(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態に係るカメラシステムの構成図である。
図1に示すカメラシステム1は、レンズ交換式のカメラシステムであり、カメラ本体101と交換レンズ201とを有する。
【0011】
図1に示すカメラシステム1のカメラ本体101は、カメラ制御回路102、撮像素子103、フォーカルプレンシャッタ104、表示用モニタ105、ストロボ107及びバッテリー108を含んで構成される。カメラ本体101の上部には、レリーズ釦106が設けられる。
【0012】
カメラ制御回路102は、カメラシステム1のユーザである撮影者によるレリーズ釦106の操作に応じて、撮像素子103、フォーカルプレンシャッタ104を制御する。また、カメラ制御回路102は、後述する交換レンズ201のレンズ制御回路202を通して交換レンズ201に各種の駆動制御の指示を行って、撮像動作を実行させる。また、カメラ制御回路102は、撮影者によるカメラシステム1に対する各種の操作に応じて、表示用モニタ105の表示制御を行う。
【0013】
レリーズ釦106は、撮影者の操作にしたがって、カメラ本体101に交換レンズ201を装着したカメラシステム1に測光、オートフォーカス(AF)、露光等の撮影動作の指示を受け付けるために設けられるボタンである。実施例では、レリーズ釦106としては、一般的な2段階スイッチを使用し、半押しで測光やオートフォーカス動作を、全押しで露光の動作指示を受け付ける。
【0014】
撮像素子103は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)センサ等で構成され、交換レンズ201の光学系により撮像面に結像された被写体像の撮像を行う。
【0015】
フォーカルプレンシャッタ104は、撮影者によるレリーズ釦106の操作に応じて、後述するカメラ制御回路102からの指示によって開閉動作することで、撮像素子103への露光動作を行う。
【0016】
表示用モニタ105は、液晶や有機EL(electroluminescence)等で構成され、動画撮影時のスルー画像等の表示や、撮影者による
図1においては不図示の再生釦や各種設定手段の操作に応じて、再生画像や設定情報等の表示を行う。
【0017】
ストロボ107は、撮影者によるレリーズ釦106の操作に応じたカメラ制御回路102からの指示にしたがって、
図1においては不図示の発光用コンデンサに蓄えられた電荷を用いてフォーカルプレンシャッタ104での露光動作と同期して発光動作を行う。
【0018】
バッテリー108は、カメラ本体101及び交換レンズ201に電源を供給する。
図1に示すカメラシステム1の交換レンズ201は、レンズ制御回路202、焦点調節レンズ203、ズームレンズ204、絞り205、フォーカス環(図面においてはMF環)206及びズーム環(図面においてはZM環)207を含んで構成される。
【0019】
レンズ制御回路202は、カメラ制御回路102からの指示を受けると、これに応じて焦点調節レンズ203や絞り205等の駆動制御等、交換レンズ201の各部の制御処理を実行する。
【0020】
焦点調節レンズ203は、撮影者によるフォーカス環206の操作またはレンズ制御回路202からの指示にしたがって、光軸O方向に移動し、交換レンズ201の焦点状態を調節する。オートフォーカス動作においては、レンズ制御回路202は、カメラ制御回路102からの要求に応じて焦点調節レンズ203の駆動制御を行う。
【0021】
ズームレンズ204は、撮影者によるズーム環207の操作により、光軸O方向に移動して、交換レンズ201の焦点距離の変更を行う。
絞り205は、撮影者による
図1においては不図示の絞り環の操作や、カメラ制御回路102からの要求に応じたレンズ制御回路202からの指示にしたがって、開口面積を変化させてカメラ本体101方向に入射する被写体光量を調節する。
【0022】
図2は、本実施形態に係るカメラシステム1の制御系の構成例を示すブロック図である。
図2に示すカメラシステム1のうち、カメラ本体101は、本体CPU(Central Processing Unit)121、不揮発性メモリ122、メモリ123、撮像素子制御回路124、画像処理回路125、シャッタ制御回路126、表示回路127、ストロボ制御回路128、操作スイッチ検出回路129、電源回路130及びカメラ本体通信回路131を含む。
【0023】
本体CPU121は、カメラシステム1全体の制御を司り、また、交換レンズ201との間で通信を行う。
不揮発性メモリ122は、書き換え可能な不揮発性の半導体メモリ等で構成され、本体CPU121のプログラム140を格納する。本体CPU121が不揮発性メモリ122から読み出したプログラム140を実行することで、後述の各フローチャートに例示される動作におけるカメラ本体101側の制御動作が実現される。
【0024】
メモリ123は、RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリで構成され、本体CPU121が使用するプログラムや各種情報を一時格納する。
撮像素子制御回路124は、本体CPU121からの指示に基づきフレームレートを制御して、撮像素子103を制御してスルー画表示、露光等の画像データを取得するための動作を実行するときに、被写体像を画像信号に変換する撮像動作を撮像素子103に実行させる。
【0025】
画像処理回路125は、撮像素子103から出力される画像信号にA/D変換やフィルタ処理等の必要な画像処理を施し、表示用モニタ105に表示する画像データや、撮影画像として記憶する画像データの生成等の処理を実行する。
【0026】
シャッタ制御回路126は、フォーカルプレンシャッタの開閉動作の制御を行う。
表示回路127は、画像処理回路125で生成したスルー画像、撮影画像、その他各種情報やメニュー等を表示用モニタ105に表示させる。
【0027】
ストロボ制御回路128は、ストロボ107の充電や発光の制御を行う。
操作スイッチ検出回路129は、撮影者が操作するカメラ本体101のカメラの撮影モードを切り替える
図1及び
図2においては不図示の切り替えスイッチや、
図1のレリーズ釦106の操作を検出する。例えば、操作スイッチ検出回路129は、第1レリーズスイッチ132及び第2レリーズスイッチ133等の各種操作スイッチと接続され、これらスイッチの各々の状態を検出する。
【0028】
第1レリーズスイッチ132は、レリーズ釦106の半押しでオン状態となる。操作スイッチ検出回路129は、第1レリーズスイッチ132がオン状態となったことを検出すると、本体CPU121にその旨を通知する。本体CPU121は、第1レリーズスイッチ132がオン状態となったことを認識すると、測光動作やオートフォーカス動作を実行させる。
【0029】
第2レリーズスイッチ133は、レリーズ釦106の全押しでオン状態となる。操作スイッチ検出回路129は、第2レリーズスイッチ133がオン状態となったことを検出すると、本体CPU121にその旨を通知する。本体CPU121は、第2レリーズスイッチ133がオン状態となったことを認識すると、フォーカルプレンシャッタ104の開閉等の露光動作を実行させる。
【0030】
カメラ本体通信回路131は、交換レンズ201側のレンズCPU221と通信するために設けられ、例えば、本体CPU121の制御により生成されるフレームレートに応じた同期信号を、交換レンズ201に送信する等の処理を実行する。
電源回路130は、装填されたバッテリー108の電圧の平滑化や昇圧等を行い、カメラシステム1の各部に電源を供給するために設けられる回路である。
【0031】
図2に示すカメラシステム1のうち、交換レンズ201は、レンズCPU221、不揮発性メモリ222、メモリ223、焦点調節レンズ駆動回路224、焦点調節レンズ位置検出回路225、ズームレンズ駆動回路(
図2においてはZM駆動回路)226、ズームレンズ位置検出回路(
図2においてはZM位置検出回路)227、絞り駆動回路228、フォーカス環操作検出回路(
図2においてはMF操作検出回路)229及びレンズ通信回路231を含む。
【0032】
レンズCPU221は、本体CPU121からの指示にしたがって、
図2の交換レンズ201内の各部の制御を司る。これとともに、レンズCPU221は、本体CPU121に向けて、交換レンズ201のレンズ動作状態や不揮発性メモリ222に格納されている光学データ等の送信を行う。
【0033】
不揮発性メモリ222は、書き換え可能な不揮発性の半導体メモリ等で構成され、レンズCPU221のプログラム240や、レンズ特性データ250を格納する。レンズCPU221が不揮発性メモリ222から読み出したプログラム240を実行することで、後述の各フローチャートに例示される動作における交換レンズ201側の制御動作が実現される。また、レンズ特性データ250は、交換レンズ201の特性を表すデータであり、交換レンズ201の機種を識別するためのレンズ識別データや、その光学的な特性を示す光学データ等を含む。
【0034】
メモリ223は、RAM等の半導体メモリで構成され、レンズCPU221が使用するプログラムやレンズ状態データ260等の各種情報を一時格納する。
焦点調節レンズ駆動回路224は、ステッピングモータ等のアクチュエータやモータドライバ等を含んで構成され、焦点調節レンズ203の駆動制御を行う。焦点調節レンズ位置検出回路225は、焦点調節レンズ駆動回路224に含まれる駆動用モータの回転量をパルス数に変換するフォトインタラプタ(PI)回路等を含んで構成される。フォトインタラプタ回路は、無限遠端を基準とする焦点調節レンズ203の絶対位置をパルス数で表す。焦点調節レンズ位置検出回路225は、フォトインタラプタ回路を用いて、焦点調節レンズ駆動回路224により駆動される焦点調節レンズ203の位置検出を行う。
【0035】
ズームレンズ駆動回路226は、ステッピングモータ等のアクチュエータやモータドライバ等を含んで構成され、ズームレンズ204の駆動制御を行う。ズームレンズ位置検出回路227は、リニアエンコーダやA/D変換回路等を含んで構成される。ズームレンズ位置検出回路227は、エンコーダ値のA/D変換結果に基づいて、ズームレンズ駆動回路226によって駆動されるズームレンズ204の位置検出を行う。
【0036】
絞り駆動回路228は、ステッピングモータ等のアクチュエータやモータドライバ等を含んで構成され、絞り205の開口動作の制御を行う。
フォーカス環操作検出回路229は、撮影者によるフォーカス環206の操作を検出する。
【0037】
レンズ通信回路231は、交換レンズ201の外部に設けられる通信接続端子を有し、カメラ本体101側の本体CPU121と通信するために設けられる。具体的には、レンズ通信回路231は、本体CPU121からの焦点調節レンズ203、ズームレンズ204や絞り205に対する駆動命令等の受信処理や、レンズ位置情報、動作状態、レンズ特性データ250等の本体CPU121への送信処理を行う。
【0038】
図1及び
図2に示す本実施形態に係るカメラシステム1は、撮像素子103のフレームレートに同期させて交換レンズ201の駆動制御を行う。カメラ本体101の本体CPU121は、オートフォーカス動作を実行する際に必要な光学パラメータ等のレンズ特性データ250を、カメラ本体101と交換レンズ201との間の同期通信により取得する。レンズ特性データ250には、交換レンズ201の動作制御を実行するために必要な準備期間等の、カメラ本体101と交換レンズ201との通信動作に関するデータを含む。カメラ本体101の本体CPU121は、交換レンズ201側から取得したレンズ特性データ250に基づき、フレームレート及び同期通信周期を適切に決定し、決定した通信周期に基づきカメラ本体通信回路131から同期信号を送信するよう制御を行う。
【0039】
図3は、本実施形態に係るカメラシステム1のカメラ本体101と交換レンズ201との間の通信シーケンスを示す図である。
図3を参照して、レンズ特性データ250に含まれる「カメラ本体101と交換レンズ201との間の通信動作に関するデータ」について、具体的に説明する。
【0040】
カメラシステム1は、設定した所定のフレームレートに応じて、
図3の最上段の同期信号を出力する。同期信号により規定される同期周期には、同期信号を出力する前後の通信禁止期間(同期信号出力前の通信禁止期間T1及び出力後の通信禁止期間T2)と、通信が可能な期間である通信許可期間(T3)とがある。
【0041】
通信許可期間T3においては、交換レンズ201は、交換レンズ201の駆動に必要な情報をカメラ本体101に向けて送信する処理(レンズ状態通信処理C1)や、カメラ本体101が交換レンズ201の駆動指示を交換レンズ201に向けて送信する処理(駆動指示通信処理C2)を実行する。レンズ状態通信処理C1においては、交換レンズ201は、焦点調節レンズ203やズームレンズ204の位置や、絞り205の開口状態等の情報をカメラ本体101に送信する。駆動指示通信処理C2においては、カメラ本体101が、交換レンズ201から処理C1で取得した情報に基づき、焦点調節レンズ203、ズームレンズ204及び絞り205等の駆動指示を交換レンズ201に送信する。
【0042】
このうち、レンズ状態通信処理C1に要する時間T4には、交換レンズ201のレンズCPU221において、焦点調節レンズ203、ズームレンズ204、絞り205の状態検出等を行い、カメラ本体101に送信するデータを用意する処理(以下においては、「状態データ送信準備処理L1」という)に必要な時間を考慮する。駆動指示通信処理C2に要する時間T5についても、カメラ本体101と交換レンズ201との間の通信処理に必要な時間が考慮されている。
【0043】
すなわち、時間T4、T5については、通信規格等で予め定められている標準通信仕様(例えば、転送レートが2MHzでのシリアル通信)での通信所要時間がそれぞれ設定されている。
【0044】
また、通信禁止期間T1、T2においては、交換レンズ201のレンズCPU221は、期間T5でカメラ本体101から受信した駆動指示に基づき、焦点調節レンズ203、ズームレンズ204、絞り205の動作状態を変更するための準備処理(以下においては、「動作変更準備処理L2」という)を実行する。通信禁止期間(T1+T2)は、動作変更準備処理L2に要する時間(T6+T7)に基づき定められる。すなわち、動作変更準備処理L2が、通信禁止期間(T1+T2)を超えて通信許可期間(T3)にまでかかってしまうことのないようにするためである。
【0045】
交換レンズ201の駆動は、同期信号の出力から、動作変更準備処理L2に要する時間を考慮して所定の時間(T8)経過すると開始される。
状態データ送信準備処理L1に要する時間T4や駆動指示通信処理C2に要する時間T5、通信禁止期間(T1、T2)等を考慮してどのようにフレームレートや同期通信周期を適切に決定するかについて、
図4を参照して更に詳しく説明する。
【0046】
図4は、本実施形態に係るカメラシステム1の撮影動作処理の一例を示すフローチャートである。カメラ本体101の本体CPU121は、カメラシステム1の電源がオンされてカメラシステム1の起動処理が完了したことを認識すると、
図4に示す一連の処理を開始する。
【0047】
まず、ステップS101で、本体CPU121は、交換レンズ201が装着されているか否かを判定する。交換レンズ201が装着されているか否かの判定は、
図2の本体操作スイッチ検出回路129が、
図2においては不図示のマウントスイッチの状態を検出することにより行う。交換レンズ201が装着されている場合は、処理をステップS102へと移行させ、未装着の場合は、交換レンズ201が装着されるまで、定期的に交換レンズ201の装着の検出等の待機動作を行う。
【0048】
ステップS102で、本体CPU121は、装着された交換レンズ201に関する情報を取得するために、カメラ本体通信回路131及びレンズ通信回路231を介し、レンズCPU221との通信を開始する。
【0049】
ステップS103で、本体CPU121は、レンズCPU221との通信を行って、動作パラメータや光学データ等のレンズ特性データ250を取得すると、メモリ123に記憶する。
【0050】
本実施形態においては、ステップS103でレンズCPU221から取得するデータには、次のステップS104から開始する同期通信に関するデータを含む。具体的には、同期信号の出力タイミング前後の通信禁止期間T1、T2、レンズ状態通信処理C1に要する通信時間T4、駆動指示通信処理C2に要する通信時間T5を含む。
【0051】
本体CPU121は、メモリ123に記憶した標準通信時間T4、T5と、本体CPU121における処理時間とから、同期通信の1周期中に必要な通信許可期間T3を算出する。そして、本体CPU121は、更に、メモリ123に記憶した通信禁止期間T1、T2と、算出した通信許可期間T3と、撮像素子103の設定可能なフレームレートとから、同期通信の通信周期を決定する。
【0052】
例えば、通信禁止期間T1、T2がそれぞれ0.5ms、通信時間T4、T5がそれぞれ0.5ms、0.3msで、撮像素子103のフレームレートが60fps単位で540fpsまで設定可能であるとする。この場合、本体CPU121は、時間T1、T2、T4、T5の合計時間(1.8ms)が1フレーム内に収まる範囲でもっとも高速なフレームレートである480fpsを、フレームレートとして選択し、その1フレーム(1/480sec=2.08ms)同期通信周期として設定する。
【0053】
このように同期通信の周期を設定した場合は、通信許可期間T3は、通信周期(2.08ms)から通信禁止期間T1、T2(0.5ms+0.5ms=1.0ms)を除く1.08msとなる。以降においては、本体CPU121は、求めた通信許可期間T3内で通信処理C1、C2を実行する。
【0054】
図4の説明に戻ると、ステップS104で、本体CPU121は、ステップS103において同期通信周期を設定すると、カメラ本体通信回路131及びレンズ通信回路231を介して同期通信を開始して、同期通信モードに移行する。同期通信を開始した後は、本体CPU121は、交換レンズ201の焦点調節レンズ203等の動作状態、ズームレンズ204の位置等の「レンズ状態データ260」を、レンズCPU221を介して取得し、取得したレンズ状態データ260が表すレンズ状態に応じた制御動作を実行する。
【0055】
ステップS105では、本体CPU121は、撮像素子制御回路124により撮像素子103を同期周期毎に動作させ、受光面上に結像された被写体像の光電変換出力である撮像信号を得る。本体CPU121は、画像処理回路125に対し、得られた撮像信号に対してスルー画表示用の画像処理を施させ、表示用データを生成させる。本体CPU121は、表示回路127により、スルー画の表示用モニタ105への表示を開始させる。
【0056】
ステップS106で、本体CPU121は、交換レンズ201が装着されているか否かを判定する。ステップS106における判定は、上記のステップS101と同様の方法により行う。ステップS106において交換レンズ201が取り外されたと判定した場合には、ステップS101に戻る。交換レンズ201が装着されていると判定した場合には、処理をステップS107へと移行させる。
【0057】
ステップS107では、本体CPU121は、電源がオンされているか否かを判定する。電源がオンからオフに切り替えられた場合には、ステップS108に進み、電源がオンされている場合には、ステップS109に進む。
【0058】
ステップS108においては、本体CPU121は、各種データのメモリ123への退避や、リセット動作及び電源系統の切断処理等の所定の終了処理を実行し、処理を終了する。
【0059】
ステップS109においては、本体CPU121は、第1レリーズスイッチ132がオンされたか否かを判定する。
図2を参照して説明したとおり、第1レリーズスイッチ132がオン状態となった場合には、操作スイッチ検出回路129がこれを検出し、その旨を本体CPU121に通知する。第1レリーズスイッチ132がオンされた場合には、ステップS110に進み、オフ状態のままである場合には、ステップS106に戻る。
【0060】
ステップS110では、本体CPU121は、以降に実行するオートフォーカス動作中の同期通信の周期を設定する。ここでは、先のステップS103において最速且つ最適なフレームレートが設定されている場合には、ここでの同期通信周期の設定変更は不要である。一方、通信禁止期間(T1、T2)や処理時間T4、T5等から受ける時間的な制約からすると、余裕があるにもかかわらず、消費電力の低減等のため、ステップS103では低速のフレームレートが設定されている場合がある。このような場合には、ステップS103で説明した方法と同様の方法により、最速のフレームレートを選択し、同期通信周期を設定変更する。これにより、以降のステップにおいて実行するオートフォーカス動作に要する時間が短縮される。
【0061】
ステップS111では、本体CPU121は、オートフォーカス動作を実行する。本実施形態においては、撮像素子103から取得した撮像信号より、画像の高周波成分が最も大きくなるときの焦点調節レンズ203の位置を判定し、その位置を合焦位置として検出する、いわゆる「山登りAF」動作を行う。
【0062】
山登りAFにおいては、具体的には、まず、本体CPU121は、焦点調節レンズ203のスキャン駆動を開始するよう、レンズCPU221に指示する。ステップS110(またはステップS110において設定変更していない場合にはステップS103)で設定したフレームレートで、撮像素子103より撮像信号が出力される。本体CPU121は、撮像素子103より出力される撮像信号に対して信号の高周波成分を抽出する処理を実行し、抽出した高周波成分からAF評価値を算出するよう画像処理回路125に指示する。また、これとともに、本体CPU121は、ステップS110において設定した周期での同期通信により、同期周期毎にレンズCPU221から焦点調節レンズ203の位置情報を取得して、各フレームで算出したAF評価値と関連付けてメモリ123に記憶する。先に説明したとおり、焦点調節レンズ203の位置情報は、「レンズ状態データ260」に含まれる。また、本体CPU121が同期周期毎にレンズCPU221から焦点調節レンズ203の位置情報等のデータを取得する処理は、
図3においては「レンズ状態通信処理C1」がこれに相当する。
【0063】
こうして、本体CPU121においては、各フレームにつきAF評価値を取得する毎に、前回取得したAF評価値が極大値をとるか否かを判定する。前回取得したAF評価値が極大値をとる場合には、その前後のAF評価値と関連付けられている焦点調節レンズ203の位置情報をメモリ123から読み出す。読み出した焦点調節レンズ203の位置情報を用いて補間演算を行い、合焦位置を算出する。そして、本体CPU121は、算出した合焦位置を表す合焦位置情報をレンズCPU221に送信し、焦点調節レンズ203を指定した位置に駆動するよう指示する。本体CPU121が合焦位置情報をレンズCPU221に送信して、焦点調節レンズ203を指定した位置に駆動するよう指示をする処理は、
図3においては「駆動指示通信処理C2」がこれに相当する。
【0064】
駆動指示通信処理C2において、本体CPU121から焦点調節レンズ203の駆動指示を受信したレンズCPU221は、指示された駆動方向及び駆動速度にて、焦点調節レンズ203のスキャン駆動制御を行う。これとともに、レンズCPU221は、焦点調節レンズ位置検出回路225に対し、同期周期毎に焦点調節レンズ203の位置を検出させ、検出された焦点調節レンズ203の位置情報を本体CPU121へと送信する。焦点調節レンズ位置検出回路225において焦点調節レンズ203の位置を検出する処理は、
図3においては「状態データ送信準備処理L1」がこれに相当する。
【0065】
本体CPU121から合焦位置への焦点調節レンズ203の駆動を指示されると、レンズCPU221は、焦点調節レンズ駆動回路224に対し、スキャン駆動を停止して指定された合焦位置への駆動するよう設定させる。レンズCPU221が本体CPU121により指定された合焦位置への駆動の設定を行わせる処理は、
図3においては「動作変更準備処理L2」がこれに相当する。
【0066】
こうして、レンズCPU221は、本体CPU121からの駆動の変更指示を受信した直後の同期信号を受信したタイミングから所定の時間が経過した後に、指定された位置への焦点調節レンズ203の駆動を開始させる。本体CPU121からの変更指示を受信した直後の同期信号を受信してから指定された位置への焦点調節レンズ203の駆動を開始させるまでの時間は、
図3においては「時間T8」がこれに相当する。
【0067】
時間T8は、動作変更準備処理L2に要する時間(T6+T7)、特に同期信号を出力した後の当該処理L2に要する時間T7(及び、当該時間T7に基づき定められる通信禁止期間T2)を考慮して定める。すなわち、時間T7(やT2)よりも長い期間をとるように時間T8を定める。この時間T8を用いて焦点調節レンズ203の駆動開始を制御することで、動作変更準備処理L2が次の同期周期の通信期間にかかってしまうことなく、また、確実に、次の同期周期において焦点調節レンズ203の駆動を開始することができる。
【0068】
図4の説明に戻ると、ステップS112で、本体CPU121は、撮像素子制御回路124に対し、撮像素子103で撮像を行わせる。本体CPU121は、画像処理回路125に対し、撮像素子103より出力される撮像信号を輝度データに変換させ、所定のプログラム線図に基づいて露出演算を行わせる。
【0069】
ステップS113で、本体CPU121は、第1レリーズスイッチ132がオフされたか否かを判定する。上記のステップS109と同様に、本体CPU121は、操作スイッチ検出回路129の検出結果に基づき判定を行う。第1レリーズスイッチ132がオン状態のままである場合には、ステップS114に進み、第1レリーズスイッチ132がオフされた場合には、特に処理を行わず、処理をステップS118へと移行させる。
【0070】
ステップS114においては、本体CPU121は、更に第2レリーズスイッチ133がオンされたか否かを判定する。第2レリーズスイッチ133がオン/オフのいずれの状態であるかについては、第1レリーズスイッチ132と同様に、操作スイッチ検出回路129の検出結果に基づき本体CPU121が判定する。第2レリーズスイッチ133がオンされた場合には、ステップS115に進み、第2レリーズスイッチ133がオフ状態のままである場合には、ステップS113に戻り、第2レリーズスイッチ133がオンされるまで、上記の処理を繰り返す。
【0071】
ステップS115で、本体CPU121は、ステップS112における露出演算結果に基づいて、レンズCPU221に絞り205を指定した絞り値にまで駆動するように指示する。そして、レンズCPU221は、絞り駆動回路228に対し、本体CPU121が指示する絞り値まで絞り205を駆動させ、駆動処理が完了すると、本体CPU121にその旨を通知する。
【0072】
本体CPU121は、レンズCPU221から絞り駆動完了通知を受信すると、シャッタ制御回路126に対してフォーカルプレンシャッタ104の駆動制御を行わせる。また、本体CPU121は、撮像素子制御回路124に対し、撮像素子103の制御を行わせ、画像処理回路125に対し、撮像素子103から出力される撮像信号に記憶画像用の画像処理を施して撮像データを生成させる。
【0073】
ステップS116で、本体CPU121は、ステップS115において生成された撮像データをメモリ123や、あるいは、コンパクトフラッシュ等の外部記憶手段に記憶する。
【0074】
ステップS117で、本体CPU121は、画像処理回路125に対し、ステップS116で記憶した撮像データから再生表示用データを生成させ、表示回路127に対し、生成された再生表示データに基づき、表示用モニタ105に撮影画像を表示させる。
【0075】
ステップS118で、本体CPU121は、ステップS105と同様に、スルー画の表示用モニタ105への表示を再開させる。スルー画を表示用モニタ105に表示させる方法については、先にステップS105の説明において記載したとおりである。なお、ステップS110においてフレームレート及び同期通信周期の設定変更を行っている場合は、ステップS103において設定した元の値に戻してから、上記の処理を行う。
【0076】
こうして、本実施形態に係るカメラシステム1によれば、予め、交換レンズ201ごとに適した通信禁止期間(T1、T2)や通信処理時間(T4、T5)を交換レンズ201のメモリ223に記憶しておく。カメラ本体101の本体CPU121は、オートフォーカス動作等の交換レンズ201の駆動制御を行う際には、交換レンズ201との通信によりそのメモリ223から取得したこれらの情報、すなわちレンズ特性データ250を用いて決定される。レンズ特性データ250は、交換レンズ201の種類ごとの特性に応じて設定されている。このレンズ特性データ250を用いてフレームレート及び同期通信周期を決定することにより、カメラシステム1は、最適なフレームレート、同期通信周期でオートフォーカス動作等の交換レンズ201の動作制御を行うことが可能となる。すなわち、フレームレート及び同期通信周期には、交換レンズ201の駆動の準備(動作変更準備処理L2)に必要な時間等も考慮した適切な値が設定されている。このため、次の同期周期の通信期間にかかってしまうことなく、通信禁止期間内において確実に動作変更準備処理L2が実行され、また、確実に、当該処理を実行した次の同期周期において交換レンズ201の駆動を開始することが可能となる。
<第1の変形例>
【0077】
上記の実施形態においては、オートフォーカス方式として、いわゆる「山登りAF」を採用する。すなわち、上記の実施形態では、山登りAFにおいては、焦点調節レンズ203を駆動しながら所定のフレームレートで撮像素子103から取得した被写体像の信号の高周波成分が極大値をとる位置を合焦位置として検出しているが、これに限定されるものではない。本変形例においては、上記以外の方式を使用する点で異なる。
【0078】
以下、本変形例について、上記の実施形態と異なる点を中心に説明する。なお、本変形例に係るカメラシステムの構成、カメラ本体と交換レンズとの間の通信シーケンス及びカメラシステムの撮影動作処理については上記において説明したとおりであり、
図1〜
図4に示すとおりであるので、ここでは説明を省略する。
【0079】
図5は、本変形例において採用するオートフォーカス方式について説明するための図である。
図5に示すように、撮像素子のマイクロレンズ光軸からずれた位置に、焦点検出画素受光部150を設けている。
【0080】
本変形例においては、像面位相差方式により合焦位置を検出する。具体的には、焦点検出画素受光部150の焦点検出画素により、瞳分割された被写体像を取得し、その視差からデフォーカス量を求めることにより、合焦位置を求める。像面位相差AFについては、公知の技術であるので、詳細な説明は省略する。
【0081】
本変形例の撮像フレームレート、及び、同期通信周期の設定を以下に説明する。本変形例は、コンティニュアスAFモードにおける連写動作(以下、コンティニュアスAF連写と称す)の例であり、コンティニュアスAF連写動作中の撮像フレームレート、同期通信周期は、連写速度や動体予測AF精度の向上のためにより高速化が求められる。
図6に示すように、コンティニュアスAF連写動作中においては、撮像動作I1で示す各撮影コマの間では、本体CPU121の駆動指示通信C2に応じた絞り開放駆動処理A1の後に、非同期通信状態から同期通信開始通信処理C3により同期通信状態T9に移行する。そして、本体CPU121は、測距用撮像処理I2、レンズ状態通信処理C1を繰り返し実行して、測距用撮像処理I2によりデフォーカス量を取得し、レンズ状態通信処理C1によりレンズCPU221から焦点調節レンズ203の位置を取得する。そして、上記動作を所定回数実行後に同期通信終了通信処理C4で同期通信状態T9を終了する。なお、本体CPU121より以前の動体予測結果に基づいて指定する速度で焦点調節レンズ203の駆動を行う動体追従駆動処理をF1で示す。
同期通信状態T9の終了後、本体CPU121は各測距用撮像処理I2、レンズ状態通信処理C1で取得したデフォーカス量と焦点調節レンズ203の位置に基づいて動体予測演算を行う。そして、算出した予測合焦位置への焦点調節レンズ203の駆動を駆動指示通信処理C2により指示する。また、測距用撮像データ等から求めた絞り制御位置への絞り205の駆動も、駆動指示通信処理C2により指示する。次にレンズCPU221は、指定された焦点調節レンズ203の位置へ予測合焦駆動処理F2を実行する。また、レンズCPU221は指定された絞り205の位置へ絞込み駆動処理A2を実行する。
図6に示すコンティニュアスAF連写動作中の同期通信では、
図3に示す通信禁止期間T1、T2を設けない設定に変更する。そして、同期通信周期中では、レンズCPU221からレンズ状態データを本体CPU121へ送信する状態通信処理C1だけを実行し、本体CPU121からの駆動指示通信C2を行わない制御に変更する。このように、レンズ状態通信処理C1に要する通信時間T4のみに応じて同期通信周期を設定する。このように、コンティニュアスAFモードかつ連写モードに設定された際のコンティニュアスAF連写動作では、他の動作モードに比較して同期通信周期を短縮して通信動作を高速化させている。また、撮影待機中や1Rオン中の同期通信周期が、例えば240Hzである場合、連写動作中の同期通信周期を2倍の480Hzとする設定変更も行う。
本変形例のように、像面位相差AFを採用した場合には、動体追尾を行う際に上述の方法で通信方法を変更することにより、交換レンズ201の状態取得を高速で行うことが可能となり、連写速度、動体予測AF精度を向上させることが可能となる。
<第2の変形例>
【0082】
上記の実施形態においいては、交換レンズ201からカメラ本体101に送信する通信が禁止される通信禁止期間(T1、T2)や通信処理時間(T4、T5)を表すデータを交換レンズ201において保持し、カメラ本体101に保持するデータを送信しているが、これに限定されるものではない。本変形例においては、交換レンズ201においては所定の範囲を持った時間を表す情報を保持しており、カメラ本体101が、当該情報を交換レンズ201から取得すると、これに基づき通信禁止期間等を決定する点で異なる。
【0083】
図7は、本変形例に係るレンズ特性データ250のうちの通信禁止期間についてのデータ構造例を示す図である。
図7に示すように、本変形例によれば、通信禁止期間は範囲を持ったデータであり、それぞれのデータを識別するための「通信禁止期間データ」が対応付けられる。
【0084】
本変形例によれば、交換レンズ201のレンズCPU221は、カメラ本体101の本体CPU121に対し、
図4のステップS103においてレンズ特性データ250を送信するときに、通信禁止期間を表す情報としては、
図7の「通信禁止期間データ」を送信する。カメラ本体101のメモリ123には、予め
図7のテーブルが記憶されている。カメラ本体101の本体CPU121は、受信した通信禁止期間データに対応する通信禁止期間をメモリ123から読み出し、読み出した範囲を持った期間の中から所定の値を通信禁止期間(T1、T2)として設定することができる。このように、カメラ本体101と交換レンズ201との間の通信量を削減しつつ、範囲をもった時間の情報の中から状況等に応じてより適切な値を選択することが可能となり、適切にフレームレートや同期通信周期を設定することが可能となる。例えば、連写撮影の時に連写速度が高速の場合には、この範囲の最小値を採用してその時間分を他の処理に割り当てて、全体の処理を最適化することが可能である。
【0085】
あるいは、他の変形例として、交換レンズ201のレンズCPU221は、
図7の右側の列、すなわち、範囲を持った通信禁止期間そのものをカメラ本体101の本体CPU121に送信する構成としてもよい。
【0086】
図7においては、通信禁止期間を例に挙げているが、これに限定されるものではなく、通信時間T4、T5等についても、同様の構成とすることができる。本変形例のように、レンズ特性データ250が時間的に範囲をもつ構成としても、上記実施形態と同様の効果を得る。
【0087】
本発明は、上述した実施形態そのままに限定されるものではく、実施段階でのその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。