特許第6234225号(P6234225)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234225
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】針付き接続部材、薬剤溶解キット
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/20 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
   A61J1/20 316A
【請求項の数】17
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-527196(P2013-527196)
(86)(22)【出願日】2013年5月17日
(86)【国際出願番号】JP2013063788
(87)【国際公開番号】WO2013172449
(87)【国際公開日】20131121
【審査請求日】2016年2月23日
(31)【優先権主張番号】特願2012-113517(P2012-113517)
(32)【優先日】2012年5月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】513001606
【氏名又は名称】EAファーマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(72)【発明者】
【氏名】岩堀 宏哉
【審査官】 今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−028243(JP,A)
【文献】 特開平10−033635(JP,A)
【文献】 特表2009−528865(JP,A)
【文献】 特開平09−201396(JP,A)
【文献】 特表2001−511056(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/013934(WO,A1)
【文献】 特開平09−028764(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空針が立設された部材本体と、前記中空針を覆う弾性鞘体とを備え、
前記部材本体の中空針が立設された側と反対の面側には、薬液容器と接続できるように構成された薬液容器接続部が設けられた針付き接続部材であって、
前記弾性鞘体は、少なくとも前記中空針の外面を剥離できるように溶融樹脂が前記中空針外面に密着した状態で覆い、
少なくとも前記弾性鞘体によって覆われた中空針の外面が、滅菌保証されている、薬液容器接続用針付き接続部材。
【請求項2】
前記中空針の外面に前記弾性鞘体を二色成形法によって設けた、請求項1に記載の薬液容器接続用針付き接続部材。
【請求項3】
前記中空針の外面に前記弾性鞘体をインサート成形法によって設けた、請求項1に記載の薬液容器接続用針付き接続部材。
【請求項4】
前記弾性鞘体の成型条件は、樹脂温度150〜250℃の範囲内である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬液容器接続用針付き接続部材。
【請求項5】
前記弾性鞘体の先端に平面部が形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の薬液容器接続用針付き接続部材。
【請求項6】
前記部材本体は、前記中空針の基部周縁から広がったフランジ部を有し、かつ前記弾性鞘体の基部が前記フランジ部の面に沿って広がるフランジ状基部を有している、請求項1〜5のいずれか1項に記載の薬液容器接続用針付き接続部材。
【請求項7】
前記薬液容器接続部が、接続する薬液容器に設けられた管状接続部と接続できるように構成された接続管部を有している、請求項1〜6のいずれか1項に記載の薬液容器接続用針付き接続部材。
【請求項8】
前記部材本体の中空針が立設された面側には、バイアル瓶の口部が装着されるように構成されたバイアル瓶係合部が設けられている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の薬液容器接続用針付き接続部材。
【請求項9】
前記薬液容器接続部が、接続する薬液容器に設けられた管状ネジ部に螺着できるように構成された接続ネジ部を有している、請求項1〜8のいずれか1項に記載の薬液容器接続用針付き接続部材。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の薬液容器接続用針付き接続部材と、管状接続部が設けられた薬液容器とを備え、針付き接続部材に設けられた接続管部と、薬液容器の管状接続部とが薬液が流通できるように接続されている、薬剤溶解キット。
【請求項11】
請求項9に記載の薬液容器接続用針付き接続部材と、管状ネジ部が設けられた薬液容器とを備え、針付き接続部材に設けられた接続ネジ部と、薬液容器の管状ネジ部とが薬液が流通できるように、螺着により接続されている、薬剤溶解キット。
【請求項12】
前記薬液容器は、収容している薬液を流出させるための薬液流出口が設けられている、請求項10又は11に記載の薬剤溶解キット。
【請求項13】
前記薬液容器接続用針付き接続部材又は前記薬液容器に、薬剤溶解キットを吊下げ支持できるように構成された吊り具が設けられた、請求項10又は12に記載の薬剤溶解キット。
【請求項14】
請求項9に記載の薬液容器接続用針付接続部材と、管状ネジ部が設けられた薬液容器とを備え、前記針付き接続部材に設けられた前記接続ネジ部と前記薬液容器の前記管状ネジ部とが着脱できるように接続されており、この前記接続ネジ部と前記管状ネジ部が共にルアーロック式である、薬剤溶解キット。
【請求項15】
中空針が立設された部材本体と、前記中空針を覆う弾性鞘体とを備え、前記部材本体の中空針が立設された側と反対の面側には、薬液容器と接続できるように構成された薬液容器接続部が設けられた薬液容器接続用針付き接続部材の製造方法であって、
前記中空針の外面に前記弾性鞘体を二色成形法又はインサート成形法によって成型し、少なくとも前記中空針の外面を剥離できるように溶融樹脂が前記中空針外面に密着した状態で覆うように設ける工程を有する、薬液容器接続用針付き接続部材の製造方法。
【請求項16】
前記弾性鞘体を成型する工程により、少なくとも前記弾性鞘体によって覆われた中空針の外面を滅菌保証する、請求項15に記載の薬液容器接続用針付き接続部材の製造方法。
【請求項17】
前記弾性鞘体を成型する工程における成型条件は、樹脂温度150〜250℃の範囲内である、請求項15又は16に記載の薬液容器接続用針付き接続部材の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液容器に別のバイアル瓶を接続できるように構成された針付き接続部材、及び前記針付き接続部材と薬液容器とを接続した薬剤溶解キットに関する。
本願は2012年5月17日に日本に出願された、特願2012−113517号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来、薬液溶解キットとしては、例えば、特許文献1〜3に開示された技術が提案されている。
【0003】
特許文献1には、 薬液容器とバイアル瓶ホルダーとから構成され、薬液容器は、容器本体の上部に連通口を形成しかつ下部に薬液の排出口を形成し、前記連通口の上端に結合部材を形成し、前記排出口の下端に封止体を装着し、バイアル瓶ホルダーはホルダー本体の底部内面にバイアル瓶装着口と医療用針が突設され、前記ホルダー本体の底部と薬液容器の結合部材を結合したことを特徴とする薬剤溶解キットが開示されている。
【0004】
特許文献2には、 シール部により閉じられた口部を、上部に有した押圧変形自在なプラスチック製の溶解液容器本体と、相連通する中空部が形成された上下一対の針体を具備して前記口部の上方に位置する両頭針と、前記両頭針の上方に位置し下端にシールされた口部を有した薬剤バイアルと、前記溶解液容器口部を同心状に囲んで前記両頭針及び薬剤バイアルを覆うように上方に延び前記口部から適宜取外し得るように装着された保護キャップとを備えており、前記両頭針の針体は、前記保護キャップ内の薬剤バイアルの口部シール部を上部の針体に押し付けることにより、前記保護キャップに対する摺動を伴って、下部の針体による前記溶解液容器の口部シール部の穿刺、及び上部の針体による前記薬剤バイアルの口部シール部の穿刺を行なって両容器内に挿入され、且つ挿入後の前記両容器を上下反転する毎に前記針体を通じて下方へ容器内の薬剤を移動させ得る長さとされていることを特徴とする両頭針付溶解液容器が開示されている。
【0005】
特許文献3には、内部に溶解液又は希釈液などのような薬液が封入された可撓性プラスチック製容器本体に、他の薬液容器への連通手段と薬液取出口とをそれぞれ備えた輸液容器において、上記連通手段は、上記容器本体内に連通し且つ他の薬剤容器の口部に穿刺可能な穿刺針と、前記穿刺針に同心状に一体に組合せられていて、連通時に他の薬剤容器を支持可能な支持部材とを構成要素として含み、上記穿刺針にはゴム部材からなるゴム内層を備えた保護キャップが被冠されており、この被冠状態において保護キャップのゴム内層は上記穿刺針の周りにシールを形成して前記穿刺針を無菌並びに液密状態に保持し、保護キャップと連通手段との間には、保護キャップを被冠状態に拘束する拘束機構が備えられ、前記拘束機構は、保護キャップの回動動作により、拘束位置と非拘束位置とを選択的にとり得るよう構成されていることを特徴とする輸液容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−33635号公報
【特許文献2】実開平6−22272号公報
【特許文献3】特開平8−24313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述した従来技術には、次のような問題があった。
特許文献1に記載の薬剤溶解キットは、複数の成形品の組立品である針部が接続されているため、溶解液部の滅菌工程では、針部の滅菌保証が難しく、針単体でもガンマ線滅菌等による滅菌が必要となるため、製造コストが高くなる問題がある。
特許文献2に記載の両頭針付溶解液容器は、両頭針をバイアル瓶と薬液容の双方の栓体に穿刺しなければならず、操作が面倒であった。また、コアリング発生の機会が2回である。さらに構造が複雑であるためコスト高となる問題がある。
特許文献3に記載の輸液容器は、針キャップを取り外して、バイアル瓶の栓体穿刺前に、針を露出するタイプの薬剤溶解キットであり、先に針を露出させてしまうと、滅菌が保証されないという問題がある。また、針先が露出するために危険である等の問題がある。
【0008】
本発明は、前記事情に鑑みてなされ、薬剤溶解キットとして使用する際に滅菌工程を簡便に行うことができる針付き接続部材及びそれを用いた薬剤溶解キットの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を達成するため、本発明は、例えば、中空針が立設された部材本体と、前記中空針を覆う弾性鞘体とを備え、前記部材本体の中空針が立設された側と反対の面側には、薬液容器と接続できるように構成された薬液容器接続部が設けられた針付き接続部材であって、前記弾性鞘体は、少なくとも前記中空針の外面を剥離可能に密着した状態で覆っていることを特徴とする針付き接続部材を提供する。
【0010】
本発明の針付き接続部材において、前記中空針の外面に前記弾性鞘体を二色成形法によって設けたことが好ましい。
【0011】
本発明の針付き接続部材において、少なくとも前記弾性鞘体によって覆われた中空針の外面が、滅菌保証されていることが好ましい。
【0012】
本発明の針付き接続部材において、前記弾性鞘体の先端に平面部が形成されていることが好ましい。
【0013】
本発明の針付き接続部材において、前記部材本体は、前記中空針の基部周縁から広がったフランジ部を有し、かつ前記弾性鞘体の基部が前記フランジ部の面に沿って広がるフランジ状基部を有していることが好ましい。
【0014】
本発明の針付き接続部材において、前記薬液容器接続部が、接続する薬液容器に設けられた管状接続部と接続可能な接続管部を有していることが好ましい。
【0015】
本発明の針付き接続部材において、前記部材本体の中空針が立設された面側には、バイアル瓶の口部が装着されるバイアル瓶係合部が設けられていることが好ましい。
【0016】
本発明の針付き接続部材において、前記薬液容器接続部が、接続する薬液容器に設けられた管状ネジ部に螺着可能な接続ネジ部を有している構成としてもよい。
【0017】
また本発明は、前記針付き接続部材と、管状接続部が設けられた薬液容器とを備え、針付き接続部材に設けられた接続管部と、薬液容器の管状接続部とが薬液流通可能に接続されていることを特徴とする薬剤溶解キットを提供する。
【0018】
また本発明は、前記針付き接続部材と、管状ネジ部が設けられた薬液容器とを備え、針付き接続部材に設けられた接続ネジ部と、薬液容器の管状ネジ部とが薬液流通可能に螺着接続されていることを特徴とする薬剤溶解キットを提供する。
【0019】
本発明の薬剤溶解キットにおいて、前記薬液容器は、収容している薬液を流出させるための薬液流出口が設けられていることが好ましい。
【0020】
本発明の薬剤溶解キットにおいて、前記針付き接続部材又は前記薬液容器に、薬剤溶解キットを吊下げ支持できるように構成された吊り具が設けられたことが好ましい。
【0021】
また本発明は、前記針付接続部材と、管状ネジ部が設けられた薬液容器とを備え、針付き接続部材に設けられた接続ネジ部と薬液容器の管状ネジ部とが着脱できるように接続されており、この接続ネジ部と管状ネジ部が共にルアーロック式であることを特徴とする薬剤溶解キットを提供する。
【0022】
また、本発明は以下の側面を有する。
(1)中空針が立設された部材本体と、前記中空針を覆う弾性鞘体とを備え、
前記部材本体の中空針が立設された側と反対の面側には、薬液容器と接続できるように構成された薬液容器接続部が設けられた針付き接続部材であって、
前記弾性鞘体は、少なくとも前記中空針の外面を剥離できるように密着した状態で覆っている、針付き接続部材、
(2)前記中空針の外面に前記弾性鞘体を二色成形法によって設けた、(1)に記載の針付き接続部材、
(3)前記中空針の外面に前記弾性鞘体をインサート成形法によって設けた、(1)に記載の針付き接続部材、
(4)少なくとも前記弾性鞘体によって覆われた中空針の外面が、滅菌保証されている、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の針付き接続部材、
(5)前記弾性鞘体の先端に平面部が形成されている、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の針付き接続部材、
(6)前記部材本体は、前記中空針の基部周縁から広がったフランジ部を有し、かつ前記弾性鞘体の基部が前記フランジ部の面に沿って広がるフランジ状基部を有している、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の針付き接続部材、
(7)前記薬液容器接続部が、接続する薬液容器に設けられた管状接続部と接続できるように構成された接続管部を有している、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の針付き接続部材、
(8)前記部材本体の中空針が立設された面側には、バイアル瓶の口部が装着されるように構成されたバイアル瓶係合部が設けられている、(1)〜(7)のいずれか1項に記載の針付き接続部材、
(9)前記薬液容器接続部が、接続する薬液容器に設けられた管状ネジ部に螺着できるように構成された接続ネジ部を有している、(1)〜(8)のいずれか1項に記載の針付き接続部材、
(10)(1)〜(8)のいずれか1項に記載の針付き接続部材と、管状接続部が設けられた薬液容器とを備え、針付き接続部材に設けられた接続管部と、薬液容器の管状接続部とが薬液が流通できるように接続されている、薬剤溶解キット、
(11)(9)に記載の針付き接続部材と、管状ネジ部が設けられた薬液容器とを備え、針付き接続部材に設けられた接続ネジ部と、薬液容器の管状ネジ部とが薬液が流通できるように、螺着により接続されている、薬剤溶解キット、
(12)前記薬液容器は、収容している薬液を流出させるための薬液流出口が設けられている、(10)又は(11)に記載の薬剤溶解キット、
(13)前記針付き接続部材又は前記薬液容器に、薬剤溶解キットを吊下げ支持できるように構成された吊り具が設けられた、(10)又は(12)に記載の薬剤溶解キット、及び
(14)(9)に記載の針付接続部材と、管状ネジ部が設けられた薬液容器とを備え、前記針付き接続部材に設けられた前記接続ネジ部と前記薬液容器の前記管状ネジ部とが着脱できるように接続されており、この前記接続ネジ部と前記管状ネジ部が共にルアーロック式である、薬剤溶解キット。
【発明の効果】
【0023】
本発明の針付き接続部材は、中空針が立設された部材本体と、前記中空針を覆う弾性鞘体とを備え、前記部材本体の中空針が立設された側と反対の面側には、薬液容器と接続できるように構成された薬液容器接続部が設けられ、前記弾性鞘体は、少なくとも前記中空針の外面を剥離できるように密着した状態で覆っている構成としたものなので、中空針を覆う弾性鞘体を形成する際、溶融樹脂を中空針外面に密着させて弾性鞘体を成形することで、少なくとも弾性鞘体によって覆われた中空針の外面を滅菌することができ、この部分の滅菌が保証できることから、薬剤溶解キットとして使用する際に滅菌工程を簡便に行うことができる。
【0024】
本発明の薬剤溶解キットは、薬剤容器に前記針付き接続部材の薬液容器接続部を接続した構成なので、少なくとも弾性鞘体によって覆われた中空針の外面については滅菌を保証することができることから、薬剤溶解キットとして使用する際に滅菌工程を簡便に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の針付き接続部材の第1例を示す正面断面図である。
図2】中空針の概要図である。
図3】針付き接続部材にバイアル瓶を装着する状態を示す正面断面図である。
図4】本発明の針付き接続部材の第2例を示す正面断面図である。
図5】本発明の薬剤溶解キットの第1例を示す正面断面図である。
図6】薬剤溶解キットの製造工程を示す正面断面図である。
図7】薬剤溶解キットの使用状態を示す正面断面図である。
図8】吊り具を有する薬剤溶解キットの正面断面図である。
図9】吊り具の取付方法の第1例を示す正面断面図である。
図10】吊り具の取付方法の第2例を示す正面断面図である。
図11】本発明の薬剤溶解キットの第2例の製造工程を示す正面断面図である。
図12】本発明の薬剤溶解キットの第2例の使用状態を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
以下に説明する針付き接続部材及び薬剤溶解キットの構成は、本発明の単なる例示であり、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、種々の変更や修正が可能である。
【0027】
(針付き接続部材)
図1は、本発明の針付き接続部材の第1例を示す図である。
本例の針付き接続部材1は、中空針2が立設された部材本体3と、前記中空針2を覆う弾性鞘体4とを備え、前記部材本体3の中空針2が立設された一方の面側には、バイアル瓶6の口部7が装着されるように構成されたバイアル瓶係合部8が設けられ、前記部材本体3の他方の面側には、薬液容器と接続できるように構成された接続管部12(薬液容器接続部)が設けられ、前記弾性鞘体4は、少なくとも前記中空針2の外面を剥離できるように密着した状態で覆っていることを特徴としている。
【0028】
本例において、前記部材本体3は、中空針2の基部周縁から広がったフランジ部11を有し、かつ弾性鞘体4の基部がフランジ部11の面に沿って広がるフランジ状基部13を有している。このようにフランジ部11の面に沿って広がるフランジ状基部13を設けたことで、バイアル瓶6を装着した際に、アルミキャップ等からなる口部7の天面と弾性樹脂からなるフランジ状基部13とが接触し、フランジ状基部13がパッキンとして作用して、この部分からの液漏れを防ぐことができる。
前記中空針2の基部とは、先端部に貫通孔5を有する中空針2の根元部を示し、フランジ部11の中心部に位置する部位である。
前記弾性鞘体4の基部とは、前記中空針2の基部上部の弾性鞘体部を示し、フランジ部11の弾性鞘体4の中心部に位置する部位である。
【0029】
前記部材本体3の中空針2が立設された一方の面側には、前記フランジ部11の周縁から上方に向けて突出した2本以上の突片9からなるバイアル瓶係合部8が設けられている。
これらの突片9には、図3に示すように針付き接続部材1にバイアル瓶6を装着する際に、バイアル瓶6の口部7に係合する係止爪10が形成されている。
【0030】
前記部材本体3と中空針2とは、合成樹脂の一体成形品になっている。この合成樹脂としては、バイアル瓶6の栓体に刺しても形状を維持することが重要なため、日本薬局方に適合する剛性が高い樹脂として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ABS樹脂、及びAS樹脂等を用いることが好ましく、ポリプロピレンがより好ましい。
【0031】
前記中空針2は、バイアル瓶6の口部7に設けられた栓体に対して穿刺できるように構成されていればよく、寸法や先端形状などは特に限定されない。
一例として、図2に示すように先端部分が尖った中空円筒状の中空針2が挙げられる。
図2に示す形状の中空針2を用いる場合、中空針2の直径φaは2.5〜3.5mm程度が好ましく、円筒部分長さbは7.0〜8.0mm程度が好ましく、中空針高さcは15〜17mm程度とすることが好ましい。
【0032】
前記中空針2に穿設された貫通孔5は、中空針2の先端部に一端が開口し、部材本体3の他方の面側に他端が開口し、薬液が流通できるように構成された孔径を有している。
【0033】
前記弾性鞘体4の材質は、日本薬局方に適合する樹脂であり、射出可能な熱可塑性エラストマーを用いることができ、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、水素化スチレン‐ブタジエンゴム(HSBR)、スチレン−エチレン−ブタジエンゴム(SEBR)、又は結晶ポリオレフィンブロック−エチレンブロック−ブチレンブロック−結晶ポリオレフィンブロックからなるブロック共重合体(CEBC)、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)又は、ポリエチレン等を挙げることができる。
前記部材本体3と中空針2の材質がポリプロピレンの場合、前記弾性鞘体4の材質は、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、又はその混合材料を用いることが好ましい。又は、中空針2と弾性鞘体4が適度な剥離性を有するためには、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)にエチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)やポリエチレン(PE)を混合することが好ましい。
【0034】
前記弾性鞘体4は、前記中空針2の外面を覆い、さらに部材本体3のフランジ部11の上面に沿って形成されている。この弾性鞘体4の先端は、中空針2の針先形状に合わせることなく平面状に形成された平面部14になっている。中空針2の針先を覆う弾性鞘体4の厚みは、不用意に針先が突出することがなく、またバイアル瓶6の栓体を穿刺する際に抵抗とならないような厚さとされ、通常は1mm以上10mm以下であることが好ましく、1mm以上5mm以下がより好ましい。
弾性鞘体4の先端とは、バイアル瓶6の装着時に生じる抵抗を利用し、弾性鞘体4を剥離するため、バイアル瓶6に進入せず、且つ装着抵抗を受け止める平面部14を有する部位を示す。
弾性鞘体4の先端に平面部14を設けたことによって、バイアル瓶係合部8にバイアル瓶6を装着した際に、中空針2の先端部から弾性鞘体4が剥離し、中空針2が弾性鞘体4の平面部14を突き破り、さらにバイアル瓶6の栓体を穿刺してバイアル瓶6内部に侵入する動作がスムーズに行われる。平面部14を設けない、或いは平面部14の外径が小さいと、弾性鞘体4が中空針2から剥離しないでバイアル瓶6内部に侵入する可能性がある。それを防ぐため、平面部14の外径を中空針2の直径a以上とすることが好ましい。
【0035】
本例の針付き接続部材1は、中空針2を含む部材本体3の樹脂材料と、弾性鞘体4の樹脂材料とを用い、二色成形法によって製造することが好ましい。
二色成形法は、異材質(材料)同士を組み合わせて一体に成形する成形技術である。本例の針付き接続部材1の製造方法における二色成形法は、中空針2を含む部材本体3を成形すること、及び、部材本体3の成形後、中空針2と同一の金型内で弾性鞘体4となる部分を部材本体3と一体で成形させることを含む。弾性鞘体4の製造方法は、成形した部材本体3を中空針2と同一のコアに残した状態で金型を回転させながら、中空針2を弾性鞘体4となるキャビティへ入れること、及び弾性鞘体4となる材料を弾性鞘体4のキャビティのゲート口から注ぐことを含む。このような二色成形法により、本例の針付き接続部材1は、中空針2を含む部材本体3と弾性鞘体4が一体化した製品となる。成形順序は、これに限らず、弾性鞘体4側を先に成形することも可能である。
【0036】
本願の針付き接続部材1の製造方法としては、前記に示した方法以外にインサート成形法で製造することもできる。
インサート成形法の場合は、先に部材本体3を成形して、その部材本体3を弾性鞘体4のキャビティへ取り付け、異材質(又は異材料)を一体に成形する。
前記インサート成形法では、先に部材本体3だけを成型し、取り置きすることが可能である。
前記インサート成形法では、弾性鞘体4の剥離効果をより高めるために、弾性鞘体4と一体化する前に中空針2表面部にシリコンオイルを塗布することもできる。弾性鞘体4と部材本体3を一体化する前にシリコンオイルを塗布することは、インサート成形法においては容易に可能である(インサート成形法では部材本体3だけを事前に取り置きするため)。
インサート成形法においてシリコンオイルを塗布する部位としては、フランジ部11を除く中空針2の先端を含む表面部とすることが好ましく、フランジ部11にはシリコンオイルを塗布しないことで、弾性鞘体4が剥離されないようにすることが可能である。
この二色成形法又はインサート成形法による針付き接続部材1の製造において、中空針2を含む部材本体3の成形条件は、樹脂温度180〜300℃の範囲内とすることが好ましい。また、弾性鞘体4の成型条件は、樹脂温度150〜250℃の範囲内とすることが好ましい。
【実施例】
【0037】
以下にインサート成形による針付き接続部材の成形試験を行った結果を示す。
まず中空針(PP)を射出成型し、その後、下記表1に記載の配合例の樹脂による弾性鞘体の成形を行った結果、表1に示すような剥離状態であった。
【0038】
針付き接続部材の伸縮性及び剥離性は、針付き接続部材3とバイアル瓶6を実際に装着して官能評価を実施した。
弾性鞘体4と中空針2が剥離する時には、弾性鞘体4と中空針2が剥離しながら、中空針2のみバイアル瓶6の内部へ挿入することが必要であり、弾性鞘体4は、バイアル瓶6の内部へ挿入せずに針付き接続部材3とバイアル瓶6の装着時の隙間に圧縮される状態となる。この場合の針付き接続部材3の伸縮性とは、針付き接続部材3とバイアル瓶6の装着時の隙間に弾性鞘体4を容易に圧縮できるかどうかを意味する。
針付き接続部材3の伸縮性は、下記の基準で評価した。
A:容易に圧縮可能となる。
B:圧縮可能ではあるが、Aに比べて、装着時の押圧エネルギーが必要となる。
C:弾性鞘体4が硬く、圧縮が大変である。
【0039】
針付き接続部材3の剥離性は、下記の基準で評価した。
A:中空針2と弾性鞘体4が容易に剥離する。
B:中空針2と弾性鞘体4の剥離は比較的容易であるが、Aに比べて、装着時のエネルギーが必要となる。
C:中空針2と弾性鞘体4は剥離するが、Bに比べて、装着時のエネルギーがさらに必要である。
D:剥離不能である。
【0040】
【表1】
【0041】
針付き接続部材1を二色成形法又はインサート成形法により製造する場合、部材本体3の中空針2の外面に溶融状態の弾性樹脂を供給し、弾性鞘体4を成形することによって、中空針2の外面が溶融樹脂に接触することで高温となり、少なくとも中空針2の外面は滅菌された状態となる。
従って、得られた針付き接続部材1は、弾性鞘体4が無傷の状態であれば、少なくとも中空針2の外面について滅菌されていることを保証することができる。
滅菌とは、所謂、被滅菌物に微生物が生存する確率を100万分の1個以下(すなわち、被滅菌物100万個のうち微生物が存在する被滅菌物は1個以下)に減少させることである。本願では、成型した中空針2の外面部に、溶融した高温状態の弾性樹脂を接触させて弾性鞘体4を形成することから、少なくとも中空針2の外面は滅菌され、所謂、無菌状態を達成することができる。つまり少なくとも中空針2の外面は無菌状態が保証できる。
中空針2の先端部には貫通孔5が設定されており、その貫通孔5を通して薬液と中空針2の外表面が接触することになる。中空針2と弾性鞘体4は、フランジ部11以外は完全には熔着していない状態であるため、貫通孔5を通じて、熔着していない弾性鞘体部に薬液の滅菌時に発生する湿熱が入り込むことも可能となる。本願の滅菌とは、針付き接続部材1を前記のような状況下にすることで被滅菌物、すなわち少なくとも中空針2の外面に付着する微生物の生存する確率を減少させることである。
【0042】
図3は、針付き接続部材1に薬剤入りのバイアル瓶6を装着する際の状態を示す図である。このバイアル瓶6としては、医療分野において通常に使用されている、口部7の天面に穿刺できるように構成された栓体を有するタイプのバイアル瓶を使用することができる。
このバイアル瓶6を装着する場合、バイアル瓶6の口部7天面の栓体を露出させた状態とし、その口部7を針付き接続部材1のバイアル瓶係合部8に押し込むことで、簡単に装着することができる。
【0043】
バイアル瓶装着時、中空針2の針先に、弾性鞘体4を介してバイアル瓶6の栓体が当接して押圧力が加わると、前記栓体が弾性鞘体4を介して中空針2の針先に当たる。さらに、中空針2の針先に加わる押圧力によって、中空針2の先端部外面から弾性鞘体4が剥離し、中空針2の針先が弾性鞘体4を突き破り、さらに栓体を穿刺してバイアル瓶6内部に挿入される。
【0044】
バイアル瓶6の口部7は、2本以上の突片9を外方に広げながらフランジ部11側に進行し、それぞれの係合爪10が口部7を乗り越えて口元縮径部に達した後、それぞれの突片9が弾性的に復元し、それぞれの係合爪10が口元に係合してバイアル瓶6を保持する。
【0045】
バイアル瓶6が係合爪10に保持された状態において、中空針2は栓体を突き通してバイアル瓶6内部に到達しており、中空針2の貫通孔5を通してバイアル瓶6の内部と接続管部12の管内とが連通した状態となる。
【0046】
本例の針付き接続部材1は、中空針2が立設された部材本体3と、中空針2を覆う弾性鞘体4とを備え、部材本体3の中空針2が立設された一方の面側には、バイアル瓶6の口部7が装着されるように構成されたバイアル瓶係合部8が設けられ、部材本体3の他方の面側には、薬液容器と接続できるように構成された接続管部12(薬液容器接続部)が設けられ、弾性鞘体4は、少なくとも中空針2の外面を剥離できるように密着した状態で覆っている構成としたものなので、中空針2を覆う弾性鞘体4を形成する際、溶融樹脂を中空針外面に密着させて弾性鞘体4を成形することで、少なくとも弾性鞘体4によって覆われた中空針2の外面を滅菌することができ、この部分の滅菌が保証できることから、薬剤溶解キットとして使用する際に滅菌工程を簡便に行うことができる。
【0047】
図4は、本発明の針付き接続部材の第2例を示す図である。
本例の針付き接続部材17は、前述した第1例の針付き接続部材1とほぼ同様の構成要素を備えて構成されており、同一の構成要素には同一符号を付してある。
本例の針付き接続部材17は、薬液容器接続部として、前記接続管部12に代えて、管状体の外周面にネジ部16(雄ネジ)が形成された接続ネジ部15を設けたことを特徴としている。
【0048】
この接続ネジ部15は、管状ネジ部が設けられたプレフィルドシリンジタイプの薬液容器を用いる場合に、接続ネジ部15を薬液容器の管状ネジ部に螺着することによって、針付き接続部材17と薬液容器とを着脱できるように接続する。
接続ネジ部15を薬液容器の管状ネジ部に螺着するとは、接続ネジ部15を薬液容器の管状ネジ部にねじ込んで取り着けることを意味する。
図4に図示した例では、接続ネジ部15の外周面に雄ネジとなるネジ部16が形成された構成であるが、管状ネジ部に雄ネジが形成されているタイプの薬液容器に適合させる場合には、前記接続ネジ部15として管状体の内周面に雌ネジが形成された接続ネジ部を備えた構成としてもよい。
【0049】
本例の針付き接続部材17は、前述した第1例の針付き接続部材1とほぼ同様の効果を得ることができ、さらに薬液容器の管状ネジ部と着脱できるように接続できる接続ネジ部15を有する構成としたことによって、薬液容器の交換や付け替えが可能となるなど、薬剤溶解キットの利用形態を広げることができる。
【0050】
(薬剤溶解キット)
図5は、本発明の薬剤溶解キットの第1例を示す図である。
本例の薬剤溶解キット20は、前述した針付き接続部材1と、薬液容器22とからなり、針付き接続部材1に設けられた接続管部12と薬液容器20の管状接続部21とが接続された構成になっている。
【0051】
前記薬液容器22は、合成樹脂製の容器本体に薬液23が密封充填されてなり、前記容器本体の一端側には、前記管状接続部21が設けられ、この管状接続部21の先端に針付き接続部材1が溶着接合されている。また容器本体の他端側には、収容している薬液23を流出させるための薬液流出口25が設けられ、前記薬液流出口25の開口には栓体26が設けられている。
【0052】
針付き接続部材1の接続管部12と薬液容器20の管状接続部21とは、接合部24で溶着接合されている。針付き接続部材1の接続管部12と薬液容器20の管状接続部21とが同種の合成樹脂、例えばポリプロピレン等で構成されている場合には、接続管部12と管状接続部21の端部同士を加熱溶融し、簡単に溶着することができる。接続管部12と管状接続部21とを接続するための方法は、溶着接合に限定されるものではなく、ジョイント部材などの適当な接続部材を用いた接続方法でもよい。
【0053】
図6は、本例の薬剤溶解キット20の製造工程を示す図である。
この薬剤溶解キット20を製造するには、針付き接続部材1と薬液容器22とを別々に成形して用意する(図6(a))。この薬液容器22は、薬液23が入っていない空の状態であり、薬液流出口25は開口している。
次に、図6(b)に示すように、薬液容器22の管状接続部21と針付き接続部材1の接続管部12とのそれぞれの端部を加熱し、突き合わせることによって溶着接合する。
【0054】
次に、薬液容器22の薬液流出口25から薬液23を容器内に注入し、その後、図6(c)に示すように、薬液流出口25の開口に封止体26を取り付けて、薬液容器22を密封する。これによって薬剤溶解キット20が作製される。薬剤溶解キット20の製造工程は、図6に示す製造工程のみに限定されるものではなく、薬液容器22に封止体26を取り付け、管状接続部21から薬液充填して針付き接続部材1を接続する工程でも良い。
次に、この薬剤溶解キット20に滅菌処理を施す(図6(d))。高圧蒸気滅菌等の滅菌処理によって、薬液容器22に収容された薬液は滅菌される。この時、薬液容器22内部と中空針2の貫通孔5とは連通しているので、薬液23の滅菌と同時に中空針2の内部まで滅菌される。
【0055】
図7は、薬剤溶解キット20を医療施設等で使用する方法を示す図である。
この薬剤溶解キット20は、図7(a)に示す針付き接続部材1の中空針2側に、所望の薬剤18が封入されたバイアル瓶6の口部7を押し込むことで、バイアル瓶6内部と薬液容器22内部とが連通され、薬剤18と薬液23とを混合できるようになる。
図7(b)に示すように、バイアル瓶6の口部7を押し込んだ際、中空針2の針先に、弾性鞘体4を介してバイアル瓶6の栓体が当接して押圧力が加わると、前記栓体が弾性鞘体4を介して中空針2の針先に当たる。さらに、中空針2の針先に加わる押圧力によって、中空針2の先端部外面から弾性鞘体4が剥離し、中空針2の針先が弾性鞘体4を突き破り、さらに栓体を穿刺して中空針2がバイアル瓶6内部に挿入される。
【0056】
中空針2がバイアル瓶6内部に侵入すると同時に、貫通孔5がバイアル瓶6内部に露出して、バイアル瓶6内部と薬液容器22内部とが、中空針2の貫通孔5を通して連通する。この状態で薬剤溶解キット20を上に向けることで、薬液23がバイアル瓶6内部に注入される。バイアル瓶6内部に注入された薬液によって、バイアル瓶6内に収容されていた薬剤18が溶解(或いは分散)し、その後、薬剤溶解キット20を下に向けることで、バイアル瓶6内の薬剤を含んだ薬液が、貫通孔5を通して薬液容器22内に移行する。
薬剤18を含む薬液23は、薬液容器22の栓体26を穿刺して連結される導液ライン等により、患者の体内等に供給される。
【0057】
この薬剤溶解キット20は、薬剤容器22に針付き接続部材1を接続した構成なので、少なくとも弾性鞘体4によって覆われた中空針2の外面については滅菌を保証することができることから、薬剤溶解キット20として使用する際に滅菌工程を簡便に行うことができる。
【0058】
図8は、前述した薬剤溶解キット20を吊り下げて支持できるように構成された吊り具27を備えた例を示す図である。
本例では、合成樹脂製のバンド状の吊り具27を用い、前記吊り具27の両端を針付き接続部材1の部材本体3外面に取り付けた構成になっている。吊り具27の接合位置は本例示に限定されず、薬液容器22側に接合してもよいし、バンド状以外の各種の形状の吊り具を用いることもできる。
【0059】
図9は、吊り具27の取り付け方法の第1例を示す図である。
本例では、針付き接続部材1の部材本体3外面に、吊り具27の端部を重ね合わせ、その部分にヒータ28を接近させて加熱し、吊り具27の端部を部材本体3外面に溶着している。
【0060】
図10は、吊り具27の取り付け方法の第2例を示す図である。
本例では、吊り具27の両端部に、取付用の穴27aを穿設すると共に、部材本体3外面に、前記穴27aに挿入できるように構成された頭部を持つキノコ状の突起29を設けておく。そして、吊り具27の穴27aに部材本体3外面の突起29を挿入することで、吊り具27の両端を針付き接続部材1の部材本体3外面に取り付けることができる。
【0061】
図11は、本発明の薬剤溶解キットの第2例の製造工程を示す正面断面図である。
本例の薬剤溶解キット35は、図11(e)に示すように、接続ネジ部15が設けられた図4に示す構成の針付き接続部材17と、薬液32がゴム封止材33によって密封されているシリンジ30(薬液容器)と、シリンジ30内に先端側が挿入されたピストン部材34とを備えて構成されている。シリンジ30の先端部には、内周面にネジ部31a(雌ネジ)が設けられた管状ネジ部31が設けられ、この管状ネジ部31には、針付き接続部材17の接続ネジ部15が挿入及び螺着され、針付き接続部材17とシリンジ30とが接続されている。管状ネジ部31と接続ネジ部15との接続部分には、液漏れ防止用のo−リングを介在させてもよい。
管状ネジ部31に接続ネジ部15が螺着されるとは、接続ネジ部15を管状ネジ部31にねじ込んで取り着けることを意味する。
【0062】
この薬剤溶解キット35を製造するには、別々に成形したシリンジ30と針付き接続部材17とを用意し、図11(a)に示すように、シリンジ30の管状ネジ部31に針付き接続部材17の接続ネジ部15を嵌め込み、図中矢印で示す装着方向に回して螺着する。
図11(b)に示すように、針付き接続部材17の接続ネジ部15とシリンジ30の管状ネジ部31との螺着が完了し、針付き接続部材17とシリンジ30とを接続した後、図11(c)に示すように、シリンジ30内に薬液32を注入する。
次に、図11(d)に示すように、シリンジ30内にゴム封止材33を打栓してシリンジ30内の薬液32を密封し、さらにキット全体を加熱滅菌する。
次に、図11(e)に示すように、シリンジ30の後端側から、ゴム封止材33を移動させるためのピストン部材34を装着し、薬剤溶解キット35を得る。
【0063】
図12は、本例の薬剤溶解キット35の使用方法を説明する図である。
この薬剤溶解キット35の薬液32に、バイアル瓶6内の別の薬剤を混合するには、図12(a)に示すように、バイアル瓶6の口部7を薬剤溶解キット35の針付き接続部材17のバイアル瓶係合部8に押し込む。この押し込み操作によって、中空針2が弾性鞘体4とバイアル瓶6の天面に設けられた栓体とを突き破ってバイアル瓶6内に侵入する。その後、シリンジ30のピストン部材34を押し込んで薬液32の一部又は全部をバイアル瓶6内に注入し、振り混ぜることによってバイアル瓶6内の薬剤を溶解させる。次に、シリンジ30のピストン部材34を引き、バイアル瓶30内の薬剤を含む薬液32をシリンジ30内に吸入する。
【0064】
次に、図12(b)に示すように、針付き接続部材17のバイアル瓶係合部8からバイアル瓶6を取り外す。
次に、針付き接続部材17をシリンジ30からの離脱方向に回し、針付き接続部材17をシリンジ30から取り外す(図12(c))。
次に、図12(d)に示すように、シリンジ30の管状ネジ部31にルアーロック式のライン36と接続し、シリンジ30内の薬剤を含む薬液を混注する。
ルアーロック式とは管状ネジ部31に合わせて螺合形状に成形された螺着固定可能な方式で取り付ける方法を言う。
【0065】
この薬剤溶解キット35は、シリンジ30に針付き接続部材17を接続した構成なので、少なくとも弾性鞘体4によって覆われた中空針2の外面については滅菌を保証することができることから、滅菌工程を簡便に行うことができる。
また、この薬剤溶解キット35は、薬液容器であるシリンジ30と針付き接続部材17とを着脱できるように接続する構成なので、薬剤を薬液に溶解後にシリンジ30から針付き接続部材17を取り外すことによって薬剤溶解キットの利用形態を広げることができる。
【0066】
本発明のまた別の側面の針付き接続部材は、
中空針が立設された部材本体と、前記中空針を覆う弾性鞘体とを備え、
前記部材本体の中空針が立設された側と反対の面側には、薬液容器と接続できるように構成された薬液容器接続部が設けられた針付き接続部材であって、
前記弾性鞘体は、少なくとも前記中空針の外面を剥離できるように密着した状態で覆い、
前記中空針の外面に前記弾性鞘体を二色成形法又はインサート成形法によって設け、
少なくとも前記弾性鞘体によって覆われた中空針の外面が、滅菌保証されており、
前記弾性鞘体の先端に平面部が形成され、
前記部材本体は、前記中空針の基部周縁から広がったフランジ部を有し、かつ前記弾性鞘体の基部が前記フランジ部の面に沿って広がるフランジ状基部を有し、
前記薬液容器接続部が、接続する薬液容器に設けられた管状接続部と接続できるように構成された接続管部を有し、
前記部材本体の中空針が立設された面側には、バイアル瓶の口部が装着されるように構成されたバイアル瓶係合部が設けられ、
前記薬液容器接続部が、接続する薬液容器に設けられた管状ネジ部に螺着螺着できるように構成された接続ネジ部を有し、
前記部材本体と前記中空針はポリプロピレンからなり、
前記弾性鞘体はスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)からなることが好ましい。
【0067】
本発明のまた別の側面の薬剤溶解キットは、
中空針が立設された部材本体と、前記中空針を覆う弾性鞘体とを備え、
前記部材本体の中空針が立設された側と反対の面側には、薬液容器と接続できるように構成された薬液容器接続部が設けられた針付き接続部材であって、
前記弾性鞘体は、少なくとも前記中空針の外面を剥離できるように密着した状態で覆い、
前記中空針の外面に前記弾性鞘体を二色成形法又はインサート成形法によって設け、
少なくとも前記弾性鞘体によって覆われた中空針の外面が、滅菌保証されており、
前記弾性鞘体の先端に平面部が形成され、
前記部材本体は、前記中空針の基部周縁から広がったフランジ部を有し、かつ前記弾性鞘体の基部が前記フランジ部の面に沿って広がるフランジ状基部を有し、
前記薬液容器接続部が、接続する薬液容器に設けられた管状接続部と接続できるように構成された接続管部を有し、
前記部材本体の中空針が立設された面側には、バイアル瓶の口部が装着されるように構成されたバイアル瓶係合部が設けられ、
前記部材本体と前記中空針はポリプロピレンからなり、
前記弾性鞘体はスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)からなる、針付き接続部材と、
管状接続部が設けられた薬液容器とを備え、
針付き接続部材に設けられた接続管部と、薬液容器の管状接続部とが薬液が流通できるように接続されており、
前記薬液容器は、収容している薬液を流出させるための薬液流出口が設けられ、
前記針付き接続部材又は前記薬液容器に、薬剤溶解キットを吊下げ支持できるように構成された吊り具が設けられていることが好ましい。
【0068】
本発明のまた別の側面の薬剤溶解キットは、
中空針が立設された部材本体と、前記中空針を覆う弾性鞘体とを備え、
前記部材本体の中空針が立設された側と反対の面側には、薬液容器と接続できるように構成された薬液容器接続部が設けられた針付き接続部材であって、
前記弾性鞘体は、少なくとも前記中空針の外面を剥離できるように密着した状態で覆い、
前記中空針の外面に前記弾性鞘体を二色成形法又はインサート成形法によって設け、
少なくとも前記弾性鞘体によって覆われた中空針の外面が、滅菌保証されており、
前記弾性鞘体の先端に平面部が形成され、
前記部材本体は、前記中空針の基部周縁から広がったフランジ部を有し、かつ前記弾性鞘体の基部が前記フランジ部の面に沿って広がるフランジ状基部を有し、
前記薬液容器接続部が、接続する薬液容器に設けられた管状接続部と接続できるように構成された接続管部を有し、
前記部材本体の中空針が立設された面側には、バイアル瓶の口部が装着されるように構成されたバイアル瓶係合部が設けられ、
前記薬液容器接続部が、接続する薬液容器に設けられた管状ネジ部に螺着できるように構成された接続ネジ部を有し、
前記部材本体と前記中空針はポリプロピレンからなり、
前記弾性鞘体はスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)からなる、針付き接続部材と、
管状ネジ部が設けられた薬液容器とを備え、
針付き接続部材に設けられた接続ネジ部と、薬液容器の管状ネジ部とが薬液が流通できるように螺着により接続され、
前記薬液容器は、収容している薬液を流出させるための薬液流出口が設けられ、
前記針付き接続部材又は前記薬液容器に、薬剤溶解キットを吊下げ支持できるように構成された吊り具が設けられていることが好ましい。
【0069】
本発明のまた別の側面の薬剤溶解キットは、
中空針が立設された部材本体と、前記中空針を覆う弾性鞘体とを備え、
前記部材本体の中空針が立設された側と反対の面側には、薬液容器と接続できるように構成された薬液容器接続部が設けられた針付き接続部材であって、
前記弾性鞘体は、少なくとも前記中空針の外面を剥離できるように密着した状態で覆い、
前記中空針の外面に前記弾性鞘体を二色成形法又はインサート成形法によって設け、
少なくとも前記弾性鞘体によって覆われた中空針の外面が、滅菌保証されており、
前記弾性鞘体の先端に平面部が形成され、
前記部材本体は、前記中空針の基部周縁から広がったフランジ部を有し、かつ前記弾性鞘体の基部が前記フランジ部の面に沿って広がるフランジ状基部を有し、
前記薬液容器接続部が、接続する薬液容器に設けられた管状接続部と接続できるように構成された接続管部を有し、
前記部材本体の中空針が立設された面側には、バイアル瓶の口部が装着されるように構成されたバイアル瓶係合部が設けられ、
前記薬液容器接続部が、接続する薬液容器に設けられた管状ネジ部に螺着できるように構成された接続ネジ部を有し、
前記部材本体と前記中空針はポリプロピレンからなり、
前記弾性鞘体はスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)からなる、針付き接続部材と、
管状ネジ部が設けられた薬液容器とを備え、
前記針付き接続部材に設けられた前記接続ネジ部と前記薬液容器の前記管状ネジ部とが着脱できるように接続されており、この前記接続ネジ部と前記管状ネジ部が共にルアーロック式であることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、薬液容器に別のバイアル瓶を接続できるように構成された針付き接続部材、前記針付き接続部材と薬液容器とを接続した薬剤溶解キットに関する。
【符号の説明】
【0071】
1…針付き接続部材、2…中空針、3…部材本体、4…弾性鞘体、5…貫通孔、6…バイアル瓶、7…口部、8…バイアル瓶係合部、9…突片、10…係合爪、11…フランジ部、12…接続管部(薬液容器接続部)、13…フランジ状基部、14…平面部、15…接続ネジ部(薬液容器接続部)、16…ネジ部、17…針付き接続部材、18…薬剤、20…薬剤溶解キット、21…管状接続部、22…薬液容器、23…薬液、24…接合部、25…薬液流出口、26…栓体、27…吊り具、27a…穴、28…ヒータ、29…突起、30…シリンジ、31…管状ネジ部、31a…ネジ部、32…薬液、33…ゴム封止材、34…ピストン部材、35…薬剤溶解キット、36…ルアーロック式のライン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12