特許第6234345号(P6234345)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234345
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】トナー
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/08 20060101AFI20171113BHJP
   G03G 9/087 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   G03G9/08 311
   G03G9/08 368
   G03G9/08 381
   G03G9/08 331
   G03G9/08 321
   G03G9/08 325
   G03G9/08 365
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-178060(P2014-178060)
(22)【出願日】2014年9月2日
(65)【公開番号】特開2015-60219(P2015-60219A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2017年8月30日
(31)【優先権主張番号】14/028,840
(32)【優先日】2013年9月17日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレリー・エム・ファルジア
【審査官】 野田 定文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−113002(JP,A)
【文献】 特開2003−241423(JP,A)
【文献】 特開2005−78095(JP,A)
【文献】 特開2004−93784(JP,A)
【文献】 特開2000−98655(JP,A)
【文献】 特開2009−294655(JP,A)
【文献】 特開2010−55093(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0123860(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/00 − 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーであって、複数のトナー粒子を含み、各トナー粒子が、
少なくとも1つのバインダー樹脂を含むバインダー樹脂コアと;
前記バインダー樹脂コアの周囲に配置されたシェルとを含み、
前記シェルが、複数の金属ナノ粒子およびシェルマトリックスを含み、前記複数の金属ナノ粒子が前記シェルマトリックスに配置され、前記シェルマトリックスは、前記コアの樹脂のTgより高いTgを有する樹脂で形成され、
各金属ナノ粒子が、金(Au)、パラジウム(Pd)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、アンチモン(Sb)、タングステン(W)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ガドリニウム(Gd)、ユーロピウム(Eu)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、ストロンチウム(Sr)、マグネシウム(Mg)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)およびバリウム(Ba)からなる群から選択される少なくとも1つの金属を含み、
前記シェルが、0.001μm〜0.2μmの厚みを有し、
前記バインダー樹脂コアが、アモルファスポリエステルおよび結晶性ポリエステルを含み、
前記バインダー樹脂コアが、金属ナノ粒子が存在しない前記バインダー樹脂の凝集物を作製することを含む方法によって調製される、トナー。
【請求項2】
前記バインダー樹脂が、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリエーテルポリオール樹脂、フェノール樹脂、ケイ素樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂およびポリブタジエン樹脂からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
前記シェルが、さらに銀(Ag)ナノ粒子を含む、請求項1に記載のトナー。
【請求項4】
前記トナー粒子が、前記トナー粒子の重量の0.00001重量%〜10重量%の金属ナノ粒子を含む、請求項1に記載のトナー。
【請求項5】
前記バインダー樹脂コアが、さらに、さらなる樹脂、ワックス、凝固剤または安定化剤を含む、請求項1に記載のトナー。
【請求項6】
前記バインダー樹脂コアが、アモルファスポリエステル、結晶性ポリエステル、ワックス、凝固剤および安定化剤からなる、請求項1に記載のトナー。
【請求項7】
前記バインダー樹脂コアが、金属ナノ粒子を含まない、請求項1に記載のトナー。
【請求項8】
トナーであって、複数のトナー粒子を含み、各トナー粒子が、
少なくとも1つのバインダー樹脂を含むバインダー樹脂コアと;
前記バインダー樹脂コアの周囲に配置されたシェルとを含み、
前記シェルが、複数の金属ナノ粒子とシェルマトリックスとを含み、前記複数の金属ナノ粒子が前記シェルマトリックスに配置され、前記シェルマトリックスは、前記コアの樹脂のTgより高いTgを有する樹脂で形成され、
各金属ナノ粒子が、金(Au)、パラジウム(Pd)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、アンチモン(Sb)、タングステン(W)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ガドリニウム(Gd)、ユーロピウム(Eu)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、ストロンチウム(Sr)、マグネシウム(Mg)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)およびバリウム(Ba)からなる群から選択される少なくとも1つの金属を含み、
前記バインダー樹脂コアが、金属ナノ粒子が存在しない前記バインダー樹脂の凝集物を作製することを含む方法によって調製され、
前記シェルが、0.001μm〜0.5μmの厚みを有し、
前記バインダー樹脂コアが、金属ナノ粒子を含まず、
前記バインダー樹脂コアが、バインダー樹脂、ワックス、凝固剤および安定化剤からなる、
トナー。
【請求項9】
前記シェルが、銀(Ag)ナノ粒子を更に含む、請求項8に記載のトナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する主題は、一般的に、金属ナノ粒子を含有するトナー組成物、およびこのようなトナー組成物を製造する方法の分野に関する。図1Aに示すように、既知のプラズモンバイオセンサー100は、ガラス基材102の上に形成された銀ナノ粒子103を含んでいてもよい。対応する特徴的なプラズモン消光スペクトル101を図1Bに示す。このような医療用デバイスの構成要素を形成する基材に金属ナノ粒子を運ぶ方法を提供することが有益であろう。
【背景技術】
【0002】
狭い粒度分布を有するミクロンサイズのポリマー微小球を調製するために、乳化凝集(「EA」)プロセスを提供する。広義で、EAプロセスは、ナノメートルサイズの構成物質(例えば、ポリマーおよび顔料)から、粒径、形状および粒度分布に影響を与える化学条件および物理条件を注意深く制御することによって、微小球を制御しつつ成長させることによって、望ましい結果を有するトナーの製造を達成する。EAプロセスを図2に示すフローチャートにまとめている。
【0003】
当該技術分野で必要なのは、抗菌性、抗ウイルス性および抗真菌性を与えることができるトナー粒子、このトナー粒子を製造する方法、およびこのようなトナー粒子を含む印刷物品である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態では、複数のトナー粒子を含んでいてもよいトナーが存在する。各トナー粒子は、バインダー樹脂コアと、バインダー樹脂コアの周囲に配置されたシェルとを含んでいてもよい。バインダー樹脂コアは、少なくとも1つのバインダー樹脂を含んでいてもよい。シェルは、複数の金属ナノ粒子を含んでいてもよい。金属ナノ粒子が存在しないバインダー樹脂の凝集物を作製することによって、バインダー樹脂コアを調製することができる。
【0005】
さらに別の実施形態では、トナー粒子を作製する方法が存在し、この方法で、第1の乳化した溶液を提供することができる。第1の乳化した溶液は、不飽和アモルファス樹脂および/または結晶性ポリエステル樹脂を含んでいてもよい。第1の乳化した溶液に凝固剤を加えることによって、融着した溶液を作製してもよい。融着した溶液を均質化することによって、凝集した粒子を含む凝集物混合物を作製してもよく、凝集物混合物の凝集した粒子に金属ナノ粒子が配置されていない。凝集した粒子が所定の粒径に達するまで、凝集物混合物を加熱してもよい。凝集物混合物に金属含有溶液を加えることによって、シェルを形成する混合物を作製してもよい。金属含有溶液は、金属ナノ粒子を含んでいてもよい。シェルを形成する混合物のpHを約5〜約9に調節してもよく、シェルを形成する混合物を融着温度まで加熱することによって、トナー粒子を製造してもよい。トナー粒子は、バインダー樹脂コアと、バインダー樹脂コアの周囲に配置されたシェルとを含んでいてもよい。シェルは、複数の金属ナノ粒子を含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A図1Aは、銀ナノ粒子を含んでいてもよいプラズモンバイオセンサーを示す。
図1B図1Bは、図1Aのバイオセンサーに関するバイオセンサー応答の代表的な波長シフトのグラフを示す。
図2図2は、トナー粒子を作製する従来の乳化/凝集方法をまとめたものである。
図3図3は、一実施形態のコア−シェルEAトナー粒子を示す。
図4A図4Aは、基材と、基材表面に配置された一実施形態のトナーとを含む印刷物を示す。
図4B図4Bは、図4Aの印刷物を作製するトナーの堆積後溶融を示す。
図5図5は、一実施形態のトナー粒子を作製するための方法を示す。
図6図6は、一実施形態のトナー粒子を作製するための方法を示す。
図7図7は、一実施形態のトナー粒子を作製するための方法を示す。
図8図8は、一実施形態のトナーを作製するための方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書に記載する実施形態は、EAトナー技術を利用し、印刷可能な材料(例えば、抗菌性が向上した銀ナノ粒子組成物を含むトナー)を製造することができる。このようなトナー粒子を運び、これを基材の上で融合させると、銀ナノ粒子が酸素にさらされることによって銀イオンが放出され、これが強力な抗菌剤として作用する能力を有する。
【0008】
本明細書に記載する実施形態の銀含有トナーを、診断用途(印刷可能なバイオセンサー、生物学的タグ)、抗菌用途(抗菌性の必要な衣類または他の基材への印刷)、導電性用途(トナーの熱伝導性および電気伝導性を高める)および光学用途(光を有効に集めるため、金属増強蛍光(MEF)および表面増強ラマン散乱のために基材に印刷)のためのコーティングとして導入することができる。
【0009】
一実施形態では、トナーは、複数のトナー粒子を含んでいてもよい。図3に示すように、各トナー粒子300は、バインダー樹脂コア301と、バインダー樹脂コアの周囲に配置されたシェル302とを含んでいてもよい。バインダー樹脂コア301は、1種類のバインダー樹脂を含んでいてもよい。シェル302は、複数の金属ナノ粒子303を含んでいてもよい。例えば、シェル302は、金属ナノ粒子303が配置されたマトリックス材料から作られてもよい。シェルは、シェルの厚みが約0.001μm〜約2.0μmであってもよい。一実施形態では、トナー粒子は、トナー粒子の重量の約0.00001重量%〜約10重量%、または約0.01重量%〜10重量%の金属ナノ粒子を含んでいてもよい。バインダー樹脂の凝集物を作製することを含む方法によって、バインダー樹脂コアを調製することができる。金属ナノ粒子が封入されてバインダー樹脂コアに組み込まれるのを避けるために、金属ナノ粒子存在下でバインダー樹脂の凝集物を作製すべきではない。
【0010】
バインダー樹脂コアは、さらに、さらなる樹脂、ワックス、凝固剤および安定化剤のうち、少なくとも1つを含んでいてもよい。一実施形態では、バインダー樹脂コアは、アモルファスポリエステルと、場合により、結晶性ポリエステルとを含む。
【0011】
シェルは、金属ナノ粒子が配置されたマトリックス、例えば、樹脂(例えば、アモルファスポリエステル樹脂)で作られたマトリックスを含んでいてもよい。シェルは、結晶性ポリエステルを含まなくてもよい。一実施形態では、シェルマトリックスは、コアのバインダー樹脂と同じ樹脂である。別の例では、シェルマトリックスは、コアの樹脂のTgより高いTgを有する樹脂で作られる。
【0012】
一実施形態では、各金属ナノ粒子は、銀(Ag)ナノ粒子を含んでいてもよい。トナー粒子のシェル部分に作られた銀ナノ粒子は、銀ナノ粉末を原料としていてもよい。好ましい銀ナノ粉末としては、わずか0.3質量%〜4.0質量%のポリビニルピロリドン(PVP)表面コーティングを含み、ナノ粉末の粒径が10〜100nmであり、狭い分布(変動係数(CV)<15%)を有するナノ粒子が挙げられる。有機物に分散可能な銀ナノ粒子は、ヘキサン、トルエン、クロロホルムに分散させた後に、集塊物を形成せず、この実施形態で多くの他の有機溶媒を使用することができる。これらの銀ナノ粒子は、粒径が4nm(CV<20%)のものが入手可能であろう。いくつかの実施形態では、トナー粒子のシェル部分に作られる他の銀ナノ粒子は、直径が10nm、20nm、40nm、60nmおよび100nmのものであってもよく、濃度0.02mg/mLのクエン酸で安定化された表面を有する。銀ナノ粒子を合成することができる。
【0013】
トナーを堆積させ、図4Aに示すような印刷物400を作製することができる。印刷物は、基材401と、基材表面に配置されたトナーとを含んでいてもよい。図4Bに示すような例では、トナー粒子の粒子層を完全に堆積させた後、堆積した層300’を熱または紫外(UV)光で溶融させ、金属ナノ粒子303が中に分散した印刷物400’を作製することができる。
【0014】
コアシェルトナー粒子300のシェル302に、配置された銀ナノ粒子303を含むことによって、基材401の上に(例えば、トナー粒子300が基材に運ばれ、基材の上で融合するときに作られる印刷層300’の中に)金属ナノ粒子303を運ぶことができる。層300’の中に、金属ナノ粒子濃度の分布勾配を作り出すことができる。すなわち、一実施形態では、金属ナノ粒子を、印刷層の中で、印刷層の下側または底面のナノ粒子の濃度よりも高い濃度で、印刷層の上側または最上部表面に分布させることができる。
【0015】
本明細書に記載の実施形態では、コア−シェルトナー粒子のシェルを、金属含有溶液805’から作ることができる。例えば、図5〜7に図示し、以下に示すプロセスによって、このような金属含有溶液を調製することができる。
【0016】
金属含有溶液805’を作製するために、転相乳化(PIE)プロセスを使用することができる。本明細書に開示する転相プロセスは、まず、樹脂および他の成分を有機溶媒(一般的に水と混和しない)に溶解することを含む。樹脂と溶媒との比率は、通常は、溶解度および得られる粘度によって決定される。本明細書に開示する転相プロセスの最適な比率は、樹脂10部あたり、有機溶媒(例えば、メチルエチルケトン)が約5〜7部であることがわかっている。
【0017】
PIEプロセスに使用することができ、例えば、図5〜7に示すような金属含有溶液805’を作製するときに、第1、第2、第3および第4の有機溶媒に使用することができる、水と混和しない有機溶媒のさらなる例としては、芳香族炭化水素;脂肪族炭化水素溶媒;エステル溶媒;ケトン溶媒;ハロゲン化脂肪族炭化水素溶媒;ハロゲン化飽和炭化水素;およびこれらの混合物が挙げられる。
【0018】
本明細書に開示する転相プロセスは、次に、転相有機溶媒を樹脂/溶媒混合物に加えることを含む。転相有機溶媒は、典型的には、有機相および水相の両方に可溶性であるように選択される。この溶媒は、当該技術分野では油または有機相として知られている。転相有機溶媒の一例は、イソプロパノールである。本明細書に開示する転相有機溶媒の最適な比率は、樹脂10部に対し、転相溶媒(例えば、イソプロパノール)が約1〜3部であることがわかっている。
【0019】
適切な転相有機溶媒のさらなる例としては、酢酸、アセトン、アセトニトリル、ジエチレングリコール、ジグリム、ジメトキシ−エタン(グリム)、ジメチル−スルホキシド(DMSO)、ジメチル−ホルムアミド(DMF)、ジオキサン、エタノール、エチレングリコール、グリセリン、メタノール、プロパン−1−オール、t−ブチルアルコールおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0020】
樹脂をまず有機溶媒に溶解し、その後、転相有機溶媒を加えることを本明細書で記載してきたが、この工程順序は必須ではないことを理解されたい。したがって、例えば、いくつかの実施形態では、1つの工程を行うことによって、樹脂および他の任意要素の成分を有機溶媒に溶解し、同時に転相有機溶媒を加えることによって実施してもよく、または、有機溶媒および転相有機溶媒の混合物をあらかじめ調製しておき、これに樹脂を溶解してもよい。
【0021】
本明細書に開示する転相プロセスは、さらに、中和剤、またはpHが約8〜約14の塩基性化学物質、例えば、水酸化アンモニウムを含む。さらなる中和剤としては、例えば、塩化アンモニウムおよびアルカリ金属水酸化物、例えば、NaOH、KOHおよびLiOHが挙げられる。
【0022】
中和比の量は、樹脂の酸価に対し、等モル量を用いて計算することができる。したがって、中和比は、樹脂の酸性基を中和するのに必要な塩基の量であると定義することができる。
【0023】
本明細書に開示する転相プロセスは、次に、混合物に水を加えることを含む。本明細書に開示する転相プロセスは、次に、例えば熱を用い(例えば、蒸留中に)、有機溶媒を除去することを含む。さらなる除去技術としては、抽出またはフラッシュ蒸留が挙げられる。
【0024】
本明細書に開示する転相プロセスを使用し、樹脂または樹脂と他の成分の組み合わせを溶解することができる。エマルションに含まれてもよい他の成分の例は、例えば、金属ナノ粒子、例えば、銀ナノ粒子である。したがって、得られた樹脂エマルションは、以下にさらに記載するような凝集した粒子の表面周囲にシェルを作製するための金属含有溶液(例えば、金属含有溶液805’)であってもよい。
【0025】
本明細書に開示する転相プロセスで使用する成分は、約10部の樹脂(所定量の銀ナノ粒子を含む)と、5〜7部の有機溶媒、好ましくは、メチルエチルケトンと、1〜3部の転相溶媒、好ましくは、イソプロパノールとを含んでいてもよい。
【0026】
凝集したコア粒子の溶液に加えた金属含有溶液から、金属ナノ粒子を含むシェルを作製することができ、コア粒子の周囲にシェルが生成する。
【0027】
シェルを作製するための金属含有溶液を、方法500、例えば、PIEプロセスによって調製することができる。方法500は、第1の有機溶媒に分散したバインダー樹脂の凝集物を含んでいてもよいバインダー凝集物溶液501を提供することと、バインダー凝集物溶液501と、金属ナノ粒子を含んでいてもよい第1の金属含有水溶液502とを含む樹脂エマルション503を作製することと、504において樹脂エマルションを混合することと、505において樹脂エマルションを加熱し、第1の有機溶媒を留去することとを含む。
【0028】
図6に示すように、別のPIEプロセスを利用してシェルを作製することができる。例えば、方法600は、シェルを作製するために用いられる金属含有溶液を作製するためのPIEプロセスを示し、水溶液に分散したバインダー樹脂の凝集物を含んでいてもよいバインダー凝集物溶液601を提供することと;バインダー凝集物溶液601と、金属ナノ粒子および第2の有機溶媒を含んでいてもよい第1の金属含有溶液602とを含む樹脂エマルション603を作製することと;樹脂エマルションを混合すること(604)と、樹脂エマルションを加熱し、第2の有機溶媒を留去すること(605)とを含んでいてもよい。
【0029】
図7に示すように、別のPIEプロセスを利用してシェルを作製することができる。例えば、方法700は、シェルを作製するために用いられる金属含有溶液を作製するためのPIEプロセスを示し、第3の有機溶媒に分散したバインダー樹脂の凝集物を含んでいてもよいバインダー凝集物溶液701を提供することと;界面活性剤水溶液702’と、バインダー凝集物溶液701と、金属ナノ粒子および第4の有機溶媒を含んでいてもよい第1の金属含有溶液702とを含む樹脂エマルション703を作製することと;樹脂エマルションを混合すること(704)と、樹脂エマルションを加熱し、樹脂エマルションから第3および第4の有機溶媒を蒸留すること(705)とを含んでいてもよい。
【0030】
図8に示すように、コアのバインダー凝集物粒子を作製した後に、例えば、バインダー凝集物粒子が所定の粒径に達したら、シェル(例えば、金属ナノ粒子を含むシェル302)を作製するために使用される金属含有溶液を導入することができる。
【0031】
図8に示されるように、粒径が小さな粒子を、適切なおよび/または所定の粒径になるまで凝集させ、この粒子の中に金属ナノ粒子は作られない、コア粒子を作製するための凝集プロセスと、シェルに配置された金属ナノ粒子を用い、適切なおよび/または所定の厚みになるまでコア粒子の上にシェルを作製するためのシェル作製プロセスと、コア−シェル粒子が作られ、最終的なトナー粒子の形状および形態になる融着工程とを含む方法800によってトナー粒子を調製することができる。
【0032】
トナー粒子の成長および成形を、凝集が融着とは別個に起こる条件で行ってもよい。凝集段階および融着段階を別個に行うために、凝集プロセスを、高温で、剪断条件で行ってもよく、この温度は、バインダー樹脂のガラス転移温度より低い温度であってもよい。凝集段階の後、シェル作製段階中にシェルを作製することができる。融着段階中に、シェルおよびコア構造を有するトナー粒子を一緒に成形することができる。
【0033】
図8に示す乳化凝集プロセスにおいて、ワックスおよび任意の他の望ましい添加剤の任意要素の混合物(802’)と、バインダー樹脂を含むエマルションとを凝集させ、第1の乳化した溶液を作製することと、次いで、この凝集物混合物を融着させることによって、凝集した粒子を作製する。バインダー樹脂を含むエマルションは、バインダー樹脂を少なくとも含有する2種類以上のエマルションの混合物であってもよい。
【0034】
重合可能なモノマーを含むモノマー混合物801と、開始剤溶液および/またはさらなる重合要素を含み、これらを合わせて、例えば、不飽和アモルファスポリエステルおよび/または結晶性ポリエステル樹脂(例えば、バインダー樹脂)を含む第1の乳化した溶液803(すなわち、第1の乳化した溶液)を与える水性媒体相802とから、エマルション(例えば、第1の乳化した溶液803)を作製することができる。任意要素の顔料/着色剤分散物、任意要素のワックス分散物および/または界面活性剤802’を、第1の乳化した溶液803に加えることができる。
【0035】
第1の乳化した溶液803を作製する、樹脂および任意要素の顔料、ワックスおよび/または界面活性剤から得られた混合物のpHを、酸(例えば、酢酸、硝酸など)を加えることによって調節してもよい。いくつかの実施形態では、得られた混合物のpHを約2〜約4.5に調節してもよい。さらに、いくつかの実施形態では、混合物を均質化してもよい。混合物を均質化する場合、任意の適切な手段(例えば、IKA ULTRA Turrax T50プローブホモジナイザー)を用いて、毎分約600〜約4,000回転(rpm)で混合することによって均質化を達成してもよい。
【0036】
凝集剤凝固剤804(例えば、酸、金属ハロゲン化物、例えば、ポリ塩化アルミニウム、または金属硫酸塩)を、第1の乳化した溶液803に加え、凝集した粒子を含む融着した溶液を作製することができる。バインダー樹脂のガラス転移温度より低い温度で、混合物に凝集剤を加えてもよい。凝集した粒子805を作製するのに十分な量の凝集のための薬剤を与えるように、乳化した溶液に凝集剤を加えてもよい。
【0037】
金属イオン(例えば、Al3+)が、凝集した粒子中に保持されていてもよい。粒子中に保持された金属イオンの量を、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を加えることによって、さらに調節してもよい。
【0038】
トナー粒子の凝集およびその後の融着を制御するために、凝集剤凝固剤804を長期間にわたって第1の乳化した溶液混合物に秤量して加えてもよい。融着した溶液を均質化し、凝集したバインダー粒子またはバインダー樹脂の凝集物を含むスラリーであってもよいバインダー凝集物溶液/混合物を作製してもよい。このプロセスでこのようにして作られ、トナー粒子を生成するプロセスの残りの部分のために作られた凝集した粒子は、金属ナノ粒子を含むべきではない。
【0039】
凝集したバインダー樹脂粒子を含む凝集物混合物を、高温で加熱してもよい。高温は、例えば、バインダー樹脂のガラス転移温度より低い温度であってもよい。所定の望ましい粒径に達したら、凝集した粒子の粒径を大きくするための成長プロセスを止める。
【0040】
このような所定の粒径に達するまで、成長プロセス中、粒径を監視してもよい。凝集した粒子の所定の粒径は、例えば、直径が1ミクロン〜約12ミクロン、約1ミクロン〜約4ミクロン、約3ミクロン〜約12ミクロンまたは約4ミクロン〜約8ミクロンであってもよい。いくつかの実施形態では、凝集物バインダー樹脂粒子は、粒径が約3ミクロン未満、約2〜約3ミクロン、または約2.5ミクロン〜約2.9ミクロンであってもよい。
【0041】
金属ナノ粒子を含むシェルは、コアの凝集した粒子805を完全に覆っていてもよい。つまり、凝集した粒子805を金属含有溶液805’と合わせ、シェルを形成する混合物806を作製したとき、金属含有溶液のシェル−ラテックスは、凝集した粒子の上にシェルを形成し、金属含有溶液の金属ナノ粒子が、シェルの中に配置される。金属含有溶液805’を、方法500、600または700にしたがって製造することができる。金属含有溶液は、凝集した粒子805と同じ樹脂または異なる樹脂を含む。金属含有溶液は、凝集した粒子805の樹脂のTgより高いTgを有する樹脂を含む。
【0042】
シェルが、凝集した粒子805の一部(すべてではない場合)の外側表面の上に生成するように、金属含有溶液805’を加え、それによって、コア−シェル構造を有する複数のトナー粒子(例えば、図3に示すように、コア301の上に形成された、シェル302と、シェル302に配置された金属ナノ粒子とを含むトナー粒子300)を作製する。シェル302を、当業者が知っている任意の方法によって、コア凝集物粒子300の上に作製することができる。
【0043】
凝縮した粒子が、上述のような所定の粒径に達したら、金属ナノ粒子を含む金属含有溶液805’を、凝集した粒子に加え、樹脂エマルションシェルを形成する混合物を作製することができる。
【0044】
アモルファスポリエステルを利用し、凝縮した粒子それぞれ、または実質的にそれぞれにシェルを作製してもよい。一例として、金属含有溶液は、高度に架橋したラテックス(例えば、28%ポリエステルゲルラテックス)を含んでいてもよい。
【0045】
金属含有溶液805’の第1の部分を、凝集した粒子溶液805に加えた後、さらなる量の金属含有溶液805’またはシェルラテックスのみを断続的に、または連続的に加え、さらなる容積のシェルを形成する混合物806を作製してもよい。一例では、トナー粒子が、所定の粒径である約3ミクロン〜約12ミクロン、または約4ミクロン〜約8ミクロンに達するまで、シェルラテックスを加える。
【0046】
金属含有溶液805’を、バインダー材料全体の約5〜約40重量%の量で、または好ましくは、5〜約30重量%の量で、凝集した粒子805に加えてもよい。
【0047】
シェルによって包まれたコアを含むように作られたトナー粒子が、厚みが約0.001μm〜約2.0μm、例えば、約0.2μm〜約1.5μm、好ましくは、約0.5μm〜約1.0μmのシェルを有するように、ある量の金属含有溶液と、さらなる量の任意要素のシェルラテックスを、凝集した粒子に加えてもよい。シェルによって包まれたコアを含むように作られたトナー粒子が、トナー粒子の約0.00001重量%〜約10重量%、例えば、0.02重量%〜約10重量%、または約0.01重量%〜約6重量%のシェル中に作られた、ある重量%の金属ナノ粒子を含むように、ある量の金属含有溶液と、さらなる量の任意要素のシェルラテックスを、凝集した粒子に加えてもよい。
【0048】
シェルマトリックス材料(例えば、シェル樹脂)は、トナー粒子の約10重量%〜約32重量%、または約24重量%〜約30重量%の量で存在していてもよい。
【0049】
トナー粒子中のバインダーの合計量は、外部添加剤を除き、固形分基準で、トナー粒子の約60重量%〜約95重量%、または約70重量%〜約90重量%の量であってもよい。
【0050】
コア−シェルトナー粒子の望ましい最終粒径に達したら、シェルを形成する混合物のpHを調節し、コア−シェルトナー粒子の成長を止めてもよい。いくつかの実施形態では、pHを調節しやすくするために、EDTAを加えてもよい。
【0051】
上述のようなシェルの作製とともに、望ましい凝集物の粒径になるまで凝集させた後、コア−シェルトナー粒子を、例えば、混合物を加熱することによって、望ましい最終形状になるまで融着してもよい。融着段階807中、可塑化を防ぐために、コア−シェルトナー粒子を含む混合物を、バインダー樹脂(例えば、結晶性樹脂)の融点より低くてもよい温度まで加熱してもよい。コア−シェルトナー粒子300を含む混合物806を、約30℃〜約100℃の温度、例えば、約30℃〜約50℃の温度、または約55℃〜約100℃の温度、例えば、約63℃〜約90℃の温度、例えば、約65℃〜約75℃の温度まで加熱してもよい。バインダーに使用する樹脂によっては、これより高い温度または低い温度を使用してもよい。
【0052】
融着段階を進めてもよく、約0.1〜約9時間、または約0.5〜約4時間かけて達成してもよい。
【0053】
融着の後、コア−シェルトナー粒子を含有し、シェルに配置された金属ナノ粒子を含む混合物を室温、例えば、約20℃〜約25℃まで冷却してもよい。迅速に冷却してもよく、ゆっくりと冷却してもよい。段階807で融着したトナー粒子を、次いで808で、水で洗浄し、濾過し、次いで、乾燥させてもよい。乾燥のための任意の適切な方法(例えば、凍結乾燥を含む)によって、乾燥を達成してもよい。
【0054】
(バインダー樹脂)
コアは、バインダー樹脂の1種類以上を含んでいてもよい。
【0055】
(アモルファスポリエステル樹脂)
いくつかの実施形態では、バインダー樹脂は、直鎖または分枝鎖のアモルファスポリエステルポリマーであってもよい。当該技術分野で既知の適切な手段によってアモルファスポリエステル樹脂を調製し、次いで、トナー組成物に組み込んでもよい。
【0056】
(結晶性ポリエステル樹脂)
それに加え、トナー粒子のコア部分は、1種類以上の結晶性ポリエステル樹脂を含んでいてもよい。当該技術分野で既知の任意の手段によって、例えば、重縮合触媒存在下、有機ジオールと有機二酸とを反応させることを含む重縮合プロセスによって、結晶性ポリエステル樹脂を調製してもよい。
【0057】
(凝集剤)
適切な凝集剤/凝固剤としては、例えば、二価のカチオン材料または多価カチオン材料の水溶液が挙げられる。
【0058】
(界面活性剤)
界面活性剤は、トナーを調製するときに、溶媒またはバインダーの領域を考慮して、極性が1.8以上の有機溶液および/または水溶液に溶解可能な材料であってもよい。
【0059】
(顔料/着色剤)
トナー製造中に着色剤を加えることによって、本開示のトナーを着色したトナーとして製造してもよい。着色剤の量は、広範囲に変動してもよく、例えば、トナー重量合計の約3〜約20重量%であってもよく、着色剤の組み合わせを使用してもよい。
【0060】
(ワックス剥離剤)
画像の密度を上げ、読み取りヘッドに対する裏移りを効果的に防ぎ、画像の汚れを防ぐために、ワックス剥離剤のための1種類以上のワックスをトナーに加えてもよい。剥離剤は、トナー粒子に物理的に接続してもよいが、これらと結合(例えば、共有結合)していなくてもよい。
【0061】
(金属ナノ粒子)
金属ナノ粒子は、球状の金属ナノ粒子であってもよい。金属ナノ粒子は、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、アンチモン(Sb)、タングステン(W)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ガドリニウム(Gd)、ユーロピウム(Eu)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、ストロンチウム(Sr)、マグネシウム(Mg)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)およびバリウム(Ba)からなる群から選択される少なくとも1種類であってもよい。
【0062】
(添加剤)
電子写真用トナーは、1つ以上の添加剤、例えば、電荷制御剤、UV安定化剤、防カビ剤、殺菌剤、抗真菌剤、帯電防止剤、光沢調整剤、酸化防止剤、抗凝固剤、例えば、シランまたはケイ素で改質されたシリカ粒子を含んでいてもよく、これらを単独で使用してもよく、または少なくとも2種類の組み合わせで使用してもよい。
【0063】
乾燥したトナー粒子に外部添加剤を加えてもよく、最終的な乾燥トナーを作製するように、電荷量を制御する。外部添加剤は、シリカ、金属酸化物またはポリマーのビーズであってもよい。
【実施例】
【0064】
(実施例1 凝集/融着中に銀(Ag)ナノ粒子が添加されるトナー粒子の製造)
1%銀ナノ粒子を含む、着色していないポリエステルトナーの調製:
以下のものをガラスケトルに加え、IKA ULTRA−TURRAX(登録商標)T50ホモジナイザーを用い、4000rpmで均質化する。(1)101.43gのアモルファスポリエステル樹脂エマルション(207nm;33.44重量%;56℃ T);(2)99.03gのアモルファスポリエステル樹脂エマルション(215nm;34.25重量%;60.5℃ T);(3)35.56gの結晶性ポリエステル樹脂エマルション(151nm;25.74重量%;71.04℃ T);(4)3.3gのアニオン系界面活性剤DOWFAX(登録商標)2A1;(5)42.23gのポリエチレンワックスエマルション;および(6)350.69gの脱イオン水。
【0065】
その後、フロック形成剤である2.51gのAl(SOを、67.18gの脱イオン水と混合し、これを上のケトルに滴下し、10分かけて均質化する。
【0066】
混合物を280RPMで20分間脱気し、粒径が5.0μmになるまで、凝集のために、毎分1℃の速度で、350RPMで37℃まで加熱する。
【0067】
シェル混合物を別個に作製し、上の凝集にすぐに加え、40℃、350rpmでさらに10〜20分間凝集させる。シェル混合物は、上述のように調製したか、または購入した4.0g(固体重量を基準として)のAgナノ粒子と、58.61gのTが56℃のアモルファスポリエステル樹脂エマルション(207nm;33.44重量%)と、57.23gのTが60.5℃のアモルファスポリエステル樹脂エマルション(215nm;34.25重量%)と、1.67gのDOWFAX(登録商標)2A1と、40.96gの脱イオン水とを含む。
【0068】
体積平均粒径が5.7μmより大きい限り、4重量%のNaOH溶液を加え、次いで、5.38gのEDTAを加えることによって、凝集スラリーのpHを4に調節する。rpmを170に調節し、凝集を止め、融着のために温度が85℃に達するまで、4重量%のNaOH溶液を連続的に加えることによって、トナースラリーのpHをpH7.5に維持する。トナーは、最終粒径が5.80μm、GSD v/n 1.20/1.25、真円度が0.960である。次いで、トナースラリーを室温まで冷却し、ふるいによって分離し(20μm)、濾過し、洗浄し、凍結乾燥させる。
【0069】
(実施例2−転相乳化(PIE)に銀(Ag)ナノ粒子が添加されるトナー粒子の製造)
1%銀ナノ粒子を含有する「樹脂エマルションA」の調製:
328.77gのアモルファスプロポキシル化ビスフェノールAフマレート樹脂(M=12,500、開始T=56.9℃、酸価=16.7mg KOH/g樹脂)、1.84gの銀ナノ粒子、および44.09gのカルナバワックスを、70℃で2322gの酢酸エチルに溶解する。
【0070】
別個に、4.0gのDOWFAX(登録商標)2A1溶液および6.3gの濃水酸化アンモニウムを、70℃で1790gの脱イオン水に溶解する。
【0071】
次いで、連続的に高剪断力で均質化しつつ(10,000rpm、IKA ULTRA−TURRAX(登録商標)T50)、酢酸エチル溶液を水溶液にゆっくりと注ぐ。
【0072】
さらに30分間均質化した後、反応混合物を80℃で2時間蒸留する。
【0073】
得られたエマルションを一晩攪拌し、25ミクロンのふるいを通し、3000rpmで15分間遠心分離処理する。上澄みをデカンテーションし、877.5gのラテックスを得て、平均粒径が約170nm、固形分が18%である。
【0074】
(実施例3−トナーの製造)
1%銀ナノ粒子を含むエマルションを含むシアントナーの調製:
2Lの反応容器に、595.27gの上述の固形保持量が18重量%の樹脂エマルションAを、87.48gの固形保持量が18重量%の結晶性ポリエステルエマルション(CPE)、63.48gの固形保持量が17重量%のシアン顔料PB 15:3、2gの固形保持量が47.68重量%のDOWFAX(登録商標)2A1界面活性剤、123gの0.3M HNO、および395gの脱イオン水とともに加え、IKA ULTRA−TURRAX(登録商標)50ホモジナイザーを用い、4,000rpmで操作して攪拌する。
【0075】
その後、3.6gのポリ塩化アルミニウム混合物および32.4gの0.02モル濃度(M)硝酸溶液を含む36gの綿状物形成混合物を5分かけて滴下する。綿状物形成混合物を滴下していくにつれて、ホモジナイザーの速度を5,200rpmまで上げ、さらに5分間均質化する。
【0076】
その後、混合物を毎分1℃で41℃まで温度を上げ、約1.5時間〜約2時間そのままにし、Coulter Counterを用いて測定すると、体積平均粒径が5ミクロンになる。この温度上昇の間、攪拌器を約450rpmで実行する。
【0077】
さらに282.2gの上述の樹脂エマルションA、75gの脱イオン水、および10gの0.3M HNOを上述の反応器混合物に加え、さらに約30分間凝集させ、この時点で、反応器の温度を49℃まで上げ、体積平均粒径が約5.7ミクロンになる。
【0078】
反応器混合物のpHを、1.0M水酸化ナトリウム溶液を用いて6に調節し、その後、1.048gのVERSENE(商標)100を加える。次いで、反応器混合物を、毎分1℃の温度上昇で68℃の温度まで加熱する。次いで、混合物のpHを0.3M硝酸溶液で6.0に調節する。次いで、反応器混合物を68℃で約3時間、おだやかに攪拌し、粒子を楕円状にする。次いで、反応器の加熱器の電源を切り、毎分1分の速度で混合物を室温まで冷却する。
【0079】
この混合物のトナーは、体積平均粒径が約5.7ミクロン、幾何粒度分布(GSD)が約1.24である。粒子を5回洗浄し、1回目の洗浄は、23℃、pH9で行い、その後の1回の洗浄は、室温で脱イオン水を用い、その後の1回の洗浄は、40℃、pH4.0で行い、2回のさらなる洗浄は、室温で脱イオン水を用いる。
【0080】
原子間力顕微鏡法(AFM)および透過型電子顕微鏡法(TEM)を用いると、コロイド状の銀ナノ粒子の形状を示すトナー粒子を観察することができる。
【0081】
吸光法によってUV−Vis領域(420〜450nm(青色から赤色へのシフト)に固有のSPRピークを有するため、UV−可視光分光光度計(UV−vis)によってナノ銀を検出することができる。ナノ銀の濃度を測定するために、検出限界が比較的低い(g/L範囲)UV−vis分光光度法を利用することができる。SPRは、粒径、凝集および表面化学といったパラメータの変化に応答してピークがシフトするため、これらのパラメータに関する情報を含む。
【0082】
熱重量分析(TGA)は、例えば、重量損失の3つの段階を示す。段階1(0℃〜100℃)では、吸着した水分子の蒸発に起因して、0.1〜4%の初期の重量損失があるだろう。第2の重量損失、さらに第3の重量損失は、吸収された水分子のさらにゆっくりとした蒸発(100℃〜450℃)およびトナーのポリマーバインダーからの有機部分の蒸発(450℃〜1100℃)から見られ、銀含有量に依存して、合計で80〜95%であろう。1300℃までさらに加熱すると、金属ナノ粒子が溶融して液体状態になり、トナーに加えた銀の量に依存して、重量損失の残りの部分を構成するだろう。
【0083】
(比較例1)
銀ナノ粒子を用いないトナーの製造
以下のものをガラスケトルに加え、IKA ULTRA−TURRAX(登録商標)T50ホモジナイザーを用い、4000rpmで均質化する。(1)101.43gのアモルファスポリエステル樹脂エマルション(207nm;33.44重量%;56℃ Tg);(2)99.03gのアモルファスポリエステル樹脂エマルション(215nm;34.25重量%;60.5℃ Tg);(3)35.56gの結晶性ポリエステル樹脂エマルション(151nm;25.74重量%;71.04℃ Tm);(4)3.3gのアニオン系界面活性剤DOWFAX(登録商標)2A1;(5)42.23gのポリエチレンワックスエマルション;および(6)350.69gの脱イオン水。
【0084】
その後、綿状物形成剤である2.51gのAl2(SO4)3を67.18gの脱イオン水と混合したものを上述のケトルに滴下し、10分かけて均質化する。
【0085】
混合物を280RPMで20分間脱気し、粒径が5.0μmになるまで、凝集のために、毎分1℃の速度で、350RPMで37℃まで加熱する。
【0086】
シェル混合物を別個に作製し、上の凝集にすぐに加え、40℃、350rpmでさらに10〜20分間凝集させる。シェル混合物は、58.61gのTgが56℃のアモルファスポリエステル樹脂エマルション(207nm;33.44重量%)、57.23gのTgが60.5℃のアモルファスポリエステル樹脂エマルション(215nm;34.25重量%)、1.67gのDOWFAX(登録商標)2A1および40.96gの脱イオン水を含む。
【0087】
体積平均粒径が5.7μmより大きい限り、4重量%のNaOH溶液を加え、次いで、5.38gのEDTAを加えることによって、凝集スラリーのpHを4に調節する。rpmを170に調節し、凝集を止め、融着のために温度が85℃に達するまで、4重量%のNaOH溶液を連続的に加えることによって、トナースラリーのpHをpH7.5に維持する。トナーは、最終粒径が5.80μm、GSD v/n 1.20/1.25、および真円度が0.960である。次いで、トナースラリーを室温まで冷却し、ふるいによって分離し(20μm)、濾過し、洗浄し、凍結乾燥させる。
【0088】
原子間力顕微鏡法(AFM)および透過型電子顕微鏡法(TEM)は、平滑な形状であり、銀ナノ粒子の指標である暗色の影がないため、銀ナノ粒子が存在しないトナー粒子を明らかに示すだろう。熱重量分析(TGA)は、この場合には、重量損失の主な2つの段階を示すだろう。段階1(0℃〜100℃)では、トナー粒子に吸着した水分子の蒸発に起因して、0.1〜4%の初期の重量損失があるだろう。第2の重量損失、さらに第3の重量損失は、吸収された水分子のさらにゆっくりとした蒸発(100℃〜450℃)およびトナーのポリマーバインダーからの有機部分の蒸発(450℃〜1100℃)から見られ、銀含有量に依存して、合計で80〜95%であろう。1300℃までさらに加熱すると、残留する銀は存在しないだろう。
【0089】
本明細書に記載する実施形態を用い、紙以外の表面に印刷可能な銀ナノ粒子を含むように、顔料を含むか、または含まないEA粒子を配合することができる。シェル部分に銀ナノ粒子を含むこのようなEAトナー粒子を印刷することができる基材としては、限定されないが、ラベル、衣服、セキュリティ用書類(紙またはその他)、プラスチック、スズ箔、他の繊維製品などが挙げられる。
【0090】
本明細書に記載する実施形態は、湿度センサー能を有する印刷可能なコンポジットを含んでいてもよい。本明細書に記載するトナー組成物を、コーティングまたはパターンの厚みを正確に制御しつつ、任意のパターン、配列などで印刷することができる。一例では、センサーは、櫛形電極アレイに注型したポリビニルアルコール(PVA)銀ナノ粒子コンポジットに基づいていてもよい。
【0091】
さらに、印刷可能なコンポジットは、銀ナノ粒子を含んでいてもよい。一例では、このようなトナーを、印刷可能なディップスティックに組み込むことができる。例えば、印刷可能なグルコーススティックは、本実施形態のトナーによって印刷された銀ナノ粒子を含んでいてもよい。
【0092】
参考文献:G.A.SotiriouおよびS.E.Pratsinis、Engineering nanosilver as an antibacterial、biosensor and bioimaging material、Current Opinion in Chemical Engineering、1:3−10(2011)。
図1A
図1B
図2
図3
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図4B
図5
図6
図7
図8