特許第6234344号(P6234344)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6234344オレフィンポリマーにおける使用のための重金属不活性化剤/阻害剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234344
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】オレフィンポリマーにおける使用のための重金属不活性化剤/阻害剤
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/02 20060101AFI20171113BHJP
   C08K 5/25 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   C08L23/02
   C08K5/25
【請求項の数】4
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-174199(P2014-174199)
(22)【出願日】2014年8月28日
(62)【分割の表示】特願2013-128797(P2013-128797)の分割
【原出願日】2008年3月17日
(65)【公開番号】特開2015-7247(P2015-7247A)
(43)【公開日】2015年1月15日
【審査請求日】2014年8月29日
【審判番号】不服2016-2767(P2016-2767/J1)
【審判請求日】2016年2月24日
(31)【優先権主張番号】60/911,096
(32)【優先日】2007年4月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149010
【弁理士】
【氏名又は名称】星川 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】レイクマン,パスカル,イー.アール.イー.ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ホー,ソイ,エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ウィヴェルス,ロナルド
【合議体】
【審判長】 小野寺 務
【審判官】 堀 洋樹
【審判官】 大島 祥吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭51−61548(JP,A)
【文献】 特開2013−224438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L1/00-101/14,C08K3/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化14】

の安定化量の金属不活性化剤を含むオレフィンポリマー組成物であって、式中、Rおよ
びRのうちの1つ(ただし、両方ではない)は、式(II):
【化15-1】

を有し、式中、Arは、置換または非置換の芳香族基であり、nは、10から28の整数
であり、
およびRのうちの1つは、ヒンダードフェノール官能基を含有する基である、ただし、RおよびRは、式(III)も式(IV)も有しない、
【化15-2】

式中、Arは、置換または非置換の芳香族基であり、mは、1から1000の整数であ
り、Rは、水素もしくはC1〜12アルキル基であり;又は
【化15-3】

式中、Arは、置換または非置換の芳香族基であり、pおよびqのそれぞれは、1以上
の整数である、
前記組成物。
【請求項2】
式:
【化16】

の安定化量の金属不活性化剤を含むオレフィンポリマー組成物であって、式中、Rおよ
びRのうちの1つ(ただし、両方ではない)は、式(II):
【化17-1】

を有し、式中、Arは、置換または非置換の芳香族基であり、nは、10から28の整数
であり;
kは、1以上であり、
およびRのうちの1つは、C〜C20ヒドロカルビル基、またはヒンダードフ
ェノール官能基を含有する基である;
ただし、RおよびRは、式(III)も式(IV)も有しない、
【化17-2】

式中、Arは、置換または非置換の芳香族基であり、mは、1から1000の整数であ
り、Rは、水素もしくはC1〜12アルキル基であり;又は
【化17-3】

式中、Arは、置換または非置換の芳香族基であり、pおよびqのそれぞれは、1以上
の整数である、
前記組成物。
【請求項3】
オレフィンポリマーが、ポリエチレンまたはポリプロピレンである、請求項1または2
に記載の組成物。
【請求項4】
金属不活性化剤が、組成物の重量を基準として、少なくとも0.001wt%の量で存
在する、請求項1または2に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィンポリマー組成物に関する。一態様において、本発明は、酸化変質
に耐性を有するオレフィンポリマー組成物に関し、別の態様において、本発明は、重金属
により触媒的に促進される酸化変質に耐性を有するそのような組成物に関する。さらに別
の実施形態において、本発明は、そのような組成物から作製された送水管および充填ケー
ブルシース(filled cable sheaths)に関する。
【0002】
発明の背景
保護されていないオレフィンポリマーは、重金属と接触していると経時的に変質するこ
とが知られている。例えば、ポリプロピレン等の保護されていないオレフィンポリマーが
銅線の被覆に使用されている場合、銅線はポリマーの切断を促進または触媒する。したが
って、オレフィンポリマーをそのような変質から保護するために、多くの化合物が長年に
わたり開発されてきた。これらの化合物の中には、各種ヒドラジンがある。
【0003】
USP4,043,976は、銅等の重金属との接触により引き起こされる変質に対す
る耐性を有する安定化オレフィンポリマー組成物を記載しており、該組成物は、オレフィ
ンポリマーおよび0.001重量部から5重量部のN,N’−ジベンゾイルヒドラジン誘
導体を含む。多かれ少なかれ有効性を示す一方で、これらのヒドラジンはまた、多くのオ
レフィンポリマーとの望ましいとは言えない適合性を示し、したがって経時的にポリマー
組成物から移動する傾向を有する。この移動は、ポリマー組成物中の化合物の量を減少さ
せ、一方これはオレフィンポリマーに対する保護を低減するか、さもなくば、移動が問題
とならない場合に必要とされる量よりも多くの化合物が使用されなければならなくなる。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態において、本発明は、式(I):
【化1】
の安定化量の金属不活性化剤を含むオレフィンポリマー組成物であり、式中、R1および
2のうちの少なくとも1つは、式(II):
【化2】
を有し、式中、Arは、置換または非置換の芳香族基であり、nは、1から10の整数で
あり;
または、R1およびR2のうちの少なくとも1つは、式(III):
【化3】
を有し、式中、Arは、置換または非置換の芳香族基であり、mは、1から1000の整
数であり、R3は、水素もしくはC112アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、
ブチル、ヘキシル、オクチル等であり;
または、R1およびR2のうちの少なくとも1つは、式(IV):
【化4】
を有し、式中、Arは、置換または非置換の芳香族基であり、pおよびqのそれぞれは、
1以上の整数である。
【0005】
Arは、任意の芳香族構造、例えば、フェニル、ナフチル、多環式(例えば、アントラ
セン、フェナントレン等)、ビフェニル等であってよく、また置換されていても非置換で
あってもよく、置換されている場合、複数の置換基、例えばテレフタル系を含有してもよ
い。例えば、Arがフェニルである場合、4個までのカルボン酸基を含有することができ
るが、典型的には、Arは非置換のフェニル基である。R3は、それぞれ、化合物の調製
中のエチレン、プロピレン、またはブチレンオキシドの付加の結果である。式IIIの基
のアルコキシドおよびアルキル単位は、任意の順番のブロックとして、または基全体にわ
たりランダムに分布して配置され得る。R1およびR2の両方が式(II)〜(IV)構造
でない場合、該構造ではない方は、典型的にはC1〜C20ヒドロカルビル基、またはヒン
ダードフェノール官能基を含有する基である。
【0006】
別の実施形態において、本発明は、式(V):
【化5】
の安定化量の金属不活性化剤を含むオレフィンポリマー組成物であり、式中、kは、1以
上である。
【0007】
本発明の実践において使用される金属不活性化剤は、オレフィン組成物への溶解度が最
大となるように調整することができ、したがって、金属不活性化剤欠乏に対する良好な耐
性およびマイクロスケールレベルでの最適な安定化を有する組成物が提供される。
【0008】
好ましい実施形態の説明
本開示における数値域は近似であり、したがって、特に指定されない限り、範囲外の値
を含み得る。数値域は、任意のより低い値と任意のより高い値との間に少なくとも2単位
の開きがある限り、1単位刻みで、下限値から上限値(これらを含む)のすべての値を含
む。一例として、例えば分子量、粘度、メルトインデックス等の組成特性、物理的特性、
またはその他の特性が100から1,000である場合、100、101、102等のす
べての個々の値、および100から144、155から170、197から200等の部
分範囲が明示的に列挙される。1未満の値を含有する範囲、または小数部を含む1を超え
る数(例えば、1.1、1.5等)を含有する範囲の場合、1単位は、必要に応じて、0
.0001、0.001、0.01、または0.1とみなされる。10未満の1桁の数を
含有する範囲(例えば、1から5等)の場合、1単位は、典型的には0.1とみなされる
。これらは具体的に意図されるものの例にすぎず、列挙される最低値と最高値の間の数値
のすべての可能な組合せが、本開示において明示的に記されるものと解釈されたい。本開
示内では、とりわけ、オレフィンポリマー組成物中の金属不活性化剤の量、および式(I
I)〜(V)の様々な下付き数値に関して数値域が提供される。
【0009】
「ポリマー」は、同じ種類か異なる種類かを問わず、モノマーを重合させることにより
調製されるポリマー化合物を意味する。したがって、ポリマーという総称的な用語は、通
常1種類のみのモノマーから調製されるポリマーを指すように使用されるホモポリマーと
いう用語、および以下に定義されるインターポリマーという用語を包含する。
【0010】
「インターポリマー」は、少なくとも異なる2種類のモノマーの重合により調製される
ポリマーを意味する。この総称的な用語は、通常異なる2種類のモノマーから調製される
ポリマーを指すように使用されるコポリマー、および異なる3種類以上のモノマーから調
製されるポリマー、例えばターポリマー、テトラポリマー等を含む。
【0011】
「オレフィンポリマー」、「ポリオレフィン」、「PO」等の用語は、単純なオレフィ
ンから得られるポリマーを意味する。多くのポリオレフィンは、熱可塑性であり、本発明
の目的において、ゴム層を含み得る。代表的なポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリブテン、ポリイソプレン、およびそれらの各種インターポリマーを含む。
【0012】
「ブレンド」、「ポリマーブレンド」等の用語は、2種以上のポリマーの組成物を意味
する。そのようなブレンドは、相溶性であってもなくてもよい。そのようなブレンドは、
相分離していてもしていなくてもよい。そのようなブレンドは、透過電子分光法、光散乱
、X線散乱、および当技術分野で知られた他の任意の方法から決定されるような、1つま
たは複数のドメイン構成を含有してもしなくてもよい。
【0013】
「安定化量」等の用語は、重金属触媒酸化に起因する大きな変性からオレフィンポリマ
ーを安定化させるまたは保護するのに十分な、オレフィンポリマー組成物中の金属不活性
化剤の量を意味する。
【0014】
「重金属」等の用語は、脂肪酸との反応により石鹸を形成するナトリウムよりも大きな
原子量の金属、例えば銅、アルミニウム、鉛等を意味する。
【0015】
本発明の実践において使用される金属不活性化剤は、式(I)を有し、好ましくは、A
rは、非置換のフェニル基であり、nは、好ましくは1から10、より好ましくは1から
2の範囲の整数であり、mは、好ましくは1から1000、より好ましくは5から300
の範囲の整数であり、R3は、好ましくはC112アルキル基、例えばメチル、エチル、プ
ロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル等であり、pおよびqは、同じまたは異なり、好ま
しくはそれぞれ1以上、より好ましくはqが5以上であり、kは、好ましくは1以上、よ
り好ましくは2以上の整数である。好ましくは、金属不活性化剤は、単にポリマーの処理
、例えば溶融段階中だけでなく、最終生成物中において不活性化剤が所望の溶解度特性を
有するように、特定のポリオレフィン組成物との使用のために調整される。最終ポリオレ
フィン組成物中の向上した溶解度により、不活性化剤は、組成物からの移動に対してより
耐性を有する。例えば、管の用途においては、より良好な酸化安定性を提供するために、
管の外表面に金属不活性化剤が必要とされる。最終生成物中の向上した溶解度により、金
属不活性剤は、(より溶解度の低い不活性剤と比較して)最終生成物においてより容易に
幾何学的に配向し、したがって、より生成物から移動しにくくなる。
【0016】
本発明の金属不活性化剤は、既知の試薬、条件および器具を使用して、従来の金属不活
性化剤とほぼ同じ様式で調製される。USP4,043,976、3,931,103お
よび3,798,286に教示されるプロセスが例示的である。典型的には、これらの不
活性化剤は、芳香族ポリカルボン酸、例えばテレフタル酸の、アルキル化またはアルコキ
シル化された芳香族酸、例えばテレフタル酸へのエステル化またはアルコキシル化により
調製される。最終的なヒドラジン誘導体は、例えば無水ヒドラジンとの反応が関与する。
代替として、塩化チオニル経路が実行可能である。
【0017】
本発明のオレフィンポリマー組成物は、典型的には、少なくとも0.001wt%、好
ましくは少なくとも0.005wt%、より好ましくは少なくとも0.01wt%、さら
により好ましくは少なくとも0.05wt%の金属不活性化剤を含む。金属不活性化剤の
最大量は、利便性、費用、および収穫逓減の因子であるが、典型的な最大量は、オレフィ
ンポリマー組成物の重量を基準として、0.3wt%、より典型的には0.2wt%、さ
らにより典型的には0.1wt%である。
【0018】
本発明における使用に好適なポリオレフィンは、LLDPE、LDPE、HDPE、中
密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エチレン−プロピレン
ターポリマー(例えば、エチレン−プロピレン−ブタジエン)、ポリプロピレン、ポリブ
タジエン、スチレン−アクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリル−ブタジエン−ス
チレン(ABS)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレン−プロピレンコポリマー(
EP)、シリコーンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、フルオロエラストマー等を含
むが、これらに限定されない。さらに、2種以上のポリマーのブレンドを使用することが
できる。オレフィンポリマーは、非晶質であっても結晶質であってもよく、密度、分子量
、多分散性、溶融温度等の点で広く変動し得る。これらのオレフィンポリマーはまた、例
えば、直列式または並列式反応器中での、反応器中または反応器後のブレンドを伴う、チ
ーグラー−ナッタ、メタロセン、または拘束幾何触媒(constrained geometry catalyst
)等を使用した、ガス、スラリー、または溶液重合等の広範なプロセスにより作製するこ
とができる。
【0019】
オレフィンポリマー組成物は、本発明の金属不活性化剤の有効性に干渉しない範囲の、
その他の添加剤、例えばその他の酸化防止剤(例えば、IRGANOX(商標)1010
(Ciba Specialty Chemicals社の登録商標)等のヒンダードフ
ェノール等)、ホスファイト(例えば、IRGAFOS(商標)168(Ciba Sp
ecialty Chemicals社の登録商標)等)、UV安定剤、粘着添加剤(cl
ing additive)、光安定剤(ヒンダードアミン等)、可塑剤(ジオクチルフタレートまた
はエポキシ化大豆油等)、熱安定剤、離型剤、粘着付与剤(tackifier)(炭化水素粘着
付与剤等)、ワックス(ポリエチレンワックス等)、加工助剤(油、ステアリン酸等の有
機酸、有機酸の金属塩等)、架橋剤(過酸化物またはシラン等)、充填剤および/または
難燃剤(例えば、タルク、炭酸カルシウム、有機粘土、ガラス繊維、大理石粉末、セメン
ト粉末、長石、シリカもしくはガラス、フュームドシリカ、シリケート、アルミナ、三酸
化アンチモン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、シリコーン、酸化チタン、膨張性黒鉛等)、着
色剤または顔料等を含む。これらのその他の添加剤は、当業者に知られた機能的に同等な
量、一般には組成物の総重量を基準として約0.3重量パーセントまでの量で使用される
【0020】
本発明のオレフィンポリマー組成物は、オレフィンポリマー、金属不安定化剤、および
存在し得る任意の添加剤の比較的均質な混合物を生成する任意のプロセスを使用して調製
することができる。これらのプロセスは、低沸点溶媒への金属不活性化剤の溶解または分
散、溶液または分散液のオレフィンポリマーとの混合、および溶媒の留去を含む。代替と
して、オレフィンポリマーを、その融点を超える温度に加熱し、適切な撹拌と共に金属不
活性化剤を添加する。さらに別のプロセスは、従来の混合器具、例えば押出機におけるオ
レフィンポリマーと金属不活性化剤の混合である。
【0021】
一実施形態において、金属不活性化剤の調製手順は、典型的には還流条件下でのフラス
コ内におけるアルコールまたはヒドロキシル含有物質のカルボン酸置換フェニル物質、例
えばテレフタル酸とのエステル化から始まる。エステルが形成されたら、水を分離する。
次いで、極性溶媒の存在下または非存在下で、エステルをより低い温度で任意のヒドラジ
ン付加体と反応させ、式R−O−(CO)−Ar−(CO)−(NH)−NH2の化合物
を形成する。この化合物を、さらに、テトラヒドロフラン(THF)、ベンゼン、または
キシレン等の溶媒の存在下または非存在下で、より高い温度で変換してR−O−(CO)
−Ar−(CO)−(NH)−(NH)−(CO)−Ar−(CO)−O−Rを形成する
ことができる。生成物を水で洗浄し、極性溶媒またはその他の好適な溶媒中で再結晶化し
た後に、最終生成物が得られる。
【0022】
別の実施形態において、より高い温度でのヒドラジン置換ステップは、R−O−(CO
)−Ar−(CO)−(NH)−NH2のR−O−(CO)−Ar−(CO)−Clとの
反応および副生成物としての塩酸の除去で置き換えられる。R基は、アルキル、アルコキ
シ、またはこれらの基の2つ以上の組合せである構造をベースとした、同じまたは異なる
ものであってもよい。望ましい場合は、より多くのヒドラジンを使用して、R−O−(C
O)−Ar−(CO)−O−R等の化合物を、Ar−(CO)−(NH)−(NH)−(
CO)等の基の繰り返しを有するヒドラジン誘導体に変換することができる。これにより
、1分子あたりのより大きな不活性化能力がもたらされる。
【0023】
アルコキシル化原料(R基)は、一般的なアニオン重合プロセスにおいて使用されるよ
うな従来のアルコキシル化化学により調製することができる。
【0024】
上述のプロセスのいずれかにより上記のように調製された金属不活性化剤は、次いで、
用途に好適な用量で、重金属からの保護を必要とするポリマー中に処理(配合またはその
他の製造プロセス)することができる。用量の最適サイズは、重金属に対するポリマーの
感度、最終用途における重金属接触の度合、ならびに使用条件および使用期間の評価によ
り、添加剤化学の当業者により決定され得る。
【0025】
上記の例により本発明を極めて詳細に説明したが、この詳細は、例示を目的としたものであり、添付の特許請求の範囲および精神に対する限定として解釈されるべきではない。上記で引用されたすべての米国特許、許可された米国特許出願および米国特許出願公開は、参照により本明細書に組み入れられる。
本発明は以下の態様を含む。
[1] 式:
【化6】

の安定化量の金属不活性化剤を含むオレフィンポリマー組成物であって、式中、RおよびRのうちの少なくとも1つは、式(II):
【化7】

を有し、式中、Arは、置換または非置換の芳香族基であり、nは、5から28の整数であり;
または、RおよびRのうちの少なくとも1つは、式(III):
【化8】

を有し、式中、Arは、置換または非置換の芳香族基であり、mは、1から1000の整数であり、Rは、水素もしくはC1〜12アルキル基であり;
または、RおよびRのうちの少なくとも1つは、式(IV):
【化9】

を有し、式中、Arは、置換または非置換の芳香族基であり、pおよびqのそれぞれは、1以上の整数である、前記組成物。
[2] 式:
【化10】

の安定化量の金属不活性化剤を含むオレフィンポリマー組成物であって、式中、RおよびRのうちの少なくとも1つは、式(II):
【化11】

を有し、式中、Arは、置換または非置換の芳香族基であり、nは、5から28の整数であり;
または、RおよびRのうちの少なくとも1つは、式(III):
【化12】

を有し、式中、Arは、置換または非置換の芳香族基であり、mは、1から1000の整数であり、Rは、水素もしくはC1〜12アルキル基であり;
または、RおよびRのうちの少なくとも1つは、式(IV):
【化13】

を有し、式中、Arは、置換または非置換の芳香族基であり、pおよびqのそれぞれは、1以上の整数であり;
kは、1以上である、前記組成物。
[3] RおよびRの両方が、式(II)、(III)、または(IV)を有する、上記[1]または[2]に記載の組成物。
[4] RおよびRが同じである、上記[3]に記載の組成物。
[5] RおよびRが異なる、上記[3]に記載の組成物。
[6] オレフィンポリマーが、ポリエチレンまたはポリプロピレンである、上記[1]または[2]に記載の組成物。
[7] 金属不活性化剤が、組成物の重量を基準として、少なくとも0.001wt%の量で存在する、上記[1]または[2]に記載の組成物。