(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0012】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0013】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0014】
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0015】
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
【0016】
(実施の形態)
<DC/DCコンバータの回路構成および動作>
図1は、降圧型DC/DCコンバータの回路構成を示す図である。
図1に示すように、降圧型DC/DCコンバータでは、入力端子TE1とグランド(基準電位)GNDとの間にハイサイドMOSトランジスタQHとローサイドMOSトランジスタQLが直列接続されている。そして、ハイサイドMOSトランジスタQHとローサイドMOSトランジスタQLとの間のノードNAと負荷RL側のグランドGNDとの間にインダクタLと負荷RLが直列接続されており、負荷RLと並列にコンデンサCが接続されている。
【0017】
また、ハイサイドMOSトランジスタQHのゲート電極、および、ローサイドMOSトランジスタQLのゲート電極は、制御回路CCに接続されており、制御回路CCによって、ハイサイドMOSトランジスタQHのオン/オフ動作、および、ローサイドMOSトランジスタQLのオン/オフ動作が制御される。具体的に、制御回路CCは、ハイサイドMOSトランジスタQHをオンする際には、ローサイドMOSトランジスタQLをオフし、ハイサイドMOSトランジスタQHをオフする際には、ローサイドMOSトランジスタQLをオンするように制御する。
【0018】
ここで、例えば、ハイサイドMOSトランジスタQHがオンし、ローサイドMOSトランジスタQLがオフしている場合、入力端子TE1からハイサイドMOSトランジスタQHおよびインダクタLを経由して負荷RLに電流が流れる。その後、ハイサイドMOSトランジスタQHがオフし、ローサイドMOSトランジスタQLがオンすると、まず、ハイサイドMOSトランジスタQHがオフすることから、入力端子TE1からハイサイドMOSトランジスタQHおよびインダクタLを経由して負荷RLに流れる電流が遮断される。すなわち、インダクタLに流れる電流が遮断される。ところが、インダクタLにおいては、電流が減少(遮断)すると、インダクタLを流れる電流を維持しようとする。このとき、ローサイドMOSトランジスタQLがオンしていることから、今度は、グランドGNDからローサイドMOSトランジスタQLおよびインダクタLを経由して負荷RLに電流が流れる。その後、再び、ハイサイドMOSトランジスタQHをオンし、ローサイドMOSトランジスタQLをオフする。このような動作を繰り返すことにより、
図1に示す降圧型DC/DCコンバータでは、入力端子TE1に入力電圧Vinを入力すると、負荷RLの両端に入力電圧Vinよりも低い出力電圧Voutが出力されることになる。
【0019】
以下では、上述したスイッチング動作を繰り返すことにより、入力端子TE1に入力電圧Vinを入力した場合、負荷RLの両端に入力電圧Vinよりも低い出力電圧Voutが出力される理由について簡単に説明する。なお、以下では、インダクタLを流れる電流が断続しないものとして取り扱うことにする。
【0020】
まず、ハイサイドMOSトランジスタQHは、制御回路CCによる制御により、オン期間T
ONおよびオフ期間T
OFFでスイッチング動作するものとする。この場合のスイッチング周波数は、f=1/(T
ON+T
OFF)となる。
【0021】
ここで、例えば、
図1において、負荷RLと並列に挿入されているコンデンサCは、出力電圧Voutを短時間に大きく変動させない機能を有している。つまり、
図1に示す降圧型DC/DCコンバータでは、負荷RLと並列に比較的大きな容量値のコンデンサCを挿入するため、定常状態では、出力電圧Voutに含まれるリップル電圧は、出力電圧Voutに比べて小さい値になる。このため、スイッチング動作の1周期内での出力電圧Voutの変動は無視できるものとする。
【0022】
最初に、ハイサイドMOSトランジスタQHがオンしている場合を考える。このとき、出力電圧Voutが1周期内で変動しないものと仮定しているため、インダクタLにかかる電圧は、(Vin−Vout)で一定と見なすことができる。この結果、インダクタLのインダクタンスをL1とすると、オン期間T
ONにおける電流の増加分ΔI
onは、式(1)で与えられる。
【0023】
ΔI
on=(Vin−Vout)/L1×T
ON ・・・(1)
【0024】
次に、ハイサイドMOSトランジスタQHがオフしている場合を考える。この場合、ローサイドMOSトランジスタQLがオンしていることから、インダクタLにかかる電圧は、0−Vout=−Voutとなる。したがって、オフ期間T
OFFにおける電流の増加分ΔI
OFFは、式(2)で与えられる。
【0025】
ΔI
OFF=−Vout/L1×T
OFF ・・・(2)
【0026】
このとき、定常状態となると、インダクタLを流れる電流は、スイッチング動作の1周期の間に増減しないことになる。言い換えれば、1周期の間にインダクタLに流れる電流が増減する場合、まだ定常状態に達していないことを意味する。したがって、定常状態では、式(3)が成立する。
【0027】
ΔI
on+ΔI
OFF=0 ・・・(3)
【0028】
この式(3)に式(1)の関係および式(2)の関係を代入すると、以下に示す式(4)を得ることができる。
【0029】
Vout=Vin×T
ON/(T
ON+T
OFF) ・・・(4)
【0030】
この式(4)において、T
ON≧0、および、T
OFF≧0であることから、Vout<Vinであることがわかる。すなわち、
図1に示す降圧型DC/DCコンバータは、入力電圧Vinよりも低い出力電圧Voutを出力する回路であることがわかる。そして、式(4)から制御回路CCによるスイッチング動作を制御することにより、オン期間T
ONとオフ期間T
OFFを変化させることで、入力電圧Vinよりも低い任意の出力電圧Voutを得ることができることがわかる。特に、オン期間T
ONとオフ期間T
OFFとが一定になるように制御すれば、一定の出力電圧Voutを得ることができる。
【0031】
以上のようにして、
図1に示す降圧型DC/DCコンバータによれば、制御回路CCで、ハイサイドMOSトランジスタQHのオン/オフ動作、および、ローサイドMOSトランジスタQLのオン/オフ動作を制御することにより、入力電圧Vinよりも低い出力電圧Voutを出力できることがわかる。
【0032】
図2は、ハイサイドMOSトランジスタQHとローサイドMOSトランジスタQLのタイミングチャートを示す図である。
図2において、オン期間T
onは、ハイサイドMOSトランジスタQHがオンしている時間を示しており、オフ期間T
OFFは、ハイサイドMOSトランジスタQHがオフしている時間を示している。このとき、
図2に示すように、ハイサイドMOSトランジスタQHがオンしている場合、ローサイドMOSトランジスタQLはオフし、ハイサイドMOSトランジスタQHがオフしている場合、ローサイドMOSトランジスタQLはオンしていることがわかる。したがって、オン期間T
onは、ローサイドMOSトランジスタQLがオフしている時間を示しており、オフ期間T
OFFは、ローサイドMOSトランジスタQLがオンしている時間を示しているということもできる。
【0033】
ここで、上述した式(4)に示すように、入力電圧Vinに対して、出力電圧Voutを充分に低くする場合には、オン期間T
onが短くなる。言い換えれば、入力電圧Vinに対して、出力電圧Voutを充分に低くする場合には、オフ期間T
OFFを長くする必要がある。このことから、入力電圧Vinに対して、出力電圧Voutを充分に低くすることを考えると、ハイサイドMOSトランジスタQHをオフしているオフ期間T
OFFが長くなるように制御回路CCによって制御する必要がある。言い換えれば、ハイサイドMOSトランジスタQHをオフしているオフ期間T
OFFが長くなるということは、ローサイドMOSトランジスタQLのオン期間が長くなることを意味する。したがって、特に、出力電圧Voutを充分に低くする場合、ローサイドMOSトランジスタQLのオン期間が長くなることから、DC/DCコンバータの効率を向上させる観点を考慮すると、ローサイドMOSトランジスタQLのオン抵抗を充分に小さくする必要があることがわかる。
【0034】
<平面サイズの概略関係>
通常、DC/DCコンバータにおいては、ハイサイドMOSトランジスタQHを形成した半導体チップと、ローサイドMOSトランジスタQLを形成した半導体チップと、制御回路CCを形成した半導体チップとを別々に備える構成が採用されている。
【0035】
ここで、上述したように、ローサイドMOSトランジスタQLでは、オン抵抗の低減を充分に考慮する必要があり、この結果、一般的に、DC/DCコンバータを構成するそれぞれの半導体チップの平面サイズ(外形寸法)については、以下に示す関係が成立する。
【0036】
すなわち、通常、DC/DCコンバータでは、ハイサイドMOSトランジスタQHが形成されている半導体チップの平面サイズよりも、ローサイドMOSトランジスタQLが形成されている半導体チップの平面サイズが大きくなっている。なぜなら、半導体チップの平面サイズを大きくすることによって、ローサイドMOSトランジスタQLにおける単位トランジスタの並列数を増加させることができ、これによって、ローサイドMOSトランジスタQLのオン抵抗を充分に小さくすることができるからである。
【0037】
このように、特に、入力電圧Vinに比べて出力電圧Voutを充分に低くするDC/DCインバータでは、ローサイドMOSトランジスタQLを形成した半導体チップの平面サイズが、ハイサイドMOSトランジスタQHを形成した半導体チップの平面サイズよりも大きくなっている。一方、制御回路CCを形成した半導体チップは、ハイサイドMOSトランジスタQHを形成した半導体チップや、ローサイドMOSトランジスタQLを形成した半導体チップのように大きな電流を流すことはない。つまり、制御回路CCを構成する集積回路は、ハイサイドMOSトランジスタQHのオン/オフ動作、および、ローサイドMOSトランジスタQLのオン/オフ動作を制御するものである。このため、制御回路CCを形成した半導体チップの平面サイズは、ハイサイドMOSトランジスタQHを形成した半導体チップの平面サイズや、ローサイドMOSトランジスタQLを形成した半導体チップの平面サイズよりも小さくなっている。
【0038】
以上のことから、DC/DCコンバータでは、ローサイドMOSトランジスタQLを形成した半導体チップの平面サイズが一番大きく、続いて、ハイサイドMOSトランジスタQHを形成した半導体チップの平面サイズが2番目に大きく、制御回路CCを形成した半導体チップの平面サイズが最も小さくなることになる。
【0039】
<DC/DCコンバータの実装構成>
以下では、具体的に、DC/DCコンバータの実装構成について詳細に説明することにする。
【0040】
上述したDC/DCコンバータに含まれる制御回路CC、ローサイドMOSトランジスタQL、および、ハイサイドMOSトランジスタQHは、例えば、1パッケージ化した半導体装置として製品化される。この1パッケージ化した半導体装置は、
図1に示すインダクタLやコンデンサCを含んでいないため、DC/DCコンバータの一部を構成する半導体装置であるが、便宜上、DC/DCコンバータを構成する半導体装置と呼ぶこともある。なお、本明細書で説明する半導体装置は、半導体パッケージと呼ぶ場合もあるが、これらの用語は同一の意味で使用している。
【0041】
半導体装置(半導体パッケージ)は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)(本明細書では、MOSFETをMOSトランジスタと呼ぶ場合もある)などの半導体素子を形成した半導体チップを含んでいる。半導体装置(半導体パッケージ)には、(1)半導体チップに形成されている半導体素子と外部回路とを電気的に接続するという機能や、(2)湿度や温度などの外部環境から半導体チップを保護し、振動や衝撃による破損や半導体チップの特性劣化を防止する機能がある。さらに、パッケージには、(3)半導体チップのハンドリングを容易にするといった機能や、(4)半導体チップの動作時における発熱を放散し、半導体素子の機能を最大限に発揮させる機能なども合わせ持っている。
【0042】
半導体装置(半導体パッケージ)の構造(形態)には、例えば、BGA(Ball Grid Array)やQFP(Quad Flat Package)やQFN(Quad Flat Non-leaded Package)などのように様々な種類がある。このような多様なパッケージ形態のうち、例えば、上述したDC/DCコンバータの一部を構成する半導体装置は、QFNパッケージで実装構成されている。そこで、以下では、DC/DCコンバータの一部を構成するQFNからなる半導体装置の実装構成について説明する。
【0043】
図3は、本実施の形態における半導体装置PK1の実装構成を示す図である。
図3において、中央に示されている図は、半導体装置PK1を上面(表面)から見た平面図であり、四方のそれぞれに側面図が示されている。
図3に示すように、本実施の形態における半導体装置PK1は、矩形形状をした樹脂MRで覆われている。そして、側面図を見てわかるように、半導体装置PK1の側面には、樹脂MRからリードLDが露出していることがわかる。ここで、本明細書では、リードを外部端子と呼ぶ場合がある。
【0044】
なお、本実施の形態では、半導体装置PK1の形状が矩形、言い換えると、樹脂(封止体)MRの側面が、この樹脂MRの側面から露出するリードLDの露出面(切断面)と同一平面(面一)である、所謂一括モールド品について説明するが、これに限らない。すなわち、樹脂MRの形状は、リードLDの切断面とリードLDの下面(実装面)だけでなく、リードLDの上面(下面とは反対側の面)の一部も樹脂MRから露出するような、所謂個片モールド品であってもよい。
【0045】
次に、
図4は、本実施の形態における半導体装置PK1を下面(裏面)から見た平面図である。
図4に示すように、半導体装置PK1の裏面も樹脂MRで覆われているが、この樹脂MRからチップ搭載部TAB(L)、チップ搭載部TAB(H)、および、チップ搭載部TAB(C)が露出している。このようにチップ搭載部TAB(L)、チップ搭載部TAB(H)、および、チップ搭載部TAB(C)が半導体装置PK1の裏面から露出していることにより、半導体装置PK1の放熱効率を向上させることができる。また、矩形形状をした半導体装置PK1の外周領域(外周部)には、複数のリードLDの一部(下面、実装面)も露出している。
【0046】
続いて、半導体装置PK1の内部構造について説明する。
図5は、本実施の形態における半導体装置PK1の内部構成を示す図である。
図5において、中央に示されている図は、樹脂MRを透視した上面側から半導体装置PK1の内部を見た平面図であり、四方のそれぞれに断面図が示されている。
【0047】
図5の中央に示されている図において、チップ搭載部TAB(L)上に、例えば、シリコンを主成分とするローサイドMOSチップCHP(L)が搭載されている。そして、このローサイドMOSチップCHP(L)の表面には、例えば、アルミニウム膜からなるソース電極パッドSP(L)およびゲート電極パッドGP(L)が形成されている。
【0048】
なお、ソース電極パッドSP(L)上には、後述する導電性部材から成るローサイドMOSクリップCLP(L)をソース電極パッドSP(L)上に高融点半田HS2を介して電気的に接続させるために、ここではニッケル(Ni)−金(Au)膜が形成されている。
【0049】
チップ搭載部TAB(L)の外側の一部にはリードLDが配置されており、このリードLDとローサイドMOSチップCHP(L)のソース電極パッドSP(L)とは、ローサイドMOSクリップCLP(L)で電気的に接続されている。つまり、ローサイドMOSチップCHP(L)のソース電極パッドSP(L)上に、例えば、銅材からなるローサイドMOSクリップCLP(L)が搭載されており、このローサイドMOSクリップCLP(L)の端部は、リードLDと接続されている。具体的には、
図5の下側の断面図に示すように、チップ搭載部TAB(L)上に高融点半田HS1を介してローサイドMOSチップCHP(L)が搭載されており、このローサイドMOSチップCHP(L)上からリードLD上に跨るように、高融点半田HS2を介してローサイドMOSクリップCLP(L)が搭載されている。
【0050】
次に、
図5の中央に示されている図において、チップ搭載部TAB(H)上に、例えば、シリコンを主成分とするハイサイドMOSチップCHP(H)が搭載されている。そして、このハイサイドMOSチップCHP(H)の表面には、例えば、アルミニウム膜からなるソース電極パッドSP(H)およびゲート電極パッドGP(H)が形成されている。
【0051】
なお、ソース電極パッドSP(H)上には、後述する導電性部材から成るハイサイドMOSクリップCLP(H)をソース電極パッドSP(H)上に高融点半田HS2を介して電気的に接続させるために、ここではニッケル(Ni)−金(Au)膜が形成されている。
【0052】
チップ搭載部TAB(H)と隣り合うようにチップ搭載部TAB(L)が配置されており、このチップ搭載部TAB(L)とハイサイドMOSチップCHP(H)のソース電極パッドSP(H)とは、ハイサイドMOSクリップCLP(H)で電気的に接続されている。つまり、ハイサイドMOSチップCHP(H)のソース電極パッドSP(H)上に、例えば、銅材からなるハイサイドMOSクリップCLP(H)が搭載されており、このハイサイドMOSクリップCLP(H)の端部は、チップ搭載部TAB(L)と接続されている。具体的には、
図5の左側の断面図に示すように、チップ搭載部TAB(H)上に高融点半田HS1を介してハイサイドMOSチップCHP(H)が搭載されており、このハイサイドMOSチップCHP(H)上からチップ搭載部TAB(L)上に跨るように、高融点半田HS2を介してハイサイドMOSクリップCLP(H)が搭載されている。
【0053】
続いて、
図5の中央に示されている図において、チップ搭載部TAB(C)上に、例えば、シリコンを主成分とするドライバICチップCHP(C)が搭載されている。具体的には、
図5の右側あるいは上側の断面図に示すように、チップ搭載部TAB(C)上に高融点半田HS1を介してドライバICチップCHP(C)が搭載されている。このドライバICチップCHP(C)の内部には、
図1に示す制御回路CCが形成されている。そして、ドライバICチップCHP(C)の表面には、例えば、アルミニウム膜からなる電極パッドPDが形成されている。チップ搭載部TAB(C)の外側の一部にはリードLDが配置されており、このリードLDと、ドライバICチップCHP(C)の表面に形成されている電極パッドPDとが、例えば、導電性部材から成るワイヤWで電気的に接続されている。なお、本実施の形態のワイヤWを構成する材料は、例えば金(Au)を主成分とする材料から成る。
【0054】
また、
図5に示すように、ローサイドMOSチップCHP(L)に形成されたゲート電極パッドGP(L)と、ドライバICチップCHP(C)に形成された電極パッドPDとが、ワイヤWで接続されている。同様に、ハイサイドMOSチップCHP(H)に形成されたゲート電極パッドGP(H)と、ドライバICチップCHP(C)に形成された電極パッドPDとが、ワイヤWで接続されている。
【0055】
このように構成されている本実施の形態における半導体装置PK1においては、DC/DCコンバータの一部を構成していることについて説明する。
図5の中央に示されている図において、チップ搭載部TAB(L)上に搭載されているローサイドMOSチップCHP(L)の内部には、
図1に示すローサイドMOSトランジスタQLが形成されている。そして、ローサイドMOSチップCHP(L)の表面には、ソース電極パッドSP(L)が形成されているが、このソース電極パッドSP(L)は、ローサイドMOSチップCHP(L)の内部に形成されているローサイドMOSトランジスタQLのソース領域と電気的に接続されている。また、ローサイドMOSチップCHP(L)の表面には、ゲート電極パッドGP(L)が形成されており、このゲート電極パッドGP(L)は、ローサイドMOSチップCHP(L)の内部に形成されているローサイドMOSトランジスタQLのゲート電極と電気的に接続されている。さらに、ローサイドMOSチップCHP(L)の裏面は、ローサイドMOSトランジスタQLのドレイン領域(ドレイン電極)となっている。
【0056】
同様に、
図5の中央に示されている図において、チップ搭載部TAB(H)上に搭載されているハイサイドMOSチップCHP(H)の内部には、
図1に示すハイサイドMOSトランジスタQHが形成されている。そして、ハイサイドMOSチップCHP(H)の表面には、ソース電極パッドSP(H)が形成されているが、このソース電極パッドSP(H)は、ハイサイドMOSチップCHP(H)の内部に形成されているハイサイドMOSトランジスタQHのソース領域と電気的に接続されている。また、ハイサイドMOSチップCHP(H)の表面には、ゲート電極パッドGP(H)が形成されており、このゲート電極パッドGP(H)は、ハイサイドMOSチップCHP(H)の内部に形成されているハイサイドMOSトランジスタQHのゲート電極と電気的に接続されている。さらに、ハイサイドMOSチップCHP(H)の裏面は、ハイサイドMOSトランジスタQHのドレイン領域(ドレイン電極)となっている。
【0057】
ここで、
図5に示すように、ローサイドMOSチップCHP(L)の裏面(ドレイン電極)がチップ搭載部TAB(L)と電気的に接続されている。そして、このチップ搭載部TAB(L)と、ハイサイドMOSチップCHP(H)に形成されているソース電極パッドSP(H)がハイサイドMOSクリップCLP(H)で接続されていることになる。このことから、ローサイドMOSチップCHP(L)のドレイン電極と、ハイサイドMOSチップCHP(H)のソース電極パッドSP(H)が電気的に接続されることになり、
図1に示すハイサイドMOSトランジスタQHとローサイドMOSトランジスタQLの直列接続が実現されていることがわかる。
【0058】
そして、ローサイドMOSチップCHP(L)の表面に形成されているソース電極パッドSP(L)は、ローサイドMOSクリップCLP(L)を介してリードLDと電気的に接続されている。このため、ローサイドMOSクリップCLP(L)と電気的に接続されているリードLDをグランドと接続することにより、
図1に示すローサイドMOSトランジスタQLのソース領域をグランドGNDと接続させることができる。
【0059】
一方、ハイサイドMOSチップCHP(H)の裏面(ドレイン電極)は、高融点半田HS1を介してチップ搭載部TAB(H)と電気的に接続されている。したがって、チップ搭載部TAB(H)を入力端子TE1と電気的に接続することにより、
図1に示すハイサイドMOSトランジスタQHのドレイン領域(ドレイン電極)を入力端子TE1と接続させることができる。以上のようにして、
図5に示す本実施の形態における半導体装置PK1は、DC/DCコンバータの一部を構成していることがわかる。
【0060】
本実施の形態における半導体装置PK1では、例えば、
図5に示すように、ローサイドMOSチップCHP(L)とリードLDとの電気的な接続に、ワイヤを使用せずに、ローサイドMOSクリップCLP(L)を使用している。同様に、本実施の形態では、ハイサイドMOSチップCHP(H)とチップ搭載部TAB(L)との電気的な接続にも、ワイヤを使用せずに、ハイサイドMOSクリップCLP(H)を使用している。
【0061】
これは、本実施の形態における半導体装置PK1がDC/DCコンバータの構成要素として使用されるものであり、ローサイドMOSクリップCLP(L)やハイサイドMOSチップCHP(H)によって接続される電流経路には大きな電流が流れるため、できるだけオン抵抗を低減する必要があるからである。すなわち、ローサイドMOSチップCHP(L)やハイサイドMOSチップCHP(H)には、大きな電流を流すローサイドMOSトランジスタQLやハイサイドMOSトランジスタQHが形成されており、これらのトランジスタ(パワートランジスタ)の特性を充分に引き出すため、ワイヤを使用せずに、ローサイドMOSクリップCLP(L)やハイサイドMOSチップCHP(H)が使用されているのである。特に、ローサイドMOSクリップCLP(L)やハイサイドMOSチップCHP(H)は、抵抗率の低い銅材が使用され、かつ、接触面積も大きくすることができるため、ローサイドMOSトランジスタQLやハイサイドMOSトランジスタQHのオン抵抗を低減することができる。
【0062】
さらには、オン抵抗を低減する観点から、チップ搭載部TAB(L)と、このチップ搭載部TAB(L)上に搭載されるローサイドMOSチップCHP(L)との接続や、ローサイドMOSチップCHP(L)とローサイドMOSクリップCLP(L)との接続に、銀ペーストではなく半田が使用されている。同様の観点から、チップ搭載部TAB(H)と、このチップ搭載部TAB(H)上に搭載されるハイサイドMOSチップCHP(H)との接続や、ハイサイドMOSチップCHP(H)とハイサイドMOSクリップCLP(H)との接続に、銀ペーストではなく半田が使用されている。つまり、銀ペーストは、熱硬化性樹脂の内部に銀フィラーを分散させた構成をしており、電気伝導率や熱伝導率は、金属材料である半田に比べて小さくなる。このことから、オン抵抗の低減が必要とされるDC/DCコンバータに使用される半導体装置PK1においては、銀ペーストよりも電気伝導率の大きな半田が使用され、これによって、ローサイドMOSトランジスタQLやハイサイドMOSトランジスタQHのオン抵抗を低減している。特に、本実施の形態における半導体装置PK1では、ローサイドMOSチップCHP(L)の裏面やハイサイドMOSチップCHP(H)の裏面にも電流を流すため、銀ペーストから半田に替えることによる接続抵抗の低減は、オン抵抗を低減する観点から重要である。
【0063】
ただし、本実施の形態における半導体装置PK1が製品として完成した後は、回路基板(実装基板)に実装される。この場合、半導体装置PK1と実装基板の接続には、半田が使用される。半田による接続の場合、半田を溶融させて接続させるため、加熱処理(リフロー)が必要とされる。
【0064】
ここで、半導体装置PK1と実装基板との接続に使用される半田と、上述した半導体装置PK1の内部で使用される半田が同じ材料である場合、半導体装置PK1と実装基板との接続の際に加えられる熱処理(リフロー)によって、半導体装置PK1の内部に使用されている半田も溶融することになる。この場合、半田の溶融による体積膨張で半導体装置PK1を封止している樹脂にクラックが発生したり、溶融した半田が外部へ漏れ出したりする不具合が発生することになる。
【0065】
このことから、チップ搭載部TAB(L)と、このチップ搭載部TAB(L)上に搭載されるローサイドMOSチップCHP(L)との接続や、ローサイドMOSチップCHP(L)とローサイドMOSクリップCLP(L)との接続には、高融点半田HS1や高融点半田HS2が使用される。同様に、チップ搭載部TAB(H)と、このチップ搭載部TAB(H)上に搭載されるハイサイドMOSチップCHP(H)との接続や、ハイサイドMOSチップCHP(H)とハイサイドMOSクリップCLP(H)との接続には、高融点半田HS1や高融点半田HS2が使用される。この場合、半導体装置PK1と実装基板との接続の際に加えられる熱処理(リフロー)によって、半導体装置PK1の内部に使用されている高融点半田HS1や高融点半田HS2は溶融することはない。したがって、高融点半田HS1や高融点半田HS2の溶融による体積膨張で半導体装置PK1を封止している樹脂にクラックが発生したり、溶融した半田が外部へ漏れ出したりする不具合を防止することができる。
【0066】
ここで、半導体装置PK1と実装基板との接続に使用される半田は、Sn(すず)−銀(Ag)−銅(Cu)に代表される融点が220℃程度の半田が使用され、リフローの際に、半導体装置PK1は、260℃程度まで加熱される。したがって、例えば、本明細書でいう高融点半田とは、260℃程度に加熱しても溶融しない半田を意図している。代表的なものを挙げると、例えば、融点が300℃以上でリフロー温度が350℃程度であり、Pb(鉛)を90重量%以上含んだ半田である。
【0067】
なお、本実施の形態においては、例えば、チップ搭載部TAB(L)とローサイドMOSチップCHP(L)との接続や、チップ搭載部TAB(H)とハイサイドMOSチップCHP(H)との接続に使用される高融点半田HS1が存在する。また、ローサイドMOSチップCHP(L)とローサイドMOSクリップCLP(L)との接続や、ハイサイドMOSチップCHP(H)とハイサイドMOSクリップCLP(H)との接続に使用される高融点半田HS2が存在する。基本的に、本実施の形態では、上述した高融点半田HS1と高融点半田HS2とは同じ材料成分であることを想定しているが、例えば、高融点半田HS1と高融点半田HS2とを異なる材料成分から構成することもできる。
【0068】
<実施の形態における半導体装置(被検査デバイス)の製造方法>
本実施の形態における半導体装置(被検査デバイス)は、例えば、
図5に示すように、DC/DCコンバータの一部を構成する半導体装置PK1であり、QFNパッケージで実装構成されている。そこで、以下では、DC/DCコンバータの一部を構成するQFNパッケージからなる半導体装置PK1の製造方法を例に挙げて、本実施の形態における技術的思想について説明することにする。
【0069】
1.基材(リードフレーム)準備工程
まず、
図6に示すように、リードフレームLF1を準備する。
図6(A)では、リードフレームLF1の模式的な全体構成が示されており、
図6(B)では、
図6(A)に示すリードフレームLF1の一部分が拡大して示されている。さらに、
図6(C)では、
図6(B)に示すリードフレームLF1の一部分がさらに拡大して示されている。
【0070】
図6(C)に示すように、本実施の形態におけるリードフレームLF1は、チップ搭載部TAB(C)、チップ搭載部TAB(H)およびチップ搭載部TAB(L)と、リードLDとを備えた製品領域PRが行列状に複数配置されていることがわかる。
【0071】
2.チップ搭載工程
次に、
図7に示すように、リードフレームLF1に形成されている複数の製品領域PRのそれぞれにおいて、チップ搭載部TAB(C)、チップ搭載部TAB(H)およびチップ搭載部TAB(L)上に高融点半田HS1を形成する。具体的には、例えば、半田印刷法を使用することにより、チップ搭載部TAB(C)、チップ搭載部TAB(H)およびチップ搭載部TAB(L)上に高融点半田HS1を印刷する。
【0072】
ここでいう高融点半田HS1とは、260℃程度に加熱しても溶融しない半田を意図しており、例えば、融点が300℃以上でリフロー温度が350℃程度のPb(鉛)を多く含んだPbリッチな高融点半田を挙げることができる。
【0073】
続いて、
図8に示すように、リードフレームLF1に形成されている複数の製品領域PRのそれぞれにおいて、まず、チップ搭載部TAB(C)上にドライバICチップCHP(C)を搭載する。そして、チップ搭載部TAB(H)上にハイサイドMOSチップCHP(H)を搭載し、その後、チップ搭載部TAB(L)上にローサイドMOSチップCHP(L)を搭載する。なお、ドライバICチップCHP(C)、ハイサイドMOSチップCHP(H)およびローサイドMOSチップCHP(L)の搭載順は、これに限らず、適宜変更することも可能である。
3.電気的接続工程
次に、
図9に示すように、リードフレームLF1に形成されている複数の製品領域PRのそれぞれにおいて、ハイサイドMOSチップCHP(H)上に高融点半田HS2を形成する。その後、ローサイドMOSチップCHP(L)上に高融点半田HS2を形成する。詳細には、ハイサイドMOSチップCHP(H)に形成されているソース電極パッド(図示せず)上に高融点半田HS2を形成するとともに、ローサイドMOSチップCHP(L)に形成されているソース電極パッド(図示せず)上に高融点半田HS2を形成する。さらに、
図9に示すように、チップ搭載部TAB(L)の一部領域上およびリードの一部領域上にも高融点半田HS2を形成する。
【0074】
具体的には、例えば、塗布法を使用することにより、ハイサイドMOSチップCHP(H)上、ローサイドMOSチップCHP(L)上、チップ搭載部TAB(L)の一部領域上およびリードの一部領域上にも高融点半田HS2を塗布する。このとき形成される高融点半田HS2は、上述した高融点半田HS1と同じ材料成分であってもよいし、異なる材料成分であってもよい。
【0075】
その後、
図10に示すように、リードフレームLF1に形成されている複数の製品領域PRのそれぞれにおいて、ハイサイドMOSクリップCLP(H)を、ハイサイドMOSチップCHP(H)上からチップ搭載部TAB(L)に跨るように搭載する。これにより、ハイサイドMOSチップCHP(H)に形成されているソース電極パッドと、チップ搭載部TAB(L)がハイサイドMOSクリップCLP(H)によって電気的に接続されることになる。また、ローサイドMOSクリップCLP(L)を、ローサイドMOSチップCHP(L)上から基準電位(GND電位)が供給されるリードに跨るように搭載する。これにより、ローサイドMOSチップCHP(L)に形成されているソース電極パッドと、基準電位が供給されるリードがローサイドMOSクリップCLP(L)によって電気的に接続されることになる。
【0076】
なお、ハイサイドMOSクリップCLP(H)およびローサイドMOSクリップCLP(L)の搭載順は、これに限らず、適宜変更することも可能である。
【0077】
続いて、高融点半田HS1および高融点半田HS2に対してリフローを実施する。具体的には、高融点半田HS1および高融点半田HS2を含むリードフレームLF1を、例えば、350℃程度の温度で加熱する。これにより、高融点半田HS1および高融点半田HS2を溶融させることができる。
【0078】
その後、高融点半田HS1および高融点半田HS2に含まれているフラックスを除去するため、フラックス洗浄を実施する。そして、その後の工程で行われるワイヤボンディング工程におけるワイヤのボンディング特性を向上させる観点から、リードフレームLF1の表面に対してプラズマ処理を実施することにより、リードフレームLF1の表面を清浄化する。
【0079】
続いて、
図11(A)および
図11(B)に示すように、ワイヤボンディング工程を実施する。
図11(A)は、ワイヤボンディング工程を実施する際のリードフレームLF1を示す図である。ただし、
図11(A)では、実際のワイヤボンディング工程を実施することによる構成要素(ワイヤ)は省略されており、この構成要素(ワイヤ)は、
図11(A)に示される1つの製品領域PRを拡大した図である
図11(B)に示されている。
【0080】
図11(B)において、ドライバICチップCHP(C)に形成されている複数の電極パッドPDと複数のリードLDが複数のワイヤWで接続されていることがわかる。さらに、
図11(B)に示すように、ハイサイドMOSチップCHP(H)に形成されているゲート電極パッドGP(H)と、ドライバICチップCHP(C)に形成されている電極パッドPDがワイヤWで接続されている。同様に、ローサイドMOSチップCHP(L)に形成されているゲート電極パッドGP(L)と、ドライバICチップCHP(C)に形成されている電極パッドPDがワイヤWで接続されている。これにより、本実施の形態によれば、ハイサイドMOSチップCHP(H)に形成されているハイサイドMOSトランジスタQH(
図1参照)と、ローサイドMOSチップCHP(L)に形成されているローサイドMOSトランジスタQL(
図1参照)が、ドライバICチップCHP(C)に形成されている制御回路CC(
図1参照)によって電気的に制御されることがわかる。
【0081】
4.封止(モールド)工程
次に、
図12に示すように、リードフレームLF1に形成されている製品領域を一括して樹脂MRで封止(モールド)する。言い換えれば、
図11(B)に示すドライバICチップCHP(C)、ハイサイドMOSチップCHP(H)およびローサイドMOSチップCHP(L)を覆うようにリードフレームLF1内の複数の製品領域PRを樹脂MRで一括封止して封止体を形成する。つまり、本実施の形態では、半導体チップを樹脂で封止する技術として、キャビティ内に複数の製品領域PRを内包させて、複数の製品領域PRを一括して樹脂で封止する、いわゆるMAPモールド技術(MAP:Matrix Array Package、一括モールド技術)と呼ばれる技術を採用している。このMAPモールド技術によれば、製品領域PR毎に樹脂を注入する経路を設ける必要がないので、複数の製品領域PRを密に配置することができる。これにより、MAPモールド技術によれば、製品の取得数を向上させることができ、これによって、製品のコスト削減を図ることが可能となる。
【0082】
5.外装メッキ工程
その後、
図13に示すように、樹脂MR(封止体)の裏面から露出するチップ搭載部TAB(C)、チップ搭載部TAB(H)、チップ搭載部TAB(L)およびリードLDの一部の表面に導体膜であるメッキ膜(半田膜)を形成する。なお、この工程で形成されるメッキ膜は、鉛(Pb)を実質的に含まない、いわゆる鉛フリー半田(半田材)からなり、例えば、錫(Sn)のみ、あるいは、錫−ビスマス(Sn−Bi)などである。ここで、鉛フリー半田とは、鉛の含有量が0.1重量%以下の半田を意味し、この含有量は、RoHS(Restriction of Hazardous Substances)指令の基準として定められている。
【0083】
6.マーキング工程
その後、樹脂MRからなる封止体の表面に製品名や型番などの情報(マーク)を形成する。なお、マークの形成方法としては、印刷方式により印字する方法やレーザを封止体の表面に照射することによって刻印する方法を用いることができる。
【0084】
7.個片化工程
続いて、
図14(A)および
図14(B)に示すように、樹脂MRからなる封止体の表面にダイシングテープDTを貼り付ける。そして、
図15(A)および
図15(B)に示すように、樹脂MRからなる封止体を製品領域PR毎に切断する(パッケージダイシング)。具体的には、リードフレームLF1に形成されている複数の製品領域PRを区画する区画領域(境界領域)を回転する円盤状の切断刃であるダイシングブレードにより切断し、各製品領域PRを個片化する。これにより、例えば、
図15(C)に示すような本実施の形態における被検査デバイス(組立体)TD1を取得することができる。
【0085】
<テスト工程の概要>
次に、取得された被検査デバイスTD1に対してテスト工程を実施する。このテスト工程には、例えば、様々な種類の被検査デバイスTD1の電気的特性検査が含まれるが、以下では、被検査デバイスTD1の熱抵抗を測定するためのテスト工程に着目して説明することにする。
【0086】
例えば、DC/DCコンバータを構成する被検査デバイスでは、比較的大きな電流を流すため、被検査デバイスが発熱しやすいという特性がある。したがって、DC/DCコンバータの動作信頼性を向上する観点から、被検査デバイスの放熱特性が重要となってくる。すなわち、被検査デバイスの放熱特性が悪化すると、被検査デバイスで発生した熱が外部へ放散されにくくなり、この結果、被検査デバイスの内部温度が上昇することになる。このように被検査デバイスの内部温度が上昇すると、被検査デバイスの内部に形成されている半導体素子の特性が変化したり、さらには、半導体素子が誤動作する可能性が高まり、被検査デバイスの信頼性を向上する観点から望ましくない。このことから、取得された被検査デバイスに対して、許容範囲内の放熱特性を有しているか否かを検査するテスト工程が存在する。
【0087】
具体的には、被検査デバイスの放熱特性を検査する指標として、熱抵抗という概念が使用される。この熱抵抗は、例えば、半導体チップからの熱の伝わりにくさを表す指標であり、ある熱量(電力)を供給した際の半導体チップの温度変化(温度差)から算出することができる。つまり、供給される電力をPとし、半導体チップの温度差をΔTとすると、熱抵抗θ=ΔT/P(℃/W)で表すことができる。定性的に、熱抵抗が小さいということは、熱が伝わりやすいことを意味し、放熱効率が高いことに対応する。一方、熱抵抗が大きいということは、熱が伝わりにくいことを意味し、放熱効率が低いことを意味する。したがって、半導体チップの熱抵抗を測定することにより、被検査デバイスの放熱特性を検査することが可能となる。つまり、熱抵抗の値が許容範囲に含まれるか否かを測定することにより、被検査デバイスの放熱特性を評価することができ、これによって、良好な放熱特性を有している被検査デバイスと、放熱特性が基準を満たしていない被検査デバイスとを選別することが可能となる。
【0088】
ところが、封止体で封止されている半導体チップの温度を直接測定することは、困難である。そこで、半導体チップの温度測定は、間接的な物理量を測定することにより行われる。具体的には、温度に対して比例するPN接合の順方向電圧降下を測定することにより、間接的に半導体チップの温度を測定することが行なわれる。なお、本明細書では、上述した順方向電圧降下を単にVFと呼ぶ場合がある。
【0089】
例えば、DC/DCコンバータを構成する本実施の形態における被検査デバイスは、ハイサイドMOSトランジスタQHと、ローサイドMOSトランジスタQLを含む。このとき、DC/DCコンバータの動作時には、ハイサイドMOSトランジスタQHや、ローサイドMOSトランジスタQLに電流が流れ、これらのハイサイドMOSトランジスタQHやローサイドMOSトランジスタQLで発熱が生じる。したがって、本実施の形態における被検査デバイスでは、主に、ハイサイドMOSトランジスタQHを形成したハイサイドMOSチップCHP(H)での温度と、ローサイドMOSトランジスタQLを形成したローサイドMOSチップCHP(L)での温度を測定する必要がある。
【0090】
このとき、ハイサイドMOSトランジスタQHやローサイドMOSトランジスタQLは、いわゆるパワートランジスタから構成され、このパワートランジスタでは、寄生的にPN接合ダイオードが形成される。本明細書では、この寄生的に形成されるPN接合ダイオードをボディダイオードと呼ぶことにする。したがって、例えば、ハイサイドMOSトランジスタQHの温度は、このハイサイドMOSトランジスタQHに寄生的に存在するボディダイオードの順方向電圧降下を測定することにより、間接的に測定することができる。同様に、ローサイドMOSトランジスタQLの温度は、このローサイドMOSトランジスタQLに寄生的に存在するボディダイオードの順方向電圧降下を測定することにより、間接的に測定することができる。
【0091】
以下では、パワーMOSトランジスタによれば、寄生的にボディダイオードが形成されている点について、パワーMOSトランジスタのデバイス構造を参照しながら説明し、その後、本実施の形態では、このボディダイオードにおける順方向電圧降下を測定することにより、半導体チップの熱抵抗を評価できるテスト工程の詳細について説明する。
【0092】
図16は、パワーMOSトランジスタの断面構成例を示す図である。
図16において、例えば、n型不純物を導入したシリコンからなる半導体基板1S上には、n型半導体層であるエピタキシャル層EPが形成され、半導体基板1Sとエピタキシャル層EPによって、パワーMOSトランジスタのドレイン領域DRが構成される。そして、このエピタキシャル層EP上に、p型半導体層からなるチャネル層CHが形成されており、このチャネル層CH上には、n型半導体層からなるソース領域SRが形成されている。さらに、ソース領域SRおよびチャネル層CHを貫通してエピタキシャル層EPに達するトレンチTRが形成されている。このトレンチTRの内壁には、例えば、酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜GOXが形成されており、ゲート絶縁膜GOXを介してトレンチTRを埋め込むように、例えば、ポリシリコン膜からなるゲート電極GEが形成されている。
【0093】
次に、トレンチTRを埋め込んだゲート電極GEを覆うように、絶縁膜IFが形成されており、この絶縁膜IFおよびソース領域SRを貫通してチャネル層CHにまで達するようにトレンチTR2が形成されている。これにより、ソース領域SRは、トレンチTRとトレンチTR2で挟まれるように構成されることになる。そして、トレンチTR2の底部には、チャネル層CHよりも不純物濃度の高いp型半導体層からなるボディコンタクト領域BCが形成されている。また、トレンチTR2の内部から絶縁膜IF上にわたって、ソース配線SLが形成されている。このように構成されているパワーMOSトランジスタにおいては、トレンチTR2に埋め込まれたソース配線SLによって、ソース領域SRとチャネル層CHが電気的に接続されることになる。
【0094】
ここで、例えば、チャネル層CHは、p型半導体層から形成される一方、エピタキシャル層EPは、n型半導体層から形成されている。したがって、チャネル層CHとエピタキシャル層EPの境界はpn接合となり、p型半導体層であるチャネル層CHと、n型半導体層であるエピタキシャル層EPによって、pn接合ダイオードであるボディダイオードBDが形成されることになる。つまり、パワーMOSトランジスタでは、寄生的にボディダイオードBDが形成されることになる。この場合、パワーMOSトランジスタでは、以下に示す複数の動作モードが存在することになる。
【0095】
まず、第1動作モードでは、ドレイン領域DRに正電圧を印加し、ソース領域SRに負電圧を印加した状態で、ゲート電極GEにしきい値電圧以上の電圧を印加する。この場合、チャネル層CHのうち、トレンチTRの側面領域と接する領域にチャネルが形成され、このチャネルによって、ソース領域SRとドレイン領域DRが導通し、ドレイン領域DRからソース領域SRに向かって電流が流れる。このとき、ボディダイオードBDにおいては、n型半導体層であるエピタキシャル層EPに正電圧が印加され、ソース領域SRと電気的に接続されているp型半導体層であるチャネル層CHに負電圧が印加される。このことから、ボディダイオードBDには、逆バイアスが印加されることになるため、ボディダイオードBDには電流は流れない。したがって、第1動作モードでは、寄生的に形成されているボディダイオードBDに関係なく、チャネルを介してドレイン領域DRからソース領域SRに電流が流れることになる。
【0096】
一方、第1動作モードで、ゲート電極GEにしきい値電圧よりも小さな電圧を印加してパワーMOSトランジスタをオフすると、トレンチTRの側面領域と接する領域にチャネルが形成されなくなるとともに、ボディダイオードBDにおいても、逆バイアスが印加されたままになる。このため、ドレイン領域DRとソース領域SRの間に電流は流れなくなる。
【0097】
続いて、第2動作モードでは、ドレイン領域DRに負電圧を印加し、ソース領域SRに正電圧を印加した状態で、ゲート電極GEにしきい値以上の電圧を印加する。この場合、チャネル層CHのうち、トレンチTRの側面領域と接する領域にチャネルが形成され、このチャネルによって、ソース領域SRとドレイン領域DRが導通し、ソース領域SRからドレイン領域DRに向かって電流が流れる。このとき、ボディダイオードBDにおいては、n型半導体層であるエピタキシャル層EPに負電圧が印加され、ソース領域SRと電気的に接続されているp型半導体層であるチャネル層CHに正電圧が印加される。このことから、ボディダイオードBDには、順バイアスが印加されることになる。このため、一見、ボディダイオードBDには電流が流れるように思われるが、チャネルによるオン抵抗が充分に低いため、順バイアスされているボディダイオードBDには電流が流れず、抵抗の低いチャネルを介して、ソース領域SRからドレイン領域DRに電流が流れる。したがって、第2動作モードにおいては、寄生的に形成されているボディダイオードBDに順バイアスが印加されることになるが、このボディダイオードBDよりもオン抵抗の低いチャネルを介してソース領域SRからドレイン領域DRに電流が流れることになる。
【0098】
次に、第3動作モードでは、ドレイン領域DRに負電圧を印加し、ソース領域SRに正電圧を印加した状態で、ゲート電極GEにしきい値電圧よりも小さな電圧を印加する。この場合、トレンチTRの側面領域と接する領域にチャネルが形成されない。このため、ソース領域SRとドレイン領域DRは導通しないように思われる。ところが、ボディダイオードBDにおいては、n型半導体層であるエピタキシャル層EPに負電圧が印加され、ソース領域SRと電気的に接続されているp型半導体層であるチャネル層CHに正電圧が印加される。このことから、ボディダイオードBDには、順バイアスが印加されることになり、この結果、ボディダイオードBDを介してソース領域SRからドレイン領域DRに電流が流れる。
【0099】
以上のことから、パワーMOSトランジスタにおいて、ドレイン領域DRに負電圧を印加し、ソース領域SRに正電圧を印加する場合には、パワーMOSトランジスタのオン動作、あるいは、オフ動作に関わらず、ソース領域SRからドレイン領域DRに電流が流れることがわかる。すなわち、上述した第2動作モードでは、パワーMOSトランジスタがオンしてチャネルが形成され、このチャネルを介してソース領域SRからドレイン領域DRに電流が流れる。一方、上述した第3動作モードでは、パワーMOSトランジスタがオフしている状態でも、寄生的に形成されているボディダイオードBDに順バイアスが印加されることにより、ボディダイオードBDを介してソース領域SRからドレイン領域DRに電流が流れることになる。
【0100】
<テスト工程の詳細>
以下では、上述したパワーMOSトランジスタの第2動作モードと第3動作モードを利用することにより、半導体チップの温度に対応するボディダイオードの順方向電圧降下を測定し、これによって、半導体チップの熱抵抗を評価するテスト工程について説明する。
【0101】
図17は、DC/DCコンバータを構成するハイサイドMOSチップの熱抵抗を評価するテスト工程の流れを示すフローチャートである。また、
図18は、DC/DCコンバータの構成要素であるハイサイドMOSトランジスタQH、ローサイドMOSトランジスタQL、および、制御回路CCを含む回路ブロック図である。
【0102】
図18において、ハイサイドMOSトランジスタQHのドレイン領域は、リードVINと接続され、ソース領域は、リードVSWHと接続されている。また、ハイサイドMOSトランジスタQHのゲート電極は、リードGHと接続されている。一方、ローサイドMOSトランジスタQLのドレイン領域は、リードVSWHと接続され、ソース領域は、リードPGNDと接続されている。また、ローサイドMOSトランジスタQLのゲート電極は、リードGLと接続されている。
【0103】
ここで、まず、ハイサイドMOSトランジスタQHに着目する。
図18において、ハイサイドMOSトランジスタQHのソース領域と電気的に接続されているリードVSWHに正電圧を印加し、ハイサイドMOSトランジスタQHのドレイン領域と電気的に接続されているリードVINに負電圧を印加する。そして、ハイサイドMOSトランジスタQHのゲート電極と電気的に接続されているリードGHにしきい値電圧よりも小さな電圧を印加する。この場合、ハイサイドMOSトランジスタQHは、上述した第3動作モードで動作することになる。すなわち、
図18に示すように、基準電流I
MをリードVSWHからボディダイオードBD1を介してリードVINに流す。このとき、リードVSWHとリードVINとの間の電位差がボディダイオードBD1の順方向電圧降下となる。このとき、ハイサイドMOSチップが室温に置かれているとすると、ボディダイオードBD1のVFは、室温に対応した値となり、この値を初期値VF1(H)とする(
図17のS101)。
【0104】
続いて、
図19に示すように、リードVSWHに正電圧を印加し、リードVINに負電圧を印加するとともに、リードGHにしきい値電圧以上の電圧を印加する。この場合、ハイサイドMOSトランジスタQHは、上述した第2動作モードで動作することになる。すなわち、
図19に示すように、電流I
HをリードVSWHから、オンしているハイサイドMOSトランジスタQHを介して、リードVINに流す。具体的には、例えば、ハイサイドMOSトランジスタQHに、I
H=14.2Aの電流を時間T
H=20ms間流す(
図17のS102)。これにより、ハイサイドMOSトランジスタQHに熱量が供給されることになり、ハイサイドMOSトランジスタQHが発熱する。この結果、ハイサイドMOSチップの温度が室温から上昇する。
【0105】
次に、
図20に示すように、リードVSWHに正電圧を印加し、リードVINに負電圧を印加するとともに、リードGHにしきい値電圧よりも小さな電圧を印加する。この場合、ハイサイドMOSトランジスタQHはオフし、上述した第3動作モードで動作することになる。すなわち、
図20に示すように、基準電流I
MをリードVSWHからボディダイオードBD1を介してリードVINに流す。このとき、リードVSWHとリードVINとの間の電位差がボディダイオードBD1の順方向電圧降下となる。このとき、ハイサイドMOSチップの温度が上昇しているため、ボディダイオードBD1のVFは、上昇した温度に対応した値となり、この値をVF2(H)とする(
図17のS103)。
【0106】
このようにして、室温に対応した初期値VF1(H)と、上昇した温度に対応した値VF2(H)を取得することができる。その後、初期値VF1(H)と、値VF2(H)との差分を取ることにより、ΔVF(H)=VF1(H)−VF2(H)を算出する(
図17のS104)。これにより、ΔVF(H)に基づいて、ハイサイドMOSチップの熱抵抗を評価することができる。
【0107】
続いて、ローサイドMOSトランジスタQLに着目する。
図21は、DC/DCコンバータを構成するハイサイドMOSチップの熱抵抗を評価するテスト工程の流れを示すフローチャートである。また、
図22は、DC/DCコンバータの構成要素であるハイサイドMOSトランジスタQH、ローサイドMOSトランジスタQL、および、制御回路CCを含む回路ブロック図である。
【0108】
図22において、ローサイドMOSトランジスタQLのソース領域と電気的に接続されているリードPGNDに正電圧を印加し、ローサイドMOSトランジスタQLのドレイン領域と電気的に接続されているリードVSWHに負電圧を印加する。そして、ローサイドMOSトランジスタQLのゲート電極と電気的に接続されているリードGLにしきい値電圧よりも小さな電圧を印加する。この場合、ローサイドMOSトランジスタQLは、上述した第3動作モードで動作することになる。すなわち、
図22に示すように、基準電流I
MをリードPGNDからボディダイオードBD2を介してリードVSWHに流す。このとき、リードPGNDとリードVSWHとの間の電位差がボディダイオードBD2の順方向電圧降下となる。このとき、ローサイドMOSチップが室温に置かれているとすると、ボディダイオードBD2のVFは、室温に対応した値となり、この値を初期値VF1(L)とする(
図21のS201)。
【0109】
続いて、
図23に示すように、リードPGNDに正電圧を印加し、リードVSWHに負電圧を印加するとともに、リードGLにしきい値電圧以上の電圧を印加する。この場合、ローサイドMOSトランジスタQLは、上述した第2動作モードで動作することになる。すなわち、
図23に示すように、電流I
LをリードPGNDから、オンしているローサイドMOSトランジスタQLを介して、リードVSWHに流す。具体的には、例えば、ローサイドMOSトランジスタQLに、I
L=42.8Aの電流を時間T
L=20ms間流す(
図21のS202)。これにより、ローサイドMOSトランジスタQLに熱量が供給されることになり、ローサイドMOSトランジスタQLが発熱する。この結果、ローサイドMOSチップの温度が室温から上昇する。なお、時間T
Lを第1時間と呼び、時間T
Hを第2時間と呼ぶことにすると、ともに20msであることから、第1時間と第2時間は同一であるが、第1時間と第2時間を異なるように設定してもよい。
【0110】
次に、
図24に示すように、リードPGNDに正電圧を印加し、リードVSWHに負電圧を印加するとともに、リードGLにしきい値電圧よりも小さな電圧を印加する。この場合、ローサイドMOSトランジスタQLはオフし、上述した第3動作モードで動作することになる。すなわち、
図24に示すように、基準電流I
MをリードPGNDからボディダイオードBD2を介してリードVSWHに流す。このとき、リードPGNDとリードVSWHとの間の電位差がボディダイオードBD2の順方向電圧降下となる。このとき、ローサイドMOSチップの温度が上昇しているため、ボディダイオードBD2のVFは、上昇した温度に対応した値となり、この値をVF2(L)とする(
図21のS203)。
【0111】
このようにして、室温に対応した初期値VF1(L)と、上昇した温度に対応した値VF2(L)を取得することができる。その後、初期値VF1(L)と、値VF2(L)との差分を取ることにより、ΔVF(L)=VF1(L)−VF2(L)を算出する(
図21のS204)。これにより、ΔVF(L)に基づいて、ローサイドMOSチップの熱抵抗を評価することができる。以上のようにして、ハイサイドMOSチップの熱抵抗、および、ローサイドMOSチップの熱抵抗を評価するテスト工程が実施される。
【0112】
<テスト工程における改善の余地>
本発明者の検討によると、上述したテスト工程においては、以下に示す改善の余地が存在することが判明したのでこの点について説明する。
【0113】
例えば、テスト工程では、被検査デバイスに設けられているリードにソケット端子を接触させて、ソケット端子からリードに電流を流すことが行なわれる。
【0114】
ここで、ローサイドMOSチップは、ハイサイドMOSチップよりも平面サイズが大きいため、ローサイドMOSチップに供給する熱量は、ハイサイドMOSチップに供給する熱量よりも大きくなる。そして、平面サイズの大きなローサイドMOSチップにおいても、熱抵抗の測定精度を向上させるため、短時間で大きな電流を流している。
【0115】
具体的には、ハイサイドMOSトランジスタQHに熱量を供給する際には、I
H=14.2Aの電流を時間T
H=20ms間流す一方、ローサイドMOSトランジスタQLに熱量を供給する際には、I
L=42.8Aの電流を時間T
L=20ms間流すようにしている。
【0116】
したがって、ローサイドMOSトランジスタQLに熱量を供給する場合、例えば、
図23に示すように、リードPGNDとリードVSWHには、大電流が流れることになる。さらに、リードVSWHにおいては、例えば、
図19に示すように、ハイサイドMOSトランジスタQHに熱量を供給する場合にも電流が流れることになる。
【0117】
このとき、本発明者の検討によると、大電流を流すリードPGNDやリードVSWHにおいては、リードの外観不良に代表される歩留り低下や、リードPGNDやリードVSWHと接触するソケット端子の短寿命化が顕在化することが判明した。
【0118】
この点について、さらに詳細に説明する。まず、被検査デバイスのテスト工程で使用されるソケット端子には、様々な種類がある。例えば、先端部の尖った棒状の端子が垂直方向に変位する、いわゆるポゴピンと呼ばれるソケット端子がある。また、支持部を有する本体部と、支持部と接続され、かつ、被検査デバイスの配置側に突き出た先端部を含む板状部位と、を備え、被検査デバイスを先端部に押し付けた際に板状部位が撓むことにより、被検査デバイスと先端部の接触を確保する、いわゆる板バネ構造のソケット端子がある。
【0119】
このとき、ソケット端子に大電流を流すことを考慮すると、被検査デバイスに形成されているリードとの接触面積を確保しやすく、かつ、省スペース化も図ることができる板バネ構造のソケット端子の方が、ポゴピンよりも有効であると考えられる。このことから、大電流を流すテスト工程では、板バネ構造のソケット端子が比較的使用されることが多い。
【0120】
図25は、テスト工程の模式的な実施態様を示す断面図である。
図25に示すように、被検査デバイスTD1のテスト工程においては、被検査デバイスTD1に形成されているリードLDにソケット端子STEを接触させて、ソケット端子STEからリードLDへ電流を流す。これにより、被検査デバイスTD1のテストが実施される。
【0121】
ここで、
図25に示すテストにおいて、板バネ構造のソケット端子STEが使用されている。このソケット端子STEは、例えば、
図25に示すように、支持部SPTを有する本体部BYと、支持部SPTと接続される板状部位BUを備える。そして、板状部位BUには、被検査デバイスTD1の配置側である上側に突き出た先端部PUを有しており、この先端部PUがリードLDと接触するように構成されている。
【0122】
一方、被検査デバイスTD1には、樹脂MRから露出するリードLDが形成されており、このリードLDの表面に半田膜SFが形成されている。このようにリードLDの表面に半田膜SFを形成する理由は、以下の通りである。すなわち、例えば、良品である被検査デバイスTD1からなる半導体装置を実装基板に実装する際、実装基板の電極と、半導体装置のリードLDとを半田材を介して接続することになるが、このときの半田材の濡れ性を向上するため、リードLDの表面に予め半田膜SFを形成しているのである。
【0123】
したがって、被検査デバイスTD1のテスト工程において、ソケット端子STEは、リードLDの表面に形成された半田膜SFと直接接触することになる。
【0124】
このように板バネ構造のソケット端子STEを使用してテスト工程を実施すると、特に、大電流を流すリードの外観不良や、大電流を流す外部端子と接触するソケット端子STEの短寿命化が顕在化する。このメカニズムについて説明する。
【0125】
図26は、リードの外観不良や、ソケット端子の短寿命化が引き起こされるメカニズムを説明するフローチャートである。まず、
図26に示すように、リードとソケット端子との間に大電流を流すと、リードとソケット端子との間の接触部の温度が上昇する(S301)。そして、接触部の温度が上昇すると、リードに形成された半田膜が軟化し(S302)、ソケット端子へ半田材が付着する(S303)。その後、ソケット端子に付着した半田材は酸化する(S304)。この結果、リードとソケット端子との間の接触抵抗が増大する(S305)。このとき、複数のソケット端子においては、半田材の付着量が異なり、かつ、半田の酸化状態にもばらつきが存在する。このため、リードとソケット端子との間の接触抵抗には、ばらつきが生じる。この結果、接触抵抗の低いソケット端子に優先的に電流が流れる。すなわち、1ピン当たりに流れる電流値が増大し(S306)、これによって、さらに、リードとソケット端子との間の接触部の温度が上昇する(S307)。
【0126】
このような過程が繰り返されることにより、リードに形成されている半田膜が溶融し、溶融した半田材が、リードと接触しているソケット端子によって排斥される。特に、板バネ構造のソケット端子を採用する場合には、リードとの接触面積が大きいために、溶融した半田材の排斥量も多くなる。この結果、例えば、
図27に示すように、リードLD1から半田材がはみ出し、いわゆる半田ひげSWが生じ、リードLD1の外観不良が引き起こされることになる。さらに、半導体装置の小型化に伴って、例えば、
図27に示すリードLD1とリードLD2の間の距離が小さくなると、半田ひげSWを介してリードLD1とリードLD2が短絡する可能性も大きくなる。
【0127】
一方、ソケット端子においては、半田材が付着し、付着した半田材が酸化することにより、ソケット端子の表面は絶縁膜で被覆される状態に近くなる。そして、この状態で、ソケット端子に流れる電流が増加すると、絶縁膜が絶縁破壊を起こして、スパークが発生すると考えられる。このようなスパークの発生によって、ソケット端子の先端部が消失すると推測され、これによって、ソケット端子の寿命が短くなってしまうと考えられる。
【0128】
以上のようなメカニズムによって、大電流を流すテスト工程においては、被検査デバイスの外観不良や、ソケット端子の短寿命化が顕在化しやすくなることがわかる。このことから、大電流を流すテスト工程においては、さらなる改善の余地が存在する。そこで、本実施の形態では、上述した改善の余地に対する工夫を施している。以下に、この工夫を施した本実施の形態における技術的思想について説明することにする。
【0129】
<実施の形態におけるテスト工程>
図28は、本実施の形態におけるテスト工程で使用されるテストソケットTSの構成を示す平面図である。
図28に示すように、本実施の形態におけるテストソケットTSは、矩形形状をしており、中央部に被検査デバイスTD1を配置する収納部RUを有している。
図28に示すテストソケットTSでは、この収納部RUに被検査デバイスTD1が配置されている状態が示されている。そして、本実施の形態におけるテストソケットTSには、被検査デバイスTD1が配置されている収納部RUを囲むように、複数のソケット端子STE1、および、複数のソケット端子STEが配置されている。
【0130】
ここで、
図28において、斜線を付しているソケット端子STE1が本実施の形態に特有のソケット端子であり、斜線を付していないソケット端子STEが、例えば、
図25に示す通常のソケット端子である。つまり、本実施の形態におけるテストソケットTSには、互いに構造の異なるソケット端子STE1およびソケット端子STEが設けられている。なお、本実施の形態に特有のソケット端子STE1の構造は、後述する。
【0131】
テストソケットTSの収納部RUに配置されている被検査デバイスTD1には、複数のリードが設けられており、
図28において、これらの複数のリードには、リードVSWH、リードPGND、リードVINが含まれている。そして、リードVSWHおよびリードPGNDに対応するソケット端子は、ソケット端子STE1から構成されている。一方、リードVINを含むその他の外部端子に対応するソケット端子は、ソケット端子STEから構成されている。すなわち、本実施の形態では、少なくとも、大電流を流すリードPGNDあるいはリードVSWHと接触するソケット端子には、本実施の形態に特有のソケット端子SET1を適用する。
【0132】
なお、被検査デバイスTD1に形成されているリードは、半導体装置PK1の下面から露出しているが、
図28では、わかりやすくするため、実線で描いている。
【0133】
また、被検査デバイスTD1の下面には、チップ搭載部TAB(L)、チップ搭載部TAB(H)、および、チップ搭載部TAB(C)が露出している。そして、チップ搭載部TAB(L)には、ポゴピンPG1が接触し、チップ搭載部TAB(H)には、ポゴピンPG2が接触している。同様に、チップ搭載部TAB(C)には、ポゴピンPG3が接触している。
【0134】
次に、
図29は、テストソケットTSに被検査デバイスTD1を配置した状態を示す断面図である。
図29に示すように、例えば、ハンドラHDを使用して、被検査デバイスTD1は、テストソケットTSに配置される。このとき、
図29において、被検査デバイスTD1の下面からは、リードPGNDが露出しており、このリードPGNDは、ソケット端子STE1と接触するようになっている。同様に、被検査デバイスTD1の下面からは、リードVINも露出しており、このリードVINは、ソケット端子STEと接触するようになっている。
【0135】
また、被検査デバイスTD1の下面からは、チップ搭載部TAB(L)およびチップ搭載部TAB(H)も露出しており、チップ搭載部TAB(L)には、ポゴピンPG1が接触し、チップ搭載部TAB(H)には、ポゴピンPG2が接触している。すなわち、
図29に示すように、ローサイドMOSチップCHP(L)は、チップ搭載部TAB(L)上に配置され、このチップ搭載部TAB(L)の裏面は、樹脂MRからなる封止体から露出している。そして、露出しているチップ搭載部TAB(L)の裏面に、ソケット端子とは別のテスト端子であるポゴピンPG1が接触している。同様に、ハイサイドMOSチップCHP(H)は、チップ搭載部TAB(H)上に配置され、このチップ搭載部TAB(H)の裏面は、樹脂MRからなる封止体から露出している。そして、露出しているチップ搭載部TAB(H)の裏面に、ソケット端子とは別のテスト端子であるポゴピンPG2が接触している。
【0136】
ここで、リードPGNDと接触しているソケット端子STE1は、本実施の形態に特有のソケット端子であり、以下に、その構造について説明する。
【0137】
図30は、本実施の形態におけるソケット端子STE1の構成を示す断面図である。
図30において、本実施の形態におけるソケット端子STE1は、支持部SPTを有する本体部BYを有し、この支持部SPTと接続するように板状部位BUが設けられている。そして、この板状部位BUには、上方に突き出た先端部PUが形成されており、この先端部PUには、突起部PJ1および突起部PJ2が一体的に設けられている。
【0138】
特に、ソケット端子STE1において、板状部位BUは、本体部BYの表面に平行な方向である水平方向に延在しており、このように構成されている板状部位BUを備えるソケット端子STE1は、いわゆる板バネ構造をしている。この点で、ソケット端子STE1は、
図29に示すポゴピンPG1、PG2と相違する構造をしていると言える。つまり、
図29に示すポゴピンPG1、PG2は、先端部が垂直方向に摺動する構成をとっており、板バネ構造のように、本体部BYの表面に平行な水平方向に延在する板状部位BUを備えていない点で、板バネ構造を前提とする本実施の形態のソケット端子STE1と、
図29に示すポゴピンPG1、PG2とは相違することになる。
【0139】
ここで、本実施の形態における第1特徴点は、ソケット端子STE1の先端部PUに、突起部PJ1および突起部PJ2が設けられている点にある。これにより、例えば、大電流を流すリードPGNDとソケット端子STE1との接触を、突起部PJ1による接触と、突起部PJ2による接触との2点で行なうことができる。この結果、ソケット端子STE1からリードPGNDへ流れる電流は、突起部PJ1を流れる経路と、突起部PJ2を流れる経路に分散して流れることになる。したがって、ソケット端子STE1とリードPGNDとの間に大電流を流す場合であっても、ソケット端子STE1とリードPGNDとの間の接触部の温度上昇を抑制することができる。これにより、本実施の形態によれば、
図26のフローチャートで示したメカニズムが生じにくくなり、これによって、被検査デバイスの外観不良の発生やソケット端子STE1の短寿命化を抑制することができる。
【0140】
なお、本実施の形態では、2つの突起部PJ1および突起部PJ2を先端部PUに設ける例について説明しているが、これに限らず、例えば、先端部PUに3つ以上の突起部を設けるように構成してもよい。この場合、さらに、電流分散効果を高めることができ、これによって、接触部の温度上昇を効果的に抑制することができる。
【0141】
続いて、本実施の形態における第2特徴点は、例えば、
図30に示すように、突起部PJ1の高さが、突起部PJ2の高さよりも高くなっている点にある。つまり、支持部SPTから離れた側の突起部PJ1の高さが、支持部SPTに近い側の突起部PJ2の高さよりも高くなっている。言い換えれば、支持部SPTに近い側の突起部PJ2の高さが、支持部SPTから離れた側の突起部PJ1の高さよりも低くなっているということもできる。これにより、後述するように、ソケット端子STE1にリードPGNDを押し付けることにより、ソケット端子STE1の板状部位BUが撓んだ際、先端部PUに設けられた突起部PJ1と突起部PJ2が同じ高さになる。この結果、本実施の形態によれば、リードPGNDとソケット端子STE1との接触を突起部PJ1と突起部PJ2の両方で確実に行なうことができる。これにより、突起部PJ1と突起部PJ2による2点接触の確実性を向上させることができ、接触抵抗の安定性を向上させることができる。
【0142】
さらに、本実施の形態における第3特徴点について説明する。
図31(A)は、
図30の領域ARを拡大して示す図であり、
図31(B)は、
図31(A)を上面から見た図である。
図31(A)および
図31(B)に示すように、本実施の形態における第3特徴点は、突起部PJ1および突起部PJ2の表面形状が凹凸形状をしている点にある。すなわち、突起部PJ1および突起部PJ2の表面に微細突起MPJが複数形成されている。言い換えれば、突起部PJ1および突起部PJ2の表面は、粗面化処理が施されているということもできる。これにより、本実施の形態によれば、多数の接触点を確保することができるため、さらに接触抵抗を低く安定化させることができる。また、多点接触による電流分散効果や、接触面積が大きくなることによるジュール熱の低減効果を得ることができる。
【0143】
なお、本実施の形態におけるソケット端子STE1は上記のように構成されており、例えば、このソケット端子STE1は、ワイヤカット放電加工やエッチング技術を使用することにより形成することができる。
【0144】
ここで、ローサイドMOSチップのテスト工程で使用されるリードPGNDと接続するソケット端子STE1を第1ソケット端子と呼び、リードVSWHと接続するソケット端子STE1を第2ソケット端子と呼ぶ。この場合、第1ソケット端子は、入力端子として機能し、第2ソケット端子は、出力端子として機能する。
【0145】
ここで、第1ソケット端子および第2ソケット端子は、
図30に示すように、支持部SPTを有する本体部BYと、支持部SPTと接続され、かつ、被検査デバイスの配置側に突き出た先端部PUを含む板状部位BUと、先端部PUに一体的に設けられた突起部PJ1および突起部PJ2と、を有することになる。
【0146】
また、ハイサイドMOSチップのテスト工程で使用されるリードVSWHと接続するソケット端子STE1を第3ソケット端子と呼び、リードVINと接続するソケット端子STEを第4ソケット端子と呼ぶ。この場合、第3ソケット端子は、入力端子として機能し、第4ソケット端子は、出力端子として機能する。
【0147】
ここで、第3ソケット端子は、
図30に示すように、支持部SPTを有する本体部BYと、支持部SPTと接続され、かつ、被検査デバイスの配置側に突き出た先端部PUを含む板状部位BUと、先端部PUに一体的に設けられた突起部PJ1および突起部PJ2と、を有することになる。一方、第4ソケット端子は、
図25に示すように、支持部SPTを有する本体部BYと、支持部SPTと接続され、かつ、被検査デバイスTD1の配置側に突き出た先端部PUを含む板状部位BUと、を有し、先端部PUには、突起部が形成されていないことになる。
【0148】
このとき、第2ソケット端子と第3ソケット端子は、同じリードVSWH(外部端子)と接続されることから、第3ソケット端子は、第2ソケット端子と同一であるということができる。また、ローサイドMOSチップのテスト工程において電流を流出するために使用されるリードVSWH(外部端子)は、ハイサイドMOSチップのテスト工程では、電流を流入(供給)するために使用される。言い換えると、ハイサイドMOSチップのテスト工程において電流を流入(供給)するために使用されるリードVSWH(外部端子)は、ローサイドMOSチップのテスト工程では、電流を流出するために使用される。
【0149】
さらに、
図25に示すソケット端子STEは、ローサイドMOSチップやハイサイドMOSチップよりも平面サイズの小さなドライバICチップと接続されるリードと接触する。このソケット端子STEを第5ソケット端子と呼ぶことにすると、第5ソケット端子は、
図25に示すように、支持部SPTを有する本体部BYと、支持部SPTと接続され、かつ、被検査デバイスTD1の配置側に突き出た先端部PUを含む板状部位BUと、を有し、先端部PUには、突起部が形成されていないことになる。
【0150】
これにより、ハイサイドMOSチップのテスト工程や、ローサイドMOSチップのテスト工程とは、別に、ドライバICチップのテスト工程も実施することができる。つまり、本実施の形態では、主に、ハイサイドMOSチップのテスト工程と、ローサイドMOSチップのテスト工程について説明しているが、さらに、本実施の形態では、ドライバICチップのテスト工程を含ませることができる。
【0151】
次に、
図32は、リードとソケット端子との接続態様を拡大して示す図である。
図32では、ハイサイドMOSチップのテスト工程で使用されるリードVSWHとリードVINのそれぞれについてのソケット端子との接続態様を示している。
【0152】
図32に示すように、樹脂MRから露出しているリードVSWHには、本実施の形態に特有のソケット端子STE1が接触しており、特に、突起部PJ2よりも高さの高い突起部PJ1と、リードVSWHの表面に形成されている半田膜SFが接触していることがわかる。一方、樹脂MRから露出しているリードVINには、例えば、
図25に示すソケット端子STEが接触している。
【0153】
これに対し、
図33では、ローサイドMOSチップのテスト工程で使用されるリードVSWHとリードPGNDのそれぞれについてのソケット端子との接続態様を示している。
【0154】
図33に示すように、樹脂MRから露出しているリードVSWHには、本実施の形態に特有のソケット端子STE1が接触しており、特に、突起部PJ2よりも高さの高い突起部PJ1と、リードVSWHの表面に形成されている半田膜SFが接触していることがわかる。同様に、樹脂MRから露出しているリードPGNDにも、本実施の形態に特有のソケット端子STE1が接触しており、特に、突起部PJ2よりも高さの高い突起部PJ1と、リードVSWHの表面に形成されている半田膜SFが接触していることがわかる。
【0155】
続いて、
図34は、被検査デバイスTD1を押圧した状態を示す断面図である。
図34に示すように、本実施の形態におけるテスト工程では、例えば、被検査デバイスTD1をテストソケットTS内に配置した後、ハンドラHDを使用することにより、被検査デバイスTD1に垂直荷重を加えて、押圧する。これにより、ソケット端子STE1が撓み、リードPGNDとソケット端子STE1が確実に接触することになる。同様に、ソケット端子STEが撓み、リードVINとソケット端子STEが確実に接触することになる。
【0156】
なお、本実施の形態では、ハンドラHDを使用することにより、被検査デバイスTD1の押圧を行なっているが、例えば、テストソケットTSが蓋を備えている場合には、この蓋を使用して、被検査デバイスTD1の押圧をしてもよい。
【0157】
図35は、押圧時におけるリードとソケット端子との接続態様を拡大して示す図である。
図35では、ハイサイドMOSチップのテスト工程で使用されるリードVSWHとリードVINのそれぞれについてのソケット端子との接続態様を示している。
【0158】
図35に示すように、樹脂MRから露出しているリードVSWHには、本実施の形態に特有のソケット端子STE1が接触しており、特に、押圧時の垂直荷重により、ソケット端子STE1が撓んで、リードVSWHの露出面上をリードVSWHの延在方向に沿って滑走する。この動作を本明細書では、ワイピングと呼ぶことにする。この結果、本実施の形態では、リードVSWHとソケット端子STE1が、突起部PJ1および突起部PJ2によって接触することになる。つまり、押圧後、ソケット端子STE1に形成されている突起部PJ1および突起部PJ2がリードVSWHの表面に形成されている半田膜SFと接触することになる。一方、樹脂MRから露出しているリードVINには、例えば、
図25に示すソケット端子STEが接触している。このソケット端子STEにおいても、押圧時の垂直荷重により、ソケット端子STEが撓んで、ワイピングする。
【0159】
これに対し、
図36では、ローサイドMOSチップのテスト工程に使用されるリードVSWHとリードPGNDのそれぞれについてのソケット端子との接続態様を示している。
【0160】
図36に示すように、樹脂MRから露出しているリードVSWHには、本実施の形態に特有のソケット端子STE1が接触しており、特に、押圧時の垂直荷重により、ソケット端子STE1が撓んで、ワイピングする。この結果、本実施の形態では、リードVSWHとソケット端子STE1が、突起部PJ1および突起部PJ2によって接触することになる。つまり、押圧後、ソケット端子STE1に形成されている突起部PJ1および突起部PJ2がリードVSWHの表面に形成されている半田膜SFと接触することになる。同様に、樹脂MRから露出しているリードPGNDにも、本実施の形態に特有のソケット端子STE1が接触しており、特に、押圧時の垂直荷重により、ソケット端子STE1が撓んで、ワイピングする。この結果、本実施の形態では、リードPGNDとソケット端子STE1が、突起部PJ1および突起部PJ2によって接触することになる。つまり、押圧後、ソケット端子STE1に形成されている突起部PJ1および突起部PJ2がリードPGNDの表面に形成されている半田膜SFと接触することになる。
【0161】
以上のようにして、被検査デバイスTD1をテストソケットTSに固定した後、DC/DCコンバータを構成するハイサイドMOSチップの熱抵抗を評価するテスト工程を実施する。具体的には、例えば、
図17に示すフローチャートに従って、ハイサイドMOSチップの熱抵抗を評価するテスト工程を実施する。
【0162】
図37は、ハイサイドMOSチップの熱抵抗を評価するテスト工程における電流経路を示す図である。
図37において、テストソケットTSに設けられているフォース用端子HS−Fから被検査デバイスTD1のリードVSWHを介してハイサイドMOSチップ(図示せず)に電流を流入させた後、被検査デバイスTD1のリードVINを介してフォース用端子HD−Fから電流を流出するようにして、ハイサイドMOSチップの熱抵抗を評価するテスト工程が実施される。このとき、
図37において、チップ搭載部TAB(H)は、リードVINと電気的に接続されており、このチップ搭載部TAB(H)は、ポゴピンPG2によってテストソケットTSのセンス用端子HD−Sと接続されている。一方、複数のリードVSWHのうち、一部のリードVSWHは電流を流さないリードであり、この電流を流さない一部のリードVSWHは、テストソケットTSのセンス用端子HS−Sと接続されている。そして、センス用端子HD−Sとセンス用端子HS−Sとの間の電圧信号に基づいて、ハイサイドMOSチップの電気的特性が検査される。具体的には、ハイサイドMOSチップに形成されているボディダイオードのVFが測定される。
【0163】
その後、DC/DCコンバータを構成するローサイドMOSチップの熱抵抗を評価するテスト工程を実施する。具体的には、例えば、
図21に示すフローチャートに従って、ローサイドMOSチップの熱抵抗を評価するテスト工程を実施する。
【0164】
図38は、ローサイドMOSチップの熱抵抗を評価するテスト工程における電流経路を示す図である。
図38において、テストソケットTSに設けられているフォース用端子LS−Fから被検査デバイスTD1のリードPGNDを介してローサイドMOSチップ(図示せず)に電流を流入させた後、被検査デバイスTD1のリードVSWHを介してフォース用端子LD−Fから電流を流出するようにして、ローサイドMOSチップの熱抵抗を評価するテスト工程が実施される。このとき、
図38において、チップ搭載部TAB(L)は、リードVSWHと電気的に接続されており、このチップ搭載部TAB(L)は、ポゴピンPG1によってテストソケットTSのセンス用端子LD−Sと接続されている。一方、複数のリードPGNDのうち、一部のリードPGNDは電流を流さないリードであり、この電流を流さない一部のリードPGNDは、テストソケットTSのセンス用端子LS−Sと接続されている。そして、センス用端子LD−Sとセンス用端子LS−Sとの間の電圧信号に基づいて、ローサイドMOSチップの電気的特性が検査される。具体的には、ローサイドMOSチップに形成されているボディダイオードのVFが測定される。
【0165】
以上のようにして、本実施の形態におけるテスト工程が実施され、良好な放熱特性を有している良品の被検査デバイスと、放熱特性が基準を満たしていない不良品の被検査デバイスとを選別することが可能となる。そして、本実施の形態におけるテスト工程をパスした良品の被検査デバイスが製品(半導体装置PK1)として出荷される。このようにして、本実施の形態における半導体装置を製造することができる。
【0166】
<実施の形態における代表的な効果>
本実施の形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
【0167】
(1)本実施の形態によれば、例えば、
図39に示すように、ソケット端子STE1の先端部PUに、突起部PJ1および突起部PJ2を設けている。これにより、例えば、大電流を流すリードLDとソケット端子STE1との接触を、突起部PJ1による接触と、突起部PJ2による接触との2点で行なうことができる。この結果、ソケット端子STE1からリードLDへ流れる電流は、突起部PJ1を流れる経路と、突起部PJ2を流れる経路に分散して流れることになる。したがって、ソケット端子STE1とリードLDとの間に大電流を流す場合であっても、ソケット端子STE1とリードLDとの間の接触部の温度上昇を抑制することができる。これにより、本実施の形態によれば、
図26のフローチャートで示したメカニズムが生じにくくなり、これによって、半導体装置の外観不良の発生やソケット端子STE1の短寿命化を抑制することができる。
【0168】
例えば、リードとソケット端子の接触面積が大きいほど、接触抵抗およびジュール熱も低く安定すると考えられる。この点に関し、
図25に示す現状のソケット端子STEの場合、リードに平行に全面接触することは困難であり、実際には、局所的な接触状態となると考えられる。この場合、接触面積は小さくなり、ソケット端子の面積優位性は少なくなり、逆に、接触抵抗が高くなって、ジュール熱が大きくなることが考えられる。また、たとえ、全面接触に近い状態となったとしても、接触部に形成される絶縁膜などの影響を受けやすくなり、接触性の悪化が懸念される。これに対し、本実施の形態にように先端部PUに突起部PJ1および突起部PJ2を設ける場合には、接触面積はそれ程増加しないが、2点接触が確保されるため、接触抵抗は比較的低い値に安定する。さらに、2点接触によれば、電流分散効果も得られるため、ジュール熱の発生も抑制することができる。
【0169】
(2)本実施の形態によれば、例えば、
図30に示すように、突起部PJ1の高さが、突起部PJ2の高さよりも高くなっている。これにより、ソケット端子STE1にリードPGNDを押し付けることにより、ソケット端子STE1が撓んだ際に、先端部PUに設けられた突起部PJ1と突起部PJ2が丁度同じ高さになる。この結果、本実施の形態によれば、リードLDとソケット端子STE1との接触を突起部PJ1と突起部PJ2の両方で確実に行なうことができる。これにより、突起部PJ1と突起部PJ2による2点接触の確実性を向上させることができ、接触抵抗の安定性を向上させることができる。
【0170】
(3)また、本実施の形態によれば、例えば、
図31に示すように、突起部PJ1および突起部PJ2の表面が粗面化処理されて、凹凸形状が形成されている。このため、凹凸形状によって、多数の接触点が確保される。この結果、接触抵抗は、さらに低い値に安定する。さらには、多点接触になることによる電流分散効果や接触面積の増大効果も得られることから、ジュール熱のさらなる低減効果を得ることができる。
【0171】
(4)さらに、本実施の形態によれば、多数の小さい凹凸形状により接触するため、平滑な板状接触の場合に比べて、発生する半田屑の粒径は小さくなる。このように、排斥された半田屑の粒径が小さくなると、ソケット端子STE1に付着せずに落下することも多くなると考えられ、これによって、繰り返し接触によるソケット端子STE1への半田材の堆積も抑制されるため、ソケット端子STE1の短寿命化を改善することができる。
【0172】
(5)また、先端部PUに突起部PJ1および突起部PJ2を設けるという本実施の形態におけるソケット端子STE1の構造は、複雑な構造ではなく簡素な構成であり、かつ、ソケットサイズ等の省スペース化の観点からも優れている。
【0173】
例えば、本実施の形態では、ソケット端子STE1の先端部PUに突起部PJ1および突起部PJ2を設けているが、同等の効果を得られる構成として、単一の突起部を有する2本のソケット端子を1つのリードに接触させる構成が考えられる。しかし、この構成の場合、1つのリードに対して2本のソケット端子が必要となることから、省スペース化を図ることが難しくなるとともに、ソケット端子の抵抗値を下げるために、それぞれのソケット端子の厚さを厚くする構成が採用しにくくなる。これに対し、本実施の形態におけるソケット端子STE1では、1本のソケット端子STE1に2つの突起部PJ1および突起部PJ2が設けられているため、省スペース化も図りやすくなるとともに、ソケット端子STE1の抵抗値を下げるために、ソケット端子STE1(特に、板状部位BUおよび先端部PU)の厚さも容易に調整することができる。したがって、この観点からも、本実施の形態におけるソケット端子STE1は、優位性を有していると言える。
【0174】
(6)さらに、本実施の形態におけるソケット端子STE1によれば、既存のテストソケットからの置き換えも、テストボードや固定治具などのチェンジキットの再製作も必要なく、ソケット端子の交換だけで可能である。このことから、コスト面でも優位性がある。そして、本実施の形態におけるソケット端子STE1によれば、長寿命化も図ることができるため、コスト削減の効果も得ることができる。また、ソケット端子STE1の単価も、例えば、ケルビンタイプのように、1つのリードに対して2本のソケット端子を準備する必要がなく、1つのリードに対して1本のソケット端子STE1で対応が可能のため、この観点からも、コスト面で優位性がある。
【0175】
(7)本実施の形態におけるソケット端子STE1は、特に、2A以上という大電流を流す製品のテスト工程に採用することが効果的であるが、多点接触による接触抵抗の安定効果を得ることができるため、上述した2A以上の大電流を流す製品のテスト工程に限らず、幅広く被検査デバイスのテスト工程に適用することもできる。
【0176】
<実施の形態におけるテスト工程による痕跡>
最後に、被検査デバイスに本実施の形態におけるテスト工程を実施した場合、半導体装置に残る痕跡について説明する。
図40は、本実施の形態におけるテスト工程を実施した後の半導体装置PK1の裏面を示す図である。
図40において、例えば、リードLDの一部(斜線を付したリードLD)に本実施の形態におけるテスト工程を実施したことによる痕跡が残る。以下に、この点について説明する。
【0177】
図41は、樹脂MRから露出するリードLD1およびリードLD2の表面状態を示す図である。
図41に示すように、リードLD1およびリードLD2のそれぞれには、痕跡TRC1Aおよび痕跡TRC1Bが形成されていることがわかる。
【0178】
ここで、
図41に示す痕跡TRC1Aは、
図30に示すソケット端子STE1の先端部PUに設けられた突起部PJ1のワイピングによる痕跡である。一方、
図41に示す痕跡TRC2Aは、
図30に示すソケット端子STE1の先端部PUに設けられた突起部PJ2のワイピングによる痕跡である。なお、
図41は、突起部PJ1および突起部PJ2の表面に対して粗面化処理を施していない条件での痕跡である。
【0179】
図41に示すように、突起部PJ1のワイピングによる痕跡TRC1Aの長さL1は、突起部PJ2のワイピングによる痕跡TRC2Aの長さL2よりも長くなっていることがわかる。これは、突起部PJ1の高さが、突起部PJ2の高さよりも高く、突起部PJ1は、被検査デバイスをテストソケットに配置した段階からリードと接触しているため、ワイピングの長さが長くなるからである。一方、突起部PJ2は、被検査デバイスをテストソケットに配置した段階では、リードと接触しておらず(
図32や
図33参照)、半導体装置に垂直荷重を印加した段階で、ソケット端子が撓んだ状態で初めてリードと接触する(
図35や
図36参照)。このため、高さの低い突起部PJ2のワイピングの長さは、上述した突起部PJ1のワイピングの長さよりも短くなる。この結果、突起部PJ1のワイピングによる痕跡TRC1Aの長さL1は、突起部PJ2のワイピングによる痕跡TRC2Aの長さL2よりも長くなる。言い換えれば、突起部PJ2のワイピングによる痕跡TRC2Aの長さL2は、突起部PJ1のワイピングによる痕跡TRC1Aの長さL1よりも短くなる。
【0180】
図42は、樹脂MRから露出するリードLD1およびリードLD2の表面状態を示す図である。
図42に示すように、リードLD1およびリードLD2のそれぞれには、痕跡TRC1Bおよび痕跡TRC2Bが形成されていることがわかる。
【0181】
ここで、
図42に示す痕跡TRC1Bは、
図30に示すソケット端子STE1の先端部PUに設けられた突起部PJ1のワイピングによる痕跡である。一方、
図42に示す痕跡TRC2Bは、
図30に示すソケット端子STE1の先端部PUに設けられた突起部PJ2のワイピングによる痕跡である。なお、
図42は、突起部PJ1および突起部PJ2の表面に対して粗面化処理を実施して、凹凸形状が形成されている条件での痕跡である。
【0182】
図42に示すように、突起部PJ1および突起部PJ2の表面に形成された凹凸形状を反映して、
図41の場合と異なり、並行する複数のライン形状の痕跡が形成されることがわかる。なお、
図42の場合も
図41の場合と同様に、突起部PJ1のワイピングによる痕跡TRC1Bの長さL1は、突起部PJ2のワイピングによる痕跡TRC2Bの長さL2よりも長くなっていることがわかる。
【0183】
以上のことから、例えば、製品として出荷された半導体装置において、少なくとも、リードの表面の一部に
図41や
図42に示す痕跡が確認された場合には、本実施の形態におけるテスト工程を実施したことの確証となる。すなわち、少なくとも、長さの異なる痕跡がリードの長辺方向に沿って並んで形成されている場合には、本実施の形態におけるテスト工程が実施されたものと考えることができる。
【0184】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0185】
(変形例1)
例えば、前記実施の形態では、ハイサイドMOSチップ、ローサイドMOSチップ、および、ドライバICチップが搭載された半導体装置を例に挙げて説明したが、これに限らず、ローサイドMOSチップが搭載されている半導体装置であれば、他の半導体チップが搭載されていなくてもよい。例えば、
図43に示すように、ハイサイドMOSチップとローサイドMOSチップだけが搭載された半導体装置や、
図44に示すように、ローサイドMOSチップだけが搭載された半導体装置にも、前記実施の形態における技術的思想を適用することができる。
【0186】
また、例えば、半導体装置が2A以上の大電流を流す製品である場合には、ローサイドMOSチップを搭載する半導体装置に限定されることなく、前記実施の形態における技術的思想を適用することができる。
【0187】
さらに、半導体装置のパッケージ構造としては、QFN(Quad Flat Non-leaded package)に限らず、QFP(Quad Flat Package)、SON(Small Outline Non-leaded package)、SOP(Small Outline Package)であってもよい。
【0188】
(変形例2)
前記実施の形態では、例えば、
図28に示すように、リードPGNDやリードVSWHと接触するソケット端子に前記実施の形態における技術的思想を適用する例について説明したが、リードVINやその他のリード(例えば、ドライバICチップと接続されるリード)と接触するソケット端子にも前記実施の形態におけるソケット端子を適用することもできる。
【0189】
(変形例3)
前記実施の形態におけるソケット端子では、複数の突起部のそれぞれに粗面化処理を施して凹凸形状を形成する例について説明したが、少なくとも、複数の突起部が設けられていれば、突起部の表面に粗面化処理を施さなくてもよい。
【0190】
(変形例4)
前記実施の形態では、例えば、
図5に示すように、ローサイドMOSチップCHP(L)とリードLDとの電気的な接続に、ローサイドMOSクリップCLP(L)を使用し、ハイサイドMOSチップCHP(H)とチップ搭載部TAB(L)との電気的な接続に、ハイサイドMOSクリップCLP(H)を使用している。しかし、これに限らず、ローサイドMOSクリップCLP(L)やハイサイドMOSクリップCLP(H)に代えて、ワイヤを使用してもよい。ただし、オン抵抗を低減する観点からは、ワイヤよりも、ローサイドMOSクリップCLP(L)やハイサイドMOSクリップCLP(H)を使用することが望ましい。
【0191】
(変形例5)
前記実施の形態では、チップ搭載部TAB(L)と、このチップ搭載部TAB(L)上に搭載されるローサイドMOSチップCHP(L)との接続や、ローサイドMOSチップCHP(L)とローサイドMOSクリップCLP(L)との接続に、半田を使用している。同様に、チップ搭載部TAB(H)と、このチップ搭載部TAB(H)上に搭載されるハイサイドMOSチップCHP(H)との接続や、ハイサイドMOSチップCHP(H)とハイサイドMOSクリップCLP(H)との接続に、半田が使用されている。しかし、これに限らず、半田に代えて、銀ペーストを使用してもよい。ただし、オン抵抗を低減する観点からは、銀ペーストよりも、半田を使用することが望ましい。
【0192】
(変形例6)
前記実施の形態では、例えば、複数のリードPGNDや複数のリードVSWHが存在し、これらのリードのそれぞれにソケット端子STE1を接触させて被検査デバイスTD1のテスト工程を実施する例について説明した。ただし、前記実施の形態における技術的思想は、これに限らず、例えば、単数のリードPGNDや単数のリードVSWHだけが存在する被検査デバイスにおいても、前記実施の形態におけるソケット端子を接触させて、テスト工程を実施することができる。
【0193】
(変形例7)
前記実施の形態では、ローサイドMOSチップのテスト工程と、ハイサイドMOSチップのテスト工程とを、共通する1つのテストソケットで実施する例について説明したが、例えば、ローサイドMOSチップのテスト工程で使用するテストソケットと、ハイサイドMOSチップのテスト工程で使用するテストソケットとを別々に準備してもよい。この場合、ローサイドMOSチップのテスト工程で使用する第1ソケット端子と第2ソケット端子、および、ハイサイドMOSチップのテスト工程で使用する第3ソケット端子と第4ソケット端子は、すべて別の構成要素となる。
【0194】
(変形例8)
前記実施の形態では、ローサイドMOSチップのテスト工程と、ハイサイドMOSチップのテスト工程とを、共通する1つのテストソケットで実施する例について説明した。このとき、前記実施の形態では、被検査デバイスの外部端子であるリードVSWHは、ローサイドMOSチップのテスト工程と、ハイサイドMOSチップのテスト工程の両方で共通して使用されていた。つまり、リードVSWHは、ローサイドMOSチップのテスト工程では、電流の出力端子として使用され、ハイサイドMOSチップのテスト工程では、電流の入力端子として使用されていた。
【0195】
ただし、前記実施の形態における技術的思想は、例えば、ローサイドMOSチップのテスト工程と、ハイサイドMOSチップのテスト工程とを、共通する1つのテストソケットで実施する別の態様に適用することができる。具体的には、複数のリードVSWHのうち、ローサイドMOSチップのテスト用のリードVSWH(便宜上、VSWH1という)と、ハイサイドMOSチップのテスト用のリードVSWH(便宜上、VSWH2という)とを別々のリードから構成する場合にも適用することができる。この場合、ローサイドMOSチップのテスト用のリードVSWH1に接触させるソケット端子が第2ソケット端子となり、ハイサイドMOSチップのテスト用のリードVSWH2に接触させるソケット端子が第3ソケット端子となる。そして、第2ソケット端子と第3ソケット端子は、別々の構成要素となる。
【0196】
(変形例9)
さらに、前記実施の形態で説明した技術的思想の要旨を逸脱しない範囲において、変形例同士を組み合わせることもできる。