特許第6234329号(P6234329)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234329
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20171113BHJP
   F01N 1/00 20060101ALI20171113BHJP
   F01N 13/08 20100101ALI20171113BHJP
【FI】
   E02F9/00 D
   F01N1/00 D
   F01N13/08 Z
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-118641(P2014-118641)
(22)【出願日】2014年6月9日
(65)【公開番号】特開2015-232205(P2015-232205A)
(43)【公開日】2015年12月24日
【審査請求日】2016年6月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】萩原 翔
(72)【発明者】
【氏名】三好 裕太郎
(72)【発明者】
【氏名】川下 道宏
(72)【発明者】
【氏名】安部 敏博
【審査官】 大熊 靖夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−080777(JP,A)
【文献】 実開昭57−103321(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走可能な車体と、該車体上に搭載され排気出口を有するエンジンと、このエンジンの排気出口側に接続されたエキゾーストパイプと、該エキゾーストパイプの出ロ側に設けられた排気ガス後処理装置と、前記エキゾーストパイプの途中に設けられたベローズ管を備えている建設機械において、
前記ベローズ管の一端側のベローズ外面に沿って取り付けられた第1調整リングと、
この第1調整リングから任意の間隔離れた位置の前記ベローズ管のベローズ外面に沿って取り付けられる第2調整リングと、
前記第1調整リングと前記第2調整リングとの前記間隔を固定するための固定具とを備え、
前記ベローズ管は、前記車体の稼働により当該ベローズ管に加わる変位量を許容するためのベローズ長さL1と、組立誤差を許容するためのベローズ長さL2とを有し、
前記エキゾーストパイプは、前記エンジンの排気側出口と、前記排気ガス後処理装置との間の組立誤差を、前記エキゾーストパイプの途中に設けられている前記ベローズ管の前記ベローズ長さL2のみで吸収した状態で取り付けられており、
前記ベローズ長さL2は、前記エンジンの排気側出口と前記排気ガス後処理装置との間の組立誤差を吸収した状態で、前記第1調整リングと前記第2調整リングと前記固定具により拘束されていることを特徴とする建設機械。
【請求項2】
請求項に記載の建設機械において、前記エキゾーストパイプは前記エンジンの排気出口側に接続される上流側配管と、前記排気ガス後処理装置側に接続される下流側配管とを備え、前記ベローズ管は前記上流側配管と下流側配管を接続するように設けられ、前記エキゾーストパイプの取り付けが完了した際、前記第1調整リング、前記第2調整リング及び前記固定具により、前記ベローズ管の前記下流側配管側に前記ベローズ長さL2の部分を設けて固定することを特徴とする建設機械。
【請求項3】
請求項1または2に記載の建設機械において、前記固定具は、前記第1調整リングと前記第2調整リングとの位置関係を固定するためのボルトと、前記第1調整リング及び前記第2調整リングを前記ボルトに固定するための複数のナットを備えていることを特徴とする建設機械。
【請求項4】
請求項に記載の建設機械において、前記第1調整リング及び前記第2調整リングには、前記固定具の前記ボルトが貫通する孔が複数個備えられていることを特徴とする建設機械。
【請求項5】
請求項に記載の建設機械において、前記第1調整リング及び前記第2調整リングに設けられた前記孔の径は、前記ボルトの外径より大きく構成していることを特徴とする建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの排気出口にエキゾーストパイプ(排気管)が接続され、このエキゾーストパイプ出口側に排気ガス後処理装置が設けられている油圧ショベル等の建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械として例えば油圧ショベルの場合、一般に、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に搭載された旋回可能な上部旋回体と、該上部旋回体の前側に俯仰動自在に設けられた作業装置などにより構成されている。また、前記上部旋回体は、該上部旋回体を構成する旋回フレームの前側にキャブ、燃料タンク、作動油タンク等を搭載し、前記上部旋回体の後部には、油圧ポンプを駆動するためのエンジン、熱交換器等を搭載している。
【0003】
更に、前記エンジンの排気出口にはエキゾーストパイプが接続され、該エキゾーストパイプの出口側には、消音装置或いは排気ガス浄化装置などを備えた排気ガス後処理装置が設けられている。ここで、エンジンは前記旋回フレーム上に防振マウントで支持され、排気ガス後処理装置は前記旋回フレームに直接固定されている。このため、前記エキゾーストパイプの途中にはベローズ管が設けられ、前記エンジンと前記排気ガス後処理装置との相対的な変位を吸収する構造となっている。
【0004】
なお、この種従来技術としては、特開2010−121562号公報(特許文献1)に記載されたものなどがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−121562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、環境への配慮から油圧ショベルなどの建設機械においては、排気ガス後処理装置の大型化が進み、その重量も増加している。このため、上記特許文献1に示されるように、エンジンに取り付けられたブラケット上に、排気ガス後処理装置を取り付ける取付け形態は、排気ガス後処理装置の重量増加のため、前記ブラケットの強度上困難になってきている。
【0007】
また、建設機械の車体稼動時には、前記排気ガス後処理装置自体が高温になることから、エンジンに取り付けられている油圧ポンプ内の油が加熱されないように、前記排気ガス後処理装置は前記油圧ポンプから距離を離して設置することが好ましい。しかし、排気ガス後処理装置をエンジンから遠ざけるためには、前記エキゾーストパイプの延長が必要となりコスト上望ましくない。
このような背景から、前記排気ガス後処理装置は、油圧ポンプ上の高位置で且つ旋回フレームと直接固定する取付け形態が要求されることが多くなってきている。
【0008】
また、前記エキゾーストパイプの前記ベローズ管には、エンジンと排気ガス後処理装置の設置における組立誤差により応力が生じる場合がある。このため、ベローズ管の寿命を延ばす観点からも、前記組立誤差により生じる応力への対応は非常に重要である。
【0009】
しかし、排気ガス後処理装置を油圧ポンプ上の高位置で且つ旋回フレームと直接固定する取付け形態では、取付け部品点数の違いから、エンジンに取り付けられたブラケットに、排気ガス後処理装置を取り付けていた従来の取付け形態に比較して組立誤差が増大してしまう可能性がある。
【0010】
このため、排気ガス後処理装置を油圧ポンプ上の高位置で且つ旋回フレームと直接固定する取付け形態とする場合、最大組立誤差を見積もって前記ベローズ管の仕様を決めると該ベローズ管が長大化する。この結果、ベローズ管を備えている前記エキゾーストパイプの1次の共振点が低下し、建設機械の運転範囲における前記共振点が、1次、2次、3次、…と増えてしまい、頻度の高い運転条件(運転頻度の多いエンジン回転数など)における共振回避設計がより難しくなるという課題がある。また、共振点の低下により、前記ベローズ管の更なる応力対策が必要になる課題もある。
【0011】
本発明の目的は、組立誤差によるベローズ管への応力を抑制するためにベローズ管が長大化しても、該ベローズ管を備えているエキゾーストパイプの1次の共振点が低下するのを抑えることのできる建設機械を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明は、自走可能な車体と、該車体上に搭載され排気出口を有するエンジンと、このエンジンの排気出口側に接続されたエキゾーストパイプと、該エキゾーストパイプの出ロ側に設けられた排気ガス後処理装置と、前記エキゾーストパイプの途中に設けられたベローズ管を備えている建設機械において、前記ベローズ管の一端側のベローズ外面に沿って取り付けられた第1調整リングと、この第1調整リングから任意の間隔離れた位置の前記ベローズ管のベローズ外面に沿って取り付けられる第2調整リングと、前記第1調整リングと前記第2調整リングとの前記間隔を固定するための固定具とを備え、前記ベローズ管は、前記車体の稼働により当該ベローズ管に加わる変位量を許容するためのベローズ長さL1と、組立誤差を許容するためのベローズ長さL2とを有し、前記エキゾーストパイプは、前記エンジンの排気側出口と、前記排気ガス後処理装置との間の組立誤差を、前記エキゾーストパイプの途中に設けられている前記ベローズ管の前記ベローズ長さL2のみで吸収した状態で取り付けられており、前記ベローズ長さL2は、前記エンジンの排気側出口と前記排気ガス後処理装置との間の組立誤差を吸収した状態で、前記第1調整リングと前記第2調整リングと前記固定具により拘束されていることを特徴とする。
【0013】
なお、前記第1調整リングは、前記エキゾーストパイプと前記ベローズ管との連結部に設けることが好ましい。
前記ベローズ管の長さは、車体の稼動により加わる変位量を許容するためのベローズ長さL1と、最大組立誤差を許容するためのベローズ長さL2の和に基づいて決めるようにすると良く、好ましくは、前記Lは前記L1と前記L2の和となるように設定すると良い。
【0014】
また、前記エキゾーストパイプは前記エンジンの排気出口側に接続される上流側配管と、前記排気ガス後処理装置側に接続される下流側配管とを備え、前記ベローズ管は前記上流側配管と下流側配管を接続するように設けられ、前記エキゾーストパイプの取り付けが完了した際、前記第1調整リング、前記第2調整リング及び前記固定具により、前記ベローズ管の前記下流側配管側に前記ベローズ長さL2の部分を設けて固定すると良い。
【0015】
また、前記固定具は、前記第1調整リングと前記第2調整リングとの位置関係を固定するためのボルトと、前記第1調整リング及び前記第2調整リングを前記ボルトに固定するための複数のナットを備える構成にすると良い。
また、前記第1調整リング及び前記第2調整リングには、前記固定具の前記ボルトが貫通する孔を複数個、好ましくは3個以上設けるようにすることが好ましい。
また、前記第1調整リング及び前記第2調整リングに設けられた前記孔の径は、前記ボルトの外径より大きく構成すると良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ベローズ管の一端側のベローズ谷部外面に沿って取り付けられた第1調整リングと、この第1調整リングから任意の間隔離れた位置の前記ベローズ管のベローズ谷部外面に沿って取り付けられる第2調整リングと、前記第1調整リングと前記第2調整リングとの前記間隔を固定するための固定具とを備えているので、組立誤差をベローズ管で吸収することができ、また組立後、前記ベローズ管の一部を固定することができるので、組立誤差によるベローズ管への応力を抑制するためにベローズ管が長大化しても、該ベローズ管を備えているエキゾーストパイプの1次の共振点が低下するのを抑えることのできる建設機械を得ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例1の建設機械としての油圧ショベルを示す側面図である。
図2図1に示す上部旋回体をキャブ等を省略して示す平面図である。
図3図2に示すエンジン、エキゾーストパイプ、ベローズ管等、エンジン廻りの構成を示す斜視図である。
図4図3に示すベローズ管の部分の構成を詳細に説明する断面図である。
図5図4に示すA部の拡大断面図である。
図6図4に示すB部の拡大断面図である。
図7図5図6に示す第1調整リングまたは第2調整リングの上半分を示す正面断面図である。
図8図5図6に示す第1調整リングまたは第2調整リングを構成する上半分と下半分を結合した状態を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の建設機械の実施例1を、建設機械としての油圧ショベルに適用した例を図面により説明する。各図において、同一符号を付した部分は同一或いは相当する部分を示している。
【実施例1】
【0019】
本実施例が適用される油圧ショベルの構成を図1図3により説明する。図1は建設機械としての油圧ショベルを示す側面図、図2図1に示す上部旋回体を、キャブ等を省略して示す平面図、図3図2に示すエンジン、エキゾーストパイプ、ベローズ管等、エンジン廻りの構成を示す斜視図である。
【0020】
図1により、建設機械としての油圧ショベルの全体構成を説明する。
図1において、1は土砂の掘削作業等に用いられる油圧ショベルで、この油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、この下部走行体2上に旋回装置3を介して旋回可能に搭載され、前記下部走行体2と共に車体をなす上部旋回体4と、この上部旋回体4の前側に俯仰動可能に設けられた作業装置5などにより構成されている。
【0021】
前記上部旋回体4は、後述する旋回フレーム6、キャブ7、エンジン8、油圧ポンプ11、熱交換器12、エキゾーストパイプ(排気管)14、ベローズ管15、排気ガス後処理装置16、取付ブラケット18等を備えている。
【0022】
前記上部旋回体4の旋回フレーム6が、前記旋回装置3を介して下部走行体2上に取付けられ、また、この旋回フレーム6は、図2に示すように、前後方向に延びる厚肉な底板6Aと、該底板6A上に立設され、左右方向に所定の間隔をもって前後方向に延びた左縦板6B及び右縦板6Cと、これら各縦板6B,6Cから左右方向の外向きに延びた複数本の張出しビーム6Dと、左右方向の外側に位置して各張出しビーム6Dの先端に取付けられ、前後方向に延びた左サイドフレーム6E及び右サイドフレーム6Fなどにより構成されている。
【0023】
更に、前記旋回クレーム6の後部側には、図3に示すように、左右の前記縦板6B,6C間に位置して一対のエンジン支持台6Gが設けられている。これら一対のエンジン支持台6Gは、前記エンジン8を防振状態で設置するための防振マウント9を取付けるもので、前後方向に対向するように配置されている。
【0024】
図1に示す前記キャブ7は、前記旋回フレーム6の左前側に搭載されている。該キャブ7は、オベレータが搭乗するもので、該キャブ7の内部には、オペレータが着座する運転席、各種操作レバー(何れも図示せず)等が配設されている。
【0025】
前記エンジン8は、図2及び図3に示すように、旋回フレーム6の後側に搭載され、左右方向に延在するように横置き状態で配置されている。また、エンジン8の左側には、前記熱交換器12と、この熱交換器12に対面するように冷却ファン8Aが設けられている。
【0026】
一方、前記エンジン8の右側には、図3に示すように、前記油圧ポンプ11を取付けるための取付フランジ部8Bが設けられている。更に、前記エンジン8の前側上部には、エキゾーストマニホールド8Cに接続して過給機(ターボチャージャ)10が設けられている。前記エンジン8は、4個の前記防振マウント9(3個のみ図示)を介して旋回フレーム6の各エンジン支持台6Gに防振状態で取付けられている。
【0027】
前記過給機10はエンジン8の一部を構成するもので、この過給機10は左右方向の右側に向けて排気出口10Aが開口している。この過給機10の排気出口10Aは、エンジン8からの排気ガスを排出するもので、この排気出ロ10Aには前記エキゾーストパイプ14が接続されている。
【0028】
前記油圧ポンプ11は、前記エンジン8の取付フランジ部8Bに取付けられ、前記エンジン8によって駆動されることにより、制御弁(図示せず)に向けて圧油(作動油)を吐出するものである。
【0029】
前記エンジン8の左側に配設された熱交換器12(図2参照)は、例えばラジエータ、オイルクーラ、インタクーラ等を並べて配置する構成となっている。図2図3に示す13は、前記熱交換器12の右側に対面するように旋回フレーム6上に設けられたファンシュラウドで、該ファンシュラウド13は、図3に示すように、エンジン8の冷却ファン8Aを取り囲んでいる。
【0030】
次に、前記エンジン8が排出する排気ガスを、上部旋回体4の外部に排出するための構成を、図3により説明する。エンジン8を構成する過給機10に接続された前記エキゾーストパイプ14は、高温の排気ガスが流通するものであり、金属製の配管で構成されている。更に、前記エキゾーストパイプ14は、前記エンジン8側の過給機10の排気出口10Aに接続される上流側配管14Aと、排気ガスを後処理するための排気ガス後処理装置16の入口側接続部に接続される下流側配管14Bと、前記上流側配管14Aと下流側配管14Bとを接続する前記ベローズ管15などにより構成されている。また、前記各配管14A,14Bは、へ字状に曲げ加工されていて、前記エキゾーストパイプ14が前記過給機10と前記排気ガス後処理装置16との間を直線的に接続することができるようになっている。
【0031】
前記ベローズ管15は、前記エンジン8の過給機10と、前記排気ガス後処理装置16との相対的な変位(両者間の位置ずれ)を吸収するもので、蛇腹形状の金属筒体として形成されている。また、このベローズ管15の両端は、前記上流側配管14Aと下流側配管14Bに、溶接手段などにより一体的に固着されている。
【0032】
前記排気ガス後処理装置(以下、単に後処理装置ともいう)16は前記エキゾーストパイプ14の出口側に設けられ、該後処理装置16は、例えば排気音量を低減するための消音装置などを収容している。また、前記後処理装置16は、前後方向に延びる円筒状容器として形成され、取付ブラケット18上に固定されている。更に、前記後処理装置16の前側は、前記エキゾーストパイプ14の下流側配管14Bに接続される入口側接続部16Aとなり、前記後処理装置16の後側は、尾管19が接続される出口側接続部16Bとなっている。そして、前記後処理装置16を支持する前記取付ブラケット18は、旋回フレーム6のエンジン支持台6Gに溶接手段などにより固着されている。
【0033】
なお、図2において、20は旋回フレーム6の後部に取付けられたカウンタウエイト、21は前記油圧ポンプ11の前側に位置して旋回フレーム6の右側に搭載された作動油タンク、22は該作動油タンク21の前側に設けられた燃料タンクをそれぞれ示している。
【0034】
上記のように構成された建設機械としての油圧ショベルにおいては、その走行時や作業時には、前記防振マウント9を介して支持されたエンジン8が旋回フレーム6上で振動する。このため、エンジン8と旋回フレーム6に固定的に取付けられた後処理装置16とは相対的に振動するが、両者間を接続する前記ベローズ管15の変形により、エンジン8と後処理装置16との相対的な変位を吸収することができる。
【0035】
しかし、前記後処理装置16を油圧ポンプ上の高位置で且つ旋回フレームと直接固定する取付け形態では、取付け部品点数の違いから組立誤差が増大するため、最大組立誤差を見積もって前記ベローズ管の仕様を決めると該ベローズ管が長大化する。この結果、ベローズ管を備えている前記エキゾーストパイプの1次の共振点が低下し、頻度の高い運転条件における共振回避設計がより難しくなり、また、共振点の低下により、前記ベローズ管の更なる応力対策が必要になる課題もある。
【0036】
そこで、本実施例では、組立誤差によるベローズ管への応力を抑制するためにベローズ管が長大化しても、該ベローズ管を備えているエキゾーストパイプの1次の共振点が低下するのを抑えることができるようにするため、以下説明する構成としている。
上記エキゾーストパイプ14におけるベローズ管15の部分の構成を、図4図8を用いて詳細に説明する。
【0037】
図4図3に示すベローズ管の部分の構成を詳細に説明する断面図、図5図4に示すA部の拡大断面図、図6図4に示すB部の拡大断面図、図7図5図6に示す第1調整リングまたは第2調整リングの上半分を示す正面断面図、図8図5図6に示す第1調整リングまたは第2調整リングを構成する上半分と下半分を結合した状態を示す正面断面図である。
【0038】
図4に示すように、エキゾーストパイプ14は、エンジン8(図3参照)の排気出口側に接続される上流側配管14Aと、排気ガス後処理装置16(図3参照)側に接続される下流側配管14Bと、前記上流側配管14Aと前記下流側配管14Bとを接続するベローズ管15などにより構成されている。前記排気ガス後処理装置16は前記エキゾーストパイプ14の出口側に設けられている。
【0039】
前記ベローズ管15は、前述したように、蛇腹形状の金属筒体として形成され、その両端は、前記上流側配管14Aと前記下流側配管14Bに溶接手段などにより一体的に固着されている。また、前記ベローズ管15は、図3に示すように、旋回フレーム6に防振マウント9を介して設置されている前記エンジン8と、旋回フレーム6に固定して設置されている前記排気ガス後処理装置16との組立誤差を吸収でき、且つ油圧ショベルの車体稼働時の振動などによる変位量を吸収できる長さに構成されている。
【0040】
即ち、図4に示すように、ベローズ管15の長さは、車体の稼動により加わる変位量を許容するためのベローズ長さL1と、最大組立誤差を許容するためのべローズ長さL2の和に基づいて規定されている。図4に示した本実施例では、ベローズ管15の長さを、前記ベローズ長さL1と前記ベローズ長さL2の和となるように構成しているが、前記L1とL2との和以上となるように構成しても良く、このような形態も本発明に含まれるものである。
【0041】
また、本実施例では、前記ベローズ管15の一端側のベローズ外面に沿って取り付けられた第1調整リング23と、この第1調整リング23から任意の間隔離れた位置の前記ベローズ管15のベローズ外面に沿って取り付けられる第2調整リング24と、前記第1調整リング23と前記第2調整リング24との前記間隔を固定するための固定具25とを備えている。
【0042】
前記固定具25は、本実施例では、ボルト25a及びこれに螺合する複数のナット25bなどにより構成されており、前記第1調整リング23と第2調整リング24を前記ナット25bにより前記ボルト25aに固定することにより、前記第1調整リング23と第2調整リング24との間隔を任意の所定の間隔に固定することができる。
【0043】
本実施例では、前記第1調整リング23は、エキゾーストパイプ14の下流側配管14Bとベローズ管15の連結部に取り付けられ、前記第2調整リング24は、エキゾーストパイプ14の下流側配管14Bとベローズ管15の連結部からL2離れた位置に取り付けられている。
【0044】
なお、上述したように、第1調整リング23は、前記エキゾーストパイプ14と前記ベローズ管15との連結部に設けることが好ましいが、本発明はこれに限られるものではなく、前記連結部からベローズ管15の中央側に寄った位置に設けるようにしても良い。即ち、最大組立誤差を許容するためのベローズ長さL2の部分で組立誤差を吸収してベローズ管15を取付け、その後前記組立誤差を許容するためのベローズ長さL2の部分を固定できる構成としていれば良い。
【0045】
また、前記ベローズ管15における前記L1(車体の稼動により加わる変位量を許容するためのベローズ長さ)の部分と、前記L2(最大組立誤差を許容するためのべローズ長さ)の部分を左右逆にしても良く、この場合には前記第1調整リング23は、前記上流側配管14Aとベローズ管15の連結部に取り付けられ、前記第2調整リング24は、前記上流側配管14Aとベローズ管15の連結部からL2離れた位置に取り付けられることになる。
【0046】
図4では、エキゾーストパイプ14の取り付けが完了して、前記第1調整リング23、前記第2調整リング24及び前記固定具25により、ベローズ管15の下流側配管14B側のL2の部分、即ち最大組立誤差を許容するベローズ長さの部分を固定している状態を示している。また、ベローズ管15の上流側配管14A側のL1の部分はフリーになっており、車体稼働時の変位量をベローズ管15のL1の部分で吸収することができるようになっている。
【0047】
次に、図4のA部及びB部の構成を図5及び図6に示す拡大断面図で説明する。
図5は第1調整リング23の部分の拡大断面図で、固定具25を構成するボルト25aが第1調整リング23に形成されている孔23aに挿入され、2つのナット25bによりワッシャ25cを介して、前記第1調整リング23をボルト25aに固定している。前記孔23aの径は前記ボルト25aの外径よりも大きく構成されている。このように孔23aの径を構成すると、エキゾーストパイプ14の組立時に、ベローズ管15の3次元方向への傾きに対して、前記第1調整リング23をそのベローズ管15の設置姿勢に合わせて固定することが可能となり、ベローズ管15に無理な応力を発生させることなく、ベローズ管15のL2の部分を固定することができる効果が得られる。
【0048】
また、前記第1調整リング23には、その内面側に周方向の溝部23bが形成されており、この溝部23bにベローズ管15のベローズ山部15aが嵌り込むように構成されている。ベローズ管15のベローズ谷部15bに挿入される第1調整リング23の部分(歯部)23cの先端部は、前記ベローズ谷部15bの円弧形状に合わせて円弧形状に構成されている。
なお、前記孔23aの径はボルト径に対して、必ずしも大きな径とする必要はなく、また前記ワッシャ25cも必ずしも必要なものではない。
【0049】
図6は第2調整リング24部分の拡大断面図で、図5で説明した第1調整リング23の場合と同様に、固定具25を構成するボルト25aが第2調整リング24に形成されている孔24aに挿入され、ボルト25aの頭部とナット25bによりワッシャ25cを介して、前記第2調整リング24をボルト25aに固定している。前記孔24aの径も前記ボルト25aの外径よりも大きく構成している。
【0050】
また、前記第2調整リング24にも、その内面側に周方向の溝部24bが形成されており、この溝部24bにベローズ管15のベローズ山部15aが嵌り込むように構成されている。ベローズ管15のベローズ谷部15bに挿入される第1調整リング24の部分(歯部)24cの先端部も、前記ベローズ谷部15bの円弧形状に合わせて円弧形状に構成されている。他の構成は第1調整リング23の場合と同様である。
【0051】
次に、上述した第1、第2の調整リング23,24の構成を図7及び図8により説明する。
図7は、上述した第1、第2の調整リング23,24の上半分を示す正面断面図で、この図に示すように、前記第1、第2の調整リング23,24は、正面から見て半リング形状に形成されている。また、この第1、第2の調整リング23,24には、前記固定具25のボルト25aが貫通する孔23a,24aが周方向に2箇所設けられており、またその内周面にはベローズ山部15a(図5図6参照)が嵌り込む溝部23b,24bが形成されている。
【0052】
更に、前記調整リング23,24の両側下面には外側に延在するフランジ部23d,24dが設けられており、各フランジ部23d,24dにはそれぞれボルト孔23e,24eが形成されている。
なお、前記第1、第2の調整リング23,24の下半分も上述した上半分と同様の形状に構成されている。
【0053】
また、本実施例においては、前記第1、第2の調整リング23,24の上半分と下半分にそれぞれ2個(合計で4個)の孔23a,24aを設けている例について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、第1調整リングと第2調整リングとの間隔を固定できれば良いので、前記孔23a,24aの数は1個以上あれば良い。但し、合計で3個以上とすることが好ましい。
【0054】
図8は、上述した第1、第2の調整リング23,24を構成する上半分と下半分を結合した状態を示す図で、図8に示すように、第1、第2の調整リング23,24のそれぞれを構成する上半分と下半分を、ベローズ管15の山部15a(図5図6参照)を挟み込むようにして組合せ、ボルト28とナット29により固定することで、ベローズ外面に沿って前記第1、第2の調整リング23,24を取り付けることができる。
【0055】
その後、図4で説明したように、固定具25により、前記第1調整リング23と第2調整リング24の間隔を所定の間隔L1となるように固定することにより、車体稼働時の変位を吸収するためのベローズ管15として機能する長さを、図4のL2だけにすることができるから、ベローズ管15を含むエキゾーストパイプ14における1次の共振点が低下するのを抑制することができる。
【0056】
次に、本実施例におけるエキゾーストパイプ14とベローズ管15の組立手順について、図4図6を用いて説明する。まず、エキゾーストパイプ14はその上流側配管14Aはエンジンの排気出口10A(図3参照)に接続され、一方下流側配管14Bは排気ガス後処理装置16(図3参照)に接続されているものとする。この状態から、前記上流側配管14Aと下流側配管14Bをベローズ管15で接続する手順を説明する。
【0057】
最初に、図4に示すベローズ管15の上流側配管14Aとの連結部(ベローズ管端部)からL1の位置までのベローズ管15の変形を拘束する。この拘束は、例えば図4図6で説明したような拘束手段を使用するか、或いは他の拘束手段を使用する。この状態で、エキゾーストパイプ14の上流側配管14A及び下流側配管14Bとベローズ管15とを結合し、組み立てる。この組立時に、エンジン8と排気ガス後処理装置16との組立誤差を、ベローズ管15における最大組立誤差を許容するためのベローズ長さL2の部分で吸収させる。
【0058】
このエキゾーストパイプ14とベローズ管15の組立後、図5図6に示すように、第1調整リング23及び第2調整リング24を、ベローズ管15の外面に沿って所定位置に取付け、更に固定具25(ボルト25a、ナット25b、ワッシャ25c)により、前記第1調整リング23と前記第2調整リング24との間隔を固定することで、前記ベローズ管15のL2(最大組立誤差許容するためのベローズ長さ)の部分が変形するのを拘束することができる。
【0059】
なお、この拘束時、前記第1、第2の調整リング23,24に設けたボルト25aを貫通させるための孔23a,24aの径はボルト25aの外径よりも大きくなっているので、ベローズ管15の径方向の変位も吸収できる構造となっている。
【0060】
前記第1、第2の調整リング23,24及び拘束具25による上記L2の部分の拘束後、ベローズ管15におけるL1(車体稼働により加わる変位量を許容するためのベローズ長さ)の部分の拘束を開放する。
【0061】
上述した本実施例によれば、エキゾーストパイプ14の取付け時において、エンジン8と排気ガス後処理装置16との間の組立誤差を、ベローズ管15のL2(最大組立誤差を許容するためのベローズ長さ)の部分でのみ全て吸収することができ、エキゾーストパイプ取付け後におけるベローズ管15の初期応力を無くすることができる。また、前記組立誤差をベローズ管15のL2の部分で吸収後、その吸収部位(L2の部分)をリジッドに固定するため、エキゾーストパイプ14におけるベローズ管15として機能する長さをL1(車体稼働により加わる変位量を許容するためのベローズ長さ)のみにすることができる。
【0062】
従って、ベローズ管15を備えているエキゾーストパイプ14の1次の共振点を、ベローズ管15の前記L2の部分をリジットに拘束しない場合に比較し、大幅に高くすることが可能になる。これにより、油圧ショベル(建設機械)の運転範囲における共振点をより少なくすることができるから、油圧ショベルの頻度の高い運転条件における共振回避設計をより容易に行うことができるようになる。
【0063】
以上説明した、本実施例の建設機械によれば、エンジン8と排気ガス後処理装置16との間の組立誤差をベローズ管15の一部で吸収し、この組立誤差を吸収した部位を変位吸収後に固定するように構成しているので、組立誤差により発生するベローズ管15の初期応力を無くすることができる。また、エキゾーストパイプ14の取付け後にベローズ管として機能する長さを、車体稼働により加わる変位量を許容するためのベローズ長さL1のみにすることができるから、共振点の低下を抑制することができ、長寿命な建設機械を得ることができる。
【符号の説明】
【0064】
1:油圧ショベル(建設機械)、2:下部走行体(車体)、3:旋回装置、
4:上部旋回体(車体)、5:作業装置、
6:旋回フレーム、6G:エンジン支持台、
7:キャブ、
8:エンジン、8B:取付フランジ、8C:エキゾーストマニホールド、
9:防振マウント、10:過給機、10A:排気出口、
11:油圧ポンプ、12:熱交換器、13:ファンシュラウド、
14:エキゾーストパイプ、14A:上流側配管、14B:下流側配管、
15:ベローズ管、15a:ベローズ山部、15b:ベローズ谷部、
16:排気ガス後処理装置、16A:入口側接続部、16B:出口側接続部、
18:取付ブラケット、
23:第1調整リング、24:第2調整リング、23a,24a:孔、
25:固定具(25a:ボルト、25b:ナット、25c:ワッシャ)、
L1:車体の稼動により加わる変位量を許容するためのベローズ長さ、
L2:最大組立誤差を許容するためのベローズ長さ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8