(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234442
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】通信ネットワークにおけるPDCCH検出エラーを除去するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
H04L 1/00 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
H04L1/00 B
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-512152(P2015-512152)
(86)(22)【出願日】2013年5月2日
(65)【公表番号】特表2015-522989(P2015-522989A)
(43)【公表日】2015年8月6日
(86)【国際出願番号】IB2013053457
(87)【国際公開番号】WO2013171609
(87)【国際公開日】20131121
【審査請求日】2016年4月1日
(31)【優先権主張番号】13/472,389
(32)【優先日】2012年5月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100128587
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 一騎
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ジュン−フ
【審査官】
谷岡 佳彦
(56)【参考文献】
【文献】
特表2012−500547(JP,A)
【文献】
特表2005−518140(JP,A)
【文献】
特表2011−519205(JP,A)
【文献】
Texas Instruments,Repetition in the first rate-matching[online], 3GPP TSG-RAN WG1♯23 R1-02-0138,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_23/Docs/Zips/R1-02-0138.zip>,2002年 1月,p.1
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LTE(Long Term Evolution)通信システムにおけるPDCCH(Physical Downlink Control Channel)の曖昧性の無い符号化の方法であって、
前記PDCCHのペイロードを符号化して、リモート通信デバイスへの無線チャネル上での送信のための複数の符号化ビットを含む符号化ビットシーケンスを生成するステップと、
前記PDCCHに割り当てられた制御チャネルエレメントの連続するサブセットにおいて前記符号化ビットシーケンスが反復しないように、循環バッファについて、前記符号化ビットシーケンス内の符号化ビット数に等しくないサイズを選択するステップと、
前記循環バッファの前記サイズに依存して、前記循環バッファにおいて可変的な数の符号化ビットを収集するステップと、
を含み、
前記循環バッファのサイズを選択することは、前記符号化ビットシーケンス内のビット数よりも大きいサイズを選択すること、を含み、前記循環バッファにおいて可変的な数の符号化ビットを収集することは、エンコーダの開始ステート又は終了ステートからの1つ以上のステートビットを追加することにより、前記符号化ビットシーケンスに1つ以上の割増ビットを追加すること、を含む、
方法。
【請求項2】
LTE(Long Term Evolution)通信システムにおいて曖昧性無く符号化されたPDCCH(Physical Downlink Control Channel)チャネルを送信するためのノードであって、
PDCCHのペイロードをチャネルコードで符号化して、リモート通信デバイスへの無線チャネル上での送信のための複数の符号化ビットを含む符号化ビットシーケンスを生成するように構成されるエンコーダと、
循環バッファを含み、前記符号化ビットを収集するように構成されるビット収集回路と、
を備え、
前記ビット収集回路は、
前記PDCCHに割り当てられた制御チャネルエレメントの連続するサブセットにおいて前記符号化ビットシーケンスが反復しないように、前記符号化ビットシーケンス内の符号化ビット数に等しくない循環バッファのサイズを選択し、
前記循環バッファの選択される前記サイズに依存して、前記循環バッファにおいて可変的な数のビットを収集する、
ように構成され、
前記ビット収集回路は、前記符号化ビットシーケンス内の符号化ビット数よりも大きいバッファ長を選択し、前記循環バッファにおいて収集されるビット数を変化させるために、前記エンコーダの開始ステート又は終了ステートからの1つ以上のステートビットを追加することにより、前記符号化ビットシーケンスに1つ以上の割増ビットを追加する、ように構成される、
ノード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本一部継続出願は、2009年6月25日に提出された米国特許出願第12/491,581号及び2008年8月21日に提出された米国仮出願第61/090,753号の利益を主張し、それらは参照によりここに取り入れられる。
【0002】
[技術分野]
本発明は、通信ネットワークに関する。より具体的には、限定ではないものの、本発明はLTE(Long Term Evolution)通信システムにおけるPDCCH(Physical Downlink Control Channel)の検出エラーを除去するためのシステム及び方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
図1は、LTEネットワーク100の簡易ブロック図を示している。LTEネットワーク100は、コアネットワーク102及び無線アクセスネットワーク(RAN)104を含む。RAN104は、一般に拡張ノードB(eNodeB)108と呼ばれる複数のアクセスノードを含み、eNodeB108は、LTEネットワーク100のそれぞれのセル内でユーザ機器(UE)110へサービスを提供する。eNodeB108は、エアインタフェース上でUE110と通信し、コアネットワーク102への接続を提供する。本発明はLTEネットワークの文脈において説明されるものの、当業者は、本発明が非限定的にWCDMA(Wideband Code Division Multiple Access)ネットワークを含む通信標準群に基づく他の通信ネットワークにおいて使用され得ることを理解するであろう。
【0004】
LTEシステムにおいて、PDCCHは、複数のUEの間で共有される無線リソース上で送信される。UEは、UE固有のサーチスペースについては4つのアグリゲーションレベル、具体的には1、2、4及び8を、共通サーチスーペースについては2つのアグリゲーションレベル、具体的には4及び8をモニタリングしなければならないように仕様化されている。
【0005】
3GPP(Third Generation Partnership Project)技術仕様(TS)36.213(バージョン8)セクション9.1は、物理ダウンリンク制御チャネルの割り当てを判定するためのUEの手続を説明している。特に、セクション9.1.1(PDCCH assignment procedures)は、アグリゲーションレベルL∈{1,2,4,8}でのサーチスペースS
k(L)について議論しており、それは次式により与えられる制御チャネルエレメント(CCE)の連続的なセットにより定義される。
【0006】
【数1】
【0007】
ここで、N
CCE,kはサブフレームkの制御領域内のCCEの総数であり、Z
k(L)はサーチスペースの開始を定義し、i=0,1,…,M
(L)・L−1であり、M
(L)は所与のサーチスペース内でモニタリングすべきPDCCHの数である。各CCEは、36個のQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)変調シンボルを収容する。M
(L)の値は表1により仕様化され、3GPP TS36.213において開示されており、次の通りである。
【0008】
【表1】
【0009】
この定義では、異なるアグリゲーションレベルについてのサーチスペースがシステム帯域幅に関わらず互いに重複し得る。具体的には、UE固有サーチスペース及び共通サーチスペースが重複し得る。加えて、異なるアグリゲーションレベルについてのサーチスペースが重複し得る。例えば、以下の表2は、そうした重複の一例を示している。表2は、N
CCE,k=9、L={1,2,4,8}についてそれぞれZ
k(L)={1,6,4,0}の例を示している。
【0010】
【表2】
【0011】
PDCCH送信は、レート1/3のテールバイティング畳み込み符号のために循環バッファベースベースのレートマッチングを採用する。符号化ビットの反復と異なるアグリゲーションレベルの間のサーチスペースの重複とに起因して、複数のアグリゲーションレベルが巡回冗長検査(CRC)のチェックを通過(pass)し得る。
【0012】
加えて、循環バッファベースのレートマッチングに起因して、所与のアグリゲーションサイズ(2、4又は8)について、符号化ビットは最初のCCEの後に自身の反復を開始し得る。
図2A及び
図2Bは、既存の通信システムにおけるCCEの反復の例を示す簡易ブロック図である。
図2A及び
図2Bは、特定のペイロードサイズ(即ち、48ビット)についての例を示している。
図2Aは、2回の反復を伴うアグリゲーションサイズ4を有する複数のCCE200を有するペイロードを例示している。各反復は、循環バッファ内の同じ位置で開始される。
図2Bは、アグリゲーションサイズ8を有する複数のCCE202を伴うペイロードを例示している。8というアグリゲーションサイズでは、循環バッファ内の同じ位置で各反復が開始される4回の反復が存在する。概して、混同するレベルを有するための必要条件は次の通りである:
【0013】
【数2】
【0014】
ここで、Nは曖昧性のあるペイロードサイズであり、m及びkは共に整数である。UEは0.75よりも高い符号レートでPDCCHを復号することを要しないことから、Nは54×(8−m)以下のはずである。例えば、N=48、m=2kである場合、kは1、2又は4という値をとり得る。そうした例において、{1,2,4,8}のいかなる組合せも、(2つ以上の)アグリゲーションレベルの混同を生じさせ得る。LTEのPDCCHペイロードは情報ビットと対応する16ビットCRCとを含むことから、ペイロードサイズは20ビットを下回らない。LTEシステムに適用可能な全ての問題のあるサイズの網羅的なリストは、次の通りである:
【0015】
【数3】
【0016】
符号化ビットの反復と異なるアグリゲーションサイズの間のサーチスペースの重複とに起因して、複数のアグリゲーションサイズがCRCのチェックを通過し得る。PDCCHの最初のCCEはダイナミックスケジューリングのためのアップリンク確認応答/否定応答(ACK/NACK)リソースにリンク付けされることから、UEは、ノードBに知られていない異なるリソースでそのACK/NACKを送信し得る(即ち、複数のACK/NACKリソースに可能性がある)。このようにして、異なるアグリゲーションレベルからの2つ以上のPDCCH復号候補が異なる最小CCEインデックスを有する場合に、対応するPDCCHグラントの、最初のCCEからマッピングされるアップリンク(UL)ACK/NAKリソースの位置における混同が存在し得る。潜在的に間違っているUL ACK/NAKリソース位置は、不必要なUL干渉を生じさせるだけでなく、特に高ジオメトリUEについて、ダウンリンクのスループットにも影響を与える。
【0017】
これら問題を解消するために、多数の解決策がこれまでにあった。1つの解決策では、アグリゲーションサイズを示すために2つのビットが各PDCCHフォーマットに追加される。この単純な解決策は、UEがアグリゲーションサイズの正確さを検証することを可能としたであろう。しかしながら、この解決策は、PDCCH上のオーバヘッドを増加させ、その重要なシステム信号のカバレッジを減少させる。
【0018】
異なるアグリゲーションサイズについての他の既存の解決策では、異なるCRCマスク又はスクランブリングコードが適用される。これは明らかにUEの復号の複雑さを増加させる。加えて、CRCについての追加的なスクランブリングの動作(例えば、多様なUEの識別、送信アンテナ選択マスク、及びアグリゲーションレベル固有のマスクについての提案)は、より高いCRC誤検出確率をもたらす。よって、この解決策は、検出の信頼性に関連付けられる問題を解決しない。
【0019】
他の既存の解決策では、拡張ノードB(eNodeB)が全てのあり得る位置でUEのACK/NACKの復号を試みる。eNodeBは、曖昧性のあるPDCCHペイロードサイズについてPDCCH送信のためのアグリゲーションレベルをUEが正確に選択するかの知識を有しない。eNodeBは、所与のUEについて全てのあり得るアグリゲーションレベル上でULのACK/NACKを検出することを選択し得る。しかしながら、それは追加的な実装の複雑さを生み出すのみならず、より重要なこととして、正確な検出を保証することができない。第一に、eNodeBは、ULのACK/NAKの衝突があり得ないことを保証しなければならない。これは、異なるUEが重複するサーチスペースを有するべきでないことから、厳しいスケジューリングの制限を課す。それを満たすことは、システム負荷に起因して、現実には不可能ではないにしても非常に困難である。さらに言えば、eNodeBは、チャネル条件、HARQ(Hybrid Automatic Repeat Request)終端ターゲット、及び不完全な電力制御に起因して、あるアグリゲーションレベルについて特定のACK/NAKの統計を推定することができない。結局、複数の仮説は、不可避的に、ULのACK/NAK検出性能に悪影響を及ぼす。よって、上述した問題を解決するためにeNodeBを利用することについて、それは実践的ではない。
【0020】
PDCCH送信のための実際のアグリゲーションレベルを判定するために、UEは、多様なアプローチを使用し得る。UEは、CCEの全てのあり得る混同の組合せについて、変調シンボルを用いてエネルギーを判定し得る。しかしながら、このアプローチは、他のセルからの干渉を理由に、非常に信頼性が無い。他のアプローチでは、PDCCHが再符号化され得る。UEは、ビットを復号してPDCCHを再符号化し、CCEの全てのあり得る混同の組合せについて、信号対雑音比(SNR)を判定し得る。このアプローチはより信頼性があるが、非常に複雑である。その代わりに、UEは、符号化ビットの整数倍の反復と整数倍のCCEとを収容する各セグメントについてCRCチェックを実行し得る。各セグメントが同じCRCチェック結果を有することは保証されない。よって、複雑な決定ロジックが考案されなければならない。加えて、このアプローチは、不可避的に、ブラインドPDCCH復号の回数を有意に増加させる。よって、非常に複雑な実装が採用されない限り、容易には解決策が実装されない。その代わりに、上の複雑な実装を迂回するために、アグリゲーションレベルが選択され得る。例えば、肯定的なCRCチェックを伴う全てのアグリゲーションレベルの中で、最大の又は最小のアグリゲーションレベルが選択され得る。いずれのケースでも、無視できないほどの(間違ったアグリゲーションレベルを選択するという)フォルスアラームの確率を被る。
【0021】
他の既存の解決策では、“問題の(troubled)”ペイロードサイズを伴うPDCCHにゼロパディングが適用され得る。問題のあるペイロードサイズは相当に多く、この解決策は受信機の複雑なブラインド復号ロジックを要する。
【発明の概要】
【0022】
本発明は、アグリゲーションレベルのいかなる混同をも回避するように、循環バッファのサイズを選択する。本発明は、循環バッファ内の符号化ビット数を変化させることにより、このPDCCHの曖昧性の無い符号化を達成する。1つ以上の符号化ビットを削除し又は1つ以上のビットを反復することにより、循環バッファ内の符号化ビット数を変化させることができる。
【0023】
1つの観点において、本発明は、LTE(Long Term Evolution)通信システムにおけるPDCCH(Physical Downlink Control Channel)の検出エラーを曖昧性の無い符号化(unambiguous encoding)によって除去する方法を対象とする。本方法は、少なくとも1つの符号化ビットを削除し又は反復することにより、循環バッファのサイズを修正するステップ、を含む。循環バッファは、複数のビットを有するPDCCHペイロードからインターリーブされたビットを収集する。PDCCHペイロードは、畳み込み符号で符号化される。そして、PDCCHペイロードのビットがインターリーブされる。インターリーブされたビットは、修正された循環バッファへ収集される。そして、ビットは、修正された循環バッファから送信のために選択される。
【0024】
他の観点において、本発明は、LTE通信システムにおけるPDCCHの検出エラーを曖昧性の無い符号化で除去するためのシステムを対象とする。本システムは、複数のビットを有するPDCCHペイロードを送信するための送信機と、PDCCHペイロードからインターリーブされたビットを収集するための循環バッファと、を含む。循環バッファのサイズは、符号化ビットを削除し又は反復することにより修正される。PDCCHペイロードは、畳み込み符号で符号化される。PDCCHペイロードの複数のビットは、インターリーブされ、修正された循環バッファへ収集される。そして、修正された循環バッファから選択されるビットが送信される。
【0025】
また別の観点において、本発明は、LTE通信システムにおけるPDCCHの検出エラーを、曖昧性の無い符号化と共にペイロードを送信することにより除去するためのノードを対象とする。本ノードは、符号化ビットを削除し又は反復することにより、循環バッファのサイズを修正する。循環バッファは、複数のビットを有するPDCCHペイロードからインターリーブされたビットを収集する。本ノードは、PDCCHペイロードを畳み込み符号で符号化し、PDCCHペイロードの複数のビットをインターリーブする。本ノードは、インターリーブされたビットを修正された循環バッファへ収集する。そして、本ノードは、修正された循環バッファから送信のためにビットを選択する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
後続するセクションにおいて、次の図面に示された例示的な実施形態を参照しながら、本発明が説明されるであろう。
【0027】
【
図1】(従来技術)UMTSネットワークの簡易ブロック図を示している。
【
図2A】(従来技術)アグリゲーションサイズ4を伴う複数のCCEを有するペイロードを示している。
【
図2B】(従来技術)アグリゲーションサイズ8を有する複数のCCEを伴うペイロードを示している。
【
図3】畳み込み符号化されるトランスポートチャネルについてのレートマッチング及び制御情報を示す簡易ブロック図である。
【
図4】1つの実施形態に従ってPDCCH検出エラーを回避する例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図5】他の実施形態に従って回避されるPDCCH検出エラーの例示的な方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の完全な理解を提供するために、以下の詳細な説明において、多くの特定の詳細が説明される。しかしながら、本発明はそれら特定の詳細が無くとも実践され得ることが、当業者により理解されるであろう。他の例において、よく知られた方法、手続、コンポーネント及び回路は、本発明を曖昧にしないために、詳細には説明されていない。
【0029】
本発明は、LTE(Long Term Evolution)通信システムにおけるPDCCH(Physical Downlink Control Channel)の検出エラーを除去するためのシステム及び方法である。情報ビット及び付加されるCRCビットを含むPDCCHペイロードは、送信のための符号化ビットシーケンスを生成するために符号化される。符号化ビットは、循環バッファへ入力される。割り当てられた制御チャネルエレメントの連続するサブセットにおける符号化ビットの反復を妨げるように、循環バッファのサイズが選択される。いくつかの実施形態では、循環バッファの選択されるサイズは、符号化ビットの数よりも小さく、符号化ビットシーケンス内の1つ以上の符号化ビットが削除される。他の実施形態では、循環バッファの選択されるサイズは、符号化ビットの数よりも大きく、符号化ビットシーケンスに1つ以上の割増ビット(extra bits)が追加される。
【0030】
図3は、PDCCHのチャネル符号化のための、ノードB108又は他の送信ノード内のチャネル符号化回路250の主要な機能エレメント群を示している。
図3に見られるように、ノードB108は、エンコーダ252、インターリーブ回路254、ビット収集回路258、及びレートマッチング回路260を備える。
図3に示したコンポーネントは、1つ以上のプロセッサ、ハードウェア、ファームウェア又はそれらの組合せにより実装され得る。
【0031】
エンコーダ252には、情報ビット及び付加されるCRCビットを含むPDCCHペイロードが入力される。エンコーダ252は、PDCCHペイロードを符号化して、符号化ビットシーケンスを生成する。エンコーダ252は、例えば、レート1/3畳み込みエンコーダを含み得る。よって、テールバイティング(tail-biting)畳み込みエンコーダの入力においてペイロードサイズがNビットであれば、当該エンコーダの出力では3×Nビットが存在する。ブロック符号及びターボ符号といった他のFEC符号もまた使用されてよい。
【0032】
図3に例示したように、エンコーダ252から出力される符号化ビットは、インターリーブ回路254へ入力される。インターリーブ回路254の機能は、符号化ビットを並び替えてバーストエラーに対するロバスト性を高めることである。1つの例示的な実施形態において、インターリーブ回路254は、複数のサブブロックインターリーバ256を含む。エンコーダ252により出力される符号化ビットストリームは、複数のサブストリームへと分割され、それらサブストリームは、それぞれのサブブロックインターリーバ256へと入力される。
図3において、サブブロックインターリーバ256へ供給されたサブストリームは、それぞれd
k(0)、d
k(1)及びd
k(2)と表記される。サブブロックインターリーバ256は、それぞれのビットストリームd
k(0)、d
k(1)及びd
k(2)をインターリーブして、出力シーケンスv
k(0)、v
k(1)及びv
k(2)を生成する。
【0033】
ビット収集回路258は、出力シーケンスv
k(0)、v
k(1)及びv
k(2)を循環バッファ260へと収集する。1つの例示的な実施形態では、出力シーケンスは、シーケンシャルに循環バッファ260へと読み込まれる。レートマッチング回路262は、PDCCHに割り当てられた制御チャネルエレメントを埋める(fill)ために、循環バッファ260から符号化ビットを読み出す。送信されるビット数が循環バッファ260のサイズを上回る場合、レートマッチング回路262は、循環バッファ260の先頭へ戻り(wrap)、ビットの読み出しを継続する。
【0034】
問題は、循環バッファ260内の符号化ビット数がPDCCHに割り当てられた制御チャネルエレメントのサブセット内のビット数と等しい場合に生じる。そうしたケースでは、循環バッファ260内の同じ位置で各反復が開始する形で、符号化ビットシーケンスが2回以上反復され得る。この場合、CRCが2つ以上の異なるアグリゲーションレベルについて通過し、曖昧性をもたらす。例えば、符号化ビットシーケンスが144ビットを有し、アグリゲーションレベルが8であるものとする。この例では、符号化ビットシーケンスは、ちょうど4つ分のCCEにフィットする。8というアグリゲーションレベルでは、符号化ビットシーケンスは2回反復され、4又は8のいずれかというアグリゲーションレベルを示し得る。こうした曖昧性を回避するために、ビット収集回路258は、PDCCHに割り当てられた制御チャネルエレメントの連続するサブセットにおいて符号化ビットの反復を回避するように循環バッファ260のサイズを選択する、ように構成される。
【0035】
留意すべきこととして、広範囲のユーザデータ又はシステム制御情報に、3GPP TS36.212に記述されたような畳み込み符号化及びレートマッチングのアルゴリズムは概して適用可能である。検出の信頼性の問題は、PDCCHの特定の構造からのみ生起するため、本発明の好適な実施形態では、PDCCHペイロードのみのケースで最小の変更が行われる。3GPP TS36.212のセクション5.1.4.2.2(Bit collection, selection and transmission)に記述されている動作は、以下の例に示すように修正され、ここで、K
wはエンコーダ252により出力される符号化ビットシーケンスの長さであり、K
Πはサブブロックインターリーバ256により出力されるサブストリームの長さである。
【0036】
本発明の第1の実施形態において、長さK
w=3K
Πの循環バッファが、ビット収集回路258により次のように生成される:
【0038】
ペイロードがPDCCHのためのものであれば、循環バッファの長さは、次のように1つ以上のビット分だけ削減される:
【0040】
ここで、nは循環バッファ260から除去されるビットの数を表現する。
【0041】
Eによりレートマッチングの出力シーケンス長を表すとすると、レートマッチング出力ビットシーケンスはe
k、k=0,1,…,E−1である。出力シーケンスe
kは、レートマッチング回路262により次のように生成される:
【0043】
本発明の第2の実施形態において、循環バッファの長さは、ビット収集回路258によりまず次のように決定される:
【0045】
そして、循環バッファは、ビット収集回路258により次のように生成される:
【0047】
出力シーケンスe
kは、上で説明したものと同じやり方で、レートマッチング回路262により生成される。
【0048】
本発明の第3の実施形態において、長さK
w=3K
Π−nの循環バッファが全てのLTE畳み込み符号化信号のために使用され、ここでnは符号化ビットシーケンスから削除される符号化ビットの数である。そして、循環バッファ260は、次のように生成される:
【0050】
出力シーケンスは、レートマッチング回路262により次のように生成される。出力シーケンスe
kは、上で説明したものと同じやり方で、レートマッチング回路262により生成される。
【0051】
図4は、本発明の1つの実施形態に従ってLTE通信システムにおいてPDCCH検出エラーを除去するステップ群を例示するフローチャートである。方法は、ステップ300において開始し、アグリゲーションレベルの混同が生じ得ないように、循環バッファ260のサイズが選択される。これは、ビット収集後に循環バッファ260から符号化ビットを除去するか(第1の実施形態)、又はビット収集の前若しくは途中で符号化ビットを削除するか(第2及び第3の実施形態)のいずれかによって、循環バッファ260から1つ以上の符号化ビットを除外することにより達成され得る。除外されるビットは、最後のn個の符号化ビット、1つよりも多くの除外ビット、又はペイロードの他の符号化ビットであってもよい。次に、ステップ302において、PDCCHペイロードは、エンコーダ252により、レート1/3のテールバイティング畳み込み符号で符号化される。ステップ304において、次に、サブブロックインターリーバ256によりビットがインターリーブされる。次に、ステップ306において、修正された循環バッファ260へ、ビット収集回路258によりビットが収集される。ステップ308において、レートマッチング回路262により、送信のためにビットが選択され及び切り捨てられる(pruned)。
【0052】
本発明の他の実施形態では、循環バッファ260内のビット数を符号化出力ビットの数よりも大きくすることができ、1つ以上の割増ビットが符号化ビットシーケンスへ追加され得る。この実施形態では、長さK
w=3K
Πの循環バッファ260が次のように生成される:
【0054】
ペイロードがPDCCHのためのものであれば、循環バッファ260の長さは1だけ増やされ、K
w=3K
Π+1、追加的なビットがw
3KΠ=xに設定される。割増ビットxは追加的な符号化ビットであってよく、例えばx=v
0(0)である。他の実施形態では、割増ビットxはソースビットであってよく、例えばx=d
0(0)である。また別の実施形態では、既知のビット、例えば“0”ビットが追加され得る。テールバイティング畳み込み符号が使用される場合、割増ビットxは、テールバイティング畳み込みエンコーダ252の初期のステートの表現内の特定のビットであり得る。
【0055】
図5は、他の実施形態に係るPDCCH検出エラーを回避する方法400を例示している。複数の符号化ビットを含む符号化ビットシーケンスを生成するために、PDCCHペイロードが符号化される(ステップ410)。PDCCHに割り当てられたCCEの連続するサブセットにおける符号化ビットの反復が回避されるように、符号化ビットシーケンス内のビット数に等しくない循環バッファ260のサイズが選択される(ステップ420)。そして、循環バッファ260の選択されたサイズに依存して、循環バッファ260内に可変的な数の符号化ビットが収集される(ステップ430)。
【0056】
本発明は、既存のシステムに対し、複数の注目すべき利点を提供する。本発明は、PDCCH検出の信頼性の問題への普遍的な解決策を提供する。加えて、本発明は、通信システムに過度に複雑さを課すことなく、検出及びPDCCH検出エラーの除去の比較的単純な方法及びシステムを提供する。
【0057】
当業者により認識されるように、本願において説明した革新的な概念を、広範囲の応用にわたって修正し及び変形させることができる。従って、特許される要旨の範囲は、上で議論した特定の例示的な教示のいずれにも限定されるべきではなく、代わりに以下の特許請求の範囲により定義される。