(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記グリセリン脂肪酸エステル組成物(C)が、グリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルとを含み、グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸ジエステルの含有量が65質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術の課題等について、これを解消しようとするものであり、ゴム組成物への層状又は板状粘土鉱物の分散性を向上させて低空気透過性、耐屈曲性が良好であるゴム組成物及びそれを用いたタイヤ、ゴム組成物の製造方法、ゴム組成物のタイヤのインナーライナーへの使用、並びに、未加硫ゴムの粘度低減方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記従来技術の課題等に鑑み、鋭意検討した結果、ゴム成分に対して、層状又は板状粘土鉱物と、特定の化合物を配合することにより、上記目的のゴム組成物及びそれを用いたタイヤ、ゴム組成物の製造方法、ゴム組成物のタイヤのインナーライナーへの使用、並びに、未加硫ゴムの粘度低減方法が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0009】
すなわち、本発明は、次の(1)〜(18)に存する。
(1) ゴム成分(A)と、層状又は板状粘土鉱物(B)と、グリセリン脂肪酸エステル組成物(C)とを配合してなることを特徴とするゴム組成物。
(2) 前記グリセリン脂肪酸エステル組成物(C)の脂肪酸の炭素数が好ましくは8〜28、更に好ましくは8〜22、より更に好ましくは10〜18、より更に好ましくは12〜18、より更に好ましくは16〜18であることを特徴とする上記(1)記載のゴム組成物。
(3) 前記グリセリン脂肪酸エステル組成物(C)が、グリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルとを含み、グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸モノエステルの含有量が好ましくは35質量%以上、より好ましくは35〜98質量%、更に好ましくは45〜90質量%、更に好ましくは50〜80質量%であることを特徴とする上記(1)又は(2)記載のゴム組成物。
(4) 前記グリセリン脂肪酸エステル組成物(C)が、グリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルとを含み、グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸ジエステルの含有量が好ましくは65質量%以下、より好ましくは5〜65質量%、更に好ましくは15〜65質量%、より更に好ましくは15〜50質量%、更に好ましくは25〜50質量%、より更に好ましくは20〜50質量%であることを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか一つに記載のゴム組成物。
(5) 前記グリセリン脂肪酸エステル組成物(C)の配合量が、層状又は板状粘土鉱物(B)100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.25〜15質量部であることを特徴とする上記(1)〜(4)の何れか一つに記載のゴム組成物。
(6) 前記グリセリン脂肪酸エステル組成物(C)の配合量が、層状又は板状粘土鉱物(B)100質量部に対して、好ましくは0.25〜10質量部、更に好ましくは0.5〜8質量部、より更に好ましくは1〜7質量であることを特徴とする上記(1)〜(4)の何れか一つに記載のゴム組成物。
(7) 前記グリセリン脂肪酸エステル組成物(C)の配合量が、ゴム成分(A)100質量部に対して、好ましくは0.5〜20質量部好、より好ましくは1〜15質量部、更に好ましくは2〜12質量部、より更に好ましくは3〜11質量部、より更に好ましくは3〜10質量部であることを特徴とする上記(1)〜(6)の何れか一つに記載のゴム組成物。
(8) 層状又は板状粘土鉱物(B)の配合量が、ゴム成分(A)100質量部に対して、好ましくは20〜200質量部、より好ましくは30〜150質量部、更に好ましくは50〜120質量部、より好ましくは70〜120質量部であることを特徴とする上記(1)〜(7)の何れか一つに記載のゴム組成物。
(9) 層状又は板状粘土鉱物(B)が、クレー、マイカ、タルク又は長石であることを特徴とする上記(1)〜(9)の何れか一つに記載のゴム組成物。
(10) 層状又は板状粘土鉱物(B)がクレーであることを特徴とする上記(1)〜(8)の何れか一つに記載のゴム組成物。
(11) 前記ゴム成分(A)が、ジエン系ゴム若しくはブチル系ゴム、またはジエン系ゴムとブチル系ゴムの混合物であることを特徴とする上記(1)〜(10)の何れか一つに記載のゴム組成物。
(12) 前記ジエン系ゴムが、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴムから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記(11)に記載のゴム組成物。
(13) 前記ゴム組成物が、タイヤのインナーライナー用ゴム組成物である上記(1)〜(12)の何れか一つに記載のゴム組成物。
(14) ゴム成分(A)100質量部に対して、層状又は板状粘土鉱物(B)好ましくは20質量部以上と、グリセリン脂肪酸エステル組成物(C)を配合した後、混練及び加硫して得られる、上記(1)〜(13)の何れか一つに記載のゴム組成物。
(15) ゴム成分(A)100質量部に対して、層状又は板状粘土鉱物(B)好ましくは20質量部以上と、グリセリン脂肪酸エステル組成物(C)を配合した後、混練及び加硫する、上記(1)〜(13)の何れか一つに記載のゴム組成物の製造方法。
(16) 上記(1)〜(14)の何れか一つに記載のゴム組成物により得られたゴム組成物をインナーライナーに用いたことを特徴とするタイヤ。
(17) 上記(1)〜(14)の何れか一つに記載のゴム組成物のタイヤのインナーライナーへの使用。
(18) ゴム成分(A)と、層状又は板状粘土鉱物(B)と、グリセリン脂肪酸エステル組成物(C)とを配合してなることを特徴とする未加硫ゴムの粘度低減方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ゴム組成物への層状又は板状粘土鉱物の分散性を改良し、未加硫ゴムの粘度低減による加工性を向上させて低空気透過性、耐屈曲性が良好であるゴム組成物及びそれを用いたタイヤ、ゴム組成物の製造方法、ゴム組成物のタイヤのインナーライナーへの使用、並びに、未加硫ゴムの粘度低減方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のゴム組成物は、ゴム成分(A)と、層状又は板状粘土鉱物(B)と、グリセリン脂肪酸エステル組成物(C)とを配合してなることを特徴とするものである。
【0013】
〔ゴム成分(A)〕
本発明のゴム組成物に用いるゴム成分(A)は、ジエン系ゴム若しくはブチル系ゴム、またはジエン系ゴムとブチル系ゴムの混合物からなる。ここで、ジエン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、エチレン-プロピレン共重合体等が挙げられる。これらのジエン系ゴム成分は、一種単独で用いても、二種以上をブレンドして用いてもよい。
【0014】
本発明のゴム組成物においては、ゴム成分(A)がブチル系ゴムであることが好ましい。ゴム成分(A)がブチル系ゴムである場合、ゴム組成物の空気透過性を大幅に低減することができ、タイヤのインナーライナーに好適なゴム組成物となる。ゴム成分(A)中、ブチル系ゴムは80〜100質量%であることが好ましく、この場合、ゴム成分(A)は、ブチル系ゴム80〜100質量%、及び他のジエン系ゴム20〜0質量%で構成されることがより好ましく、ブチル系ゴム95〜100質量%、及び他のジエン系ゴム5〜0質量%であることが特に好ましい。ここで、他のジエン系ゴムとは、ブチル系ゴム以外のジエン系ゴムをいう。なお、ブチル系ゴムには、ブチルゴム(IIR)の他、ハロゲン化ブチルゴムも包含され、ハロゲン化ブチルゴムとしては、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、イソブチレン及びp−メチルスチレンのハロゲン化共重合体(特に、イソブチレン及びp−メチルスチレンの臭素化共重合体)等が挙げられる。イソブチレン及びp−メチルスチレンのハロゲン化共重合体は、通常0.5〜20モル%のp−メチルスチレンを含有する。イソブチレン及びp−メチルスチレンの臭素化共重合体は、エクソンモービル ケミカル カンパニー(ExxonMobil Chemical Company)から商品名「EXXPRO 89−4」(登録商標)(p−メチルスチレン約5質量%及び臭素約0.75モル%)で市販されている。
【0015】
〔層状又は板状粘土鉱物(B)〕
本発明のゴム組成物に用いる層状又は板状粘土鉱物(B)は、天然品、合成品のいずれも使用することができる。層状又は板状粘土鉱物(B)としては、例えば、カオリン質クレー、セリサイト質クレー、焼成クレー等のクレー;モンモリロナイト,サポナイト,ヘクトライト,バイデライト,スティブンサイト,ノントロナイト等のスメクタイト系粘土鉱物;マイカ,長石,バーミキュライト,ハロイサイト,タルク及び膨潤性マイカなどが挙げられる。これらの中では、クレー、マイカ,タルク又は長石が好ましく、クレー、マイカ又はタルクが更に好ましく、クレー又はタルクがより更に好ましい。これらの層状又は板状粘土鉱物(B)は、天然のものでも、合成されたものでもよい。また、これらは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0016】
本発明のゴム組成物として用いる粘土鉱物としては、上記に説明した層状又は板状粘土鉱物(B)の中でも、クレーがより好ましく、カオリン質クレー、セリサイト質クレー、焼成クレー、表面処理を施したシラン改質クレー等の板状のクレーが更に好ましく、カオリン質クレーが特に好ましい。
これら(B)成分の層状又は板状粘度鉱物の平均粒径(平均ストークス相当径)は、大きすぎると耐屈曲性の低下を招くので50μm以下とすることが好ましく、更に0.2〜30μmがより好ましく、特に、0.2〜5μm程度の範囲がより好ましく、最も好ましくは、0.2〜2μmのものが用いられる。
【0017】
層状又は板状粘土鉱物(B)の平均アスペクト比は、好ましくは2〜200であれば、層状又は板状粘度鉱物粒子の面が配向し、空気の透過経路を遮る結果、良好な耐空気透過性(低空気透過性)が得られるが、平均アスペクト比を好ましくは3〜150、より好ましくは5〜100、さらに好ましくは5〜50、特に好ましくは5〜25とすることにより、より優れた耐空気透過性を得ることができる。
この(B)成分の平均アスペクト比が200以下であれば、ゴム混練時の(B)成分の分散がより均一に行われることとなり、分散不良から耐屈曲性や耐空気透過性の低下を招くことを好適に防止できる。また、平均アスペクト比が3以上であれば、耐空気透過性がより向上することとなる。
本発明(後述する実施例を含む)における平均アスペクト比は、
図1に示すように、平均長径xと平均厚みyより、x/yとして求めたものである。
【0018】
これらの層状又は板状粘土鉱物(B)の配合量は、上記ゴム成分100質量部に対して、空気透過性の観点から、好ましくは20質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは50質量部以上、より更に好ましくは70質量部以上であり、作業性を向上させる観点から、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、更に好ましくは120質量部以下であり、5〜200質量部の範囲が好ましく、20〜200質量部の範囲がより好ましく、30〜150質量部の範囲がより好ましく、50〜120質量部の範囲が更に好ましく、60〜120質量部の範囲がより更に好ましく、70〜120質量部の範囲がより更に好ましい。本発明の場合、層状又は板状粘土鉱物(B)が上記ゴム成分100質量部に対して120質量部以上の高い配合であっても、本発明の効果を発揮できるものである。
【0019】
本発明では、上記層状又は板状粘土鉱物(B)以外にも補強性充填剤として、カーボンブラックなどを併用できる。
用いることができるカーボンブラックは、特に制限なく、例えば、FEF、SRF、HAF、ISAF、SAFなどのグレードを用いることができる。
これらのカーボンブラックの配合量も、特に限定されるものではないが、好ましくは、前記ゴム成分100質量部に対し、0〜60質量部、更に好ましくは、10〜50質量部であることが望ましい。なお、発熱性を維持する観点から、60質量部以下が好ましい。
【0020】
〔グリセリン脂肪酸エステル組成物(C)〕
グリセリン脂肪酸エステル組成物(C)中のグリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンの持つ3つのOH基のうちの少なくとも1つに脂肪酸(好ましくは炭素数が8〜28)がエステル結合したものであり、脂肪酸のつく数によって、グリセリン脂肪酸モノエステル、グリセリン脂肪酸ジエステル、グリセリン脂肪酸トリエステルに分かれるものである。
本発明に用いるグリセリン脂肪酸エステル組成物は、1)グリセリン脂肪酸モノエステル単独、2)グリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルとの混合物、3)更に、上記1)又は2)に、グリセリン脂肪酸トリエステルやグリセリンを含んでいてもよい。
【0021】
本発明において、グリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、未加硫ゴムの粘度低減による加工性向上、低空気透過性、耐屈曲性、耐熱性等の観点から、好ましくは炭素数8〜28、更に好ましくは炭素数8〜22、より更に好ましくは炭素数10〜18、より更に好ましくは炭素数12〜18、より更に好ましくは炭素数16〜18である。また、脂肪酸は飽和、不飽和、直鎖、分岐鎖いずれでもよいが、特に、直鎖状飽和脂肪酸が好ましい。脂肪酸の具体例としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸等が挙げられる。好ましくは、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸であり、特に、パルミチン酸、ステアリン酸が好ましい。
なお、炭素数8未満の脂肪酸では、ポリマーとの親和性が低く、ブルームが起こりやすい。一方、炭素数28を超える脂肪酸では、加工性改良効果の向上は炭素数28以下と変わらず、コストが上昇し、好ましくない。
【0022】
本発明に用いるグリセリン脂肪酸エステル組成物は、好ましくは脂肪酸の炭素数が8〜28であり、(a)グリセリン脂肪酸エステル組成物が、グリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルとを含み、前記組成物中、グリセリン脂肪酸モノエステルの含有量が35質量%以上であることが好ましく、また、(b)上記グリセリン脂肪酸エステル組成物が、グリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルを含み、前記組成物中、グリセリン脂肪酸ジエステルの含有量が65質量%以下であることが好ましい。
上記(a)及び/又は(b)のグリセリン脂肪酸エステル組成物を配合することにより、層状又は板状粘土鉱物(B)配合未加硫ゴムの粘度の低減による加工性の向上と、低空気透過性、さらに二律背反の性能である、耐屈曲性や耐熱性などの諸性能を高度に達成することができる。
【0023】
本発明において、グリセリン脂肪酸エステル組成物(C)中のモノエステル含有量が35質量%未満となるもの、または、ジエステル含有量が65質量%を超過するものでは、低空気透過性、耐屈曲性の改良効果が小さい。
そのため、グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸モノエステル含有量は、未加硫ゴム粘度を低減、低空気透過性と耐屈曲性を改良する観点から、好ましくは35質量%以上、より好ましくは45質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、より更に好ましくは55質量%以上、より更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上である。また、耐熱性を改良する観点から、好ましくは98質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下、より更に好ましくは70質量%以下である。以上の観点を総合すると、グリセリン脂肪酸モノエステルの含有量は、好ましくは35〜98質量%、より好ましくは45〜90質量%であり、また、更にグリセリン脂肪酸エステル組成物の生産性の観点から、グリセリン脂肪酸モノエステル含有量は、より更に好ましくは50〜80質量%である。
【0024】
また、グリセリン脂肪酸エステル組成物(C)中、グリセリン脂肪酸ジエステル含有量は、耐熱性の改良とグリセリン脂肪酸エステル組成物の生産性の観点から好ましくは5質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは25質量%以上であり、未加硫ゴム粘度の低減、低空気透過性と耐屈曲性改良の観点から、好ましくは65質量%以下、より好ましくは55質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。以上の観点を総合すると、グリセリン脂肪酸ジエステルの含有量は、好ましくは5〜65質量%、より好ましくは15〜65質量%、更に好ましくは15〜50質量%、より更に好ましくは25〜50質量%である。また、更に、グリセリン脂肪酸エステル組成物の生産性の観点からは、グリセリン脂肪酸ジエステルの含有量は、より更に好ましくは20〜50質量%である。
【0025】
更に、グリセリン脂肪酸エステル組成物(C)中、グリセリン脂肪酸トリエステルの含有量は、加硫後ゴム物性の過度の低下(貯蔵弾性率の低下等)を防ぐ観点から、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、更に好ましくは3質量%以下であり、生産性の観点から、0.3質量%以上であってもよい。
【0026】
グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸ジエステルとグリセリン脂肪酸トリエステルの合計含有量は、未加硫ゴム粘度の低減、耐熱性、低空気透過性と耐屈曲性を良好とする観点から、好ましくは15〜50質量%、より好ましくは17〜50質量%である。
特に、前記グリセリン脂肪酸エステル組成物中、未加硫ゴム粘度の低減、低空気透過性、耐屈曲性、耐熱性を良好とする観点から、グリセリン脂肪酸モノエステル含有量が50〜85質量%であって、グリセリン脂肪酸ジエステルとトリエステルの合計含有量が15〜50質量%であるものが好ましく、前記グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸モノエステル含有量が50〜80質量%であって、グリセリン脂肪酸ジエステルとトリエステルの合計含有量が20〜50質量%であるものが更に好ましく、また、グリセリン脂肪酸モノエステル含有量が50〜85質量%であって、グリセリン脂肪酸ジエステル含有量が15〜50質量%であるものが好ましく、グリセリン脂肪酸モノエステル含有量が50〜80質量%であって、グリセリン脂肪酸ジエステルの含有量が20〜50質量%であるものが更に好ましい。
【0027】
また、本発明に用いるグリセリン脂肪酸エステル組成物の製造の際に、未反応原料としてグリセリンが残る場合がある。グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリンの含有量は、耐熱性低下抑制の観点から、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、更に好ましくは3質量%以下であり、生産性の観点から、0.3質量%以上であってもよい。
グリセリン脂肪酸エステル組成物は、グリセリン脂肪酸モノエステル含有量やジエステル含有量等が異なる2種以上を用いてもよい。
【0028】
本発明において、用いるグリセリン脂肪酸エステル組成物は、グリセリンと脂肪酸から製造するエステル化法と、油脂等とグリセリンとを原料としたエステル交換法などにより製造することができ、グリセリン脂肪酸エステル組成物中のモノエステル量をコントロールしたものを製造する方法等としては、下記1)〜3)の各方法などが挙げられる。
1)上記エステル化法やエステル交換法などにおいて、脂肪酸成分とグリセリン成分の仕込み比率を変えることで、エステル化の平衡組成を制御する方法。グリセリンについては、さらに蒸留により取り除くことが出来る。但し、反応特性上、グリセリン脂肪酸モノエステル量の上限は約65質量%前後と考えられる。
2)エステル化法やエステル交換法で得られた反応生成物をさらに分子蒸留などにより分別留去し、モノエステル純度の高い(通常95質量%以上)グリセリン脂肪酸エステル組成物を取り出す方法。
3)上記2)の手法で得たグリセリン脂肪酸エステル組成物を1)の手法で得られるグリセリン脂肪酸エステル組成物と任意の割合で混合することにより、およそ65〜95質量%程度のモノエステルを含有するグリセリン脂肪酸エステル組成物を得る方法。
上記原料の油脂や脂肪酸などを天然物から由来のものを用いることにより、環境負荷等も低減したグリセリン脂肪酸エステルを用いることができる。
更に、本発明に用いられるグリセリン脂肪酸エステル組成物は、モノエステル量がコントロールされた市販品を用いることが可能であり、市販品の例としては、例えば、ステアリン酸モノグリセライド(花王株式会社製のレオドールMS−60、エキセルS−95)等が挙げられる。
【0029】
なお、本発明において、グリセリン脂肪酸エステル組成物中のモノグリセライド含有量(グリセリン脂肪酸モノエステル含有量)とは、GPC分析(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により、下式(I)に従って求めたものをいい、グリセリン、モノグリセライド、ジグリセライド(グリセリン脂肪酸ジエステル)及びトリグリセライド(グリセリン脂肪酸トリエステル)の合計に対するモノグリセライドのGPC分析における面積割合を意味する。
【数1】
〔上記式(I)中、GはGPCのグリセリン面積、MGはGPCのモノグリセライド面積、DGはGPCのジグリセライド面積、TGはGPCのトリグリセライド面積である。〕
尚、GPCの測定条件は、下記の通りである。
〔GPCの測定条件〕
GPCの測定は下記測定装置を用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を毎分0.6mL/分の流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させた。そこにTHFに溶解した1重量%の試料溶液10μLを注入して測定を行った。
標準物質:単分散ポリスチレン
検出器:RI-8022(東ソー(株)製)
測定装置:HPLC-8220 GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:TSK-GEL SUPER H1000 2本及びTSK-GEL SUPER H2000 2本を直列に連結(東ソー(株)製)
同様に、グリセリン脂肪酸エステル組成物中のジグリセライド含有量は、グリセリン、モノグリセライド、ジグリセライド及びトリグリセライドの合計に対するジグリセライドのGPC分析における面積割合を意味する。
【0030】
用いることができるモノエステル量をコントロールしたグリセリン脂肪酸エステル組成物の例を挙げれば、例えば、脂肪酸の炭素数8のカプリル酸グリセリル含有組成物、脂肪酸の炭素数10のデカン酸グリセリル含有組成物、脂肪酸の炭素数12のラウリン酸グリセリル含有組成物、脂肪酸の炭素数14のミリスチン酸グリセリル含有組成物、脂肪酸の炭素数16のパルミチン酸グリセリル含有組成物、脂肪酸の炭素数18のステアリン酸グリセリル含有組成物、脂肪酸の炭素数22のベヘン酸グリセリル含有組成物、脂肪酸の炭素数28のモンタン酸グリセリル含有組成物等が挙げられ、これらの中で、ラウリン酸グリセリル含有組成物、パルミチン酸グリセリル含有組成物、ステアリン酸グリセリル含有組成物が好ましい。これらのモノエステル量をコントロールしたグリセリン脂肪酸エステル含有組成物は、1種または2種以上が任意に選択されて配合される。
【0031】
本発明のゴム組成物に用いられるグリセリン脂肪酸エステル組成物(C)の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、未加硫ゴムの粘度低減、低空気透過性及び耐屈曲性の観点から、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上、より更に好ましくは3質量部以上であり、加硫後ゴム物性の過度の低下(貯蔵弾性率の低下等)を抑制する観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは12質量部以下、より更に好ましくは11質量部以下、より更に好ましくは10質量部以下であり、好ましくは0.5〜20質量部、より好ましくは1〜15質量部、更に好ましくは2〜12質量部、より更に好ましくは3〜11質量部、より更に好ましくは3〜10質量部である。
また、本発明のゴム組成物におけるグリセリン脂肪酸エステル組成物(C)の配合量は、層状又は板状粘土鉱物(B)100質量部に対して、未加硫ゴムの粘度低減の観点から、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.25質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上、より更に好ましくは1質量部であり、加硫後ゴム物性の過度の低下(貯蔵弾性率の低下等)を抑制する観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは12質量部以下、より更に好ましくは10質量部以下、より更に好ましくは8質量部以下、より更に好ましくは7質量部以下であり、0.1〜20質量部が好ましく、0.25〜15質量部がより好ましく、0.25〜10質量部がより更に好ましく、0.5〜8質量部がより更に好ましく、1〜7質量部がより好ましい。
【0032】
また、本発明のゴム組成物における、ゴム成分100質量部に対するグリセリンの配合量は、耐熱性低下抑制の観点から、好ましくは0.5質量部以下、更に好ましくは0.3質量部以下、より更に好ましくは0.1質量部以下であり、生産性の観点から0.01質量部以上であってもよい。
また、本発明のゴム組成物における、ゴム成分100質量部に対するグリセリン脂肪酸トリエステルの配合量は、加硫後ゴム物性の過度の低下(貯蔵弾性率の低下等)を抑制する観点から、好ましくは0.5質量部以下、更に好ましくは0.3質量部以下、より更に好ましくは0.1質量部以下であり、生産性の観点から0.01質量部以上であってもよい。
【0033】
〔ゴム組成物及びその製造方法〕
本発明のゴム組成物には、ゴム成分(A)、層状又は板状粘土鉱物(B)、及びグリセリン脂肪酸エステル組成物(C)の他に、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、老化防止剤、軟化剤、ステアリン酸、亜鉛華、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫剤等を、本発明の目的を阻害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。
また、本発明のゴム組成物は、ゴム成分(A)と、層状又は板状粘土鉱物(B)と、グリセリン脂肪酸エステル組成物(C)と、必要に応じて適宜選択した各種配合剤とをロール、インターナルミキサー等の混練り機を用いて混練り、熱入れ、押出等することにより得られ、成形加工後、加硫を行い、インナーライナー、タイヤトレッド、アンダートレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部分等のタイヤのタイヤ部材の用途に用いることができ、特に、該ゴム組成物は低空気透過性、耐屈曲性に優れる点からインナーライナー用として好適に用いることができる。従って、本発明のゴム組成物は、ゴム成分(A)100質量部に対して、層状又は板状粘土鉱物(B)を好ましくは20質量部以上と、グリセリン脂肪酸エステル組成物(C)を配合した後、混練及び加硫して得られるものが好ましく、その製造方法は、ゴム成分(A)100質量部に対して、層状又は板状粘土鉱物(B)を好ましくは20質量部以上と、グリセリン脂肪酸エステル組成物(C)を配合した後、混練及び加硫する工程を含有するものが好ましい。尚、各種成分の配合量、好ましい範囲は、前述のとおりである。
【0034】
このように構成されるゴム組成物において、何故、未加硫ゴム粘度が低減し、低空気透過性、耐屈曲性及び耐熱性も良好となるかは、以下のように推察される。
本発明のゴム組成物には、ゴム成分と、層状又は板状粘土鉱物と、グリセリン脂肪酸エステル組成物とが配合される。このとき、グリセリン脂肪酸エステル組成物が、層状又は板状粘土鉱物の表面を疎水化するため、ゴム組成物における層状又は板状粘土鉱物の分散状態が改善する。よって、未加硫ゴム粘度が低減し、低空気透過性及び耐屈曲性に優れると考えられる。また、グリセリン脂肪酸エステル組成物は、ゴム成分に対しては可塑性を付与し、層状又は板状粘土鉱物に対しては滑剤作用を有するため、未加硫ゴム粘度がさらに低減すると共に、耐熱性の向上にも寄与すると考えられる。
【0035】
〔タイヤ、未加硫ゴムの粘度低減方法及びタイヤのインナーライナーへの使用〕
本発明のゴム組成物を用いて通常の方法によってタイヤを製造することができる。例えば、上記のように各種配合剤を配合させた本発明のゴム組成物を未加硫の段階でタイヤ部材として、例えば、インナーライナー用部材に押出し加工され、タイヤ成形機上で通常の方法により貼り付け成形され、生タイヤが成形される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧して、低空気透過性、耐屈曲性に優れ、低燃費性が良好であると共に、しかも該ゴム組成物の加工性が良好であるので、生産性にも優れたものとなる。
従って、本発明の未加硫ゴムの粘度低減方法は、ゴム成分(A)に対して、層状又は板状粘土鉱物(B)と、グリセリン脂肪酸エステル組成物(C)とを配合してなることを特徴とするものであり、前記ゴム組成物を、タイヤのインナーライナーへの使用を特徴とするものである。
本発明の未加硫ゴムの粘度低減方法及びタイヤのインナーライナーへの使用で用いられる各成分(A)〜(C)の好ましい成分、好ましい範囲等は、前述のゴム組成物と同じである。
【実施例】
【0036】
次に、製造例、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
【0037】
<製造例1〜8>
用いるグリセリン脂肪酸エステル組成物は、下記各製造法等により得たものを使用した。なお、製造した各グリセリン脂肪酸エステル組成物中のグリセリン脂肪酸モノエステル(モノグリセライド)、グリセリン脂肪酸ジエステル、グリセリン脂肪酸トリエステル、グリセリンの各成分の含有量は、前述の方法で算出し、各組成を求めた。
【0038】
(製造例1:脂肪酸の炭素数が8のグリセリン脂肪酸エステル、実施例1用)
攪拌機、脱水管−冷却管、温度計、窒素導入管付きの1L四ツ口フラスコに、グリセリン450g、オクタン酸[花王株式会社製ルナック8−98]352gを入れ[グリセリン/脂肪酸(モル比)=2.0]、少量の水に溶解させた水酸化ナトリウムをナトリウムとして10ppm添加し、窒素を液上空間部に100mL/minで流しながら400r/minで撹拌下、約1.5時間かけて240℃まで昇温した。240℃に達した後、酸成分をフラスコに環流させながら脱水し、その温度で4時間反応させた。反応後の生成物中のモノグリセライド含量は67面積%であった。
【0039】
続いて反応混合物を170℃まで冷却し、そのままグリセリンを圧力2.7kPa以下で減圧留去し、さらに150℃、2kPaで2時間水蒸気を供給した後、ゼータプラス30S〔キュノ(株)製〕を用いて加圧で吸着濾過して、モノグリセライド含有組成物を得た。得られた組成物をGPCで測定することで、各成分の組成を求めた。
【0040】
(製造例2:脂肪酸の炭素数が10のグリセリン脂肪酸エステル、実施例2用)
上記実施例1において、オクタン酸を同モル量のデカン酸[花王株式会社製ルナック10−98]に変える以外は実施例1と同様にして反応を行い、同様にグリセリンを除去し、吸着濾過を行った。吸着濾過後のモノグリセライド含有組成物をGPCで測定することで、各成分の組成を求めた。
【0041】
(製造例3:脂肪酸の炭素数が12のグリセリン脂肪酸エステル、実施例3用)
上記実施例1において、オクタン酸を同モル量のラウリン酸[花王株式会社製ルナックL−98]に変える以外は実施例1と同様にして反応を行い、同様にグリセリンを除去し、吸着濾過を行った。吸着濾過後のモノグリセライド含有組成物をGPCで測定することで、各成分の組成を求めた。
【0042】
(製造例4:脂肪酸の炭素数が炭素数16のグリセリン脂肪酸エステル、実施例4、19〜23、25〜32、34、36、38用)
実施例4、19〜23、25〜32、34、36、38で用いたグリセリン脂肪酸エステル組成物は、上記実施例1において、オクタン酸を同モル量のパルミチン酸[花王株式会社製ルナックP−95]に変える以外は実施例1と同様にして反応を行い、同様にグリセリンを除去し、吸着濾過を行った。吸着濾過後のモノグリセライド含有組成物をGPCで測定することで、各成分の組成を求めた。
また、実施例10で用いたグリセリン脂肪酸エステル組成物は、製造例4で得られたグリセリン脂肪酸エステル組成物を、スミス蒸留装置を用いて蒸留温度215℃、減圧0.1mmHgの条件で分子蒸留することで調製した。
実施例8のグリセリン脂肪酸エステルは、製造例4のグリセリン脂肪酸エステルと実施例10のグリセリン脂肪酸エステルを重量比70:30で混合することにより調製した。
実施例9のグリセリン脂肪酸エステルは、製造例4のグリセリン脂肪酸エステルと実施例10のグリセリン脂肪酸エステルを重量比35:65で混合することにより調製した。
【0043】
(製造例5:脂肪酸の炭素数が16のグリセリン脂肪酸エステル、実施例7用)
上記実施例1において、グリセリンの量を280gに、オクタン酸をパルミチン酸[花王株式会社製ルナックP−95]520gに変える[グリセリン/脂肪酸(モル比)=1.5]以外は実施例1と同様にして反応を行い、同様にグリセリンを除去し、吸着濾過を行った。吸着濾過後のモノグリセライド含有組成物をGPCで測定することで、各成分の組成を求めた。
【0044】
(製造例6:脂肪酸の炭素数が18のグリセリン脂肪酸エステル、実施例5、14〜18、24、33、35、37用)
上記実施例1において、オクタン酸を同モル量のステアリン酸[花王株式会社製ルナックS−98]に変える以外は実施例1と同様にして反応を行い、同様にグリセリンを除去し、吸着濾過を行った。吸着濾過後のモノグリセライド含有組成物をGPCで測定することで、各成分の組成を求めた。
【0045】
実施例12で用いたグリセリン脂肪酸エステル組成物は、製造例6のグリセリン脂肪酸エステルと和光純薬工業株式会社製ジステアリン酸グリセロールを重量比35:65で混合することにより調製した。混合品をGPCで測定することで、各成分の組成を求めた。
実施例13のグリセリン脂肪酸エステルは、製造例6のグリセリン脂肪酸エステルと和光純薬工業株式会社製ジステアリン酸グリセロールを重量比55:45で混合することにより調製した。混合品をGPCで測定することで、各成分の組成を求めた。
【0046】
(製造例7:脂肪酸の炭素数が22のグリセリン脂肪酸エステル、実施例6用)
上記実施例1において、オクタン酸を同モル量のベヘニン酸[花王株式会社製ルナックBA]に変える以外は実施例1と同様にして反応を行い、同様にグリセリンを除去し、吸着濾過を行った。吸着濾過後のモノグリセライド含有組成物をGPCで測定することで、各成分の組成を求めた。
【0047】
また、実施例11で用いたグリセリン脂肪酸エステル組成物は、花王株式会社製エキセルTー95をそのまま用いた。該製品をGPCで測定することで、各成分の組成を求めた。
【0048】
〔実施例1〜38及び比較例1〜15〕
下記表1〜表5に示す配合処方で常法により、ゴム組成物を調製した。表1〜表5中の上欄に、製造例で得た各グリセリン脂肪酸エステル組成を記載した。また、表1〜表5中の当該グリセリン脂肪酸エステル組成の欄以下の数値は、質量部である。
得られた各ゴム組成物について、下記測定方法により、未加硫ゴム粘度、低空気透過性、耐屈曲性の測定を行った。また、表1の実施例1〜13及び比較例1〜3について、更に下記測定方法により、タフネス(耐熱性)の測定を行った。
これらの結果を下記表1〜表5に示す。なお、表1はゴム成分、層状又は板状粘土鉱物(クレー)、グリセリン脂肪酸エステルのゴム配合組成において、グリセリン脂肪酸エステルの炭素数の変更、表2は、層状又は板状粘土鉱物(クレー)の配合部数の変更、表3は、グリセリン脂肪酸エステルの配合部数の変更、表4は、ゴム成分の変更、表5は、層状又は板状粘土鉱物等を変更した配合処方である。
【0049】
〔未加硫ゴム粘度の測定方法〕
未加硫ゴム粘度は、JIS K 6300−1:2001(ムーニー粘度、ムーニースコーチタイム)に準拠して行った。
なお、評価は、比較例1の値を100として指数表示した。未加硫ゴム粘度は、値が小さいほど作業性が良好であることを示す。
【0050】
〔空気透過性の測定方法〕
実施例1〜38及び比較例1〜15によって得られた加硫後のゴム組成物を、JIS K7126−2:2006「プラスチック−フィルム及びシート−ガス透過度試験方法−第2部:等圧法」に準拠し、酸素透過率測定装置(東洋精機(株)製)を用いて23℃±2℃にて空気透過係数を測定した。
得られた空気透過係数から、下記式より、空気透過性指数を求め、比較例1の値を100として指数表示した。指数が小さいほど、耐空気透過性(ガスバリア性)は良好であることを示す。
空気透過性指数={(供試加硫ゴム組成物の空気透過係数)/(比較例1の加硫ゴム組成物の空気透過係数)}×100
【0051】
〔耐屈曲性の測定方法〕
実施例1〜38及び比較例1〜15によって得られた加硫後のゴム組成物を、JIS K6260:2010の屈曲試験法に準じて、加硫ゴム試験片を作製し、屈曲試験を実施し、試験片に10mmのクラックが発生するまでの時間を測定した。下記式より、耐屈曲性指数を求め、比較例1を100として、指数表示した。指数が大きいほど、耐屈曲性に優れていることを示す。
耐屈曲性指数={(供試加硫ゴム組成物のクラックが発生するまでの時間)/(比較例1の加硫ゴム組成物のクラックが発生するまでの時間)}×100
【0052】
〔タフネスの測定方法〕
未加硫ゴムを160℃で20分加硫後、100℃で2日間(熱劣化条件)で劣化させた後に、JIS K6251に準拠して引張試験を行うことによってEb(切断時伸び(%))及びTb(引張強さ(MPa))を測定し、熱劣化後のTF(タフネス:Eb×Tb)を求め、上記と同様に表1中の比較例1の値を100として指数表示した。この値が大きいほど、タフネス(耐熱性)が高いことを示す。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】
上記表1〜表5中の*1〜*8は下記のとおりである。
*1)JSR株式会社製、商品名「JSR BROMOBUTYL 2255」
*2)旭カーボン株式会社製、N660、商品名「旭#55」(N2SA:26m
2/g、DBP吸収量:87cm
3/100g)
*3)扁平クレー[J,M,Huber社製 商標:「POLYFIL DL」(アスペクト比:10)、平均粒径:1μm](扁平クレーとは、カオリン質クレーのアスペクト比が大きいもの)
*4)出光興産株式会社製、パラフィニックオイル、商品名「ダイアナプロセスオイル PW−90」
*5)ノクセラーDM〔ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、大内新興化学工業社製〕
*6)天然ゴムRSS3号
*7)扁平タルク〔「HAR talc」IMERYS talc社製〕
*8)分散改良剤:花王株式会社社製「ファーミン DM8098」、ジメチルステアリルアミン
【0059】
上記表1〜表5から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜38のゴム組成物は、本発明の範囲外となる比較例1〜15に較べて、未加硫ゴム粘度、空気透過性、耐屈曲性の評価結果から、未加硫ゴムの粘度を上げず、また、低空気透過性、耐屈曲性が良好となるゴム組成物となることが判明した。
個別的に表1〜表5を考察すると、表1の実施例1〜13はゴム成分、層状又は板状粘土鉱物(クレー)、グリセリン脂肪酸エステルのゴム配合組成において、グリセリン脂肪酸エステルの炭素数を変更した配合処方であり、これらの場合は、比較例1〜3対比、未加硫ゴムの粘度を上げず、低空気透過性、耐屈曲性及びタフネス(耐熱性)が良好となるゴム組成物となることが判る。
表2は、ゴム成分、層状又は板状粘土鉱物(クレー)、グリセリン脂肪酸エステルのゴム配合組成において、層状又は板状粘土鉱物(クレー)の配合部数を変更した配合処方であり、これらの場合においても、比較例4〜8対比、未加硫ゴムの粘度を上げず、低空気透過性、耐屈曲性が良好となるゴム組成物となることが判る。
表3は、ゴム成分、層状又は板状粘土鉱物(クレー)、グリセリン脂肪酸エステルのゴム配合組成において、グリセリン脂肪酸エステルの配合部数を変更した配合処方であり、これらの場合にも、比較例9〜10対比、未加硫ゴムの粘度を上げず、低空気透過性、耐屈曲性が良好となるゴム組成物となることが判る。
表4は、ゴム成分、層状又は板状粘土鉱物(クレー)、グリセリン脂肪酸エステルのゴム配合組成において、ゴム成分を変更した配合処方であり、これらの場合にも、比較例11〜12対比、未加硫ゴムの粘度を上げず、低空気透過性、耐屈曲性及びタフネス(耐熱性)が良好となるゴム組成物となることが判る。
表5は、ゴム成分、層状又は板状粘土鉱物(クレー)、グリセリン脂肪酸エステルのゴム配合組成において、表1はゴム成分、層状又は板状粘土鉱物(クレー)、グリセリン脂肪酸エステルのゴム配合組成において、層状又は板状粘土鉱物を変更した配合処方であり、これらの場合にも、比較例13(グリセリン脂肪酸エステル配合なし)、比較例14及び15(従来の分散改良剤)対比において、未加硫ゴムの粘度を上げず、低空気透過性、耐屈曲性及びタフネス(耐熱性)が良好となるゴム組成物となることが判る。