(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記局部洗浄ノズルおよび前記シャッタの少なくとも一方における他方との当接面に、前記回動軸よりも下方にて当接方向に突出する係合部が設けられていることを特徴とする請求項7記載の局部洗浄装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、局部洗浄時に飛沫や汚物をシャッタの内側面で受ける形となる。このため、その洗浄後にシャッタが閉じられた際、その内側面に付着した飛沫等が装置内部に侵入し易いといった問題があった。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされ、その目的の一つは、局部乾燥後の温風乾燥構造を有する装置において、局部洗浄時に発生した飛沫等が装置内部へ侵入することを効果的に防止又は抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様の局部洗浄装置は、便器本体の後部上面に設けられ、前面に開口部を有するケースと、ケースに収容され、開口部を通って前方に突出可能な局部洗浄ノズルと、局部洗浄ノズルを突出方向に駆動可能なノズル駆動装置と、ケースに収容され、開口部に吹出口が臨む温風ダクトと、温風ダクトに温風の流れを生成可能な温風発生装置と、開口部の前面側に設けられ、水平方向の回動軸を中心に回動することにより開口部を開閉可能なシャッタと、局部洗浄に際してシャッタを一方向に回動させることによりシャッタを回動軸の上方に向けて開く上開きを可能とし、温風乾燥に際してシャッタを他方向に回動させることによりシャッタを回動軸の下方に向けて開く下開きを可能とするシャッタ切替機構と、を備える。
【0007】
この態様によると、局部洗浄時および温風乾燥時に開放される開口部を一つのシャッタにて開閉する構造が採用され、局部洗浄時と温風乾燥時とでシャッタの状態が上下に反転される形で切り替えられる。局部洗浄時には上開きによりシャッタの外側面が上面となるため、飛沫等がシャッタの内側面に付着する可能性は低い。一方、温風乾燥時には下開きによりシャッタの内側面が上面となるが、そもそも飛沫等が発生し難い状況であり問題とならない。すなわち、この態様によれば、一つのシャッタにより開口部を開閉する簡易な構成にて局部洗浄および温風乾燥を可能としつつ、局部洗浄時に発生した飛沫等の装置内部への侵入を効果的に防止又は抑制することができる。なお、当該局部洗浄装置が脱臭機能を備える場合、シャッタ切替機構は、便器本体内の脱臭のためにシャッタの上開きを可能とし、温風を下方の便鉢に向けて吹き出し可能とするものでもよい。
【0008】
具体的には、ケース内から開口部を通って前方に突出可能な第1部材と第2部材とを備え、それらの部材が局部洗浄ノズルとして機能するものでもよい。シャッタ切替機構は、ノズル駆動装置によって第1部材および第2部材のいずれを少なくとも先に駆動するかによりシャッタを上開き又は下開きに動作させてもよい。一方の部材のみを駆動することにより上開きとなり、他方の部材のみを駆動することにより下開きとなるものでもよい。あるいは、一方の部材の駆動を開始した後に他方の部材を駆動することにより上開きとなり、他方のみを駆動することにより下開きとなるものでもよい。この態様によれば、局部洗浄用に設けられた部材を利用することにより、上述したシャッタの切替動作を実現することができる。温風乾燥用にシャッタを駆動する専用の構造が不要となるため、低コストに実現することができる。例えば、第1部材と第2部材とが二重管構造となって1つの局部洗浄ノズルを構成するものでもよい。その第1部材と第2部材とにより2段階に突出可能な構造とし、いずれを少なくとも先に駆動するかによりシャッタを上開き又は下開きに動作可能に構成してもよい。
【0009】
あるいは、第1部材および第2部材としてケース内に並設され、局部洗浄ノズルとして互いに独立に機能可能な第1洗浄ノズルと第2洗浄ノズルを備えてもよい。シャッタ切替機構は、ノズル駆動装置によって第1洗浄ノズルおよび第2洗浄ノズルのいずれを少なくとも先に駆動するかによりシャッタを上開き又は下開きに動作させてもよい。一方の洗浄ノズルのみを駆動することにより上開きとなり、他方の洗浄ノズルのみを駆動することにより下開きとなるものでもよい。あるいは、一方の洗浄ノズルの駆動を開始した後に他方の洗浄ノズルを駆動することにより上開きとなり、他方のみを駆動することにより下開きとなるものでもよい。この態様によれば、局部洗浄用に設けられた洗浄ノズルを利用することにより、上述したシャッタの切替動作を実現することができる。温風乾燥用にシャッタを駆動する専用の構造が不要となるため、低コストに実現することができる。
【0010】
このシャッタ切替機構は、第1洗浄ノズルを駆動してシャッタにおける回動軸よりも下方位置を前方に押圧することにより上開きを可能とし、第2洗浄ノズルを駆動してシャッタにおける回動軸よりも上方位置を前方に押圧することにより下開きを可能とするものでもよい。この態様によれば、いずれの洗浄ノズルを駆動するかにより、上述したシャッタの切替動作を簡易に実現することができる。ただし、第2洗浄ノズルを局部洗浄に使用する際に下開きとなると、シャッタの内側面に飛沫等が付着する従来と同様の問題が生じる。そこで、ノズル駆動装置は、第2洗浄ノズルによる洗浄に際し、第1洗浄ノズルを駆動して上開きを開始させた後、第2洗浄ノズルを駆動することにより上開き状態を維持してもよい。その場合、第1洗浄ノズルについては局部洗浄時よりも小さいストロークにて駆動させてよい。この態様は、第1洗浄ノズルを先に駆動してシャッタの回動方向を一旦上開きとすることで、その後に第2洗浄ノズルを駆動しても下開きとはならず、むしろその上開きを促進又は維持するようにしたものである。
【0011】
例えば、第1洗浄ノズルおよびシャッタの少なくとも一方における他方との当接面に、回動軸よりも下方にて当接方向に突出する第1係合部が設けられてもよい。一方、第2洗浄ノズルおよびシャッタの少なくとも一方における他方との当接面に、回動軸よりも上方にて当接方向に突出する第2係合部が設けられてもよい。その場合、洗浄ノズルの先端部を軸線に対して斜めに切り欠いたようなテーパ状に構成してもよい。また、シャッタにおける洗浄ノズルとの対向面に、洗浄ノズルの軸心から偏心した隆起部を設けてもよい。
【0012】
第1洗浄ノズルと第2洗浄ノズルとが互いに平行なツインノズルを構成し、開口部におけるツインノズルの両側で回動軸をそれぞれ支持する一対の回動支点を備えてもよい。この態様によれば、シャッタをその幅方向に離れた位置で2点支持することができ、その回動安定性を高めることができる。
【0013】
シャッタ切替機構は、ノズル駆動装置により局部洗浄ノズルを駆動し、シャッタにおける回動軸よりも下方を前方に押圧することにより上開きを可能とする第1切替機構と、ノズル駆動装置とは別のモータの駆動によりシャッタを他方向に回動させることにより下開きを可能とする第2切替機構と、を備えてもよい。
【0014】
この態様は、例えば局部洗浄ノズルを1本のみ備える局部洗浄装置に好適である。この態様によれば、局部洗浄ノズルを駆動したときに必ず上開きとなるため、飛沫等がシャッタの内側面に付着する可能性は低く、局部洗浄時に発生した飛沫等の装置内部への侵入を効果的に防止又は抑制することができる。
【0015】
局部洗浄ノズルおよびシャッタの少なくとも一方における他方との当接面に、回動軸よりも下方にて当接方向に突出する係合部が設けられていてもよい。この態様によれば、簡易な機械的構造により上述したシャッタの動作を実現することができる。
【0016】
また、開口部における局部洗浄ノズルの両側で回動軸をそれぞれ支持する一対の回動支点を備えてもよい。この態様によれば、シャッタをその幅方向に離れた位置で2点支持することができ、その回動安定性を高めることができる。
【0017】
本発明の別の態様は、送風切替装置である。この送風切替装置は、便器本体の後部上面に設けられ、前面に開口部を有するケースと、ケースに収容され、開口部に吹出口が臨む送風ダクトと、送風ダクトに風の流れを生成可能な送風装置と、開口部の前面側に設けられ、水平方向の回動軸を中心に回動することにより開口部を開閉可能なシャッタと、シャッタを一方向に回動させることによりシャッタを回動軸の上方に向けて開く上開きを可能とし、シャッタを他方向に回動させることによりシャッタを回動軸の下方に向けて開く下開きを可能とするシャッタ切替機構と、を備える。
【0018】
ここで、シャッタ切替機構によりシャッタを下開きとすることにより、温風乾燥用の温風を吹き出し可能としてもよい。また、シャッタ切替機構によりシャッタを上開きとすることにより、脱臭用の風を下方の便鉢に向けて吹き出し可能としてもよい。その場合、温風乾燥用の温風を利用してもよい。あるいは、シャッタ切替機構によりシャッタを上開きとすることにより、開口部から局部洗浄ノズルを突出可能としてもよい。あるいは、便鉢に除菌用の液体(除菌水)を噴射可能な装置を備える構成において、シャッタ切替機構によりシャッタを上開きとすることにより、開口部から除菌水を噴射するためのノズルを突出可能としてもよい。
【0019】
この態様によると、シャッタの状態が上下に反転される形で切り替え可能とされている。このため、温風乾燥時にシャッタを下開きとする一方、少なくとも局部洗浄時にはシャッタを下開きとしないことで、局部洗浄時に発生した飛沫等の装置内部への侵入を効果的に防止又は抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、局部乾燥後の温風乾燥構造を有する装置において、局部洗浄時に発生した飛沫等が装置内部へ侵入することを効果的に防止又は抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明においては便宜上、便座に着座する大便器の利用者からみた位置関係に基づいて大便器構造の前後の位置関係を表現することがある。
【0023】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る局部洗浄装置を備える大便器をその前方斜め上方からみた斜視図である。
図2は、
図1において便蓋、便座および局部洗浄装置のカバーを取り外した状態を示す斜視図である。
【0024】
図1に示すように、大便器1は、水洗式大便器であり、便器本体2の後部に局部洗浄装置4を備える。局部洗浄装置4は、局部洗浄および温風乾燥のための各種機能部品を収容するケース6を備える。ケース6は、便器本体2の後部上面に設置されるベース8と、ベース8に組み付けられるカバー10を有する。カバー10には、便座12および便蓋14がそれぞれ回動可能に取り付けられている。なお、大便器1は、このほかにも洗浄水を貯留するタンク、洗浄水を供給するためのポンプや弁等の各種機能部品や配管等を備えるが、それらの説明については省略する。
【0025】
図2に示すように、便器本体2は、汚物を受ける便鉢15と、便鉢15の底部から下方に延びる図示しない排水管部を有する。図示を省略するが、便鉢15の上部には、その周縁に沿って洗浄水の旋回流を生成するためのリム通水路と、その旋回流を排水管部に向けて落とし込む流れを生成するための落とし込み流路が形成されている。
【0026】
局部洗浄装置4は、一対の局部洗浄ノズルを含むノズルユニット16、ノズルユニット16に温水を供給するための温水供給ユニット18、温風乾燥時に駆動される温風乾燥ユニット20、便器本体2にて発生する臭気を脱臭するための脱臭ユニット22、各ユニットの駆動を制御するための制御基板24、制御基板24や各種機能部品に電力を供給するための電源基板26等を備える。
【0027】
図3および
図4は、局部洗浄装置4の内部構造を表す図である。
図3(a)は斜視図であり、
図3(b)は平面図である。
図4(a)は正面図である。
図4(b)は
図4(a)のA−A矢視断面図であり、
図4(c)は
図4(a)のB−B矢視断面図である。なお、各図においては説明の便宜上、局部洗浄装置4のカバー10、ノズルユニット16のカバー、制御基板24、電源基板26等が取り外された状態が示されている。
【0028】
図3(a)および(b)に示すように、ベース8の中央にノズルユニット16が配置されている。ノズルユニット16は、一対の局部洗浄ノズル(ツインノズル)として洗浄ノズル30,32を並設して構成されている。洗浄ノズル30は肛門洗浄用ノズルであり、「第1洗浄ノズル」として機能する。洗浄ノズル32はビデ用ノズルであり、「第2洗浄ノズル」として機能する。洗浄ノズル30,32は、ベース8に設けられた支持構造により、前方に向かって下方に傾斜し、かつ互いに平行となるように支持されている。洗浄ノズル30,32は、それぞれ下方に位置する先端部に洗浄水を吐出する吐出孔31,33を有する。ベース8(ケース6)の前面中央には長方形状の開口部34が設けられており、洗浄ノズル30,32は、その開口部34を通って前方に突出可能とされている。ベース8の前面側には開口部34を開閉するためのシャッタ36が設けられているが、その構造および動作の詳細については後述する。
【0029】
温水供給ユニット18は、ベース8における右側スペースに配置され、個別の配管を介して洗浄ノズル30,32のそれぞれに接続されている。温水供給ユニット18は、制御基板24からの指令に基づき、設定温度に調温された温水を洗浄ノズル30,32へ供給する。
【0030】
温風乾燥ユニット20は、ベース8における左側スペースに配置されている。温風乾燥ユニット20は、温風発生装置38および温風ダクト40を備える。温風発生装置38は、温風ダクト40の上流側に配設されたファン42(送風機)と、温風ダクト40の中途に配設されたヒータ44を備える。温風ダクト40の上流端は、図示しない空気の取込口となっており、大気につながっている。温風ダクト40の下流端は、温風の吹出口46として開口部34に臨んでいる(
図4(a)参照)。ファン42の駆動により温風ダクト40に外気が導入され、ヒータ44にて温められる。このヒータ44を経た温風が、吹出口46から前方に吹き出される。
【0031】
脱臭ユニット22は、ベース8の中央にてノズルユニット16を取り囲むように配置されている。脱臭ユニット22は、ノズルユニット16を取り囲むように配置された脱臭ダクト48と、脱臭ダクト48の中途に設けられたファン50(送風機)と、ファン50の上流側に配置された脱臭カートリッジ52と、ファン50の下流側に配置された除菌ユニット54を備える。
【0032】
脱臭カートリッジ52は、脱臭用の触媒を内蔵し、通過する空気に含まれる臭気を取り除く。本実施形態では活性炭等を触媒とする吸着型の脱臭剤を採用するが、光触媒のように紫外線等の光線を照射することによって物質を分解する機能を有する分解型のものを採用してもよい。除菌ユニット54は、除菌イオンを発生させ、浮遊菌の繁殖を抑制しまた除菌するものである。具体的には、空気を電離させてプラスイオンとマイナスイオンを生じさせ、そのプラスイオンとマイナスイオンにより浮遊菌を取り囲んでこれを不活化するものである。
【0033】
脱臭ダクト48は「脱臭通路」として機能する。脱臭ダクト48の上流端は、臭気を含む空気の吸込口56として開口部34に臨んでいる(
図4(a)参照)。一方、脱臭ダクト48の下流側端部は、温風ダクト40におけるヒータ44の下流側に接続されている。
【0034】
すなわち、温風ダクト40の下流側端部は、脱臭通路と温風通路との共用通路58とされている。温風ダクト40の吹出口46は、脱臭ダクト48の吹出口として兼用されている。共用通路58の上流端、つまり脱臭ダクト48と温風ダクト40との接続部には、通路切り替えおよび風量調整用のダンパ60が配設されている。ダンパ60の調整角度により、温風ダクト40と脱臭ダクト48との開口比率を調整することができる。
【0035】
図4(a)および(b)に示すように、洗浄ノズル30は円柱状をなし、ラックアンドピニオン機構により軸線方向に駆動される。洗浄ノズル30の下面にはラック62が形成されており、ピニオン64が噛合している。ピニオン64は、ギヤ機構66を介してモータ68の回転軸70に接続されている。このような構成により、モータ68を一方向に回転させると、洗浄ノズル30を軸線方向下方に移動させることができ、開口部34を通って前方に突出させることができる。また、その状態からモータ68を他方向に回転させることにより、洗浄ノズル30を軸線方向上方に移動させることができ、開口部34の後方に退避させることができる。これらモータ68およびラックアンドピニオン機構が、「ノズル駆動装置」を構成する。本実施形態では、洗浄ノズル30を下方に駆動することにより、シャッタ36を回動させながら押し開くことができる。
【0036】
図4(a)および(c)に示すように、洗浄ノズル32も円柱状をなし、ラックアンドピニオン機構により軸線方向に駆動される。洗浄ノズル32の下面にはラック72が形成されており、ピニオン74が噛合している。ピニオン74は、ギヤ機構76を介してモータ78の回転軸80に接続されている。このような構成により、モータ78を一方向に回転させると、洗浄ノズル32を軸線方向下方に移動させることができ、開口部34を通って前方に突出させることができる。また、その状態からモータ78を他方向に回転させることにより、洗浄ノズル32を軸線方向上方に移動させることができ、開口部34の後方に退避させることができる。これらモータ78およびラックアンドピニオン機構が、「ノズル駆動装置」を構成する。本実施形態では、洗浄ノズル32を下方に駆動することにより、シャッタ36を回動させながら押し開くことができる。
【0037】
図5および
図6は、シャッタ36の構成を表す図である。
図5(a)は斜め前方からみた斜視図を示し、
図5(b)は平面図を示し、
図5(c)は斜め後方からみた斜視図を示す。
図6(a)は閉鎖状態を示す側面図であり、
図6(b)は上開き状態を示す側面図であり、
図6(c)は
図5(b)のC−C方向矢視図である。
図6(d)は
図5(b)のD−D方向矢視図である。
図6(e)は
図5(b)のE−E方向矢視図である。
【0038】
図5(a)〜(c)に示すように、シャッタ36は、概ね長方形状をなし、上下方向中央が前方にやや膨出するような湾曲面を有する。図示の閉鎖状態においては、シャッタ36の前面が便鉢15側に露出する外側面82となり、背面が装置内部側(ケース6の内方)を向く内側面84となる。その内側面84には、一対の回動支持機構86が着脱可能に組み付けられる。回動支持機構86は、他方でケース6の開口部34に設けられた一対の取付孔に着脱可能に組み付けられる。一対の回動支持機構86は、シャッタ36の両端部を回動可能に支持するための後述する回動軸88(
図6参照)を有する。この回動支持機構86の詳細については後述する。
【0039】
図5(c)に示すように、シャッタ36の内側面84の中央部には、係合突起90,92が幅方向に間隔をあけて設けられている。係合突起90は「第1係合部」として機能し、係合突起92は「第2係合部」として機能する。これらの係合突起90,92は、それぞれ洗浄ノズル30,32に対向する位置に設けられる。ただし、係合突起90,92は、対応する洗浄ノズルとの協働によりシャッタ36の上開き又は下開きを可能とするよう内側面84からの突出形状が異なっている。
【0040】
すなわち、係合突起90は、シャッタ36の閉鎖状態において頂点が回動軸88の軸線Lよりも下方に位置するよう突出形状が定められている。一方、係合突起92は、シャッタ36の閉鎖状態において頂点が回動軸88の軸線Lよりも上方に位置するよう突出形状が定められている。このような構成により、洗浄ノズル30が係合突起90を前方に押圧すると、シャッタ36における回動軸88よりも下方位置を前方に押圧する力が作用し、シャッタ36が上開き可能となる。また、洗浄ノズル32が係合突起92を前方に押圧すると、シャッタ36における回動軸88よりも上方位置を前方に押圧する力が作用し、シャッタ36が下開き可能となる。
【0041】
なお、本実施形態において、上述したノズル駆動装置、回動支持機構86およびシャッタ36の構造が、シャッタ36の閉鎖状態、上開き状態および下開き状態を切り替える「シャッタ切替機構」として機能する。この上開きおよび下開きを実現する構成および動作の詳細については後述する。
【0042】
図6(a)〜(c)に示すように、回動支持機構86は、有底筒状のケース94にスライドアーム96を部分的に内挿するように組み付けて構成されている。スライドアーム96は、外筒98と内筒100を同心状に組み付けた二重構造を有する。外筒98はケース94に摺動可能に支持され、内筒100は外筒98に摺動可能に支持されている。内筒100にはシャッタアーム102が回動可能に組み付けられている。
【0043】
外筒98の両側壁には、軸線方向に延びる所定長さのスリット104が形成され、内筒100の両側壁に突出したガイド軸106を挿通している。これにより、内筒100は、スリット104におけるガイド軸106の可動範囲において外筒98と相対変位可能とされている。一方、内筒100の両側壁にも軸線方向に延びる所定長さのスリット108が形成され、シャッタアーム102の基端部に設けられた回動軸88を挿通している。これにより、シャッタアーム102は、スリット108における回動軸88の可動範囲において内筒100と相対変位可能とされている。すなわち、回動軸88は、シャッタ36が回動するときの中心となる回動支点であるとともに、シャッタ36の前後方向に動作可能な可動支点(可動軸)でもある。
【0044】
図6(c)に示すように、ケース94の底部と内筒100との間には、内筒100を引っ張り方向に付勢するスプリング110が介装されている。スプリング110は、その一端がケース94の底部に固定され、他端が回動軸88に固定されている。シャッタアーム102の先端には、嵌合用の爪部112が設けられている。一方、シャッタ36の内側面84におけるシャッタアーム102との対向面には、嵌合用の突起114が設けられている。突起114の先端は水平方向に延びる軸部116とされており、爪部112がその軸部116を挟むように着脱可能に接続されている。爪部112は、シャッタ36の一部を把持する「チャック機構」として機能する。シャッタアーム102がシャッタ36に接続されると、図示のように回動軸88と軸部116とが同一水平面に並ぶ。回動支持機構86がケース6に取り付けられると、一対の回動軸88が水平方向に延在してシャッタ36を回動可能に支持する。
【0045】
図示のように、爪部112の幅が外筒98の開口幅よりも大きいため、爪部112が外筒98内に入り込むことはなく、外筒98の開口端にて係止される。また、ケース94の開口端がやや縮径され、係止部118を構成する。一方、外筒98の後端部には外方に延出するフランジ部120が設けられている。このため、外筒98が前方に変位しても、フランジ部120が係止部118に係止されることでその脱落は防止される。このような構成により、シャッタ36に前方への押圧力が作用すると、スライドアーム96が変位するとともに伸長する。その押圧力が解除されると、スプリング110の付勢力によりスライドアーム96が縮小しつつ変位し、図示の状態に戻るようになる。
【0046】
図6(d)に示すように、シャッタ36には、洗浄ノズル30と対向する位置に係合突起90が設けられている。シャッタ36の閉鎖状態においては図示のように、この係合突起90の頂点が回動軸88よりも下方に位置し、両者の上下方向の距離h1が確保される。このため、洗浄ノズル30が駆動されると、シャッタ36を回動軸88を中心に図中時計回りに回動させるモーメント力が作用する。すなわち、シャッタ36を回動軸88の上方に向けて開く上開きの回動力が作用するようになる。
【0047】
一方、
図6(e)に示すように、シャッタ36には、洗浄ノズル32と対向する位置に係合突起92が設けられている。シャッタ36の閉鎖状態においては図示のように、この係合突起92の頂点が回動軸88よりも上方に位置し、両者の上下方向の距離h2が確保される。このため、洗浄ノズル32が駆動されると、シャッタ36を回動軸88を中心に図中反時計回りに回動させるモーメント力が作用する。すなわち、シャッタ36を回動軸88の下方に向けて開く下開きの回動力が作用するようになる。
【0048】
図7および
図8は、シャッタ36の動作を表す図である。
図7(a)は閉鎖状態を示す側面図であり、
図7(b)は上開き状態を示す断面図であり、
図7(c)は下開き状態を示す断面図である。
図8(a)は閉鎖状態を示す斜視図であり、
図8(b)は上開き状態を示す斜視図であり、
図8(c)は下開き状態を示す斜視図である。
【0049】
シャッタ36に外力が作用しない状況では、
図7(a)および
図8(a)に示すようにスプリング110が縮んだ状態を保つため、スライドアーム96も縮小した状態となる。このため、シャッタ36が回動支持機構86に引き寄せられ、開口部34を閉鎖する閉鎖状態となる。
【0050】
この閉鎖状態から洗浄ノズル30が駆動されてシャッタ36が前方に押圧されると、
図7(b)および
図8(b)に示すように、スプリング110の付勢力に抗してスライドアーム96が伸長する。このとき、上述のようにシャッタ36における回動軸88よりも下方位置が押圧されるため、シャッタアーム102が回動軸88を中心に上方に回動し、シャッタ36が上開き状態となる。
【0051】
一方、閉鎖状態から洗浄ノズル32が駆動されてシャッタ36が前方に押圧されると、
図7(c)および
図8(c)に示すように、スプリング110の付勢力に抗してスライドアーム96が伸長する。このとき、上述のようにシャッタ36における回動軸88よりも上方位置が押圧されるため、シャッタアーム102が回動軸88を中心に下方に回動し、シャッタ36が下開き状態となる。
【0052】
次に、局部洗浄装置4の制御方法について説明する。
図9は、肛門洗浄時の洗浄ノズルの駆動制御方法を表す図である。
図9(a)は洗浄ノズルの作動状態を示す斜視図である。
図9(b)および(c)は、洗浄ノズルの制御過程を示す主要断面図である。
図10は、温風乾燥時の洗浄ノズルの駆動制御方法を表す図である。
図10(a)は洗浄ノズルの作動状態を示す斜視図である。
図10(b)および(c)は、洗浄ノズルの制御過程を示す主要断面図である。
図11は、ビデ洗浄時の洗浄ノズルの駆動制御方法を表す図である。
図11(a)は洗浄ノズルの作動状態を示す斜視図である。
図11(b)および(c)は、洗浄ノズルの制御過程を示す主要断面図である。
【0053】
図9に示すように、肛門洗浄時においては、洗浄ノズル30のみを突出方向に駆動する。それにより、洗浄ノズル30が係合突起90を押圧し、シャッタ36を上開き状態にすることができる。この上開き状態では、シャッタ36の外側面82が上面となるため、洗浄時に発生した飛沫等がシャッタ36の内側面84に付着する可能性は低い。そのため、洗浄後にシャッタ36を閉じた際に、飛沫等がケース6内に侵入することを防止又は抑制することができる。
【0054】
図10に示すように、温風乾燥時においては、洗浄ノズル32のみを突出方向に駆動する。それにより、洗浄ノズル32が係合突起92を押圧し、シャッタ36を下開き状態にすることができる。そして、温風乾燥ユニット20を駆動して温風を流す。このとき、シャッタ36がルーバーとして機能し、そのシャッタ36の角度に応じて温風が方向転換され、使用者の臀部へと導かれる。シャッタ36の角度は、洗浄ノズル32の突出量を調整することにより変化させることができる。シャッタ36の角度は、連続的に変化させてもよいし、段階的に変化させてもよい。その際、シャッタ36の回動速度を適宜変更することができる。この下開き状態では、シャッタ36の内側面84が上面となるが、温風乾燥時はそもそも飛沫等が発生し難く、シャッタ36の内側面84に付着する可能性は低い。そのため、洗浄後にシャッタ36を閉じた際に、飛沫等がケース6内に侵入することを防止又は抑制することができる。
【0055】
図11に示すように、ビデ洗浄時においては、まず洗浄ノズル30を突出方向に駆動し、シャッタ36の上開きのきっかけをつくる。このとき、洗浄ノズル30の突出量はその上開きのきっかけができる程度であればよく、肛門洗浄時のように大きく突出させなくてよい。本実施形態では、洗浄ノズル30がシャッタ36により隠れる程度とする。続いて、洗浄ノズル32を突出方向に駆動する。それにより、洗浄ノズル32は係合突起92を押圧することなく、シャッタ36の下方をすり抜けるように洗浄位置まで突出する。
【0056】
このように、洗浄ノズル30を駆動して上開きを開始させた後、洗浄ノズル32を駆動することによりその上開き状態を維持することができる。このようにしてなされた上開き状態においてもシャッタ36の外側面82が上面となるため、洗浄時に発生した飛沫等がシャッタ36の内側面84に付着する可能性は低い。そのため、洗浄後にシャッタ36を閉じた際に、飛沫等がケース6内に侵入することを防止又は抑制することができる。
【0057】
以上に説明したように、本実施形態の局部洗浄装置4によれば、局部洗浄時および温風乾燥時に開放される開口部34を一つのシャッタ36にて開閉する構造が採用され、局部洗浄時と温風乾燥時とでシャッタ36の状態が上下に反転される形で切り替えられる。局部洗浄に関しては肛門洗浄時およびビデ洗浄時ともにシャッタ36が上開きとなるため、その洗浄時および洗浄後に飛沫等が装置内部へ侵入する可能性は低い。また、温風乾燥時にはシャッタ36が下開きとなるが、そもそも飛沫等が発生し難い状況であり問題とならない。その結果、装置内部への飛沫等の侵入を効果的に防止又は抑制することができる。
【0058】
また、シャッタ36の開閉状態の切り替えを局部洗浄用に設けられた2つの洗浄ノズルを利用して実現するため、温風乾燥用にシャッタを駆動する専用の構造が不要となり、低コストに実現することができる。さらに、シャッタ36を回動させるための一対の回動支持機構86をそのシャッタ36の両端に配置したため、回動制御時の安定性を維持することができる。
【0059】
[第2実施形態]
本実施形態の局部洗浄装置は、局部洗浄ノズルとシャッタとの係合構造が異なる点を除き、第1実施形態と同様の構成を有する。このため、以下において第1実施形態と同様の構成部分については同一の符号を付すなどして、その説明を省略する。
図12は、第2実施形態に係る局部洗浄ノズルの構造を表す図である。
図12(a)は2つの洗浄ノズルの正面図であり、(b)は肛門洗浄用ノズルの側面図であり、(c)はビデ用ノズルの側面図である。
【0060】
上記第1実施形態では、洗浄ノズル30,32として一般的な構造を有するもの、つまりその先端面が軸線に対して垂直となる円柱状のものを採用した。一方、シャッタ36に互いに形状が異なる係合突起90、92(隆起部)を設けることで、洗浄ノズル30,32のいずれが駆動されるかによりシャッタ36が上開き又は下開きとなるようにした。本実施形態では、2つの洗浄ノズルの先端形状をテーパ状とし、そのテーパ面の向きを互いに異ならせることで、シャッタの上開きおよび下開き動作を可能としている。
【0061】
すなわち、
図12に示すように、肛門洗浄用の洗浄ノズル230と、ビデ等の洗浄ノズル232が設けられる。洗浄ノズル230は、第1実施形態の洗浄ノズル30の先端にテーパ状の押圧部材240を装着したものである。これにより、洗浄ノズル230の先端部には、軸線に対して斜めに切り欠かれたようなテーパ面242が形成される。このテーパ面242が上方を向くように形成されている。このため、洗浄ノズル230の先端部は、テーパ面242の下方に向かうほど前方に突き出る形状となる。本実施形態では、この洗浄ノズル230の先端部が「第1係合部」として機能する。このような構成により、洗浄ノズル230を突出方向に駆動すると、図示しないシャッタをその回動軸よりも下方位置にて押圧することになる。なお、洗浄ノズル230にこのような形状を採用したため、シャッタには第1実施形態のような係合突起90は設けられていない。
【0062】
一方、洗浄ノズル232は、第1実施形態の洗浄ノズル32の先端にテーパ状の押圧部材244を装着したものである。これにより、洗浄ノズル232の先端部には、軸線に対して斜めに切り欠かれたようなテーパ面246が形成される。このテーパ面246が下方を向くように形成されているため、洗浄ノズル232の先端部はテーパ面246の上方に向かうほど前方に突き出る形状となる。本実施形態では、この洗浄ノズル232の先端部が「第2係合部」として機能する。このような構成により、洗浄ノズル232を突出方向に駆動すると、シャッタをその回動軸よりも上方位置にて押圧することになる。なお、洗浄ノズル232にこのような形状を採用したため、シャッタには第1実施形態のような係合突起92は設けられていない。
【0063】
次に、局部洗浄装置204の制御方法について説明する。
図13は、局部洗浄装置204の作動状態を示す正面図である。
図13(a)は局部洗浄時を示し、
図3(b)は温風乾燥時を示す。
図14は、肛門洗浄時の洗浄ノズルの駆動制御方法を表す図である。
図14(a)および(b)は、
図13のA−A矢視断面図に相当し、洗浄ノズル230の制御過程を示す。
図15は、温風乾燥時の洗浄ノズルの駆動制御方法を表す図である。
図15(a)および(b)は、
図13のB−B矢視断面図に相当し、洗浄ノズルの制御過程を示す。
【0064】
本実施形態においても、局部洗浄時および温風乾燥の双方においてノズルユニット216を駆動する。肛門洗浄時においては、
図13(a),
図14(a)および(b)に示すように、洗浄ノズル230のみを突出方向に駆動する。それにより、洗浄ノズル230がシャッタ236の内側面84を前方に押圧する。このとき、上述のように押圧部材240の先端がシャッタ236における回動軸よりも下方位置を押圧するため、シャッタ236を上開き状態にすることができる。この上開き状態では、シャッタ236の外側面82が上面となるため、洗浄時に発生した飛沫等がシャッタ236の内側面84に付着する可能性は低い。そのため、洗浄後にシャッタ236を閉じた際に、飛沫等がケース6内に侵入することを防止又は抑制することができる。
【0065】
一方、温風乾燥時においては、
図13(b),
図15(a)および(b)に示すように、洗浄ノズル232のみを突出方向に駆動する。それにより、洗浄ノズル232がシャッタ236の内側面84を前方に押圧する。このとき、上述のように押圧部材244の先端がシャッタ236における回動軸よりも上方位置を押圧するため、シャッタ236を下開き状態にすることができる。この下開き状態では、シャッタ236の内側面84が上面となるが、温風乾燥時はそもそも飛沫等が発生し難く、シャッタ236の内側面84に付着する可能性は低い。そのため、洗浄後にシャッタ236を閉じた際に、飛沫等がケース6内に侵入することを防止又は抑制することができる。
【0066】
なお、ビデ洗浄時については図示を省略するが、第1実施形態と同様に、まず洗浄ノズル230を突出方向に駆動し、シャッタ236の上開きのきっかけをつくる。続いて、洗浄ノズル232を突出方向に駆動する。すなわち、洗浄ノズル230を駆動して上開きを開始させた後、洗浄ノズル232を駆動することによりその上開き状態を維持することができる。このようにしてなされた上開き状態においてもシャッタ236の外側面82が上面となるため、洗浄時に発生した飛沫等がシャッタ236の内側面84に付着する可能性は低い。そのため、洗浄後にシャッタ236を閉じた際に、飛沫等がケース6内に侵入することを防止又は抑制することができる。
【0067】
以上に説明したように、本実施形態の局部洗浄装置204おいても、局部洗浄時および温風乾燥時に開放される開口部34を一つのシャッタ236にて開閉する簡素な構造にもかかわらず、装置内部への飛沫等の侵入を効果的に防止又は抑制することができる。また、シャッタ236の開閉状態の切り替えを局部洗浄用に設けられた2つの洗浄ノズルに押圧部材240,244をそれぞれ取り付けるだけでよいため、低コストに実現することができる。
【0068】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はその特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【0069】
上記実施形態では述べなかったが、肛門洗浄時および温風乾燥時においても、2つの洗浄ノズルの双方を駆動させるようにしてもよい。すなわち、肛門洗浄時において、まず2つの洗浄ノズルを同時に少量駆動して停止させることで回動支持機構86のスプリング110にテンションをかけ、その後に肛門洗浄用ノズル(洗浄ノズル30,230)を突出方向に駆動してシャッタを回動させてもよい。同様に、温風乾燥時において、まず2つの洗浄ノズルを同時に少量駆動して停止させることでスプリング110にテンションをかけ、その後にビデ用ノズル(洗浄ノズル32,232)を突出方向に駆動してシャッタを回動させてもよい。このように、シャッタの回動前に回動軸にテンションをかけることでその回動支点の支持剛性を高めることができ、シャッタのふらつきを抑えることができる。それにより、その後にシャッタを安定に回動させることができる。
【0070】
上記第2実施形態では、洗浄ノズル230,232に対し、別体で用意した押圧部材240,244をそれぞれ装着する構成を例示した。変形例においては、洗浄ノズル230,232の成形段階において先端部形状をテーパ状にしてもよい。それにより、加工コストを低減することができる。また、洗浄ノズル230,232の先端部形状として、先端面における前方への突出量が異なる段付形状など、テーパ形状と異なる形状を採用してもよい。洗浄ノズル230についてはシャッタ236における回動軸よりも下方位置を押圧できる形状であればよく、洗浄ノズル232についてはシャッタ236における回動軸よりも上方位置を押圧できる形状であればよい。
【0071】
上記実施形態では、
図7に示したように、シャッタ36の回動支点(回動軸88)をシャッタアーム102の基端部、つまり回動支持機構86側に設ける構成を例示した。変形例においては、その回動支点をシャッタ36側に設けてもよい。例えば、
図7に示した軸部116を回動軸として構成してもよい。
【0072】
上記実施形態では、
図7に示したように、シャッタ36の上下方向中間部に回動軸88を設け、1つの軸線周りに回動させる構成(一対の回動軸88は同一軸線上に配置される)を例示した。変形例においては、シャッタ36の上側および下側にそれぞれ回動軸を設け、シャッタ36を上側の回動軸周りに回動させることにより上開き可能とし、下側の回動軸周りに回動させることにより下開き可能としてもよい。その場合、上下の軸を切り替える切り替え機構を設けるようにする。
【0073】
上記実施形態では、肛門洗浄用ノズルを「第1洗浄ノズル」とし、ビデ用ノズルを「第2洗浄ノズル」とする構成を例示した。変形例においては逆に、ビデ用ノズルを「第1洗浄ノズル」とし、肛門洗浄用ノズルを「第2洗浄ノズル」としてもよい。すなわち、ビデ洗浄時にはビデ用ノズルのみを駆動してシャッタを上開きとし、肛門洗浄時にはビデ用ノズルを少量駆動した後に肛門洗浄用ノズルを駆動してシャッタを上開きとしてもよい。具体的には、第1実施形態における洗浄ノズル30,32に対応する係合突起90,92を入れ替えるか、あるいは第2実施形態における洗浄ノズル230,232の押圧部材240,244を入れ替えればよい。そして、洗浄ノズルの駆動順序を上記実施形態とは逆にすることで実現することができる。
【0074】
上記実施形態では、局部洗浄ノズルを一対の洗浄ノズル(ツインノズル)とする構成を例示した。変形例においては、局部洗浄ノズルを1本のみ設けてもよい。その場合、その局部洗浄ノズルおよびその駆動機構を、上記第1,第2実施形態の洗浄ノズル30,230と同様としてもよい。そして、それらによりシャッタにおける回動軸よりも下方位置を前方に押圧することにより上開きを可能とする第1切替機構を構成してもよい。一方、温風乾燥時におけるシャッタの下開きを可能とするために、シャッタに下開き用の軸を設け、モータ等の駆動装置により直接回動させてもよい。そして、モータ等の駆動機構をシャッタの下開きを可能とする第2切替機構としてもよい。あるいは、開口部34の近傍に前後方向に可動である押出ピンを設けてもよい。この押出ピンを前方に駆動することにより、シャッタを下開き方向に押圧可能としてもよい。この押出ピンの進退駆動を、モータと、そのモータの回転運動を押出ピンの並進運動に変換する作動変換機構とにより実現してもよい。そして、そのモータおよび作動変換機構を第2切替機構としてもよい。
【0075】
あるいは、先端形状が上下に非対称の局部洗浄ノズルを1本のみ設け、この局部洗浄ノズルを自軸周りに180度回転させることにより、先端面の突出位置を変更できる構成としてもよい。そして、下側が突出したときにその先端がシャッタの回動軸よりも下方に位置し、その状態でシャッタを前方に押圧することにより上開き可能としてもよい。また、上側が突出したときにその先端がシャッタの回動軸よりも上方に位置し、その状態でシャッタを前方に押圧することにより下開き可能としてもよい。具体的には、
図12の洗浄ノズル230のような先端形状を有するものとし、これを軸線周りに180度回転させることにより洗浄ノズル232のように突出位置が変更されるものでもよい。この構成によれば、1本の局部洗浄ノズルを用いるだけでシャッタの上開きと下開きが可能となり、部品点数の削減と省スペース化が可能となる。
【0076】
あるいは、局部洗浄ノズルを支持するとともにその傾斜角度を変更可能とする角度可変支持機構を設けてもよい。そして、その角度に応じて局部洗浄ノズルの先端がシャッタを押圧する箇所を変更できるようにしてもよい。すなわち、局部洗浄ノズルの位置を第1角度位置とした場合にその先端が回動軸の下側に位置し、第2角度位置とした場合にその先端が回動軸の上側に位置するようにしてもよい。このような構成によれば、第1角度位置にて局部洗浄ノズルを駆動することによりシャッタを上開きさせることができ、第2角度位置にて局部洗浄ノズルを駆動することによりシャッタを下開きさせることができる。この構成によれば、局部洗浄ノズルの先端形状を現状品から変更する必要がなくなる。
【0077】
あるいは、局部洗浄ノズルをシャッタ切替機構として機能させるのではなく、シャッタに上開き用の上軸と下開き用の下軸を設け、それぞれをモータ等の駆動装置により直接回動させるようにしてもよい。あるいは、開口部34の近傍の上下に前後方向に可動である押出ピンをそれぞれ設けてもよい。この上下の押出ピンのいずれを前方に駆動するかにより上開きと下開きとが切り替えられるようにしてもよい。これらの押出ピンの進退駆動を、モータと、そのモータの回転運動を押出ピンの並進運動に変換する作動変換機構とによりそれぞれ実現してもよい。
【0078】
上記実施形態では述べなかったが、ケース6内に臭いを検出する臭いセンサを設け、その臭いの種類に応じて温風乾燥時のシャッタの角度を切り替えるようにしてもよい。例えば、臭気が強い場合にはシャッタを上開きとし、温風をて使用者に向けないようにしてもよい。また、シャッタに風向調整用の可動のガイドリブを設け、臭いセンサが検出する臭いの種類に応じて温風乾燥時の風向を切り替えるようにしてもよい。
【0079】
上記実施形態では述べなかったが、シャッタ36の角度を温風乾燥時と脱臭時とで切り替えるようにしてもよい。すなわち、脱臭時には、洗浄ノズル30の駆動によりシャッタ36が所定角度の上開き状態とされるとともに、ファン50が駆動されるようにしてもよい。それにより、吹出口46から便鉢15に向けて空気が吹き出され、その空気が臭気を取り込んで吸込口56に戻ってくるようにしてもよい。この臭気を含む空気は、脱臭カートリッジ52を通過することで脱臭される。その場合、温風乾燥時および脱臭時に開放される第1シャッタと、局部洗浄時に開放される第2シャッタとを別に設け、第1シャッタに対してシャッタ36と同様の回動支持機構86を適用してもよい。
【0080】
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。