する条件下で、ベルトコンベア2の幅方向に隣り合う2つのノズル9の間隔を同一とすべく、最下層の管路62が、ノズル9側になるにつれて相互に接近するように傾斜した二股状に形成されている。このように傾斜した管路62の二股状は、例えば、枝管31,33を接続するフェルールF7により枝管33の左右方向の角度を調整し、枝管32,34を接続するフェルールF8により枝管34の左右方向の角度を調整することで実現される(フェルールF7,F8により枝管33,34を二股の内側に傾けることで実現される)。
【0047】
以上の構成を有する分散装置1では、ポンプ7を作動させることで(駆動モータ7bを作動させることで)、ホッパ5ー内の鶏肉が、配管ユニット6の最上層の管路60に供給される。そして、最上層の管路60に供給された鶏肉は、各階層の分岐位置を通過するたびに二分される。そして、各ノズル9の径が鶏肉の一つのみを通過可能な大きさであるため、各ノズル9から鶏肉が一つずつ吐出される。そして8つのノズル9がベルトコンベア2の幅方向に間隔をあけて並んでいるため、各ノズル9から吐出された鶏肉は、ベルトコンベア2上に間隔をあけて配置される。
【0048】
本実施の形態の分散装置1によれば、ポンプ7を駆動させることで(駆動モータ7bを作動させることで)、各ノズル9から鶏肉が一つずつ吐出されて、ベルトコンベア2上に配置される。したがって、人手を要することなく、鶏肉を一つずつ分散してベルトコンベア2に配置可能である。
【0049】
また、ベルトコンベア2で搬送される鶏肉を、バッター液を貯留する容器に投入させることで、該容器に鶏肉を一つずつ供給する作業を、機械化できる。このため、唐揚げ製品の生産性を向上させることができる。
【0050】
また、配管ユニット6が、側面視において、直線状に延びることで(図2)、配管ユニット6が上下に屈曲する場合のように鶏肉が滞留することなく、鶏肉をノズル9に向けて円滑に流すことが可能とされる。
【0051】
また、ノズル9の位置が最も高くなるように配管ユニット6が傾斜することで、ノズル9から吐出される鶏肉は、落下して、後続の鶏肉と切り離される。そして、この後続の鶏肉と切り離された鶏肉が、移動するベルトコンベア2上に順次落下することで、鶏肉を確実に一つずつベルトコンベア2上に配置できる。
【0052】
また、各階層の管路60,61,62が、それぞれU字状に分岐することで、各階層60,61,62の分岐位置において、鶏肉が引っ掛からない。このため、分岐位置に到達した鶏肉は、肉と皮とが分離せず一体のまま、一方又は他方の分岐路に円滑に流れる。
【0053】
また、最上層以外の管路61,62では、分岐位置における管体の接続を溶接で行なっているため、分岐位置において、鶏肉の流れに対する抵抗を小さく抑えることができる。
【0054】
なお、最上層の管路60では、分岐位置における管体の接続を、フェルールF1,F2で行なっているが、最上層の管路60の径が大きいことで、フェルールF1,F2の抵抗により分岐位置における鶏肉の流れが阻害されることが小さく抑えられる。
【0055】
また、管路60,61,62では、フェルールF3〜F8による管体の接続が直線形状部で行われていることで、フェルールF3〜F8の抵抗で鶏肉の流れが阻害されることが小さく抑えられる。
【0056】
また、管路60,61,62では、フェルールF1〜F8による管体の接続を解除することで、鶏肉の詰まりをチェックできる。
【0057】
また、最上層の管路60が、テーパ状の枝管13,14を介して第2層の管路61に接続され、第2階層の管路61が、テーパ状の枝管23,24を介して最下層の管路62に接続されていることから、径の大きな上層の管路60,61の横断面に並存する複数の鶏肉が、径の小さな下層の管路61,62へ順次送られるようになる(すなわち管路60,61の横断面に並存する複数の鶏肉が、下層の管路61,62へ一斉に送られない)。このため、径の大きな上層の管路60,61から、径の小さな下層の管路61,62へと、鶏肉を円滑に流すことができる。
【0058】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、種々改変することができる。
【0059】
例えば、配管ユニット6を構成する層の数や、各層を構成する管体の数や径は、配管ユニット6に供給される鶏肉の量やサイズ、ベルトコンベアの幅等に応じて、任意に設定され得る。また、ノズル9の径は、配管ユニット6に供給される鶏肉のサイズに応じて、任意に設定され得る。
【0060】
また上記実施形態では、ポンプ7がモーノポンプである例を示したが、ポンプ7は、ベーン式のポンプや、ロータリー式のポンプであってもよい。
【0061】
また上記実施形態では、配管ユニット6の階層60,61,62の全てがU字状に分岐する例を示したが、円滑な鶏肉の流れを実現できれば、一部の階層或いは全ての階層が、U字以外の形状(例えばV字状)で分岐するものであってよい。
【0062】
また、上記実施形態では、ベルトコンベア2上に鶏肉を分散配置するために、本発明の分散装置1を使用する例を示したが、本発明の分散装置1は、鶏肉以外の揚げ物材料を分散配置するためにも使用できる。
【符号の説明】
【0063】
1 分散装置
2 ベルトコンベア
5 ホッパ
6 配管ユニット
7 ポンプ
9 ノズル
10 第1のT字管
10a 第1のT字管の主管部
10b 第1のT字管の一方の枝管部
10c 第1のT字管の他方の枝管部
11 第1の枝管
12 第2の枝管
13,14,23,24 第5の枝管
20,30 第2のT字管
20a,30a 第2のT字管の主管部
20b,30b 第2のT字管の一方の枝管部
20c,30c 第2のT字管の他方の枝管部
21,31 第3の枝管
22,32 第4の枝管
60 最上層の管路
62 最下層の階層
F1 第1のフェルール
F2 第2のフェルール
F3,F4,F5,F6,F7,F8 第3のフェルール
図1
図2
図3