【実施例】
【0116】
以下の実施例では、CH Instruments612Cで電気化学分析を行って、薄膜の電位を走査した。サイクリックボルタンメトリー(CV)を三電極系により行った。このうち、ITOガラス(被覆ポリマー(coated polymer)の面積は約2.0cm×0.8cm)を作用電極として用い、Ag/AgCl電極(飽和KCl溶液中)を参照電極として用い、白金線を補助電極として用い、0.1Mのテトラブチルアンモニウム過塩化物(tetrabutylammonium perchloride)溶液(アセトニトリル中)を電解質として用い、かつ走査速度を50mV/sとした。酸化還元電位の平均値を半波電位として定義した。
【0117】
実施例A1:有機化合物(A1)の調製
【0118】
4−メトキシトリフェニルアミン系ジアミン(化合物(I))10.0gおよびイソ酪酸(化合物(II))6.4gを反応フラスコ中で混合した。溶媒としてのジメチルアセトアミド(DMAc)25mlをその反応フラスコに加え、次いで、触媒としてのリン酸トリフェニル(TPP)20.3gおよびピリジン5.68gをその反応フラスコに加えた。その反応フラスコ中の混合物を105℃、4時間加熱してから、室温まで冷却させた。その冷却した反応混合物をエタノール中に注ぎ入れ、固体を沈澱させてから、ろ過してその固体を回収した。その固体を水で洗浄してから乾燥させて、化合物(A1)(白色の固体)を得た。上記反応の合成経路は次のようであった。
【0119】
【化63】
【0120】
化合物(A1)の物理測定の結果を以下に記す:1H NMR(500MHz,DMSO−d
6):δ1.02(d,J=7.0Hz,6H),2.49(m,2H),3.66(s,3H),6.78(d,J=9.0Hz,4H),6.81(d,J=8.5Hz,2H),6.87(d,J=8.5Hz,2H),7.41(d,J=9.0Hz,4H),9.65(s,2H).13C NMR(125MHz,DMSO−d6):δ19.5,34.8,55.2,114.8,120.4,122.9,125.7,133.9,140.5,143.0,155.2,174.8.Anal.calcd for C
27H
31N
3O
3:C,72.78;H,7.01;N,9.43;found:C,72.69;H,7.03;N,9.51.
【0121】
化合物(A1)は、
図2に示されるサイクリックボルタンメトリーCV図、以下の表1に示される酸化還元電位、
図4に示されるニュートラルおよび酸化状態の透過スペクトル、ならびに以下の表2に示される異なる波長におけるニュートラルおよび酸化状態の透過率を有する。
【0122】
実施例A2:有機化合物(A2)の調製
【0123】
4−メトキシトリフェニルアミン系ジアミン(化合物(I))10.0gおよびシクロヘキサン酸(cyclohexanoic acid)(化合物(III))8.4gを反応フラスコ中で混合した。溶媒としてのジメチルアセトアミド(DMAc)25mlをその反応フラスコに加え、次いで、触媒としてのリン酸トリフェニル(TPP)20.3gおよびピリジン5.68gをその反応フラスコに加えた。その反応フラスコ中の混合物を105℃、4時間加熱してから、室温まで冷却させた。その冷却した反応混合物をエタノール中に注ぎ入れ、固体を沈澱させてから、ろ過してその固体を回収した。その固体を水で洗浄してから乾燥させて、化合物(A2)(白色の固体)を得た。上記反応の合成経路は次のようであった。
【0124】
【化64】
【0125】
化合物(A2)の物理測定の結果を以下に記す:1H NMR(500MHz,DMSO−d
6):δ1.13〜1.44(m,10H),1.63〜1.79(m,10H),2.29(t,2H),3.72(s,3H),6.84(d,J=9.0Hz,4H),6.88(d,J=8.5Hz,2H),6.95(d,J=8.5Hz,2H),7.48(d,J=9.0Hz,4H),9.67(s,2H).13C NMR(125MHz,DMSO−d
6):δ13.9,22.0,25.1,28.5,28.6,31.2,55.2,114.8,120.2,122.8,125.8,140.5,143.0,155.24,170.8. Anal. calcd for C
33H
39N
3O
3:C,75.4;H,7.48;N,7.99;found:C,74.8;H,7.45;N,7.87.
【0126】
化合物(A2)は、以下の表1に示される酸化還元電位、以下の表2に示される異なる波長におけるニュートラルおよび酸化状態の透過率を有する。
【0127】
実施例A3:有機化合物(A3)の調製
【0128】
4−メトキシトリフェニルアミン系ジアミン(化合物(I))10.0gおよびオクタン酸(化合物(IV))9.45gを反応フラスコ中で混合した。溶媒としてのジメチルアセトアミド(DMAc)25mlをその反応フラスコに加え、次いで、触媒としてのリン酸トリフェニル(TPP)20.3gおよびピリジン5.68gをその反応フラスコに加えた。その反応フラスコ中の混合物を105℃、4時間加熱してから、室温まで冷却させた。その冷却した反応混合物をエタノール中に注ぎ入れ、固体を沈澱させてから、ろ過してその固体を回収した。その固体を水で洗浄してから乾燥させて、化合物(A3)(白色の固体)を得た。上記反応の合成経路は次のようであった。
【0129】
【化65】
【0130】
化合物(A3)の物理測定の結果を以下に記す:1H NMR(500 MHz,DMSO−d
6):δ0.86(t,6H),1.26〜1.59(m,16H),2.51(t,4H),3.73(s,3H),6.85(d,J=9.0Hz,4H),6.88(d,J=8.5Hz,2H),6.95(d,J=8.5Hz,2H),7.47(d,J=9.0Hz,4H),9.76(s,2H).13C NMR(125MHz,DMSO−d
6):δ13.9,22.0,25.2,28.5,28.6,31.2,55.2,114.8,120.2,122.8,125.8,133.8,140.5,143.0,155.2,170.8. Anal. calcd for C
33H
43N
3O
3:C,74.82;H,8.18;N,7.93;found:C,74.89;H,8.09;N,7.88.
【0131】
化合物(A3)は、以下の表1に示される酸化還元電位、以下の表2に示される異なる波長におけるニュートラルおよび酸化状態の透過率を有する。
【0132】
実施例A4:有機化合物(A4)の調製
【0133】
4−メトキシペンタフェニルアミン系ジアミン(化合物(V))10.0gおよびシクロヘキサン酸(化合物(III))5.1gを反応フラスコ中で混合した。溶媒としてのジメチルアセトアミド(DMAc)25mlをその反応フラスコに加え、次いで、触媒としてのリン酸トリフェニル(TPP)20.3gおよびピリジン5.68gをその反応フラスコに加えた。その反応フラスコ中の混合物を105℃、4時間加熱してから、室温まで冷却させた。その冷却した反応混合物をエタノール中に注ぎ入れ、固体を沈澱させてから、ろ過してその固体を回収した。その固体を水で洗浄してから乾燥させて、化合物(A4)(白色の固体)を得た。上記反応の合成経路は次のようであった。
【0134】
【化66】
【0135】
化合物(A4)の物理測定の結果を以下に記す:1H NMR(500MHz,DMSO−d
6):δ1.24〜1.38(m,10H),1.40〜1.75(m,10H),1.77(t,2H),3.72(s,6H),6.79(s,4H),6.87〜6.88(m,6H),6.97(d,J=8.5Hz,2H),7.47(d,J=9.0Hz,4H),9.69(s,2H).13C NMR(125MHz,DMSO−d
6):δ25.2,25.4,29.1,44.7,55.2,114.8,120.3,123.0,123.2,125.9,134.0,140.4,142.0,142.9,155.3,173.8.Anal. calcd for C
46H
52N
4O
4:C,76.21;H,7.23;N,7.73;found:C,75.95;H,7.29;N,7.75.
【0136】
化合物(A4)は、
図3に示されるサイクリックボルタンメトリーCV図、以下の表1に示される酸化還元電位、
図5に示されるニュートラルおよび酸化状態の透過スペクトル、ならびに以下の表2に示される異なる波長におけるニュートラルおよび酸化状態の透過率を有する。
【0137】
実施例B1:有機化合物(B1)の調製
【0138】
4−メトキシトリフェニルアミン系ジアミン(化合物(I))1.50gおよびヘキサヒドロフタル酸無水物(化合物(VI))1.70gを反応フラスコ中で混合した。溶媒としてのジメチルアセトアミド(DMAc)2.5mlをその反応フラスコに加え、次いで、触媒としての少量のイソキノリンをその反応フラスコに加えた。その反応フラスコ中の混合物を210℃、5時間加熱してから、室温まで冷却させた。その冷却した反応混合物をメタノールで希釈し、水中に注ぎ入れ、固体を沈澱させてから、ろ過してその固体を回収した。その固体を水で洗浄してから乾燥させて、化合物(B1)(ベージュ色の固体)を得た。上記反応の合成経路は次のようであった。
【0139】
【化67】
【0140】
化合物(B1)の物理測定の結果を以下に記す:1H NMR(500MHz,DMSO−d
6):δ1.38(m,4H),1.73(q,4H),3.08(q,2H),3.75(s,3H),6.97(d,J=9.5Hz,2H),7.02(d,J=9.0Hz,4H),7.11(d,J=9.5Hz,2H),7.14(d,J=9.0Hz,4H).13C NMR(125MHz,DMSO−d6):δ21.4,23.4,55.3,115.4,122.0,126.2,127.9,128.1,139.1,147.0,156.7,178.8. Anal. calcd for C
35H
35N
3O
5:C,72.77;H,6.11;N,7.27;found:C,72.35;H,6.16;N,7.25.
【0141】
化合物(B1)は、
図2に示されるサイクリックボルタンメトリーCV図、以下の表1に示される酸化還元電位、
図4に示されるニュートラルおよび酸化状態の透過スペクトル、ならびに以下の表2に示される異なる波長におけるニュートラルおよび酸化状態の透過率を有する。
【0142】
実施例B2:有機化合物(B2)の調製
【0143】
4−メトキシペンタフェニルアミン系ジアミン(化合物(V))5.0gおよびヘキサヒドロフタル酸無水物(化合物(VI))3.06gを反応フラスコ中で混合した。溶媒としてのジメチルアセトアミド(DMAc)7.5mlをその反応フラスコに加え、次いで、触媒としての少量のイソキノリンをその反応フラスコに加えた。その反応フラスコ中の混合物を210℃、5時間加熱してから、室温まで冷却させた。その冷却した反応混合物をメタノールで希釈し、水中に注ぎ入れ、固体を沈澱させてから、ろ過してその固体を回収した。その固体を水で洗浄してから乾燥させて、化合物(B2)(ベージュ色の固体)を得た。上記反応の合成経路は次のようであった。
【0144】
【化68】
【0145】
化合物(B2)の物理測定の結果を以下に記す:1H NMR(500MHz,DMSO−d
6):δ1.36〜1.42(m,8H),1.70〜2.00(m,8H),3.08(t,4H),3.74(s,6H),6.92〜7.10(m,20H).13C NMR(125MHz,DMSO−d
6):δ21.3,21.4,23.3,55.2,115.2,120.2,124.9,125.0,127.5,127.7,139.4,142.2,147.6,156.3,178.8. Anal. calcd for C
48H
46N
4O
6:C,74.40;H,5.98;N,7.23;found:C,74.21;H,6.03;N,7.27.
【0146】
化合物(B2)は、
図3に示されるサイクリックボルタンメトリーCV図、以下の表1に示される酸化還元電位、
図5に示されるニュートラルおよび酸化状態の透過スペクトル、ならびに以下の表2に示される異なる波長におけるニュートラルおよび酸化状態の透過率を有する。
【0147】
【表1】
【0148】
表1ならびに
図2および
図3は、トリフェニルアミン系(化合物A1〜A3およびB1)が1つの酸化還元ピークのみを有し、ペンタフェニルジアミン系(化合物A4およびB2)が2つの酸化還元ピークを有していたことを示している。アミド基(amido group)とイミド基(imido group)間の電位ピークの差は大きかった(A1 vs.B1、およびA4 vs.B2)。異なる末端官能基を用いることにより、有機化合物の酸化還元電位を調整することができる。
【0149】
【表2】
【0150】
表2、
図4は、可視領域において、トリフェニルアミン系(化合物A1およびB1)の遮蔽効果がPSNの遮蔽効果よりも良好であったことを示している。ペンタフェニルジアミン系は可視領域に吸収を持ち、かつNIR領域における熱線吸収が良好であった。言い換えると、ペンタフェニルジアミン系化合物は、抗紫外線活性(anti−ultraviolet activity)およびNIR領域における吸収という特性を有していた。
【0151】
実施例C1:光変調デバイスの作製
【0152】
テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボラート(Tetrabutyl ammonium tetrafluoroborate,TBABF
4)をプロピレンカーボネート(PC)中に溶解し、0.5M溶液を作った。次に、化合物A2およびビオロゲン[(HV(BF
4)
2]を上記溶液中に溶解して、光変調組成物溶液を作った。ただし化合物A2の濃度は0.1M、ビオロゲンの濃度は0.05Mとした。2枚のITO導電ガラスプレートを所望のサイズにカットし、プレートのITO層を互いに対面させた。絶縁ユニットを2枚のITO導電ガラスプレートに接続してセルを作った。絶縁ユニット上のポートから、上述の光変調組成物をセル中に導き、セルが光変調組成物溶液で満たされるようにした。光変調デバイスが形成されるようポートをシールした。ガラスプレート間の距離は約50μmとした。その光変調デバイスに1.4Vの電圧をかけて、以下の表3に示されるように、デバイスの透過率を測定した。
【0153】
実施例C2:光変調デバイスの作製
【0154】
テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボラート(TBABF
4)をプロピレンカーボネート(PC)中に溶解し、0.5M溶液を作った。次に、化合物B1およびビオロゲン[(HV(BF
4)
2]を上記溶液中に溶解して、光変調組成物溶液を作った。ただし化合物B1の濃度は0.1M、ビオロゲンの濃度は0.05Mとした。2枚のITO導電ガラスプレートを所望のサイズにカットし、プレートのITO層を互いに対面させた。絶縁ユニットを2枚のITO導電ガラスプレートに接続してセルを作った。絶縁ユニット上のポートから、上述の光変調組成物をセル中に導き、セルが光変調組成物溶液で満たされるようにした。光変調デバイスが形成されるようポートをシールした。ガラスプレート間の距離は約50μmとした。その光変調デバイスに1.6Vの電圧をかけて、以下の表3に示されるように、デバイスの透過率を測定した。デバイスのニュートラル状態(オフ状態)および酸化状態(オン状態)の透過スペクトルは
図6に示されるようであった。
【0155】
実施例C3:光変調デバイスの作製
【0156】
テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボラート(TBABF
4)をプロピレンカーボネート(PC)中に溶解し、0.5M溶液を作った。次に、化合物A4およびビオロゲン[(HV(BF
4)
2]を上記溶液中に溶解して、光変調組成物溶液を作った。ただし化合物A4の濃度は0.1M、ビオロゲンの濃度は0.05Mとした。2枚のITO導電ガラスプレートを所望のサイズにカットし、プレートのITO層を互いに対面させた。絶縁ユニットを2枚のITO導電ガラスプレートに接続してセルを作った。絶縁ユニット上のポートから、上述の光変調組成物をセル中に導き、セルが光変調組成物溶液で満たされるようにした。光変調デバイスが形成されるようポートをシールした。ガラスプレート間の距離は約50μmとした。その光変調デバイスに1.1Vの電圧をかけて、以下の表3に示されるように、デバイスの透過率を測定した。
【0157】
実施例C4:光変調デバイスの作製
【0158】
テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボラート(TBABF
4)をプロピレンカーボネート(PC)中に溶解し、0.5M溶液を作った。次に、化合物B2およびビオロゲン[(HV(BF
4)
2]を上記溶液中に溶解して、光変調組成物溶液を作った。ただし化合物B2の濃度は0.1M、ビオロゲンの濃度は0.05Mとした。2枚のITO導電ガラスプレートを所望のサイズにカットし、プレートのITO層を互いに対面させた。絶縁ユニットを2枚のITO導電ガラスプレートに接続してセルを作った。絶縁ユニット上のポートから、上述の光変調組成物をセル中に導き、セルが光変調組成物溶液で満たされるようにした。光変調デバイスが形成されるようポートをシールした。ガラスプレート間の距離は約50μmとした。その光変調デバイスに1.3Vの電圧をかけて、以下の表3に示されるように、デバイスの透過率を測定した。
【0159】
【表3】
【0160】
表3および
図6は、ビオロゲンを加えた実施例の遮蔽効果が、600nmあたりの波長で向上したことを示している。400〜500nm付近の波長におけるペンタフェニルジアミン系の実施例C3およびC4の遮蔽効果は、実施例C1およびC2の遮蔽効果よりも大きかった。トリフェニルアミンおよびペンタフェニルジアミン系はより良好な共役特性を有していたため、PSNと比較して、350〜800nmの範囲内で全ての実施例が遮蔽効果を有していた。
【0161】
実施例D:光変調デバイスの作製
【0162】
テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボラート(TBABF
4)をプロピレンカーボネート(PC)中に溶解し、0.5M溶液を作った。次に、化合物A1およびビオロゲン[(HV(BF
4)
2]を上記溶液中に溶解して、光変調組成物溶液を作った。ただし化合物A1の濃度は0.1M、ビオロゲンの濃度は0.05Mとした。2枚のITO導電ガラスプレートを所望のサイズにカットし、プレートのITO層を互いに対面させた。絶縁ユニットを2枚のITO導電ガラスプレートに接続してセルを作った。絶縁ユニット上のポートから、上述の光変調組成物をセル中に導き、セルが光変調組成物溶液で満たされるようにした。光変調デバイスが形成されるようポートをシールした。ガラスプレート間の距離は約50μmとした。
【0163】
光変調デバイスに1.3Vの電圧を3.250秒かけ(オン状態)、−1.3Vの電圧を0.375秒かけ(オフ状態)、次いで0Vを3.675秒維持した。上の手法を繰り返して、デバイスにサイクル寿命試験を行った。
図7の透過スペクトルに示されるように、デバイスは、可視領域において全く吸収がない元のニュートラル状態から、藍色(deep blue)(酸化状態)に変わった。さらに、10000のオン/オフサイクル後も、デバイスは依然として機能し、オン/オフの透過スペクトルを有していたため、デバイスは安定している。異なる波長および異なる状態におけるデバイスの透過率は以下の表4に示されるようであった。
【0164】
【表4】
【0165】
実施例E:透明−緑色相補式(complementary)光変調デバイスの作製
【0166】
テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボラート(TBABF
4)をプロピレンカーボネート(PC)中に溶解し、0.5M溶液を作った。次に、化合物A1、5,10−ジメチルフェナジン(5,10−dimethylphenazine,DMP)およびビオロゲン[(HV(BF
4)
2]を上記溶液中に溶解して、光変調組成物溶液を作った。ただし化合物A1の濃度は0.025M、DMPの濃度は0.025M、ビオロゲンの濃度は0.05Mとした。2枚のITO導電ガラスプレートを所望のサイズにカットし、プレートのITO層を互いに対面させた。絶縁ユニットを2枚のITO導電ガラスプレートに接続してセルを作った。絶縁ユニット上のポートから、上述の光変調組成物をセル中に導き、セルが光変調組成物溶液で満たされるようにした。光変調デバイスが形成されるようポートをシールした。ガラスプレート間の距離は約50μmとした。
【0167】
光変調デバイスに電圧をかけ徐々に1.3Vまでにすると、450nmの波長においてデバイスの透過率が10.4%まで低減したことが、そのスペクトルよりわかる。デバイスは、ニュートラル状態における透明から、深緑色(酸化状態)に変わった。さらに、電圧をオフに切り替えた後、1秒内にデバイスは透明(オフ状態)に戻ることができる。
【0168】
実施例F:透明−藍色(deep blue)相補式光変調デバイスの作製
【0169】
テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボラート(TBABF
4)をプロピレンカーボネート(PC)中に溶解し、0.5M溶液を作った。次に、化合物A1、フェノチアジン(PSN)、メチルフェノチアジン(MePSN)およびビオロゲン[(HV(BF
4)
2]を上記溶液中に溶解して、光変調組成物溶液を作った。ただし化合物A1の濃度は0.05M、PSNの濃度は0.05M、MePSNの濃度は0.05M、ビオロゲンの濃度は0.05Mとした。2枚のITO導電ガラスプレートを所望のサイズにカットし、プレートのITO層を互いに対面させた。絶縁ユニットを2枚のITO導電ガラスプレートに接続してセルを作った。絶縁ユニット上のポートから、上述の光変調組成物をセル中に導き、セルが光変調組成物溶液で満たされるようにした。光変調デバイスが形成されるようポートをシールした。ガラスプレート間の距離は約50μmとした。
【0170】
光変調デバイスに電圧をかけ徐々に1.3Vまでにすると、450nmの波長においてデバイスの透過率が10.4%まで低減したことが、そのスペクトルよりわかる。デバイスは、ニュートラル状態における透明から、藍色(酸化状態)に変わった。さらに、電圧をオフに切り替えた後、1秒内にデバイスは透明(オフ状態)に戻ることができる。
【0171】
実施例G:透明−濃黒色(dark)相補式光変調デバイスの作製
【0172】
テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボラート(TBABF
4)をプロピレンカーボネート(PC)中に溶解し、0.5M溶液を作った。次に、化合物A1、フェノチアジン(PSN)、メチルフェノチアジン(MePSN)およびビオロゲン[(HV(BF
4)
2]を上記溶液中に溶解して、光変調組成物溶液を作った。ただし化合物A1の濃度は0.1M、PSNの濃度は0.1M、MePSNの濃度は0.1M、ビオロゲンの濃度は0.1Mとした。2枚のITO導電ガラスプレートを所望のサイズにカットし、プレートのITO層を互いに対面させた。絶縁ユニットを2枚のITO導電ガラスプレートに接続してセルを作った。絶縁ユニット上のポートから、上述の光変調組成物をセル中に導き、セルが光変調組成物溶液で満たされるようにした。光変調デバイスが形成されるようポートをシールした。ガラスプレート間の距離は約50μmとした。
【0173】
光変調デバイスに電圧をかけ徐々に1.3Vまでにすると、450nmの波長においてデバイスの透過率が10.4%まで低減したことが、そのスペクトルよりわかる。デバイスは、ニュートラル状態における透明から、濃い黒色(酸化状態)に変わった。異なる波長および異なる状態におけるデバイスの透過スペクトルは
図8に示すとおりであった。さらに、電圧をオフに切り替えた後、1秒内にデバイスは透明(オフ状態)に戻ることができる。
【0174】
比較例H:光変調デバイスの作製
【0175】
テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボラート(TBABF
4)をプロピレンカーボネート(PC)中に溶解し、0.5M溶液を作った。次に、フェノチアジン(PSN)およびビオロゲン[(HV(BF
4)
2]を上記溶液中に溶解して、光変調組成物溶液を作った。ただし、PSNの濃度は0.1M、ビオロゲンの濃度は0.05Mとした。2枚のITO導電ガラスプレートを所望のサイズにカットし、プレートのITO層を互いに対面させた。絶縁ユニットを2枚のITO導電ガラスプレートに接続してセルを作った。絶縁ユニット上のポートから、上述の光変調組成物をセル中に導き、セルが光変調組成物溶液で満たされるようにした。光変調デバイスが形成されるようポートをシールした。ガラスプレート間の距離は約50μmとした。そのニュートラルおよび酸化状態の透過スペクトルを
図4に示し、かつ異なる波長におけるニュートラルおよび酸化状態の透過率を表2に示した。
【0176】
光変調デバイスに電圧をかけ徐々に1.3Vまでにすると、デバイスは、ニュートラル状態における透明から、藍色(酸化状態)に変わった。異なる波長および異なる状態におけるデバイスの透過スペクトルは
図6に示すとおりであった。異なる波長におけるデバイスの透過率を表3に示した。
【0177】
当業者には、開示した実施形態に各種修飾および変化を加え得るということが明らかであろう。明細書および実施例は単に例示として見なされるように意図されており、本開示の真の範囲は、以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物によって示される。