(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234460
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】通信チャネルと接続されている装置を監視する方法、監視装置、及び、車両
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20171113BHJP
B60R 16/023 20060101ALI20171113BHJP
H04L 12/28 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
B60R16/02 650J
B60R16/023 P
H04L12/28 200M
【請求項の数】13
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-529006(P2015-529006)
(86)(22)【出願日】2013年8月28日
(65)【公表番号】特表2015-528411(P2015-528411A)
(43)【公表日】2015年9月28日
(86)【国際出願番号】EP2013067822
(87)【国際公開番号】WO2014033171
(87)【国際公開日】20140306
【審査請求日】2015年4月27日
(31)【優先権主張番号】102012017386.5
(32)【優先日】2012年9月1日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】596107062
【氏名又は名称】フォルクスヴァーゲン アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】VOLKSWAGEN AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】モーリス ミュッケ
【審査官】
菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−137045(JP,A)
【文献】
特開2012−074849(JP,A)
【文献】
特開平03−139094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
B60R 16/023
H04L 12/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信チャネルと接続されている、車両内の装置を監視する方法であって、
・前記装置(15)によって出力された2つのメッセージの間の時間間隔が所定の時間以下である場合に、前記装置(15)が正常な状態にあると定めること、
・前記装置(15)が、前記通信チャネルを介した自身の通信を少なくとも一時的に中止することを監視装置(12)に伝える監視中止通知メッセージを前記通信チャネル(11)に出力すること、
・前記装置(15)によって最後に出力されたメッセージの出力から、前記所定の時間よりも長い時間が経過している場合であっても前記装置(15)によって最後に出力されたメッセージが前記監視中止通知メッセージを含んでいる場合に、前記装置(15)が正常な状態にあると定めること、及び、
・前記監視中止通知メッセージを出力した装置(15)を、当該装置(15)がさらなるメッセージを前記通信チャネル(11)に出力するまで、前記監視から除外し、前記さらなるメッセージは、前記正常な状態にあるときに出力していたメッセージと同一である、
ことを特徴とする、通信チャネルと接続されている、車両内の装置を監視する方法。
【請求項2】
・前記装置(15)によって最後に出力されたメッセージが前記監視中止通知メッセージを含んでおらず、かつ、前記装置(15)によって最後に出力されたメッセージの出力から、前記所定の時間よりも長い時間が経過している場合に、当該装置(15)が正常でない状態にあると定めること、を特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記所定の時間は、20msから2sの範囲の値を有している、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記装置(15)によって出力された2つのメッセージの間の前記時間間隔は前記所定の時間よりも短い、請求項1から3までのいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
前記装置(15)によって出力された2つのメッセージの間の前記時間間隔は前記所定の時間の1/5から1/10である、請求項1から4までのいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
・前記装置(15)が監視中止通知メッセージを前記通信チャネル(11)に出力するステップに続いて、前記装置(15)をスリープモードにする、請求項1から5までのいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
前記通信チャネル(11)は、車両データバスを含んでいる、請求項1から6までのいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか一項記載の方法によって監視される、車両用の装置であって、当該装置は、インタフェース(17)と処理ユニット(16)とを含んでおり、
・前記インタフェース(17)は、当該装置(15)を前記車両(10)の通信チャネル(11)と接続するものであって、
・前記処理ユニット(16)は、前記装置(15)が前記通信チャネルを介した自身の通信を少なくとも一時的に中止し、さらなるメッセージを前記通信チャネル(11)に出力するまで、以降で当該装置(15)が監視から除外されるべきであることを監視装置(12)に示すために、監視中止通知メッセージを、前記インタフェース(17)を介して前記通信チャネル(11)に出力するように構成されている、
ことを特徴とする、車両用の装置。
【請求項9】
前記装置(15)は、前記車両(10)の快適性に関する機能の制御機器を含んでいる、請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記装置(15)はスリープモードを有しており、
前記装置(15)は、前記監視中止通知メッセージの出力後に、前記処理ユニット(16)によって当該スリープモードに移行されるように構成されている、請求項8または9記載の装置。
【請求項11】
通信チャネルと接続されている、車両内の装置を監視する監視装置であって、
・当該監視装置(12)を前記通信チャネル(11)と接続するためのインタフェース(14)と、
・処理ユニット(13)とを有しており、当該処理ユニット(13)は、前記装置(15)によって出力された2つのメッセージの間の時間間隔が所定の時間以下である場合に、前記装置(15)が正常な状態にあると定め、
前記装置(15)によって最後に出力されたメッセージの出力から、前記所定の時間よりも長い時間が経過している場合であっても、前記装置(15)によって最後に出力されたメッセージが、前記通信チャネルを介した自身の通信を少なくとも一時的に中止することを監視装置(12)に伝える、監視中止通知メッセージを含んでいる場合に、前記装置(15)が正常な状態にあると定め、及び、
・前記監視中止通知メッセージを出力した装置(15)を、当該装置(15)がさらなるメッセージを前記通信チャネル(11)に出力するまで、前記監視から除外するように構成されており、前記さらなるメッセージは、前記正常な状態にあるときに出力していたメッセージと同一である、
ことを特徴とする、通信チャネルと接続されている、車両内の装置を監視する監視装置。
【請求項12】
前記装置(15)によって最後に出力されたメッセージが前記監視中止通知メッセージを含んでおらず、かつ、前記装置(15)によって最後に出力されたメッセージの出力から、前記所定の時間よりも長い時間が経過している場合に、当該装置(15)が正常でない状態にあると定めるように前記処理ユニット(13)は構成されている、請求項11記載の監視装置。
【請求項13】
車両であって、
・当該車両(10)内の装置(12、15、18−20)を接続するための通信チャネル(11)と、
・前記通信チャネル(11)と接続されている、請求項8から10までのいずれか一項記載の少なくとも一つの装置(15)と、
・前記通信チャネル(11)と接続されている、請求項11または12記載の監視装置(12)とを含んでいる、
ことを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信チャネルと接続されている、車両内の装置を監視する方法に関する。本発明はさらに、車両の通信チャネルで結合されており、その機能が監視される車両用の装置に関する。本発明はさらに、通信チャネルと接続されている、車両内の装置を監視する監視装置に関する。
【0002】
車両、例えば乗用車またはトラック内には、多数の電子装置、いわゆる制御機器が用いられている。これらの装置は、例えばエンジンの機能、車両の機能の制御のため、例えば、電子的なシャシー調整または制動制御のため、並びに快適性に関する機能、例えば電子的な座席位置調整またはミラー位置調整の制御のために使用される。これらの電子的な装置は、車両の一つまたは複数のデータバス、例えばいわゆるCANバスを介して情報を交換することができる。これらの電子的な装置または制御機器のうちの幾つかは、時折しか、車両内のデータ通信に参加しない。制御機器を使用していない場合には、これらは、例えばデータトラフィックを中止することができる。電子装置または制御機器の正常な機能を監視している監視機器から見て、監視されるべき制御機器がデータを伝送していないこのような状態は、制御機器の故障と区別されない。従って、このような制御機器は通常、制限的にしか監視されない。
【0003】
この関連において、EP1634258B1号は、電子装置を、権利のない取り外しから保護する方法を開示している。第1の装置は自動的に、保護装置として、複数の装置から選択される。この装置は周期的に保護信号を伝送し、保護反応は他の装置のうちの一つによってトリガされる。これは、上述した、他の装置のうちの一つが、特定の時間の後に、保護信号を受信しない場合である。この保護装置がオフされる場合、この保護装置は、まずは中止通知信号を伝送する。この中止通知信号は、保護されるべき装置に次のことを示す。すなわち、さらなる保護信号がこの保護装置からは伝送されず、残りの装置から他の装置が自動的に保護装置として選択されることが示される。
【0004】
DE102006040442B4号は、バスを介して接続されている複数の制御機器を有している自動車でのバス通信管理に関する。制御機器の起動は、制御機器の間で、バスシステムを介して行われる通信に依存する。第1の制御機器は、車両が静止状態にある場合には、バスシステム上での通信を許可しないように構成されており、第2の制御機器は、第1の制御機器が通信を許可していない場合に、バスシステム上での通信を中止するように構成されている。さらに、強制シャットダウン特別機能がある。これは、制御機器の、バスシステムを介して行われる、既に存在している、他の制御機器との通信を中断する。
【0005】
US7764185B1は、ネットワークイベント警報システムに関する。これは、イベント警報メッセージを、ネットワーク情報システム内の一つまたは複数の個別ユニットへ配分することを可能にする。コンピューターシステムはエネルギー管理手段を含んでいる。これによって、エネルギーを節約することができる。これは、使用されていないときに、コンピュータをスリープモードに移行させることによって行われる。
【0006】
US2011/0083029A1号は、制御部に関する。ここで第1の制御部はシステム状況情報を提供することができ、第2の制御部はこのシステム状態情報を受信することができる。第2の制御部は、コンポーネントの状態を制御するようにプログラミング可能である。このコンポーネントはスイッチオフ入力端を有しており、これによって、スイッチオフ信号が第2の制御部によって受信される。
【0007】
DE102007061724A1号は、通信システムの送信側加入者から、通信システムの通信媒体を介して、通信システムの受信側加入者にデータを伝送する方法に関する。このデータは、通信媒体を介して複数の通知に伝送される。これらの通知はそれぞれ複数のデータブロックを含んでいる。受信側の加入者は、受信した通知内で、データブロックの終端を識別し、これに続いて、伝送されたデータを識別されたデータブロックから取り出す。
【0008】
DE602005005108T2号は、車両内の装置制御システムに関する。ここでこのシステムは、メイン制御装置と少なくとも一つの操作ユニットとを有する。メイン制御装置は、シリアルデータ伝送が、少なくとも一つの操作ユニットを用いてバスを通じて実行されるように設けられている。これは、バッテリーエネルギー源によって給電される。このシリアルデータ伝送は、メイン制御装置から少なくとも一つの操作ユニットへ動作命令を供給することによって少なくとも一つの操作ユニットを操作するために、および、種々の情報を少なくとも一つの操作ユニットからメイン制御装置へと供給するために実行される。メイン制御装置は、バッテリーエネルギー源の電圧を監視するための電圧モニターを有している。メイン制御装置は、接続許可ユニットを有している。これによって、バッテリー電圧源の電圧が所定の電圧範囲内にある場合、メイン制御装置と少なくとも一つの操作装置との間の接続データの伝送が許可される。この接続許可ユニットは、バッテリーエネルギー源が所定の電圧範囲外にある場合、データ接続の伝送を禁止する。
【0009】
DE102005015912A1号は、ネットワークの動作方法に関する。ここでは、一つの第1の負荷と少なくとも一つの第2の負荷並びに監視ユニットとの間で、少なくとも一つの第1の、並びに他のネットワーク管理通知が送信される。監視ユニットによって、受信されたネットワーク通知に基づいて、第1のネットワーク管理通知が、第1ないしは第2の負荷に割り当てられる。第1の負荷は時折第1のアクション動作状態において動作され、時折スリープ動作状態において動作される。第1の負荷は、ある動作状態から他の動作状態に切り替わると、動作状態の変化を示すネットワーク管理通知を送信する。
【0010】
冒頭に記載した問題に鑑みて、本発明の課題は、通信チャネルと接続されている装置の改善された監視を提供することである。監視部は殊に、通信チャネルを介して断続的にのみデータ通信に参加する装置および制御機器も確実に監視すべきである。
【0011】
本発明では、上述の課題は、請求項1に記載されている、通信チャネルと接続されている、車両内の装置を監視する方法によって解決され、さらに、請求項6記載の車両用の装置によって解決され、さらに、請求項8記載の、通信チャネルと接続されている、車両内の装置を監視する監視装置によって解決され、さらに、請求項10記載の車両によって解決される。従属請求項は、本発明の有利な実施形態を規定している。
【0012】
本発明では、車両内の、通信チャネルと接続されている装置の監視方法が提供される。この方法では、装置によって通信チャネル上に送信される2つのメッセージ間の時間間隔が所定の時間以下である場合に、この装置が正常な状態にあると定められる。さらに、この装置によって、通信チャネル上に監視中止通知メッセージが送出される。これは殊に、この装置が、例えば内部の状態に基づいて、自身がおそらく将来、比較的長い時間、さらなるメッセージを通信チャネル上に出力しないであろう、ということを特定した場合である。この装置によって最後に出力されたメッセージが監視中止通知メッセージを含んでいる場合、この装置が正常な状態にあると定められる。これはたとえこの装置によって最後に出力されたこのメッセージの出力から、特定の時間よりも長い時間が経過していてもである。この装置によって出力された最後のメッセージとは、次のようなメッセージである。すなわち、この装置が正常な状態にあるか否かを決定する直前に、通信チャネル上に出力されたメッセージである。換言すれば、この装置の監視は次のように行われる。すなわち、この装置が、特定の時間以下の時間的な間隔でメッセージを出力している間は、この装置が正常であると評価されるように、行われる。この装置が、自身がおそらく、この特定の時間よりも長い時間、メッセージを出力しないであろうことを特定すると、この装置は、監視中止通知メッセージを出力する。この監視中止通知メッセージは、例えば、所定のメッセージであり得る、または、データメッセージ内の特定の注釈を含み得る。装置が監視中止通知メッセージを出力した後、装置によって出力される2つのメッセージの間の時間間隔は、もはや、装置の正常な状態を確認するための判断基準として用いられない。従ってこの装置は、装置によって最後に出力されたメッセージが監視中止通知メッセージを含んでおり、この監視中止通知メッセージの出力から、所定の時間よりも長い時間経過した場合にも、正常であると評価される。従って、この装置は早期に、監視装置に、使用中止を届け出ることができ、これによって一貫した監視が保証される。中止通知されていない装置の状態において、通信エラーまたは装置の故障が確実に識別される。装置が監視中止通知メッセージを送信すると、この装置が自動的に監視から除外されることによって、はじめて、この装置の体系的な監視が可能になる。
【0013】
一つの実施形態では、この方法では、監視中止通知メッセージを出力した装置は、この装置が他のメッセージを通信チャネル上に出力するまで監視から除外される。この、他のメッセージは例えば、通常のデータメッセージを含み得る。これによって、通信チャネル上の通信に再び参加するとすぐに、この装置は自動的に再び監視される。通信チャネル上の特別な通知は不要である。従って、付加的な通信メッセージを回避することができる。
【0014】
他の実施形態では、装置によって最後に出力されたメッセージが監視中止通知メッセージを含んでおらず、さらに、この装置によって最後に出力されたメッセージの出力から、特定の時間よりも長い時間が経過している場合に、この装置が正常でない状態にあると定められる。従って、この装置の故障を迅速かつ確実に検出することができる。この特定の時間間隔は、例えば20ms乃至2sの範囲の値を有している。従って、装置の故障の迅速な検出が可能である。この装置は例えば、正常な状態において、かつ、監視中止通知をしていない状態において、例えば、所定の時間の1/5乃至1/10の短い間隔でメッセージを出力することができる。これは監視の頑強性を改善し、殊に、非決定論的なバスシステム、例えばCANバスでは、必要となり得る。
【0015】
通信チャネルは、車両データバス、殊にいわゆるCAN(Controller Area Network)バスを含み得る。上述の方法によって、車両データバスを介して相互に接続されている装置を確実に、正常な状態か否かに関して監視することができる。しかも、本来は通信が不必要であるにもかかわらず、この装置が、例えば、所定の時間内でメッセージを出力するために、不必要に高い通信負荷を車両データバス上で生成することもない。
【0016】
本発明では、さらに、車両用の装置が提供される。この装置は、この装置を車両の通信チャネルと接続するためのインタフェースと、処理ユニットとを含んでいる。この処理ユニットは、監視中止通知メッセージを、インタフェースを介して通信チャネル上に出力するように構成されている。これによって、この装置が以降で、さらなるメッセージを通信チャネル上に出力するまで監視から除外されるべきであることが示される。これによって次のことが可能になる。すなわち、この装置が通信チャネル上の通信に参加している間は、この装置が相応する監視装置によって自身の正常な機能に関して監視されることが可能になる。装置が、通信チャネルを介した自身の通信を少なくとも時折中止する場合、装置はこれを、監視中止通知メッセージを介して伝える。従って監視装置は、装置からのメッセージが無いことに基づいて、装置の故障を誤って示すことはない。これによって、通信チャネル上の通信発生を低減させることができ、さらに、装置内のエネルギーが節約される。これは例えば、装置が不必要な間、装置をいわゆるスリープモードへ移行させることによって行われる。これによってさらに、装置の保持性が改善される。
【0017】
この装置は例えば、車両の快適性制御機器を含み得る。これは例えば座席位置調整部、ミラー位置調整部または車両エンターテイメントシステムの制御機器、例えばラジオである。さらに、この装置は、電動車の牽引結合部または充電機器用の制御機器を含み得る。殊に、上述した快適性制御機器または牽引結合部または充電機器用の制御機器は、監視中止通知メッセージを通信チャネル上に出力した後、長い時間の間、自身の通信を中止し得る、および/または、スリープモードに移行し得る。
【0018】
本発明ではさらに、車両内の、通信チャネルと接続されている装置を監視する監視装置が提供される。この監視装置は、この監視装置を通信チャネルと接続するためのインタフェースと処理ユニットとを含んでいる。装置によって出力される2つのメッセージの間の時間間隔が所定の時間を下回る場合、処理ユニットは、この装置が正常な状態にあると定める。さらにこの処理ユニットは、この装置によって出力された最後のメッセージが監視中止通知メッセージを含んでいる場合には、この装置によって最後に出力されたこのメッセージの出力から所定の時間よりも長い時間が経過している場合でも、この装置が正常な状態にあると定める。換言すればこの装置は、メッセージを特定の時間以下の間隔で出力している間、または、監視中止通知メッセージを出力した後は、正常であると識別される。監視中止通知メッセージの出力後は、さらなるメッセージが所定の時間以下の間隔で出力されるか否かは重要ではない。監視装置は、上述の方法を実行するように構成され、従って、この方法に関連して上述した利点も有している。
【0019】
最後に、本発明では、車両が提供される。この車両は、通信チャネルと、上述したような、監視されるべき少なくとも一つの装置と、上述したような監視装置とを含んでいる。通信チャネルは、監視されるべき少なくとも一つの装置と監視装置とを接続するために用いられる。この車両では、監視されるべき装置が時々しか車両内のデータ通信に参加しない場合でも、監視されるべき装置の確実な監視が可能である。
【0020】
本発明を以下で、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一つの実施形態に従った車両の概略図
【
図2】本発明の一つの実施形態に従った、通信チャネルと接続されている装置を監視する方法のステップが示されているフローチャート
【実施例】
【0022】
図1は、通信チャネル11を有する車両10を示している。ここでこの通信チャネルは、例えば車両通信バス、例えばCANバスである。通信チャネル11は、装置、いわゆる制御機器15および18乃至20を接続する。これらの装置は、車両10内に、種々の機能を制御するために配置されている。例えば、制御機器15および18は、運転席ないしは助手席の座席位置調整のための制御機器を含み得る。さらに制御機器20は、例えば、(図示されていない)車両10の牽引結合部用の制御機器を含み得る。車両10はさらに、監視装置12を含む。この監視装置は、制御機器15および18乃至20を監視するように構成されている。制御機器15および18乃至20の各々は、それぞれ一つのインタフェース17を、この制御機器を通信チャネル11と接続するために有している。さらに、制御機器15および18乃至20の各々は、それぞれ一つの処理ユニット16、例えばマイクロコントローラを含む。監視装置12は、通信チャネル11との結合のためのインタフェース14と処理ユニット13とを含んでいる。
【0023】
装置15および18乃至20を監視するために、監視装置12は、装置15および18乃至20から通信チャネル11上に出力されるメッセージを監視する。
図2は例示的に、装置15および18乃至20を監視するためのフローチャートを示している。監視されるべき装置15および18乃至20の各々に対して、例えばソフトウェアの形態で、
図2に示されたプロセスが監視装置12の処理ユニット13内で実現される。ステップ100では、装置15、18、19または20の監視が始まる。ステップ101では、タイマーが始動される。ステップ102では、メッセージが、相応する装置から通信チャネル11上に送出され、監視装置12によって受信されたか否かが検査される。メッセージが受信されていない場合、処理ユニット13はステップ103において、タイマーを用いて、所定の時間が経過したか否かを検査する。この時間は例えば、200msから2sまでの値を有し得る。この所定の時間が経過していない限り、処理ユニット13はさらに、ステップ102において、メッセージを受信するのを待つ。ステップ103において、所定の時間が経過したことが確認されると、処理ユニット13はステップ104において、相応する装置が正常でないと定める。なぜなら、所定の時間よりも長い時間の間に、装置からメッセージが受信されなかったからである。ステップ102において、装置によってメッセージが受信されると、処理ユニット13は、ステップ105において、相応の装置が正常に動作していると定める。なぜならこの装置は、所定の時間の間にメッセージを出力したからである。ステップ106において、処理ユニット13は、装置によって受信されたメッセージが、監視中止通知メッセージであるか否かを検査する。これが監視中止通知メッセージでなかった場合、この方法は、タイマーの再始動を伴うステップ101に続く。受信したメッセージが監視中止通知メッセージであった場合、この方法はステップ107に続く。ここでは処理ユニット13は、装置からさらなるメッセージを受信するまで待機する。装置からメッセージを受信すると、この方法はステップ101に続く。
【0024】
車両の幾つかの制御機器または装置は、時折、車両内のデータ通信に参加するだけなので、通常は、監視装置はこれを本当の故障と区別することができない
。従って通常、このような制御機器は、制限的にしか監視されない。上述した方法では、制御機器は早期に、監視制御機器に、監視中止通知メッセージを用いて使用中止を届け出る。これは例えば、暫定的に最後のメッセージ出力の直後、例えば一秒後である。これによってこの監視はこの小さいウィンドウを除いて、常に保証され、時折しかデータ通信に参加しない制御機器も監視することが可能になる。これに続いて、
監視装置12は、その監視を中止する。装置15および18乃至20のうちの一つの装置が本当に故障している場合には、監視中止通知が知らせられずに、データトラフィックが無くなる。従って、これは確実に、監視装置12によって識別される。装置15および18乃至20の典型的なエラーケースは、例えば線路の中断も含む。これによって、データ通信チャネルまたは監視装置15、18乃至20へのエネルギー供給が作動しなくなる。
【0025】
上述した方法は、従来のバスシステムに対してコンパチブルに導入可能である。これは、新たな制御機器が、監視装置とは無関係に、監視中止通知メッセージを導入することによって行われる。通常の監視装置は既に、機器の監視が未知のメッセージを有することが認定されるように設計されている。これは、イグニッションがオン状態の場合のみ作動する。従って、装置が監視中止通知メッセージを出力する場合、監視装置は、イグニッションがオンの場合にのみ作動して、メッセージを送信する機器をベースにする。