特許第6234422号(P6234422)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234422
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】捕捉材料の使用方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/94 20060101AFI20171113BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20171113BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   B01D53/94 222
   F01N3/08 BZAB
   F01N3/24 E
【請求項の数】6
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-230965(P2015-230965)
(22)【出願日】2015年11月26日
(62)【分割の表示】特願2012-544525(P2012-544525)の分割
【原出願日】2010年11月12日
(65)【公開番号】特開2016-93810(P2016-93810A)
(43)【公開日】2016年5月26日
【審査請求日】2015年12月25日
(31)【優先権主張番号】12/638,166
(32)【優先日】2009年12月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506036493
【氏名又は名称】クリスタル ユーエスエー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CRISTAL USA INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チャップマン、デイビッド、モンロー
【審査官】 田中 則充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−021780(JP,A)
【文献】 特開2005−342711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/00−53/96
B01J 21/00−38/74
F01N 3/08
F01N 3/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数相を有する捕捉材料の使用方法であって、触媒材料に由来する揮発性の酸化物又は水酸化物を有する少数相を捕捉するSCR触媒システムにおいて、前記捕捉材料の前記多数相は、アルミナ、安定化アルミナ、シリカ−アルミナ、チタニア、シリカ安定化チタニア、ゼオライト、モレキュラーシーブ及びこれらの組み合わせの少なくとも1つを含み、
前記SCR触媒システムは、
前記触媒材料と、
前記捕捉材料と
を備え、
前記触媒材料は、
チタニアを利用した担体材料を有する多数相と、
少なくともバナジウムの酸化物を有する触媒成分を含む前記少数相と
を有し、
前記捕捉材料の前記少数相は、ガス空間速度100,000hr−1、水分量5体積%、750℃で4時間という条件で暴露される場合における前記捕捉材料の前記多数相上での全単分子層被覆率が5以下に維持されることができ
記捕捉材料は前記触媒材料よりも下流側に配される
使用方法。
【請求項2】
前記触媒材料における前記少数相の触媒成分は、ガス空間速度100,000hr−1、水分量5体積%、750℃で4時間という条件で暴露された後における前記捕捉材料の前記多数相上で全単分子層被覆率が5以下に維持される
請求項1に記載の使用方法。
【請求項3】
多数相を有する捕捉材料の使用方法であって、触媒材料に由来する揮発性の酸化物又は水酸化物を有する少数相を捕捉するSCR触媒システムにおいて、前記捕捉材料の前記多数相は、ランタン又はその他のランタナイドによって安定化された安定化アルミナを含み、
前記SCR触媒システムは、
前記触媒材料と、
前記捕捉材料と
を備え、
前記触媒材料は、
チタニアを利用した担体材料を有する多数相と、
少なくともバナジウムの酸化物を有する触媒成分を含む前記少数相と
を有し、
前記捕捉材料の前記少数相は、前記捕捉材料の前記多数相上での全単分子層被覆率が5以下に維持され、
前記捕捉材料と前記触媒材料とは粒子状材料が分散した混合物として配され、又は、前記捕捉材料は前記触媒材料よりも下流側に配される
使用方法。
【請求項4】
前記捕捉材料の前記多数相及び前記触媒材料の前記多数相は、シリカを用いて安定化されたチタニアを含む
請求項1または2に記載の使用方法。
【請求項5】
前記少数相の前記触媒成分は、さらに、珪素、タングステン、モリブデン、鉄、セリウム、リン、銅及びマンガンのうち少なくとも1つの酸化物を含む
請求項1からのいずれか一項に記載の使用方法。
【請求項6】
ディーゼルエンジンの排気処理システムにおける、請求項1からのいずれか一項の捕捉材料の使用方法であって、
前記ディーゼルエンジンの排気処理システムは、
前記SCR触媒システムと、
ディーゼル微粒子除去フィルタと
を備え、
前記SCR触媒システムは、前記ディーゼル微粒子除去フィルタの上流側又は下流側に配される
使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揮発性化合物を捕捉するための選択触媒還元システムに関する。
【背景技術】
【0002】
尿素、アンモニアなどの還元剤を用いた、燃焼機関において生成された窒素酸化物の選択触媒還元(SCR)は、工業的に重要な触媒プロセスである。欧州では、大型ディーゼルトラックに関して、バナジアを利用した(vanadia-based)SCR触媒を、路上での自動車用途(on-road mobile application)に使用することが認められており、当該SCR触媒は、チタニア触媒の担体(支持体と称する場合がある。)を利用している。これらの触媒は、非常に活性が高く、また、硫黄を含む燃料に対して、良好な耐性を示す。しかしながら、米国または日本では、環境保護庁(EPA)は、バナジアを利用した触媒の路上での使用(on-road use )を認めていない。バナジアの環境中への放出、及び、排気管から放出されたバナジアにさらされることにより発生する可能性がある潜在毒性に関する懸念に起因して、承認が得られていない。潜在的に触媒からのバナジアの損失を引き起こしうる有力なメカニズムの1つは、高温の排気ガス流体中で、金属酸化物又は金属水酸化物が、高温で蒸発することである。
【0003】
さらに、2010年にも課せられる予定の煤煙及びNOxに関する新たな規制(例えば、ユーロVI及びUS2010)は、SCR触媒とあわせて、ディーゼル微粒子除去フィルタ(DPF)を使用することを強制する可能性がある。一形態(米国特許第7,498,010号)において、SCR触媒は、DPFからみて下流の位置に配される。是正措置が全くなされなければ、DPF上に煤煙が捕捉され、最終的には排気ガスの流れるチャネルを閉塞させるであろう。そして、装置全体にわたって、許容できないほどの圧力低下を引き起こす。このような状況を避ける目的で、燃焼により、連続的または散発的に煤煙が除去される。燃焼は発熱反応なので、排気ガスに伝達される装置温度の上昇と無関係ではなく、温度上昇は、DPFの上流側の排気ガスの温度だけでなく、捕捉された煤塵の量にも依存する。これらの高温の排気ガス(750℃またはそれ以上にまで達する場合がある。)は、その後、SCR触媒を通過する。そのため、銅、鉄その他の卑金属触媒(base-metal catalyst)と、バナジアを利用した触媒との両方に関して、SCR触媒の熱的安定性の向上が、近年、重要視されている。一般的に、触媒は、短期間であれば、800度までの温度に対して安定であるべきと考えられている。触媒構成(catalyst formulation)の耐久性を試験するためには、現実世界の暴露条件(real-world exposure condition)を模擬的に再現する(simulate)試験を開発する必要がある。フォードの研究者ら[1]は、120,000マイルの距離におよぶ路上での条件を模擬的に再現する、SCR触媒用の加速劣化プロトコル(accelerated aging protocol)を開発した。この試験は、670℃、64時間の条件で、5体積%の水を含む反応性ガス流体(reactant gas stream)中に、触媒をさらす段階を含む。試験において、ガス流量は比較的大きい(ガス空間速度GHSV=30,000hr−1)。これらの温度及び時間に関する条件は、本願において開示され、権利を請求された発明思想の方法の基準点として用いられる。
【0004】
高温条件(例えば、SCR触媒がDPFの下流側に配された場合)における揮発が懸念されているということは、バナジアを利用したモービルSCR触媒(mobile SCR catalyst)を使用することができる市場を制限しうる問題点であり、触媒開発における重要な留意事項である。当該技術において、SCR触媒からのバナジアの揮発の度合いを評価することに対するニーズが、依然として存在する。さらに、当該技術において、その下流側にバナジアを流出させることがないことを実証するdeNOx−SCR(選択触媒還元)触媒システム(deNOx selective catalytic reduction catalyst system)に対するニーズが、依然として存在する。本願において開示され、権利を請求された発明思想は、従来技術のこれらの問題点に対処することを目的とする。
【発明の概要】
【0005】
本開示によれば、バナジウム化合物、タングステン化合物などの揮発しうる化合物(volatilized compound)を捕捉するためのSCR(選択触媒還元)触媒システム、並びに、そのようなSCR(選択触媒還元)触媒システム(例えば、ディーゼルエンジンの排出制御システム)において、バナジウム化合物、タングステン化合物などの揮発しうる化合物を捕捉する方法及び組成物(composition)が説明される。上記のシステムは、多くの場合、2つの機能部を備える。第1の機能部は、選択触媒還元(SCR)方式の触媒システムであり、第2の機能部は、過酷な暴露条件下における揮発度の大きな触媒成分を捕捉する捕捉材料である。SCR触媒の成分は、SCR触媒成分は、典型的には、少数相触媒成分(minority-phase catalyst component)が添加された、チタニアの多数相(majority phase)をベースにする。触媒成分は、バナジウム、珪素、タングステン、モリブデン、鉄、セリウム、リン、銅及びマンガンから選択される元素の酸化物の1以上からなる。捕捉材料は、典型的には、表面積の大きな酸化物(例えば、シリカ安定化チタニア、アルミナ又は安定化アルミナ)の多数相を有する。捕捉材料は、過酷な暴露条件に曝されている間、少数相酸化物の全単分子層被覆率(total fractional monolayer coverage)が小さい状態を維持してよい。上記の方法は、高温の排気ガス流体を、触媒材料及び捕捉材料の両方を用いて処理する段階を有する。捕捉材料は、触媒材料との混合物であってもよく、触媒材料の下流側に配されてもよい。触媒材料及び捕捉材料の混合物が、触媒材料の下流側に配されてもよい。それでもやはり、捕捉材料は、高温に維持されている。このようにして、酸化バナジウム(vanadia)及び酸化タングステン(tungsta)のような、揮発性の触媒成分が、排気ガスの気相中から除去される。
【0006】
本開示の一実施形態によれば、捕捉床(capture bed)に捕捉された後、捕捉床の担体表面に低濃度(low density)で存在する場合には、安定で、表面積の大きな酸化物の担体を用いて、これらの揮発性成分を捕捉することが考えられており、このような担体として、シリカ安定化チタニア及びアルミナが例示されている(なお、担体は、これらに限定されない。)。さらに、一実施形態において、驚くべきことに、過酷な条件に暴露される前に、触媒表面に、標準的な揮発性を有する成分が低濃度で存在する場合には、当該過酷な条件における当該成分の揮発度が減少することが見出された。また、そのような「低濃度」の触媒を用いて、成分の揮発を抑制又は廃絶できることが見出された。揮発性成分は、一旦、捕捉されると、排気ガスの気相中に、実質的に再放出されないことが好ましい。それゆえ、上記のシステム及び方法の一側面によれば、安定性が高く、表面積の大きな無機酸化物の担体が提供される。無機酸化物の担体は、安定で表面積の大きな担体が、安定性が低くバナジウムを利用したSCR触媒材料(V-based SCR catalyst material)と混合された形態で用いられてもよく、当該安定で表面積の大きな担体が、当該SCR触媒材料の下流側に配された形態で用いられてもよい。上記のSCR触媒材料において、触媒成分は、比較的高い表面密度(surface density)を有する。上記の安定で表面積の大きな担体は、安定性が低く表面密度がより高い触媒材料中の温度と同一の温度においても、当該触媒材料から揮発した揮発性物質を捕捉して、気相から除去する。
【0007】
本概要は、本開示の包括的又は完全な概要ではなく、単に、本開示の注目に値する様々な側面を確認するものである。上述されていない本開示のその他の側面については、下記の記載の検討において明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本願において開示され、権利を請求された発明思想に係るSCR(選択触媒還元)触媒システムの一実施形態の概略図である。当該実施形態において、触媒材料は、捕捉材料の上流側に配されている。
図2】本願において開示され、権利を請求された発明思想に係るSCR(選択触媒還元)触媒システムの他の実施形態の概略図である。当該実施形態において、触媒材料及び捕捉材料は、混合物中で結合される。
図3】全単分子層被覆率の値(total fractional monolayer value)と、バナジウム(V)の揮発度(volatility)との関係の一例を示すグラフである。
図4】全単分子層被覆率の値と、タングステン(W)の揮発度(volatility)との関係の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
高温での加速劣化試験中における触媒成分(酸化物の担体上に担持されている。)の気化を研究する過程で、驚くべきことに、触媒成分が、触媒担体(catalyst support)に応じて様々な揮発度を示すこと、及び、担持(支持と称する場合がある。)された触媒材料の揮発度と、バルクの酸化物(bulk oxide)の揮発度とが、実質的に異なりうることが見出された。担持された触媒からの触媒成分の気化が無視できない場合、ガス流体中に放出された揮発成分を捕捉する手段を備えることが好ましい。高温で揮発するそのような成分を捕捉する手段の1つは、単に、触媒床(catalyst bed)の下流側において、より低い温度で当該成分を凝縮させることである。しかしながら、この解決手法には、揮発性成分が、意図しない場所で凝縮するという問題がある。したがって、触媒床中に見られるような、高温が持続する条件においても、揮発性成分を捕捉することができる手段を備えることが好ましい。本願において開示され、権利を請求された発明思想は、ディーゼルエンジンの排気ガスを処理するシステムも対象としており、当該システムと共に用いられてよい。そして、バナジアを利用したSCR触媒(バナジウムを利用したSCR触媒と称する場合がある。)を含み、バナジウムを利用したSCR触媒と混合されるか、又は、当該SCR触媒のすぐ下流側に配される捕捉床を含む。捕捉床は、高温(elevated temperature)及びガス流量の条件が、触媒/捕捉床複合体の触媒部分における条件、又は、捕捉床よりも上流側に配された触媒床における条件に近い条件であっても、揮発性成分を捕捉して保持する機能を有する。これにより、排気ガスの気相から揮発性成分を除去することができる。
【0010】
本願において開示され、権利を請求された発明思想の一実施形態において、触媒材料及び捕捉床材料が混合物を含む場合には、触媒材料及び捕捉床材料の体積比率は、例えば、1:20から20:1の範囲であってよく、好ましくは、例えば、1:10から10:1の範囲であってよい。
【0011】
さらに、本明細書において、「触媒床」、「触媒材料」及び「触媒床材料」という用語は、ほとんど同じ意味で用いられてよい。同様に、「捕捉床」、「捕捉材料」及び「捕捉床材料」という用語は、ほとんど同じ意味で用いられてよい。
【0012】
本明細書において、「実質的に全て」という用語は、言及されている材料の少なくとも90%を意味し、好ましくは、言及されている材料の少なくとも95%までを意味し、より好ましくは、言及されている材料の少なくとも96%までを意味し、さらに好ましくは、言及されている材料の少なくとも97%までを意味し、さらに好ましくは、言及されている材料の少なくとも98%までを意味し、さらに好ましくは、言及されている材料の少なくとも99%までを意味する。
【0013】
本発明者らは、揮発性の成分が、捕捉床材料の担体表面上に低濃度(low density)で存在している場合、安定で、表面積の大きな酸化物の担体(そのような担体として、シリカ安定化チタニア及びアルミナを例示することができるが、これらに限定されるものではない。)を用いて、揮発性の成分を捕捉することができることを見出した。さらに、一実施形態において、驚くべきことに、過酷な条件に曝される前に、標準的な揮発性を有する成分が、触媒表面に低濃度で存在する場合には、当該過酷な条件における当該成分の揮発度が減少することが見出された。また、そのような低濃度の触媒を用いて、成分の揮発を抑制又は廃絶してもよいことが見出された。本願において開示され、権利を請求された発明思想の重要な側面によれば、安定性が高く、表面積の大きな無機酸化物の担体が提供される。当該無機酸化物の担体は、安定で表面積の大きな担体と、安定性が低くバナジウムを利用したSCR触媒材料とが混合された形態で用いられてもよく、又は、当該SCR触媒材料の下流側に配された形態で用いられてもよい。バナジウムを利用したSCR触媒材料において、触媒成分は、比較的高い表面密度を有する。上記の安定で表面積の大きな担体は、安定性が低く表面密度がより高い触媒材料中の温度と同一の温度においても、当該触媒材料から揮発した揮発性物質を捕捉して、気相から除去する。
【0014】
図1の概略図に示される形態は、例示的な一実施形態によれば、ウォッシュコートされた触媒を準備することで達成されうる。ウォッシュコートされた触媒は、区画化されている(zoned)。つまり、装置の正面の位置には、バナジウムを利用したSCR触媒であって、安定性が低く、表面密度の高い触媒が配される。一方、装置の背面に面した位置には、安定性が高く、表面密度の低い無機酸化物が配される。
【0015】
図2の概略図に示される他の形態は、例示的な一実施形態によれば、触媒材料及び捕捉床材料の共押出(又は他の混合方法)によって達成されうる。安定性が高く、表面積の大きな酸化物が、バナジウムを利用したSCR触媒の良好な担体となる組成物を含む場合には、当該酸化物が、安定性のより低い触媒に起因する揮発性の酸化物を蓄積したときであっても、捕捉材料は、活性触媒でありうる。安定性が高く、表面積の大きな担体として、本形態において用いられるのに適したチタニアを利用した材料は、近年の特許出願(米国特許出願第12/533,414)に記載されている。後述されるように、一例として、安定性が低く、表面濃度の大きい、バナジウムを利用したSCR触媒は、市販の触媒であるDT−52(商標)上に担持された2質量%のバナジウムであってよい(DT−52は、それ自体が、約10質量%のWO及び約90質量%のTiO(アナターゼ型)からなる材料であり、BET法による表面積は、約90m/gである。)。上記の触媒は、通常の条件下においては非常に活性なSCR触媒であるが、過酷な条件に曝されると、表面積が大きく減少する。本願において開示され、権利を請求された発明思想の一実施形態によれば、DT−52(商標)に担持されたバナジアと、チタニアを利用した材料との混合物、又は、近年の特許出願(米国特許出願第12/533,414)に記載された触媒を有してよい。例えば、上記の混合物は、ウォッシュコート法若しくは押出法、又は、粒子状物質が十分に分散した混合物を形成するための適切な方法によって達成(取得)されてよい。第2の実施形態によれば、本発明は、安定性が高く表面積の大きなアルミナ(又はその他の捕捉床材料)からなるシステムを含む。上記のアルミナは、DT−52触媒(商標)に担持されたバナジア(又はその他の適切な触媒材料)の下流側に配される。例えば、本実施形態において用いられる、チタニアを利用した担体材料は、乾燥質量で85質量%以上のTiOと、乾燥質量で10質量%以下のSiOとを含むアナターゼ型のチタニア粒子を有する材料を含んでよい(なお、担体材料は、これに限定されるものではない。)。SiOは、実質的に、低分子量及び/又は小さなナノ粒子の形態であってよい。担体材料は、例えば、3〜10%のWOをさらに含んでもよく、BET法による表面積が、少なくとも80m/gであってよい。担体材料は、例えば、乾燥質量で85%以上のTiOと、3〜10%のSiOと、乾燥質量で3〜10%のWOを含んでもよい。担体材料が焼結(焼成と称する場合もある。)される前の状態において、SiOの単分子層被覆率の値(fractional monolayer value)は、1.0より小さくてもよい。小さなナノ粒子の形態のSiOは、直径が5nmより小さくてよい。低分子量の形態のSiOは、分子量が100,000より小さくてよい。SiOは、Q、Q、Q及びQの配位環境に実質的に(例えば、50%より大きい)存在する珪素原子を含んでよい。SiOは、再分配(redistribution)後に実質的に5nm以下の深さのパッチ(patch)を有してよい。パッチは、例えば、走査電子顕微鏡法又は透過電子顕微鏡法によって観察することができる。使用されるTiOは、尿素の存在下で調合されなくてもよい。好ましい実施形態によれば、担体材料は、実質的に低分子量の形態及び/又は小さなナノ粒子の形態のシリカを含んでよい。すなわち、50%以上のシリカが、低分子量の形態(分子量が100,000未満)若しくは小さなナノ粒子の形態(直径が5nm未満、又は、両者の組み合わせであってよい。より好ましい形態によれば、シリカは、低分子量の形態及び/又は小さなナノ粒子の形態のものを、60%を超えて含んでもよい。さらに好ましい形態によれば、シリカは、低分子量の形態及び/又は小さなナノ粒子の形態のものを、70%を超えて含んでもよい。さらに好ましい形態によれば、シリカは、低分子量の形態及び/又は小さなナノ粒子の形態のものを、80%を超えて含んでもよく、さらにより好ましい形態によれば、シリカは、低分子量の形態及び/又は小さなナノ粒子の形態のものを、90%を超えて含んでもよい。さらに、低分子量の形態及び/又は小さなナノ粒子の形態の材料は、450m/gを越える幾何学的な表面積(geometric surface area)を有することが好ましい。
【0016】
別の実施形態によれば、担体材料は、乾燥質量で85%以上のTiOと、乾燥質量で5.0〜9.0%のSiOと、乾燥質量で3.0〜7.0%のWOとを含む。より具体的には、担体材料は、乾燥質量で87〜89%のTiOと、乾燥質量で7〜9%のSiOと、乾燥質量で3〜5%のWOとを含んでもよい。好ましい一実施形態によれば、担体材料は、乾燥質量で約88%(±0.5%)のTiOと、乾燥質量で約8%(±0.5%)のSiOと、乾燥質量で約4%(±0.5%)のWOとを含んでもよい。一実施形態によれば、WOの質量%は、SiOの質量%より小さい。一実施形態によれば、担体材料は、少なくとも80m/g、より好ましくは少なくとも100m/gの面積を有するフレッシュな表面を有する。他の実施形態によれば、担体材料は、乾燥質量で85%以上のTiOと、乾燥質量で3.0〜8.0%のSiOと、乾燥質量で4.0〜9.0%のWOとを含む。より具体的には、担体材料は、乾燥質量で87%以上のTiOと、乾燥質量で3〜6%のSiOと、乾燥質量で4〜8%のWOとを含んでよい。好ましい一実施形態によれば、担体材料は、乾燥質量で約90%(±0.5%)のTiOと、乾燥質量で約4%(±0.5%)のSiOと、乾燥質量で約6%(±0.5%)のWOとを含んでもよい。一実施例によれば、WOの質量%は、SiOの質量%より大きい。一実施形態によれば、担体材料は、少なくとも80m/g、より好ましくは少なくとも100m/gの面積を有するフレッシュな表面を有する。一実施形態によれば、使用される担体材料のTiO成分は、実質的に、表面積が400m/gより小さく、細孔容積が0.40cm/gより小さい。
【0017】
本願において開示され、権利を請求された発明思想の一実施形態によれば、触媒材料さらには捕捉床材料が、非常に高温の環境に曝されるような形態において、バナジウムを利用したSCR触媒を使用することが可能になる。
【0018】
捕捉材料を特徴付けるのに役立つパラメータについて検討することは有益である。そのようなパラメータの1つとして、担体材料上の触媒成分の表面密度ρsurf[atoms/nm]を例示することができる。本願において開示され、権利を請求された発明思想に係る触媒材料及び捕捉材料は、典型的には、多数相(質量分率が約0.7を超える相)と、1以上の少数相(質量分率が約0.3未満の相)とから構成されており、少数相は、多数相の表面上に存在すると考えられる。例えば、チタニアを利用したSCR触媒は、通常、バナジア(一般的には5%未満)、酸化タングステン(一般的には15%未満)及び任意成分としてのシリカ(一般的には15%未満)を含む少数相を有する。少数相は、チタニア(多数相)の表面に堆積(deposit)している。少数相の質量分率が非常に小さい場合、少数相は、担体材料と単独で結合された原子的分散状態(atomically dispersed state)で存在しうる。一方、少数相の質量分率が大きい場合、少数相は、均一的に結合を形成するようになり、ひいては、担体上に1以上の層を形成する。それどころか、極端な場合には、少数相が結晶化して、例えば、担体のチタニアとの完全混和物(intimate mixture)中に、酸化タングステンに固有の(native)単斜晶系の結晶形態を有する、大きな結晶質の酸化タングステン(bulk crystalline tungsta)が形成される。この場合、少数相は、少数相酸化物のバルク相により近い化学的特性を示しうる。バナジア及び酸化タングステンを用いた場合には、温度、水蒸気、ガス流量及び時間の条件が過酷な条件において、バルクの酸化物が揮発性を示す場合がある。
【0019】
化学文献によって確認されるように、チタニア上でバナジア結晶形成することなく高分散状態を維持することができるバナジウム量[2]は、最大で、7.1バナジウム原子/nmであり、この密度(density)は、単分子層被覆を示すと考えられている。チタニア上における高分散状態の酸化タングステン(highly dispersed tungsta)[3]の単分子層被覆は、酸化タングステンの充填(loading)が4.5タングステン原子/nmで起こると推定されている。シリカに関しては[4]、シリカの充填が6珪素原子/nmで起こると推定されている。高分散状態の少数相に関する、全面的な又は単分子層の表面密度ρsurf, monolayerを用いることで、実際の触媒中の少数相(i)の、特定の質量分率における現実の画分被覆(fractional coverage)fm,iを、以下のように特徴付けることができる。
f m, i = ρ surf, i / ρ surf, monolayer, i
【0020】
現実の触媒中に、複数の担持された酸化物(例えば、シリカ、酸化タングステン、バナジア)が含まれている場合、全単分子層被覆率(total fractional monolayer coverage)Tfは、担持された少数相酸化物(minority-phase supported oxide)のそれぞれのfm,iの合計として定義されてよい。上記の定義から、多数相担体の表面積(majority-phase support surface area)が大きく、かつ、少数相の質量分率が小さいという組み合わせの場合には、成分酸化物(component oxides)の画分被覆(fractional coverage)は、非常に小さくなる。この組み合わせは、本願において開示され、権利を請求された発明思想に係る捕捉材料にとって好ましい。さらに、本願において開示され、権利を請求された発明思想の目的は、過酷な状況に曝される条件下で、揮発性の酸化物を捕捉することなので、当然、多数相酸化物の表面積が安定(stable)であり、暴露条件によって実質的に減少しないことが特に好ましい。この定義において用いられるのに適切な(relevant)表面積は、捕捉材料又は触媒材料を、ライフタイム中の暴露を模擬的に再現したシビアな条件下に暴露した後で測定された表面積である。安定な表面積(stable surface area)とは、フレッシュな状態(暴露前の状態)と劣化した状態(暴露後の状態)との間で、表面積の減少量が極めて少ないことを意味する。画分被覆が小さい条件は、触媒材料それ自体にとっても、好ましい。驚くべきことに、成分の揮発度が、そのような条件下できわめて小さくなることが見出されたからである。当然、触媒材料が、劣悪な(harsh)条件に曝されている間、大きな表面積を維持することもまた、好ましいということになる。
【0021】
本明細書に記載された実施例及び実施形態は、本発明の触媒担体材料又は捕捉床材料からなる多数相を含む、様々なチタニア及びアルミナ材料について言及する。しかしながら、触媒担体材料又は捕捉床材料からなる多数相は、これらに限定されない。上記の多数相には、その他のチタニア、シリカ安定化チタニア、アルミナ(ベーマイト、γ及びα−アルミナを例示できる。ただし、これらに限定されるものではない。)、安定化アルミナ(ランタン又はその他のランタナイドによって安定化されたアルミナを例示できる。)、アモルファスシリカ、シリカアルミナ、ゼオライト(フォージャサイト、モルデナイト、ZSM−5及びβ−ゼオライトを例示できる。ただし、これらに限定されるものではない。)、及び/又は、モレキュラーシーブが、単体又は組み合わせて用いられてよい。一実施形態によれば、本願において開示され、権利を請求された発明思想のSCR触媒システムに用いられる捕捉材料からなる少数相は、Ford株式会社によって開発された加速劣化試験[1]で用いられる条件下において、多数相上における全単分子層被覆率を約5以下に維持する。上記の加速劣化試験は、DPFよりも下流側に配されたSCR触媒について、ライフタイム(例えば、120,000マイル)における路上での暴露(on-road exposure)を模擬的に再現する。フォードの試験条件[1]は、例えば、670℃、64時間、30,000hr−1のガス空間速度(GHSV)、及び、5体積%の水分量の環境に曝すような条件である。使用されうる他の試験条件は、750℃、4時間、100,000hr−1以下のGHSV、及び、5体積%の水分量である。例えば、本明細書で言及される材料(例えば、MC−X5v1及びMC−X5v2)は、これらの暴露後において、約3以下のTfを有する。本発明の捕捉材料の要求を満足しない材料を説明するための別の実施形態によれば、2質量%のVを含むDT−52(商標)は、670℃、4時間、10,000hr−1より大きなGHSV、及び、5体積%未満のHO(水分量と称する場合がある。)という比較的穏やかな条件に曝されると、Tfが約3を越える。暴露条件は、現実世界の条件下における触媒のライフタイムにおける暴露(lifetime exposure)を模擬的に再現することが好ましい。生じる劣化の程度(並びに、最終的な表面積及びTf)もまた、バナジアの含有量に左右される。本開示において、触媒のバナジア含有量は、0.5%から5%の範囲であることが好ましく、1%から3%の範囲であることがより好ましい。
【0022】
(実施例)
本願において開示され、権利を請求された発明思想を説明する目的で、以下の実験装置が設計された。バナジア、酸化タングステン及び/シリカの1以上を含む触媒成分からなるSCR触媒のサンプルが、それぞれ5体積%のHO及びO、それぞれ500ppmのNO及びNH、並びに、Nからなる残余成分(balance)を含むガス流体中で、高温(elevated temperature)でエイジングされた。上記のガス流体は、現実的な条件下におけるガスの組成に近い典型的な混合物(representative mixture)である。そのとき、触媒サンプルからの無機成分のガス(vapor)は、加熱炉の加熱帯に位置し、触媒の下流側に配された「捕捉床」に捕捉される。上記のアプローチを成功させるためには、上記試験の高温条件において、揮発性成分のガス(本実施形態においては、バナジア及び酸化タングステンの酸化物及び水酸化物)が、急速に、捕捉材料と定量的に反応することが望ましい。このような条件が満たされた場合、下流側での捕捉量は、対象となる酸化物のガスの圧力を間接的に測定することになる。以下の説明において、2つの量(揮発性成分の捕捉量と、ガスの圧力)が、ほとんど同じ意味で用いられる。
【0023】
(実施例1:質量バランス)
本実施例においては、バナジア含有量が2質量%であるDT−52(商標)を含む触媒材料(アルカリ性のモノエタノールアミン/バナジア溶液を蒸発させて準備した。)を、捕捉床の上流側の位置に保持して用いた。本実施例の試験は、触媒サンプルからの揮発性成分が、下流側の捕捉床によって、定量的に捕捉されうることを示すべく、実施された。DT−52(商標)の担体は、ミレニアム・インオーガニック・ケミストリ社(MIC)によって市販されており、組成の90%はTiOであり、組成の10%はWOである。捕捉床材料として、γ−アルミナ(アルファ・エイサー社、酸化アルミニウム、γ、触媒担体、大表面積、二峰性)を用いた。追加的に、大気中で、800℃で6時間焼成した。名目上の表面積は、200m/gであった。少量のアルミナ(0.2g、−14/+24メッシュ)を、反応管中の触媒サンプルの下流側の位置に配置した。石英ウール(quartz wool)の短い栓(1cm未満)によって、アルミナの捕捉床を、等量の触媒サンプル(0.2g、−14/+24メッシュ)から分離した。アルミナの位置を維持する目的で、アルミナの捕捉床の下流側に、第2の石英ウールの短い栓を配置した。バナジア含有量が2質量%であるDT−52(商標)は、その高温での安定性がよくないことが当業者によく知られているので、本実験における触媒サンプルとして選択された。その事実は、次の事実により確認できる。バナジアをドープしたDT−52(商標)の実験開始時の表面積は、58m/gであった。一方、暴露され、回収された材料の表面積は、(以下に記載されるように)12m/gであった。このように、暴露の間に、触媒材料の表面積が著しく減少した。(実施例の説明に戻り、)その後、触媒材料及びアルミナの捕捉床材料を、750℃、1時間、65L/hrの全ガス流量の条件に暴露した後、触媒サンプル及び捕捉床サンプルの両方を、分析のために、手作業で回収した。暴露温度として、670℃ではなく、750℃を選択した理由は以下のとおりである。暴露温度を750℃とすることで、比較するのに十分な量の触媒を、短期間で生じさせることができ、典型的な結果(representative result)を提供しながらも、試験時間を、64時間から、1〜4時間にまで短縮することができるからである。上記のガス流量は、200,000hr−1以下のGHSVに相当する。これは、フォード社の試験のGHSVと比較して、何倍も大きい。しかしながら、流量を大きくしたことで、質量作用の法則の効力によって、揮発性成分のガス輸送(vapor transport)が大幅に増強され、ガス輸送に続く、揮発性成分の回収及び分析の負担を軽減することができた。流量のより小さな条件を用いることで、より少量の揮発性成分が輸送され、回収されるので、上記の試験は、成分の揮発度を決定するための非常に感度のよい方法であると考えられる。
【0024】
暴露工程の後、濃HF水溶液を用いて、それぞれのサンプルを溶解して、タングステン及びバナジウムについて、ICPESを用いて分析したバナジウム及びタングステンのそれぞれの検出限界は、捕捉材料(例えば、アルミナ)1gあたり2.5μg(ppm)である。
【0025】
実験結果は、別々に実施した4回の実験の平均値として、表1に記載されている。
【0026】
【表1】
【0027】
バナジウムの気相へのロスは、測定可能ではあったが、微量であったことがわかる。一方、回収されたアルミナの捕捉材料が、ざっと、0.45質量%のタングステンを含有しており、タングステンのロスは相当の量であったことがわかる。また、物質収支の測定値の平均値が、理論値の標準偏差の範囲内であるので、それぞれの物質収支は、基本的に100%であったといえる。
【0028】
(実施例2:捕捉材料の安定性の説明)
本実施例は、酸化タングステン及びバナジアが、一旦、安定性が高く、表面積の大きな捕捉材料(本実施例では、γ−アルミナ)の表面上に存在すれば、本試験条件下では、非常に高温の暴露温度においてでさえ、揮発しないことを示す。γ−アルミナのサンプル(アルファ・エイサー社、酸化アルミニウム、γ、触媒担体、大表面積、二峰性)を、47013ppmのタングステン及び11200ppmのバナジウムとともに、(アルカリ性のモノエタノールアミン溶液からの沈積によって)充填し、大気中で、600℃で6時間焼成した。実施例1と同様に、上記の触媒サンプルを、下流側の捕捉材料(ドープされていないγ−アルミナ)の上流側に配置した。別に実施した実験によれば、10%のHOを含む雰囲気下に、750℃、16時間暴露した後の、タングステン及びバナジウムをドープしたアルミナの表面積は、191m/gであり、当該材料の安定性が良好であることが示された。(実施例の説明に戻り、)その後、触媒材料及び捕捉材料を、750℃、1時間、65L/hrの全ガス流量の条件の反応流体に暴露した。使用済みのサンプルを、回収して分析した。捕捉床上には、測定することができる程度のタングステン又はバナジウムは存在しなかった。つまり、これらの酸化物は、表面積が大きく、安定性の高いアルミナ担体上に担持された場合には、揮発度を示さない。要約すると、実施例1及び実施例2によれば、2つの重要な事項がわかる。すなわち、バナジウム及びタングステンの両方とも、熱的安定性に乏しいチタニア上に担持された場合には、750℃において測定可能な程度の揮発性を示す。しかし、バナジウム及びタングステンは、安定性が高く、表面積の大きなアルミナ上に担持された場合には、同じ温度においても、測定可能な程度の揮発度を示さない。
【0029】
(実施例3〜7:バナジアを利用した様々な触媒材料の評価)
実施例1及び実施例2に記載された事項によれば、本願において開示され、権利を請求された発明思想に係る方法を、様々な触媒成分(バナジウム及びタングステンを例示できる。)の揮発度を、実験室規模で調べる方法として呈示することができる。それゆえ、以下の実施例において、チタニアを利用した様々な担体上に担持された酸化タングステン及びバナジアを含むSCR触媒が、触媒成分の揮発度によってスクリーニングされた。実施例の材料は、全て、2質量%のVを含み、アルカリ性のモノエタノールアミン溶液からの沈積により形成した。上記のバナジウムをドープした材料を、大気中で、600℃で6時間焼成して、水分及び有機成分を除去した。DT−58(商標)を利用した材料は、市販のチタニアを利用したSCR触媒であり、MIC社から入手することができる。DT−58(商標)は、81%のTiOと、9%のWOと、10%のSiOとを含み、BET法による表面積は、約90〜110m/gである。実施例5及び実施例6のサンプルは、それぞれ、MC−X5v1及びMC−X5v2というラベルが付された開発用のSCR触媒担体であり、本明細書において、「安定化されたアナターゼ型チタニア」に関連して説明されており、その全内容が、参照により本明細書に明らかに組み込まれる米国特許出願第12/533,414においても説明されている。MC−X5v1担体の組成は、90%のTiO、4%のSiO及び6%のWOである。MC−X5v2担体の組成は、88%のTiO、8%のSiO及び4%のWOである。
【0030】
【表2】
【0031】
まず、触媒の現実のライフにおける暴露を表す一式の条件(a set of conditions)を決定することが望ましい。上述のとおり、フォード社の研究者ら[1]は、ディーゼル微粒子除去フィルタ(DPF)の下流側に配されたSCR触媒用の加速劣化プロトコルを開発した。上記のプロトコルは、120,000マイルにおよぶ路上での暴露を模擬的に再現している。加速劣化試験は、水分(5体積%)を含み、GHSVが30,000hr−1であるガス流体に、670℃で、64時間、触媒を暴露する工程を含む。このような暴露条件は、DPFの再生工程のスス燃焼中に高温になった場合に生じうる、非常に過酷な条件を代表しており、伝統的なSCRの用途においては通常生じることのない条件である。
【0032】
DT−58(商標)触媒及びMC−X5v1触媒を、10体積%のHOを含む雰囲気下に、670℃で64時間、暴露した。劣化した触媒の表面積及び細孔容積を求めた結果を、表2に示す。下流側のγ−アルミナの捕捉床の上流側に配される2床構造(dual bed configuration)における触媒サンプルとして、同一の触媒出発原料(starting catalyst material)を用いた。実施例1及び実施例2において説明したように、上記の触媒出発原料を、750℃で処理した。暴露時間は、たったの4時間であり、反応ガス流量は、32.5L/hr(GHSVに換算すると、100,000hr−1以下である。)であった。この条件においても、ガス流量は、依然としてフォード社の試験[1]よりも大きいが、当該試験をより厳密に表現している。
【0033】
表2に示された結果より、本願において開示され、権利を請求された発明思想に係る試験方法に従って、750℃で4時間、暴露された触媒の表面積は、670℃で64時間のエイジングを経た同一の材料の表面積よりもわずかに小さかったことがわかる。したがって、触媒サンプルの劣化具合(つまり、過酷さ)の評価基準(measure)として、表面積を用いた場合には、前者の試験条件は、フォード社の試験条件よりもわずかに過酷であるといえる。このように、本願において開示され、権利を請求された発明思想に係る試験は、当該試験を、反応ガスの流量が32.5L/hrの条件において、750℃で4時間、実行した場合、120,000マイルにわたって路上で使用するような、触媒の現実のライフにおける暴露(real-life exposure)の第1近似として優れていることがわかる。
【0034】
表2に記載されている触媒のそれぞれについて、複数回の評価を実施した。表2には、結果の平均を記載した。表2に示された結果から、触媒におけるバナジウム及びタングステンの減少の度合いは様々であることがわかる。表2には、それぞれの材料に関する全単分子層被覆率(Tf)の値も記載されている。ここでの表面積は、劣化したサンプルの表面積である。図3及び図4は、触媒サンプルからのバナジウム及びタングステンの減少量と、Tfの値との間に見出された相関関係を示す。データ及びグラフから、Tfの値が、約3以下の場合には、バナジア触媒の成分及び酸化タングステン触媒の成分は、揮発度が小さく、実質的に触媒材料上に保持されることがわかる。一方、Tfの値が、3よりも大きい場合には、触媒成分は、はるかに大きな揮発度を示し、触媒材料から失われる(しかし、捕捉材料に捕捉される。)ことがわかる。もちろん、DT−52(商標)触媒材料から、比較的多量のバナジウム及びタングステンが失われた場合であっても、揮発性の酸化物及び水酸化物が、捕捉床材料(例えば、アルミナ)に捕捉された場合、暴露後の当該材料のTfは、1よりはるかに小さい。両者の間の良好な相関関係は、触媒材料及び捕捉材料として有用かもしれない未知の材料の挙動を予測するのに使用されてもよい。このように、バナジアを利用したチタニア材料は、エイジング後の表面積が大きく、SiO、WOなどの触媒成分の付着量が少ない。バナジアを利用したチタニア材料は、過酷な暴露条件下において、バナジウム及びタングステンの気相へのロスが少ないか、当該ロスがない。したがって、バナジアを利用したチタニア材料は、魅力的な触媒材料である。DT−52(商標)上のバナジアのような、安定性に乏しく、Tfの大きな触媒材料が、上流側に配されたり、より安定で、Tfの小さな材料との完全混和物(intimate mixture)中に存在したりする場合に、このような担体材料は、優れた捕捉材料として働くであろう。
【0035】
アルミナ若しくは安定化チタニア(又は本明細書において考慮されたその他の材料)上の少数相成分の揮発度が小さい理由は、以下のとおりと考えられるが、当該理論に縛られるものではない。つまり、少数相成分の画分被覆が少ない場合(つまり、fが小さい場合)には、少数相成分と多数相の担体との間の化学的な相互作用が強く、このような相互作用エネルギーは、回りまわって、担持された成分の気化に関連する平衡定数を低下させるのに有利に働くと考えられる。
【0036】
(安定化されたアナターゼ型のチタニア)
【0037】
本願において開示され、権利を請求された発明思想の好ましい実施形態によれば、本実施形態において用いられる多数相の触媒成分及び/又は捕捉床材料を含む材料は、アナターゼ型のチタニア(例えば、米国特許出願第12/533,414に記載されていようなチタニア)であってよい。本実施形態において、アナターゼ型のチタニアは、低分子量の形態及び/又は小さなナノ粒子の形態で提供されるシリカによって安定化される。さらに、バナジアを利用した選択触媒還元法による希薄燃焼エンジン(ディーゼルエンジン)からのNOx除去に用いられる場合には、アナターゼ型のチタニア上に分散している少数相が、バナジア(任意の構成として、酸化タングステンを含んでもよい。)を含むことが好ましい。
【0038】
シリカ−チタニア又はシリカ−チタニア−酸化タングステンの触媒担体材料(多数相)及び/又は捕捉床材料の組成は、現実的には、当該触媒の用途における要求によって決定されてよい。好ましい組成の一例によれば、上記の材料は、シリカ安定化チタニア材料を含んでよい。シリカ安定化チタニア材料は、乾燥質量で、90質量%以上のTiOと10質量%以下のSiOとを含む粒子を有してよい。好ましい組成の他の例によれば、上記の材料は、シリカ安定化チタニア−酸化タングステン材料を含んでよい。シリカ安定化チタニア−酸化タングステン材料は、乾燥質量で85%以上のチタニアと、乾燥質量で3〜10%のSiOと、乾燥質量で3〜10%のWOを含んでもよい。あるいは、特に優れた熱的安定性が要求される用途においては、上記の材料は、乾燥質量で85%以上のTiOと、乾燥質量で5.0〜9.0%のSiOと、乾燥質量で3.0〜7.0%のWOとを含んでもよい。より具体的には、上記の材料は、乾燥質量で87〜89%のTiOと、乾燥質量で7〜9%のSiOと、乾燥質量で3〜5%のWOとを含んでもよい。好ましい一実施形態において、上記の材料は、乾燥質量で約88%(±0.5%)のTiOと、乾燥質量で約8%(±0.5%)のSiOと、乾燥質量で約4%(±0.5%)のWOとを含んでもよい。一実施形態によれば、WOの質量%は、SiOの質量%より小さい。一実施形態によれば、上記の材料は、少なくとも80m/g、より好ましくは少なくとも100m/gの面積を有するフレッシュな表面を有する。
【0039】
他の実施形態によれば、優れた触媒活性又は揮発性物質の捕捉性能が要求される用途においては、上記の材料は、乾燥質量で85%以上のTiOと、乾燥質量で3.0〜8.0%のSiOと、乾燥質量で4.0〜9.0%のWOとを含んでよい。より具体的には、上記の活性材料は、乾燥質量で87%以上のTiOと、乾燥質量で3〜6%のSiOと、乾燥質量で4〜8%のWOとを含んでよい。好ましい一実施形態によれば、上記の材料は、乾燥質量で約90%(±0.5%)のTiOと、乾燥質量で約4%(±0.5%)のSiOと、乾燥質量で約6%(±0.5%)のWOとを含んでもよい。一実施例によれば、WOの質量%は、SiOの質量%より大きい。
【0040】
本願において開示され、権利を請求された発明思想の一実施形態によれば、使用される上記の材料のTiO成分は、実質的に、表面積が400m/gより小さく、細孔容積が0.40cm/gより小さい。
【0041】
一実施形態によれば、上記の材料は、温度が80℃より低く、pHが8.5より小さい条件で、チタニアのスラリーと、シリカ成分とを混合することで作製される。あるいは、使用されるチタニアのスラリー及びシリカ成分が、温度が70℃より低く、pHが7.0より小さい条件で、混合されてもよい。
【0042】
本願において開示され、権利を請求された発明思想に係るバナジア触媒は、本明細書において説明されたように、シリカ安定化されたチタニア又はチタニア−酸化タングステンの触媒担体を含んでよい。上記の触媒担体上には、多量の酸化バナジウム(V)が分散しており、Vの含有量は、触媒担体の乾燥質量の0.5%から1%まで、好ましくはさらに2%まで、より好ましくはさらに3%まで、より好ましくはさらに4%まで、より好ましくはさらに5%までである。本願において開示され、権利を請求された発明思想に係るバナジア触媒材料は、deNOx触媒としての活性を向上させる目的で、650℃以上の温度で、さらに焼成(焼結)されてよい。
【0043】
本願において開示され、権利を請求された発明思想に係る放出システムは、エンジンの上流側又はエンジンの下流側において、ディーゼル微粒子除去フィルタ(DPF)とともに用いられてよい。
【0044】
シリカ安定化チタニア材料中のシリカ粒子の大部分は、その径が5nm未満であることが好ましく、4nm未満であることがより好ましく、3nm未満であることがさらに好ましく、2nm未満であることがさらに好ましく、及び/又は、当該シリカ粒子の大部分は、分子量が小さい(例えば、分子量が100,000未満)ことが望ましい。シリカ粒子は、当該粒子上に堆積したVを有してもよく、有しなくてもよい。
【0045】
シリカ−チタニア材料が、当該材料上に堆積したVを有する場合、Vの含有量は、当該材料の乾燥質量の0.5%から1%まで、好ましくはさらに2%まで、より好ましくはさらに3.0%まで、より好ましくはさらに4%まで、より好ましくはさらに5%までである。
【0046】
チタニア材料の表面上のWO種及びSiO種の分布もまた、バナジア触媒のdeNOx活性の最適化において、一定の役割を果たす。上述のとおり、フレッシュな触媒が準備された状態、すなわち、まず、別のシリカ及び酸化タングステンの酸化物(added silica and tungsta oxides)が堆積法により作製(deposite)され、高温処理がなされる前の状態において、単分子層被覆率(fractional monolayer coverage)は、約1.0か、それよりも小さい。
【0047】
上記の材料の焼成前、SiOの単分子層被覆率の値(fractional monolayer value)は、1.0未満であってよい。小さなナノ粒子の形態のSiOは、直径が5nmより小さくてよい。低分子量の形態のSiOは、分子量が100,000より小さくてよい。SiOは、Q、Q、Q及びQの配位環境に実質的に(例えば、50%より大きい)存在する珪素原子を含んでよい。SiOは、再分配(redistribution)後に実質的に5nm以下の深さのパッチ(patch)を有してよい。パッチは、例えば、走査電子顕微鏡法又は透過電子顕微鏡法によって観察することができる。使用されるTiOは、尿素の存在下で調合されなくてもよい。
【0048】
本発明の別の側面によれば、本明細書に記載のシリカ安定化チタニア材料を有するバナジア触媒が提供される。シリカ安定化チタニア材料は、その上に堆積したVを含む。一例として、バナジア触媒は、乾燥質量で、0.5%から1%まで、好ましくはさらに2%まで、より好ましくはさらに3%まで、より好ましくはさらに4%まで、より好ましくはさらに5%までのVを含んでよい(1.0%から2%まで、好ましくはさらに3%までのVを含むことがさらに望ましい。)。焼成前の状態で、Vの単分子層被覆率の値(fractional monolayer value)は、1.0未満であってよい。バナジア触媒は、例えば、650℃以上の温度で焼結されてよい。本願において開示され、権利を請求された発明思想の別の側面によれば、本明細書に記載のバナジア触媒及び捕捉床材料を有する、ディーゼル用のSCR触媒システムが提供される。別の側面によれば、ディーゼル微粒子除去フィルタをさらに備えたディーゼルエンジンの排気ガス処理システムが提供される。触媒捕捉床装置は、ディーゼル微粒子除去フィルタよりも上流側に配されてもよく、下流側に配されてもよい。
【0049】
本願において開示され、権利を請求された発明思想の別の側面によれば、窒素酸化物をNガスへの変換を触媒する方法が提供される。上記の方法は、NOxを含むエンジン排気を、追加的な還元剤とともに、本明細書に記載のバナジア触媒に接触させて、N及びHを生成する段階を有する。上記の還元剤としては、例えば、NH及び/又は尿素を例示することができる。上記の方法において、バナジア触媒は、乾燥質量で0.5%〜5%(より好ましくは、1.0%〜3%)のVを含んでよい。エンジン排気は、バナジア触媒に接触させられる前に、又は、バナジア触媒に接触させられた後で、ディーゼル微粒子除去フィルタを通過させられてよい。その後、排気は、捕捉床材料を通過させられる。
【0050】
上述のとおり、シリカを用いてチタニア材料を安定化させる段階は、低分子量形態のシリカ及び/又は小さなナノ粒子形態のシリカを用いて、チタニアを処理する段階を有することが好ましい。低分子量形態のシリカ及び/又は小さなナノ粒子形態のシリカとしては、テトラ(アルキル)アンモニウムシリケート(例えば、テトラメチルアンモニウムシリケート)又はオルト珪酸テトラエチル(TEOS)を例示することができる。本発明において使用されうる、低分子量及び/又は小さなナノ粒子のシリカの前駆体の他の例としては、以下を例示することができるが、上記の前駆体はこれに限定されるものではない。すなわち、ハロゲン化珪素(すなわち、無水のSiX。ただし、Xは、F、Cl、Br又はIである。)、珪素アルコキシド(すなわち、Si(OR)。ただし、Rは、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、各種のペンチル基、各種のヘキシル基、各種のオクチル基、各種のノニル基、各種のデシル基、各種のウンデシル基、各種のドデシル基などである。)、他の有機シリコン化合物(例えば、ヘキサフルオロ珪酸アンモニウム[(NHSiF]などのフルオロ珪酸塩、ヘキサメチルジシラザン)などの水溶液、第四級アンモニウム珪酸塩(quaternary ammonium silicate)溶液(例えば、(NR)n(SiO)。ただし、Rは、H又は上述のようなアルキル基であり、nは、0.1〜2である。)、水性の珪酸ナトリウム溶液及び珪酸カリウム溶液(aqueous sodium and potassium silicate solution)(NaSiO、KSiO及びMSiO。ただし、Mは、Na又はKであり、Siに対する比率は様々である。)、酸性イオン交換樹脂を用いて、様々なカチオン形態(cationic form)のシリカ(例えば、本明細書に記載されたシリカ)をイオン交換して得られる珪酸(Si(OH))などを例示することができる。好ましい実施形態によれば、チタニアは、尿素の存在下で処理されていない。
【0051】
触媒担持材料及び/又は捕捉床材料は、TiOを含むスラリーを準備する段階と、TiOスラリーと(1)実質的に低分子量形態のSiO及び/又は小さなナノ粒子を有するSiOを含むシリカ前駆体溶液並びに(2)WOとを混合して、TiO−WO−SiO混合物を形成する段階とによって、形成されてよい。シリカ前駆体溶液は、TiOスラリーとWOとを混合する前に、TiOスラリーと混合されてもよく、TiOスラリーとWOとを混合した後に、TiOスラリーと混合されてもよく、TiOスラリーとWOとを混合している間に、TiOスラリーと混合されてもよい。その後、TiO−WO−SiO混合物を洗浄及び焼成して、シリカ安定化チタニア担体材料を形成する。この方法によれば、シリカ安定化チタニア担体材料は、例えば、乾燥質量で86〜94%のTiOと、乾燥質量で3〜9%のSiOと、乾燥質量で3〜7%のWOを含む。シリカ安定化チタニア担体材料は、焼成前の状態において、少なくとも80m/gの表面積をそもそも有してよい。上記スラリーに含まれるTiOは、予め作製された水酸化チタン、チタンのオキシ水酸化物又は二酸化チタンの粒子を含んでよい。上記スラリーに含まれるTiOは、尿素の存在下で形成されていなくてもよい。
【0052】
シリカ前駆体溶液は、テトラ(アルキル)アンモニウムシリケート又は珪酸を含んでもよい。再分配(redistribution )後、SiOは、5nm以下の深さのパッチ(patch)を実質的に有してよい。パッチは、例えば、走査電子顕微鏡法又は透過電子顕微鏡法によって観察することができる。上記の方法は、TiO−WO−SiO混合物と、Vとを混合して、バナジア触媒を形成する段階をさらに有してよい。このようにして作製されたバナジア触媒は、例えば、乾燥重量で0.5%から1%まで、好ましくはさらに2%まで、より好ましくはさらに3%まで、より好ましくはさらに4%まで、より好ましくはさらに5%までのVを含む。焼成前のバナジア触媒のVの単分子層被覆率(fractional monolayer)の値は、1.0より小さくてよい。バナジア触媒は、例えば、650℃以上の温度で焼成されてよい。
【0053】
あるいは、シリカ安定化チタニア材料は、TiO粒子を含むTiOスラリーを準備する段階と、微粒子シリカ源を準備する段階と、TiOスラリーと微粒子シリカ源とを混合して、TiO−SiO混合物を形成する段階と、TiO−SiO混合物のpH及び温度を、pH<8.5及び温度<80℃に調整する段階とを経て形成されてよい。上記のpH及び温度において、微粒子シリカは溶解し、TiO粒子上に再沈殿する。その結果、シリカ安定化チタニアが形成される。上記の方法は、シリカ安定化チタニア材料とWOとを混合して、シリカ安定化チタニア・タングステン材料を形成する段階をさらに有してよい。上記の方法は、シリカ安定化チタニア・タングステン材料を洗浄及び焼成する段階をさらに有してよい。シリカ安定化チタニア・タングステン材料は、例えば、乾燥質量で86〜94%のTiOと、乾燥質量で3〜9%のSiOと、乾燥質量で3〜7%のWOを含む。上記のチタニア材料は、焼成前の状態において、少なくとも80m/gの表面積をそもそも有してよい。TiOスラリーのTiO粒子は、例えば、予め作製された水酸化チタン、チタンのオキシ水酸化物又は二酸化チタンの粒子を含んでよい。TiO−SiO混合物のSiOは、Q、Q、Q及びQの配位環境に実質的に(例えば、50%より大きい)存在する珪素原子を含んでよい。上記の方法により得られるTiO粒子上のSiOは、SiOの再分配(redistribution)後に実質的に5nm以下の深さのパッチ(patch)を有してよい。パッチは、例えば、走査電子顕微鏡法又は透過電子顕微鏡法によって観察することができる。上記の方法は、TiO−WO−SiO混合物と、Vとを混合して、バナジア触媒を形成する段階をさらに有してよい。上記の方法によれば、バナジア触媒は、例えば、乾燥質量で、0.5%から1%まで、好ましくはさらに2%まで、より好ましくはさらに3%までのVを含む。焼成前の状態で、Vの単分子層被覆率の値(fractional monolayer value)は、1.0未満であってよい。バナジア触媒は、例えば、650℃以上の温度で焼結されてよい。
【0054】
本明細書において検討されるように、一実施形態によれば、本願において開示され、権利を請求された発明思想は、窒素酸化物及びディーゼル煤塵微粒子を含むディーゼル排気ガスを処理するためのSCR触媒システムを提供する。上記のシステムは、触媒材料及び捕捉材料を含む。触媒材料は、チタニアを利用した担体材料(titania-based support material)を含む多数相と、触媒成分を含む少数相とを有する。触媒成分は、バナジウム、珪素、タングステン、モリブデン、鉄、セリウム、リン、銅及びマンガンから選択される元素の酸化物の少なくとも1つを含む。捕捉材料は、少数相を捕捉するための多数相を有し、当該少数相は、触媒材料に由来する、揮発性の酸化物又は水酸化物を含む。捕捉材料の多数相上での、捕捉材料の少数相の全単分子層被覆率は、約5未満に維持される。捕捉材料は、触媒材料との混合物中に配されたり、触媒材料の下流側に配されたり、触媒材料中の混合物中に配された上で、触媒材料の下流側に配されたりする。本実施形態によれば、ガス空間速度100,000hr−1、水分量5体積%、750℃で4時間という条件に暴露された場合に、捕捉材料の多数相上での、捕捉材料の少数相の全単分子層被覆率を、5未満に維持することができる。ガス空間速度100,000hr−1、水分量5体積%、750℃で4時間という条件に暴露された後の状態で、多数相上での、触媒材料の少数相触媒成分の全単分子層被覆率を、5未満に維持することができる。捕捉材料は、触媒材料に由来する揮発性の酸化物又は水酸化物を、実質的に全て除去することが好ましい。捕捉材料の多数相は、主に、アルミナ、安定化アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、アモルファスシリカ、チタニア、シリカ安定化チタニア、ゼオライト、モレキュラーシーブ及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つを含んでよい。多数相が安定化アルミナである場合、安定化アルミナは、ランタン又はその他のランタナイドによって安定化されてよい。捕捉材料の多数相及び触媒材料の多数相は、シリカによって安定化されたチタニアを含んでよい。
【0055】
別の実施形態によれば、本願において開示され、権利を請求された発明思想は、SCR触媒システムと、ディーゼル微粒子除去フィルタとを備え、窒素酸化物及びディーゼル煤塵微粒子を含むディーゼル排気ガスを処理するためのディーゼルエンジン排気ガス処理システムを提供する。触媒システムは、触媒材料と、捕捉材料とを有する。触媒材料は、チタニアを利用した担体材料を含む多数相と、触媒成分を含む少数相とを有する。触媒成分は、バナジウム、珪素、タングステン、モリブデン、鉄、セリウム、リン、銅及びマンガンから選択される元素の酸化物の少なくとも1つを含む。捕捉材料は、少数相を捕捉するための多数相を有し、当該少数相は、触媒材料に由来する、揮発性の酸化物又は水酸化物を含む。捕捉材料の多数相上での、捕捉材料の少数相の全単分子層被覆率は、約5未満に維持される。捕捉材料は、触媒材料との混合物中に配されてもよく、触媒材料の下流側に配されてもよく、触媒材料中の混合物中に配された上で、触媒材料の下流側に配されてもよい。SCR触媒システムは、ディーゼル微粒子除去フィルタの上流側に配されてもよく、下流側に配されてもよい。本実施形態によれば、ガス空間速度100,000hr−1、水分量5体積%、750℃で4時間という条件に暴露された場合に、捕捉材料の多数相上での、捕捉材料の少数相の全単分子層被覆率を、5未満に維持することができる。ガス空間速度100,000hr−1、水分量5体積%、750℃で4時間という条件に暴露された後の状態で、多数相上での、触媒材料の少数相触媒成分の全単分子層被覆率を、5未満に維持することができる。捕捉材料は、触媒材料に由来する揮発性の酸化物又は水酸化物を、実質的に全て除去することが好ましい。捕捉材料の多数相は、主に、アルミナ、安定化アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、アモルファスシリカ、チタニア、シリカ安定化チタニア、ゼオライト、モレキュラーシーブ及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つを含んでよい。多数相が安定化アルミナである場合、安定化アルミナは、ランタン又はその他のランタナイドによって安定化されてよい。捕捉材料の多数相及び触媒材料の多数相は、シリカによって安定化されたチタニアを含んでよい。
【0056】
別の実施形態によれば、本願において開示され、権利を請求された発明思想は、CR触媒システム(ディーゼル微粒子除去フィルタを備えてもよく、備えなくてもよい。)を準備する段階と、ディーゼル排気ガスを、SCR触媒システムに接触させる段階とを有する、ディーゼル排気ガスを処理する方法を提供する。上記の方法において、捕捉材料は、ディーゼル排気ガスから、触媒材料に由来する揮発性の酸化物又は水酸化物を、実質的に全て除去する。上記の方法において、SCR触媒システムは、触媒材料と、捕捉材料とを備える。触媒材料は、チタニアを利用した担体材料を含む多数相と、触媒成分を含む少数相とを有する。触媒成分は、バナジウム、珪素、タングステン、モリブデン、鉄、セリウム、リン、銅及びマンガンから選択される元素の酸化物の少なくとも1つを含む。捕捉材料は、少数相を捕捉するための多数相を有し、当該少数相は、触媒材料に由来する、揮発性の酸化物又は水酸化物を含む。捕捉材料の多数相上での、捕捉材料の少数相の全単分子層被覆率は、約5未満に維持される。捕捉材料は、触媒材料との混合物中に配されたり、触媒材料の下流側に配されたり、触媒材料中の混合物中に配された上で、触媒材料の下流側に配されたりする。
【0057】
本実施形態によれば、ガス空間速度100,000hr−1、水分量5体積%、750℃で4時間という条件に暴露された場合に、捕捉材料の多数相上での、捕捉材料の少数相の全単分子層被覆率を、5未満に維持することができる。ガス空間速度100,000hr−1、水分量5体積%、750℃で4時間という条件に暴露された後の状態で、多数相上での、触媒材料の少数相触媒成分の全単分子層被覆率を、5未満に維持することができる。捕捉材料は、触媒材料に由来する揮発性の酸化物又は水酸化物を、実質的に全て除去することが好ましい。捕捉材料の多数相は、主に、アルミナ、安定化アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、アモルファスシリカ、チタニア、シリカ安定化チタニア、ゼオライト、モレキュラーシーブ及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つを含んでよい。多数相が安定化アルミナである場合、安定化アルミナは、ランタン又はその他のランタナイドによって安定化されてよい。捕捉材料の多数相及び触媒材料の多数相は、シリカによって安定化されたチタニアを含んでよい。
【0058】
本明細書においては、本願において開示され、権利を請求された発明思想の様々な側面が、よりよく理解され、評価されることを目的として、特定の好ましい実施形態及び実施例を用いて、当該発明思想について説明してきた。これらの特定の好ましい実施形態及び実施例は、本願において開示され、権利を請求された発明思想を限定することを意図して記載されたものではないことに留意すべきである。好ましい実施形態を含む、本明細書の実施例は、本発明の実施に役立つであろう。本明細書に記載された個々の事項は、一例として示されているものであり、単に、本願において開示され、権利を請求された発明思想の好ましい実施形態の実例について考察することを目的としている。また、本明細書に記載された個々の事項は、有用な形態を提供する目的で呈示されており、本願において開示され、権利を請求された発明思想の原理及び概念的見地(conceptual aspect)に加えて、定式化された手順を理解しやすく記載することを目的として呈示されている。
【0059】
したがって、本願において開示され、権利を請求された発明思想及びその効果について、詳細に説明されているが、本願において開示され、特許請求の範囲において特定される権利を請求された発明思想の精神及び範囲を逸脱することなく、様々に変更、置換及び代替できることが理解されるべきである。さらに、本明細書に記載された用途は、本明細書において説明された特定の実施形態に係る装置、プロセス、製造品目、組成物、手段、方法及び段階に限定されない。当業者であれば、本明細書の開示、装置、プロセス、製造品目、組成物、手段、方法又は段階をすぐに理解することができるので、本願において開示され、権利を請求された発明思想に従って、本明細書に記載された対応する実施形態と実質的に同一の機能を発揮する又は実質的に同一の効果を奏するもの(将来開発されるものを含む。)を、実現することができる。したがって、そのような装置、プロセス、製造品目、組成物、手段、方法又は段階は、特許請求の範囲に記載された発明の技術的範囲に含まれる。
【0060】
本明細書において参照した特許、公開された特許出願、参考文献及び論文のそれぞれは、その全内容が参照によって、本明細書に組み込まれる。
なお、上記の実施形態によれば、以下の構成もまた開示される。
[項目1]
窒素酸化物及びディーゼル煤塵粒子を含むディーゼル排気ガスを処理するSCR触媒シ
ステムであって、
触媒材料と、
捕捉材料と、
を備え、
前記触媒材料は、
チタニアを利用した担体材料を含む多数相と、
触媒成分を含む少数相と、
を有し、
前記触媒成分は、バナジウム、珪素、タングステン、モリブデン、鉄、セリウム、リン、銅及びマンガンから選択される元素の酸化物の少なくとも1つを含み、
前記捕捉材料は、前記触媒材料に由来する揮発性の酸化物又は水酸化物を含む少数相を捕捉する多数相を有し、
前記捕捉材料の前記少数相は、前記捕捉材料の前記多数相上での全単分子層被覆率を約5未満に維持し、
前記捕捉材料は、前記触媒材料との混合物中に配される、又は、前記触媒材料よりも下流側に配される、
SCR触媒システム。
[項目2]
前記捕捉材料の前記少数相は、ガス空間速度100,000hr−1、水分量5体積%、750℃で4時間という条件に曝された場合に、前記捕捉材料の前記多数相上での前記全単分子層被覆率を5未満に維持する、
項目1に記載のSCR触媒システム。
[項目3]
前記触媒材料の少数相触媒成分は、ガス空間速度100,000hr−1、水分量5体積%、750℃で4時間という条件に曝された後の状態で、前記多数相上での前記全単分子層被覆率を5未満に維持する、
項目1に記載のSCR触媒システム。
[項目4]
前記捕捉材料は、前記触媒材料に由来する前記揮発性の酸化物及び水酸化物を実質的に全て除去する、
項目1に記載のSCR触媒システム。
[項目5]
前記捕捉材料の前記多数相は、主に、アルミナ、安定化アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、アモルファスシリカ、チタニア、シリカ安定化チタニア、ゼオライト、モレキュラーシーブ及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つを含む、
項目1に記載のSCR触媒システム。
[項目6]
前記捕捉材料の前記多数相は、主に、ランタン又はその他のランタナイドによって安定化された安定化アルミナを含む、
項目5に記載のSCR触媒システム。
[項目7]
前記捕捉材料の前記多数相及び前記触媒材料の前記多数相は、シリカを用いて安定化されたチタニアを含む、
項目1に記載のSCR触媒システム。
[項目8]
ディーゼルエンジンの排気ガス処理システムであって、
窒素酸化物及びディーゼル煤塵粒子を含むディーゼル排気ガスを処理するSCR触媒システムと、
ディーゼル微粒子除去フィルタと、
を備え、
前記SCR触媒システムは、
触媒材料と、
捕捉材料と、
を備え、
前記触媒材料は、
チタニアを利用した担体材料を含む多数相と、
触媒成分を含む少数相と、
を有し、
前記触媒成分は、バナジウム、珪素、タングステン、モリブデン、鉄、セリウム、リン、銅及びマンガンから選択される元素の酸化物の少なくとも1つを含み、
前記捕捉材料は、前記触媒材料に由来する揮発性の酸化物又は水酸化物を含む少数相を捕捉する多数相を有し、
前記捕捉材料の前記少数相は、前記捕捉材料の前記多数相上での全単分子層被覆率を約5未満に維持し、
前記捕捉材料は、前記触媒材料との混合物中に配される、又は、前記触媒材料よりも下流側に配され、
前記SCR触媒システムは、前記ディーゼル微粒子除去フィルタよりも上流側又は下流側に配される、
ディーゼルエンジンの排気ガス処理システム。
[項目9]
前記SCR触媒システムの前記捕捉材料の前記少数相は、ガス空間速度100,000hr−1、水分量5体積%、750℃で4時間という条件に曝された場合に、前記捕捉材料の前記多数相上での前記全単分子層被覆率を5未満に維持する、
項目8に記載のディーゼルエンジンの排気ガス処理システム。
[項目10]
前記SCR触媒システムの前記触媒材料の少数相触媒成分は、ガス空間速度100,000hr−1、水分量5体積%、750℃で4時間という条件に曝された後の状態で、前記多数相上での前記全単分子層被覆率を5未満に維持する、
項目8に記載のディーゼルエンジンの排気ガス処理システム。
[項目11]
前記SCR触媒システムの前記捕捉材料は、前記触媒材料に由来する前記揮発性の酸化物及び水酸化物を実質的に全て除去する、
項目8に記載のディーゼルエンジンの排気ガス処理システム。
[項目12]
前記SCR触媒システムの前記捕捉材料の前記多数相は、主に、アルミナ、安定化アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、アモルファスシリカ、チタニア、シリカ安定化チタニア、ゼオライト、モレキュラーシーブ及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つを含む、
項目8に記載のディーゼルエンジンの排気ガス処理システム。
[項目13]
前記捕捉材料の前記多数相は、主に、ランタン又はその他のランタナイドによって安定化された安定化アルミナを含む、
項目12に記載のディーゼルエンジンの排気ガス処理システム。
[項目14]
前記SCR触媒システムの前記捕捉材料の前記多数相及び前記触媒材料の前記多数相は、シリカを用いて安定化されたチタニアを含む、
項目8に記載のディーゼルエンジンの排気ガス処理システム。
[項目15]
ディーゼル排気ガスを処理する方法であって、
SCR触媒システムを準備する段階と、
前記ディーゼル排気ガスを前記SCR触媒システムに接触させる段階と、
を有し、
前記SCR触媒システムは、
触媒材料と、
捕捉材料と、
を備え、
前記触媒材料は、
チタニアを利用した担体材料を含む多数相と、
触媒成分を含む少数相と、
を有し、
前記触媒成分は、バナジウム、珪素、タングステン、モリブデン、鉄、セリウム、リン、銅及びマンガンから選択される元素の酸化物の少なくとも1つを含み、
前記捕捉材料は、前記触媒材料に由来する揮発性の酸化物又は水酸化物を含む少数相を捕捉する多数相を有し、
前記捕捉材料の前記少数相は、前記捕捉材料の前記多数相上での全単分子層被覆率を約5未満に維持し、
前記捕捉材料は、前記触媒材料との混合物中に配される、又は、前記触媒材料よりも下流側に配され、
前記捕捉材料は、前記ディーゼル排気ガスから、前記触媒材料に由来する前記揮発性の酸化物及び水酸化物を実質的に全て除去する、
方法。
[項目16]
前記SCR触媒システムの前記捕捉材料の前記少数相は、ガス空間速度100,000hr−1、水分量5体積%、750℃で4時間という条件に曝された場合に、前記捕捉材料の前記多数相上での前記全単分子層被覆率を5未満に維持する、
項目15に記載の方法。
[項目17]
前記SCR触媒システムの前記触媒材料の少数相触媒成分は、ガス空間速度100,000hr−1、水分量5体積%、750℃で4時間という条件に曝された後の状態で、前記多数相上での前記全単分子層被覆率を5未満に維持する、
項目15に記載の方法。
[項目18]
前記SCR触媒システムの前記捕捉材料の前記多数相は、主に、アルミナ、安定化アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、アモルファスシリカ、チタニア、シリカ安定化チタニア、ゼオライト、モレキュラーシーブ及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つを含む、
項目15に記載の方法。
[項目19]
前記捕捉材料の前記多数相は、主に、ランタン又はその他のランタナイドによって安定化された安定化アルミナを含む、
項目18に記載の方法。
[項目20]
前記SCR触媒システムの前記捕捉材料の前記多数相及び前記触媒材料の前記多数相は、シリカを用いて安定化されたチタニアを含む、
項目15に記載の方法。
【0061】
(参考文献)
【0062】
1.G. Cavataioら、「Society of Automotive Engineers」、2007-01-1575、455 (2007)。
【0063】
2.Weckhuysen, B.M及びKeller, D.E.、「Chemistry, Spectroscopy and the Role of Supported Vanadium Oxides in Heterogeneous Catalysis」、Catalysis Today 78:25-46、2003。
【0064】
3.Wachs, I.E.、Kim, T.及びRoss, E.I.、「Catalysis Science of the solid Acidity of Model Supported Tungsten Oxide Catalysts」、 Catalysis Today 116:162-168、2006。
【0065】
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図1
図2
図3
図4