特許第6234420号(P6234420)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6234420EVSEベースのエネルギ自動化、管理及び保護のためのEVSEの作動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234420
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】EVSEベースのエネルギ自動化、管理及び保護のためのEVSEの作動方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20171113BHJP
   H02J 3/14 20060101ALI20171113BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20171113BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   H02J13/00 311T
   H02J13/00 301A
   H02J3/14
   H02J3/38 110
   H02J3/32
【請求項の数】1
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-223646(P2015-223646)
(22)【出願日】2015年11月16日
(65)【公開番号】特開2016-101087(P2016-101087A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2015年11月16日
(31)【優先権主張番号】62/080,483
(32)【優先日】2014年11月17日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/749,744
(32)【優先日】2015年6月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510002268
【氏名又は名称】シーメンス インダストリー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Siemens Industry, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ハリー プライス ハース
(72)【発明者】
【氏名】ポール テリッチャーノ
(72)【発明者】
【氏名】セシャ イェルヴァ
【審査官】 田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−065265(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/039055(WO,A1)
【文献】 特開2012−050236(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02J 3/00− 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車(以下EVとする)用給電設備(以下EVSEとする)の作動方法であって、
通信インタフェースを含むEVSEを準備するステップと、
前記EVSEが電力を受電している負荷センタの線路電圧、線路電流、線路相、及び、線路周波数のうち少なくとも1つを測定するステップと、ただし、前記負荷センタは、パワーグリッドに接続され、かつ、1つもしくは複数のスマートデバイスを含む1つもしくは複数の負荷に接続されて当該負荷に電力を供給し、
前記線路電圧、線路電流、線路相、及び、線路周波数のうち少なくとも1つに基づいて、電圧低下状態又は電力サージ状態を検出するステップと、
前記検出した電圧低下状態又は電力サージ状態に基づき、前記負荷センタに結合された前記1つもしくは複数のスマートデバイスへの給電を遮断するよう前記EVSEに指示するステップと
を含む
ことを特徴とするEVSEの作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2014年11月17日付の米国特許出願第62/080483号明細書「EVSE Based Energy Automation, Management and Protection System」の優先権を主張するものであり、当該出願の内容は引用により全体として実質的に本願に含まれる。
【0002】
分野
本発明は、電気自動車(以下EVとする)の充電のために構成されたEV用給電システム又はEV用給電設備(以下EVSEとする)に関し、より具体的には、スマートEVSE及びこれを含む給電システムに関する。
【背景技術】
【0003】
EVの充電に係る将来的な需要は、パワーグリッドに大きな追加の負荷をかけることになる。パワーグリッド上のランダムなポイントでEVへの充電が行われる場合、特にピーク時間において、グリッドが不安定となるだけでなく、消費者(以下ユーザとする)のエネルギコストの増大が生じるおそれがある。スマートグリッドに対する互換性を有する既存のデバイス(スマートEVSEを含む)は、建物のエネルギ管理システム又はエネルギオートメーションシステム(例えば、家庭もしくはオフィスのエネルギ管理システム)に対するインタフェースを有する。しかし、こうした既存のEVSEには使用に適さない状況が幾つかあり、特にレトロフィットは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願第62/080483号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、スマートEVSE及びこれを含むシステムを改善したいという要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
幾つかの実施形態では、EV用給電システムが提供される。本発明の給電システムは、ユーザがアクセス可能なように構成されたクラウドサーバであるEV用給電設備サーバ(以下EVSEサーバとする)と、インタネット接続を介してEVSEサーバと通信するように構成されたインタネットアクセス装置と、EVSEとを含み、当該EVSEは、EVによって引き出される最大充電電流を通信するように構成された充電制御装置と、充電電圧、EVによって引き出される充電電流、EVの充電によって消費される充電電力、及び、充電エネルギのうち少なくとも1つを含む充電データを通信するように構成された測定装置と、充電データを受信するように構成された通信インタフェースと、EVSE内の通信ゲートウェイとを含み、通信ゲートウェイは、インタネットアクセス装置を介してEVSEサーバに充電データを含む情報を送信し、EVSEサーバから1つもしくは複数の充電制御信号を受信するように構成されている。
【0007】
1つもしくは複数の実施形態では、EVSEが提供される。本発明のEVSEは、EVによって引き出される最大電流を通信するように構成された充電制御装置と、EVの充電データを形成するように構成された測定装置と、EVSEに統合されて、EVSEサーバと通信するように、さらに、1つもしくは複数のスマートデバイスに対するインタフェースを形成するように構成された通信ゲートウェイとを備えており、充電データは、充電電圧、EVによって引き出される充電電流、EVを充電することによって消費される充電電力、及び、充電エネルギのうち少なくとも1つである。
【0008】
1つもしくは複数の実施形態では、EVSEが提供される。本発明のEVSEは、EVによって引き出される最大電流を制限するように構成された充電制御装置と、負荷センタの1つもしくは複数の分岐回路の負荷データを測定する1つもしくは複数の監視装置に対するインタフェースを形成するように構成された通信ゲートウェイと、EVSEサーバとを備えている。
【0009】
1つもしくは複数の実施形態では、EVSEの作動方法が提供される。本発明の方法は、通信インタフェースを含むEVSEを形成するステップと、EVSEが電力を受信している負荷センタの線路電圧、線路電流、線路相、及び、線路周波数のうち少なくとも1つを測定するステップと、線路電圧、線路電流、線路相、及び、線路周波数のうち少なくとも1つに基づいて、電圧低下状態又は電力サージ状態を検出するステップと、負荷センタに結合された1つもしくは複数のスマートデバイスを遮断するようEVSEに指示するステップとを含む。
【0010】
本発明の他の特徴、態様及び利点は、本発明を実施するための最良の形態である図示の複数の実施形態についての以下の説明によって容易に理解されるはずである。また、本発明の範囲から離れることなく、本発明の別様の構成を実現し、本発明の幾つかの細部をあらゆる点で修正することができる。本発明は、本発明の範囲内の全ての修正態様、等価態様及び代替態様を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図に即した以下の詳細な説明によって、本発明の実施形態の特徴を説明する。図中、同じ要素には同じ参照番号を付してある。図及び説明は例示のためのものであって、本発明を制限しない。なお、図は必ずしも縮尺通りには描かれていない。
図1】1つもしくは複数の実施形態による、スマートEVSEを含む給電システムの概略図である。
図2】1つもしくは複数の実施形態による、1つもしくは複数のスマートデバイスと通信するように構成されたスマートEVSEを含む給電システムの概略図である。
図3】1つもしくは複数の実施形態によって、負荷センタに結合された1つもしくは複数の電気的分岐の測定データ、又は、建物の全体計量データを取得するために、負荷センタに結合された1つもしくは複数のスマートデバイスと通信するように構成されている、スマートEVSEを含む給電システムの概略図である。
図4】1つもしくは複数の実施形態による、スマートEVSEの動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
EVの需要が増大するなかで、近々、輸送エネルギのほぼ10%(例えば約1兆kWh以上)がパワーグリッドによって賄われると予測されている。既存のパワーグリッドが非ピーク時間における付加的な負荷を賄えるとしても、ピーク時間中、パワーグリッドのランダムな箇所でのEVの充電は、グリッドの不安定化、ひいては、電圧低下状態(以下電圧低下とする)をまねくことがある。現在は、ユーティリティサービスプロバイダ(ユーティリティ企業)がこうしたパワーグリッドでの付加的な電力需要の管理を消費者と協同での種々の電力管理プログラム、例えば「デマンドレスポンスプログラム」によって行っている。「デマンドレスポンスプログラム」は時間ベースの電力率又は他の形態の決済上のインセンティブに応じてピーク需要時間中の電力利用量を低減及び/又はシフトすることにより、消費者に対し、パワーグリッドの運営に関与する機会を提供する。
【0013】
EV用の充電手段を備えた特定の住宅用設備もしくは商業用設備(以下集合的にもしくは個々にも「建物」とする)に対して、インタネットアクセスが可能なスマートEVSEは、1つもしくは複数の実施形態に即して、統合的なエネルギ管理を行うための適切な手段、及び/又は、デマンドレスポンスプログラムを実現する手段を提供する。こうしたスマートEVSEにより、幾つかの実施形態では、スマートEVの充電時間及び/又は充電率をパワーグリッドでのピーク需要電力に基づいて制御するオプションが得られる。
【0014】
さらに、幾つかの実施形態によるスマートEVSEは、建物の負荷センタに結合された分岐回路の1つもしくは複数の高電力負荷がスマートEVSEの充電期間と同じ期間中に動作して(オンとなって)いる場合、デマンドレスポンス管理を行う機構を有する。スマートEVSEもしくはEVSEサーバからの1つもしくは複数の充電制御信号に応じて、EVSEの充電率もしくは充電時間が調整可能であるか、又は、1つもしくは複数の高電力負荷によって引き出される電流が調整可能である。有利には、EV充電の回避もしくは制限、又は、ピーク需要時間中に1つもしくは複数の高電力負荷によって引き出される電流の制限によって、電気利用料金を低下させ、さらに、グリッドの不安定化のおそれを低減させることができる。
【0015】
さらに、スマートEVSEは、1つもしくは複数の実施形態によれば、オートメーテッドホームエネルギシステムに置き換わるものであり、1つもしくは複数のスマートデバイスに対する直接のインタフェースとして動作可能な通信手段と、インタネット上のEVSEサーバにアクセスするように構成された通信ゲートウェイとを含む。当該通信手段により、オートメーテッドホームエネルギシステムを有さない既存の建物を簡単にレトロフィットできる。つまり、EVSEは1つもしくは複数のスマートデバイスとの通信用のプラットフォームとなる。
【0016】
幾つかの実施形態では、スマートEVSEは、デマンドレスポンスプログラム(例えばオートメーテッドデマンドレスポンスプログラム)に含まれる種々のスマートデバイス(例えばスマート機器、スマート照明装置、スマートヒーティング/換気/空調装置(以下スマートHVACとする)、スマートウィンドウ及びスマートドア、スマートアウトレットなど)のうち幾つかもしくは全てに対する直接のインタフェースを形成する。このようにして、別個のホームオートメーションシステムの必要性が回避され、1つもしくは複数のスマートデバイスをスマートEVSEによって監視及び/又は制御できる。この実施形態では、スマートEVSEは、1つもしくは複数のスマートデバイスの動作条件及び/又は制御を考慮したインタネットアクセス及びユーザとの通信のためのゲートウェイとして機能する。
【0017】
スマートEVSEと建物の1つもしくは複数のデバイスとの間での通信は、Z‐wave,ZigBee,HOMEPLUG(登録商標)技術(パワーラインもしくはPLCとしても知られる),HOMEPLUG(登録商標)GreenPHY(商標)などの通信プロトコルに基づいて行われる。幾つかの実施形態では、スマートEVSEは1つもしくは複数のスマートデバイスとのインタフェースを形成して、そこから電力使用データを取得することができる。他の実施形態では、スマートEVSEは、給電システム及び1つもしくは複数のスマートデバイス並びにEVSE自身を、グリッドの不安定化に起因する電圧低下もしくは電力サージから保護することができる。このことは、スマートEVSEからの制御信号によってスマートデバイスが引き出した電力を制御すること、及び/又は、EVが引き出して利用可能な最大電流を通信することにより、実現される。
【0018】
1つもしくは複数の実施形態では、スマートEVSEは、管理を行い、かつ、負荷センタに結合された他の負荷を保護し、かつ、出力管理又はデマンドレスポンス管理に統合可能な負荷制御を行う、共通のプラットフォームを提供する。幾つかの実施形態では、EVの充電スケジュールはスマートEVSE及びEVSEサーバによって実現される。負荷の優先度は、ユーザがスマートEVSEを介してEVSEサーバと通信することにより、設定される。デマンドレスポンスプログラムが実現される場合、ユーザは、デマンドレスポンス管理によって設定される目標を充足するために、又は、他の方式で負荷共有特性もしくはスケジュールを予め設定するために、最初に遮断されるべき電気的負荷の優先度を決定乃至プリセットできる。
【0019】
1つもしくは複数の実施形態には、建物内のスマートEVSEがユーザ(例えば住宅用スペースもしくは商業用スペースのオーナー又は賃借人)及び付加的にEVSEサーバを介してパワーグリッドに結合されたエネルギ管理システムと通信する手段を有する。スマートEVSEとのユーザ通信は通信装置(例えばモバイルデバイスもしくは携帯電話機)においてアプリケーション(以下アプリとする)を使用することにより可能となり、これにより、インタネットをベースとしたアクセスが行われ、幾つかの実施形態では、スマートEVSEの種々の機能が制御される。幾つかの実施形態では、通信はコンピュータ(以下ラップトップとする)を介して行われる。幾つかの実施形態では、EVの充電スケジュールは、スマートEVSEとの通信を行うEVSEサーバを介したユーザとの通信によって実現される。1つもしくは複数の実施形態では、EVSEサーバは、パワーグリッドから電気使用データを受け取るユーティリティサーバのアクセスを受ける。ユーティリティサーバは、EVSEに対し、建物の電力消費量を低減するように要求できる。したがって、EVSEは、EVSEサーバから、最大充電電流もしくは充電時間を低減する旨の制御信号、又は、他のスマートデバイスの電力使用量を制御する旨の他の制御信号を受け取る。同様に、充電データ及び/又は電力使用データは、EVSEサーバからスマートEVSEへ通信されて、ユーザ及び/又はユーティリティサーバからアクセスされる。
【0020】
このように、スマートEVSEは、さらに、建物のピーク需要電力の制限を開始及び実行する。これにより、消費者はエネルギコストを節約でき、及び/又は、パワーグリッドのランダムな点での需要が急上昇するおそれが低減される。特に、スマートEVSEは、建物の負荷センタに結合されている1つもしくは複数の分岐回路の電気的負荷として設けられている他の電気的デバイスへのグリッドの不安定化のインパクトを低減できる。幾つかの実施形態では、ユーティリティサービスプロバイダは電圧低下状態を検出し、ついで、EVSEサーバに対して、電力需要を修正(制限)する命令を送信する。ここから、EVSEサーバは、1つもしくは複数の電気的負荷の遮断もしくは変調によって他の電気的負荷及びスマートデバイスを保護するため及び/又はEVを充電するために用いられる1つもしくは複数の制御信号を、スマートEVSEへ送信する。
【0021】
幾つかの実施形態では、ピーク電力の制限は、プリセットされている優先度もしくは負荷制御量もしくは充電スケジュールに基づいて行われる。このように、スマートEVSEの1つもしくは複数の実施形態では、スマートEVSEに組み込まれているか又はこれに統合されている通信ゲートウェイを介して建物のエネルギ管理を行う複数のスマートデバイスを統合した、共通のプラットフォームの必要性が取り扱われている。
【0022】
スマートEVSE及びこれを含む給電システム、EVSEの動作方法、並びに、デマンドレスポンス管理の実現方法のさらなる実施形態について、図1図4を参照しながら以下に詳細に説明する。
【0023】
図1には、スマートEVSE102を含むEV104用の給電システム100の第1の実施形態が示されている。スマートEVSE102は、EV104の電力蓄積装置(例えば1つもしくは複数のバッテリ;図1では点線で示されている)に結合されてこれを充電するように構成されている。EV104は、完全なEVであってもよいし、ハイブリッド自動車であってもよい。充電電力は、EV104の(図示されていない)コネクタへ電気的に結合されている(図示されていない)電気コネクタを含む充電ケーブル105を介して、EV104へ供給される。
【0024】
スマートEVSE102は、(図1では点線で示されている)建物107の負荷センタ106(例えばサーキットブレーカを含むパネルボックスなど)へ電気的に結合される。ただし、幾つかのケースでは、スマートEVSE102は建物107の外にあってもよい。スマートEVSE102は、いずれかの電力分岐回路の電気的負荷に結合され、負荷センタ106から電力を受け取る。負荷センタ106はパワーグリッド109に接続可能である。典型的な負荷センタ106は、例えば240V,200Aで提供される。しかし、スマートEVSE102へ給電可能であれば、負荷センタのタイプ及び規模は異なるものであってもよい。また、1つもしくは複数の電気的負荷(負荷1−n)を含む他の電力分岐回路を負荷センタ106に結合してもよい。負荷センタ106の規格及び規模に基づいて、適切な数の分岐回路を接続することができる。1つもしくは複数の分岐回路は1つもしくは複数のサブパネルに結合されているか又はこれを含む。
【0025】
以下の説明から明らかになる通り、幾つかの実施形態では、1つもしくは複数の電気的負荷はスマートデバイス(例えばスマート機器、スマート照明装置、スマートヒーティング、スマートHVAC、スマートウィンドウ、スマートドア、及び、スマートアウトレットなど)を含む。ここで用いている「スマートデバイス」なる語は、通信ネットワークを介して遠隔監視及び/又は遠隔制御が可能なあらゆる電気的デバイスを意味する。負荷センタ106の電力分岐回路は、負荷センタ106の適切なサーキットブレーカによって保護される。
【0026】
より詳細に云えば、スマートEVSE102は、スマートEVSE102の各コンポーネントの種々の制御、測定、処理、通信などにとって充分な電力を供給するように構成された給電部108を含む。このことについては後述する。給電部108は、例えば240V,100mAの電源である。他の適切なタイプ及び規模の給電部108も利用可能である。スマートEVSE102は、挿入接続された複数のマイクロプロセッサ及び電気回路及び電気部品を含むプリント回路板110(図では点線で示されている)を備える。
【0027】
図示の実施形態では、スマートEVSE102は、EV104へ送信されるべき、最大充電電流を表す制御信号(例えば充電信号)の処理のために動作する充電制御装置112を含み、この充電信号は通信インタフェース118から受信される。充電制御装置112は、EV104が充電ケーブル105を介して引き出すことのできる最大充電電流を通信する。充電制御装置112は所定の条件に応じてコンタクトスイッチ114を開閉する。所定の条件とは、一時休止要求もしくは充電遅延要求が受信された際、又は、ユーザ125もしくはユーティリティサーバからスケジューリング要求又は需要要求の制御信号が受信された際などである。コンタクトスイッチ114は、EV104に結合された充電ケーブル105、例えばSAEJ1772などに電気的に結合可能である。コンタクトスイッチ114は2極もしくは4極のタイプのスイッチであってよい。充電制御装置112は、EVSE102のステータス又はEVSE102へのユーザ要求に基づいてコンタクトスイッチ114を制御する低電力マイクロコントローラを含む。通信インタフェース118を介した、EVSE102に関連する情報のユーザへの送信も、低電力マイクロコントローラが行う。
【0028】
スマートEVSE102は、内部のセンサ117A及び/又は電圧タップ117Bなどからの充電情報を受信する測定装置116を含む。センサ117Aは、充電電流を測定する単独のセンサ又はセンサコンビネーション装置であってよく、電圧タップ117Bは充電電圧を測定するデバイスであってよい。到来するA,Bフェーズの位相を測定できる。1つもしくは複数の実施形態では、センサ117Aは例えば電流トランスであってよく、EV104によって引き出された電流の測定値を測定装置116へ供給する。1つもしくは複数の実施形態では、電圧の測定値は、給電部108からの逓降電圧測定値として、電圧タップ117Bから測定装置116へ供給される。その後、測定装置116は、例えば、充電電流もしくは充電電圧のうち少なくとも1つを計算する。
【0029】
測定装置116は、例えば充電電流及び/又は充電電圧の測定値から、1つもしくは複数の付加的な利用パラメータ、例えば、充電電力使用量もしくは充電エネルギ使用量を計算するように動作する。測定装置116は、コンピュータもしくは他の電子装置の全てのコンポーネントを単独のチップに統合した集積回路としてのシステムオンチップSoCであってよい。ディジタル回路、アナログ回路、混合信号回路、無線周波数機能部、メモリなどの全てが単独のチップ基板上に配置される。特に、測定装置116は、幾つかの実施形態では、8051マイクロコントローラであってよい。他の適切なマイクロコントローラも使用可能である。充電電流、充電電圧、充電電力使用量、充電エネルギ使用量及びこれらの組み合わせなどのうち少なくとも1つの充電データが測定装置116のメモリに蓄積され、これらの充電データのうち少なくとも1つのデータがスマートEVSE102から周期的に通信される。通信は、例えば約30秒の周期的間隔で行われるが、もちろん他の時間間隔も使用可能である。
【0030】
スマートEVSE102は、種々の他のEVSEコンポーネント間の内部通信を可能にするように構成された通信インタフェース118を含む。他のEVSEコンポーネントとは、例えば他のマイクロコントローラ(例えば充電制御装置112、測定装置116、通信ゲートウェイ120など)であってよい。例えば、通信インタフェース118は、測定装置116と通信ゲートウェイ120との間の通信を可能にする。ここでの通信は、充電電流、充電電圧、充電電力、充電エネルギもしくはこれらの組み合わせなどのうち少なくとも1つの充電データを測定装置116と通信ゲートウェイ120との間で送受信することを含む。通信パケットは、上述したように増分される周期で送信される。同様に、幾つかのケースでは、EV104によって引き出された最大充電電流が、制御信号として、通信ゲートウェイ120を介して充電制御装置112へ送信される。通信インタフェース118は、ARM(登録商標)ORTEX(登録商標)‐M3プロセッサなどの32bitプロセッサであってよい。他の適切なタイプのプロセッサも使用可能である。
【0031】
通信インタフェース118は、1つもしくは複数のモジュラー式通信インタフェースMCI(例えばANSI/CEA‐2045)を介して、スマートEVSE102の他のデバイス(例えば充電制御装置112、測定装置116,通信ゲートウェイ120など)と通信することができる。他の通信プロトコルも使用可能である。通信インタフェース118と測定装置116との間の通信は、非同期のシリアル通信を処理するコンピュータコンポーネントである1つもしくは複数の汎用非同期送受信機UARTを用いたシリアル通信などによって行われる。通信インタフェース118と通信ゲートウェイ120との間の通信、及び、通信インタフェース118と充電制御装置112との間の通信は、シリアルペリフェラルインタフェースSPIを介して行われる。SPIとは、短距離通信用の同期シリアル通信インタフェースの仕様である。他のコンポーネント間通信の仕様形式も使用可能である。
【0032】
幾つかの実施形態では、通信インタフェース118は、付加的に、無線ネットワーク技術のサポートを受けるホストアーキテクチャ、例えばZigBee、6LoWPANIPv6、DASH‐7、Z‐Wave、EnOcean、IEEE802.15に基づくIPベースの規格などを含む。幾つかの実施形態では、通信インタフェース118は、住宅用通信設備との互換性を有する、テキサスインスツルメンツ社から入手可能なCC2538SoCである。無線ネットワーク技術のサポートを受けるホストアーキテクチャを含むものであれば、他の適切なシステムオンチップアーキテクチャ、又は、イーサネットもしくはPLCなどの他のLAN技術も使用可能である。
【0033】
容易に理解されるように、通信インタフェース118は、スマートEVSE102近傍の無線パーソナルエリアネットWPAN上で動作する他のスマートデバイスとのデータ通信を可能にするための、スマートEVSE102内の適切なアーキテクチャを提供する。こうしたスマートデバイスは、スマート機器、スマートHVAC、スマート照明装置、スマートウィンドウ/ドア、及び、スマートアウトレットなどを含む。1つもしくは複数のスマートデバイスと通信インタフェース118との間の通信は、1つもしくは複数のスマートデバイスを考慮した受信ステータス情報などの一方向受信であってよい。ステータス情報は、スマートデバイスのオン状態、オフ状態、もしくは他の電気利用データ(幾つかの実施形態では、引き出された電流、電圧もしくは電力又はエネルギ使用量)などを表す通信パケットを含む。1つもしくは複数のスマートデバイスと通信インタフェース118との間の通信は、幾つかの実施形態では、一方向送信、つまり、1つもしくは複数のスマートデバイスを制御するための(例えばスマートデバイスをオンオフするか又は電力消費量などの設定を変更するための)これらへの通信パケットの送信のみであってよい。
【0034】
通信ゲートウェイ120は、EVSEサーバ122に対してスマートEVSE102の通信のためのゲートウェイを、例えばインタネットなどを介して提供する。EVSEサーバ122は、スマートEVSE102のユーザ125が通信装置126を介してアクセスするクラウドサーバであってよい。EVSEサーバ122は、例えば、Microsoft(登録商標)Cシャーププログラミングをベースとしている。EVSEサーバ122は大規模なデータテーブルを含み、このテーブルは、充電データ、タイムスタンプを有する制御信号、優先度データ、スケジュール、アクセスキー、ユーザID、Eメール及びパスワードなどを含むスマートEVSE102及びユーザ125についてのデータから成る。データテーブルは、負荷センタ106に結合されたスマートデバイス用の負荷データに関連する負荷情報を含む。通信ゲートウェイ120は、幾つかの実施形態では、無線ローカルエリアネットワークWLANを介し、例えばモデムとしてのインタネット通信装置124を用いた無線通信を可能にする。インタネット通信装置124は、IEEE802.11,Bluetooth,Thread,AllSeenAllianceなどの規格に基づくWiFiを用いて、又は、他の適切な無線通信プロトコルを用いて通信を行う。幾つかの実施形態では、インタネット通信装置124は、無線通信プロトコルの動作を可能にする(図示されていない)ローカルルータ、例えば無線ルータに対するインタフェースを形成する。幾つかの実施形態では、無線ルータの機能及びモデムの能力は、ハイブリッド装置に統合される。インタネット通信装置124は、ケーブル(ケーブルモデム)もしくは光ファイバ(光ファイバモデム)などを介してインタネットアクセスを可能にするように構成された適切な通信装置であってよい。他のタイプのインタネットアクセスを設けることもできる。
【0035】
幾つかの実施形態では、EVSEサーバ122に対する通信機能は、例えば携帯電話機、コンピュータ及び他のポータブル電子機器のインタネットへの無線アクセスを可能にする3Gもしくは4Gもしくは他のモバイル通信規格によってアクセスされるインタネットを介して行われる。このケースでは、インタネット通信装置124は、別個の装置としては構成されず、通信ゲートウェイ120に統合される。
【0036】
スマートEVSE102に統合されている通信ゲートウェイ120は、幾つかの実施形態では、WLANを介したインタネット通信装置124との双方向通信を可能にする。幾つかの実施形態では、802.11a−acによるWiFiプロトコルを使用可能である(802.11a,802.11b,802.11g,802.11n,802.11abなどを含むが、これらに限定されない)。上述したように、通信ゲートウェイ120は、スマートEVSE102に対して信号パケットが送受信されるよう、インタネット通信装置124を介してEVSEサーバ122と通信するために用いられる。データパケットはEVSEサーバ122へ送信され、制御パケットはEVSEサーバ122から受信される。
【0037】
幾つかの実施形態では、通信ゲートウェイ120は、上述したように、充電データをEVSEサーバ122と通信するために用いられる。EVSEサーバ122は、充電データを、パワーグリッド109に結合された他のスマートEVSEに対して送受信する。単独のEVSEサーバ122は、数百台もしくは数千台のスマートEVSE、例えばスマートEVSE102などと通信する。複数のEVSEサーバ122はパワーグリッド109の種々のエリアと通信するように設けられる。周期的に送信される充電データは、EVSEサーバ122のメモリに記憶され、幾つかの実施形態では、通信装置126を介してユーザ125のアクセスを受ける。1つもしくは複数の実施形態では、EVSEサーバ122からの充電データはユーティリティサーバ128のアクセスを受け、パワーグリッド109の相応のエリアで引き出された負荷量及びどのタイプのデバイスが引き出しを行ったかという認識を得るためにコンパイルされる。
【0038】
通信装置126は、例えば3G,4Gなどのモバイル通信規格を用いてEVSEサーバ122にアクセスできる携帯電話機、タブレット、ファブレットその他などのモバイル機器であってよい。ユーザ125は、通信装置126へダウンロードされるアプリケーション(以下アプリとする)を動作させる。アプリはApacheCordova(登録商標)もしくはアップル社のOSX及びiOS用のObjective‐Cなどのオブジェクト指向言語のフレームワークを用いたJavaScriptで記されている。アプリを用いて、ユーザ125は充電データにアクセスする。充電電圧、EV104によって引き出される充電電流、EV104の充電実行時にスマートEVSE102によって消費される充電電力、及び/又は、スマートEVSE102によって消費される充電エネルギのうち少なくとも1つを含む。電気的なレート情報も、アプリを用いてアクセス可能である。さらに、幾つかの実施形態では、ユーザ125は、EVSEサーバ122を介してスマートEVSE102へ送信された制御信号によって、スマートEVSE102を動作させる。こうして、ユーザ125は、EV104の充電に関する開始もしくは休止もしくは遅延(例えば2時間、4時間、6時間など)を行うことができる。当該ユーザ125は、スマートEVSE102に対する充電スケジュールを形成し、アプリを介してデマンドレスポンス要求(イベント)を受信し、さらに、EV104が引き出すことのできない最大電流をスマートEVSE102に指示する制御信号を送信する。最大電流はEV104のインバータへ送信される。幾つかの実施形態では、スマートEVSE102のIPアドレスは、スマートEVSE102の設定を変更するために、直接にコンピュータ129によってアクセスされる。コンピュータ129は、インタネット通信装置124と無線通信するか、又は、有線接続によって通信する。
【0039】
1つもしくは複数の実施形態では、通信ゲートウェイ120は、EVSEサーバ122から所定のデータ(例えば信号パケット)を受信するように構成されて動作する。例えば、1つもしくは複数の実施形態では、EVSEサーバ122から受信されるデータは、負荷制御、充電スケジュール、充電の優先度のうち少なくとも1つに関連する。
【0040】
例えば、負荷制御に関連する情報は、スマートEVSE102によって消費されるエネルギを遮断もしくは低減せよとの1つもしくは複数の信号(例えばハイ、ローもしくはオフ)を受信することを含む。別の実施形態では、図2図3に関連する説明からも理解されるように、エネルギ需要プログラムに基づく1つもしくは複数の電気的負荷が、遮断されるか又は制限されるか又は変更される(例えばハイ、ロー、オフ又は他のパーセンテージなど)。エネルギデマンドプログラムは、EVSEサーバ122に対して形成される要求によって実現されるか、又は、スマートEVSE102との直接の通信によって実現される。スマートEVSE102との直接の通信は、ユーティリティサーバ128でのオープンADR(オープンオートメーテッドデマンドレスポンス)の通信プロトコルによって行われる。したがって、遮断又は制限もしくは変更のためのデマンド要求(例えば、ハイ、ロー、オフ又は他のパーセンテージなど)は、幾つかの実施形態において、スマートEVSE102に対して直接に行われる。
【0041】
プリセットされているユーザ優先度は、どれだけの負荷が優先度に割り当てられたかに基づいて、所望の負荷を制限もしくは遮断又は変調するために用いられる(例えばハイ、ロー、オフ又は他のパーセンテージ)。負荷制御の最終目標は、過剰な利用率及び/又はグリッド不安定化の問題を回避するために、スマートEVSE102もしくは建物107に対してプリセットされたピーク需要電力を超過しないということである。負荷制御はユーザ優先度を実行する際に行われる。
【0042】
幾つかの実施形態では、ユーザ125は、どの時点で、どれだけの時間にわたって、また、どの程度の最大充電量(例えば完全充電状態もしくは増幅分のパーセンテージ)でスマートEVSE102を介してEV104に充電できるかを考慮して、充電スケジュールを設定する。充電スケジュールは、アプリ及び通信装置126を用いて設定されるか、又は、コンピュータ129及びインタネット通信装置124を含むホームエリアネットワークを介したEVSE102との直接の通信によって、行われる。
【0043】
幾つかの実施形態では、ユーザ125は、自身のプリファランスに基づいて、他から(例えば他の優先度を引き継いで)特定の電気的負荷の給電を可能とするために、優先度を設定する。他の実施形態では、ユーティリティサーバ128から受信される需要要求は、プリセットされたユーザ優先度に基づいて実行される。
【0044】
例えば、ユーザ125が夜間でなく日中(つまり、ピーク需要時間中に)EV104に充電したい場合、ユーザ125は、スマートデバイス(例えばスマートHVAC)に優先度2を割り当ててこのスマートデバイスを遮断し、EV104に優先度1を割り当ててEV104を充電する。給電システム内のスマートデバイスに対して他の優先度も設定できる。例えば、幾つかの実施形態では、EVSE102が優先度1に設定され、スマートHVACが優先度2、すなわち、それぞれの種々の動作レベルに設定される。例えば、選択1では、スマートEVSE102が最大充電レベルの所定パーセンテージ(例えば80%の量)で充電され、スマートHVACを低い能力で動作させることができる。選択2では、スマートEVSE102が所定期間の所定パーセンテージ(例えば80%の時間)で充電され、スマートHVACを僅かな時間だけ(例えば残りの20%の時間だけ)動作させることができる。さらに、スマートHVACが優先度1として設定され、スマートEVSE102が優先度2として設定される場合には、スマートEVSE102の充電レベルが低減されるか、又は、スマートHVACが動作していないときにのみスマートEVSE102によるEV104の充電が可能となる。他の実施形態として、各負荷によるエネルギ消費のパーセンテージ分配を設定可能である。他の実施形態では、スマートEVSE102は、設定された優先度に基づいて全負荷を平衡化するために、「自動優先モード」にある負荷に優先度を割り当てることができる。当該優先度はユーザプリファランスに基づいて設定可能である。
【0045】
幾つかの実施形態では、全負荷を平衡化しさらに固定のピーク需要を維持するために、負荷特性すなわち各負荷によるエネルギ消費のパーセンテージ分配に基づいて、スマートEVSE102により「自動優先モード」にある負荷に優先度を割り当てることができる。例として、EV104をピーク需要時間中に充電しなければならない場合、スマートEVSE102に高い優先度を割り当てることにより、HVACシステムなどの他の高電力負荷は遮断もしくは低減される。以下に、優先度の使用のシナリオの幾つかの例を説明する。スマートEVSE102が優先度1に設定され、HVACシステムが優先度2に設定される場合、選択1は、スマートEVSE102を最大充電レベルの80%で充電し、HVACシステムを最小能力で動作させるというオプションであり、選択2は、スマートEVSE102を3時間のうち80%の時間で充電し、HVACシステムを20%の時間で動作させるというオプションである。HVACシステムが優先度1に設定され、スマートEVSE102が優先度2へ設定される場合、HVACシステムが動作しているときには、スマートEVSE102は遮断されるか又はその充電レベルが低減される。
【0046】
図2には、スマートEVSE102を含む給電システム200の実施形態が示されている。当該給電システム200は、上述した各要素、及び、1つもしくは複数のスマートデバイスとの通信機能を含む。この実施形態では、スマートEVSE102は、負荷センタ106に対する電気的負荷として結合されたスマートデバイスと直接に通信する。例えば、幾つかのスマートデバイス、例えばスマート機器230、スマート照明装置232、スマートHVAC234などが負荷センタ106に結合される。他のタイプもしくは他の個数のスマートデバイスも給電システム200内に設けることができ、スマートEVSE102と直接に通信させることができる。このように、スマートEVSE102は、1つもしくは複数のスマートデバイス、例えばスマート機器230、スマート照明装置232、スマートHVAC234などの監視及び/又は制御を可能にするコンジットとして機能しうる。
【0047】
通信ゲートウェイ120は1つもしくは複数のスマートデバイス232,234,236と通信可能である。通信は、EVSEサーバ122からの制御命令、又は、1つもしくは複数のスマートデバイス232,234,236からEVSEサーバ122への送信利用情報もしくはステータス情報を含む。通信は、幾つかの実施形態では、通信インタフェース118を介して行われる。適切な無線プロトコル、例えばZ‐wave,ZigBee,EnOcean,DASH‐7,6LoWPANIPv6もしくは他のWPANで動作する規格を利用できる。また、付加的には、通信インタフェース118は、HOMEPLUG(登録商標)技術(パワーラインもしくはPLCとしても知られる),HOMEPLUG(登録商標)GreenPHY(商標)などの通信プロコトルを利用できる。
【0048】
スマートEVSE102が1つもしくは複数のスマートデバイス230,232,234に対するインタフェースを形成し、これらから電力使用データを取得する実施形態では、当該電力使用データは、電流、電圧、電圧及び/又はエネルギを含む。ステータス情報は、通信インタフェース118へ供給され、通信ゲートウェイ120及びインタネット通信装置124を介してEVSEサーバ122へ送信される。ステータス情報は、スマートデバイスのオン、オフもしくは特定の変調状態(例えば、ハイ、ロー、1−10%、0−100%など)にあることを表す信号パケットを含む。幾つかの実施形態では、スマートEVSE102はスマートデバイスのステータス設定の調整量を通信するための信号パケットを送信する(例えば、エネルギモード、オンオフ周期の周波数設定など)。
【0049】
例えば、スマート機器230は、複数の動作エネルギモード(例えばハイ、ロー、オフその他)を有し、スマートEVSE102はエネルギモードを通信もしくは調整する信号パケットを送受信する。同様に、スマート照明装置232は調光機能を有し、スマートEVSE102は調光レベルを調整する信号パケットを送受信し、スマート照明装置232のオンオフを切り換える。スマートHVAC234は、オンオフ周波数を調整する機能(例えば時間の0%から100%まで)又はエネルギモードを調整する機能(例えばハイ、ロー)を有する。
【0050】
各ケースでは、通信ゲートウェイ120がインタネット通信装置124を介してEVSEサーバ122へ接続され、ユーザ125がアプリを用いて形成した信号パケット(例えばオンもしくはオフもしくは変調要求など)を送受信する。こうして、この実施形態では、EV104の充電の制御、及び、スマートEVSE102と負荷センタ106を共有するスマートデバイス、例えばスマートデバイス230,232,234などのエネルギ管理を可能にするシステムアーキテクチャが提供される。
【0051】
スマートEVSE102は、ユーティリティサーバ128と通信可能である。通信はユーティリティサーバ128とインタネット通信装置124との間でオープンADRを用いて直接に行われるか、又は、より頻繁に、EVSEサーバ122とユーティリティサーバ128との間で行われる。幾つかの実施形態では、ユーティリティサーバ128はパワーグリッド109上の望ましくない電力条件(例えば電圧低下)を検出し、デマンドレスポンス要求をEVSEサーバ122へ送信する。EVSEサーバ122は、スマートEVSE102及び負荷センタ106に結合された各スマートデバイス230,232,234に許容される全需要量を調整するための制御信号をスマートEVSE102へ送信する。当該制御信号は、ユーティリティサーバ128からのデマンドレスポンス要求を満たすために、所定の負荷の遮断及び/又は所定の負荷の変調を含む。デマンドレスポンス要求に対する応答は、ユーザ125によって設定されたプリセット優先度を実現するための応答である。
【0052】
EVSEサーバ122は、スマートEVSE102と通信する機能を備えた各スマートデバイスに対するステータス情報(オン、オフ及び/又は変調ステータス)のデータベースを維持する。EVSEサーバ122は、スマートEVSE102からの充電データ、及び/又は、1つもしくは複数のスマートデバイス230,232,234などの電力利用データを受信して記憶する。このデータは、ユーザ125が、通信装置126で動作するアプリを用いて、インタネットを介してEVSEサーバ122から、又は、選択的にコンピュータ129から、アクセス可能である。
【0053】
図3には、EV104を充電するために構成されたスマートEVSE102を含む別の給電システム300の実施形態が示されている。給電システム300は、図2に関連して説明した給電システム200と同様のシステムであるが、スマートEVSE102が負荷センタ106の1つもしくは複数の測定装置M1,M2,M3,MMなどに対するインタフェースを有する点のみ異なっている。スマートEVSE102は、1つもしくは複数の測定装置(例えば測定装置M1,M2,M3)を介して、負荷センタ106に結合された1つもしくは複数の分岐回路の電気的負荷データを受信する。スマートEVSE102は、測定のために、負荷センタ106のマスタ測定装置MMに対するインタフェースを有し、引き出された全負荷、又は、負荷センタ106に接続された種々の分岐回路の他の電気パラメータを取得する。1つもしくは複数の分岐回路は、1つもしくは複数のスマートデバイス230,232,234に結合可能である。スマートEVSE102は、適切な手段によって、負荷センタ106の1つもしくは複数の測定装置MM,M1,M2,M3に対するインタフェースを形成する。例えば、上述したWPAN通信プロトコルに基づく送信ユニット244は、測定装置MM,M1,M2,M3からの測定負荷データを通信インタフェース118へ送信するために用いられる。付加的に、測定負荷データは、HOMEPLUG(登録商標)技術(パワーラインもしくはPLCとしても知られる),HOMEPLUG(登録商標)GreenPHY(商標)などの通信プロトコルに基づいて行われる。
【0054】
受信した測定負荷データを用いて、スマートEVSE102は、1つもしくは複数のスマートデバイス230,232,234のエネルギ管理を実行する。分岐回路及びスマートデバイス230,232,234及び測定装置の個数は図示の例より多くても少なくてもよい。
【0055】
したがって、スマートEVSE102を介して、測定装置MM,M1,M2,M3から受信された測定負荷データとデマンドレスポンスプログラムの制御信号とに応じて、又は、プリセット優先度に応じて、給電システム300によるエネルギ監視及び/又はエネルギ管理が行われる。
【0056】
例えば、幾つかの実施形態では、1つもしくは複数の測定装置MM,M1,M2,M3からの測定負荷データが単純にEVSEサーバ122へ送信される。このようにして、利用データは、通信装置126上のアプリを用いてユーザ125の観察に供されるか、又は、ユーティリティサーバ128によるアクセスが可能となる。
【0057】
別の実施形態では、負荷センタ106に結合された1つもしくは複数の電気的負荷が、スマートEVSE102によって充電される部分も含め、短い時間だけオフへ切り換えられる(以下「負荷ローリング」とする)。別の実施形態では、負荷の共有又は異なるパワーモードでのスマートデバイスの動作又は上述した優先度の実行などによって、ピーク需要電力の制限が実行される(例えば、ピーク時間中の電力消費が制限される)。
【0058】
1つもしくは複数の実施形態では、スマートEVSE102は、複数の測定装置MM,M1,M2,M3などの幾つかもしくは全てに対する電気的負荷データを受信することにより、機能の監視及び報告を行い、電気的負荷データをEVSEサーバ122へ送信するように構成される。通信は通信ゲートウェイ120を介して行われる。よって、電気的負荷データにはユーザ125がアプリを用いてアクセス可能である。この場合、ユーザ125はEVSEサーバ122を介して制御信号をスマートEVSE102へ送信し、このスマートEVSE102がこの制御信号を1つもしくは複数のスマートデバイス230,232,234へリレーして、ユーザ125のプリファランスにしたがってエネルギ管理を実行する。
【0059】
幾つかの実施形態では、スマートEVSE102はそれ自体で、例えばマスタ測定装置MMから受信した電気データを処理することにより、又は、センサ117A及び/又は給電部108の電圧タップ117Bから受信したデータを用いて、電力の安定性に関する問題を検出する。例えば、電圧降下(サグ)が所定のレベルを下回る、又は、測定電圧が所望の範囲を外れる、又は、測定電流が所定のレベルを超過するもしくは所望の範囲を外れる、又は、周波数がプリセット限界値を外れる、又は、これらの組み合わせが生じた場合に、電圧低下又は電力サージが検出される。これに応じて、スマートEVSE102は、通信ゲートウェイ120を介してユーザ125に警告コマンドを送信し、及び/又は、自動的にオフへ切り換わる、又は、1つもしくは複数のスマートデバイス230,232,234及び/又はスマートEVSE102によって引き出される負荷を変調する。これにより、スマートEVSE102及び種々のスマートデバイス230,232,234及び/又は接続されている他の負荷が電力の不安定化から保護される。したがって、スマートEVSE102が保護されるだけでなく、ローカルグリッドの不安定化の問題も解決される。幾つかのケースでは、スマートEVSE102はローカルグリッドでの電力喪失時にも通信可能なバックアップバッテリを有する。
【0060】
EVSEの動作方法が図4に示されており、図に即して説明する。方法400は、ステップ402で、通信インタフェース118などを含むEVSE、例えばスマートEVSE102などを準備し、ステップ404で、EVSEに電力を供給している負荷センタ106などの線路電圧、線路電流、線路相、線路周波数のうち少なくとも1つを測定する。線路電圧、線路電流、線路相及び/又は線路周波数の測定は、マスタ測定装置MMもしくはサーバ117もしくは電圧タップ117Bから受信される測定データに基づいて行われる。
【0061】
方法400は、ステップ406で、線路電圧、線路電流、線路相、線路周波数のうち少なくとも1つに基づいて電圧低下状態又は電力サージ状態を求め、ステップ408で、EVSEに対して、負荷センタに結合された1つもしくは複数のスマートデバイス230,232,234などの遮断を指示する。付加的に、通信インタフェース118は、EV104へ送信される充電量の最大レベルを低下させることにより、充電制御装置112に対し、スマートEVSE102の充電を停止もしくは制限するよう指示できる。
【0062】
別の方法として、スマートEVSE102が、ユーティリティサーバ128からのデマンド要求に応じて、スマートEVSE102及び/又は負荷センタ106に結合されている他のスマートデバイスへの電力を遮断もしくは他の手法で制限することにより、デマンドパワープログラムを実行することもできる。
【0063】
さらに別の方法として、スマートEVSE102を、制御信号を送信することに用い、又は、負荷センタ106に結合された1つもしくは複数のスマートデバイスからのデータもしくはステータス情報を受信して、EVSEサーバ122と通信することに用いてもよい。つまり、この観点からは、スマートEVSEはホームオートメーションシステムを置換する装置となる。
【0064】
なお、当業者には、本発明の実施形態を広汎な分野に適用できることが容易に理解されるはずである。本発明には上述したほかにも多くの実施形態もしくは適用形態があり、種々のバリエーション、修正形態及び等価のシステムなどが、上述した説明から充分に示唆される。このように、本発明を特定の実施形態に関連して詳細に説明したが、これらの実施形態は本発明を完全に開示するための例示にすぎないと理解されたい。明細書の開示内容は、本発明を特定の装置、システム又は方法に限定する意図のものでなく、本発明の観点を逸脱しない全ての修正形態、等価形態及び代替形態を含む。
図1
図2
図3
図4