特許第6234433号(P6234433)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6234433ペーパウェブを製造するために搬送ベルトを洗浄する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234433
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】ペーパウェブを製造するために搬送ベルトを洗浄する方法
(51)【国際特許分類】
   D21F 1/32 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
   D21F1/32
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-505772(P2015-505772)
(86)(22)【出願日】2013年3月21日
(65)【公表番号】特表2015-513010(P2015-513010A)
(43)【公表日】2015年4月30日
(86)【国際出願番号】US2013033216
(87)【国際公開番号】WO2013154802
(87)【国際公開日】20131017
【審査請求日】2016年3月14日
(31)【優先権主張番号】61/622,622
(32)【優先日】2012年4月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/799,721
(32)【優先日】2013年3月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】308036619
【氏名又は名称】ジョージア パシフィック コンスーマー プロダクツ エルピー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンター マーク エス
(72)【発明者】
【氏名】バウムガルトナー ディーン ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】レインズ デイビッド ドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ケネディ セオドア ディー
(72)【発明者】
【氏名】ベルドフイゼン デイビッド エス
(72)【発明者】
【氏名】ブッシュ グレン ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】エドバウアー ミッチェル エス
【審査官】 長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−064891(JP,A)
【文献】 特開昭53−126305(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01384810(EP,A1)
【文献】 特開昭58−070791(JP,A)
【文献】 特表2002−509998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21B1/00−1/38
D21C1/00−11/14
D21D1/00−99/00
D21F1/00−13/12
D21G1/00−9/00
D21H11/00−27/42
D21J1/00−7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製紙用織物の連続洗浄のための方法であって、
初期洗浄アセンブリから洗浄される織物の全幅への蒸気または80℃より高い温度の水またはその両方を含む洗浄媒体いずれかの散布を含む初期洗浄段階に、前記洗浄される織物を晒すステップと、
前記初期洗浄段階の下流に設けられた第2の洗浄段階であって、第2の洗浄アセンブリから前記洗浄される織物のへの蒸気または80℃より高い温度の水またはその両方を含む洗浄媒体の散布を含む第2の洗浄段階に、前記洗浄される織物を晒すステップと、
を含み、
前記第2の洗浄アセンブリはカプセル化された洗浄アセンブリであり、前記織物から余剰の洗浄媒体を除去するための吸引装置を含み、
の生産は洗浄中に中断されない、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記初期洗浄段階における前記洗浄媒体は過熱水であることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記初期洗浄段階の前記洗浄媒体は、蒸気と過熱水との両方を含み、前記過熱水は、前記蒸気の散布後に前記織物の表面に散布されることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の方法であって、前記初期洗浄アセンブリは横断洗浄シャワーであることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の方法であって、前記初期洗浄段階後に空気ナイフからの空気流を前記織物の表面に散布するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の方法であって、前記第2の洗浄段階の前記洗浄媒体は過熱水を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の方法であって、前記初期洗浄段階の前記洗浄媒体は前記蒸気および前記水の両方を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の方法であって、前記第2の洗浄段階の前記洗浄媒体は間に前記蒸気を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の方法であって、前記第2の洗浄段階の前記洗浄媒体は前記蒸気および過熱水の両方を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項に記載の方法であって、前記蒸気および前記過熱水はどちらも、前記第2の洗浄段階の間に前記織物の両面に散布されることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1から請求項4および請求項6から請求項10のいずれか1つに記載の方法であって、前記洗浄工程後に前記織物内に残存している、前記初期洗浄アセンブリからの水量は0.5g/mより少ないことを特徴とする方法。
【請求項12】
洗浄中に移動する製紙織物の再湿潤を最小限にする方法であって、
初期洗浄アセンブリから洗浄される織物の全幅への蒸気を含む洗浄媒体の散布を含む初期洗浄段階に、前記洗浄される織物を晒すステップと、
前記初期洗浄段階の下流に設けられた第2のカプセル化された洗浄段階であって第2の洗浄アセンブリから前記洗浄される織物の全幅への蒸気を含む洗浄媒体の散布を含む第2の洗浄段階に前記洗浄される織物を晒すステップと、
を含み、
前記第2の洗浄アセンブリは、前記洗浄される織物の両面上に前記織物から余剰の洗浄媒体を除去するための吸引装置として真空源を含むカプセル化された洗浄アセンブリであり
前記洗浄工程後に前記織物内に残存している、前記初期洗浄段階および前記第2の洗浄段階からの水量は0.5g/mより少ない、
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
VOCを使用せずに、移動する製紙用織物を効率的に洗浄する方法であって、
初期洗浄アセンブリからの蒸気および100℃より高い温度の過熱水の両方を含む洗浄媒体の散布を含む初期洗浄段階に、洗浄される織物を晒すステップと、
第2の洗浄アセンブリから前記製紙用織物への蒸気および過熱水の両方を含む洗浄媒体の散布を含む第2の洗浄段階に、前記洗浄される織物を晒すステップと、
を含み、
前記第2の洗浄アセンブリは、前記織物から余剰の洗浄媒体を除去するための吸引装置を含むカプセル化された洗浄アセンブリであることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、前記初期洗浄段階および前記第2の洗浄段階の少なくとも1つが、前記洗浄媒体を前記洗浄される織物の全幅に同時に散布することを可能にする一連のノズルまたはシャワーバーを含む洗浄シャワーを含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、前記初期洗浄段階および前記第2の洗浄段階の少なくとも1つが、前記製紙用織物の幅に亘り往復することにより前記洗浄媒体を前記洗浄される織物の全幅に同時に散布することを可能にする一連のノズルまたはシャワーバーを含む洗浄アセンブリを含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
製紙用織物のための洗浄システムが当該技術において既知である。殆どが、生産されている繊維構造への損傷またはその再湿潤の問題に因り、不十分な洗浄の問題または抄紙機の作動中に行うことが不可能である問題に悩まされている。先行技術の構成は様々であるが、それらは、一般に、ノズルを介して織物に散布される加圧洗浄液を使用する。既知のシステムは、全て織物の洗浄を改善するために、例えばシャワーと、バーと、回転ノズルと、角度が付いたノズルとを含む。先行技術のシステムでは、織物の過度の損耗、引き裂き、または損傷なしに織物を適切に洗浄する洗浄法を見出そうと懸命な努力が払われてきた。また、汚染、水たまり、および織物の損耗により、連続洗浄法の開発が妨げられてきた。本明細書に記載されている洗浄法および洗浄機器は、既知の洗浄システムを凌ぐいくつかの利点をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本開示は、ペーパウェブの製造において使用される、移動する織物を洗浄する洗浄機器および洗浄法に関する。本開示は、さらに、抄紙機内で移動する織物の連続洗浄用の洗浄機器および洗浄法に関する。さらに、本開示は、再湿潤を最小限にする、抄紙機内で移動する織物の連続洗浄用の洗浄機器および洗浄法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0003】
より詳細には、本開示は、初期洗浄シャワーおよび第2の洗浄シャワーの両方を含む洗浄システムに関する。開示されている二重洗浄装置は、織物性能の悪さをもたらす可能性がある残留汚染の領域に悩まされない連続洗浄システムをもたらす。本開示は、汚染物質除去の改善および非常に優れた残留水の吸上げを実現する改良型初期洗浄シャワーに関する。さらに、本開示は、やはり汚染物質除去の改善を実現しかつ織物による残留水の吸収をさらに防ぐ改良型第2の洗浄シャワーに関する。
【0004】
さらにより詳細には、本開示は、製紙機内で移動する織物に蒸気を散布して、それにより織物内の汚染物質を加熱し、軟化させて、後続の水シャワーによりそれらを除去し易くすることに関する。本開示は、さらに、移動する織物に蒸気を散布して、汚染物質を加熱し、軟化させて、その後続いて過熱水すなわち加圧水が散布され、当該汚染物質を除去することに関する。一実施形態では、蒸気および過熱水は初期洗浄シャワーにおいて散布される。別の実施形態では、蒸気および過熱水は、初期洗浄シャワーおよび第2の洗浄シャワーの両方において散布される。
【0005】
また、本開示は、さらなる化学添加物を必要とすることなく、水のみを使用して、適切な織物洗浄を達成することができる洗浄法に関する。最後に、本開示は、織物からの洗浄媒体の除去を促進してウェブの再湿潤を最小限にする、ペーパウェブの製造において使用される、移動する織物を洗浄する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】移動する織物を洗浄するために製紙機に取り付けられている、本発明の洗浄システムの側面図である。
図2A】本発明と共に使用するための標準的な初期横断洗浄シャワーの正面切取り図である。
図2B】本発明と共に使用するための標準的な初期横断洗浄シャワーの正面斜視図である。
図2C】本発明と共に使用するための標準的な初期横断洗浄シャワーの側面切取り図である。
図3】ミストを排除する、カプセル化された第2の洗浄シャワーの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は、製紙用織物を洗浄するための方法および機器を記載している。製紙機に使用されているワイヤ、フェルトおよびベルトは、繊維、クレイおよび異物を含む汚染物質の蓄積をそれらに引き起こす状況に晒される。汚染物質の蓄積は、再生繊維または他の低級繊維が導入された場合に悪化する可能性がある。これらの蓄積は、除去されない場合、軽度の非効率性から、蓄積を除去することができるまで機械の停止を要することまで、重大な作動上の問題を引き起こす可能性がある。
【0008】
本開示は、製紙機内で移動する織物を洗浄するために使用された場合、先行洗浄システムを凌ぐ大幅な改善を達成する、移動する織物を洗浄するための洗浄機器および洗浄方法を記載している。これらの改善には、汚染物質除去の改善と;製紙機は本洗浄法を適用するために作動を停止する必要がないので機械休止時間に因る損失の低減と;織物上に存在し得る紙構造の最小限の再湿潤をもたらす水除去の改善と;洗浄液を必要としないのでコスト削減と、が含まれる可能性があるが、それらに限定されない。さらに、本発明のプロセスは洗浄剤を必要としないので、揮発性有機化合物(「VOC:volatile organic compound」)が含まれていない可能性がある。本明細書に用いられている「織物」は、製紙機内で使用されてペーパウェブを搬送する任意の循環ウェブまたは循環ベルトを指す。これらの織物の例が、形成ワイヤ、圧力ベルト、トランスファファブリック、およびドライヤファブリック(単数または複数)である。一実施形態によれば、開示されている洗浄は、新生ウェブを抄紙機の乾燥部へ運んでいるトランスファファブリック(単数または複数)上で実施されてもよい。別の実施形態によれば、開示されている洗浄法は、抄紙機の乾燥部内の乾燥ファブリックを洗浄するのに使用されてもよい。
【0009】
本発明による連続洗浄法は2つの洗浄段階およびアセンブリを含む。本明細書に用いられている「連続」洗浄法は、機械が製品を生産しながらかつその製品製造を停止することなく織物上で実施され得る洗浄方法を指す。本明細書に用いられている「初期洗浄シャワー」は、織物が遭遇する第1の洗浄アセンブリを指し、「初期洗浄段階」は、織物と初期洗浄シャワーとの間の接触期間を指す。用語「第2の洗浄シャワー」は、織物が遭遇する第2の洗浄アセンブリを指し、用語「第2の洗浄段階」は、織物と第2の洗浄シャワーとの間の接触期間を指す。当業者に容易に分かる通り、所望の洗浄結果を達成するために必要と考えられる場合、第2の洗浄シャワーの前または後に、さらなる洗浄アセンブリが含まれる可能性がある。
【0010】
一実施形態によれば、初期洗浄シャワーは、織物上の全体的な汚染物質負荷を低減し、第2の洗浄シャワーがコストがかかる機械の停止を必要としないレベルまで織物を連続洗浄することを可能にする。各洗浄シャワーの動作は、先行技術で既知であったものより優れて修正されてきた。これらの変更は、洗浄段階の各々に大幅な改善をもたらし、共に非常に効果的な連続洗浄システムを作り出している。
【0011】
初期洗浄シャワーは、任意の当該技術が承認している構成を有していてもよい。初期洗浄シャワーは、固定されているかまたは網状であるかもしくは製紙用織物の機械横断方向の幅を横断する、シャワーもしくはノズルまたは一連のシャワーもしくはノズルを含んでいてもよい。一実施形態では、初期洗浄シャワーは、製紙用織物の全幅に対する洗浄媒体の散布を同時に可能にする、一連のノズルまたはシャワーバーであってもよい。別の実施形態によれば、初期洗浄シャワーは、製紙用織物全体に亘って前後に網状である横断シャワーである。ノズルは、例えば回転するなど、移動する可能性があるか、または固定されている。シャワーまたはノズルの特定の構成は、開示されている方法の効率性に影響を及ぼすことなく、例えばサイズ、形状、タイプ、または幾何学的形状などが変化し得る。
【0012】
ノズルのタイプ、洗浄媒体、洗浄媒体の圧力および温度、ならびに洗浄アセンブリと洗浄される織物との間の距離を含む最適な設定が、洗浄される織物の性質ならびにノズルの数およびサイズに基づいて定期的に選択される。一般に、そのようなノズルおよびシャワーシステムのメーカにより相関が実現されている。一実施形態によれば、過熱加圧水が選択された洗浄媒体である場合、加圧水のジェットが通常のウォータジェットより早く砕けるので、織物とノズルとの間の距離は短縮されるべきである。
【0013】
本明細書に用いられている洗浄媒体は、水、蒸気、過熱水、洗浄液、および低蒸気圧の非水性溶媒を含むが、それらに限定されない。低蒸気圧の非水性溶媒の例が、3Mにより製造されるNovec(登録商標)Fire Protection Fluidであると考えられる。
【0014】
初期洗浄シャワー、および当該初期洗浄シャワーを使用する方法は、製紙機内で移動する織物への蒸気の散布を含み、それにより織物上のかつ織物内の汚染物質を加熱し、軟化させ、後続の水シャワーによりそれらがより容易に除去されるようにする。通常、製紙用織物上に見られる汚染物質には、繊維、ピッチ、粒子、きょう雑物、および接着剤が含まれる。前段で検討されている通り、所望に応じて、さらなる洗浄段階が含まれていてもよい。本開示は、単一段階または機械方向に織物に沿って離間されている複数段階での過熱水が後に続く、蒸気の散布を検討している。
【0015】
一実施形態によれば、過熱状態で蒸気が散布される。本明細書に用いられている「過熱蒸気」は、所与の圧力でその飽和点を超えて加熱された、それ自体の液体と接触していない蒸気を指す。蒸気は、約110℃から約135℃までなどの、約105℃から約150℃までの温度で散布される。
【0016】
汚染物質を加熱し、軟化させる蒸気の散布に続いて、過熱水の少なくとも1つの散布があり、軟化した汚染物質を除去する。初期洗浄シャワーの少なくとも1つのノズルが、好ましくは100℃より高い温度の水を織物の表面に方向付ける。蒸気の散布に関して前段で検討されている通り、シャワーまたはノズルの特定の構成は変化し得る。本発明は過熱水の散布に関して検討されているが、蒸気の散布に続く水の温度は、室温より高くすることができる。水が高温であるほど、洗浄がより良好となる。したがって、温水を使用することができるが、100℃に近いかまたはそれを超える水が好適である。
【0017】
一実施形態によれば、過熱水は、105℃と120℃の間などの、100℃と135℃の間の温度であってもよい。本明細書に用いられている「過熱水」は、蒸発することなくその沸点を超えて加熱された水を指す。加熱された、かつしたがって加圧された水は、25バールから35バールまでなどの、20バールから55バールまでの圧力とすることができる。
【0018】
蒸気と同様に、過熱水は、固定されているかまたは網状であるかもしくは製紙用織物の幅を横断するノズルまたは一連のノズルを通して、製紙用織物に散布されてもよい。本開示の一実施形態によれば、蒸気アプリケータと過熱水アプリケータとは同一横断シャワー内に含まれている。蒸気と同様に、水は単一の散布であってもよく、または織物の機械方向に沿った1つ以上の位置における導入を含んでいてもよい。
【0019】
理論に制約されることは望まないが、加圧水の放出およびその後の蒸気への移行が、織物内への水のより良好な浸透をもたらし、より早期の蒸気散布により既に熱で軟化されている汚染物質の持上げおよび除去の改善をもたらすと考えられる。さらに、織物内の付加的な熱は洗浄後に水を除去することをより効率的に補助すると考えられる。
【0020】
蒸気および過熱水は、任意の当該技術が承認している方法を用いて生成されてもよい。一実施形態によれば、水が電熱体と接触し、蒸気または過熱水のどちらかを生成する。別の実施形態によれば、蒸気および/または過熱水は熱交換器との接触により加熱される。さらに別の実施形態によれば、蒸気が製紙工程の別の点から除去され、開示されている洗浄工程において使用される。
【0021】
一実施形態によれば、記載されている方法は、過剰な蒸気、凝縮水、および織物からの汚染物質を運ぶ廃水を除去する破片収集源(debris collection source)を含む。そのような破片収集源は、例えば真空箱、空気ナイフまたは空気シャワーなどの任意の吸引装置を含み得る。典型的な破片収集源が少なくとも1つの真空源を含む。破片収集源(単数または複数)の適切な配置が、蒸気および水のアプリケータの配置および位置決めに基づいて、当業者に容易に分かるであろう。一実施形態では、真空源が製紙用織物の幅に伸びる単一の源である。別の実施形態によれば、真空源が横断洗浄シャワーと関連しているか、または一体化している。さらに別の実施形態によれば、破片収集源は真空源および空気ナイフの両方を含む。
【0022】
一実施形態によれば、破片収集源は、蒸気および水の散布源と一体化しており、製紙機の他の部分に滝状に落ちる水量または蒸気量を最小限にする。一実施形態によれば、破片収集源は、蒸気散布源および水散布源の近位にありかつそれらと同一ハウジング内にある少なくとも1つの真空源である。
【0023】
大部分の汚染物質は織物のシート面上に蓄積するが、記載されている洗浄法は、洗浄される織物の一面または両面に散布することができる。一実施形態によれば、洗浄は織物のシート面上で実施される。別の実施形態によれば、洗浄は織物の非シート面上で実施される。さらに別の実施形態によれば、洗浄法は洗浄される織物の両面上で実施される。本実施形態によれば、蒸気および過熱水はどちらも、織物の両面に散布されてもよい。本実施形態によれば、蒸気は織物のシート面に散布されてもよく、過熱水は織物の非シート面に散布されてもよい。
【0024】
記載されている連続洗浄法は第2の洗浄シャワーを含む。第2の洗浄シャワーは、任意の当該技術が承認している構成を有していてもよい。第2の洗浄シャワーは、固定されているかまたは網状であるかもしくは製紙用織物の機械横断方向の幅を横断する、シャワーもしくはノズルまたは一連のシャワーもしくはノズルを含んでいてもよい。一実施形態では、第2の洗浄シャワーは、製紙用織物の全幅への洗浄媒体の散布を同時に可能にする一連のノズルまたはシャワーバーであってもよい。ノズルは、例えば回転するなど、移動してもよく、または固定されていてもよい。シャワーまたはノズルの特定の構成は、開示されている方法の効率性に影響を及ぼすことなく、例えばサイズ、形状、タイプ、または幾何学的形状などが変化し得る。
【0025】
一実施形態によれば、第2の洗浄シャワーは、洗浄される織物の幅に及ぶカプセル化されたシャワーである。本明細書に用いられている「カプセル化された」は、洗浄媒体を散布しかつ散布された洗浄媒体が製紙機上に著しく堆積することなく取り出されるように構成されている任意のシャワー装置を指す。そのようなカプセル化システムは、一般に、シート面散布/収集アセンブリおよび非シート面散布/収集アセンブリの両方を含む。一実施形態によれば、シート面は、製紙用織物の幅に延在する散布シャワーを含み、非シート面は排除アセンブリを含む。別の実施形態によれば、シート面は、散布シャワーおよび排除アセンブリの両方を含み、非シート面は、同様に、散布シャワーおよび排除アセンブリの両方を含む。
【0026】
第2の洗浄シャワー用の排除アセンブリは、水、過剰な蒸気、および織物からの汚染物質を運ぶ廃水を除去する。そのような排除源は、例えば真空箱、空気ナイフまたは空気シャワーなどの任意の吸引装置を含み得る。典型的な排除アセンブリは1つ以上の真空源を含む。排除アセンブリの適切な配置が、関連する散布シャワーの散布ノズルの配置および位置決めに基づいて、当業者に容易に分かるであろう。一実施形態では、製紙用織物の幅に伸びる真空源は単一の源である。別の実施形態によれば、真空源は、各散布ノズルまたは散布ノズル群に関連する複数の源を含む。
【0027】
一実施形態によれば、第2の洗浄シャワーは、前述の通り1つ以上の蒸気および過熱水の散布を含む。さらに、蒸気および過熱水は当該方法により生成されることが可能であり、記載の温度および圧力で散布され得る。別の実施形態によれば、第2の洗浄シャワーは、1つ以上の温水散布(単数または複数)を含む。洗浄水は、室温より高くてもよいが、水がより高温であるほど、洗浄はより良好である。したがって、温水を使用することができるが、100℃に近いかそれより高い水が好適である。第2の洗浄シャワーの水は、80℃から約100℃までなどの、約20℃から約100℃までの温度で散布され得る。
【0028】
一実施形態によれば、第2の洗浄シャワーは織物のシート面に洗浄媒体を散布する。別の実施形態によれば、第2の洗浄シャワーは、織物の非シート面に洗浄媒体を散布する。さらに別の実施形態によれば、本洗浄法は、洗浄される織物の両面上で実施される。本実施形態によれば、蒸気および過熱水の両方が、織物の両面に散布されてもよい。本実施形態によれば、蒸気が織物のシート面に散布されてもよく、過熱水が織物の非シート面に散布されてもよい。
【0029】
また、カプセル化されたシャワー用の排除源は、洗浄媒体の散布により生成される可能性があるミストを閉じ込め、排除する手段を含んでいてもよい。一実施形態によれば、そのようなミスト排除器は、製紙用織物の長さに伸びるカバー部を含む。本開示の別の実施形態によれば、ミスト排除器ハウジングは製紙用織物に極接近しており、それにより、ミスト、水滴、蒸気、および廃水を含むがそれらに限定されない、洗浄媒体の散布中に放出されるものを捕捉する。ミスト排除器と移動する製糸用織物との間の間隙は、約0.60cmから約1.30cmまでなどの、約0.25cmから約2.54cmまでである。
【0030】
一実施形態によれば、カプセル化されたシャワーを構成するミスト排除アセンブリのどちらかまたは両方は、枢動ブラケット上に取り付けられており、万一どちらかのアセンブリが洗浄および/または修理を必要とした場合、それらが製紙用織物から離れて移動することを可能にしてもよい。当該ユニットにはハンドルが取り付けられており、それらが製紙用織物から離れて反時計回りに揺動することを可能にする。
【0031】
開示されている本洗浄法は、製品の生産を停止した製紙機上で移動する織物を洗浄するのに用いられてもよいが、記載されている連続洗浄法は、生産工程中に移動する織物上で実施されてもよいという利点を有する。生産を停止した機械上で洗浄が実施されなければならない場合、洗浄に関連する休止時間は30分から1時間までである。ティッシュペーパの通常の生産では、8時間に一度、生産が停止され、織物を洗浄しなければならない。したがって、現在開示されている洗浄法は、先行技術の洗浄法を凌いで、生産量の6から12%の向上をもたらすことができる。
【0032】
意外にも、記載されている洗浄法は、新生ペーパウェブの実質的な再湿潤を伴わずに織物の洗浄を可能にする。第2の洗浄シャワー後に織物内に残存している水量は、0.4g/mより少ないなど、0.3g/mより少ないなど、約0.5g/mより少ない。
【0033】
さらに、枢動ブラケット上でのカプセル化されたシャワーの取付けにより、回転機構、例えば回転子およびギアボックッス、により駆動された場合、機械が依然として生産中である間に、シャワーが製紙用織物から離れて回転することが可能になる。この「動作中の」回転能力により、機械休止時間なしで、製紙用織物上に汚染物質が殆ど蓄積されることなく、洗浄ユニットが迅速に修理され、洗浄され、詰まりを除去されることが可能になる。
【0034】
また、本発明のシステムは、洗浄される織物および使用される洗浄システムの構成に応じて、1つ以上の追加散布ステーションを含んでいてもよい。これらの追加散布ステーションは、例えば空気ナイフまたは織物処理アプリケータを含んでいてもよい。一実施形態では、当該1つ以上の散布ステーションは、シャワーの1つ以上が緩んだ汚染物質を除去する前に、またはシャワーの1つ以上が洗浄後に織物から残留水を除去した後に、配置されてもよい少なくとも1つの空気ナイフを含む。さらに、散布ステーションは、例えば化学洗浄液を散布して織物を前処理するなど、洗浄液または他の化学薬品を散布して汚染物質の洗浄を助けるために使用されてもよい。洗浄シャワーの前の、それらと一体化しての、またはそれらの後のこれら追加散布ステーションの配置は、所望の機能および予想された結果に基づいて容易に識別できるであろう。
【0035】
一実施形態によれば、本発明の洗浄法は、蒸気散布により初期洗浄段階もしくは第2の洗浄段階のどちらかの間に、水の散布中に、または別個のアプリケータにより蒸気および水の散布の前、間もしくは後に、添加される少なくとも1つの洗浄剤または調整剤を含む。一実施形態によれば、当該少なくとも1つの調整剤は、過熱水中で織物に添加される。
【0036】
別の実施形態によれば、離型剤が添加されて織物を調整する。離型剤は、過熱水の散布の間に添加されてもよい。一実施形態では、過熱水の散布中に離型油が添加される。織物洗浄中の離型油および調整剤の添加は、ローラカバーの耐用期間の延長および布からのより容易なシート解放をもたらす可能性がある。
【0037】
本発明の洗浄法は機械ロール上の磨耗を減少させる。例えば8時間ごとなど、事実上定期的であった先行技術システムは、織物を枯渇させて、摩擦磨耗を増大させた。本発明以前の製紙トランスファロールの平均耐用期間は約25日であった。本発明の洗浄システムでは、35日時点で顕著な磨耗は認められなかった。実施例3参照。したがって、本発明は、摩擦荷重が増大した状態で製紙ロールを作動しないように製紙ロールを継続的に潤滑することにより、それらの耐用期間を大幅に延ばすことができる。
【0038】
ここで、本開示の洗浄法は一システム実施形態に関して記載される。本システムからの逸脱および提案されたシステムに対する代替案は、当業者に容易に分かるであろう。
【0039】
横断シャワー10およびカプセル化されたシャワーアセンブリ240の両方を含む、抄紙機140に取り付けられている織物洗浄装置が図1に示されている。方向矢印から分かる通り、織物150は、ロール160上で移動し、洗浄前に織物150から任意の遊離破片および/または残留水を除去する真空箱170に接触する。織物150は、次いで、別のロール(図示せず)の周囲を移動し、横断シャワー10に接触する。横断シャワー10は、ビームアセンブリ80内で網状になる。横断シャワー10は、最初に蒸気で、次いで過熱水で織物150に接触する。次いで、空気ナイフ50(図2B)が、加圧空気を使用して織物150から任意の残留水を除去し、ミストおよび液滴が横断シャワーアセンブリ10から漏れるのを防止する。
【0040】
織物150は、次いで、カプセル化されたシャワーアセンブリ240の上部ボックス260と下部ボックス270との間を移動する。温水および/または蒸気が、移動する織物150の両面に散布され、廃水は真空源250経由で除去される。織物150は進み続け、空気ナイフ(付番せず)を通過し、そのウェブピックアップ位置(web pick up location)への戻り時にロール200上を通過する前に真空箱190に接触する。
【0041】
図1に示されている典型的な横断シャワー10が、図2A図2Cにおいて拡大されている。図2Bに示されている通り、シャワー10はノズルアセンブリ20と収集シュート30とを含む。横断シャワー10は、表面40を介して洗浄される織物に接触する。本開示に従って使用される場合、蒸気および過熱水がノズルアセンブリ20の入口25経由で導入されてもよく、収集シュート30を通して施用される真空により廃水が収集される。空気ナイフ50が空気ジェットを織物の表面上に衝突させ、織物から水をさらに除去する。空気ナイフにより除去された水蒸気は、周辺環境内に入るか、または空気ナイフが関連する収集シュートを含む場合は真空により除去される。図2Aに示されている通り、蒸気は蒸気スロット60経由で散布されてもよく、過熱水は水ノズル70により散布されてもよい。使用済の蒸気および水は、放出された汚染物質と共に、図2Cに示されている収集シュート30により拾集される。
【0042】
図3に示されているミスト排除器210は、図1に示されているカプセル化されたシャワーアセンブリ240の一部を形成している。織物150は、上部ボックス260および下部ボックス270(図1)上のデッケルストリップ220間を移動する。洗浄媒体アプリケータ230は織物に洗浄媒体を散布する一方、廃棄物が導管235を介して真空源250(図示せず)により除去される。
【0043】
連続洗浄法を、主として2つのタイプの洗浄段階、横断シャワー段階およびカプセル化されたシャワー段階、の観点から記載したが、本方法は、2つの段階のうちの一方でまたは例えばカプセル化された段階のみなど単一タイプの複数の段階で、実践することができ、2つのカプセル化された段階が使用されてもよいか、または2つの横断段階が選択的に使用されてもよい。
【0044】
本明細書に用いられている「約」は、実験誤差に因る変動を説明することを目的としている。特に別段の明示がない限り、「約」が明記されているか否かを問わず、全ての測定値は語「約」により修正されることが分かる。したがって、例えば記述「2mmの長さを有する繊維」は、「約2mmの長さを有する繊維」を意味することが分かる。
【0045】
本発明の1つ以上の限定されない実施形態の詳細は、以下の実施例において記載されている。本発明の他の実施形態が、本開示の検討後に当業者に明らかであるはずである。
【実施例1】
【0046】
作動しているティッシュペーパ機上のトランスファファブリックを、初期横断洗浄シャワーにおける構造化された紙織物への蒸気および80℃の水シャワーの散布により、本発明に従って連続洗浄した。次いで、トランスファファブリックに、やはり蒸気および80℃の水を散布する第2のカプセル化されたシャワーを通過させた。洗浄を30時間継続し、織物の衛生状態に著明な改善がもたらされた。改善を、織物上に残存している外部汚染物質量を観察することにより、視覚的に評価した。改善された織物の衛生状態の具体的指標には、水に洗浄成分が添加されることを必要とせずに適切な洗浄を達成すること、および織物に添加されて汚染物質がくっつかないようにする剥離化学(release chemistry)の50%低減が含まれていた。
【実施例2】
【0047】
作動しているティッシュペーパ機上のトランスファファブリックを、初期横断シャワー内での構造化された紙織物への蒸気および80℃の水の同時散布により、本開示に従って連続洗浄した。蒸気を全幅蒸気シャワーにより添加し、一方、水を横断洗浄シャワーにより散布した。次いで、トランスファファブリックに、やはり蒸気および80℃の水を散布する第2のカプセル化されたシャワーを通過させた。洗浄を3.5時間継続し、実施例1で見られたものと一致した結果がもたらされた。
【実施例3】
【0048】
作動しているティッシュペーパ機上のトランスファファブリックを、初期横断シャワー内での構造化された紙織物への蒸気の散布により、本発明に従って連続洗浄した。次いで、トランスファファブリックに、やはり80℃の水を散布する第2のカプセル化されたシャワーを通過させた。洗浄を6か月の期間に亘って継続し、織物の衛生状態、織物の磨耗、ロールの耐用期間、および機械休止時間に著明な改善がもたらされた。織物の衛生状態および織物の磨耗の改善を、織物を観察することにより視覚的に評価した一方、ロールの耐用期間を物理学的測定により確認した。
【実施例4】
【0049】
抄紙機上のトランスファファブリックまたは乾燥ファブリックを、初期横断シャワー内での蒸気および100℃より高い温度の過熱水の散布により、本発明に従って連続洗浄する。次いで、トランスファファブリックに、やはり蒸気および過熱水を散布する第2のカプセル化されたシャワーを通過させる。洗浄を連続で無制限に実施する。
【0050】
いくつかの実施形態を記載した。それにも関わらず、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、種々の修正が施されてもよいことが分かる。したがって、他の実施形態は以下の特許請求の範囲の範囲内にある。
図1
図2A
図2B
図2C
図3