(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、商品の陳列に際しては、その効率化すなわち多数の商品を少ないスペースで陳列する必要があり、この場合は保冷容器の設置面積を変えずに保冷容器自体の形状が高くなる傾向にある。
【0007】
このような保冷容器内に保冷材を配置する場合、多数の保冷材を配置するか、あるいは、大型の保冷材を配置する必要がある。なお、保冷材としては、アルミニウムをラミネートした袋体、又は透明のプラスチック製の袋体に保冷材料を充填した袋詰めタイプ、あるいは、プラスチック製の容器内に保冷材料を充填したプラスチック容器タイプの2種類が使用可能である。
【0008】
しかしながら、多数の保冷材を配置する場合は、袋詰めタイプとプラスチック容器タイプのいずれにおいても保冷材の出し入れに手間を要する上、保冷材を積み重ねるため熱効率が低下する懸念がある。
【0009】
また、大型の蓄冷材を配置する場合は、袋詰めタイプでは保冷材が変形して熱効率が低下する懸念がある。プラスチック容器タイプのものは変形しないが、既存の保冷材のものでは、挿入空間と寸法を合わせるのが難しく、挿入空間との間に隙間が生じて、熱効率が低下する懸念がある。
【0010】
また、商品陳列に用いる保冷容器においては、顧客が商品を取り出す開口部に保冷材自体が露呈しないよう考慮する必要がある。
【0011】
さらには、保冷材に代えて保温材を用いることで、保温材からの熱気により収容物(食品等)を保温する保温容器にも適用できることが望まれている。
【0012】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、設置スペースを大きくすることなく、多数の商品を陳列でき、かつ、商品の保冷又は保温の熱効率の向上を図れるようにした商品陳列用保冷・保温容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を達成するために、請求項1に記載の発明は、正面及び背面に収容物を出し入れする開口部が設けられた断熱性を有する容器本体と、上記背面開口部を開閉可能に設けられた背面扉体と、上記容器本体の対向する内側面に配置され、陳列物載置用トレーを支持するための支持壁と、上記容器本体の内側面と上記支持壁との間に設けられ、かつ、背面側のみ開口する空間部と、上記背面側から上記空間部内に挿入可能な保冷・保温体と、を具備し、上記保冷・保温体は、潜熱蓄熱材と、該潜熱蓄熱材の形状を保持すべく収納し、かつ、上記支持壁に接触可能なアルミニウム製のケースとからなる、ことを特徴
とする。
【0015】
ここで、潜熱蓄熱材としては特に限定されず、エラストマーまたは樹脂でパラフィンを固定化した材料、無機水和物、氷等を使用することができ、必要な相変化温度を有する蓄熱材を適宜選択することで、相変化温度、すなわち融解・凝固の温度を例えば0℃〜80℃の範囲で、任意の温度に設定することができる。また、アルミニウムとはアルミニウム合金を含む意味である。
【0016】
請求項
1に記載の商品陳列用保冷・保温容器において、上記正面開口部に、該開口部を開閉可能な扉体を設ける方が好ましい(請求項
2)。
【0017】
請求項
1に記載の発明によれば、容器本体内の収納物を保冷又は保温するための保冷・保温体は、潜熱蓄熱材と、該潜熱蓄熱材の形状を保持すべく収納し、かつ、陳列物載置用トレーの支持壁に接触可能なアルミニウム製のケースとからなるので、複数の潜熱蓄熱材をアルミニウム製ケース内に収納することができ、大型の保冷・保温体を形成することができる。
【0018】
また、請求項
1に記載の発明によれば、保冷・保温体を背面側からのみ空間部内に挿入可能とするので、正面側から保冷・保温体が飛び出るのを防止できると共に、正面側から保冷・保温体を目隠しすることができる。
【0019】
請求項
2に記載の発明によれば、正面開口部に、該開口部を開閉可能な扉体を設けることで、容器本体内の収納物を長時間保冷・保温することができる。
【0020】
請求項
1又は2に記載の商品陳列用保冷・保温容器において、上記ケースにおける上記空間部内への挿入側と反対側の端面に把手を設けるのが好ましい(請求項
3)。
【0021】
このように構成することにより、把手を把持した状態で、保冷・保温体を空間部に挿入し、取り出すことができる。
【0022】
また、請求項
1又は2に記載の商品陳列用保冷・保温容器において、上記空間部の下面を該空間部の開口側から奥側に向かって下り傾斜させると共に、該空間部の下面に上記ケース下面との摩擦抵抗を減少させる滑動部が設けられているのが好ましい(請求項
4)。
【0023】
このように構成することにより、保冷・保温体のケース下面と空間部の下面との摩擦抵抗を少なくして、空間部に対して保冷・保温体を出し入れすることができる。
【0024】
加えて、請求項1ないし
4のいずれかに記載の商品陳列用保冷・保温容器において、上記容器本体を載置する載置台を更に具備し、上記容器本体の底面に回動部を設け、上記載置台の載置面には、少なくとも上記容器本体の正面と背面とを反転可能に支承する回動受け部が設けられているのが好ましい(請求項
5)。この場合、上記容器本体の外側面に上下移動可能なストッパピンを設け、上記載置台の上面には上記ストッパピンが係止可能な正面維持用及び背面維持用の係止凹部が設けられているのが好ましい(請求項
6)。
【0025】
このように構成することにより、容器本体の正面と背面を反転させることができるので、保冷・保温体を前後のいずれからも空間部への出し入れが可能となる。また、収容物(商品,陳列物載置用トレー)を容器本体の正面側又は背面側のいずれからも容器本体内に挿入して、商品を陳列することができる。この場合、容器本体の外側面に上下移動可能なストッパピンを設け、載置台の上面にストッパピンが係止可能な正面維持用及び背面維持用の係止凹部を設けることで、保冷・保温容器の不用意な回動を防止することができる(請求項
6)。
【発明の効果】
【0026】
この発明によれば、上記のように構成されているので、以下のような顕著な効果が得られる。
【0027】
(1)請求項
1に記載の発明によれば、複数の潜熱蓄熱材をアルミニウム製ケース内に収納することができ、大型の保冷・保温体を形成することができるので、設置スペースを大きくすることなく、多数の商品を陳列でき、かつ、商品の保冷又は保温の熱効率の向上を図ることができる。
【0028】
(2)
また、請求項1に記載の発明によれば、正面側から保冷・保温体が飛び出るのを防止できると共に、正面側から保冷・保温体を目隠しすることができるので、上記(1)に加えて更に安全性の向上が図れると共に、優れた外観を呈することができる。
【0029】
(3)請求項
2に記載の発明によれば、正面開口部に、該開口部を開閉可能な扉体を設けるので、上記(1)、(2)に加えて、更に容器本体内の収納物を長時間保冷・保温することができる。
【0030】
(4)請求項
3に記載の発明によれば、把手を把持した状態で、保冷・保温体を空間部に挿入し、取り出すことができるので、上記(1)〜(3)に加えて更に保冷・保温体の出し入れを容易にすることができる。
【0031】
(5)請求項
4に記載の発明によれば、保冷・保温体のケース下面と空間部の下面との摩擦抵抗を少なくして、空間部に対して保冷・保温体を出し入れすることができるので、上記(1)〜(4)に加えて更に保冷・保温体の出し入れを容易にすることができる。
【0032】
(6)請求項
5に記載の発明によれば、保冷・保温体を前後のいずれからも空間部への出し入れが可能となるので、上記(1)〜(5)に加えて更に保冷・保温体の出し入れを容易にすることができる。また、収容物(商品,陳列物載置用トレー)を容器本体の正面側又は背面側のいずれからも容器本体内に挿入して、商品を陳列することができるので、商品の陳列を容易にすることができる。この場合、容器本体の外側面に上下移動可能なストッパピンを設け、載置台の上面にストッパピンが係止可能な正面維持用及び背面維持用の係止凹部を設けることで、保冷・保温容器の不用意な回動を防止することができるので、更に安全性の向上が図れる(請求項
6)。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、この発明を実施するための形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0035】
<第1実施形態>
この発明に係る商品陳列用保冷・保温容器1(以下に、保冷・保温容器1という)は、
図1ないし
図6に示すように、正面に収容物である商品3や後述する陳列物載置用トレー11を出し入れする開口部11が設けられた断熱性を有する容器本体10と、開口部11を開閉可能に設けられた扉体12と、容器本体10の対向する内側面に配置され、陳列物載置用トレー2を支持するための支持壁20と、容器本体10の内側面と支持壁20との間に設けられ、かつ、正面側のみ開口する空間部13と、正面側から空間部13内に挿入可能な保冷・保温体30と、を具備している。なお、保冷・保温体30は、容器本体10の天井部の下方に形成された上部空間部13A内にも挿入可能になっている。
【0036】
容器本体10は、左右一対の側壁パネル14と、両側壁パネル14の背面側に接合される背面壁パネル15と、側壁パネル14及び背面壁パネル15の上端部に接合される天井パネル16と、側壁パネル14及び背面壁パネル15の下端部に接合される床パネル17とで構成されている。この場合、側壁パネル14,背面壁パネル15,天井パネル16及び床パネル17は、それぞれ中空矩形状に折曲された鋼板18aの中空部内に例えば発泡ポリウレタン等の断熱材18bを充填した断熱パネルにて形成されている。なお、容器本体10の正面及び背面には、側壁パネル14及び背面壁パネル15と天井パネル16及び床パネル17の接合部を目隠しする化粧用の目隠し板19が被着されている。
【0037】
扉体12は、矩形枠12aにて形成された矩形状開口12b内にシールパッキン12cを介してガラス板12dが嵌め込まれている。この扉体12は、正面の左側の上部及び下部にヒンジ12eを介して容器本体10の正面側に開閉可能に装着されている。また、扉体12の正面右側にはハンドル12fが取り付けられている。
【0038】
支持壁20は、容器本体10の床パネル17と天井パネル16との間に立設されるアルミニウム合金製の壁板材21と、該壁板材21の表面に接合される、連続する角波形を有するアルミニウム合金製押出形材からなるスパンドレル22とで形成されている。この場合、壁板材21の上端部は、天井パネル16の下方に上部空間部13Aを残して配置されるアルミニウム合金製の上部板材23の下面に接続されている。なお、支持壁20のスパンドレル22の正面側の端部開口は塞ぎ板(図示せず)によって塞がれている。
【0039】
このように形成される支持壁20は、容器本体10の内側面すなわち側壁パネル14の内側面との間に空間部13を設けた状態で、床パネル17と上部板材23の下面に接合される。また、支持壁20は、容器本体10の対向する内側面に同様に配置され、対向する支持壁20のスパンドレル22に形成された凹条部に陳列物載置用トレー2が引き出し可能に載置(支持)可能になっている。
【0040】
上記空間部13及び上部空間部13A内に挿入される保冷・保温体30は、
図7Aに示すように、潜熱蓄熱材31と、該潜熱蓄熱材31の形状を保持すべく収納し、かつ、上記支持壁20(具体的には、壁板材21)に接触可能なアルミニウム製のケース32とからなる。この場合、保冷・保温体30は、例えば袋詰めのものが使用されているが、プラスチック容器等に入れてもよい。
【0041】
この場合、ケース32は、アルミニウム(アルミニウム合金を含む)製の板材を折曲加工して矩形状に形成されており、内部空間に複数例えば3個の潜熱蓄熱材31がそれぞれ形状が保持された状態で収納されている。また、ケース32における上記空間部13及び上部空間部13A内への挿入側と反対側の端面に把手33を設けられている。なお、容器本体10の大きさ(高さ寸法)に合わせて保冷・保温体30の大きさ(高さ寸法)を変えることができ、例えば容器本体10の高さが上記のものより低い場合には、
図7Bに示すように、内部空間に2個の潜熱蓄熱材31を収納するケース32を用いればよい。
【0042】
潜熱蓄熱材31には、エラストマーまたは樹脂でパラフィンを固定化した材料、無機水和物、氷等を使用することができ、例えばJSR株式会社製商品:「CALGRIP/カルグリップ」(登録商標)を使用することができる。この潜熱蓄熱材31は、必要な相変化温度を有するものを適宜選択することで、相変化温度、すなわち融解・凝固の温度を0℃〜80℃の範囲で、任意の温度に設定することができる。
【0043】
したがって、潜熱蓄熱材31の相変化温度の異なるものを選択してケース32内に収納することにより、保冷・保温体30を保冷用あるいは保温用に使い分けて使用することができる。
【0044】
上記のように構成される第1実施形態の保冷・保温容器1によれば、容器本体10内の商品3を保冷又は保温するための保冷・保温体30は、潜熱蓄熱材31と、該潜熱蓄熱材31の形状を保持すべく収納し、かつ、陳列物載置用トレー2の支持壁20の壁板材21に接触可能なアルミニウム製のケース32とからなるので、複数の潜熱蓄熱材31をアルミニウム製ケース内に収納することができ、大型の保冷・保温体30を形成することができる。したがって、設置スペースを大きくすることなく、多数の商品3を陳列でき、かつ、商品3の保冷又は保温の熱効率の向上を図ることができる。
【0045】
また、把手33を把持した状態で、保冷・保温体30を空間部13及び上部空間部13Aに挿入し、取り出すことができるので、保冷・保温体30の出し入れを容易にすることができる。なお、保冷・保温体30は潜熱蓄熱材31が矩形状のケース32内に収納されているので、顧客が商品3を取り出す開口部11に潜熱蓄熱材自体が露呈することがない。また、保冷・保温体30を積み重ねることができるので、保冷・保温体30の運搬や在庫管理等を容易にすることができる。
【0046】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る保冷・保温容器1Aは、
図8ないし
図14に示すように、正面及び背面に収容物(商品3,陳列物載置用トレー2,保冷・保温体30)を出し入れする開口部11,11Aが設けられた断熱性を有する容器本体10Aと、正面側開口部11を開閉可能に設けられた扉体12、及び背面側開口部11Aを開閉可能に設けられた背面扉体12Aと、容器本体10Aの対向する内側面に配置され、陳列物載置用トレー2を支持するための支持壁20と、容器本体10Aの内側面と支持壁20との間に設けられ、かつ、背面側のみ開口する空間部13と、背面側から空間部13内に挿入可能な保冷・保温体30と、を具備している。なお、保冷・保温体30は、容器本体10Aの天井部の下方に形成された上部空間部13A内にも挿入可能になっている。
【0047】
背面扉体12Aは、矩形板状のポリスチレンフォーム保温板12gの四周に枠材12hを取り付け、その表裏面にポリエステル製表面板12iを被着した断熱構造に形成されている。この背面扉体12Aは、容器本体10Aの背面の左側の上部及び下部にヒンジ12jを介して容器本体10の背面側に開閉可能に装着されている。
【0048】
また、第2実施形態の保冷・保温容器1Aは、容器本体10Aを載置する載置台40を具備しており、保冷・保温容器1Aは載置台40上で水平方向に回動可能に形成されている。第2実施形態では、容器本体10Aの底面に回動部41が設けられ、載置台40の載置面には、少なくとも容器本体10Aの正面と背面とを反転可能に支承する回動受け部42が設けられている。
【0049】
この場合、
図15に示すように、回動部41と回動受け部42は、載置台40の中心部に設けられた円形凹部43内に配置されている。回動受け部42の上面には断面略U字状の環状レール44が配設されており、この環状レール44内に複数のボール45が転動自在に配列されている。また、回動部41の下面には凹状部46が設けられ、凹状部46の底面には、上記複数のボール45が転動自在に接触する環状溝47が設けられている。このように、回動受け部42の上面に設けられた環状レール44と、回動部41の下面に設けられた環状溝47との間に複数のボール45を転動自在に介在することにより、保冷・保温容器1Aは載置台40上で水平方向に回動、すなわち少なくとも容器本体10Aの正面と背面とを反転可能にすることができる。
【0050】
なお、更に、
図15に二点鎖線で示すように、回動受け部42の中心部に立設される支持軸48によって回動部41の下面を回動可能に支持するようにしてもよい。
【0051】
また、第2実施形態において、容器本体10Aの正面から向かって右側の外側面には、上下移動可能なストッパピン50が設けられている。また、載置台40の上面の正面から向かって左右両側には、ストッパピン50が係止可能な正面維持用の係止凹部51a及び背面維持用の係止凹部51bが設けられている。
【0052】
このように、容器本体10Aの外側面に、上下移動可能なストッパピン50を設け、載置台40の上面に、ストッパピン50が係止可能な正面維持用の係止凹部51a及び背面維持用の係止凹部51bを設けることにより、ストッパピン50を正面維持用の係止凹部51aに係止させて容器本体10の正面を維持することができ、また、ストッパピン50を背面維持用の係止凹部51bに係止させて容器本体10Aの背面を維持することができる。
【0053】
第2実施形態の保冷・保温容器1Aにおいて、保冷・保温体30を出し入れする場合は、まず、
図16(a)に示すように、容器本体10Aを水平方向に180°反転させて背面扉体12Aを正面側に移動する。この際、ストッパピン50を背面維持用の係止凹部51bに係止させて容器本体10Aを固定する。
【0054】
次に、背面扉体12Aを開放して、空間部13内の保冷・保温体30を取り出した後、新規の保冷・保温体30を空間部13内に挿入する。その後、背面扉体12Aを閉じる。なお、上部空間部13Aにおいても同様の手順で保冷・保温体30を取り出した後、新規の保冷・保温体30を上部空間部13A内に挿入する。
【0055】
背面扉体12Aを閉じた後、ストッパピン50を引き上げて背面維持用の係止凹部51bとの係止を解除した後、
図16(b)に示すように、容器本体10Aを水平方向に180°反転させて正面扉体12を正面側に移動する。この際、ストッパピン50を正面維持用の係止凹部51aに係止させて容器本体10Aを固定する。この状態で、収容物(商品3,陳列物載置用トレー2)を容器本体10Aの正面側又は背面側のいずれからも容器本体10A内に挿入して、商品3を陳列することができる。
【0056】
なお、第2実施形態において、その他の部分は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して、説明は省略する。
【0057】
上記のように構成される第2実施形態の保冷・保温容器1Aによれば、第1実施形態と同様に、容器本体10A内の商品3を保冷又は保温するための保冷・保温体30は、潜熱を利用する袋詰めの潜熱蓄熱材31と、該潜熱蓄熱材31の形状を保持すべく収納し、かつ、陳列物載置用トレー2の支持壁20の壁板材21に接触可能なアルミニウム製のケース32とからなるので、複数の潜熱蓄熱材31をアルミニウム製ケース32内に収納することができ、大型の保冷・保温体30を形成することができる。したがって、設置スペースを大きくすることなく、多数の商品3を陳列でき、かつ、商品3の保冷又は保温の熱効率の向上を図ることができる。
【0058】
また、第2実施形態の保冷・保温容器1Aによれば、保冷・保温体30を背面側からのみ空間部13及び上部空間部13A内に挿入可能とするので、正面側から保冷・保温体30が飛び出るのを防止できると共に、正面側から保冷・保温体30を目隠しすることができる。したがって、更に安全性の向上が図れると共に、優れた外観を呈することができる。
【0059】
また、容器本体10Aの正面と背面を反転させることができるので、保冷・保温体30を前後のいずれからも空間部13及び上部空間部13Aへの出し入れが可能となる。また、収容物(商品3,陳列物載置用トレー2)を容器本体10Aの正面側又は背面側のいずれからも容器本体10A内に挿入して、商品3を陳列することができる。この場合、容器本体10Aの外側面に上下移動可能なストッパピン50を設け、載置台40の上面にストッパピン50が係止可能な正面維持用の係止凹部51a及び背面維持用の係止凹部51bを設けることで、保冷・保温容器1Aの不用意な回動を防止することができる。
【0060】
<第3実施形態>
第3実施形態の保冷・保温容器1Bは、保冷・保温体30の出し入れを容易に行えるようにした場合である。すなわち、
図17及び
図18に示すように、空間部13の下面13aを該空間部13の開口側から奥側に向かって下り傾斜させると共に、該空間部13の下面13aに保冷・保温体30のケース下面との摩擦抵抗を減少させる滑動部61を設けることで、保冷・保温体30の空間部13への出し入れを容易に行えるようにした場合である。
【0061】
この場合、空間部13の下面13aを、
図18に示すように、傾斜基片60aの一端に起立脚片60bを有するアルミニウム製の底板60にて形成し、傾斜基片60aに散点状に設けられた小孔61aによって滑動部61を形成している。
【0062】
このように、空間部13の下面13aを形成する底板60の傾斜基片60aに、散点状に設けられた小孔61aによって滑動部61を形成することにより、空間部13に対して保冷・保温体30を出し入れする際、ケース下面との摩擦抵抗を減少させることができるので、保冷・保温体30の出し入れを容易にすることができる。
【0063】
なお、上記説明では、滑動部61が底板60の傾斜基片60aに散点状に設けられた小孔61aによって形成される場合について説明したが、小孔61aに代えて傾斜基片60aの傾斜方向に沿う複数の長孔やスリット等によって滑動部61を形成してもよく、あるいは、傾斜基片60aの表面を凹凸状にして滑動部を形成してもよい。また、底板60に例えばアルマイト処理等の表面処理を施すことによって滑動部を形成してもよい。
【0064】
なお、上記説明では、第2実施形態の保冷・保温容器1Aに第3実施形態の構造を適用した場合について説明したが、第1実施形態の保冷・保温容器1においても同様に、空間部13の下面13aを該空間部13の開口側から奥側に向かって下り傾斜させると共に、該空間部13の下面13aに保冷・保温体30のケース下面との摩擦抵抗を減少させる滑動部61を設けることで、保冷・保温体30の空間部13への出し入れを容易にすることができる。
【0065】
なお、第3実施形態において、その他の部分は第1,2実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0066】
<第4実施形態>
上記第1実施形態では、正面開口部11に、該開口部11を開閉可能な扉体12を設けた場合について説明したが、この発明は、
図19Aに示すように、扉体12を取り除いた開口部11が開放した保冷・保温容器1Cにも適用できる。なお、第4実施形態において、その他の部分は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0067】
上記のように構成される第4実施形態の保冷・保温容器1Cによれば、社員食堂やバイキング形式のレストラン等において、惣菜,サラダやデザート等を短時間(例えば、30分〜1時間)保冷あるいは保温することができる。
【0068】
<第5実施形態>
上記第2実施形態では、正面開口部11に、該開口部11を開閉可能な扉体12を設けた場合について説明したが、この発明は、
図19Bに示すように、扉体12を取り除いた開口部11が開放した保冷・保温容器1Dにも適用できる。なお、第5実施形態において、その他の部分は第2実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0069】
上記のように構成される第5実施形態の保冷・保温容器1Dによれば、社員食堂やバイキング形式のレストラン等において、惣菜,サラダやデザート等を短時間(例えば、30分〜1時間)保冷あるいは保温することができる。
【0070】
<その他の実施形態>
第1実施形態の保冷・保温容器1を第2実施形態と同様に、正面と背面に反転可能な構造としてもよい。すなわち、保冷・保温容器1は、容器本体10を載置する載置台40を具備し、載置台40上で水平方向に回動可能に形成される構造としてもよい。この場合、容器本体10の底面に回動部41が設けられ、載置台40の載置面には、少なくとも容器本体10の正面と背面とを反転可能に支承する回動受け部42が設けられる。