特許第6234291号(P6234291)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6234291受信装置、端末連携システム及び端末連携方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234291
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】受信装置、端末連携システム及び端末連携方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/436 20110101AFI20171113BHJP
   H04N 21/442 20110101ALI20171113BHJP
【FI】
   H04N21/436
   H04N21/442
【請求項の数】9
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-60175(P2014-60175)
(22)【出願日】2014年3月24日
(65)【公開番号】特開2015-186002(P2015-186002A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2016年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100145698
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 俊介
(72)【発明者】
【氏名】本庄 勝
【審査官】 後藤 嘉宏
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0051408(US,A1)
【文献】 特開2004−336724(JP,A)
【文献】 特表2016−513438(JP,A)
【文献】 特開2013−228853(JP,A)
【文献】 特開2010−200275(JP,A)
【文献】 特開2006−324860(JP,A)
【文献】 特開2012−244339(JP,A)
【文献】 特開2011−234261(JP,A)
【文献】 特開2009−129184(JP,A)
【文献】 特開2012−151712(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00−21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末連携に対応する放送コンテンツであることを示す指示情報を取得したか否かを判定する判定部と、
携帯端末との間で行われる通信の電波強度を、複数の前記携帯端末の夫々について収集する収集部と、
複数の前記携帯端末のうち、前記指示情報を取得した時から所定時間内に測定された前記電波強度が所定以上である携帯端末を特定携帯端末として特定する特定部と、
前記判定部により前記指示情報を取得したと判定されることを条件に、複数の前記携帯端末のうちの前記特定携帯端末に対して、端末連携に対応する前記放送コンテンツが開始したことを通知する通知部と、
を備える受信装置。
【請求項2】
前記特定部は、前記所定時間内に測定された前記電波強度に基づき、受信装置と同室に存在する前記携帯端末を前記特定携帯端末として特定する同室特定部を備え、
前記通知部は、複数の前記携帯端末のうち受信装置と同室に存在する前記特定携帯端末に対して、前記通知を行う、
請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記収集部が所定期間内に収集した前記電波強度を記憶する記憶部を更に備え、
前記特定部は、前記記憶部に記憶された所定期間内の前記電波強度に基づき、電波強度の測定場所を少なくとも2個のクラスタに分類する分類部を備え、
前記同室特定部は、前記所定時間内に測定された前記電波強度が属するクラスタに基づいて、受信装置と同室に存在する前記特定携帯端末を特定する、
請求項2に記載の受信装置。
【請求項4】
前記収集部は、前記電波強度と同時に前記携帯端末において測定された他のアクセスポイントの電波強度を収集し、
前記分類部は、前記所定期間内に収集した、受信装置と前記携帯端末との間の電波強度及び前記他のアクセスポイントと前記携帯端末との間の電波強度に基づき、電波強度の測定場所を少なくとも2個のクラスタに分類する、
請求項3に記載の受信装置。
【請求項5】
前記分類部は、複数の前記クラスタのうち、受信装置と前記携帯端末との間の電波強度が最も強いクラスタを、測定場所が受信装置と同室のクラスタであると分類する、
請求項3又は4に記載の受信装置。
【請求項6】
前記記憶部は、前記携帯端末から選局操作を行う操作指示を受け付けた時の受信装置と当該携帯端末との間の電波強度を特定電波強度として記憶し、
前記分類部は、複数の前記クラスタのうち、受信装置と前記携帯端末との間の電波強度が前記特定電波強度の近傍の電波強度であるクラスタを、測定場所が受信装置と同室のクラスタであると分類する、
請求項3又は4に記載の受信装置。
【請求項7】
前記通知部は、複数の前記携帯端末のうち受信装置と同室に存在しない携帯端末に対しては、前記特定携帯端末に対する通知頻度よりも低い頻度で、前記通知を行う、
請求項2から6のいずれかに記載の受信装置。
【請求項8】
放送又は通信を介して番組コンテンツを含む放送信号を受信する受信装置と、当該受信装置と無線通信可能に接続された複数の携帯端末とを備える端末連携システムであって、
端末連携に対応する放送コンテンツであることを示す指示情報を取得したか否かを判定する判定部と、
前記受信装置と前記携帯端末との間で行われる通信の電波強度を、複数の前記携帯端末の夫々について収集する収集部と、
複数の前記携帯端末のうち、前記指示情報を取得した時から所定時間内に測定された前記電波強度が所定以上である携帯端末を特定携帯端末として特定する特定部と、
前記判定部により前記指示情報を取得したと判定されることを条件に、複数の前記携帯端末のうちの特定携帯端末において、端末連携に対応する前記放送コンテンツが開始したことを表示する表示制御部と、
を備える端末連携システム。
【請求項9】
コンピュータが実行する、
端末連携に対応する放送コンテンツであることを示す指示情報を取得したか否かを判定するステップと、
携帯端末との間で行われる通信の電波強度を、複数の前記携帯端末の夫々について収集するステップと、
複数の前記携帯端末のうち、前記指示情報を取得した時から所定時間内に測定された前記電波強度が所定以上である携帯端末を特定携帯端末として特定するステップと、
前記指示情報を取得したと判定されることを条件に、複数の前記携帯端末のうちの特定携帯端末において、端末連携に対応する前記放送コンテンツが開始したことを表示するステップと、
を含む端末連携方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送コンテンツに応じて携帯端末との連携を行う受信装置、端末連携システム及び端末連携方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル放送の普及に伴い放送と通信との融合が実現され、近年では、ハイブリッドキャスト(登録商標)と呼ばれるサービスが提供されている。ハイブリッドキャストでは、放送の特徴である同報性と、通信の特徴である個別対応性との双方を満たしたサービスを提供することができる。
【0003】
また、ハイブリッドキャストでは、テレビ受信機と外部の情報処理端末とを連携する端末連携制御が想定されている。端末連携制御として、例えば特許文献1には、テレビ受信機で所定の放送信号を受信することを契機として、テレビ受信機と予めペアリングが済んでいる情報処理端末において自動的に端末連携制御を実行する端末連携システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−244339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、スマートフォンの普及に伴い多くのユーザが情報処理端末を所持する状況では、テレビ受信機の周囲に、テレビ放送を視聴するユーザの情報処理端末だけでなく他の情報処理端末が存在する場合がある。このような場合に、特許文献1の端末連携システムのようにペアリングの済んでいる全ての情報処理端末において自動的に端末連携制御を行ったのでは、テレビ放送を視聴できないにもかかわらず端末連携アプリケーションが起動してしまい、却ってユーザの利便性を損ねてしまう。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、複数の携帯端末のうち、テレビを視聴できる状況にあるユーザの携帯端末と端末連携制御が可能な受信装置、端末連携システム及び端末連携方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様においては、端末連携を指示する指示情報を取得したか否かを判定する判定部と、携帯端末との間で行われる通信の電波強度を、複数の前記携帯端末の夫々について収集する収集部と、複数の前記携帯端末のうち、前記指示情報を取得した時から所定時間内に測定された前記電波強度が所定以上である携帯端末を特定携帯端末として特定する特定部と、前記判定部により前記指示情報を取得したと判定されることを条件に、複数の前記携帯端末のうちの前記特定携帯端末に対して、端末連携に対応する放送コンテンツが開始したことを通知する通知部と、を備える受信装置を提供する。
【0008】
また、前記特定部は、前記所定時間内に測定された前記電波強度に基づき、受信装置と同室に存在する前記携帯端末を前記特定携帯端末として特定する同室特定部を備え、前記通知部は、複数の前記携帯端末のうち受信装置と同室に存在する前記特定携帯端末に対して、前記通知を行うこととしてもよい。
【0009】
また、前記収集部が所定期間内に収集した前記電波強度を記憶する記憶部を更に備え、前記特定部は、前記記憶部に記憶された所定期間内の前記電波強度に基づき、電波強度の測定場所を少なくとも2個のクラスタに分類する分類部を備え、前記同室特定部は、前記所定時間内に測定された前記電波強度が属するクラスタに基づいて、受信装置と同室に存在する前記特定携帯端末を特定することとしてもよい。
【0010】
また、前記収集部は、前記電波強度と同時に前記携帯端末において測定された他のアクセスポイントの電波強度を収集し、前記分類部は、前記所定期間内に収集した、受信装置と前記携帯端末との間の電波強度及び前記他のアクセスポイントと前記携帯端末との間の電波強度に基づき、電波強度の測定場所を少なくとも2個のクラスタに分類することとしてもよい。
【0011】
また、前記分類部は、複数の前記クラスタのうち、受信装置と前記携帯端末との間の電波強度が最も強いクラスタを、測定場所が受信装置と同室のクラスタであると分類することとしてもよい。
【0012】
また、前記記憶部は、前記携帯端末から選局操作を行う操作指示を受け付けた時の受信装置と当該携帯端末との間の電波強度を特定電波強度として記憶し、前記分類部は、複数の前記クラスタのうち、受信装置と前記携帯端末との間の電波強度が前記特定電波強度の近傍の電波強度であるクラスタを、測定場所が受信装置と同室のクラスタであると分類することとしてもよい。
【0013】
また、前記通知部は、複数の前記携帯端末のうち受信装置と同室に存在しない携帯端末に対しては、前記特定携帯端末に対する通知頻度よりも低い頻度で、前記通知を行うこととしてもよい。
【0014】
本発明の第2の態様においては、放送又は通信を介して番組コンテンツを含む放送信号を受信する受信装置と、当該受信装置と無線通信可能に接続された複数の携帯端末とを備える端末連携システムを提供する。この端末連携システムは、端末連携を指示する指示情報を取得したか否かを判定する判定部と、前記受信装置と前記携帯端末との間で行われる通信の電波強度を、複数の前記携帯端末の夫々について収集する収集部と、複数の前記携帯端末のうち、前記指示情報を取得した時から所定時間内に測定された前記電波強度が所定以上である携帯端末を特定携帯端末として特定する特定部と、前記判定部により前記指示情報を取得したと判定されることを条件に、複数の前記携帯端末のうちの特定携帯端末において、端末連携に対応する放送コンテンツが開始したことを表示する表示制御部と、を備える。
【0015】
本発明の第3の態様においては、コンピュータが実行する、端末連携を指示する指示情報を取得したか否かを判定するステップと、携帯端末との間で行われる通信の電波強度を、複数の前記携帯端末の夫々について収集するステップと、複数の前記携帯端末のうち、前記指示情報を取得した時から所定時間内に測定された前記電波強度が所定以上である携帯端末を特定携帯端末として特定するステップと、前記指示情報を取得したと判定されることを条件に、複数の前記携帯端末のうちの特定携帯端末において、端末連携に対応する放送コンテンツが開始したことを表示するステップと、を含む端末連携方法を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数の携帯端末のうち、テレビを視聴できる状況にあるユーザの携帯端末と端末連携制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】端末連携システムのシステム構成を示す図である。
図2A】本発明の端末連携システムの概要を示す図である。
図2B】端末連携制御に関するテレビ受信機と携帯端末とのソフトウェア構成例を示す図である。
図3】テレビ受信機と携帯端末との機能構成を示すブロック図である。
図4】記憶部に記憶される電波強度の収集履歴の一例を示す図である。
図5】分類部による測定場所の分類方法の一例を示す図である。
図6】通知部による通知に基づく携帯端末の表示例を示す図である。
図7】テレビ受信機の処理の流れを示すフローチャートである。
図8】テレビ受信機の処理の流れを示すフローチャートである。
図9】別態様における端末連携システムの処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[端末連携システムSの概要]
初めに、図1及び図2を参照して、本発明の概要について説明する。図1は、端末連携システムSのシステム構成を示す図であり、図2は、本発明の概要を示す図である。
図1に示すように、端末連携システムSは、テレビ受信機1と、放送局30と、複数の携帯端末50と、を含んで構成される。
【0019】
放送局30は、放送設備や通信設備を用いて、放送コンテンツを含む放送信号を任意の方法で伝送する。放送設備は、デジタル放送又はケーブルテレビ放送用の放送設備であり、放送信号を放送波に重畳し放送用アンテナ又は光ケーブル等を介して伝送する。通信設備は、VOD(Video On Demand)配信用、又は、ハイブリッドキャストコンテンツ(HTML5で記述されたコンテンツ)配信用の通信設備であり、放送信号又はハイブリッドキャストコンテンツをインターネットを介して伝送する。
なお、放送信号には、放送コンテンツに加え、放送コンテンツを補完等する各種デジタルデータやハイブリッドキャストを起動するための信号等が含まれる。また、放送コンテンツは、放送番組やVOD配信による番組の内容を示すコンテンツであり、映像や音声を含んで構成される。
【0020】
携帯端末50は、スマートフォン、携帯電話機、タブレット、及びゲーム機等であり、テレビ受信機1と予めペアリングされた端末装置である。携帯端末50は、インターネットに接続可能であるとともに、ペアリング済みのテレビ受信機1と無線通信可能に接続される。
なお、携帯端末50によるインターネットへの接続は、3G回線等の携帯電話回線を介して行うこととしてもよく、また、無線LANアクセスポイントを介して行うこととしてもよい。ここで、本実施形態では、テレビ受信機1が無線LANアクセスポイントとして機能する。
【0021】
テレビ受信機1は、セットトップボックス1Aと表示装置1Bとを含んで構成され、放送局30から伝送される放送コンテンツをユーザに対して表示する。テレビ受信機1は、インターネットに接続可能であるとともに、ペアリング済みの携帯端末50と無線通信可能に接続される。
【0022】
セットトップボックス1Aは、放送局30から伝送される放送信号を受信し、映像及び音声等の信号に変換して表示装置1Bに出力する。また、セットトップボックス1Aは、無線LANアクセスポイントとして機能する。表示装置1Bは、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等により構成され、セットトップボックス1Aから出力された放送コンテンツを表示する。
【0023】
なお、テレビ受信機1は、夫々別体として設けられたセットトップボックス1Aと表示装置1Bとにより構成されることとしてもよく、また、セットトップボックス1Aと表示装置1Bとが一体となって構成されることとしてもよい。セットトップボックス1Aと表示装置1Bとが異なる場合は、セットトップボックス1Aが本発明の受信装置に相当し、両者が一体となって構成される場合は、テレビ受信機1が本発明の受信装置に相当する。
以下においては、セットトップボックス1Aと表示装置1Bとが一体となって構成されるテレビ受信機1を例にとり、実施形態について説明する。
【0024】
以上のような構成の端末連携システムSにおいて、テレビ受信機1は、放送コンテンツを表示中に携帯端末50との端末連携を指示する指示情報を取得すると、ペアリング済みの携帯端末50に対して、端末連携に対応する放送コンテンツが開始したことを通知する。
このとき、テレビ受信機1は、ペアリング済みの携帯端末50のうちテレビ受信機1の近傍に位置する携帯端末50に対して、端末連携に対応する放送コンテンツが開始したことを通知する。
【0025】
ここで、図2Aを参照して、ユーザ宅100においてテレビ受信機1と4台の携帯端末50a、50b、50c、50dとが存在する場合を例にとり、具体的に説明する。
【0026】
ユーザ宅100においてテレビ受信機1は部屋101に設置され、携帯端末50aはテレビ受信機1と同室の部屋101に位置する。他方、携帯端末50b、50c、50dはテレビ受信機1と別室の部屋102,103,104に位置する。そのため、携帯端末50a、50b、50c、50dのうち携帯端末50aがテレビ受信機1の近傍に位置する。
そこで、テレビ受信機1は、同室の部屋101に位置する携帯端末50aに対して、端末連携に対応する放送コンテンツが開始したことを通知する。
【0027】
ここで、テレビ受信機1と同室に位置する携帯端末50aは、テレビ受信機1で表示する放送コンテンツを視聴中のユーザが用いる携帯端末50aであると捉えることができる。
そのため、テレビ受信機1と同室に位置する携帯端末50aに対して上述の通知を行うことで、端末連携サービスが開始したことを、放送コンテンツを視聴中のユーザに対して適切に通知することができる。
【0028】
他方、テレビ受信機1とは別室に位置する携帯端末50b、50c、50dに対する通知を抑えることで、携帯端末50b、50c、50dを用いるユーザに不意打ちの通知を行うことを抑制できる。
特に、放送コンテンツを視聴するユーザは、放送局を頻繁に切り替えて視聴することがあり(ザッピング視聴)、このような場合に、携帯端末50b、50c、50dに対して通知を行っていたのでは、放送コンテンツが切り替わる度に通知されることになり放送コンテンツを視聴していないユーザにとって煩わしい。この点、端末連携システムSでは、放送コンテンツを視聴していないユーザに対する通知を抑えるため、これらユーザの利便性を損ねることがない。
【0029】
なお、端末連携制御は、テレビ受信機1及び携帯端末50が有する所定機能に基づいて行われ、例えば、ハイブリッドキャスト放送である場合には、図2Bに示すように、携帯端末50の連携端末基本機能と、テレビ受信機1の受信機基本機能とにより、端末連携制御が行われる。具体的には、テレビ受信機1が端末連携を指示する指示情報を取得すると、テレビ受信機1が受信機基本機能を通じて、ペアリング済みの携帯端末50の連携端末基本機能に通知を出すことで、端末連携制御が行われる。
【0030】
[本発明の機能構成]
続いて、図3を参照して、テレビ受信機1及び携帯端末50の構成について説明する。図3は、テレビ受信機1及び携帯端末50の機能構成を示すブロック図である。
【0031】
[携帯端末50の構成]
初めに、携帯端末50は、制御部51と、無線部52と、表示部53と、記憶部54と、を含んで構成される。
制御部51は、例えば、CPUにより構成される。制御部51は、記憶部54に記憶されている各種プログラムを実行することにより、携帯端末50に係る機能を統括的に制御し、測定部511及び表示制御部512として機能する。
【0032】
測定部511は、テレビ受信機1との間の無線通信における電波強度を所定のタイミングで測定する。なお、図5Bに示すように、ユーザ宅100によっては、携帯端末50は、ユーザ宅100の外部(例えば、近隣宅)に設置された他のアクセスポイント(図中、他AP)70a、70b・・・(以下、他のアクセスポイント70a、70b・・・を総称して「他のアクセスポイント70」とする)が発した電波を受信することがある。そこで、測定部511は、テレビ受信機1の電波強度を測定したタイミングで他のアクセスポイント70からも電波を受信している場合には、他のアクセスポイント70の電波強度も併せて測定する。
測定部511は、テレビ受信機1の電波強度及び他のアクセスポイント70の電波強度を、テレビ受信機1及び他のアクセスポイントを特定する識別情報(MACアドレスやESSID等)に対応付けて、記憶部54に記憶する。なお、測定部511による測定結果は、記憶部54に記憶することなく、直接、テレビ受信機1に送信することとしてもよい。
【0033】
表示制御部512は、表示部53の表示内容を制御する。本実施形態では、表示制御部512は、テレビ受信機1から端末連携に対応する放送コンテンツが開始したことの通知を受信すると、この通知に応じた内容を表示するように表示部53を制御する。なお、通知を受けた際の表示制御の詳細は、後述する。
【0034】
無線部52は、Wi−Fi(登録商標)等の無線通信回線を介して他の端末装置との間で所定の通信を行う。一例として、無線部52は、無線通信回線を介してテレビ受信機1と通信可能に接続され、測定した電波強度を任意のタイミングでテレビ受信機1に対して送信するとともに、テレビ受信機1から端末連携に対応する放送コンテンツが開始したことの通知を受信する。
【0035】
表示部53は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等により構成される。表示部53は、表示制御部512の制御に応じて文字や図形等を表示する。
記憶部54は、例えば、ROM及びRAM等により構成される。記憶部54は、携帯端末50を機能させるための各種プログラムや各種データを記憶する。また、記憶部54は、測定部511が測定した電波強度を一時的に記憶する。
【0036】
[テレビ受信機1の構成]
テレビ受信機1は、制御部2と、無線部3と、上述した表示装置1Bと、記憶部4と、放送受信部5と、通信部6と、を含んで構成される。
【0037】
無線部3は、Wi−Fi等の無線通信回線を介して他の端末装置との間で所定の通信を行う。一例として、無線部3は、無線通信回線を介して複数の携帯端末50の夫々と通信可能に接続され、近傍の携帯端末50に対して端末連携に対応する放送コンテンツが開始したことを通知するとともに、夫々の携帯端末50において測定した電波強度を夫々の携帯端末50から受信する。また、無線部3は、通信部6を介して取得したコンテンツを携帯端末50に送信する。
【0038】
記憶部4は、例えば、ROM及びRAM等により構成される。記憶部4は、テレビ受信機1を機能させるための各種プログラムや各種データを記憶する。また、記憶部4は、携帯端末50から受信した電波強度を記憶する。
【0039】
放送受信部5は、放送網やケーブルテレビ回線を介して放送局30から伝送される放送信号を受信する。放送受信部5が受信した放送信号は制御部2に供給され、制御部2において、映像データ、音声データ、データ放送や字幕データ等の各種データに分離されるとともに、適宜デコード処理等が行われ、放送コンテンツとして表示装置1Bから出力される。
通信部6は、インターネットを介して外部機器と接続され、外部機器との間で所定の通信を行う。一例として、通信部6は、インターネットを介して放送局30の通信設備からVODコンテンツを取得するとともに、図示せぬ外部サーバからハイブリッドキャスト放送で用いられるHTML5コンテンツを取得する。
【0040】
制御部2は、例えば、CPUにより構成される。制御部2は、記憶部4に記憶されている各種プログラムを実行することにより、テレビ受信機1に係る機能を統括的に制御し、判定部21、収集部22、特定部23及び通知部24として機能する。
【0041】
判定部21は、表示装置1Bに放送コンテンツを表示中に、テレビ受信機1が端末連携を指示する指示情報を取得したか否かを判定する。即ち、判定部21は、表示中の放送コンテンツが端末連携可能な放送コンテンツであるか否かを判定する。判定部21は、指示情報を取得したと判定すると、指示情報を取得した日時(即ち、端末連携可能な放送コンテンツを表示している日時)を特定部23に出力する。
【0042】
なお、テレビ受信機1による端末連携を指示する指示情報の取得方法は任意である。例えば、ハイブリッドキャスト放送である場合、テレビ受信機1は、テレビ受信機1側のHTMLアプリのコンテンツから、端末連携を指示する指示情報を取得する。また、EPG(Electronic Program Guide)等の電子番組表に予め端末連携に対応する放送コンテンツであることを設定しておくことが可能であれば、テレビ受信機1は、この電子番組表を解析することで端末連携を指示する指示情報を取得することができる。更に、昨今、インターネット上で番組表に関する情報を掲示しているサイトも多く存在するが、当該サイト上において端末連携に対応する放送コンテンツであることを示す様な情報が付与されている場合は、テレビ受信機1は当該サイトに掲載の番組表情報を解析することで端末連携を指示する指示情報を取得することもできる。
【0043】
収集部22は、携帯端末50との間で行われる通信の電波強度を、複数の携帯端末50の夫々について収集する。即ち、収集部22は、複数の携帯端末50の夫々が測定したテレビ受信機1の電波強度を、複数の携帯端末50の夫々から受信する。なお、携帯端末50では、テレビ受信機1の電波強度だけでなく、他のアクセスポイント70の電波強度も測定するため、収集部22は、携帯端末50がテレビ受信機1の電波強度を測定したタイミングと同時に測定した他のアクセスポイント70の電波強度も併せて収集する。
収集部22は、テレビ受信機1及び他のアクセスポイント70の電波強度を収集すると、収集した電波強度を記憶部4に記憶する。
【0044】
ここで、記憶部4に記憶される電波強度の収集履歴の一例を図4に示す。図4(A)に示すように、記憶部4は、複数の携帯端末50で測定されたテレビ受信機1及び他のアクセスポイント70の電波強度を記憶する。一例として、記憶部4は、測定日時に対応する測定ID毎に、テレビ受信機1の電波強度(図中、「自AP RSSI」)と、他のアクセスポイント70の種別(図中、「他AP種別」)と、当該他のアクセスポイント70の電波強度(図中、「他AP RSSI」)とを記憶する。
例えば、測定ID「1」に対応する日時では、テレビ受信機1の電波強度として「−30dBm」が測定され、他のアクセスポイント「AP1」の電波強度として「−40dBm」が測定され、他のアクセスポイント「AP2」の電波強度として「−62dBm」が測定され、他のアクセスポイント「AP6」の電波強度として「−70dBm」が測定されている。
【0045】
なお、図4(B)に示すテーブルは、図4(A)に示す収集履歴を測定ID毎に並び替えたものである。このとき、携帯端末50において電波強度を測定できなかった他のアクセスポイント70については、便宜上、ほとんど影響がない電波強度として「−100dBm」を割り当てている。
【0046】
図3に戻り、特定部23は、複数のペアリング済みの携帯端末50のうち、指示情報を取得した時から所定時間内に測定された電波強度が所定以上である1又は複数の携帯端末50を特定携帯端末として特定する。
本実施形態では、テレビ受信機1を介して端末連携可能な放送コンテンツが視聴されている場合に、複数の携帯端末50のうちテレビ受信機1の近傍に位置する携帯端末50に対して、端末連携に対応する放送コンテンツが開始したことを通知する。そのため、指示情報を取得した時から所定時間内に測定された電波強度とは、指示情報を取得した時の直近(直前又は直後)のタイミングで測定された電波強度をいう。また、電波強度が所定以上である携帯端末50とは、テレビ受信機1から受信する電波の強度が、テレビ受信機1の近傍に位置すると考えられる程度に強い携帯端末50である。受信する電波は、電波を送信するテレビ受信機1との距離の約二乗に比例して減衰することから、所定以上の電波強度は、電波の減衰量と距離との関係から任意に設定される。
【0047】
なお、テレビ受信機1で視聴中の放送コンテンツに関する通知は、テレビ受信機1と同室に存在する携帯端末50に対して行うことが好ましい。そこで、特定部23は、分類部231と、同室特定部232と、を含むこととしてもよい。
【0048】
分類部231は、記憶部4に記憶された所定期間内の電波強度に基づいて、電波強度の測定場所をK個のクラスタに分類する。分類部231による分類方法は任意であるが、本実施形態では、K-means法やK-means++法等の任意の方法により、電波強度の測定場所を分類する。また、分類に用いる電波強度が測定された期間(所定期間)は任意であり、例えば、過去1週間、過去1ヶ月分の電波強度の測定結果を利用することができる。
【0049】
ここで、図5を参照して、分類部231による測定場所の分類方法の一例について説明する。図5(A)は、電波強度と距離との関係を示すグラフであり、図5(B)は、ユーザ宅100における無線LAN環境の一例を示す図である。なお、図5(A)では、理解を容易にするため、電波強度と距離との関係を単純化し模式的に示す。
【0050】
図5(A)に示すように、理想的な環境下において電波は距離の約二乗に比例して減衰する。そのため、携帯端末50がテレビ受信機1から離れるほど、携帯端末50で測定されるテレビ受信機1の電波強度が低くなる。一方、テレビ受信機1と携帯端末50との間に障害物がある場合には、電波は、この障害物によっても減衰する。テレビ受信機1が設置されたユーザ宅100では、図5(B)に示すように、部屋101,102,103,104を区切る「壁」が障害物に該当する。
そのため、図5(A)に示すように、テレビ受信機1が発した電波は、距離に応じて減衰するとともに、障害物「壁」を通過する際にも大きく減衰する。
【0051】
分類部231は、複数の携帯端末50が測定した電波強度をK個のクラスタに分類することで、電波強度の測定場所を分類する。なお、K個は任意の数であり、テレビ受信機1から携帯端末50への通知の態様に応じて適宜設定される。本実施形態のようにテレビ受信機1と同室であるか否かにより通知の態様を異ならせる場合は、2個で足り、また、ユーザ宅100の部屋毎に通知の態様を異ならせる場合は、部屋の数である。
一例として、携帯端末50で測定されたテレビ受信機1の電波強度を2個のクラスタに分類する場合には、図5(A)に示すように、測定された電波強度を、強度範囲301及び強度範囲302に分類する。なお、強度範囲301は、電波強度が高い範囲であるため、測定場所がテレビ受信機1と同室の部屋101であることを示し、強度範囲302は、電波強度が低い範囲であるため、測定場所が部屋101とは別室である部屋102,103,104であることを示す。
【0052】
ここで、携帯端末50は、テレビ受信機1が発した電波だけでなく、他のアクセスポイント70が発した電波も受信している。即ち、図5(B)に示すように、携帯端末50a、50cは、テレビ受信機1及び他のアクセスポイント70aが発した電波を受信し、携帯端末50b、50dは、テレビ受信機1及び他のアクセスポイント70bが発した電波を受信している。
このとき、他のアクセスポイント70が発した電波の電波強度は、複数の携帯端末50の夫々によって異なるため、テレビ受信機1の電波強度だけでなく、他のアクセスポイント70の電波強度も用いて分類を行うことで、分類の精度を向上することができる。
【0053】
そこで、分類部231は、所定期間内に収集したテレビ受信機1の電波強度だけでなく、テレビ受信機1と同時に収集した他のアクセスポイント70と携帯端末50との間の電波強度も用いて、電波強度の測定場所をK個のクラスタに分類することとしてもよい。
具体的には、分類部231は、図4(B)に示す測定ID毎のレコードに基づいて、電波強度の測定場所をK個のクラスタに分類する。このような構成によれば、分類対象の電波強度をN次元(テレビ受信機1と他のアクセスポイント70の数との和)のベクトル情報として捉えることができるため、1次元(テレビ受信機1のみ)のベクトル情報に基づく分類よりも分類の精度を向上することができる。
【0054】
なお、分類部231は、電波強度の測定場所をK個のクラスタに分類した後、K個のクラスタから測定場所がテレビ受信機1と同室のクラスタ(以下、「同室クラスタ」とする)を特定する必要がある。この点、分類部231による同室クラスタの特定方法は任意であり、分類部231は、例えば、複数のクラスタのうち、各クラスタの代表的な測定結果(クラスタ中心)におけるテレビ受信機1と携帯端末50との間の電波強度が最も強いクラスタを、測定場所がテレビ受信機1と同室の同室クラスタであると分類することとしてもよい。
【0055】
また、携帯端末50をテレビ受信機1のリモコンとして用いた時のテレビ受信機1と携帯端末50との間の電波強度を特定電波強度として記憶しておき、各クラスタの代表的な測定結果(クラスタ中心)におけるテレビ受信機1と携帯端末50との間の電波強度が特定電波強度の近傍の電波強度であるクラスタを同室クラスタであると分類することとしてもよい。
具体的には、テレビ受信機1が携帯端末50から選局操作を行う操作指示を受け付けた時のテレビ受信機1と当該携帯端末50との間の電波強度を、特定電波強度として記憶部4に記憶し、分類部231は、複数のクラスタのうち、テレビ受信機1と携帯端末50との間の電波強度が特定電波強度の近傍の電波強度であるクラスタを同室クラスタであると分類する。もちろん、テレビ受信機1と携帯端末50との間の電波強度だけでなく、他のアクセスポイント70と携帯端末50との間の電波強度も用いて比較を行い、同室クラスタを特定することとしてもよい。
【0056】
図3に戻り、同室特定部232は、指示情報を取得した時から所定時間内に測定された電波強度に基づき、端末連携可能な放送コンテンツを表示中のテレビ受信機1と同室に存在する携帯端末50を特定携帯端末として特定する。具体的には、同室特定部232は、指示情報を取得した時から所定時間内に測定された電波強度が属するクラスタを複数の携帯端末50の夫々について特定し、特定したクラスタが同室クラスタである携帯端末50を、テレビ受信機1と同室に存在する特定携帯端末として特定する。
【0057】
通知部24は、判定部21により指示情報を取得したと判定されることを条件に、複数の携帯端末50のうちの特定携帯端末に対して、無線部3を介して、端末連携に対応する放送コンテンツが開始したことを通知する。即ち、通知部24は、複数の携帯端末50のうち端末連携可能な放送コンテンツを表示中のテレビ受信機1と同室に存在する特定携帯端末に対して、端末連携に対応する放送コンテンツが開始したことを通知する。
ここで、通知部24による通知の一例を図6に示す。
【0058】
図6(A)に示すように、テレビ受信機1を介して視聴中の放送コンテンツが端末連携可能な放送コンテンツである場合、通知部24は、テレビ受信機1と同室に存在する携帯端末50に対して通知を行う。この通知を受けると、携帯端末50の表示制御部512は、表示部53の所定領域に対して端末連携サービスが開始したことを通知する通知情報501を表示する。この通知情報501に従い、携帯端末50のユーザが端末連携サービスの開始を選択すると、携帯端末50の制御部51は、コンパニオンアプリ(図2B参照)を起動し、端末連携サービスに伴うアプリケーション(HTML5コンテンツ)を取得し、端末連携表示502として表示部53に表示する。
これにより、携帯端末50では、テレビ受信機1を介して視聴中の放送コンテンツと連携するアプリケーションが実行されることになる。
【0059】
なお、通知部24は、複数の携帯端末50のうちテレビ受信機1と同室に存在しない携帯端末50に対しては、特定携帯端末に対する通知態様と異なる態様で、端末連携に対応する放送コンテンツが開始したことを通知することとしてもよい。
異なる態様は任意であるが、例えば、通知部24は、テレビ受信機1と同室に存在しない携帯端末50に対しては、特定携帯端末に対する通知頻度よりも低い頻度で、端末連携に対応する放送コンテンツが開始したことを通知することとしてもよい。また、通知部24は、図6(B)に示すように、テレビ受信機1と同室に存在しない携帯端末50に対してSNSを利用してメッセージを送ることで、端末連携に対応する放送コンテンツが開始したことを通知することとしてもよい。更に、通知部24は、携帯端末50の表示画面の所定位置に配置されているステータスバー上にメッセージが追加されたことを示すアイコンを表示することで、端末連携に対応する放送コンテンツが開始したことを通知することとしてもよい。
【0060】
[テレビ受信機1の処理]
続いて、図7及び図8を参照して、テレビ受信機1で実行される処理の流れについて説明する。図7は、定期的に実行される測定場所分類処理の流れを示すフローチャートであり、図8は、放送コンテンツを表示中に実行される端末連携処理の流れを示すフローチャートである。
【0061】
図7に示す測定場所分類処理では、初めに、テレビ受信機1の分類部231は、分類するクラスタの数Kを設定する(ステップS1)。続いて、分類部231は、複数の携帯端末50から収集した電波強度を、記憶部4から取得し(ステップS2)、測定日時に対応する測定IDに従ってソートする(ステップS3)。なお、測定IDに従ってソートした結果は、例えば、図4Bに示すテーブルに相当する。
【0062】
続いて、分類部231は、測定IDの数をM、自他アクセスポイントの数(即ち、テレビ受信機1と他のアクセスポイント70との和)をNにセットする(ステップS4)。続いて、分類部231は、各測定IDをN次元のベクトルの情報と捉え、K-means法によりM個の測定IDをK個のクラスタに分類する(ステップS5)。続いて、分類部231は、K個のクラスタのうちの一のクラスタを測定場所がテレビ受信機1と同室である同室クラスタとして設定し(ステップS6)、測定場所分類処理を終了する。
【0063】
次に、図8に示す端末連携処理では、初めに、テレビ受信機1の判定部21は、端末連携を指示する指示情報を取得したか否かを判定する(ステップS11)。この判定がYESの場合、収集部22は、ペアリング済みの全ての携帯端末50の電波強度を取得する(ステップS12)。即ち、収集部22は、指示情報を取得した時から所定時間内に測定されたテレビ受信機1の電波強度及び他のアクセスポイント70の電波強度を記憶部4から取得する。
【0064】
続いて、同室特定部232は、取得した電波強度から周囲に存在する携帯端末50の位置を特定する(ステップS13)。即ち、同室特定部232は、取得した電波強度が測定場所分類処理(図7)で分類したクラスタのいずれのクラスタに該当するか否かを特定する。
【0065】
続いて、同室特定部232は、携帯端末50がテレビ受信機1と同室に位置するか否か、即ち電波強度が属するクラスタが同室クラスタであるか否かを判定する。このとき、テレビ受信機1と同室に位置する携帯端末50に対しては、通知部24は、端末連携に対応する放送コンテンツが開始したことを通知し(ステップS15)、端末連携処理を終了する。他方、テレビ受信機1とは別室に位置する携帯端末50に対しては、通知部24は、通知頻度を調整する等のように通知態様を異ならせて、端末連携に対応する放送コンテンツが開始したことを通知し(ステップS16)、端末連携処理を終了する。
【0066】
以上、端末連携システムSの一実施形態について説明した。なお、本実施形態の端末連携システムSでは、端末連携に対応する放送コンテンツが開始した場合に、テレビ受信機1の制御により、ユーザに対する通知を異ならせることとしている。この点、ユーザに対する通知は、テレビ受信機1の制御ではなく、携帯端末50の制御により、異ならせることとしてもよい。
テレビ受信機1の制御による場合、上述のようにテレビ受信機1から携帯端末50に対する通知態様を制御することで、ユーザに対する通知を異ならせる。これに対して、携帯端末50の制御による場合、テレビ受信機1から複数の携帯端末50に対して一斉に通知を行う一方で、通知を受けた携帯端末50においてテレビ受信機1との位置関係に基づき表示態様を制御することで、ユーザに対する通知を異ならせる。
【0067】
図9に携帯端末50の制御によりユーザに対する通知を異ならせる場合の、処理フローの一例を示す。
【0068】
携帯端末50では、電波強度を測定すると(ステップS31)、測定した電波強度及びクラスタ数Kをテレビ受信機1に送信する(ステップS32)。携帯端末50から電波強度を受信すると、テレビ受信機1では、K-means法を実行し(ステップS41)、実行結果としてのクラスタ情報を返信する(ステップS42)。
このステップS31、S32、S41、S42の処理は、定期的に行われる。そのため、携帯端末50では、電波強度を測定する度に測定時におけるテレビ受信機1との位置関係(クラスタ)が更新される。言い換えると、携帯端末50は、テレビ受信機1に対する現在の位置関係を逐次取得する。
【0069】
その後、テレビ受信機1において端末連携の指示情報を取得すると(ステップS43)、テレビ受信機1は、ペアリング済みの複数の携帯端末50に対して指示情報を通知する(ステップS44)。このとき、テレビ受信機1では、携帯端末50の位置に関わらずペアリング済みの複数の携帯端末50に対して一斉に通知を行う。
【0070】
この通知を受けると、携帯端末50では、定期的に取得しているクラスタに応じて表示態様が異なるように表示制御を行う(ステップS33)。即ち、クラスタが同室クラスタである携帯端末50では、端末連携サービスが開始したことを通知する通知情報を表示する。一方、クラスタが同室クラスタ以外のクラスタである携帯端末50では、通知情報を表示する頻度を下げる等して、ユーザに対する通知を異ならせる。
【0071】
[テレビ受信機1の効果]
以上説明した本実施形態のテレビ受信機1によれば以下の効果を期待できる。
【0072】
本発明のテレビ受信機1では、放送コンテンツを表示中に端末連携を指示する指示情報を取得すると、複数の携帯端末50のうち、指示情報を取得したタイミングの近傍のタイミングで測定された電波強度が所定以上である携帯端末50を特定携帯端末として特定し、この特定携帯端末に対して端末連携に対応する放送コンテンツが開始したことを通知する。
これにより、端末連携に対応する放送コンテンツがテレビ受信機1で表示された場合に、テレビ受信機1に近傍(電波強度が所定上)の携帯端末50に対して、その旨を通知することができる。ここで、テレビ受信機1の近傍の携帯端末50は、放送コンテンツを視聴中のユーザが用いる携帯端末50である可能性が高いため、本発明のテレビ受信機1によれば、放送コンテンツを視聴中のユーザに対して端末連携が開始したことを通知することができる。その結果、テレビ受信機1において放送コンテンツを視聴していないユーザの利便性を損ねることがなく、また、通知を受けたユーザは、どのテレビ受信機1で端末連携が開始したのかを容易に把握することでき、好適である。
【0073】
このとき、テレビ受信機1では、テレビ受信機1が設置された部屋と同室内に位置する携帯端末50を、テレビ受信機1の近傍の携帯端末50とするため、テレビ受信機1と同室に存在するユーザに対して上述の通知を行うことができる。即ち、テレビ受信機1では、放送コンテンツを視聴中のユーザを特定し、このユーザに対して適切に通知を行うことができる。
【0074】
なお、テレビ受信機1と同室であるか否かは、所定期間内に収集した電波強度の履歴に基づいて電波強度を少なくとも2個のクラスタに分類しておき、指示情報を取得したタイミングの近傍のタイミングで測定された電波強度が属するクラスタを特定することで、判定する。これにより、テレビ受信機1と同室に位置する携帯端末50を適切に特定することができる。
【0075】
このとき、電波強度の履歴として、テレビ受信機1と携帯端末50との間の電波強度だけでなく、他のアクセスポイント70と携帯端末50との間の電波強度も利用することで、分類精度を向上することができる。その結果、テレビ受信機1と同室に位置する携帯端末50をより適切に特定することができる。
【0076】
なお、分類した少なくとも2個のクラスタのうち一のクラスタが、テレビ受信機1と同室の同室クラスタとなる。この点、テレビ受信機1では、テレビ受信機1と携帯端末50との間の電波強度が最も強いクラスタを同室クラスタとすることとしてもよく、また、クラスタ中心におけるテレビ受信機1と携帯端末50との間の電波強度が、携帯端末50をテレビ受信機1のリモコンとして用いた時のテレビ受信機1と携帯端末50との間の電波強度の近傍の電波強度であるクラスタを同室クラスタとすることとしてもよい。
テレビ受信機1と携帯端末50との間の電波強度が最も強いクラスタは、複数のクラスタのうちテレビ受信機1との距離が最も近いクラスタであり、また、リモコンとして用いた携帯端末50は、テレビ受信機1を用いて放送コンテンツを視聴中のユーザが用いる携帯端末50であるため、いずれの方法であっても適切に同室クラスタを特定することができる。
【0077】
また、テレビ受信機1では、テレビ受信機1の近傍の携帯端末50以外の携帯端末50に対しては、通知頻度を下げる等の異なる態様で上述の通知を行う。これにより、放送コンテンツを視聴していないユーザに対しても端末連携を促すことができるため、放送から通信だけでなく、通信から放送への誘導が可能になり、放送コンテンツの視聴数を増加させることができる。一方で、通知頻度を下げる等のように通知態様を異ならせているため、ザッピング等により放送コンテンツが切り替わる度に通知してしまうことを防止でき、ユーザの利便性を損ねることがない。
【0078】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。特に、装置の分散・統合の具体的な実施形態は以上に図示するものに限られず、その全部又は一部について、種々の付加等に応じて、又は、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0079】
例えば、テレビ受信機1の制御部が有する機能のうちの1部又は全部の機能を、携帯端末50の制御部51が有することとしてもよく、また、携帯端末50の制御部51が有する機能のうちの一部又は全部の機能を、テレビ受信機1の制御部が有することとしてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1・・・テレビ受信機、1A・・・セットトップボックス、1B・・・表示装置、2・・・制御部、21・・・判定部、22・・・収集部、23・・・特定部、231・・・分類部、232・・・同室特定部、24・・・通知部、3・・・無線部、4・・・記憶部、5・・・放送受信部、6・・・通信部、30・・・放送局、50・・・携帯端末


図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9