(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234216
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】杭打機
(51)【国際特許分類】
E02D 13/06 20060101AFI20171113BHJP
E02D 7/00 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
E02D13/06
E02D7/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-266736(P2013-266736)
(22)【出願日】2013年12月25日
(65)【公開番号】特開2015-121071(P2015-121071A)
(43)【公開日】2015年7月2日
【審査請求日】2016年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 茂光
【審査官】
苗村 康造
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−149189(JP,A)
【文献】
特開2000−328571(JP,A)
【文献】
特開2002−173936(JP,A)
【文献】
特開2000−319879(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0253400(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 7/00〜 13/10
E21B 1/00〜 49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
立設されたリーダのガイドパイプを摺動するガイドギブに案内されて昇降する作業装置と、該作業装置の上昇限度を規制する過巻防止装置とを備えた杭打機において、
前記過巻防止装置は、
リーダ上端に設けられたトップシーブブロック取付板に固設されるドッグプレート用ブラケットに上下移動可能に保持され、前記ガイドギブの上面が当接することにより押し上げられるドッグプレートと、
該ドッグプレートの押上げを検知するリミットスイッチと、
を備えていることを特徴とする杭打機。
【請求項2】
前記ドッグプレート用ブラケットは水平方向のガイドピンを備えるとともに、前記ドッグプレートは前記ガイドピンを挿通する上下方向に長い長孔を有していることを特徴とする請求項1記載の杭打機。
【請求項3】
前記リミットスイッチは、該リミットスイッチを作動させる先端に回転自在なコロを設けたアーム操作子を有し、該アーム操作子は、前記ドッグププレートの側面上部に設けられたガイド面に沿って前記コロを回転させながら、移動することを特徴とする請求項1又は2記載の杭打機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭打機に関し、詳しくは、杭打機のリーダに沿って昇降する作業装置の上昇限度を規制するための過巻防止装置を備えた杭打機に関する。
【背景技術】
【0002】
ベースマシンの前部に立設したリーダの軸線方向に沿って設けられている左右一対のガイドパイプにガイドさせて、オーガやハンマなどの作業装置を昇降させる杭打機では、作業装置がリーダの頂部に設けられているトップシーブに衝突しないように、上昇限度を規制するための過巻防止装置を備えている。杭打機のリーダに設けられる過巻防止手段として、リーダ上部のトップシーブブロックから作業装置当接部材をワイヤロープで吊持することにより、作業装置当接部材をガイドパイプの上部に上下動可能に設け、作業装置が上昇して作業装置当接部材を押し上げたときにリミットスイッチが作動して警報を発したり、作業装置の上昇を停止したりするものが知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−328571号公報
【特許文献2】特開2011−149189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、作業装置当接部材をトップシーブブロックからワイヤロープで吊持しているため、作業装置の昇降ストロークがワイヤロープの長さ分だけ短くなってしまうという課題があった。
【0005】
そこで本発明は、作業装置の昇降ストロークを長くとることができるとともに、リーダ長の組換時にも組付け作業性のよい過巻防止装置を備えた杭打機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の杭打機は、立設されたリーダのガイドパイプを摺動するガイドギブに案内されて昇降する作業装置と、該作業装置の上昇限度を規制する過巻防止装置とを備えた杭打機において、前記過巻防止装置は、リーダ上端に設けられたトップシーブブロック取付板に固設されるドッグプレート用ブラケットに上下移動可能に保持され、前記ガイドギブの上面が当接することにより押し上げられるドッグプレートと、該ドッグプレートの押上げを検知するリミットスイッチと、を備えていることを特徴としている。
【0007】
また、前記ドッグプレート用ブラケットは水平方向のガイドピンを備えるとともに、前記ドッグプレートは前記ガイドピンを挿通する上下方向に長い長孔を有していることを特徴としている。さらに、前記リミットスイッチは、該リミットスイッチを作動させる先端に回転自在なコロを設けたアーム操作子を有し、該アーム操作子は、前記ドッグププレートの側面上部に設けられたガイド面に沿って前記コロを回転させながら、移動することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の杭打機によれば、リーダ上端に設けられたトップシーブブロック取付板に固設されるドッグプレート用ブラケットに上下移動可能に保持されたドッグプレートが、作業装置のガイドギブに押し上げられることをリミットスイッチが検知することで、リミットスイッチが作動するので、ワイヤロープで作業装置当接部材を吊持するのに比べて、作業装置の昇降ストロークを長くとることができる。また、リーダにリミットスイッチが設けられているような場合には、リーダ長を組み換える際に、それぞれのリーダ部材にリミットスイッチ取付用の部材が必要になったりするが、トップシーブブロック取付板にリミットスイッチとドッグプレートが設けられているので、リーダ長を組み換える際の調整が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一形態例を示す杭打機のリーダ上側の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1乃至
図6は、本発明を適用した杭打機の一形態例を示すものである。杭打機10は、下部走行体11と、該下部走行体11の上部に旋回可能に設けられた上部旋回体12と、該上部旋回体12の前部に起伏可能に設けられたリーダ13と、該リーダ13を後方から支持するバックステー14とを備えている。前記リーダ13には、各種作業装置、例えば本形態例では、地盤改良のために掘削具15aと撹拌具15bを有するスクリューシャフト15を駆動するスクリュー駆動装置16がリーダ13に沿って昇降可能に設けられている。また、リーダ13の頂部には、各種物品を吊り上げるためのワイヤロープ17が掛け回されるトップシーブブロック18が、トップシーブブロック取付板19を介して設けられている。
【0011】
前記リーダ13は、複数のリーダ部材から形成されるものであり、リーダ13の前部両側には、左右一対のガイドパイプ20が、リーダの軸線方向略全長に亘って設けられている。また、リーダ13に設けられた両歯のラック21に、スクリュー駆動装置16に設けられた一対のピニオン(図示せず)を噛合させ、該ピニオンを回転させて、リーダ13のガイドパイプ20を挟み込んだガイドギブ22が摺動しながら案内することにより、スクリュー駆動装置16を昇降可能としている。
【0012】
トップシーブブロック取付板19には、スクリュー駆動装置16の上昇限度を規制する過巻防止装置23が設けられている。この過巻防止装置23は、トップシーブブロック取付板19に固設されるリミットスイッチ用ブラケット30で保持されるリミットスイッチ31と、トップシーブブロック取付板19に固設されるドッグプレート用ブラケット32で保持されるドッグプレート33を備えている。ドッグプレート用ブラケット32は、トップシーブブロック取付板19に固設される一対の側面板32a,32aと、両側面板32a,32aの反リーダ側の端部を繋ぐ押え板32bとにより、平面視コ字状に形成されており、一対の側面板32a,32aには水平方向にガイドピン35が挿通されている。ドッグプレート33は、上下方向に長い直方体上のブロックからなり、ガイドピン35を挿通する上下方向に長い長孔34を有している。ドッグプレート33は、初期状態では重力により下に落ちているが、下側から押し上げられた場合には、押え板32bとガイドパイプ20の上端側面に挟まれながら、長孔34とガイドピン35に案内されるので、上下方向にのみ移動が可能となっている。
【0013】
リミットスイッチ31には、リミットスイッチ31を作動させるアーム操作子36が設けられており、先端には回転自在なコロ37を有している。該コロ37は、ドッグプレートの側面上部に斜めに設けられたガイド面38に当接している。
【0014】
スクリュー駆動装置16がリーダに沿って上昇すると、ガイドギブ22の上面がドッグプレート33の下面と当接し、ドッグプレート33が長孔34とガイドピン35に案内されて上に押し上げられる。ドッグプレート33が押し上げられると、
図4の想像線に示されるように、コロ37がガイド面38に沿って回転しながら、アーム操作子36が立ち上がり、ドッグプレート33の押上げを検知する。リミットスイッチ31はドッグプレート33の押上げを検知すると作動し、リミットスイッチ31に設けられた電気配線39を通じて信号を送り、警報を発したり、作業装置の上昇を停止させたりする。
【0015】
このように構成されることで、スクリュー作動装置16の昇降ストロークは、リーダ14の上端ギリギリまでとることができる。また、リーダの長さを変えるために、リーダ部材を増減した場合であっても、過巻防止装置23は、トップシーブブロック取付板19に固設されているので、他のリーダ部材を調整する必要はない。
【0016】
なお、本形態例の杭打機は、作業装置の昇降装置をラックピニオン式のものとしているが、チェーン式の昇降装置を有する杭打機や、トップシーブから掛け回されたワイヤロープで作業装置を吊持し、ウインチにより作業装置を昇降させる杭打機にも、本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0017】
10…杭打機、11…下部走行体、12…上部旋回体、13…リーダ、14…バックステー、15…スクリューシャフト、15a…掘削具、15b…撹拌具、16…スクリュー駆動装置、17…ワイヤロープ、18…トップシーブブロック、19…トップシーブブロック取付板、20…ガイドパイプ、21…ラック、22…ガイドギブ、23…過巻防止装置、30…リミットスイッチ用ブラケット、31…リミットスイッチ、32…ドッグプレート用ブラケット、33…ドッグプレート、34…長孔、35…ガイドピン、36…アーム操作子、37…コロ、38…ガイド面、39…電気配線