特許第6234301号(P6234301)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ブックウォーカーの特許一覧

特許6234301表示データ作成システム、表示データ作成方法及び表示データ作成用コンピュータプログラム
<>
  • 特許6234301-表示データ作成システム、表示データ作成方法及び表示データ作成用コンピュータプログラム 図000002
  • 特許6234301-表示データ作成システム、表示データ作成方法及び表示データ作成用コンピュータプログラム 図000003
  • 特許6234301-表示データ作成システム、表示データ作成方法及び表示データ作成用コンピュータプログラム 図000004
  • 特許6234301-表示データ作成システム、表示データ作成方法及び表示データ作成用コンピュータプログラム 図000005
  • 特許6234301-表示データ作成システム、表示データ作成方法及び表示データ作成用コンピュータプログラム 図000006
  • 特許6234301-表示データ作成システム、表示データ作成方法及び表示データ作成用コンピュータプログラム 図000007
  • 特許6234301-表示データ作成システム、表示データ作成方法及び表示データ作成用コンピュータプログラム 図000008
  • 特許6234301-表示データ作成システム、表示データ作成方法及び表示データ作成用コンピュータプログラム 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234301
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】表示データ作成システム、表示データ作成方法及び表示データ作成用コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
   G06F3/12 302
   G06F3/12 308
   G06F3/12 332
   G06F3/12 334
   G06F3/12 353
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-69064(P2014-69064)
(22)【出願日】2014年3月28日
(65)【公開番号】特開2015-191495(P2015-191495A)
(43)【公開日】2015年11月2日
【審査請求日】2015年10月5日
【審判番号】不服2017-4096(P2017-4096/J1)
【審判請求日】2017年3月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】510179803
【氏名又は名称】株式会社ブックウォーカー
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【弁理士】
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100130720
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼見 良貴
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【弁理士】
【氏名又は名称】出山 匡
(72)【発明者】
【氏名】高見 真也
(72)【発明者】
【氏名】▲崎▼山 智弘
【合議体】
【審判長】 高瀬 勤
【審判官】 稲葉 和生
【審判官】 山澤 宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−166763(JP,A)
【文献】 特開2007−178644(JP,A)
【文献】 特開平9−179285(JP,A)
【文献】 特開2012−160006(JP,A)
【文献】 特開2004−240843(JP,A)
【文献】 特開2011−3039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/12
B41J29/00
G41J21/00
H04N1/00
G03G15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雑誌・新聞または書籍である印刷媒体の電子データを入力として、表示装置の表示画面に前記印刷媒体の画像を表示するために必要な表示データを作成する表示データ作成システムであって、
前記表示装置は、前記表示画面に表示される前記画像を上下左右にスクロールする機能を有する携帯端末であり、
実際に印刷される前記印刷媒体の印刷サイズ情報と前記表示画面の解像度情報を取得する情報取得部と、
前記印刷サイズ情報と前記解像度情報とに基づいて、前記表示画面に表示する前記印刷媒体の画像のサイズを実際に印刷される前記印刷媒体と同じサイズにするために必要な実寸表示データに、前記電子データを変換するデータ変換部とを備えてなり、
前記印刷媒体のサイズが前記表示画面よりも大きい場合、前記印刷媒体の原寸表示画像が前記表示画面をはみ出すように表示される表示データ作成システム。
【請求項2】
前記印刷サイズ情報が、前記表示データ作成システムに前記印刷媒体の前記電子データと一緒に入力データとして入力され、前記情報取得部は前記入力データから前記印刷サイズ情報を取得する請求項1に記載の表示データ作成システム。
【請求項3】
前記印刷サイズ情報は、前記表示装置と通信可能な外部記憶部に記憶されており、
前記情報取得部は、前記外部記憶部から前記印刷サイズ情報を取得する請求項1に記載の表示データ作成システム。
【請求項4】
前記表示装置は、前記表示画面の前記解像度情報を記憶しており、
前記情報取得部は、前記表示装置から前記解像度情報を取得する請求項1に記載の表示データ作成システム。
【請求項5】
前記解像度情報は、前記表示装置と通信可能な外部記憶部に記憶されており、
前記情報取得部は、前記外部記憶部から前記解像度情報を取得する請求項1に記載の表示データ作成システム。
【請求項6】
前記データ変換部は、前記電子データの縦横それぞれの画素数に、α=(X×L)/Pの式で求められる比αを乗じて前記表示データの縦横の画素数を決定して、前記電子データを前記実寸表示データに変換するものであり、
ただし、Xは、前記表示画面の一辺の画素数を該一辺の実寸サイズで除して得られる値として定義される解像度値であり、Lは、前記印刷媒体の一辺の実寸サイズであり、Pは、前記印刷媒体の該一辺に対応する前記電子データの辺の画素数である請求項1に記載の表示データ作成システム。
【請求項7】
前記データ変換部は、全画面表示指令が入力されると、前記表示画面に前記印刷媒体の画像全体を表示するために必要な全画面表示データに前記電子データを変換する機能を更に備えている請求項1に記載の表示データ作成システム。
【請求項8】
前記表示装置には、前記表示装置を前記表示画面に対して水平方向へ移動させたときの水平移動量を検出する水平移動量検出部が備えられており、前記表示装置の前記水平移動量に応じて、前記印刷媒体の画像の表示範囲を変更して表示する請求項1に記載の表示データ作成システム。
【請求項9】
前記表示装置には、前記表示装置を前記表示画面に対して垂直方向へ移動させたときの垂直移動量を検出する垂直移動量検出部が備えられており、前記表示装置の前記垂直移動量に応じて、前記印刷媒体の画像の表示の大きさを拡大または縮小して表示する請求項1に記載の表示データ作成システム。
【請求項10】
雑誌・新聞または書籍である印刷媒体の電子データを入力として、コンピュータを内蔵し且つ表示画面に表示される画像を上下左右にスクロールする機能を有する携帯端末からなる表示装置の前記表示画面に前記印刷媒体の画像を表示するために必要な表示データを前記コンピュータを用いて作成する表示データ作成方法であって、
実際に印刷される前記印刷媒体の印刷サイズ情報と前記表示画面の解像度情報を取得する情報取得ステップと、
前記印刷サイズ情報と前記解像度情報とに基づいて、前記表示画面に表示する前記印刷媒体の画像のサイズを実際に印刷される前記印刷媒体と同じサイズにするために必要な実寸表示データに、前記電子データを変換するデータ変換部ステップとを前記コンピュータが実行し、
前記印刷媒体のサイズが前記表示画面よりも大きい場合、前記印刷媒体の原寸表示画像が前記表示画面をはみ出すように表示されることを特徴とする表示データ作成方法。
【請求項11】
雑誌・新聞または書籍である印刷媒体の電子データを入力として、コンピュータを内蔵し且つ表示画面に表示される画像を上下左右にスクロールする機能を有する携帯端末からなる表示装置の前記表示画面に前記印刷媒体の画像を表示するために必要な表示データを前記コンピュータを用いて作成するために前記コンピュータにインストールされて実行される表示データ作成用コンピュータプログラムであって、
実際に印刷される前記印刷媒体の印刷サイズ情報と前記表示画面の解像度情報を取得する情報取得部と、
前記印刷サイズ情報と前記解像度情報とに基づいて、前記表示画面に表示する前記印刷媒体の画像のサイズを実際に印刷される前記印刷媒体と同じサイズにするために必要な実寸表示データに、前記電子データを変換するデータ変換部とを、前記コンピュータ内に実現するように構成されており、
前記印刷媒体のサイズが前記表示画面よりも大きい場合、前記印刷媒体の原寸表示画像が前記表示画面をはみ出すように表示される表示データ作成用コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷媒体の電子データを入力として、表示装置の表示画面に印刷媒体の画像を表示するために必要な表示データを作成する表示データ作成システム、表示データ作成方法及び表示データ作成用コンピュータプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近では、雑誌,新聞,書籍等は、印刷媒体としてだけではなく、電子雑誌,電子新聞,電子書籍等の印刷媒体の電子データとしても流通しており、これからますます普及することが予想されている。印刷媒体の電子データを閲覧する場合には、電子データを読み込むことが可能な、スマートフォンやタブレットPC等の携帯端末,専用のビューア,パーソナルコンピュータ等を表示装置として用いることが一般的である。これら表示装置の表示画面に印刷媒体の画像を表示する場合、例えば、図8に図示するように、表示画面の大きさに合わせて表示画面全体に画像を表示し、所定の操作が行われた場合に、画像の一部を所定の倍率で拡大・縮小するということが行われている。この従来の技術は、特開2001−249746号公報(特許文献1)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−249746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の方法で表示画面に画像を表示する場合、使用する表示装置によって表示画面の大きさや解像度が異なることに起因して、表示される画像の大きさが異なるため、同じ印刷媒体の電子データを閲覧する場合でも、表示装置を変えると表示される画像の大きさが異なることになる。そのため、表示装置を変えて続きを読むような場合に、表示される画像の大きさが異なるため、読みづらさや見づらさを感じることがあった。
【0005】
また、雑誌や新聞等のように、レイアウトが重視されている印刷媒体は、印刷媒体として閲覧した場合に、最も読みやすいように、文字・挿絵・写真等の大きさや配置が工夫されている。発明者の調査によれば、表示装置の表示画面に画像として表示する場合にも、印刷媒体における大きさや配置を表示画面上に再現した方が読みやすく感じることがわかった。
【0006】
本発明の目的は、閲覧者が読みやすく、また、表示装置の表示画面の大きさや解像度に依存せずに、印刷媒体と同じ大きさで印刷媒体の画像を表示することが可能な表示データ作成システム、表示データ作成方法及び表示データ作成用コンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の表示データ作成システムは、印刷媒体の電子データを入力として、表示装置の表示画面に印刷媒体の画像を表示するために必要な表示データを作成するものである。本発明の表示データ作成システムは、実際に印刷される印刷媒体の印刷サイズ情報と表示画面の解像度情報を取得する情報取得部と、印刷サイズ情報と解像度情報とに基づいて、表示画面に表示する印刷媒体の画像のサイズを実際に印刷される印刷媒体と同じサイズにするために必要な実寸表示データに、電子データを変換するデータ変換部とを備えている。このようにデータ変換部を設けると、表示する画像のサイズを印刷媒体のサイズと同じ原寸サイズにすることができ、表示装置の表示画面の大きさや解像度によらず、表示画面に原寸サイズと同じ大きさで印刷媒体の画像を表示することが可能になる。そのため、閲覧者が読みやすく感じる印刷媒体と同じサイズの画像を閲覧することができ、また、閲覧者が表示装置を変えたとしても、表示される画像の大きさが変わらない表示データ作成システムを提供することができる。
【0008】
情報取得部が印刷サイズ情報及び解像度情報を取得する方法は任意である。例えば、印刷サイズ情報が印刷媒体の電子データと一緒に入力データとして表示データ作成システムに入力される場合は、情報取得部は入力データから印刷サイズ情報を取得する。また、表示装置が、表示画面の解像度情報を記憶している場合は、情報取得部は、表示装置から解像度情報を取得する。さらに、表示装置と通信可能な外部記憶部に印刷サイズ情報または解像度情報が記憶されている場合には、情報取得部は、外部記憶部から印刷サイズ情報または解像度情報を取得するようにしてもよい。
【0009】
データ変換部が、印刷サイズ情報と解像度情報とに基づいて、電子データを実寸表示データに変換する方法は種々考えられる。例えば、電子データの縦横それぞれの画素数に、α=(X×L)/Pの式で求められる比αを乗じて表示データの縦横の画素数を決定して、電子データを実寸表示データに変換するようにしてもよい。
【0010】
ただし、Xは、表示画面の一辺の画素数を該一辺の実寸サイズで除して得られる値として定義される解像度値である。表示画面の寸法を定義する場合には、インチ(inch)単位を用いることが一般的であるため、この解像度値としては、ppi(pixel per inch)を利用することが可能である。このほかに、実施の形態によっては、dpi(dot per inch)、lpi(line per inch)等、他の解像度値を利用することも可能である。Lは、印刷媒体の一辺の実寸サイズである。上記のようにppi(pixel per inch)を利用する場合には、演算を容易にするためにはインチを用いることが適しているため、取得した実寸サイズがメートル単位系(cm,mm)である場合には、インチに換算すればよい。Pは、印刷媒体の該一辺に対応する電子データの辺の画素数である。
【0011】
なお、電子データの縦横の画素数に乗じる比をそれぞれ求めてもよいが、本発明の表示データ作成システムでは、画像の縦横比を変えずにデータ変換を行うため、比αは縦横で共通にすることが可能である。
【0012】
本発明の表示データ作成システムでは、印刷媒体の画像を表示する際に、実寸表示データによる原寸サイズの画像のみを表示するようにしてもよいが、全画面表示指令が入力されると、表示画面に印刷媒体の画像全体を表示するために必要な全画面表示データに電子データを変換する機能を更に備えるようにしてもよい。このような機能を備えるようにすれば、全画面表示と原寸サイズ表示とを切り替えて表示することができ、全画面表示で閲覧する箇所を特定し、原寸サイズ表示に切り替えて詳細に閲覧する、という使い方が可能になる。
【0013】
なお、本発明の表示データ作成システムでは、印刷媒体のサイズが表示画面よりも大きい場合、印刷媒体の原寸サイズ画像は、表示画面をはみ出すように表示されることになる。すなわち表示画面には、原寸サイズ画像の一部が表示されることになる。そのため、他の部分を見るためには、表示されている表示範囲を変える必要がある。この場合、従来の表示装置のように、表示装置に備えられた入力部により画面を上下左右にスクロールするようにしてもよい。入力部は、例えばスクロール・キーであったり、表示画面がタッチパネル方式の場合には、画面自体を入力部としてドラッグ操作(表示画面に指をつけたまま、上下左右にずらす操作)をしてもよい。本発明では、表示装置に表示装置を表示画面に対して水平方向へ移動させたときの水平移動量を検出する水平移動量検出部を備えて、表示装置の水平移動量に応じて、印刷媒体の画像の表示範囲を変更して表示するようにしてもよい。このようにして表示範囲を変更すれば、表示装置を水平方向に移動させるだけで表示範囲を変更させることができ、印刷媒体の画像が原寸サイズで表示されていることと相まって、より閲覧者に印刷媒体を原寸サイズで読んでいるように感じさせることが可能である。
【0014】
また、表示装置に表示装置を表示画面に対して垂直方向へ移動させたときの垂直移動量を検出する垂直移動量検出部を備えて、表示装置の垂直移動量に応じて、印刷媒体の画像の表示の大きさを拡大または縮小して表示するようにすることも可能である。このようにすれば、原寸サイズでは読みづらいと感じる閲覧者が簡単な操作により表示サイズを縮小したり、拡大鏡を用意することなく表示サイズを拡大したりすることが可能になる。
【0015】
本発明は表示データ作成方法としても把握する(または表現する)ことができる。印刷媒体の電子データを入力として、表示装置の表示画面に印刷媒体の画像を表示するために必要な表示データをコンピュータを用いて作成する表示データ作成方法では、実際に印刷される印刷媒体の印刷サイズ情報と表示画面の解像度情報を取得する情報取得ステップと、印刷サイズ情報と解像度情報とに基づいて、表示画面に表示する印刷媒体の画像のサイズを実際に印刷される印刷媒体と同じサイズにするために必要な実寸表示データに、電子データを変換するデータ変換部ステップとをコンピュータが実行する。
【0016】
本発明は表示データ作成用コンピュータプログラムとしても把握する(または表現する)ことができる。印刷媒体の電子データを入力として、表示装置の表示画面に印刷媒体の画像を表示するために必要な表示データをコンピュータを用いて作成するためにコンピュータにインストールされて実行される表示データ作成用コンピュータプログラムでは、実際に印刷される印刷媒体の印刷サイズ情報と表示画面の解像度情報を取得する情報取得部と、印刷サイズ情報と解像度情報とに基づいて、表示画面に表示する印刷媒体の画像のサイズを実際に印刷される印刷媒体と同じサイズにするために必要な実寸表示データに、電子データを変換するデータ変換部とを、コンピュータ内に実現するように構成されている。なおこのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録してもよいのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の表示データ作成システムの実施の形態の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の表示データ作成システムの実施の形態の表示制御の流れを示すフローチャートの一例である。
図3】(A)は、印刷媒体から作成された電子データによる仮想画像の図、(B)及び(C)は、本実施の形態の表示データ作成システムで表示される原寸サイズの画像が表示された表示装置の例を示す図である。
図4】表示データ作成システムが有する全画面表示・原寸サイズ表示の切り替え機能を示す図である。
図5】本発明の表示データ作成システムの第2の実施の形態の構成を示すブロック図である。
図6】本発明の表示データ作成システムの第2の実施の形態の表示画面に表示される印刷媒体の画像の表示の一例を示す図である。
図7】本発明の表示データ作成システムの第2の実施の形態の表示画面に表示される印刷媒体の画像の表示の一例を示す図である。
図8】従来の表示データ作成システムの表示装置の表示画面に表示される印刷媒体の画像の表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の表示データ作成システムの実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の表示データ作成システムの実施の形態の構成を示すブロック図であり、図2は、本発明の表示データ作成システムの実施の形態の表示制御の流れを示すフローチャートの一例である。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態の表示データ作成システム1は、表示データ作成用コンピュータプログラムを実行する表示装置2と、表示装置2と通信回線3を介して接続されたサーバ(外部記憶部)5とから構成されている。本実施の形態の表示データ作成システムでは、表示装置2は、スマートフォンやタブレットPC等の携帯端末である。表示装置2に表示する印刷媒体の電子データは、電子新聞,電子雑誌,電子書籍等の印刷媒体の電子データである。
【0020】
表示装置2には、表示データ作成用コンピュータプログラムがインストールされており、表示装置2は、主に、閲覧者(表示装置2の使用者)が操作する入力部7と、データ記憶部9と、読出部11と、データ変換部13と、情報取得部15と、表示画面制御部17と、表示画面19とから構成されている。データ記憶部9は、印刷媒体の電子データを記憶している。電子データは、通信部21を介してサーバ5から取得したり、記録媒体から読み込んでおくことにより、事前にデータ記憶部9に記憶されている。読出部11は、入力部7からの入力に基づいてデータ記憶部9から電子データを読み出し、データ変換部13に出力する。データ変換部13は、情報取得部15が取得する情報に基づいて、読出部11から入力された電子データを表示データに変換し、表示画面制御部17に信号を出力する。表示画面制御部17は、データ変換部13の出力に基づいて画像表示信号を出力し、表示画面19に画像が表示される。表示画面19は、タッチパネル式の液晶画面であり、入力部7を兼ねるように構成されている。
【0021】
本実施の形態では、情報取得部15は、実際に印刷される印刷媒体の印刷サイズ情報と表示画面の解像度情報を取得するように構成されている。
【0022】
印刷サイズ情報は、次の2通りの手段によって取得できるようになっている。例えば、電子データがPDF(Portable Document Format)形式のように、印刷サイズ情報が印刷媒体の電子データに含まれている場合には、情報取得部15は、データ記憶部9から印刷サイズ情報を取得することが可能である。これに対して、電子データがJPEG形式のように、印刷サイズ情報が印刷媒体の電子データに含まれていない場合には、情報取得部15は、電子データに関連づけられた固有情報に基づいて、通信部21を介して、サーバ5から印刷サイズ情報を取得することになる。本実施の形態では、後述のように、データ換算部でインチ単位を利用しているため、印刷サイズ情報として、印刷媒体の縦の辺の実寸サイズ(インチ単位)を取得する。取得した実寸サイズがメートル単位系(cm,mm)である場合には、1inch=2.54cmの関係に基づき、インチに換算すればよい。
【0023】
表示画面の解像度情報は、次の2通りの手段によって取得できるようになっている。表示装置2に解像度情報を記憶したハードウェア情報記憶部23が備えられている場合には、情報取得部15は、ハードウェア情報記憶部23から解像度情報を取得することが可能である。表示装置によっては、ハードウェア情報記憶部23は、API(Application Programming Interface)によって実現されている。これに対して、ハードウェア情報記憶部23がない、または、ハードウェア情報記憶部23に解像度情報が記憶されていない場合には、情報取得部15は、表示装置2に関連づけられた固有情報に基づいて、通信部21を介して、サーバ5から表示画面19の解像度情報を取得することになる。本実施の形態では、解像度情報として、表示画面の一辺の画素数を該一辺の実寸サイズで除して得られる値として定義される解像度値であるppi(pixel per inch)の値を取得する。
【0024】
データ変換部13では、読出部11から入力された電子データの縦横それぞれの画素数(ピクセル数)に、比αを乗じて表示データの縦横の画素数を決定して、電子データを実寸表示データに変換している。比αは、具体的には、
α=(X×L)/P
の式で求められる。Xは、表示画面の一辺の画素数を該一辺の実寸サイズで除して得られる値として定義される解像度値〔上記解像度情報(ppi)〕であり、Lは、印刷媒体の一辺の実寸サイズ〔上記印刷サイズ情報(inch)〕であり、Pは、印刷媒体の該一辺に対応する電子データの辺の画素数〔ピクセル数(px)〕である。本実施の形態では、画像の縦横比を変えずにデータ変換を行うため、比αは縦横で共通にすることが可能である。
【0025】
次に、図2のフローチャートを用いて、本実施の形態の表示データ作成システムにおいて、印刷媒体の画像を原寸サイズで表示する際の表示制御の流れを説明する。閲覧者が入力部7を操作して閲覧する電子データを選択すると、読出部11は、データ記憶部9から電子データを読み込み、データ変換部13に出力する(ステップST1)。データ変換部13は、電子データから印刷サイズ情報が取得可能か否かを判定し(ステップST2)、取得可能であれば、電子データから印刷サイズ情報を取得する(ステップST3)。電子データから印刷サイズ情報が取得できない場合には、サーバ5から印刷サイズ情報を取得する(ステップST4)。次に、データ変換部13は、ハードウェア情報記憶部23から表示画面19の解像度情報が取得可能か否かを判定し(ステップST5)、取得可能であれば、ハードウェア情報記憶部23から解像度情報を取得する(ステップST6)。ハードウェア情報記憶部23から解像度情報が取得できない場合には、サーバ5から解像度情報を取得する(ステップST7)。データ変換部13は、取得した印刷サイズ情報及び解像度情報に基づいて、電子データを実寸表示データに変換し、表示画面制御部17に信号を出力する(ステップST8)。表示画面制御部17は、データ変換部13の出力に基づいて画像表示信号を出力し、表示画面19に原寸サイズの画像が表示される(ステップST9)。
【0026】
図3は、印刷媒体から作成された電子データによる仮想画像の図(A)と、本実施の形態の表示データ作成システムで表示される原寸サイズの画像が表示された表示装置の例((B)及び(C))とを示した図である。本実施例では、縦の実寸が5inch(12.7cm)の印刷媒体から作成された縦のピクセル数が2000pxの電子データを、(1)縦2.5inch(6.35cm)、150ppiの表示画面を有する表示装置(B)と、(2)縦5inch(12.7cm)、300ppiの表示画面を有する表示装置(C)に示す例を示している。なお、(1)及び(2)の例では、縦横の比は一定になるようにデータ変換が行われている。
【0027】
(1)の例では、比α1=(150(ppi)×5(inch))/2000(px)であるため、電子データは、2000(px)×α1=750(px)より、縦5inch、750pxの実寸表示データに変換されて表示画面19に表示されている。この例では、表示画像は、表示画面19よりも大きいため、表示画面19には、画像の一部のみが表示されており、表示画面19を超える実寸表示データによる仮想的な原寸サイズの画像を破線で表してある。
【0028】
(2)の例では、比α2=(300(ppi)×5(inch))/2000(px)であるため、電子データは、2000(px)×α2=1500(px)より、縦5inch、1500pxの実寸表示データに変換されて表示画面19に表示されている。この例では、表示画像は、表示画面19内に収まるように表示されている。
【0029】
(1)及び(2)の例では、表示画面の解像度が異なるため画像のピクセル数は異なるが、表示されている画像としての大きさは同じであり、(A)乃至(C)に図示しているように、文字(abc)の大きさはいずれの例でも同じになる。
【0030】
図4は、表示データ作成システムが有する全画面表示・原寸サイズ表示の切り替え機能を示す図である。本実施の形態の表示データ作成システムでは、入力部7を用いて閲覧する電子データを選択すると、その時点では、(A)に示すように、印刷媒体の画像全体を表示するように、電子データが全画面表示データに変換されて表示画面19に表示されている。その後、入力部7から画像拡大の所定の指示(例:タッチパネルのダブルタップ)をすると、上記のデータ変換が行われて、(B)に示すように、電子データが実寸表示データに変換されて原寸サイズで表示される。(B)から(A)への変更(縮小)も同様にして行われる。
【0031】
図5乃至図7は、第2の実施の形態の表示データ作成システムを示す図である。第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同じ部材には、図1に付した符号の数に100の数を加えた数の符号を付して説明を省略する。第2の実施の形態では、表示装置102に、表示装置102を表示画面119に対して水平方向へ移動させたときの水平移動量を検出する水平移動量検出部と、表示装置102を表示画面119に対して垂直方向へ移動させたときの垂直移動量を検出する垂直移動量検出部とを兼ねる3軸(XYZ軸)の加速度センサ125が備えられている。
【0032】
図6(A)及び(B)は、表示装置102を表示画面119に対して水平方向に移動した場合の図を示している。加速度センサ125は、表示装置102が表示画面119に対して水平(XY軸方向)に移動されると、水平移動量を検出し、表示画面制御部117に信号を出力する。表示画面制御部117は、表示装置102の水平移動量に応じて、印刷媒体の画像の表示範囲を変更して表示する。例えば、図6(B)は、図6(A)に示すように表示画面119に原寸サイズの画像が表示されている状態で、Y軸方向(紙面下方向)に表示装置102を水平移動した場合を示している。
【0033】
図7(A)及び(B)は、表示装置102を表示画面119に対して垂直方向に移動した場合の図を示している。加速度センサ125は、表示装置102が表示画面119に対して水平(Z軸方向)に移動されると、垂直移動量を検出し、表示画面制御部117に信号を出力する。表示画面制御部117は、表示装置102の垂直移動量に応じて、印刷媒体の画像の表示の大きさを拡大または縮小して表示する。例えば、図7(B)は、図7(A)に示すように表示画面119に原寸サイズの画像が表示されている状態で、Z軸方向(紙面手前方向)に表示装置102を垂直移動した場合を示している。
【0034】
表示画面制御部117は、閲覧中、常に加速度センサ125からの信号を受けるようにしてもよく、または、加速度センサ125からの信号を受けるように入力部107が操作されている間のみ、加速度センサ125からの信号を受けるようにしてもよい。
【0035】
上記実施の形態は、一例として記載したものであり、その要旨を逸脱しない限り、本実施例に限定されるものではない。例えば、上記実施の形態では、比αの演算式にインチ単位を使用したが、メートル単位系を使用できるように、解像度情報や実寸サイズを取得したり、換算するようにしてもよいのはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明によれば、表示画面に表示する画像のサイズを印刷媒体のサイズと同じ原寸サイズにすることができ、表示装置の表示画面の大きさや解像度によらず、表示画面に印刷媒体の画像を原寸サイズと同じ大きさで表示することが可能になる。そのため、閲覧者が読みやすく感じる印刷媒体と同じサイズの画像を閲覧することができ、また、閲覧者が表示装置を変えたとしても、表示される画像の大きさが変わらない表示データ作成システムを提供することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 表示データ作成システム
2 表示装置
3 通信回線
5 サーバ
7 入力部
9 データ記憶部
11 読出部
13 データ変換部
15 情報取得部
17 表示画面制御部
19 表示画面
21 通信部
23 ハードウェア情報記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8