【実施例1】
【0033】
[全体構成]
図1〜
図5に示す実施例1の可変動弁機構1は、一のピボット55のみに一点で揺動可能に支持されて、カム12,13,14に押圧されると揺動してバルブ6を駆動するロッカアーム20と、該ロッカアーム20を操作することでバルブ6の駆動状態を切り換える切換装置60とを含み構成されている。
【0034】
そのロッカアーム20は、
図4に示す第一連結状態では、ロッカアーム20の重心を通り前後方向に延びる中央線xから左方に離れた部位にある第一スリッパー25を中リフトカム12に押圧されることで、カム12,13,14の押圧力が中央線xよりも左側に偏って加わるように構成されている。また、
図5に示す第二連結状態では、中央線xから右方に離れた部位にある第二スリッパー45を大リフトカム14に押圧されることで、カム12,13,14の押圧力が中央線xよりも右側に偏って加わるように構成されている。そのため、本実施例1の可変動弁機構1は、ロッカアーム20に当接して該ロッカアーム20を左右方向に傾かないように揺動方向に案内する揺動ガイド90を備えている。
【0035】
具体的には、この可変動弁機構1は、次に示す、回転駆動部10と、ロッカアーム20と、ラッシュアジャスタ50と、切換装置60と、揺動ガイド90とを含み構成されている。そして、バルブ6に対しては、バルブ6を閉じる方向に付勢するバルブスプリング7が取り付けられている。
【0036】
[回転駆動部10]
回転駆動部10は、左右方向に延びるカムシャフト11に設けられて該カムシャフト11と共に回転する3つのカム12,13,14を含み構成されている。その3つのカム12,13,14は、小リフトカム13と、小リフトカム13の左方に設けられた中リフトカム12と、小リフトカム13の右方に設けられた大リフトカム14とからなる。
【0037】
詳しくは、小リフトカム13は、断面形状が円形のベース円13aと、該ベース円13aから突出した小リフトノーズ13bとを含み構成されている。また、中リフトカム12は、断面形状が円形のベース円12aと、該ベース円12aから突出した、前記小リフトノーズ13bよりもリフト量及び作用角の大きい中リフトノーズ12bとを含み構成されている。また、大リフトカム14は、断面形状が円形のベース円14aと、該ベース円14aから突出した、前記中リフトノーズ12bよりもリフト量及び作用角の大きい大リフトノーズ14bとを含み構成されている。
【0038】
[ロッカアーム20]
ロッカアーム20は、ピボット55に支持された被支持部36とバルブ6を駆動する駆動部34とを備えて小リフトカム13に駆動されるメインアーム31と、中央線xよりも左方で前記小リフトカム13よりもリフト量及び作用角の大きい中リフトカム12に押圧される第一サブアーム21と、中央線xよりも右方で前記中リフトカム12よりもリフト量及び作用角の大きい大リフトカム14に駆動される第二サブアーム41との3本のアーム21,31,41を含み構成されている。
【0039】
詳しくは、メインアーム31は、前端部に後述のロストモーションスプリング9bに上方から当接する突起33を備えるとともに、前端部の下面に、バルブ6を駆動する駆動部34を備えている。その駆動部34よりも後方に、小リフトカム13に下方から当接するローラ35が、支持シャフト35a及びベアリング35b,35b・・を介して回転可能に支持されている。そのローラ35よりも後方の下面に、上方に半球状に凹む、ラッシュアジャスタ50のプランジャ55の上端部に揺動可能に支持されるための被支持部36を備えている。その被支持部36よりも後方の後端部に、前方に凹む凹部37が設けられている。その凹部37の内周面の左側の部位が、揺動ガイド90の左側面に摺接する左側の被ガイド部38を構成し、凹部37の内周面の右側の部位が、揺動ガイド90の右側面に摺接する右側の被ガイド部38を構成している。
【0040】
第一サブアーム21と第二サブアーム41とは、その前端部がメインアーム31の前端部に連結軸9aを介して相対変位(相対揺動)可能に連結されている。そして、第一サブアーム21の前後方向中間部の上面には、中リフトカム12が摺接する第一スリッパー25が設けられ、第二サブアーム41の前後方向中間部の上面には、大リフトカム14が摺接する第二スリッパー45が設けられている。また、第一サブアーム21の前後方向中間部及び第二サブアーム41の前後方向中間部には、後述のロストモーションスプリング9bに下方から付勢される突起23,43がそれぞれ設けられている。
【0041】
そして、メインアーム31の突起33と、第一サブアーム21の突起23と、第二サブアーム41の突起43との間に、ロストモーションスプリング9bが介装されている。そのロストモーションスプリング9bは、長さ方向の2箇所にコイル状の部分を備えた捩りコイルバネであって、そのコイル状の部分は、ロッカアーム20から左方及び右方に突出した、連結軸9aの左右両端部に外嵌されている。そして、該ロストモーションスプリング9bの左側部分は、メインアーム31に対して第一サブアーム21が相対変位不能に連結されないとき(すなわち、本実施例1では、非連結状態のとき)に、第一サブアーム21を中リフトカム12に付勢し、連結されたとき(すなわち、本実施例1では、第一連結状態及び第二連結状態のとき)には、第一サブアーム21を後述の第一連結ピン63を介してメインアーム31に押圧する。また、該ロストモーションスプリング9bの右側部分は、メインアーム31に対して第二サブアーム41が相対変位不能に連結されないとき(すなわち、本実施例1では、非連結状態及び第一連結状態のとき)に、第二サブアーム41を大リフトカム14に付勢し、連結されたとき(すなわち、本実施例1では、第二連結状態のとき)には、第二サブアーム41を後述の第二連結ピン83を介してメインアーム31に押圧する。
【0042】
[ラッシュアジャスタ50]
ラッシュアジャスタ50は、上方に開口した有底筒状のボディ51と、下部がボディ51に挿入されたプランジャ55とを備えている。そのプランジャ55の上端部は、半球状の形状をしており、その上端でメインアーム31の被支持部36を揺動可能に支持している。そして、バルブクリアランスが発生すると、ボディ51からプランジャ55が繰り出すことで該バルブクリアランスを埋める。また、メインアーム31からプランジャ55に下方に負荷が加わるとボディ51にプランジャ55が退入する。
【0043】
詳しくは、プランジャ55の退入時には、ボディ51の内部にある高圧油室52内の油がプランジャ55の内部にある低圧油室56にリーク路53からリークすることで流動抵抗が生じる。そのため、ボディ51にプランジャ55が徐々にゆっくりと退入する。また、プランジャ55の繰出し時には、ボディ51の内部にあるバネ(図示略)の復元力でボディ51からプランジャ55が繰り出される。このとき、低圧油室56の油は高圧油室52にリーク路53よりも広くて逆止弁58のついた流路57から流れ込む。そのため、プランジャ55の退入時ほどの流動抵抗は生じず、ボディ51からプランジャ55が速やかに繰り出す。
【0044】
[切換装置60]
切換装置60は、次に示す、非連結状態と、第一連結状態と、第二連結状態との3段階でバルブ6の駆動状態を切り換える。
【0045】
すなわち、非連結状態のときには、
図3に示すように、メインアーム31に対して第一サブアーム21及び第二サブアーム41のいずれも相対変位不能に連結されないことで、メインアーム31が小リフトカム13に駆動されるようになる。このとき、第一サブアーム21は、中リフトカム12に押圧されて空振りし、第二サブアーム41も大リフトカム14に押圧されて空振りする。そのため、ロッカアーム20に、中リフトカム12や大リフトカム14から加わる押圧力は僅かであり、ロッカアーム20は、小リフトカム13に最も大きく押圧される。その小リフトカム13は、中央線xを境に左右略均等にロッカアーム20を押圧する。そのため、ロッカアーム20に対してカム12,13,14の押圧力が、中央線xを境に左右方向に偏って加わることはない。但し、ロストモーションスプリング9bの抵抗まで考えると、該押圧力は、空振りの大きい大リフトカム14側(中央線xよりも右側)に若干偏って加わる。
【0046】
また、第一連結状態のときには、
図4に示すように、メインアーム31に対して第一サブアーム21は相対変位不能に連結され、第二サブアーム41は相対変位不能に連結されないことで、メインアーム31が第一サブアーム21を介して中リフトカム12に駆動されるようになる。このとき、メインアーム31に小リフトカム13のノーズ13bは届かず、また、第二サブアーム41は大リフトカム14に押圧されて空振りする。そのため、ロッカアーム20に、小リフトカム13の押圧力は加わらず、また、大リフトカム14から加わる押圧力も僅かである。そのため、ロッカアーム20は、中リフトカム12に最も大きく押圧される。そのため、ロッカアーム20に対してカム12,13,14の押圧力は、中リフトカム12がある中央線xよりも左側に偏って加わる。
【0047】
また、第二連結状態のときには、
図5に示すように、メインアーム31に対して第一サブアーム21が相対変位不能に連結されるとともに、第二サブアーム41も相対変位不能に連結されることで、メインアーム31が第二サブアーム41を介して大リフトカム14に駆動されるようになる。このとき、メインアーム31に小リフトカム13のノーズ13bは届かず、また、第一サブアーム21にも中リフトカム12のノーズ12bは届かない。そのため、ロッカアーム20に、小リフトカム13の押圧力や中リフトカム12の押圧力は加わらない。そのため、ロッカアーム20は、大リフトカム14にのみ押圧される。そのため、ロッカアーム20に対してカム12,13,14の押圧力は、大リフトカム14がある中央線xよりも右側に偏って加わる。
【0048】
この切換装置60は、具体的には、次に示す2本の連結ピン63,83と、2本のスプリング66,86と、油圧装置73とを含み構成されている。
【0049】
2本の連結ピン63,83は、メインアーム31と第一サブアーム21との間を跨ぐ第一連結位置P1と跨がない第一非連結位置Q1との間で変位可能に設けられた第一連結ピン63と、メインアーム31と第二サブアーム41との間を跨ぐ第二連結位置P2と跨がない第二非連結位置Q2との間で変位可能に設けられた第二連結ピン83とからなる。
【0050】
詳しくは、メインアーム31のローラ35よりも後方で被支持部36よりも前方の部位には、左右方向に貫通した中央連結穴71が設けられ、第一サブアーム21の後端部のメインアーム31側の側面には、中央連結穴71と連通する有底の第一連結穴61が凹設され、第二サブアーム41の後端部のメインアーム31側の側面には、中央連結穴71と連通する有底の第二連結穴81が凹設されている。そして、第一連結ピン63は、中央連結穴71の左側部分の内側に配され、該中央連結穴71内に収まる第一非連結位置Q1と、該中央連結穴71と第一連結穴61との間を跨ぐ第一連結位置P1とに変位可能になっている。また、第二連結ピン83は、中央連結穴71の右側部分の内側に配され、該中央連結穴71内に収まる第二非連結位置Q2と、該中央連結穴71と第二連結穴81との間を跨ぐ第二連結位置P2とに変位可能になっている。
【0051】
2本のスプリング66,86は、第一連結ピン63を、メインアーム31側の第一非連結位置Q1に付勢する第一スプリング66と、第二連結ピン83を、メインアーム31側の第二非連結位置Q2に付勢する第二スプリング86とからなる。そして、第一スプリング66のバネ定数よりも、第二スプリング86のバネ定数の方が大きいことで、第一スプリング66の付勢力よりも、第二スプリング86の付勢力の方が強くなっている。
【0052】
詳しくは、第一スプリング66は、第一連結穴61の内底面と第一連結ピン63との間に介装されており、第一介在ピン64を介して第一連結ピン63をメインアーム31側に付勢している。また、第二スプリング86は、第二連結穴81の内底面と第二連結ピン83との間に介装されており、第二介在ピン84を介して第二連結ピン83をメインアーム31側に付勢している。
【0053】
油圧装置73は、中央連結穴71が第一連結ピン63と第二連結ピン83とにより閉塞されてなる油圧室74と、該油圧室74に油及び油圧を供給する油圧経路75とを含み構成されている。その油圧経路75は、シリンダヘッドの内部から、ラッシュアジャスタ50の内部及びメインアーム31の内部を経由して該油圧室74に連通している。
【0054】
そして、油圧室74の油圧で、第一連結ピン63を第一サブアーム21側の第一連結位置P1に押圧するとともに、第二連結ピン83を第二サブアーム41側の第二連結位置P2に押圧する。詳しくは、
図3に示すように、油圧室74の油圧を、第一スプリング66の付勢力よりも弱い低圧にすることで非連結状態にし、
図4に示すように、第一スプリング66の付勢力よりもよりも強く第二スプリング86の付勢力よりもよりも弱い中程度圧にすることで第一連結状態にし、
図5に示すように、第二スプリング86の付勢力よりも強い高圧にすることで第二連結状態にする。
【0055】
[揺動ガイド90]
揺動ガイド90はメインアーム31の揺動方向の接線方向(上下方向)に直線状に延びる部材であって、メインアーム31の凹部37の内周側に入り込むように設けられている。そして、メインアーム31の凹部37の内周面の左右両側にある被ガイド部38,38が、揺動ガイド90の左右両側面に左右両側から摺接するように構成されている。
【0056】
本実施例1の可変動弁機構1によれば、次のA〜Cの効果を得ることができる。
【0057】
[A]一のピボット55で支持されたロッカアーム20に当接して該ロッカアーム20を左右方向に傾かないように揺動方向に案内する揺動ガイド90を備えているので、ロッカアーム20に対してカム12,13,14の押圧力が中央線xよりも左側に偏って加わる第一連結状態のときにも、該ロッカアーム20が左側に傾く心配がなく、また、ロッカアーム20に対してカム12,13,14の押圧力が中央線xよりも右側に偏って加わる第二連結状態のときにも、該ロッカアーム20が右側に傾く心配がない。
【0058】
[B]ロッカアーム20を、3本のアーム21,31,41で構成するとともに、該ロッカアーム20を切換装置60で上記の通り操作することで、3段階切換を実現することができる。
【0059】
[C]切換装置60は、油圧室74の油圧を低圧と中程度圧と高圧との3段階で切り換えることで、バルブ6の駆動状態を3段階で変更するので、1つの油圧室74及び油圧経路75のみで3段階切換を実現することができる。