【文献】
J Biol. Chem. (1989) Vol.264, No.18, pp.10351-10353
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記血栓溶解タンパク質が、ストレプトキナーゼ又は前記ストレプトキナーゼの無修飾のタンパク質に対して少なくとも95%の配列同一性を有するストレプトキナーゼ相同体である、請求項1に記載のキメラタンパク質構築物。
前記EGF4、5、6ドメインとストレプトキナーゼ又はストレプトキナーゼ相同体との接合部に1つ以上のトロンビン切断可能配列を更に含む、請求項2に記載のキメラタンパク質構築物。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、現在入手可能な形態(すなわち、組織プラスミノーゲン活性化因子、SK、SAK、これらの誘導体/改良形)よりはっきりとした機能的利点を示す新規な血栓溶解融合ポリペプチドの設計及び調製に関する。現行の形態はプラスミノーゲン活性化を通じてフィブリン塊を溶解させるだけで、本質的にトロンビン産生による血栓溶解療法中の早期再閉塞問題につながる血栓溶解後の結果を防止することができないからである。
【0027】
本発明は、プラスミノーゲンを活性化するだけではなくトロンビンを直接阻害し、またトロンビンが介在する抗凝固経路を通じたタンパク質C活性化の能力を保持する能力を保持する、トロンボモジュリンのEGF4、5、6番ドメインと融合させた直接及び間接的なプラスミノーゲン活性化因子で融合構築物を形成する方法を開示する。
【0028】
タンパク質のアミノ酸配列に関係した用語「バリアント(variant)」、「相同体(homolog)」、「誘導体(derivative)」、「フラグメント(fragment)」又は「類似体(analog)」には、得られるタンパク質又は(ポリ)ペプチドが無修飾のタンパク質の活性と同等の活性を有する限り、配列からの又は配列への1つ(又は1つ以上)のアミノ酸の置換、変更、修飾、置き換え、欠失又は付加が含まれる。特に、用語「相同体」には、構造及び/又は機能についての相同性が含まれる。配列相同性に関しては、無修飾のタンパク質の配列に対して好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より一層好ましくは少なくとも85%の相同性がある。好ましくは、無修飾のタンパク質の配列に対して少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%の相同性がある。
【0029】
典型的には、本発明のバリアント、相同体、誘導体、フラグメント又は類似体に関して、行い得るアミノ酸置換のタイプは、アミノ酸配列の疎水性/親水性を維持すべきである。アミノ酸置換は、修飾された配列が本発明に従って作用する能力を保持する限り、例えば1、2又は3〜10、20又は30の置換から行われ得る。アミノ酸置換には、例えば治療を目的として投与するポリペプチドの血漿中半減期を延ばすために非天然の類似体を使用することが含まれ得る。
【0030】
保存的な置換は、例えば以下のように行われ得る。同じ行にあるアミノ酸を互いに置換し得る。
脂肪族、非極性:G A P I L V
極性、無荷電:C S T M N Q
極性、荷電:D E K R 芳香族H F W Y
【0031】
上述したように、本発明のタンパク質は典型的には、例えば本明細書に記載するような組み換え手法及び/又は固相合成等の当業者に周知の合成手法を利用して行われる。
【0032】
本明細書において、「欠失(deletion)」とは、1つ以上のヌクレオチド又はアミノ酸残基がそれぞれ不在である、ヌクレオチド又はアミノ酸配列における変更として定義される。
【0033】
本明細書において、「挿入(insertion)」又は「付加(addition)」とは、天然のタンパク質と比較して、1つ以上のヌクレオチド又はアミノ酸残基それぞれの追加に至ったヌクレオチド又はアミノ酸配列における変更である。
【0034】
本明細書において、「置換(substitution)」は、異なるヌクレオチド又はアミノ酸それぞれによる1つ以上のヌクレオチド又はアミノ酸の置き換えによって起きる。
【0035】
本明細書において、用語「4、5及び6上皮増殖因子様ドメイン」又は「EGF4、5、6」はトロンボモジュリンのEGF4、5又は6ドメインのいずれにもなり得て、あるいはペプチド又はペプチドフラグメントとして共に共有結合したトロンボモジュリンの3つのEGF4、5及び6ドメインの全てのことになり得る。4、5及び6上皮増殖因子様ドメインはそれぞれ、上皮増殖因子(EGF)タンパク質の1つ以上のドメインに対する相同性を有する。
【0036】
本発明は、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子、スタフィロキナーゼ、ウロキナーゼ並びにこれらの誘導体及び類似体から成る群から選択される血栓溶解タンパク質に融合させたトロンボモジュリンの4、5、6上皮増殖因子様ドメイン(EGF4、5、6)を含むキメラタンパク質構築物を開示するものである。
【0037】
本発明の実施形態においてキメラタンパク質構築物を開示し、トロンボモジュリンEGF4、5、6ドメインは、血栓溶解タンパク質又はその誘導体若しくは類似体に血栓溶解タンパク質又はその誘導体若しくは類似体のN末端、C末端又はN末端及びC末端の両方で融合している。
【0038】
本発明は、血栓溶解タンパク質のN末端をコードしている部分で血栓溶解タンパク質(SK、tPA又はSAK)と融合した、EGFの最小限で必須の抗血栓部を有する遺伝子構築物の設計も開示するものであり、翻訳(得られる「キメラ」ORFにおいて)はEGFの4番ドメインで始まり、血栓溶解ポリペプチド合成をコードしている部位が続く。このため、成熟したポリペプチド又はフォールドされたタンパク質は2種類の異なるタイプのタンパク質を含有するだけではなく両方の機能性も有する。血栓溶解タンパク質とのこれらの構築物をEGF N末端融合構築物と称する。
【0039】
別の実施形態において、まず翻訳が血栓溶解タンパク質で開始され、EGFの6番ドメインで終了するように関連する部位(血栓溶解剤−EGF4、5、6)をコードするオリゴヌクレオチドブロックを融合させ、次にオリゴヌクレオチドハイブリッドブロックを発現系で発現させ、ハイブリッドを精製し、プラスミノーゲン活性化及びトロンビン阻害等について試験することによる、血栓溶解タンパク質のC末端側で融合したEGFドメインの設計原理及び構築方法を定義した。ここで、翻訳されたポリペプチドは機能的に活性な血栓溶解タンパク質から開始し、またEGFドメインをC末端に有するため、抗トロンビン及びタンパク質C活性化能も有する。機能性ポリペプチドの調製につながる設計も開示されており、キメラポリペプチドは最初は不活性だが、そのプラスミノーゲン活性化能を、プラスミン又はトロンビンでのタンパク質分解切断時に獲得する。
【0040】
本発明の別の実施形態において、1つ以上のアミノ酸置換、挿入、欠失又は切断を有するストレプトキナーゼを含む血栓溶解タンパク質を開示し、構築物は、プラスミノーゲン活性化、トロンビン阻害及び抗凝固タンパク質C経路活性化活性を有する。
【0041】
別の実施形態はN及びC末端融合構築物の作製方法を含み、血栓溶解タンパク質は、血栓溶解タンパク質のN及びC末端に3個のEGFドメインを同時に含有する。これらの構築物は、共通の制限部位を介して接合されたN末端及びC末端EGF4、5、6融合構築物を有するオリゴヌクレオチドブロックの発現並びに定評のある遺伝子クローニング法等を用いたその発現の支援により設計された。
【0042】
更に別の実施形態において、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子等の血栓溶解剤内にEGFドメインを有するタンパク質内融合の設計を開示する。
【0043】
別の実施形態において、ハイブリッド/融合構築物は、EGF4、5、6ドメインがtPAのクリングル1ドメインにとってかわった組織プラスミノーゲン活性化因子を有した。この構築物は良好なプラスミノーゲン活性及び抗トロンビン特性を示した。
【0044】
別の実施形態は、EGF4、5、6のメチオニンをバリン、アラニン又はグルタミンアミノ酸残基に、上のセクションで記載の血栓溶解剤(SK、tPA、SAK)とのN末端、C末端及びN&C末端(同時)融合構築物において、定評のある部位特異的変異誘発法により置き換えたEGFドメインの酸化耐性形態を開示する。
【0045】
本発明の更に別の実施形態において、ストレプトキナーゼのアルファとベータ又はベータとガンマドメインの間、あるいはストレプトキナーゼ誘導体又は類似体のアルファとベータ又はベータとガンマドメインの間で融合したトロンボモジュリンEGF4、5、6ドメインを開示し、ストレプトキナーゼ誘導体又は類似体は1つ以上の変異、付加、挿入又は切断を含み、構築物はプラスミノーゲンを活性化し、トロンビンを阻害し、抗凝固タンパク質C経路を活性化する。
【0046】
本発明の別の実施形態において、EGF4、5、6ドメインがインフレームでストレプトキナーゼ又はストレプトキナーゼ誘導体若しくは類似体に、ストレプトキナーゼN末端、ストレプトキナーゼC末端、N及びCの両方のストレプトキナーゼ末端又はストレプトキナーゼのドメイン間位置(inter-domain position)から選択される1つ以上の位置で融合する構築物を開示する。
【0047】
本発明の更に別の実施形態において、ストレプトキナーゼ誘導体が残基5〜383又は5〜414に及ぶキメラタンパク質構築物を開示する。
【0048】
本発明の更なる実施形態において、ストレプトキナーゼ誘導体が残基16〜383に及ぶキメラタンパク質構築物を開示する。
【0049】
本発明の更に別の実施形態において、EGF4、5、6ドメインがインフレームでストレプトキナーゼN末端、ストレプトキナーゼC末端又はN及びCの両方のストレプトキナーゼ末端から選択される1つ以上の位置で融合するキメラタンパク質構築物を開示し、EGF4、5、6ドメインのMet41はバリン、アラニン又はグルタミンに置き換えられる、あるいはC末端Met435はバリン、アラニン又はグルタミンに置き換えられ、あるいは同時N及びC末端融合構築物(simultaneous N- and C-terminal fusion construct)において、Met41及びMet435は独立してバリン、アラニン又はグルタミンに置き換えられる。
【0050】
本発明の別の実施形態において、トランスグルタミナーゼ認識配列を更に含むキメラタンパク質構築物を開示する。
【0051】
本発明の更なる実施形態において、EGF4、5、6ドメインと血栓溶解タンパク質又はその誘導体若しくは類似体との接合部に1つ以上のトロンビン切断可能配列を更に含むキメラタンパク質構築物を開示する。
【0052】
別の実施形態において、ハイブリッド/融合構築物は、EGF4、5、6とその酸化耐性形態との接合部にトロンビン切断可能部位を含む。
【0053】
別の実施形態において、EGF4、5、6ドメイン含有ハイブリッド/融合構築物は、メチオニン酸化及びその結果としてのその調製中の活性の喪失による酸化耐性を有するように変異させられる。
【0054】
本発明の別の実施形態において、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)誘導体、類似体又はフラグメントにtPA誘導体、類似体又はフラグメントのN末端で、tPA誘導体、類似体又はフラグメントのC末端で、tPA誘導体、類似体又はフラグメントの両方の末端で、あるいはtPA誘導体、類似体又はフラグメント内で内的に融合したトロンボモジュリンのEGF4、5、6ドメインを含むキメラタンパク質構築物を開示する。
【0055】
本発明の更に別の実施形態において、EGF4、5、6ドメインとtPA誘導体、類似体又はフラグメントとの融合が1つ以上のリンカーフラグメントを更に含むキメラタンパク質構築物を開示する。
【0056】
本発明の更なる実施形態において、1つ以上のリンカーフラグメントが、構築物の柔軟性(flexibility)を促進する1つ以上のアミノ酸を含むキメラタンパク質構築物を開示する。
【0057】
本発明の更に別の実施形態において、1つ以上のアミノ酸が、Gly、Asn、Pro、Ser、Gln、Arg及びLysから成る群から選択されるキメラタンパク質構築物を開示する。
【0058】
本発明の別の実施形態において、tPA誘導体、類似体又はフラグメントが1つ以上の変異、付加、挿入又は切断を含むキメラタンパク質構築物を開示し、tPA誘導体、類似体又はフラグメントはプラスミノーゲンを活性化し、トロンビンを阻害し、抗凝固タンパク質Cを活性化する。
【0059】
本発明の更に別の実施形態において、1つ以上のトロンボモジュリンEGF4、5、6ドメインに融合した組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)のフラグメント又はその切断若しくは修飾形態を含み、tPAのEGFドメインが1つ以上のトロンボモジュリンEGF4、5、6ドメインに置き換えられるキメラタンパク質構築物を開示し、構築物は抗トロンビン及びプラスミノーゲン活性化の両方の活性を有する。
【0060】
本発明の更なる実施形態において、1つ以上のトロンボモジュリンEGF4、5、6ドメインに融合した組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)のフラグメント又はその切断若しくは修飾形態を含み、tPAのクリングル1及びEGFドメインが1つ以上のトロンボモジュリンEGF4、5、6ドメインに置き換えられるキメラタンパク質構築物を開示し、構築物は抗トロンビン及びプラスミノーゲン活性化の両方の活性を有する。
【0061】
本発明の更に別の実施形態において、tPA EGFドメイン及びクリングル1ドメインが1つ以上のトロンボモジュリンEGF4、5、6ドメインにtPAフラグメントのN末端又はC末端で置き換えられるキメラタンパク質構築物を開示する。
【0062】
本発明の別の実施形態において、tPAフラグメント又はその切断若しくは修飾形態とトロンボモジュリンEGF4、5、6ドメインとの間に1つ以上のリンカーフラグメントを更に含むキメラタンパク質構築物を開示し、リンカーフラグメントは、構築物がトロンビン阻害、タンパク質C活性化及びプラスミノーゲン活性化能を有するように構築物の柔軟性を促進するアミノ酸残基を含む。
【0063】
本発明の更に別の実施形態において、EGF4、5、6成分のメチオニン41がアラニン、バリン又はグルタミンに置き換えられるキメラタンパク質構築物を開示する。
【0064】
本発明の更なる実施形態において、スタフィロキナーゼ(SAK)のN末端又はC末端にインフレームで融合したトロンボモジュリンのEGF4、5、6ドメインを含むキメラタンパク質構築物を開示する。
【0065】
本発明の更に別の実施形態において、トロンボモジュリンEGF4、5、6ドメインのメチオニン41がアラニン、バリン又はグルタミンに置き換えられるキメラタンパク質構築物を開示する。
【0066】
本発明の別の実施形態において、SAKとEGF4、5、6ドメイン領域との間にトロンビン切断可能配列を更に含むキメラタンパク質構築物を開示する。
【0067】
本発明の更に別の実施形態において、トランスグルタミナーゼ架橋配列を更に含むキメラタンパク質構築物を開示する。
【0068】
本発明の別の実施形態において、水溶液又は生理食塩水に可溶性のキメラタンパク質構築物を開示する。
【0069】
本発明において、別の実施形態において、組み換えキメラタンパク質を、厳格に調節されたプロモーターの制御下、プラスミドにより発現させる。
【0070】
本発明の実施形態において、様々なキメラ構築物を、組み換えDNA技術を通じて細菌、真菌、酵母又は動物細胞等の適切な宿主において発現させた。
【0071】
本発明の別の実施形態において、細胞外媒体に分泌されるキメラタンパク質構築物を開示する。
【0072】
別の実施形態において、組織プラスミノーゲン活性化因子及びEGF4、5、6融合構築物を、原核生物及び真核生物宿主において発現させ、そこからポリペプチドを収穫して活性ハイブリッド構築物を純粋な形態で得た。
【0073】
別の実施形態において、EGFとの様々な組織プラスミノーゲン活性化因子融合構築物を、発現カセットが宿主ゲノムに組み入れられた又は細胞質中にエピソーム体として留まる動物細胞株、酵母発現系及び植物細胞等の真核生物系においても発現させた。発現させたハイブリッドタンパク質は、発現に使用した宿主に応じてグリコシル化又は非グリコシル化になり得る。
【0074】
本発明の別の実施形態において、哺乳動物における血栓症の治療方法を開示し、この方法は治療を必要とする哺乳動物に治療有効量のキメラタンパク質構築物を投与することを含む。
【0075】
本発明の別の実施形態において、トロンビンの阻害方法を開示し、この方法はキメラタンパク質構築物の使用を含む。
【0076】
本発明の更なる実施形態において、タンパク質Cの活性化方法を開示し、この方法はキメラタンパク質構築物の使用を含む。
【0077】
本発明の更に別の実施形態において、抗トロンビン及びプラスミノーゲン活性化の両方をもたらす方法を開示し、この方法はキメラタンパク質構築物の使用を含む。
【0078】
本発明の別の実施形態において、薬学的有効量のキメラタンパク質構築物を含む医薬製剤を開示する。
【0079】
本発明の別の実施形態において、哺乳動物における血栓溶解方法を開示し、この方法はそれを必要とする哺乳動物に治療有効量のキメラタンパク質構築物を投与することを含む。
【0080】
別の実施形態において、ハイブリッド構築物のコード化DNA配列は適切な発現宿主に合わせて最適化された。
【0081】
別の実施形態において、上記のキメラタンパク質構築物をコードしている核酸配列。
【0082】
別の実施形態において、核酸配列を含むベクター。
【0083】
別の実施形態において、ベクターを含む宿主細胞。
【0084】
別の実施形態において、キメラタンパク質構築物を、宿主細胞発現系におけるタンパク質をコードしている核酸配列の発現により調製する。
【0085】
別の実施形態において、宿主細胞発現系におけるタンパク質をコードしている核酸配列の発現によるキメラタンパク質構築物の調製方法。
【0086】
別の実施形態において、宿主細胞発現系が真核生物発現系である方法。
【0087】
別の実施形態において、宿主細胞発現系が細菌発現系である方法。
【0088】
別の実施形態において、細菌が大腸菌である方法。
【0089】
別の実施形態において、真核生物発現系が動物細胞又は酵母細胞である方法。
【0090】
別の実施形態において、酵母がピスチア・パストリス(Pischia pastoris)である方法。
【0091】
別の実施形態において、キメラタンパク質構築物が宿主細胞から細胞外媒体に分泌される方法。
【0092】
別の実施形態において、精製した構築物は、様々な血栓状態を有する哺乳動物を治療するための治療薬として及び医薬組成物において有用である。哺乳動物は、ヒト、げっ歯類又は家畜になり得る。
【0093】
別の実施形態において、精製した構築物を、追加の安定剤及び賦形剤と共に又は伴うことなく、様々な循環器疾患を緩和するための治療薬として使用した。
【0094】
本発明の別の実施形態において、精製した構築物を1種以上の医薬組成物に製剤する。1種であれ複数であれ、精製した構築物を含有する医薬組成物を、固体の形態(すなわち、バイアル内で凍結乾燥させて、後に適切な溶液中で再構成する)又は液体の形態の両方に製剤することができる。
【0095】
1つの特定の実施形態において、精製した構築物を含有するこれらの組成物は血栓溶解療法又は治療用のキットを構成し、このキットは任意で他の構成要素、例えば有効成分の再構成用の溶液の入った容器、カニューレ、静脈内投与のための生理学的血清の入った点滴バッグ、使用説明書等を含み得る。
【0096】
薬学的組み合わせを、組み合わせた形態(すなわち、全ての有効成分を組み合わせて1つの製剤とする)又は個々の形態(すなわち、有効成分を組み合わせて1つの製剤にしない(又は全て組み合わせない))で、経口投与用の錠剤、カプセル、エリキシル製剤、直腸内投与用の座薬、注射による投与用の滅菌溶液、懸濁液等として製剤し、また使用し得る。用量及び投与方法を最適な有効性が得られるように調整し得るが、患者の体重、食事、並行して受けている薬物療法等の要因及び医療技術者ならわかるその他の要因に左右される。
【0097】
一般に、本発明の精製した構築物に関し(使用、方法、医薬組成物及び製品を含む)、使用する精製した構築物の効力に応じて、0.1〜1000mgの量を投与する(必要に応じて1回の量として又は複数回の投与で)。
【0098】
好ましい実施形態には、本明細書に記載されるような治療有効量の精製構築物又は精製構築物の濃縮組成物を薬学的許容可能な担体又は希釈剤中に含む、保管及びそれに続く投与のために調製した医薬組成物が含まれる。治療用の許容可能な担体又は希釈剤は製薬分野で周知であり、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.(A.R.Gennaro edit.1985)に記載されている。
【0099】
保存料、安定剤、着色料、更には着香料をこの医薬組成物に配合し得る。例えば、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸及びp−ヒドロキシ安息香酸のエステルを保存料として添加し得る。加えて、酸化防止剤及び懸濁剤を使用し得る。
【0100】
精製構築物又はその医薬組成物若しくは製品を併用療法においてインビボで使用するにあたって、組成物/製品を哺乳動物に様々なやり方で投与することができ、非経口的投与(例えば、静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与、結腸内投与、直腸内投与、経鼻投与、頬側投与、経皮投与、腟内投与、腹腔内投与)が含まれ、多種多様な剤形を用いる。
【0101】
当業者には極めて明白なように、有用な生体内投与量及び特定の投与方法は治療対象である哺乳動物の種、使用する特定の組成物及びこれらの組成物の具体的な用途に応じて変化する。有効投与レベル、すなわち所望の成果を得るのに必要な投与レベルの決定は当業者の領域内にある。典型的には、組成物の投与を低投与レベルで開始し、所望の効果が得られるまで投与レベルを上昇させる。
【0102】
一般に、本発明の方法を行うにあたって、精製構築物又は医薬組成物の投与量は所望の効果及び治療適応に応じて大きく変化し得る。典型的には、精製構築物の適切な投与量は約0.1〜1000mg、好ましくは約10〜500mg、より好ましくは約10〜150mg、最も好ましくは約10〜120mgである。投与は好ましくは非経口、例えば静脈内投与である。また、投与は好ましくは必要に応じて単回投与又は複数回投与である。投与は好ましくは非経口、例えば静脈内投与である。また、投与は好ましくは必要に応じて単回投与又は複数回投与である。
【0103】
注射剤を、溶液若しくは懸濁液、注射前は溶液若しくは懸濁液に適した固体の形態又はエマルションの慣用の形態に調製することができる。適切な賦形剤は、例えば水/生理食塩水、デキストロース、マンニトール、ラクトース、レシチン、アルブミン、グルタミン酸ナトリウム、システイン塩酸塩等である。加えて、望ましいならば、注射可能な医薬組成物は少量の非毒性の補助物質(潤滑剤、pH緩衝剤等)等を含有し得る。望ましいならば、吸収強化製剤(例えば、リポソーム)を利用し得る。
【0104】
非経口投与の場合、本発明に従って使用するゴマ油、ピーナッツ油又は水性プロピレングリコール中の薬学的に活性な剤の溶液を利用し得る。水溶液は必要に応じて適切に緩衝剤で処理され得て(好ましくはpH4〜9)、希釈液がまず等張性にした。例えばNIFをpH約7の水溶液で使用する。しかしながら、NIFはもっと低いpH約4の水溶液で安定である。好ましい「パートナー化合物(partner compound)」、t−PA(又はそのバリアント)は一般にpH約5の水溶液で使用される。これらの水溶液は静脈内注射の目的に適している。油性溶液は関節内、筋肉内及び皮下注射の目的に適している。これらの溶液全ての滅菌条件下での調製は、当業者に周知の標準的な製薬技法で容易に成し遂げられる。
【0105】
本発明の医薬組成物及び製品を、当業者に周知の方法を利用して、再構成及びその後の投与の前の保管のために凍結乾燥し得ることに留意すべきである。凍結乾燥されようと別の形で保管されようと、本発明の組み合わせの有効成分を凍結乾燥前又は再構成後に(後の同時投与のために)混合し得る、あるいは(後に同時に、別々に又は連続して投与するために)個別に保管し得る。
【0106】
1つの特定の実施形態において、投与は、例えば静脈注射による又は血餅の近辺においてインシチュで投与するためのカテーテル留置での局所投与による非経口投与である。
【0107】
本発明で提供する薬学的組み合わせの組成物に存在し得る精製構築物の量は広い範囲で変化し得るが、常に治療有効量である。
【0108】
本発明の薬学的組み合わせの組成物を使用した各血栓溶解治療プロトコルの投与量は、各ケースにおける患者の年齢、病状、治療対象である臨床症状の重症度、投与する精製構築物の投与経路、投与頻度を含めた数多くの要因に左右される。
【0109】
一態様において、本発明は、既に説明したように、血栓溶解療法用の本発明の薬学的組み合わせ又はキットに関する。
【0110】
別の追加の態様において、本発明は治療及び血栓溶解療法の方法にも関係し、患者に治療有効量の1つ以上の精製構築物を投与することから成る。この関係で、本発明の組成物は、発病において炎症反応、組織の虚血、血栓症による血液レオロジー及び血管微小循環の障害が起きる虚血性心疾患、その合併症、虚血性脳卒中、リウマチ様疾患及び他の病態の治療に特に適格である。
【0111】
本発明は、6つのアミノ酸を含むリンカー配列を有するトロンボモジュリンのEGF4、5、6ドメインとの組織プラスミノーゲン活性化因子の融合構築物を開示する。このリンカー配列の長さ及びアミノ酸配列順序を、両方の特性の機能を更に最適化するために変更又は調節することができる。最初に設計したリンカー配列のない構築物をリンカーを設計した構築物と比較したところ、最適化したリンカーを含有する異なる構築物におけるタンパク質C活性のごくわずか約20〜25%しか示さなかった。
【0112】
別の実施形態において、本発明は、非天然の融合タンパク質コード化遺伝子ブロック及びそのバリアントの標準的な遺伝子工学法による作製を開示する。
【0113】
更に、タンパク質C結合及び活性化において重要な役割を果たすEGFの4番ドメインに必要な柔軟性を付与するために、タンパク質間融合リンカー配列は優先的に3個以上のグリシンアミノ酸残基をEGF4、5、6ドメインのプラスミノーゲン活性化因子成分との接合部位に含有した。同様に、リンカーを、トロンビン結合が促進されるようにと、tPAのN末端領域で融合させる場合にEGFの6番ドメインのすぐ後に置いた。これはEGF4、5、6を組織プラスミノーゲン活性化因子の秩序だった構造/ドメイン間に導入する場合に特にあてはまった。このため、リンカーの役割は、2つのパートナーを融合させて両方のパートナータンパク質の機能性を維持しようとする場合に明らかであった。
【0114】
リンカー配列は、1つの正に帯電したアミノ酸(リジン又はアルギニン)がVal残基とタンデムとなるが2又は3個のグリシン残基の前に置かれるように選択されるため、溶解中に一時的にトロンビンが形成される可能性が極めて高い血餅の近辺でプラスミンにより切断することができ、両方のドメインは損傷部位において独立してその役割を果たすことができる。
【0115】
リンカーは1つのプロリンアミノ酸も含有し、このアミノ酸は実際にEGF4、5、6ドメインがトロンビン及び活性化タンパク質Cに結合しながら最適に作用することができるようにEGF4、5、6ドメインの方向を変更するのに役立つ。
【0116】
別の実施形態において、設計された構築物リンカー長さを延長又は短縮することができ、またアミノ酸の配列を天然及び非天然のアミノ酸で変更することによって活性化速度を変更することができる。
【0117】
別の実施形態において、トロンビン切断可能配列、トランスグルタミナーゼ認識配列及び他の血液プロテアーゼ感受性部位を、線維素溶解及び抗血栓機能に影響を与えることなくリンカーに導入することができる。
【0118】
別の実施形態において、本発明は、様々な融合ポリペプチド及びそのより良好なバリアントの発現及び精製方法を開示する。
【0119】
別の実施形態において、本発明は、血栓溶解剤の特性と抗トロンビン及びタンパク質C抗凝固特性を合わせ持つ様々な非天然のポリペプチドを開示する。
【0120】
別の実施形態において、EGF4、5、6の酸化耐性形態を、未変性のtPAと比較して変異による変化を有する組織プラスミノーゲン活性化因子の機能的に改善されたバリアントに融合させた(例えば、DNA SEQ ID 20)。
【0121】
別の実施形態において、EGF4、5、6の酸化耐性形態をストレプトキナーゼのプラスミン耐性形態に融合させた。
【0122】
別の実施形態において、EGF4、5、6の酸化耐性形態を1つ以上のシステイン残基が遊離の血栓溶解タンパク質に融合させた。
【0123】
別の実施形態において、発現した融合ポリペプチドを心血管疾患の治療に使用する。
【0124】
別の実施形態において、適切な医薬組成物は、FDAが認可した化学的安定剤、例えばマンニトール、ヒト血清アルブミン(HSA)等及び可溶化剤等と共に発現した融合ポリペプチドを有する。
【0125】
ヒトに静脈内投与するための発現した融合構築物製剤はFDAが認可した安定剤を含有し得る。
【0126】
別の実施形態において、EGF4、5、6及びそのバリアントを、ウロキナーゼタイプのプラスミノーゲン活性化因子と融合することができる。
【0127】
別の実施形態において、異なるEGF融合構築物を、SK、tPA及びSAKと75〜100%の相同性を示し、また未変性のタンパク質と比較して50〜100%のプラスミノーゲン活性化能を示すタンパク質で作製することができる。
【0128】
別の実施形態において、EGF4、5、6バリアントが独立して発現させた未変性のEGF4、5、6ドメインと比較して75〜100%の相同性/類似性並びに50〜100%の抗トロンビン及びタンパク質C活性を示す、SK、tPA及びSAKと融合させたEGF4、5、6のバリアント。
【0129】
試薬
遺伝子構築物:
EGF4、5、6ドメイン配列は、酵母ピチア・パストリス(Pichia pastoris)における最適な発現のために商業的にカスタム合成(GeneScript Inc、米国)されたヒトトロンボモジュリンcDNAのものであった。合成遺伝子セグメントを正しい順序でライゲーションし、細菌プラスミドでクローニングした。一方のトロンボモジュリンのEGF4、5、6ドメインと血栓溶解剤(例えば、SAK、SK又はtPA(又はこれらの誘導体/変異体))との融合構築物を本質的に、(a)化学的手法を用いたカスタム遺伝子合成と、(b)適切なプラスミドから特異的に設計したプライマーを使用して選択された遺伝子セグメントを得るための定評のあるPCR技術の使用(以下の実施例で用いた方法を参照のこと)とを組み合わせ、続いてPCRで得られた遺伝子セグメントブロックを単離し、これらをオーバーラップエクステンションPCR等の特殊なPCR法を用いてインフレームで「融合」することによって行った。一般に、通常のPCRは、適切な高処理能力の熱安定性DNAポリメラーゼ(Fermantas Inc.又はStratagene Inc.のPfu DNAポリメラーゼ)又は高フィデリティpfuターボ(Stratagene Inc.)酵素を使用して行われた。ハイブリッドDNA構築物を、タンパク質の同時発現のないルーチンのプラスミドサブクローニングのための適切な大腸菌株XL−Blue及びT7 RNA Polプロモーター下でのタンパク質発現のための株BL21(DE3)株(Novagen Inc.、マディソン、WI、米国から調達)への形質変換によりT7 RNAポリメラーゼプロモーターをベースとした発現ベクターpET23−dにおいてクローニング/発現させ、またベクターpPIC−9Kにインフレームα交配因子シグナル配列を有するメタノール誘導性プロモーター下で酵母(ピチア・パストリス)において発現させ、GS115細胞を発現に使用した(Invitrogen Life Technologies、カリフォルニア、米国)。様々な制限エンドヌクレアーゼ、T4 DNAリガーゼ及び他のDNA修飾酵素をNew England Biolabs(ビバリー、MA)から入手した。オリゴヌクレオチドプライマーは、Biobasic,Inc.(カナダ)から入手した。DNAの精製及びPCR増幅産物のアガロースゲルからの抽出を、Qiagen GmbH(ドイツ)から入手可能なキットを使用して行った。蛍光色素を使用した自動DNAシーケンシングを、16本のキャピラリのApplied Biosystems 3130xlジェネティックアナライザで行った。Glu−プラスミノーゲンはRoche Diagnostics GmbH(ペンツベルク、ドイツ)から購入するか、アフィニティクロマトグラフィによりヒト血漿から精製した(Deutsch and Mertz、1970)。ヒトタンパク質C、トロンビン、ヒルジンはCalbiochem(米国)から購入し、ウサギの標準トロンボモジュリン及び組み換えトロンボモジュリンを両方共、American Diagnostica Inc.(米国)から購入した。N末端気相アミノ酸シーケンシングを、Applied Biosystemsシーケンサーモデル491を使用して行った。ウロキナーゼ、EACA、シアノ水素化ホウ素ナトリウム及びL−リジンをSigma Chemical Co.(セントルイス、米国)から購入した。フェニルアガロース6XL及びDEAEセファロース(ファストフロー)をGE−Amersham(ウプサラ、スウェーデン)から調達し、Ni−NTAビーズをQiagenから調達した。他の試薬は全て入手可能な範囲で最高の分析グレードであった。
【0130】
実施例で用いた一般的な方法:
1.組み換えDNA融合方法:
まとめて組み換えDNA技術と称される様々な方法は分子生物学の分野で今や周知である。幾つかの技法、標準的なプロトコル及びこれらの変形は幾つかの参考文献、例えばSambrook et al.,Molecular Cloning:A laboratory Manual(II
nd edition,Cold Spring Harbor Press,New York.,1989;McPherson,M.J.,Quirke,P.,and Taylor,G.R.,[Ed.]PCR:A practical approach.,IRL Press,Oxford.,1991).に詳しく記載されている。しかしながら、幾つかの変更が融合構築物の設計で必要であり、発行された文献から異なる刊行物を特定の用途に合わせて引用する。本発明において、発明者は2個の遺伝子を融合させたが、Hoら(Ho,Hunt et al.1989)及びMehta及びSingh(Mehta and Singh 1999)のオーバーラップエクステンションPCRとして知られる方法に頼った。2Kbまでの小さい構築物の増幅には、pfu DNAポリメラーゼ(Fermentas Inc.、米国)を使用し、点変異構築用に高フィデリティのポリメラーゼ作用が必要とされるより長いPCRには、pfuターボ(Stratagene)を長さ6〜7Kbのフラグメント増幅の増幅及び部位特異的変異誘発に使用した(Wang and Malcolm 1999)。
【0131】
2.制限酵素切断及びライゲーション:
制限酵素切断及びライゲーション用の酵素は、New England Biolabs(米国)から入手し、Fermantas Inc.の「消化が速い」制限酵素を製造者のプロトコルに従って使用した。ほぼ全てのキメラ融合構築物例について述べるように、ライゲーションは、XhoI(四塩基カッター)及びNotI(六塩基カッター)で消化されたベクターとインサートとの間で行われ、定方向クローニングの機会を最大にした。
【0132】
3.大腸菌XL 1Bコンピテント細胞におけるライゲーション混合物の電気穿孔及びpPIC−9Kにおけるベクター含有直線化インサートの形質転換:
反応用のライゲーション混合物をXL 1Bコンピテント細胞に電気穿孔した(Sharma and Schimke 1996)。QiagenのMidi prepキットで指示に従って調製した多量のDNA。Midi調製の最終ステップにおいて、DNAを高塩分濃度で溶出させ、ここで発明者はpH5の0.3Mの酢酸ナトリウムを最終濃度で使用し、70%のエタノールを消化反応を妨害し得る余分な塩の除去に使用した(Sambrook et al.,1989)。この工程により、発明者は50〜60μgのDNAを得て、DNAはBg1 II酵素を使用した直線化ステップに供され、消化後、再度酢酸ナトリウム及びエタノール沈殿ステップに供され、最後に乾燥させたペレットを7〜8μlのオートクレーブした塩非含有水に溶解させ、1〜3μg/μlのDNAが得られた。ここで7〜10μgのDNAをピチア・パストリスのHis−GS115細胞のエレクトロコンピテント細胞における形質転換に使用し、最後にMD培地上に蒔き、His+形質転換体だけがプレート上で成長した。プラスミドpPIC−9kは、AOX1プロモーターを使用した相同組み換えを通じて所望の遺伝子のマルチコピー挿入が可能となるような形で設計される(Ramchuran,Mateus et al.,2005)。マルチコピーターゲット遺伝子挿入は、細菌カナマイシン耐性遺伝子(Tn903)を介し、抗生物質濃度の上昇に伴うゲンチシン(genticin)耐性個体群をモニタすることによってモニタすることができる。ピチアはそのままでゲンチシン耐性0.25mg/mlに耐えるが、0.5mg/ml及び4mg/mlは1〜2コピー及び7〜12コピー挿入をそれぞれ示す。ゲンチシン耐性は所望の遺伝子の複数挿入と直接の相関関係にある。遺伝子量効果により、所望の遺伝子産物の分泌量の多さはより多い挿入数に対応すると推論することができる(Norden,Agemark et al.2011)。
【0133】
4.融合構築物の封入体の発現、単離及びリフォールディング
EGF−SAK、SAK−EGF等の一部の構築物を、pET23−d下で発現させ、キメラタンパク質は宿主である大腸菌Bl 21−DE3細胞において封入体の形態で蓄積した。封入体が形成された場合は、最大量の過剰発現タンパク質が得られた(Misawa and Kumagai 1999;Zhang,Xu et al.2009)。大腸菌BL21 DE3細胞をキメラ融合タンパク質の封入体の産生に使用し、一晩増殖させたBL21 DE3細胞培養物からの25mlのLB(ルリアベルターニ)を一次接種材料として使用し、500mlのLB(二次培養物)培地に移した。OD
600が一旦0.6〜0.8に達したら、タンパク質生成を1mMのIPT
Gの助けを借りて誘導した。誘導後、細胞を振盪条件下で6時間にわたって40℃で維持した。6時間のインキュベーション後、細胞を6000rpmでの10分間にわたる4℃での遠心分離により収穫した。最後に、収穫した細胞を50mMのtris、100mMのNaCl及び1mMのEDTA溶液で洗浄して細胞塊から培地成分を除去した。洗浄後、細胞を最終OD
60035〜40まで洗浄液に懸濁させた。この希釈で、細胞をプローブタイプのソニケーターでの超音波処理に供し、30秒のオン/オフサイクルを45分間にわたって行った。溶解サイクルの完了後、細胞ペレットを12,000rpmでの15分間にわたる遠心分離により収穫した。得られたペレットを2回、100mMのNaCl、50mMのTris Cl(pH7.4)、1mMのEDTA、0.1%のTriton X−100及び2Mの尿素含有溶液で洗浄した。再度、これらの封入体を溶液に再懸濁させ、12000rpmでの15分間にわたる遠心分離により収穫した。収穫したペレットを2回、100mMのNaCl、50mMのTris Cl(pH7.4)及び1mMのEDTA溶液で洗浄すると、Triton X−100が除去された。最後に、ペレットを8Mの尿素(20mMのTris Cl中で調製、pH7.4)及び1mMのDTTに2時間にわたって再懸濁させた。この溶液中の溶解した封入体の殆どが、12000rpmでの20分間にわたる遠視分離によりペレットから分離し、最終的な上清は最大量のキメラ融合タンパク質を含有していた。ここで、このタンパク質画分をリフォールディングのために供し、最高0.2mg/mlまで希釈し、以下の条件下でリフォールドした:50mMのNaCl、50mMのTris−Cl、2%のグリセロール中の2Mの尿素、酸化/還元グルタチオンモル比1.5:0.5、ごく軽く撹拌しながら4℃で36時間。このリフォールディングステップの完了後、混合物を20mMのTris Cl(pH7.6)及び50mMの尿素に対して48時間にわたって透析し、透析した反応混合物を疎水及びイオン交換クロマトグラフィを用いたタンデムクロマトグラフィによる精製に供した。ジスルフィド結合形成を、ジスルフィド結合形成及びリフォールディングの直接的な指標であるDTNB反応によりモニタした(Riener,Kada et al.2002)。最後に、精製したタンパク質を様々な活性アッセイに供した。
【0134】
5.プラスミノーゲン活性化検出のためのカゼイン/プラスミノーゲンオーバーレイ:
融合構築物においては、予備レベルにおいて、プラスミノーゲン活性化をこの方法でスクリーニングし、5%(w/v)のスキムミルクを15mMのNaCl及び50mMのTrisを1%のアガロースと共に含有している水中で沸騰させる。冷却後、約200〜400μgのプラスミノーゲンをこの混合物に添加し、スクリーニング対象であるコロニー/クローンの入ったLBアンピシリン含有プレートにオーバーレイした(Malke and Ferretti 1984)。プラスミノーゲン活性化能を有する全ての融合組み換えタンパク質は、1〜2時間から最高18時間にわたるインキュベーション後、カゼインを分解し、白色の背景に対して見えやすいクリアランス領域を生じさせるプラスミンの生成に起因する加水分解領域から容易に検出された。
【0135】
6.プラスミノーゲン活性化プロファイルをチェックすることによる最良のプロデュースクローンのスクリーニング:
ゲンチシン耐性マーカーを使用してより多いコピー数を含有する形質転換体を選択した後、最良のプロデューサークローンの実際のスクリーニングに供した。この方法では、一次培養物は2.5mlのBMGY培地(1%酵母抽出物、2%ペプトン、1Xグリセロール、1Xアミノ酸非含有酵母ニトロゲンベース及び100mMリン酸カリウム緩衝液pH5.5)において、30℃で16〜18時間にわたって培養した。一旦光学密度(OD
600)が最高3〜4単位に達したら、7.5mlのBMMY培地(1%酵母抽出物、2%ペプトン、1Xメタノール、1Xアミノ酸非含有酵母ニトロゲンベース及び100mMリン酸カリウム緩衝液pH5.5)を添加することによって培養物を誘導した。これらの培養物を、組み換え産物の産生のために最終の0.5v/v%メタノールで5日間にわたって更に誘導すると、組み換え融合タンパク質が強力なメタノール誘導性プロモーターの影響下で産生された。
【0136】
7.酵素電気泳動:
プラスミノーゲン活性化能を有する細胞外分泌産物及び関心の対象である所望のバンドはこの方法により検出され、10〜12.5%SDS−pageゲルを非還元サンプルバッファー中で行った。完了後、余分なドデシル硫酸ナトリウムを2.5%のTriton X−100溶液中での洗浄により除去した。次に、このゲルを2〜3回、50mMのTris(pH7.4)ですすいだ。この洗浄したゲルをスキムミルクアガロース及びプラスミノーゲン含有固形物面(寒天ゲル)上に置いた。5〜7時間にわたるインキュベーション後、加水分解領域が広がって目に見えるようになり、分解されたタンパク質におけるプラスミノーゲン活性化能を表している。
【0137】
8.ウェスタンブロット技法:
所望のタンパク質の検出は、ウェスタンブロット法の助けを借りて行われた。ピチア・パストリス細胞からの細胞外媒体に分泌された全ての融合構築物を6000rpmでの遠心分離により分離し、上清を所望の産物の同定のために取り出した。上清をウェスタンブロット法のためにそのままで直接取り出した。あるいはまず5KDa又は10KDaのカットオフ範囲のコンセントレーター(Amicon)で濃縮した。あるいは、トリクロロ酢酸沈殿に供し、アセトンで洗浄し、10〜12.5%SDSポリアクリルアミドゲル上に置いた。タンパク質を、25mMのトリス、175mMのグリシン及び20%のメタノールを含有する転写バッファーの助けを借りてニトロセルロース膜上で転写した。膜上でのゲルブロッティングを250mAで35分間にわたって行った。ブロットした膜を10%のスキムミルクで一晩、4℃で浸漬させ、あるいは37℃で2時間にわたってインキュベートした。このブロットを更に0.1%のTween−20を含有するリン酸緩衝食塩水で3回洗浄し、これにより余分なスキムミルクが除去された。その後、ブロットを一次抗体又はポリセラ(polysera)に推奨される希釈で1時間にわたって浸し、Tween−20含有PBSで3回洗浄した。更に、このブロットをHRPコンジュゲート二次抗体でインキュベートし、続いてPBS洗浄を3回行った。最後に、ブロットをDAB(ジアミノベンジジン)溶液の添加により現像した。
【0138】
9.リジン/アガロースクロマトグラフィ:
EGF4、5、6との様々な組織プラスミノーゲン活性化因子融合構築物は、リジン残基への親和性で知られるクリングルドメインを含有する(McCance,Menhart et al.1994;Ye,Rahman et al.2001)。この方法においては、組織プラスミノーゲン活性化因子融合ポリペプチドを有する、ピチア・パストリス発酵から得られた上清をリン酸緩衝液(pH7.5)に対して3〜4時間にわたって透析し、リン酸緩衝液で事前に平衡化したリジン/セファロースカラム(Amersham Biosciences、ウプサラ、スウェーデンから購入)に約0.5ml/分のゆっくりとした流速で装填した。装填完了後、カラムを再度4〜5ベッド体積のリン酸緩衝液で洗浄すると、最終的にタンパク質が0.3Mのε−アミノカプロン酸及び100mMのNaCl溶液に溶出された(Qiu,Swartz et al.1998)。
【0139】
10.トロンビンアフィニティクロマトグラフィ:
トロンビンカップリングを、上述の手順により臭化シアン活性化ビーズで行った(Salem,Maruyama et al.1984)。ここで、異なる精製ステップで得られたタンパク質を最終的に、カラムが50mMのTris Cl(pH7.4)で平衡化されたトロンビンアフィニティに供し、約0.5ml/分のゆっくりとした流速での装填に使用した50mMのTris Cl(pH7.4)に対して透析した。装填完了後、カラムを同じ緩衝液で洗浄した。最後に、NaClの勾配を上昇させることによってタンパク質を溶出させた(Salem,Maruyama et al.1984)。次に、異なるタンパク質画分をタンパク質C活性化能について試験した。
【0140】
11.疎水性相互作用クロマトグラフィ:
EGF−SK、EGF−tPA及びEGF−SAKの異なる融合遺伝子構築物の精製を異なるクロマトグラフィ法で行い、疎水及びイオン交換クロマトグラフィを異なる融合ポリペプチドの頻回の精製に用いた(Goyal,Sahoo et al.2007)。疎水クロマトグラフィにおいては、平均粒径100〜300μM直径のフェニルセファロース(Amersham Biosciences、ウプサラ、スウェーデン)6%架橋ビーズをカラムの準備に使用した。単純なXK16/20カラム(Amersham Biosciences、ウプサラ、スウェーデン)を蠕動ポンプの助けを借りてパックし、約25mlのフェニルセファロースベッドを形成し、4〜5ベッド体積の0.3MのNaCl及び50mMのTrisで平衡化し、ピチア・パストリス発酵中に得られた、所望の融合構築物を含有する隣接する上清を平衡化緩衝液と同じ緩衝強度及び塩の組成物に透析により維持した。平衡化された上清をパックされたカラムに流速40ml/時間で装填し、上清の装填完了後、4〜5ベッド体積の平衡化緩衝液を通して培地成分及び非特異的に結合した不純物を除去すると、最終的に所望の融合ポリペプチドが水に溶出した。溶出したタンパク質を2回目の精製に供し(以下を参照のこと)、プラスミノーゲン活性化及びトロンビン阻害及びタンパク質C活性化アッセイについて試験した。
【0141】
12.DEAE(ジエチルアミノエチル)イオン交換クロマトグラフィ:
このクロマトグラフィ手順においては、DEAEセファロース(登録商標)ファストフローをXK16/20カラム(Amersham Biosciences、ウプサラ、スウェーデン)にパックし、概して、製造者の説明書に従い、殆どの場合、20mlの膨潤マトリックスをパッキングに使用した。このカラムを20mMのTris Cl緩衝液(pH7.4)で平衡化し、ピチア・パストリスから得られた上清を、20mMのTris Cl緩衝液(pH7.4)に対して十分に透析した後、平衡化したカラムに装填し(別々に実行)、あるいは疎水性相互作用クロマトグラフィによる精製後(上記)、またそのイオン強度を平衡化緩衝液と同じに維持したまま、それぞれのカラムに装填した。装填完了後、各カラムを4〜5ベッド体積の平衡化緩衝液で洗浄し、この洗浄は非特異的に又は緩く結合した不純物及びポリペプチドの除去に役立つ。タンパク質の溶出を、1MのNaClの上昇勾配を5ベッド体積のマトリックスにかけて行った。タンパク質量子化(quantization)をブラッドフォード法の助けを借りて行い(Bradford 1976)、BSAの標準曲線と比較した。最後に、精製したタンパク質を20KDaのカットオフ値のコンセントレーター(Amicon)で濃縮し、様々な分析及び機能アッセイに使用した。
【0142】
13.EFG−血栓溶解性融合構築物のプラスミノーゲン活性化アッセイ:
全てのキメラ融合ポリペプチド構築物は血栓溶解成分(SK、SAK、tPA)を含有した為、これらの構築物のプラスミノーゲン活性化能をプラスミン用の発色性ペプチド基質からの色素の放出によって測定した。ストレプトキナーゼ及び全ての融合構築物の一段階アッセイを2μMのヒトプラスミノーゲン、50mMのTris、0.05%のBSA及び5mMの発色基質を使用する条件下で行い、発色基質の放出を時間の関数として分光光度的にモニタする。次に非線形回帰を行い、吸光度と時間
2との間のプロットは直線方程式に従った。ストレプトキナーゼは速やかにプラスミノーゲンのプラスミンへの変換を開始し、また事実上、活性化における遅延を示さないが、一部の融合構築物の場合、プラスミノーゲンをプラスミンに活性化するのに長い時間がかかる。これはプラスミノーゲンのプラスミンへの酵素前駆体活性化(経路I)がアクティブではなく、微量のプラスミンが活性複合体を形成することを示した。このことは、微量(ナノモル)の外部プラスミンの段階的な添加によりラグタイムが段階的に短くなった時、確認された。組織プラスミノーゲン活性化因子によるプラスミノーゲン活性化の場合は、迅速且つ単純な分光光度法に従い、単純な発色ペプチド(H−D−Val−Leu−Lys−pNA、S−2251、Chromogenix Inc.から購入)を、組織プラスミノーゲン活性化因子の作用によって形成されるプラスミンの検出に使用した(Verheijen,Mullaart et al.1982)。この方法を、フィブリン及び組織プラスミノーゲン活性化の存在下での強化されたプラスミノーゲン活性化の検証にも用いた(van Zonneveld,Veerman et al.1986)。この活性化アッセイにおいては、2μMのプラスミノーゲン、0.05MのTris Cl(pH7.2)、100mMのNaCl、0.05%及び0.5mMのS−2251とインキュベートした異なる精製量のタンパク質を可溶性フィブリン(American Diagnostics、米国から購入)の存在下及び不在下及びフィブリンなしで使用した。1分の間隔で最高2時間にわたって405でモニタした吸光度。
【0143】
14.異なる融合構築物での凝固時間実験:
異なるキメラ構築物の存在下でのトロンビン誘導血餅形成への作用を観察するために、異なるトロンビン濃度の標準曲線を作成し、6.6IUのトロンビンでの20秒の凝固時間を得た。次に、同量のトロンビンを構築物の濃度を上昇させながらインキュベートすることによって凝固時間がコントロールの2倍になる濃度を測定した(Lougheed,Bowman et al.1995)。
【0144】
15.異なる融合/キメラ構築物によるタンパク質C活性化:
組織プラスミノーゲン活性化因子、スタフィロキナーゼ及びストレプトキナーゼの異なる融合構築物を用量依存的にトロンビン介在タンパク質C活性化アッセイに供した。このアッセイでは、異なる量のタンパク質(nMレンジ)を10nMのトロンビンと、50mMのTris−Cl、5mMのCaCl
2及び0.05%のBSAの存在下、37℃で20分間にわたってインキュベートした。その後、0.5μMのタンパク質Cをウェルに添加し、20分間にわたって25℃でインキュベートした。その後、0.5mMのヒルジンを添加することによってトロンビンを阻害し、インキュベーションを5分間にわたって25℃で継続し、次に発色基質を0.5mMの最終濃度で添加し、着色されたpNAの放出を405nmで上で詳述したように時間に対してモニタした(Eisenberg,Miletich et al.1988;Ewald and Eisenberg 1995;Lougheed,Bowman et al.1995;Meininger,Hunter et al.1995;Dahlback and Villoutreix 2005)。
【実施例】
【0145】
以下の実施例は本発明を説明するためのものであるため、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0146】
実施例1
ストレプトキナーゼとEGF4、5、6ドメインとの様々な融合遺伝子の調製:
(i)SKコード化オープンリーディングフレーム(ORF)の上流にインフレームで融合したEGFドメインの発現のためのハイブリッド遺伝子構築物:
EGF−SKタンパク質融合をコードしている二本鎖(ds)DNAブロック(EGF4、5、6コード化配列をインフレームでSK ORFのN末端コード化側に融合させた)を、プライマーN_EGF_SK Fp1及びN_EGF_SK Rp2(プライマーの配列に関しては表1を参照のこと)を使用して構築した。細菌発現ベクターpET23−d_SKの設計及び構築はNihalaniら(1998)により記載されている。構築は、pBR322におけるストレプトコッカス・エクイシミリス(Streptococcus equisimilis)、H46AからのSK遺伝子のクローニングを伴い(Pratap et al.,1996)、ファージT7主要カプシドタンパク質からの高効率リボソーム結合部位を含有する発現ベクターであるpET−23dへのサブクローニング(Studier and Moffatt,1986)及び二次構造体形成の傾向を最小限に抑えるための遺伝子の5’端の更なる修飾が続いた。pET23−d_SK構築物から発現したストレプトキナーゼはMet−SKである。更なる詳細は米国特許第7163817号明細書に記載される。この構築物を、SK遺伝子増幅のためのテンプレートとして使用した(DNA SEQ ID 1、対応するタンパク質SEQ ID
112)。
【0147】
EGF4、5、6ドメインに対応する二本鎖ポリヌクレオチドブロック(SEQ ID 2、対応するタンパク質SEQ ID 111)を、テンプレートとして配列ID2に対応する合成遺伝子(DNAポリヌクレオチド)を使用して選択的に増幅し、合成遺伝子はカスタムDNA合成により調製され、pET23−d(Novagen)ベクターにおけるクローニング後、配列ID2に対する自動DNAシーケンシングにより検証された。プライマーN_EGF_SK Fp1はまた(プライマーの詳細については表1を参照のこと)PCR後に得られる遺伝子ブロックを酵母発現プラスミドにドッキングできるようにXhoI制限部位をその5’端に含有した。プライマーN_EGF_SK Rp2は5’端に(EGF4、5、6の6番ドメインの端部とハイブリダイズしているヌクレオチドに加えて)配列、またSK遺伝子ORFの5側とアニールする追加のヌクレオチドを含有した。PCRサイクル条件は以下の通りであった:95℃での5分間にわたるホットスタート、完全変性、95℃での45秒間にわたる変性、続く45℃での45秒間にわたるアニーリング、72℃での1分間にわたる伸長(全部で28サイクル)及び72℃での10分間にわたる最終伸長による不完全なPCR産物の増幅の完了。SK遺伝子ブロックの増幅に関しては、プライマーN_EGF_SK Fp3(上流)及びプライマーN_EGF_SK_Rp4(下流プライマー)(プライマーの詳細については表1を参照のこと)を使用した。PCR条件は以下の通りであった。PCR条件:95℃での5分間にわたるホットスタート、完全変性、95℃での45秒間にわたる変性、45℃での45秒間にわたるアニーリング、72℃での3分間にわたる伸長(全部で28サイクル)及び72℃での10分間にわたる最終伸長による不完全なPCR産物の完全増幅。両方のPCR産物をゲル抽出精製キット(Qiagen)によりアガロースゲルからゲル精製した。これらの2つの精製PCR産物をスプライスオーバーラップエクステンション(SOE)PCR(詳細については、上の「実施例で用いた一般的な方法」のセクションを参照のこと)に供することによってEGF4、5、6コード化配列が終止コドンで終了するSK遺伝子コード化配列とインフレームで融合した隣接EGF4、5、6−SKハイブリッド遺伝子構築物を構築した。この遺伝子ブロックをアガロースゲルから精製された形態で単離し、XhoI及びNotI制限酵素(R.E.酵素)で消化し、同様にカットしたpET23−dプラスミドベクターにライゲーションし(
図1A及び
図2Aを参照のこと)、次に大腸菌XL1B(recA
-及びendA
-)細胞に形質転換させ、この細胞中、ポリペプチドは発現しないが、プラスミドDNAは増殖する。このプラスミドを、正しく融合したEGF&SK成分のDNA配列を検証するためにサンガーのジデオキシシーケンシング法に供した(SEQ ID 4、対応するタンパク質SEQ ID
113)。この構築物において、XhoI及びNotIで消化したカセットをアガロースゲルから単離し、pPIC−9Kに「ドッキング」した。この得られた構築物において、上流EGF4、5、6配列はα−分泌シグナル配列及びKex2プロセシング部位とインフレームに置かれ、ハイブリッド遺伝子構築物EG−4、5、6−SKは、ピチア・パストリス(株GS115)においてベクター中に位置するアルコールオキシダーゼプロモーターからその宿主ゲノムへの組み込み後に発現する(
Norden,Agemark et al.2011)。この発現ベクターから発現したハイブリッドポリペプチドは効率的に膜を越えて輸送されもし(以下の実施例を参照のこと)、また純粋な形で単離することができる。
【0148】
(ii)EGF4、5、6コード化ドメインがSKコード化遺伝子の下流/C末端コード化端でインフレームで融合したSK−EGF4、5、6コード化遺伝子構築物の構築
SK_EGF Fp1(上流)及びSK_EGF Rp2(下流)プライマー(プライマー配列については表1を参照のこと)セットを使用することによって、SKに対応するヌクレオチド配列(DNA SEQ ID 1、対応するタンパク質SEQ ID 114)をpET23−d−SKプラスミドをテンプレートとして使用して増幅した(「実施例で用いた一般的な方法」を参照のこと)。プライマーSK_EGF FplはXhoI制限部位をその5’端に含有し、SK_EGF Rp2はその5’端にSK配列を最高1149bpまで含有し、三重グリシン(Gly−Gly−Gly)コード化セグメント及びトランスグルタミナーゼ認識コード化配列が続き、最後にEGF4、5、6の4番ドメインをコードする5’端とオーバーラップする配列で終了している。得られる遺伝子ブロックは同じXhoI制限部位をその5’端を含有し、下流(3’端)は4番ドメインのためのオーバーラップヌクレオチド配列を含有する。第2のPCRにおいて、SK_EGF Fp3及びSK_EGF Rp4(プライマー配列については表1を参照のこと)のプライマーセットを、テンプレートとしてのpET23−d_EGF4、5、6(EGF4、5、6のための合成カスタムメイド遺伝子を含有する)からのEGF4、5、6ドメインの増幅に使用した。プライマーSK_EGF_Fp3はSKの下流配列、最高1149bpを含有し、三重グリシンコドンセグメント、トランスグルタミナーゼ認識部位コード化配列がその5’端に向って続いた。もう一方のプライマー、すなわちSK_EGF_Rp4は、その5’端にEGF4、5、6の6番ドメインの端部の部分配列及びNotI制限部位を含有した。PCR後、このプライマーセットを使用して得られた遺伝子ブロック2はその5’端に(SKの上流1149番bp、続いて三重グリシンコード化及びトランスグルタミナーゼ認識コード化配列を含有し、他方、その3’端にNotI制限部位を含有してpET23−dベクターへのクローニングを促進する。PCR条件は以下の通りであった:95℃での5分間にわたる完全変性、次に28サイクルの:95℃での45秒間、45℃での45秒間にわたるプライマーのアニーリング及び72℃での1分間、最後に72℃での10分間にわたる伸長により部分長PCR産物を完了させる。
【0149】
両方のPCRブロック(SKのPCRブロック及び部分オーバーラップ配列を有するEGF4、5、6をコードするPCRブロック)を、QIagenゲル抽出キットを使用してゲルから精製した。これらの精製PCR産物をスプライスオーバーラップエクステンションPCRに供して隣接SK_GGG_トランスグルタミナーゼ_EGF4、5、6ハイブリッド遺伝子構築物を構築し、最後にSK_EGF Fp1及びSK_EGF Rp4(プライマーの配列については表1を参照のこと)「エンド」プライマーセットの助けを借りて増幅した。最終的なPCR産物を次にXhoI及びNotI制限酵素で消化した(
図1B及び
図2Bを参照のこと)。ゲルからの精製後、最終的な消化及び精製済みのPCRブロックをpET23−d(事前に同様にXhoI及びNotIで消化し、ゲル精製した)にライゲーションした。得られたプラスミドをpET23−d_SK_GGG_TG_EGFと称し、大腸菌XL1B(recA
-、endA
-)細胞で増殖させた。このプラスミドをサンガーのジデオキシチェーンターミネーション法に供し、また完全クローニングされたインサート配列を検証した(DNA SEQ ID 6、対応するタンパク質SEQ ID 114)。このプラスミド構築物から、Xho1及びNot1酵素を使用して、ハイブリッド遺伝子構築物を単離し、pPIC−9Kにライゲーションし、上流XhoI部位はSK−GGG−TG−EG4、5、6ブロックの発現プラスミドにおけるハイブリッド遺伝子の上流でα−分泌シグナル配列へのインフレームでのドッキングを支援した。このハイブリッド遺伝子構築物をピチア・パストリス(GS115)においてアルコールオキシダーゼプロモーターの制御下、宿主ゲノムへのその組み込み及び機能的スクリーニングによるプラスミノーゲン活性化因子陽性クローンの選択後、発現させた。
【0150】
(iii)EGF4、5、6ドメインのストレプトキナーゼコード化遺伝子セグメントへのインフレーム挿入のためのDNAハイブリッド遺伝子の構築:
ハイブリッド遺伝子構築物を得るための、EGF4、5、6の配列を翻訳的にインフレームなやり方でSKの配列内に散在させた「ドメイン間SK」−EGF構築物の構築も設計し、次に適切なプライマーを使用して形成した(プライマーの配列については表1を参照のこと)。EGF配列を、ドメイン間フレキシブルセグメント(Wang et al.,1998;Yadav&Sahni,2009)をコードしているSK遺伝子の領域、すなわち一方でαドメインとβドメインとの間、あるいは他方でβドメインとγドメインとの間に挿入した。これを目的として、SKのα−ドメインをコードしているDNAの増幅を最初に行い、プライマーセットIDα.Fp1及びIDα Rp2を使用した(配列の詳細については、表1を参照のこと)。プライマーIDα.Fp1はXhoI制限部位をその5’端に含有し、他方、プライマーIDα Rp 2はEGFの4番ドメインのためのオーバーラップ配列をその5’端に含有する。この反応のために、以下のPCR条件を用いた:95℃での5分間にわたるホットスタート、完全変性、続く28サイクルの95℃での45秒間にわたる変性、45℃での45秒間にわたるアニーリング、72℃での1.5分間にわたる伸長及び最後に不完全なPCR産物を完成させるための72℃での10分間にわたる「伸長セグメント」。EGF4、5、6をコードしているDNAブロックも別々にプライマーセットID EGF Fp3及びID EGF Rp4(これらのプライマーの配列については表1を参照のこと)を使用して増幅した。このプライマーセットを使用して、EGF4、5、6配列をコードしているDNAブロックを得て、5’端に向かう上流配列はSKのα−ドメインの下流配列と部分的にオーバーラップした。同様に、このブロックの3’端はSKβ−ドメインの上流配列とオーバーラップしている配列を含有した。SKのβ及びγドメインの両方をコードしている第3のPCRブロックを、プライマーセットID βFp5及びID γRp6(これらのプライマーの配列については表1を参照のこと)を使用してPCRにより得た。この反応に関しては、以下のPCR条件を用いた:95℃での5分間にわたるホットスタート、完全変性、続く95℃での45秒間にわたる変性、45℃での45秒間にわたるアニーリング、72℃での1.5分間にわたる伸長(全部で28サイクル)及び72℃での10分間にわたる最終伸長による不完全なPCR産物の完全増幅。5’端がEGFの6番ドメインの下流配列と相同となるようにID βFp5プライマーを設計し、下流プライマーID γRp6は終止コドン、それに続くNotI制限部位を含有した。3個の遺伝子ブロック全てをアガロースゲルからゲル精製キット(Qiagen)の助けを借りて精製し、ワンポットスプライスオーバーラップエクステンション反応に供して1つの隣接遺伝子産物を得て、遺伝子セグメントの順序は以下の通りであった:SKα−EGF4、5、6−SKβ−SKγ。単純なPCR反応において3個のセグメント全てを1:1:1のモル比で添加し、最初の10サイクルはプライマーなしで行い、次の18サイクルをそれぞれ最終濃度0.6μMのIDαFp1及びIDγRp6を添加して行うことによって3フラグメントSOE中間体を更に増幅した。この反応のために、以下のPCR条件を用いた:95℃での5分間にわたるホットスタート、完全変性、それに続く(各サイクルにおいて)95℃での45秒間にわたる変性、45℃での45秒間にわたるアニーリング、72℃での3分間にわたる伸長及び72℃での10分間にわたる最終伸長による不完全なPCR産物の完成。最終PCR産物をゲル精製し、XhoI及びNotI制限酵素で消化した(
図1G及び
図2Dを参照のこと)。このハイブリッド遺伝子構築物を次にpET23−dベクターにライゲーションし、大腸菌XL1B(recA
-及びendA
-)コンピテント細胞に形質転換させ、DNAはタンパク質発現を起こすことなく増殖でき(宿主が必要とするファージコード化RNAポリメラーゼを提供しなかった為)、これをいわゆるジデオキシチェーンターミネーション法でのサンガーの自動シーケンシングに供した(DNA SEQ ID3、対応するタンパク質SEQ ID 116)。結果によりハイブリッド遺伝子構築物が完全に検証された。その後、ハイブリッド遺伝子カセットをpET23−dドメイン間SK_EGFプラスミドから、XhoI及びNotI酵素での消化により単離した。このカセットを次にα−分泌シグナル配列の上流且つインフレームでpPIC−9Kにライゲーションし、ピチア・パストリス(GS115)に形質転換させ、クローニングし、前回のようにプラスミノーゲン活性化についての機能性スクリーニングにより選択し、発現は、方法のセクションで詳述しているように、宿主ゲノムにおける組み込み後、メタノール誘導後、ベクターのアルコールオキシダーゼプロモーターの影響下にあった。
【0151】
(iv)SK成分がEGF4、5、6コード化ドメインによって両側でフランキングされているハイブリッドSK−EGF遺伝子の構築:
SKコード化配列がインフレームで融合したEGF4、5、6ドメインによって両側でフランキングされている別の構築物も、pET23−d N_EGF_SKプラスミド構築物をとり(上のサブセクションi及びiiを参照のこと)、これをXhoI及びAflII(pET23−d N_EGF_SK構築物に特有の部位)による消化に供することによって構築され、同じ処理をpET23−d−SK_EGF構築物にも行って、両方の消化産物がアガロースゲル上で分離した。N_EGF_SK構築物から得られたXhoI及びAfl−IIセグメントをSK_EGF消化の大きいほうのフラグメントにライゲーションするとN_EGF_SK_EGF(DNA SEQ ID 7、対応するタンパク質SEQ ID 115)がpET23−dベクター中に得られた(
図1C及び
図2Cを参照のこと)。このプラスミドからの発現カセットをXhoI及びNotI消化により単離し(この構築物は前回のようにまずDNAシーケンシングにより検証される)、EGF−SK−EGFハイブリッドカセットの上流でα−分泌シグナル配列とインフレームでpPIC−9Kにライゲーションし、前回のように、宿主ゲノムにおける組み込み後、機能的スクリーニング後(以下を参照のこと)、アルコールオキシダーゼプロモーターの制御下、ピチア・パストリスにおいて発現させた。
【0152】
(v)EGF4、5、6に対応する酸化耐性ポリペプチドセグメントをコードしている配列を含有するN_EGF_SK、SK_EGF及びN_EGF_SK_EGFコード化遺伝子セグメントの構築:
N_EGF_SK、SK_EGF及びN_EGF_SK_EGFポリペプチドにおいて、それぞれEGF4、5、6ドメインの41番アミノ酸残基又はSK_EGFの434番アミノ酸残基並びにN_EGF_SK_EGFの41番及び434番アミノ酸位置に存在するメチオニン残基は、EGF4、5、6ドメインの一部として、その酸化傾向で知られており、これらのドメインの抗トロンビン活性、特にはタンパク質C活性化機能を妨げる。このため、このことに留意しつつ、様々なSK−EGF融合/遺伝子融合セグメントの設計において、発明者はこのメチオニンをバリン/アラニン/グルタミンアミノ酸残基に遺伝子レベルで置き換えた。この目標は、前回のように、高フィデリティ酵素pfuターボDNAポリメラーゼ(Stratagene)の使用及び適切なプライマーを使用した異なるテンプレートにおける部位特異的変異の導入によって達成された(
Wang and Malcolm 1999)。これらの構築物を形成するために、3セットのプライマーを設計し、これらのプライマーがバリン、アラニン又はグルタミンを別々に異なる構築物に遺伝子構築物のEGF4、5、6ドメイン/セグメントの本来のMet残基の位置に組み込むことを可能にする。プライマーセットを以下のように命名した。
i.M rep V Fp及びM rep V Rp(プライマーの配列については表1を参照のこと)
ii. M rep A Fp及びM rep A Rp(プライマーの配列については表1を参照のこと)
iii.M rep Q Fp及びM rep Q Rp(プライマーの配列については表1を参照のこと)
【0153】
次のステップにおいて、pET23−d_N_EGF_SK及びpET23−d_SK_EGFプラスミドを上記のプライマーセットと共にテンプレートとして使用した。各プライマーセットに関し、PCRサイクルスキームは以下の通りであった:95℃での完全変性、続く95℃での45秒間にわたる変性、45℃での45秒間にわたるアニーリング、68℃での7分間にわたる伸長(28サイクル)及び更に10分間にわたる72℃での伸長。この反応で得られた最終PCRブロックをDpnI制限酵素で消化し、この酵素はメチル化DNAを切断し、形質転換後に陽性クローンを得る可能性を上昇させる。このPCR産物を大腸菌XL1−Blue細胞に形質転換させ、アンピシリン含有LB寒天プレート上に蒔き、37℃で16〜18時間にわたってインキュベートした。幾つかのクローンをランダムに選択し、アンピシリン含有LB培地において7〜10mlの培養物に成長させた。プラスミドを単離し、所望の変異の存在を検証するためにシーケンシングした。この手順を採用することによって、メチオニンがバリン、アラニン又はグルタミンアミノ酸に遺伝子レベルで両方の構築物において置き換えられた。これらの構築物を使用して、標準的なサブクローニング手順により、N_EGF_SK_EGF遺伝子におけるバリン、アラニン及びグルタミン変異を形成した。最後に、これらの変異体をpPIC−9Kに移し、その発現を、ピチア・パストリスのGS115株においてチェックした(「実施例で用いた一般的な方法」を参照のこと)。
【0154】
(vi)5個のアミノ酸を欠失したSKのN末端とのΔSK_EGF構築物の構築:
この構築物において、最終的な目的はSKのN末端領域での5個のアミノ酸の除去であった。これらの5個のアミノ酸をコードするヌクレオチドを、PCRプライマーΔSK_EGF Fp1及びΔSK_EGF Rp2(これらのプライマーの配列については表1を参照のこと)の助けを借り、pET23−d_SK_GGG_TG_EGF(酸化耐性。EGF4、5、6セグメントのmet41番をバリンで置き換えた。上記を参照のこと)をテンプレートとして使用して除去した。プライマーΔSK_EGF Fp1はXhoI制限部位及び16番塩基対から始まるSKのオーバーラップ配列をその5'端に含有する。ΔSK_EGF Rp2はEGF4、5、6の6番ドメインの配列及びNotI部位をその5'端に含有する。PCRサイクルをこの反応に以下のようにして用いた:95℃での5分間にわたる完全変性、次の28サイクル:95℃での45秒間にわたる変性、55℃での45秒間にわたるアニーリング、72℃での3分間にわたる伸長及び72℃での10分間にわたる最終伸長による不完全なPCR産物の完全増幅。最終PCR産物をゲル溶出させ、XhoI及びNotI酵素で消化し、pET23−dベクターにライゲーションし、完全且つ正しいオープンリーディングフレームの検証のためにシーケンシングした。最後に、ΔSK_EGF(
図1Dを参照のこと)カセットをpPIC−9Kにおいてライゲーションし、上述したような標準化手順でその発現についてチェックした。
【0155】
(vii)酸化耐性N_EGF_SK及びN_EGF_SK_EGFコード化遺伝子ブロックの接合部でのトロンビン切断可能部位をコードするDNA配列のインフレーム導入:
N_EGF_SKの発現、精製及びプラスミノーゲン活性化の動態解析から(プラスミノーゲン活性化が遅れることを証明した)、未変性/無修飾SKとは異なり、この構築物は直接、ヒトプラスミノーゲンを活性化できなかったが、事前に生成されたプラスミンの存在を必要としたことが明らかであった。これによって自動的にこのような構築物における血餅特異的な活性化の利点がもたらされる。これは生体内の血餅はプラスミンを多く含有するが、プラスミンは全身循環においては迅速に不活性化されるからである。同様に、フィブリン塊もトロンビンを多く含有する。このため、発明者は構築物中の適切な部位を変異させて構築物をトロンビン活性化可能にもした。これを行うために、発明者はトロンビン切断可能部位によりEGF及びSKのドメイン間接合領域を変異させ、この結果、プラスミノーゲン活性化におけるトロンビン切断可能活性化スウィッチが得られる。このことは漸増的に少量のトロンビンを添加し、(上述した同様のプラスミン富化実験の場合と同様に)、N末端EGF4、5、6融合SK構築物のプラスミノーゲン活性化におけるラグの段階的な減少を観察することによって一段階アッセイでモニタすることができる。第XI因子のトロンビン切断可能配列をEGF及びSK遺伝子構築物の接合部に導入した。これはオーバーラップエクステンションPCRで達成され、オーバーラップ配列及びトロンビン切断可能アミノ酸コード化ヌクレオチドを含有するジャンクションプライマーを使用した。最初のPCR反応において、プライマーN_EGF_TCS Fp1及びN_EGF_TCS Rp2(これらのプライマーの配列については表1を参照のこと)をEGF4、5、6ドメインの増幅に使用した。プライマーN_EGF_TCS Fp1はXhoI制限部位及びEGFの4番ドメインの配列をその5'端に含有し、他方、N_EGF_TCS Rp2はEGFの6番ドメインの配列、それに続くトロンビン切断可能部位コード化配列及びそれに続くSKの上流部を含有する。PCR条件は以下の通りであった:95℃での5分間にわたる変性、次の28サイクルにおいて95℃での45秒間にわたる変性、50℃での45秒間にわたるアニーリング、72℃での1分間にわたる伸長及び72℃での10分間にわたる最終伸長による不完全なPCRフラグメントの完成。この反応によって得られたPCRブロックはXhoI制限部位をその5'端に含有し、トロンビン切断可能コード化ヌクレオチド配列及びSKのオーバーラップ部を3'端に含有する。次のPCR反応において、TCS_SK Fp3及びSK Rp4(これらのプライマーの配列については表1を参照のこと)を使用し、上流プライマー(TCS_SK Fp3)は6番ドメインの配列、EGF4、5、6のオーバーラップ部、トロンビン切断可能コード化ヌクレオチド配列及びSKコード化ヌクレオチド配列を5'から3'の順序で含有する。他方、SK Rp4はNotI切断可能部位をその5'端に含有する。PCR条件は以下の通りであった:95℃での5分間にわたる変性、次の28サイクルにおいて95℃での45秒間にわたる変性、50℃での45秒間にわたるアニーリング、72℃での1分間にわたる伸長及び72℃での10分間にわたる最終伸長による部分長娘フラグメントの合成の完了。得られたPCRブロックは6番ドメインのオーバーラップ配列及びトロンビン切断可能コード化ヌクレオチドを上流に含有するはずであり、下流においてはNotI制限部位を含有するはずである。両方のPCRブロックをゲル精製し、1:1のモル比でシングルポット反応において混合し、エンドプライマーTCS Fp1及びSK Rp6により増幅すると、必要とするN_EGF_TCS_SK PCRブロックが得られ(
図1Eを参照のこと)(TCS:トロンビン切断可能配列)、これをゲル精製し、XhoI及びNotI酵素で消化し、最後に同様に消化したpET23−dに標準的な手順でライゲーションした。この構築物配列を、大腸菌XL Blueにおけるサブクローニング後、オープンリーディングフレームについて検証した。これにより、EGF4、5、6及びSKの接合部に以下のアミノ酸配列を有する第XI因子トロンビン切断可能部位が遺伝子中に創り出されたことが証明された:Ile−Lys−Pro−Arg−Ile−Val−Gly。この配列において、トロンビン特異性はアルギニンとイソロイシンとの接合部での切断につながり、トロンビンの作用後、1つのアミノ酸がSKのN末端から除去された。また第2のアミノ酸がバリンに変更され得る(未変性のSKにおいて、N末端残基はIle−Ala−Gly−である)。その後、N_EGF_TCS_SKカセットをpPIC−9Kにライゲーションし、その発現をピチア・パストリスで行った。トロンビンでの処理後、トロンビン切断が精製構築物において本当であると確かに判明し、N末端タンパク質シーケンシングにより確認された。
【0156】
(viii)SKのβ及びγドメインの接合部で翻訳的にインフレームで融合したEGF4、5、6ドメイン
これを目的として、β−ドメインの増幅をプライマーID αβFp1及びID αβRp2(これらのプライマーの配列については表1を参照のこと)を利用し、pET23−d_SKをテンプレートとして使用して行った。プライマーID αβFp1はXhoI制限部位をその5'端に含有し、他方、ID αβRp2はSKのβドメインの下流配列及びEGF4、5、6の4番ドメインの部分オーバーラップ配列を含有する。これらのプライマーセットで得られたPCRブロックはXhoI制限部位を上流配列に含有し、下流にはβ−ドメインの末端配列及びEGFの4番ドメインのオーバーラップ配列を含有する。次のステップにおいて、EGF4、5、6をコードするPCRブロック2をIDE4Fp3及びIDE6Rp4(これらのプライマーの配列については表1を参照のこと)プライマーセットを使用して単離した。プライマーIDE4Fp3はSKのβ−ドメインの下流配列をその5'端に含有し、IDE6Rp4はγドメイン上流オーバーラップ配列をその5'端に含有する。これらのプライマーセットで得られたPCRブロック2は下流β−ドメインのオーバーラップ配列を5'端に含有し、他方の端はγドメインの上流配列を含有する。この増幅のためのPCR条件は以下の通りである:95℃での5分間にわたる完全変性、次の27サイクル:95℃での45秒間、45℃での45秒間にわたるアニーリング、72℃での1分間にわたる伸長及び72℃での10分間にわたる最終伸長。次のステップにおいて、SKのγドメインをID γFp5及びID γRp6(これらのプライマーの配列については表1を参照のこと)プライマーセットを使用して単離した。ID γFp5’の5'端がEGF4、5、6の6番ドメインの相同下流配列を含有するようにプライマーID γFp5を設計し、ID γRp6は終止コドンとそれに続くNotI制限部位を含有する。以下のpcrスキームをブロック3の増幅に用いた:95℃での5分間にわたるホットスタート、95℃での45秒間にわたる変性、47℃での45秒間にわたるアニーリング及び72℃での1.5分間にわたる伸長。全部で28サイクルを行い、72℃での10分間にわたる最終伸長により不完全な増幅産物を完成させた。得られた全てのPCR産物をゲル抽出キット(Qiagen)によりゲル精製し、A
260により分光光度的に定量化した。最終pcr反応において、3個の遺伝子ブロックの全てをシングルポットでスプライスオーバーラップエクステンション反応に供して1個の隣接遺伝子ブロックを得て、得られた構築物の順序は以下:SKα−SKβ−EGF4、5、6−SKγであり、3個のpcr産物の全てが1:1:1のモル比でポリメラーゼ連鎖反応において混合され、最初の10サイクルはプライマーなしで行われ、次の18サイクルは最終濃度0.6μMのIDαβFp1及びIDγRp6プライマーを添加して行われ、3フラグメント中間体完全遺伝子ブロックを増幅した。PCR条件は以下の通りであった:95℃での5分間にわたるホットスタート、95℃での45秒間にわたる変性(donaturation)、45℃での45秒間にわたるアニーリング、72℃での3分間にわたる伸長。全部で28サイクルを行い、最初の10サイクルをプライマーなしで行い、最終増幅を72℃で10分間にわたって行った。最終的に得られた遺伝子ブロックはXhoI部位をその5'端に含有し、NotI部位をその3'端に含有する。この遺伝子ブロックをXhoI及びNotI酵素で消化し、pET23−d及びpPIC9Kにクローニングした。その発現、精製及びキャラクタリゼーションをピチア・パストリスにおいてチェックした。この遺伝子ブロックはEGF4、5、6ドメインをSKのβ及びγドメインの間に含有する(DNA SEQ ID 5、対応するタンパク質SEQ ID 129;
図1H及び
図2Eを参照のこと)。
【0157】
(ix)N_EGF_TCS_SKハイブリッド遺伝子ブロックのN末端コード化端でのトランスグルタミナーゼ認識配列の組み込み(メチオニン酸化耐性変異を含有):
EGF−SK構築物におけるEGF4、5、6ドメインの4番のドメインの始まり又は前にトランスグルタミナーゼ認識配列を組み込むために、プライマーTG_N_EGF_Fp1及びAfl II Rp2(プライマーの詳細な配列については表1を参照のこと)を設計し、TG Fp1はXhoI制限部位及び第XIII血液因子トランスグルタミナーゼ認識アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列をその上流領域に含有し、プライマーAfl II Rp2はAfl II制限消化部位を含有するその領域のヌクレオチド配列を含有する(SKの165〜170番ヌクレオチドはこのプライマーの中心に位置するAfl II制限部位を含有する)。これらのプライマーから、PCRにより、発明者はXhoI制限部位、トランスグルタミナーゼ認識コード化ヌクレオチド及びEGF4、5、6の4番ドメインの配列を含有する遺伝子ブロックを得て、このブロックの下流部はAfl II制限部位を含有する。この遺伝子ブロック(酸化耐性及びトロンビン切断可能配列含有)をゲルから抽出した。プラスミドpET23−dN_EGF_TCS_SK及びpET23−dN_EGF_TCS_SK_EGFをXhoI及びAfl IIで消化した。この結果、両方のプラスミド構築物からXhoI及びAfl II遺伝子ブロック及び大小の部位が得られた。消化された遺伝子ブロックを構築物の大きいほうの部位とライゲーションし、大腸菌XL Blueに形質転換させてTG_N_EGF_TCS_SK及びTG_N_EGF_TCS_SK_EGF含有プラスミドが得られた(
図1Fを参照のこと)。これらを、正しいオープンリーディングフレーム、すなわち上述のEGF−SK構築物との関連でトランスグルタミナーゼコード化配列の存在についてシーケンシングし、検証した。両方のカセットを次にピチア・パストリスにおいてライゲーションし、これらの構築物の発現についてチェックした(「実施例で用いた方法」を参照のこと)。
【0158】
表1.様々なEGF4、5、6及びストレプトキナーゼ遺伝子融合構築物の調製に使用するプライマー
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0159】
実施例2
様々なEGF−SKハイブリッドポリペプチドの発現及び機能的キャラクタリゼーション
実施例1に記載の異なる遺伝子ブロック、例えばN_EGF−SK、SK−EGF及びN_EGF_SK_EGF並びに別種のドメイン間融合構築物、例えばドメイン間EGF_αβSK、ドメイン間EGF_βγSK、切断ΔSK_EGF並びにN_EGF_SK、SK_EGF及びN_EGF_SK_EGFの酸化耐性形態(トランスグルタミナーゼ及びトロンビン切断部位等が組み込まれ、また全て発現ベクターpPIC−9Kにおいてクローニングされ、またそれぞれの遺伝子融合体の配列から期待される発現した機能的に活性なハイブリッド遺伝子産物に関して検証した)を次に比較的多量の培養物からその更なるキャラクタリゼーションに先立って単離した。実施例1に記載したように、ピチアクローンを最初にルーチンでカゼインオーバーレイ法によりプラスミノーゲン活性化能について試験し、幾つかの(それぞれ10〜20)陽性のものを次にBMGY、BMMY培地(BMGY=1%酵母抽出物、2%ペプトン、1Xグリセロール、1Xアミノ酸非含有酵母ニトロゲンベース及び100mMリン酸カリウム緩衝液pH5.5、BMMY=1%酵母抽出物、2%ペプトン、1Xメタノール、1Xアミノ酸非含有酵母ニトロゲンベース及び100mMリン酸カリウム緩衝液pH5.5)上で成長させ、次に「方法」で前述したようにメタノールで誘導し、細胞非含有上清をカゼインオーバーレイアッセイ(再確認のために)及びペプチド発色基質の存在下でのプラスミノーゲン活性化(分光光度)アッセイに使用した。比較的高いプロデューサーであると判明したものを次に1リットルレベルで成長させ、タンパク質を疎水性相互作用(例えば、フェニル−アガロース)及びイオン交換(DEAE−アガロース)クロマトグラフィのタンデムで精製した(詳細は「実施例で用いた一般的な方法」のセクションに記載)。これら2種類の精製方法で得られたハイブリッドSK−EGFポリペプチドは概してSDS−PAGEで90〜95%純粋であった。精製された全ての構築物をプラスミノーゲン活性化能(ヒトプラスミノーゲンを使用した一段階アッセイ)について試験し、凝固時間を測定するためにトロンビン阻害アッセイを行い、タンパク質C活性化について発色アッセイを行った(「実施例で用いた方法」を参照のこと)。SK_EGF及び酸化耐性SK_EGFはSKと極めて似た、ただし活性化動態における2〜3分多いラグを伴ったPG活性化動態を示したが、N_EGF_SK並びに酸化耐性N_EGF_SK、N_EGF_TCS_SK及びTG_N_EGF_SKの場合、活性化におけるラグはかなり大きく(20〜25分)、その後、プラスミノーゲン活性化動態は未変性のSK様であった。これは構築物によるPGの初期活性化が遅延したが、無修飾のSKの場合は事実上、即時であることを示唆した。しかしながら、一旦SK構築物が活性化されると、ラグの後ではあるが、完全なプラスミノーゲン活性化特性を示した。若干大きいラグ(30〜35分)が双極性EGF融合タンパク質、すなわちN_EGF_SK_EGF、酸化耐性N_EGF_SK_EGF、N_EGF_TCS_SK_EGF及びそのバリアントTG_N_EGF_TCS_SK_EGFにおいて見られた。しかしながら、上述したように、ラグの消失後、タンパク質1ミリグラムあたりのプラスミノーゲン活性化率(比活性)は無修飾のSKのものと同様であった。N_EGF_SK、N_EGF_SK_EGF及び同様の種類の構築物におけるラグの理由は酵素前駆体の自己活性化機構の喪失であると判明した(
Bajaj and Castellino 1977;
Boxrud,Verhamme et al.2004;Aneja,Datt et al.2009)。このことは、少量の(ナノモル量)プラスミンを反応アッセイに若干添加することによるラグの漸進的な喪失があったという観察結果により証明された。加えて、これらの構築物の事前に生成されたプラスミン複合体をアッセイで使用した場合はラグがなく、これはSKで観察された即時のプラスミノーゲン活性化機構のかわりに、ラグのある融合構築物が今はプラスミンと複合体を一旦形成しさえすればプラスミノーゲン活性化可能であることをはっきりと示唆している。同様のプラスミン依存性活性化が、ドメイン間αβEGF_SK構築物においても見られた。しかしながら、活性化後、その総比活性は無修飾のストレプトキナーゼのものの40〜50%にすぎないことが判明した。特筆すべきことに、EGF4、5、6セグメントがSKのβ及びγドメインの接合部に置かれた他方のドメイン間構築物の場合、精製されたタンパク質は無修飾のSKと比較して5%未満のプラスミノーゲン活性を示した。このことは、EGFのSKとの融合が自動的に機能性となるわけではなく、正しく設計したものだけがそうなることをはっきりと示している。正しく設計されたものは、プラスミノーゲン活性化、トロンビン阻害等についての、高スループットスクリーニングシステムに簡単に適合させ得るプレート/分光光度アッセイを利用してスクリーニング(設計が実験に基づいて又は構造的な仮定により行われた時)することによって選択することができる。このため、設計されたSKの部位特異的置換、欠失又はドメイン付加変異体あるいはストレプトキナーゼの天然のバリアントを使用し、ここで採用するアプローチにより同様のSK−EGFタンパク質を得ることができる。
【0160】
また、精製された構築物を、ヒト血液因子を使用した凝固時間アッセイによりトロンビン阻害の測定について試験した(上述の実施例で用いた方法を参照のこと)。特筆すべきことに、構築物は全て、これらのアッセイにおいて、構築物を有さない又は別のコントロールとしての未変性のSKを有するコントロールアッセイのものと比較して凝固時間において著しい増加(約2.5〜3倍)を示した。更に、凝固時間の増加は低ナノモル濃度範囲で線形用量依存性挙動に従うと判明しており、これは陽性コントロールとして使用したピチアにおける発現で得られたEGF4、5、6ドメインで観察されたものと極めて似ていた。これらの結果はプラスミノーゲン活性化能を有するEGF融合構築物(また、極めて低い活性を有するものとして)が強力なトロンビン阻害能も示したことを証明した。
【0161】
実施例3
様々なEGF4、5、6及びTPAハイブリッド遺伝子をコードするDNAの構築:
コード化tpA(SEQ ID 9、対応するタンパク質SEQ ID 120)及びインフレームで融合したEGF4、5、6をコードしているDNAの別のセグメント(SEQ ID 8、対応するタンパク質SEQ ID 111)にインフレームで融合したEGF4、5、6配列をコードしているDNAセグメント(SEQ ID 2、対応するタンパク質SEQ ID 111)を化学的に合成、精製及びpUC19においてクローニングした。シーケンシングにかけることによってその妥当性(SEQ ID 8、対応するタンパク質SEQ ID 111)を証明した。この構築物をEGF−tpA−EGF(SEQ ID 10、対応するタンパク質SEQ ID 121)と称する。EGF4、5、6ドメイン遺伝子コード化セグメントがtPAのN末端部位で融合した(SEQ ID 11、対応するタンパク質SEQ ID122)又はtpAのC末端で融合した(SEQ ID 12、対応するタンパク質SEQ ID 123)この遺伝子構築物に加えて。tPAコード化配列をまずプライマーtPAFp1及びtPARp2プライマーで増幅した(プライマー配列については表2を参照のこと)。この反応で用いたPCR条件は以下の通りである:95℃での5分間にわたるホットスタート、完全変性、95℃での45秒間にわたる変性、55℃での45秒間にわたるアニーリング、72℃での4分間にわたる伸長(全部で28サイクル)及び72℃での10分間にわたる最終伸長による不完全なPCR産物の完全増幅。このため、この反応に使用したプライマーtPAFp1はXhoI制限部位をその5'端に含有し、tPARp2はNotI制限部位を含有する。得られたPCR産物をXhoI及びNotI制限酵素で消化し、pET23−dにライゲーションした。この工程で形成された最終構築物をpET23−d tPAと称し(
図2Fを参照のこと)、シーケンシングによりtPAオープンリーディングフレームを検証した。N末端(N_EGF_tPA)及びC末端(tPA_EGF)融合体を形成するために、単純な制限酵素消化及びライゲーションスキームに従った。両方の構築物を1つのステップで形成するために、pET23−d tPA及びpUC−19_N_EGF_tPA_EGFを共に特有のカッターであるXhoI及びBSrGIで切断した。これにより小さいフラグメント及び大きいフラグメントが得られた。小さいフラグメントのpUC−19_N_EGF_tPA_EGF消化物はN_EGF_tPA配列を含有し、pET23−d_tPAの大きいフラグメントにライゲーションされ、このステップによりN_EGF_tPA(DNA SEQ ID 11、対応するタンパク質SEQ ID 122)構築物が得られた。tPA_EGF(DNA SEQ ID 12、対応するタンパク質SEQ ID 123)構築物は、pUC−19_N_EGF_tPA_EGFの大きいフラグメントとpET23−d_tPAの小さいフラグメントとのライゲーションにより形成され、この構築についてtPA_EGF(
図1Jを参照のこと)が得られた。N_EGF_tPA(
図1Kを参照のこと)及びtPA_EGF(
図2Gを参照のこと)をXhoI及びNotI制限酵素で消化し、単離したインサートフラグメントをpPIC−9Kにライゲーションし、構築物はα−分泌シグナル配列にインフレームで置かれた。全てのこれらの構築物を、ピチア・パストリス(GS115)においてベクター内に置かれたメタノール誘導性プロモーターの影響下で宿主ゲノムへの組み込み後に発現させた。
【0162】
表2.様々なEGF4、5、6及び組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子融合構築物の調製に使用するプライマー
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【0163】
実施例4
組織プラスミノーゲン活性化因子とヒトトロンボモジュリンのEGF4、5、6ドメインとの様々なハイブリッド遺伝子の構築
(i)ドメイン間EGF4、5、6−tPA構築物の構築
組織プラスミノーゲン活性化因子は異なるドメインを以下の順序:N末端ペプチド−フィンガードメイン−EGF様ドメイン−クリングル1−クリングル2−触媒ドメインで含有する。新規な非天然のハイブリッド設計を遺伝子レベルで構築し、tPAの内因性EGFドメインをトロンボモジュリンのEGF4、5、6ドメインで置き換えた。これらの構築物を他のハイブリッド遺伝子の産生に関して上で用いたオーバーラップエクステンションPCR戦略により形成した。
【0164】
(a)tPAの内因性egfドメインをヒトトロンボモジュリンのEGF4、5、6ドメインで置き換えたハイブリッド遺伝子ブロックの構築
この構築物を形成するために、pET23−d_tPA(SEQ ID 9、対応するタンパク質SEQ ID 120)を、内因性egfコード化領域が187bpから297bpまでの基準として使用した。第1のステップにおいて、フィンガードメインコード化DNAを以下のプライマー:Fin Fp1及びFin Rp2(これらのプライマーの配列については表2を参照のこと)を使用して単離し、上流プライマーはXhoI制限部位をその5'末端に含有し、他方、第2プライマーは、EGF4、5、6ドメインの4番ドメインのためのオーバーラップ配列と共にフィンガードメインをコードする下流配列を含有する。PCR条件は以下の通りであった:95℃での5分間にわたる完全変性、続く次の28サイクル:95℃での45秒間、48℃での45秒間にわたるアニーリング、72℃での1分間にわたる伸長及び72℃での10分間にわたる最終伸長。第2のPCRにおいて、EGF4、5、6ドメインセグメントを増幅し、EGF Fp3及びEGF Rp4(これらのプライマーの配列については表2を参照のこと)プライマーセットを使用した。プライマーEGF Fp3はEGFのフィンガードメインの下流配列及びEGFの4番ドメインを含有し、他方、下流プライマーEGF Rp4はクリングル1のオーバーラップ配列をその5'末端に含有する。PCR条件は以下の通りであった:95℃での5分間にわたる完全変性、続く次の28サイクル:95℃での45秒間、48℃での45秒間にわたるアニーリング、72℃での1分間にわたる伸長、最後に72℃での10分間にわたる伸長セグメントで終了。このプライマーセットで得られた遺伝子ブロックはフィンガードメイン配列を5'末端に、またその3'端にクリングル1のオーバーラップ配列を含有する。第3のPCR反応において、クリングル1を触媒ドメインの最後までコードしている配列を、K1 Fp5及びCD Rp6(これらのプライマーの配列については表2を参照のこと)プライマーセットの使用により選択的に増幅した。プライマーK1 Fp1はEGF4、5、6の6番ドメインのオーバーラップ配列をその5'末端に含有し、プライマーCD Rp6は終止コドン及びNotI制限部位を5'端に含有する。PCR条件は以下の通りであった:95℃での5分間にわたる完全変性、続く次の28サイクル:95℃での45秒間、48℃での45秒間にわたるアニーリング、72℃での3分間にわたる伸長及び72℃での10分間にわたる最終伸長による全ての部分長フラグメントの合成完了。この反応で得られた遺伝子ブロックはEGF6番ドメインオーバーラップ配列を5'末端に、また触媒ドメインコード化配列、終止コドン及びNotI部位をその3'端に含有する。3個のPCR産物の全てをゲル精製し、シングルポットSOEに供することによって完全ハイブリッド遺伝子構築物を増幅し、アセンブリの順序は以下の通りであった:フィンガードメイン−EGF4、5、6ドメイン−クリングル1−クリングル2及びtPA(
図1Q及び
図2Jを参照のこと)。触媒ドメイン。これをFin Fp1及びCD Rp6(これらのプライマーの配列については表2を参照のこと)プライマーセットを使用して行った。最終PCR条件は以下の通りであった:95℃での5分間にわたる完全変性、次の28サイクル:95℃での45秒間、48℃での45秒間にわたるアニーリング、72℃での4分間にわたる伸長及び72℃での10分間にわたる最終伸長(単一セグメント)。この遺伝子ブロックを、上述したように、ゲル抽出で精製し、XhoI及びNotI酵素で消化し、同様に消化及び精製したpET23−dベクターとライゲーションし、大腸菌XL Blueにクローニングした。幾つかのランダムに選択したクローンを、完全インサート/遺伝子ブロックについてサンガー法によるシーケンシングに供し、tPAのものへのEGF4、5、6ドメインの正しいインフレームでの組み込みを検証した(DNA SEQ ID 13、対応するタンパク質SEQ ID 124)。この遺伝子ブロックを次に、前回のようにpPIC−9Kベクターに移し、ピチア・パストリスへとクローニングし、「実施例で用いた一般的な方法」に記載したように高レベルのプラスミノーゲン活性化因子活性についてスクリーニングした。
【0165】
(b)tPAの内因性egf及びクリングル1ドメインがヒトトロンボモジュリンのEGF4、5、6ドメインに置き換えられたドメイン間tPA及びEGFハイブリッド遺伝子構築物の構築:
この構築物を形成するために、3つの異なるPCRを別々に行い、得られた遺伝子ブロックはオーバーラップ配列を各遺伝子ブロックの末端に含有し、次にこれらをシングルポットSOE反応で増幅して以下のハイブリッド構築物:tPAフィンガードメイン−EGF4、5、6−tPAクリングル2−tPA触媒(セリンプロテアーゼ)ドメイン(
図1R及び
図2Hを参照のこと)を形成した。この構築物を形成するために、pET23−d_tPA(SEQ ID 9、対応するタンパク質SEQ ID 120)を内因性egf及びクリングル1コード化ヌクレオチド領域が187bpから564bpまでのテンプレートして使用した。第1のステップにおいて、フィンガードメインコード化セグメントを以下のプライマー:Fg Fp1及びFg Rp2(これらのプライマーの配列については表2を参照のこと)を使用して単離し、上流プライマーはXhoI制限部位を5'末端に含有し、他方、第2プライマーはフィンガードメインの下流配列及びEGF4、5、6ドメインの4番ドメインのオーバーラップ配列を含有する。PCR条件は以下の通りである:95℃での5分間にわたる完全変性、次の28サイクル:95℃での45秒間、48℃での45秒間にわたるアニーリング、72℃での1分間にわたる伸長及び72℃での10分間にわたる最終伸長。第2のPCRにおいて、EGF4、5、6ドメインをプライマーEFI Fp3及びEFI Rp4(これらのプライマーの配列については表2を参照のこと)で増幅した。プライマーEFI Fp3はフィンガードメインの下流配列及びEGFの4番ドメインを含有し、他方、下流プライマーはクリングル2のオーバーラップ配列をその5'末端に含有した。PCR条件は以下の通りであった:95℃での5分間にわたる完全変性、次の28サイクル:95℃での45秒間、48℃での45秒間にわたるアニーリング、72℃での1分間にわたる伸長及び72℃での10分間にわたる最終伸長。このプライマーセットで得られた遺伝子ブロックはフィンガードメイン配列を5'末端に含有し、クリングル2のオーバーラップ配列をその3'端に含有した。第3のPCR反応において、クリングル2からtPA触媒ドメインへの配列を、K2 Fp5及びK2 CD Rp6(これらのプライマーの配列については表2を参照のこと)の2個のプライマーのセットを使用して増幅した。プライマーK2 Fp5はEGF4、5、6の6番ドメインのオーバーラップ配列をその5'末端に含有し、プライマーK2 CD Rp6は終止コドン及びNotI制限部位を5'端に含有する。PCR条件は以下の通りであった:95℃での5分間にわたる完全変性による「ホットスタート」、次の28サイクル:95℃での45秒間、48℃での45秒間にわたるアニーリング、72℃での3分間にわたる伸長及び72℃での10分間にわたる最終伸長。この反応で得られた遺伝子ブロックは6番ドメインオーバーラップ配列をその5'末端に、また触媒ドメインコード化配列、続く終止コドン及びNotI部位をその3'端に含有した。3個のPCR産物の全てをゲル精製し、Fg Fp1及びK2CD Rp6プライマーセット(これらのプライマーの配列については表2を参照のこと)によるシングルポットSOE反応に供して増幅して完全ハイブリッド遺伝子構築物を得て、様々なタンパク質コード化セグメントのアセンブリの順序は以下の通りであった(最終的にクローニング後にDNAシーケンシングにより確認された):フィンガードメイン−EGF4、5、6ドメイン−クリングル2及び触媒ドメイン(DNA SEQ ID 14、対応するタンパク質SEQ ID 126)。最終PCR条件は以下の通りであった:95℃での5分間にわたる完全変性、次の28サイクル:95℃での45秒間、48℃での45秒間にわたるアニーリング、72℃での4分間にわたる伸長及び72℃での10分間にわたる最終伸長。この遺伝子ブロックをゲル抽出により精製し、XhoI及びNotI酵素で消化し、pET23−dベクターとライゲーションし、大腸菌XL Blueにおいてクローニングし、完全遺伝子ブロックを次にシーケンシングし、部分切断tPA遺伝子へのEGF4、5、6ドメインの正しいインフレーム組み込みについて検証した。上述したように、この最終ハイブリッド遺伝子ブロックをpPIC−9Kベクターに移し、ピチア・パストリスにおけるそのORF発現を標準化手順を用いてチェックした。
【0166】
(c)EGF4、5、6コード化セグメントがインフレームでtPAのN末端及びC末端コード化端で融合したtPAの切断型をコードするハイブリッド遺伝子ブロックの構築:
これらの構築物を、事前に形成したpET23−dN_EGF_tPA(SEQ ID 11、対応するタンパク質SEQ ID 121)及びpET23−d_tPA_EGF(SEQ ID 12、対応するタンパク質SEQ ID 123)をテンプレートとして使用して調製した。両方の構築物において、内因性egf及びクリングル1ドメインをオーバーラップPCRスキームの助けを借りて除去した。tPAの内因性egf及びクリングル1ドメインをN_EGF_tPA構築物から除去するために(
図1Nを参照のこと)、2セットのプライマーを設計した。第1のプライマーセットN_EtPA Fp1及びN_EtPA Rp2(これらのプライマーの配列については表2を参照のこと)をEGF4、5、6ドメイン及びtPAフィンガードメインの隣接ヌクレオチド配列の増幅に使用した。この場合、上流プライマーはEGFの4番ドメイン配列及びXhoI制限部位をその5'端に含有し、プライマーN_EtPA Rp2はtPAクリングル2のオーバーラップ配列を含有した。第2のプライマーセット、すなわちEK2 CD Fp3及びK2 CD Rp4(これらのプライマーの配列については表2を参照のこと)をtPAのクリングル2及び触媒ドメインの増幅に使用した。プライマーEK2 CD Fp3はフィンガードメインの下流オーバーラップ配列を5'端に含有し、もう一方のプライマーはtPA触媒ドメインの下流配列及びNotI制限部位を含有する(PCR条件:95℃での5分間にわたるホットスタート、28サイクルの95℃での45秒間、52℃での45秒間、72℃での2分間及び72℃での10分間にわたる最終伸長)。この反応で得られた遺伝子ブロックはtPAフィンガードメインオーバーラップ配列をその5'端に、NotI制限部位をその3'端に含有した。両方のPCR産物をゲル精製し、完全遺伝子ブロックの構築に供し、内因性egf及びクリングル1をプライマーN_EtPA Fp1及びK2 CD Rp4(これらのプライマーの配列については表2を参照のこと)プライマーセットの助けを借りて欠失させた。得られた遺伝子ブロックを精製し、XhoI及びNotI制限酵素で消化し、pET23−dベクターにライゲーションし、大腸菌においてサブクローニングし、tPA(DNA SEQ ID 15、対応するタンパク質SEQ ID 126;
図2.I)コード化遺伝子ブロックからのegf及びクリングル1の除去後の正しいインフレーム接合についてDNAシーケンシングした。遺伝子ブロックの正しいオープンリーディングフレームについてシーケンシングによる検証後、このカセットをpPIC−9Kにライゲーションし、前回のようにピチアに形質転換させ、活性についてスクリーニングし、細胞外発現についてチェックした。同様のやり方で、内因性egf及びクリングル1を構築物tPA_EGF中のtPAコード化遺伝子ブロックから欠失させた(
図1P及び
図2Hを参照のこと)。ここで、pET23−d−tPA_EGFプラスミドDNAを切断tPAヌクレオチド配列増幅用のテンプレートとして使用した。フィンガードメインの増幅にフィンガーFp1及びフィンガーRp2のプライマーセットを使用し(これらのプライマーの配列については表2を参照のこと)、フィンガーFp1プライマーはXhoI制限部位をその5'端に含有し、もう一方のプライマーフィンガーRp2はフィンガードメインの下流配列及びtPAのクリングル2のオーバーラップ配列を含有した。PCR条件は以下の通りであった:95℃での5分間にわたる完全変性、続く30サイクルの:95℃での45秒間にわたる変性、44℃での45秒間にわたるアニーリング、72℃での1分間にわたる伸長及び72℃での10分間にわたる最終伸長による終了。これによりtPAフィンガードメインオーバーラップ配列、続くXhoI制限部位をその5'端に含有する遺伝子ブロックが得られ、その3'端はクリングル2オ−バーラップ配列を含有した。第2のプライマーセットをクリングル2触媒コード化ドメイン及びEGF4、5、6ドメインの増幅に使用した。第1のプライマーK2 CD Fp3(これらのプライマーの配列については表2を参照のこと)はtPAフィンガードメインの下流端及びクリングル2の小部分までのオーバーラップ配列を含有した。他方、第2のプライマーEGF Rp4(これらのプライマーの配列については表2を参照のこと)はEGFの下流配列及びNotI制限部位を含有した。PCR条件は以下の通りであった:95℃での5分間にわたる完全変性、30サイクルの:95℃での45秒間にわたる変性、44℃での45秒間にわたるアニーリング、72℃での1分間にわたる伸長及び72℃での10分間にわたる最終伸長。両方の遺伝子ブロックをゲルから精製し、プライマーフィンガーFp1及びEGF Rp4(これらのプライマーの配列については表2を参照のこと)の存在下でのオーバーラップエクステンション反応に供し、この反応から得られたPCR産物をゲル精製し、前回のようにpET23−d(DNA SEQ ID 16、対応するタンパク質SEQ ID 127)に大腸菌においてライゲーションし、シーケンシングして完全遺伝子ブロックを検証した。最後に、この遺伝子ブロックをpPIC−9Kにライゲーションし、上述したように発現及び機能的特性のスクリーニングのためにピチア・パストリスに形質転換させた。
【0167】
(d)様々なEGF含有組織プラスミノーゲン活性化因子遺伝子構築物における異なる変異の組み込み:
上述のEGF4、5、6及びtPAの異なる融合構築物において、以下のアミノ酸変更を行った:スレオニン115番アミノ酸をアスパラギン(T115N)に変更し、アスパラギン129番アミノ酸をグルタミン(N129Q)に変更し、tPA308〜311のKHRRコード化領域を、4重アラニン変異列(KHRR(308−311)AAAA)で置き換えた(DNA SEQ ID 20、対応するタンパク質SEQ ID 128)。これらの変異により追加のフィブリン特異性が得られる分子に付与され、生体内でのtPAの半減期が上昇することが知られている(Keytt et al.,1994)。これらの変異を導入するために、発明者は部位特異的変異誘発アプローチ(「実施例で用いた方法」を参照のこと)を用いて、これらの変更を酸化耐性(EGF4、5、6ドメインの129番メチオニンをバリン/アラニン/グルタミンに置き換えた)遺伝子テンプレートにも組み込んだ。以下のプライマーを部位特異的変異誘発に使用した:1.T115 N Fp及びT115 N Rp(これらのプライマーの配列については表2を参照のこと)、2.N129 Q Fp及びN129 Q Rp(これらのプライマーの配列については表2を参照のこと)。
【0168】
tPA変異KHRR(tPAの残基308〜311が4重アラニンアミノ酸残基に置き換えられた)の場合、KHFp1及びKHRp2をエンドプライマー(これらのプライマーの配列については表2、すなわち37、38番を参照のこと)として使用したオーバーラップエクステンションPCR(実施例で用いた方法を参照のこと)を長さ1〜933bpのポリヌクレオチドの増幅に使用し、KHFp1プライマーはXhoI制限部位及びtPAの上流配列を含有し、他方、プライマーKHRp2は4重アラニン変異をその5'端に含有する。以下のPRC条件を用いた:95℃での5分間にわたるホットスタート、完全変性、続く95℃での45秒間にわたる変性、45℃での45秒間にわたるアニーリング、72℃での1.5分間にわたる伸長(全部で28サイクル)及び72℃での10分間にわたる最終伸長による不完全なPCR産物の完全増幅。最後に、この方法で得られた遺伝子ブロックはXhoI制限部位を5'端に含有し、その3'端は4重アラニン変異を含有した。別のPCR反応セットにおいて、KHFp3及びKHRp 4(これらのプライマーの配列については表2を参照のこと)を、tPAの918番bpから1617番bpの間のDNAの増幅に使用した。プライマーKHFp3は4重アラニン変異をその5'端に含有し、第2のプライマーKHRp4はXhoI制限部位を含有する。以下のPCR条件を反応に用いた:95℃での5分間にわたるホットスタート、完全変性、続く95℃での45秒間にわたる変性、45℃での45秒間にわたるアニーリング、72℃での1.5分間にわたる伸長(全部で28サイクル)及び72℃での10分間にわたる最終伸長による不完全なPCR産物の完全増幅。得られた遺伝子ブロックは4重アラニン変異をその5'端に含有し、その3'端はNotI制限部位を含有する。両方のPCR産物をゲル精製し、一般的な「オーバーラップ」PCR反応シングルポットで混合し、KHFp1及びKHRp4(これらのプライマーの配列については表2を参照のこと)を全遺伝子ブロックの増幅に使用した。最後に、得られた遺伝子ブロックをpET23−dに移し、DNA配列及び正しいオープンリーディングフレームの検証後、pPIC9Kに移し、ハイブリッドポリペプチドを発現させ、ピチアにおいて標準条件によりチェックした(「実施例で用いた方法」を参照のこと)。
【0169】
実施例5
スタフィロキナーゼとトロンボモジュリンドメインEGF4、5、6とのハイブリッド遺伝子の構築:
SAK_EGF及びEGF_SAKコード化ハイブリッド遺伝子ブロックの構築
EGF−SAK融合体の構築のために、EGF4、5、6PCRブロックをN_EGF_SAK Fp1及びN_EGF_SAK Rp2プライマーセット(これらのプライマーの配列については表3を参照のこと)の助けを借りて単離し、pET23−d_EGF4、5、6(Seq ID 2、対応するタンパク質SEQ ID 111)をテンプレートとして使用した。ここでN_EGF_SAK Fp1はXhoI制限部位をその5'端に含有し、N_EGF_SAK Rp2はSAKヌクレオチドのオーバーラップ配列を5'端に含有した。PCR条件は以下の通りであった:第1の(ホットスタート)サイクルにおける95℃での5分間にわたる完全変性、次の28サイクル:95℃での45秒間にわたる変性、50℃での45秒間にわたるアニーリング、72℃での1分間にわたる伸長及び72℃での10分間にわたる最終ステップによる不完全なPCR産物の完成。PCR産物はXhoI制限部位をその5'端に含有し、3'端はSAKのオーバーラップ配列を含有した。第2のステップにおいて、SAK PCRブロックをN_EGF_SAK Fp3及びN_EGF_SAK Rp4プライマーセットの助けを借りて増幅し、pGMEX_SAK(SEQ ID 17、対応するタンパク質SEQ ID 130)構築物をテンプレートとして使用した。この反応において、プライマーN_EGF_SAK Fp3はEGF4、5、6の6番ドメインの下流オーバーラップ配列を含有し、N_EGF_SAK Rp4は終止コドンとそれに続くNotI制限部位を含有した。PCR条件は以下の通りであった:95℃での5分間にわたる1サイクルの完全変性、続く28サイクルの95℃での45秒間にわたる変性、50℃での45秒間にわたるアニーリング、72℃での1分間にわたる伸長及び72℃での10分間にわたる最終ステップによる不完全なPCR産物の完成。これによって6番EGFドメインオーバーラップ配列を5'端に有する遺伝子ブロックが得られ、3'端は終止コドンとそれに続くNotI制限部位を含有した。両方のPCR産物をゲル精製キットの助けを借り得てゲル抽出及び精製し、ハイブリッド遺伝子中間体(オーバーラップエクステンションで得られる)増幅に使用するN_EGF_SAK上流Fp1及びN_EGF_SAK Rp4下流プライマーとモル比1:1でシングルSOE PCR反応において混合した。この結果、N_EGF_SAK(DNA SEQ ID 18、対応するタンパク質SEQ ID 118)配列を含有する隣接遺伝子フラグメントが得られた。この遺伝子ブロックを次にXhoI及びNotIで消化し、pPIC−9Kベクターに移した。DNAシーケンシングによりEGF_SAK(
図1Tを参照のこと)構築物で期待されるインフレーム融合及び他の変異の不在を検証した。この構築物をピチア・パストリスのGS115株に形質転換させ、前回のように、宿主ゲノムへの組み込み後、アルコールオキシダーゼプロモーターの影響下での発現についてチェックした。
【0170】
SAK_EGF(
図1Sを参照のこと)構築物の構築を同様に行い、EGF4、5、6ドメインセグメントをSAKのC末端で融合した。第1のステップにおいて、SAK遺伝子ブロックをSAK_EGF Fp1及びSAK_EGF Rp2プライマーセットの助けを借りて単離した。プライマーSAK_EGF Fp1はXhoI制限部位を5'端に含有し、他方、SAK_EGF Rp2はEGF4、5、6の4番ドメインのオーバーラップ配列を含有する。得られた遺伝子ブロックは、その上流配列中のXhoI部位及びその下流配列中のオーバーラップ4番ドメインEGF配列を含有する。第2のステップにおいて、SAK遺伝子ブロックをSAK_EGF Fp3及びSAK_EGF Rp4プライマーを使用して単離し、SAK_EGF Fp3はSAKのオーバーラップ配列を含有し、SAK_EGF Rp4は終止コドン及びNotI制限部位を含有する。これらのプライマーセットを使用してPCRから単離した遺伝子ブロックはSAKオーバーラップ配列を上流に、また終止コドン及びNotI部位をその下流端に含有した。両方の遺伝子ブロックをアガロースゲルから精製し、SAK_EGF Fp1及びSAK_EGF Rp4とシングルSOE反応において混合して完全SAK_EGF(DNA SEQ ID 19、対応するタンパク質SEQ ID 119)遺伝子ブロックを得た。このため、最終PCR産物はSAK_EGF配列を含有するハイブリッド遺伝子ブロックをもたらし、ゲルから精製し、XhoI及びNotI制限酵素で消化し、pPIC−9Kに移し、シーケンシング後、正しいインフレーム検証が行われた。この構築物をピチア・パストリスのGS115株に形質転換させ、標準化手順によるゲノム組み込み後、発現プラスミドpPIC−9Kに位置するアルコールオキシダーゼプロモーターの影響下のその発現(SDS−PAGE及びカゼイン−オーバーレイプラスミノーゲン活性化因子アッセイによりチェックした)。SAK_EGF構築物全体を、α−分泌シグナル配列の上流にインフレームで組み込んだ。これがハイブリッド遺伝子産物の膜を越えての媒体への輸送を支援する。
【0171】
N_EGF_SAK及びSAK_EGFの細菌発現:
上記のN_EGF_SAK及びSAK_EGF DNA構築物をまた、IPTG誘導性lacプロモーターの影響下で発現させた。これらの構築物を作製するために、pPIC−9K_N_EGF_SAK及びpPIC−9K_SAK_EGFプラスミドをテンプレートとして使用した。
【0172】
(i)N_EGF_SAK遺伝子ブロックの細菌発現カセットの構築:
N_EGF_SAK遺伝子ブロックをまずBac Fp1及びBac Rp2プライマーの助けを借り、pPIC−9K_N_EGF_SAKをテンプレートとして使用して増幅した。Bac Fp1プライマーはNcoI部位をその5'端に、必要するAUGコドンを遺伝子ブロックの最初に配置するのを支援するために、またイニシエーターMet残基コード化コドンをmRNAに配置するために含有した。プライマーBac Rp2はXhoI制限部位を含有し、6ヒスチジンアミノ酸コード化ヌクレオチドを転写したmRNAの端部に遺伝子産物の検出及びその精製に役立つ終止コドンの前にインフレームで導入することを促進した。この遺伝子ブロックをゲルから単離し、NcoI及びXhoI制限酵素で消化し、最後にT7プロモーターをベースとしたpET23−dベクターとライゲーションし、大腸菌に形質転換させた。特有であるこれらの2つの部位は、T7 RNAポリメラーゼプロモーターの影響下でのハイブリッド遺伝子構築物の挿入に役立つ(Studier and Moffatt,1986)。この構築物pET23−d_N_EGF_SAKをXL1B細胞に形質転換させ(recA
-及びendA
-)、プラスミドは増殖し、シーケンシングにかけられた。ここでこのプラスミドをBL21(DE3)細胞(発現宿主)に移し、T7 RNAポリメラーゼの誘導をIPTGにより行い、封入体として細胞内形態で発現させた(発現条件、封入体の単離及びリフォールディングプロトコルに関しては「実施例で用いた方法」を参照のこと)。最後に、リフォールディングしたタンパク質をクロマトグラフィにより高精製形態で得て、活性アッセイに供した。
【0173】
(ii)細菌発現のためのSAK_EGF遺伝子ブロックの構築:
SAK_EGF構築物をSAK_EGF Fp1及びSAK_EGF Rp2プライマーの助けを借りて調製し、pPIC−9K_SAK_EGFを増幅のためのテンプレートに使用した。プライマーSAK_bac Fp1はNcoI制限部位を5'端に含有し、AUGコドンの導入を支援した。他方、SAK_bac Rp2はXhoI制限部位を含有し、6ヒスチジンアミノ酸コード化ヌクレオチドの意図したSAK_EGF遺伝子構築物の下流端の終止コドンに先立っての導入を促進した。PCR条件は以下の通りであった:第1サイクルにおける95℃での5分間にわたる完全変性、次の28サイクル:95℃での45秒間にわたる変性、50℃での45秒間にわたるアニーリング、72℃での1.5分間にわたる伸長及び72℃での10分間にわたる最終ステップによる部分長PCR産物の完成。得られた遺伝子ブロックはNcoI部位をその上流端に含有し、XhoI部位はその下流端に存在し、ゲル抽出により精製し、pET23−dベクターにライゲーションした。このライゲーション産物を電気穿孔法により大腸菌XL1B細胞に形質転換し(recA
-及びendA
-)、得られたプラスミドを正しいオープンリーディングフレームの検証のためにシーケンシングした。プラスミドの増殖はXL1B細胞で行われたが、ハイブリッド遺伝子産物の発現のために、プラスミドを大腸菌BL21(DE3)細胞(Novagen Inc.)に形質転換した。最後に、タンパク質をIPTGの存在下で発現させ、封入体が形成され、これらを単離し、「実施例で用いた方法」で詳述したように酸化/還元グルタチオンの存在下でリフォールディングし、上記のEGF_SAK構築物についてのプラスミノーゲン活性化因子及びトロンビン阻害活性アッセイに供した。
【0174】
(iii)EGFとSAKとの接合部でのトロンビン切断可能配列の導入:
トロンビン切断可能配列を、N末端融合構築物においてEGFとSAKとの接合部で導入した。この構築物に関し、プラスミドpET−23−dにおけるEGF_SAK DNAをEGF及びSAKの増幅ためのテンプレートとして使用した。トロンビン切断可能プライマーを設計した。EGF増幅のために、指定のE4 Fp1及びE6 Rp2(これらのプライマーの配列については表3の番号13、14を参照のこと)プライマーを使用した。E4 Fp1プライマーはXhoI制限部位及びEGF4、5、6ドメインの上流配列をその5'端に含有し、他方、E6 Rp2はEGF4、5、6の下流配列及びトロンビン切断可能ヌクレオチド配列をその5'端に含有する。以下のPCR条件を増幅に用いた:95℃での完全変性、続く次の28サイクル:95℃での45秒間、45℃での45秒間のアニーリング、72℃での1分間にわたる伸長及び最後に72℃での更に10分間にわたる伸長。このPCR反応で得られた遺伝子ブロックはEGFの4番ドメインをインフレームでコードしている配列をその5'端に含有し、その3'端はEGF4、5、6の下流配列及びトロンビン切断可能配列を含有する。第2のPCR反応において、SAK遺伝子ブロックをTCS SAK Fp3及びTCS SAK Rp4(これらのプライマーの配列については表3、すなわち配列番号15、16を参照のこと)の助けを借りて増幅した。TCS SAK Fp3はトロンビン切断可能配列及びSAKヌクレオチドの上流配列を含有する。同様に、他方のプライマーTCS SAK Rp4はSAKの下流配列及び終止コドン、それに続くNotI制限部位を含有する。得られる増幅された遺伝子ブロックはトロンビン切断可能ヌクレオチド配列をその5'端に、また終止コドン及びNotI部位をその3'端に含有する。以下のPCR条件をSAK遺伝子ブロックの増幅に用いた:95℃での完全変性、続く以下の通りの次の28サイクル:95℃での45秒間にわたる変性、45℃での45秒間にわたるアニーリング、72℃での1分間にわたる伸長及び72℃での更に10分間にわたる最終伸長。両方のPCR産物をゲル溶出させ、E4 Fp1及びTCS_SAK Rp4(これらのプライマーの配列については表3、すなわち表の配列番号13及び16番を参照のこと)の助けを借りた、EGF_TCS_SAK遺伝子ブロックの増幅のための一般的なオーバーラップエクステンションPCR反応に以下の条件下で供した:95℃での完全変性、続く95℃での45秒間にわたる変性、45℃での45秒間にわたるアニーリング、72℃での2分間にわたる伸長(28サイクル)及び72℃での更に10分間にわたる最終伸長。得られた遺伝子ブロックはXhoI制限部位をその5'端に、またNotI部位をその3'端に含有した。このPCR産物をXhoI及びNotI酵素で消化し、pET23−dにおけるクローニングに続くトロンビン切断可能配列の正しいインフレーム挿入についてシーケンシングした後、pPIC−9Kにライゲーションした。
【0175】
表3.様々なEGF4、5、6及びSAK融合構築物の調製に使用するプライマー
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【0176】
実施例6
TPA−EGF及びSAK−EGF融合構築物の生物学的活性:
EGFとtPAとの異なるハイブリッド遺伝子構築物(化学的に合成した(N_EGF_tPA_EGF)ハイブリッドtPA融合構築物(EGF4、5、6を挿入してtPAの内因性ドメイン、すなわちegf及びクリングル1を置き換えた)、内的欠失型のtPAとEGFとの融合体(内因性egf及びクリングル1が欠失し、EGF4、5、6はN又はC末端(at either N and C terminii)で融合)及び上記の構築物の酸化耐性バリアント)を、本質的に上述したようにpPIC−9Kベクターのα−分泌シグナル配列の上流でインフレームでクローニングした。各構築物を制限エンドヌクレアーゼにより別々にチェックし、またDNAシーケンシングにより検証した。これらの構築物全てを個々にピチア・パストリス(GS115)に電気穿孔法により移した(「実施例で用いた一般的な方法」のセクションを参照のこと)。個々のクローンをBMGY及びBMMY培地
(BMGY=1%酵母抽出物、2%ペプトン、1Xグリセロール、1Xアミノ酸非含有酵母ニトロゲンベース及び100mMリン酸カリウム緩衝液pH5.5、BMMY=1%酵母抽出物、2%ペプトン、1Xメタノール、1Xアミノ酸非含有酵母ニトロゲンベース及び100mMリン酸カリウム緩衝液pH5.5)上で5日間にわたって、メタノールで誘導しながら成長させ、上清をカゼインオーバーレイ法によりプラスミノーゲン活性化能について試験した(「実施例で用いた方法」のセクションを参照のこと)。これとは別に、各陽性クローンの上清をプラスミノーゲン活性化について一段階アッセイにおいて試験した。次に、各高活性クローンを1リットルレベルで成長させ、各タンパク質中のtPAポリペプチドの存在をウェスタンブロット法により検証し、リジン親和性及びイオン交換クロマトグラフィが続いた(詳細なプロトコルについては「実施例で用いた方法」を参照のこと)。クロマトグラフィにより得られた異なる融合構築物は、SDS−PAGEにより92〜95%純粋であった。これらの精製されたタンパク質をプラスミノーゲン活性化アッセイに供した。精製された各タンパク質の比活性はピチア由来の未変性の組織プラスミノーゲン活性化因子と極めて似ていた。しかしながら、フィンガー、egf、クリングル1及びクリングル2ドメインを欠失させてEGF4、5、6ドメインに置き換えた構築物はカゼインオーバーレイ法では比較的弱い加水分解領域を示し、また概して、プラスミノーゲン及び発色基質を使用した定量的マイクロタイタープレートをベースとしたアッセイでは比較的低いプラスミノーゲン活性化因子活性を示した。更に、内的に欠失した構築物における可溶性フィブリンの存在下で見られる活性における刺激の程度は、EGFの融合がtPAの末端であったtPA/tPA変異体と比較してはるかに低かった。tPA変異体(アスパラギンに変更となったスレオニン115番アミノ酸(T115N)、グルタミンに変更となったアスパラギン129番アミノ酸(N129Q)及びtPAのKHRRコード化領域、すなわち4重アラニン変異列に置き換えられた残基308〜311(KHRR(308〜311→AAAA、上の実施例を参照のこと))を含有)の場合、プラスミノーゲン活性化因子活性は「基礎」活性及び可溶性フィブリンの存在下でのその刺激の両方の観点で未変性様であった。同時に、この構築物は、トロンビン阻害及びタンパク質C活性化の明確に定義されたアッセイにおいて最も高いトロンビン阻害特性を示した(「実施例で用いた方法」のセクションを参照のこと)。対照的に、凝固時間アッセイでチェックするトロンビン阻害(高マイクロモル濃度にのぼる未変性のtPAの存在又は不在下のフィブリン網形成)は本質的に緩衝液のコントロールと比較して変化せず、ナノモル濃度の、上記の「四重アラニン」変異体あるいはEGF4、5、6をtPAに異なる場所に内的に又は端部で組み込むこんだことを含めた異なる精製キメラ構築物の添加により凝固時間が用量依存的に著しく増加した。凝固における観察された増加は、いずれかの端部で融合したEGFドメインと比較してN_EGF_tPA_EGF構築物においてより顕著であった。このタイプの作用はトロンビン介在タンパク質C活性化アッセイでも観察され、N_EGF_tPA_EGにより産生されたタンパク質Cの量は1つのEGF4、5、6ドメインを含有するtPA融合構築物及び内的に融合したEGF−tPA構築物より概して2〜4倍高かった。別の結果では、EGF−tPA融合体のEGF部位にメチオニン置換がある酸化耐性形態をそのトロンビン介在タンパク質C活性化能について比較した場合、メチオニンをバリンで置き換えた酸化耐性形態は常に15〜20%高いタンパク質C活性化を示した。
【0177】
同様に、スタフィロキナーゼ及びEGF融合構築物を調製し、ピチア・パストリス及びBl21 DE3細胞において発現させた。ピチア・パストリスにおけるストレプトキナーゼ発現及びその26番アミノ酸のグリコシル化は文献において報告されており、このグリコシル化はプラスミノーゲン活性化機能を妨げるようであり、ただし培養物をツニカマイシン含有培地の存在下で成長させると、未変性の細菌精製SAKと同様のプラスミノーゲン活性化プロファイルが得られる。この事実を考慮して、同じ遺伝子ブロックを細菌及びピチアの両方の発現について調製及び設計した。N末端及びC末端でのSAK−EGF融合のためにSAK及びEGF融合遺伝子ブロックを使用し、初期発現を大腸菌BL21 DE細胞において行い、ポリペプチド合成を1mM濃度のIPTGで誘導した(「実施例で用いた方法」を参照のこと)。最後に、EGF_SAK及びSAK_EGFが封入体の形態で得られ、これらのポリペプチドのためのリフォールディング条件を異なる比の酸化/還元グルタチオン及び他の溶液条件で最適化した(「実施例で用いた方法」を参照のこと)。並行させて、両方の構築物をピチア・パストリスにおいてツニカマイシンの存在下で発現させた。最後に、両方の方法を通じて得られた融合ポリペプチドを精製し、プラスミノーゲン活性化、トロンビン阻害及びタンパク質C活性化アッセイに供した。一方のピチア由来構築物のプラスミノーゲン活性化、他方の大腸菌封入体から得られたリフォールディングされた融合構築物は本質的に同じであるが、トロンビン阻害及びタンパク質C活性化の場合、ピチア由来EGF_SAK及びSAK_EGFポリペプチドは大腸菌由来タンパク質と比較して約2倍、活性が高いだけであった。背景にある原因、すなわち酸化条件の存在下、特にはリフォールディング中のEGFのメチオニン酸化を定量アミノ酸分析により検証した。酸化及び活性の減退(dimunition)問題は、上の実施例で記載したように、ハイブリッドのEGFセクションにおける部位特異的変異誘発によりメチオニンの代わりにバリンを置くことによって解決した。
【0178】
本発明の利点
本発明は、当該分野で使用されている抗トロンビン血栓溶解剤より有利である。組織プラスミノーゲン活性化因子のクリングル、アルギニン(R)、グリシン(G)及びアスパラギン酸(D)を含有するペプチド配列並びにヒルジンの抗トロンビン部をスタフィロキナーゼのC末端に導入して抗トロンビン血栓溶解剤を作ろうとの試みがこれまでなされてきて、これはこの形態のスタフィロキナーゼが、「RGDペプチド」、tPA由来クリングルによるフィブリン親和性上昇及び早期の一時的に生成されるトロンビンの阻害を通じて抗トロンビン特性を付与するトロンビン不活性化ヒルジン部による血小板阻害に役立つということを前提としている(Szemraj,Walkowiak et al.2005)。血栓溶解後の再閉塞問題に対抗するために、組織因子及び第VII因子を阻害する組み換えリポタンパク質関連凝固阻害因子(LACI)を通じた試みもなされた(Haskel,Torr et al.1991)。これは組織因子との不活性複合体の形成に役立つが、一時的な血餅に結合したトロンビンを妨害することはできない。
【0179】
しかしながら、本発明において、両方の種類(早期の一時的なトロンビン、また凝血原産生タンパク質C経路)のプラスミノーゲン活性化及びトロンビン阻害特性を有する戦略的に設計した新世代の血栓溶解剤を設計し、検証した。
【0180】
心筋梗塞/循環器疾患に現在適用できる薬物療法では、ヘパリン、ヒルジン及び他のトロンビン阻害剤の同時投与を必要とするが、入手可能な/市販のトロンビン阻害剤は一時的に産生されたトロンビンを標的としており、トロンビンのフィードバック産生を阻害しない。
【0181】
現在利用できる薬物療法とは対照的に、発明者は、新種の改善された血栓溶解剤を戦略的に設計した。この血栓溶解剤はトロンビン阻害機能を同時に、そのプラスミノーゲン活性化特性特異性とは別に発揮することができるため、フィブリン強化(tPAの場合のように)等の本来の特性を損なわないことだけでなく追加の特性(「親」分子に何も存在しない場合のプラスミン及びトロンビン依存性活性化等)も伴うことなく血餅溶解中の望ましくない副作用を防止するのに役立つ。元々の分子に非特異的プラスミノーゲン活性化がある場合(ストレプトキナーゼの場合のように)、発明者は、抗トロンビン特性とは別に血餅特異性を示すハイブリッド構築物を設計した。
【0182】
本発明において、発明者はストレプトキナーゼ、スタフィロキナーゼ及び組織プラスミノーゲン活性化因子等の血栓溶解剤の非天然のキメラ型を開示し、これらは線維素溶解及び抗トロンビンの両方の能力を有する。既に知られている、第2及び第3世代組み換え物を含むこれらの構築物の「親」分子は血餅を溶解させることはできるが、再血栓症の主な原因であるトロンビンの活性を抑制することはできない。本発明の構築物はフィブリン塊を溶解させるだけではなく、直接トロンビンを抑制し、またトロンビンが平衡を内因性トロンボモジュリン触媒抗凝固経路を通じてシフトさせる場合にタンパク質Cを活性化する。
【0183】
本発明において、一実施形態において、EGF4、5、6ドメインをストレプトキナーゼ分子内の異なるドメイン接合部に、適切なリンカーの配置の後に又は天然のドメイン間リンカーの代わりに導入した。異なる活性構築物を次にプラスミノーゲン活性化プロファイル及びトロンビン阻害特性に基づいて選択した。同様に、様々な組み合わせ/モチーフのEGFドメインと融合したSKの様々なムテインを創り出し、発現させ、次に単純なアッセイ系を用いてスクリーニングし、所望の特性を有する機能的に存続しているキメラを選択した。
【0184】
EGF4、5、6をそのN末端で融合させた場合のストレプトキナーゼ(最も高い血栓溶解能を有する薬剤分子)で観察される興味深くも有用な現象は、キメラ構築物が遅延したプラスミノーゲン活性化動態を示し、この活性化の遅延が、少量のプラスミンが反応混合物中に存在する場合に著しく減少したことである。これらのキメラ構築物がプラスミン依存性活性化(無修飾の未変性のストレプトキナーゼによるプラスミノーゲンの「自発的な」酵素原活性化とは反対に)を示したという偶然の観察結果は、得られた分子を血餅特異性にもし、最初は不活性な状態で循環するが(抗プラスミンセルピンによって迅速に不活性化されるため、通常、血中に遊離のプラスミンはないため)、血餅に結合したプラスミンに遭遇すると、そのプラスミン依存性作用機序により活性化される。この結果、SKの出血リスクが大きく抑制され、またEGFドメインの機能的融合によって付与されるものに加えて、広く使用されている薬剤に更なる利点が加わる。
【0185】
本発明による他の興味深い構築物は、一方でストレプトキナーゼのアルファ(α)及びベータ(β)ドメイン、また他方でベータ(β)及びガンマ(γ)ドメインのドメイン間接合部でのEGF4、5、6ドメインの融合によって得られた。これらの構築物の中でも、発明者は、EGFをαドメインとβドメインとの間に融合した場合にのみプラスミノーゲン活性化及び抗トロンビン活性を発見した。興味深いことに、EGFドメインをβドメインとγドメインとの間に導入した融合構築物はプラスミン活性を示さなかった。これらの結果は、所定のドメイン融合設計により「親」特性が共存できるか否かは、実際に実験により試験しない限り、アプライオリに予測できないことを示唆している。
【0186】
N末端EGF−SK融合構築物及び短縮SK(残基5〜383)とのEGFドメインのN末端融合構築物で観察された利点は、トロンビン不活性化に加えたそのはっきりとしたプラスミン依存性活性化特性であり、これは血餅特異的な血栓溶解及びトロンビン不活性化にとって潜在的に大きな利点である。
【0187】
EGF4、5、6ドメインをスタフィロキナーゼのN末端及びC末端領域と融合させた場合、N末端部が1:1プラスミン複合体の形成中に除去されることが観察された。これは溶解中のEGFドメインの独立した機能及び高レベルの血餅特異性を生み出すことにおいて有用であると考えられる。C末端EGF融合の場合、SAKに付着したままでであることが判明した。このため、両方のケースにおいて、プラスミノーゲン活性化及び抗血栓特性はキメラポリペプチドにうまく組み込まれたと判明した。
【0188】
本発明の化合物を含む組成物はプロドラッグ形態をとり得る。本発明の化合物のプロドラッグは本発明の方法において有用である。生体内で変換されて本発明の化合物の生物学的、薬学的又は治療的に活性な形態になる化合物がプロドラッグである。プロドラッグの様々な例及び形態が当該分野で周知である。前駆体タンパク質又は前駆体核酸等の生体分子がプロドラッグになり得る。プロドラッグの例は、とりわけ、H.Bundgaard編集のDesign of Prodrugs(Elsevier、1985)、K.Widderらが編集のMethods in Enzymology,Vol.42,pp.309−396(Academic Press、1985)、Krosgaard−Larsen及びH.Bundgaardが編集のA Textbook of Drug Design and Development,Chapter 5、H.Bundgaardによる”Design and Application of Prodrugs,”pp.113−191,1991、H.Bundgaard,Advanced Drug Delivery Reviews,Vol.8,p.1−38(1992)、H.Bundgaard,et al.,Journal of Pharmaceutical Sciences,Vol.77,p.285(1988)及びNogrady(1985)Medicinal Chemistry A Biochemical Approach,Oxford University Press,New York,pp.388−392に記載される。
【0189】
本発明を様々な具体的且つ好ましい実施形態及び技法を参照しながら説明してきた。しかしながら、本発明の趣旨及び範囲内に留まりながらも多くの変更及び修正を加え得ることを理解すべきである。当業者には、本明細書で具体的に記載したもの以外の組成物、方法、デバイス、デバイス構成要素、材料、手順及び技法を、過度に実験をしなくても本明細書において広く開示した本発明の実施に適用できることが明らかである。本明細書に記載の組成物、方法、デバイス、デバイス構成要素、材料、手順及び技法の当該分野で公知の全ての機能的均等物が本発明に含まれるとする。範囲を開示する場合、全ての部分範囲及び個々の値が含まれるとする。図面において図示した又は明細書において例示したもの全てを含め、本発明は開示の実施形態によって限定されることがなく、これらは例として又は図解として提供され、限定のためのものではない。本発明の範囲は請求項によってのみ限定される。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕キメラタンパク質構築物であって、
ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子、スタフィロキナーゼ、ウロキナーゼ並びにこれらの誘導体及び類似体から成る群から選択される血栓溶解タンパク質に融合したトロンボモジュリンの4、5及び6上皮増殖因子様ドメイン(EGF4、5、6)を含むことを特徴とするキメラタンパク質構築物。
〔2〕前記トロンボモジュリンEGF4、5、6ドメインが、前記血栓溶解タンパク質又はその誘導体若しくは類似体に、前記血栓溶解タンパク質又はその誘導体若しくは類似体のN末端、C末端又はN及びCの両方の末端で融合する、前記〔1〕に記載のキメラタンパク質構築物。
〔3〕前記血栓溶解タンパク質が1つ以上のアミノ酸置換、挿入、欠失又は切断を有するストレプトキナーゼを含み、また前記構築物がプラスミノーゲン活性化、トロンビン阻害及び抗凝固タンパク質C経路活性化活性を有する、前記〔1〕に記載のキメラタンパク質構築物。
〔4〕前記トロンボモジュリンEGF4、5、6ドメインが前記ストレプトキナーゼのアルファドメインとベータドメインとの間又はベータドメインとガンマドメインとの間、あるいはストレプトキナーゼ誘導体又は類似体のアルファドメインとベータドメインとの間又はベータドメインとガンマドメインとの間で融合し、前記ストレプトキナーゼ誘導体又は類似体が1つ以上の変異、付加、挿入又は切断を含み、また前記構築物がプラスミノーゲンを活性化し、トロンビンを阻害し、抗凝固タンパク質C経路を活性化する、前記〔1〕に記載のキメラタンパク質構築物。
〔5〕前記EGF4、5、6ドメインがストレプトキナーゼ又はストレプトキナーゼ誘導体若しくは類似体に、ストレプトキナーゼN末端、ストレプトキナーゼC末端、N及びCの両方のストレプトキナーゼ末端又はストレプトキナーゼのドメイン間位置から選択される1つ以上の位置にてインフレームで融合する、前記〔2〕に記載のキメラタンパク質構築物。
〔6〕前記ストレプトキナーゼ誘導体が残基5〜383又は5〜414に及ぶ、前記〔5〕に記載のキメラタンパク質構築物。
〔7〕前記ストレプトキナーゼ誘導体が残基16〜383に及ぶ、前記〔6〕に記載のキメラタンパク質構築物。
〔8〕前記EGF4、5、6ドメインがストレプトキナーゼN末端、ストレプトキナーゼC末端又はN及びCの両方のストレプトキナーゼ末端から選択される1つ以上の位置にてインフレームで融合し、前記EGF4、5、6ドメインのMet41がバリン、アラニン又はグルタミンに置き換えられ、あるいはC末端Met435がバリン、アラニン又はグルタミンに置き換えられ、あるいは同時N及びC末端融合構築物において、Met41及びMet435が独立してバリン、アラニン又はグルタミンに置き換えられる、前記〔2〕に記載のキメラタンパク質構築物。
〔9〕トランスグルタミナーゼ認識配列を更に含む、前記〔1〕に記載のキメラタンパク質構築物。
〔10〕前記EGF4、5、6ドメインと前記血栓溶解タンパク質又はその誘導体若しくは類似体との接合部に1つ以上のトロンビン切断可能配列を更に含む、前記〔1〕に記載のキメラタンパク質構築物。
〔11〕哺乳動物において血栓症を治療する方法であって、
治療を必要とする該哺乳動物に治療有効量の前記〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載のキメラタンパク質構築物を投与することを含むことを特徴とする方法。
〔12〕キメラタンパク質構築物であって、
組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)誘導体、類似体又はフラグメントに、前記tPA誘導体、類似体又はフラグメントのN末端で融合、前記tPA誘導体、類似体又はフラグメントのC末端で融合、前記tPA誘導体、類似体又はフラグメントの両方の末端で融合、あるいは前記tPA誘導体、類似体又はフラグメント内で内的に融合したトロンボモジュリンのEGF4、5、6ドメインを含むことを特徴とするキメラタンパク質構築物。
〔13〕前記EGF4、5、6ドメインと前記tPA誘導体、類似体又はフラグメントとの融合が1つ以上のリンカーフラグメントを更に含む、前記〔12〕に記載のキメラタンパク質構築物。
〔14〕前記1つ以上のリンカーフラグメントが構築物の柔軟性を促進する1つ以上のアミノ酸を含む、前記〔13〕に記載のキメラタンパク質構築物。
〔15〕前記tPA誘導体、類似体又はフラグメントが1つ以上の変異、付加、挿入又は切断を含み、前記tPA誘導体、類似体又はフラグメントがプラスミノーゲンを活性化し、トロンビンを阻害し、抗凝固タンパク質Cを活性化させる、前記〔12〕に記載のキメラタンパク質構築物。
〔16〕1つ以上のトロンボモジュリンEGF4、5、6ドメインに融合した組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)のフラグメント又はその切断若しくは修飾形態を含むため、tPAのEGFドメインが前記1つ以上のトロンボモジュリンEGF4、5、6ドメインに置き換えられ、また抗トロンビン及びプラスミノーゲン活性化の両方の活性を有する、前記〔12〕に記載のキメラタンパク質構築物。
〔17〕1つ以上のトロンボモジュリンEGF4、5、6ドメインに融合した組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)のフラグメント又はその切断若しくは修飾形態を含むため、tPAのクリングル1及びEGFドメインが前記1つ以上のトロンボモジュリンEGF4、5、6ドメインに置き換えられ、また抗トロンビン及びプラスミノーゲン活性化の両方の活性を有する、前記〔12〕に記載のキメラタンパク質構築物。
〔18〕前記tPA EGFドメイン及びクリングル1ドメインが前記tPAフラグメントのN末端又はC末端で1つ以上のトロンボモジュリンEGF4、5、6ドメインに置き換えられる、前記〔17〕に記載のキメラタンパク質構築物。
〔19〕1つ以上のリンカーフラグメントを前記tPAフラグメント又はその切断若しくは修飾形態と前記トロンボモジュリンEGF4、5、6ドメインとの間に更に含み、前記リンカーフラグメントが、構築物がトロンビン阻害、タンパク質C活性化及びプラスミノーゲン活性化能を有するように構築物の柔軟性を促進するアミノ酸残基を含む、前記〔17〕又は〔18〕のいずれかに記載のキメラタンパク質構築物。
〔20〕前記EGF4、5、6成分のメチオニン41がアラニン、バリン又はグルタミンに置き換えられる、前記〔17〕〜〔19〕のいずれかに記載のキメラタンパク質構築物。
〔21〕キメラタンパク質構築物であって、
スタフィロキナーゼ(SAK)のN末端側又はC末端側の端にインフレームで融合したトロンボモジュリンのEGF4、5、6ドメインを含むことを特徴とするキメラタンパク質構築物。
〔22〕前記トロンボモジュリンEGF4、5、6ドメインのメチオニン41がアラニン、バリン又はグルタミンに置き換えられる、前記〔21〕に記載のキメラタンパク質構築物。
〔23〕トロンビン切断可能配列を前記SAKと前記EGF4、5、6ドメイン領域との間に更に含む、前記〔21〕又は〔22〕のいずれかに記載のキメラタンパク質構築物。
〔24〕トランスグルタミナーゼ架橋配列を更に含む、前記〔22〕〜〔23〕のいずれかに記載のキメラタンパク質構築物。
〔25〕水溶液又は生理食塩水に可溶性である、前記〔1〕〜〔10〕又は〔12〕〜〔24〕のいずれかに記載のキメラタンパク質構築物。
〔26〕トロンビンを阻害する方法であって、
前記〔1〕〜〔10〕又は〔12〕〜〔24〕のいずれかに記載のキメラタンパク質構築物の使用を含むことを特徴とする方法。
〔27〕タンパク質Cを活性化する方法であって、
前記〔1〕〜〔10〕又は〔12〕〜〔24〕のいずれかに記載のキメラタンパク質構築物の使用を含むことを特徴とする方法。
〔28〕抗トロンビン及びプラスミノーゲン活性化の両方をもたらす方法であって、
前記〔1〕〜〔10〕又は〔12〕〜〔24〕のいずれかに記載のキメラタンパク質構築物の使用を含むことを特徴とする方法。
〔29〕医薬製剤であって、
薬学的有効量の前記〔1〕〜〔10〕又は〔12〕〜〔24〕のいずれかに記載のキメラタンパク質構築物を含むことを特徴とする医薬製剤。
〔30〕哺乳動物における血栓溶解の方法であって、
それを必要とする該哺乳動物に治療有効量の前記〔1〕〜〔10〕又は〔12〕〜〔24〕のいずれかに記載のキメラタンパク質構築物をそれを必要とする患者に投与することを含むことを特徴とする方法。
〔31〕細菌系における発現によって調製される、前記〔1〕〜〔10〕又は〔12〕〜〔24〕のいずれかに記載のキメラ構築物。
〔32〕真核生物系における発現によって調製される、前記〔1〕〜〔10〕又は〔12〕〜〔24〕のいずれかに記載のキメラ構築物。
〔33〕前記真核生物発現系が、動物細胞、ピチア・パストリス及び真菌から成る群から選択される、前記〔32〕に記載のキメラ構築物。
〔34〕細胞外媒体に分泌される、前記〔33〕に記載のキメラタンパク質構築物。
〔35〕1つ以上のアミノ酸が、Gly、Asn、Pro、Ser、Gln、Arg及びLysから成る群から選択される、前記〔13〕に記載のキメラタンパク質構築物。
〔36〕核酸配列であって、
前記〔1〕〜〔10〕、〔12〕〜〔25〕又は31〜35のいずれかに記載のキメラタンパク質構築物をコードしていることを特徴とする核酸配列。
〔37〕ベクターであって、
前記〔36〕に記載の核酸配列を含むことを特徴とするベクター。
〔38〕宿主細胞であって、
前記〔37〕に記載のベクターを含むことを特徴とする宿主細胞。
〔39〕宿主細胞発現系における前記タンパク質をコードしている核酸配列の発現によって調製される、前記〔1〕〜〔10〕、〔12〕〜〔25〕又は31〜35のいずれかに記載のキメラタンパク質構築物。
〔40〕前記〔1〕〜〔10〕及び〔12〕〜〔25〕又は31〜35のいずれかに記載のキメラタンパク質構築物を調製する方法であって、
宿主細胞発現系における該タンパク質をコードしている核酸配列の発現によることを特徴とする方法。
〔41〕前記宿主細胞発現系が真核生物発現系である、前記〔40〕に記載の方法。
〔42〕前記宿主細胞発現系が細菌発現系である、前記〔41〕に記載の方法。
〔43〕前記細菌が大腸菌である、前記〔42〕に記載の方法。
〔44〕前記真核生物発現系が動物細胞又は酵母細胞である、前記〔43〕に記載の方法。
〔45〕前記酵母がピチア・パストリスである、前記〔44〕に記載の方法。
〔46〕前記キメラタンパク質構築物が前記宿主細胞から細胞外媒体に分泌される、前記〔40〕〜〔45〕のいずれかに記載の方法。
【0190】
参考文献
【0191】
(配列表)
Seq ID 1=SK
Seq ID 2=EGF
Seq Id 3=ドメイン間SK_EGF
アルファ/ベータ間
Seq ID 4=N_EGF_SK
SEQ ID 5=ドメイン間ベータ/ガンマ
SEQ ID 6=SK_EGF
SEQ ID 7=N_EGF_SK_EGF
SEQ ID 8=EGF456人工
SEQ ID 9=人工合成TPA
SEQ ID 10=N_EGF_TPA_EGF
SEQ ID 11=N_EGF_TPA
SEQ ID 12=TPA_EGF
SEQ ID 13=ID EGF TPA(egf欠失)
SEQ ID 14=ID EGF TPA(egf、K1欠失)
SEQ ID 15=N_EGF(egf、k1欠失)
SEQ ID 16=TPA_EGF(egf、k1欠失)
SEQ ID 17=SAK
SEQ ID 18=N_EGF_SAK
SEQ ID 19=SAK_EGF
SEQ ID 20=tPAのバリアント
(テネクテプラーゼ)