特許第6234462号(P6234462)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234462
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】タッチスクリーン入力処理方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20171113BHJP
   G06F 3/046 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   G06F3/041 580
   G06F3/041 522
   G06F3/046 A
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-529674(P2015-529674)
(86)(22)【出願日】2013年8月28日
(65)【公表番号】特表2015-526825(P2015-526825A)
(43)【公表日】2015年9月10日
(86)【国際出願番号】KR2013007729
(87)【国際公開番号】WO2014035141
(87)【国際公開日】20140306
【審査請求日】2016年6月22日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0095081
(32)【優先日】2012年8月29日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】503447036
【氏名又は名称】サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100140534
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 敬二
(72)【発明者】
【氏名】ジョ−ホン・イ
(72)【発明者】
【氏名】サン−ヒョック・オ
【審査官】 萩島 豪
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−093641(JP,A)
【文献】 特開平08−137608(JP,A)
【文献】 特開2001−043006(JP,A)
【文献】 特開2011−138180(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0078476(US,A1)
【文献】 米国特許第04992630(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041 − 3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチスクリーン入力装置であって、
タッチスクリーン上の電子ペンの接触入力及びホバリング入力を受信する入力感知パネルと、
前記入力感知パネルから提供される入力感知信号に基づいて、前記接触入力又は前記ホバリング入力のいずれが感知されたかを判定し、
前記入力感知信号が前記ホバリング入力を示す場合に、前記入力感知パネルから提供される前記入力感知信号を処理し、前記タッチスクリーン上前記電子ペンの入力位置を示す座標信号を発生し、前記接触入力の時に比べてより広い感知範囲を有するように設定される、前記電子ペンの入力移動を検出するための移動判定基準フィルタを通して前記ホバリング入力に移動を判定する入力感知制御器と
を有し、
前記移動判定基準フィルタは、前記入力感知パネルの領域で前記電子ペンが移動したか否かを判定するための感知範囲を有することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記移動判定基準フィルタは、前記接触入力及び前記ホバリング入力に従って、前記電子ペンが位置する前記入力感知パネルの異なる領域で異なる感知範囲を有するように設定されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記入力感知パネルの前記異なる領域は、少なくとも中心領域、エッジ領域、及びコーナ領域を含み、前記移動判定基準フィルタは、前記接触入力及び前記ホバリング入力に従って、前記コーナ領域、前記エッジ領域、及び前記中心領域の順序により広い感知範囲を有するように設定されることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記入力感知制御器は、前記入力感知信号が前記ホバリング入力に対応するか又は前記接触入力に対応するかを判定するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記入力感知パネルは、電磁共鳴(EMR)方式の感知パネルであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
タッチスクリーン入力を処理する方法であって、
タッチスクリーン上で電子ペンからの入力が接触入力であるか又はホバリング入力であるかを判定するステップと、
前記接触入力の時には、前記電子ペンの入力移動を検出するための予め定められた第1の移動判定基準フィルタを適用し、前記ホバリング入力の時には、前記第1の移動判定基準フィルタに比べてより広い感知範囲を有するように予め定められた第2の移動判定基準フィルタを適用することにより、前記電子ペンの入力位置に対する、前記タッチスクリーンの入力感知パネル上で前記電子ペンの移動判定するステップと、
前記判定結果に基づいて、前記電子ペンの移動の有無に応じた座標信号を出力するステップと
を有し、
前記第1の移動判定基準フィルタ及び前記第2の移動判定基準フィルタは、前記入力感知パネルの領域で前記電子ペンが移動したか否かを判定するための感知範囲を有することを特徴とする方法。
【請求項7】
前記第1の移動判定基準フィルタ及び前記第2の移動判定基準フィルタは、前記電子ペンが位置する前記入力感知パネルの異なる領域で異なる感知範囲を有するように設定されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記入力感知パネルの異なる領域は、少なくとも中心領域、エッジ領域、及びコーナ領域を含み、前記第1の移動判定基準フィルタ及び前記第2の移動判定基準フィルタは、前記コーナ領域、前記エッジ領域、及び前記中心領域の順序により広い感知範囲を有するように設定されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記座標信号は、前記入力感知パネル上のX軸及びY軸の座標情報を含み、前記接触入力又は前記ホバリング入力を判定する情報を含むことを特徴とする請求項6乃至請求項8のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記タッチスクリーン上で前記電子ペンの入力が前記接触入力であるか又は前記ホバリング入力であるかを判定するステップは、前記入力感知パネルから入力感知信号の周波数を分析するステップを有することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチスクリーン入力方式に関する。より詳細に、本発明は、スタイラスペンのような電子ペン(electronic pen)を用いるタッチスクリーン入力処理方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近のディスプレイ装置は、ユーザが指又は電子ペンを用いて直接に画面をタッチして入力するタッチスクリーン入力方式が幅広く適用されている。このようなタッチスクリーン入力方式は、スマートフォン、携帯電話、ノートブックコンピュータ、オールインワン(All-in-one)パーソナルコンピュータ(PC)、タブレット(Tablet)PC、携帯用マルチメディアプレーヤ(Portable Multimedia Player:PMP)などのような携帯端末などに主に採用されている。タッチスクリーン入力方式は、ユーザがディスプレイ画面の特定の位置をタッチすることによりユーザが指示した位置情報を入力するための入力デバイスであり、直観的であり便利なユーザインターフェースを提供する。特に、ペンを用いるタッチ入力方式は、指を使用するタッチ入力より精密な座標入力の指定に効率的である。したがって、ペンを使用するタッチ入力方式は、CADプログラムを使用するグラフィック機能を実行するのに適合している。
【0003】
このようなタッチスクリーン入力方式は、ディジタイザ、EGIP(Electric graphic input panel)と称され、ユーザが指示した位置を検出する方式に従って、抵抗膜(Resistive)方式、静電容量(Capacitive)方式、電磁共鳴(Electro Magnetic Resonance:EMR)方式(又は電磁気方式)などに大別される。
【0004】
抵抗膜方式は、タッチスクリーンに印加された直流電圧に基づく電流量の変化を用いてタッチにより押さえられた位置を感知する。抵抗膜方式は、指または電子ペンがタッチスクリーンの2層の薄い導電層と接触し圧力を加える場合に、指又はスタイラスペンのような電子ペンの接触を感知する。
【0005】
静電容量方式は、交流電圧がタッチスクリーンに印加される状態でキャパシタンスカップリング(Capacitance Coupling)を用いて入力を感知する方式であり、感知された対象が導体でなければならず、感知可能なキャパシタンスの変化を与えるために一定以上の接触面積が必要である。
【0006】
他方、EMR方式は、ループコイルが配列されたディジタイザセンサ基板を使用する。したがって、ユーザが電子ペンを動かす場合に、電子ペンは、磁気共鳴を発生させるように交流信号により駆動され、磁気共鳴は、ディジタイザセンサ基板のコイルに信号を誘導する。タッチスクリーンは、コイルに誘導された信号を通して電子ペンの位置を検出することができる。
【0007】
EMR方式に従って、基板に取り付けられた複数のコイルを有するディジタイザセンサ基板とのペンの接触による電気的変化を感知することにより電子ペンの位置を識別するので、上述した抵抗膜方式とは異なり、センサ基板をディスプレイモジュールの前面に配置することが不要である。したがって、これは、ディスプレイモジュールの背面にもセンサ基板を配置することができる。他方、EMR方式を採用するディジタイザ入力装置とユーザの指の接触を感知できるタッチ入力装置とを含む複数の入力装置は、携帯端末に提供されることができる。
【0008】
本願出願人により先出願された韓国特許公開公報第10−2012−0079595号には、タッチスクリーン入力方式の技術が説明された入力装置の入力エラーを訂正するための装置及び方法について開示されている。
【0009】
他方、タッチスクリーンに対する電子ペンの直接的な接触状態と電子ペンの非接触状態、すなわち、ホバリング(hovering)状態の識別が可能な技術が最近に提供されている。しかしながら、より効率的な入力処理に関する技術が要求されている。
【0010】
上述した情報は、本開示の理解を助けるための背景情報としてのみ提示される。上記で開示された内容が先行技術として適用可能であるか否かにより、本開示が先行技術として定義されるか否かが主張されてはいけない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述した課題もしくは不都合な点を解決し、少なくとも以下に示す優位性を提供する。すなわち、本発明の目的は、タッチスクリーンに対する電子ペンの接触状態とホバリング状態とを識別することにより、より効率的な入力処理が実行できるタッチスクリーン上の入力を処理する装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記のような目的を達成するために、本発明の一態様によれば、タッチスクリーン上の入力を処理する装置が提供される。上記装置は、タッチスクリーンで電子ペンの接触入力及びホバリング入力を受信する入力感知パネルと、上記入力感知パネルから提供される入力感知信号を処理し、上記タッチスクリーン上の入力位置を示す座標信号を発生し、上記接触入力の時に比べて上記ホバリング入力の時に、より広い感知範囲を有するように設定された移動判定基準フィルタを通して上記ホバリング入力に従う上記入力感知信号を処理する入力感知制御器とを含むことを特徴とする。
【0013】
一実施形態において、上記移動判定基準フィルタは、上記接触入力及び上記ホバリング入力に従って、上記電子ペンが位置する入力感知パネルの異なる領域で異なる感知範囲を有するように設定される。
【0014】
他の実施形態において、上記入力感知パネル上の異なる領域は、少なくとも中心領域、エッジ領域、及びコーナ領域を含み、上記接触入力及び上記ホバリング入力に従って、上記コーナ領域、上記エッジ領域、及び上記中心領域の順序により広い感知範囲を有するように移動判定基準フィルタが設定される。
【0015】
本発明の他の態様によれば、タッチスクリーン上の入力を処理する方法が提供される。上記方法は、タッチスクリーンで電子ペンの入力が接触入力であるか又はホバリング入力であるかを判定するステップと、上記接触入力の時には、予め定められた第1の移動判定基準フィルタを適用し、上記ホバリング入力の時には、上記第1の移動判定基準フィルタに比べてより広い範囲を有するように予め定められた第2の移動判定基準フィルタを適用することにより上記タッチスクリーンの入力感知パネル上の上記電子ペンの座標を計算するステップと、上記計算された座標に従う座標信号を出力するステップとを含むことを特徴とする。
【0016】
一実施形態において、上記第1の移動判定基準フィルタ及び上記第2の移動判定基準フィルタは、上記電子ペンが位置する入力感知パネル上の異なる領域で異なる感知範囲を有するように設定される。
【0017】
他の実施形態において、上記入力感知パネル上の異なる領域は、少なくとも中心領域、エッジ領域、及びコーナ領域を含み、上記コーナ領域、上記エッジ領域、及び上記中心領域の順序に、より広い感知範囲を有するように上記第1の移動判定基準フィルタ及び上記第2の移動判定基準フィルタが設定される。
【0018】
もう1つの実施形態において、上記座標信号は、上記入力感知パネル上のX軸及びY軸の座標情報を含み、上記接触入力又は上記ホバリング入力を判定する情報を含む。
【0019】
本発明の他の目的、利点、及び顕著な特徴は、添付の図面及び本発明の実施形態からなされた以下の詳細な説明から、この分野の当業者に明確になるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態によるタッチスクリーン入力装置の入力感知パネル及び電子ペンの一例を示す図である。
図2】本発明の一実施形態によるタッチスクリーン入力装置を有する携帯端末の構成を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態による電子ペンの移動が存在するか否かを判定するための移動判定基準フィルタを示す図である。
図4】本発明の一実施形態によるタッチスクリーン上の各領域での電子ペンの入力感知信号の強度を示す図である。
図5A】本発明の一実施形態によるタッチスクリーン上の電子ペンの各高さに対する入力感知信号の強度を示す図である。
図5B】本発明の一実施形態によるタッチスクリーン上の電子ペンの各高さに対する入力感知信号の強度を示す図である。
図6】本発明の一実施形態によるタッチスクリーン入力を処理する方法を示すフローチャートである。 本発明の実施形態の上述した及び他の様相、特徴、及び利点は、添付の図面が併用された以下の詳細な説明から、より一層明らかになるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面中、同一の図面参照符号が同一の構成エレメント、特性、又は構造を意味することは、容易に理解できるであろう。
【0022】
添付の図面を参照した下記の説明は、特許請求の範囲の記載及びこれと均等なものの範囲内で定められるような本発明の実施形態の包括的な理解を助けるために提供され、この理解を助けるための様々な特定の詳細を含むが、単なる実施形態にすぎない。したがって、本発明の範囲及び趣旨を逸脱することなく、明細書中に説明した実施形態の様々な変更及び修正が可能であるということは、当該技術分野における通常の知識を有する者には明らかであろう。また、明瞭性と簡潔性の観点から、当業者には既知の機能や構成に関する具体的な説明を省略する。
【0023】
以下の説明及び請求項に使用する用語及び単語は、辞典的意味に限定されるものではなく、本発明の理解を明確且つ一貫性があるようにするために使用される。したがって、本発明の実施形態の説明が単に実例を提供するためのものであって、特許請求の範囲とこれと均等なものに基づいて定義される発明をさらに限定する目的で提供されるものでないことは、本発明の技術分野における通常の知識を持つ者には明らかであろう。
【0024】
本願明細書に記載の各エレメントは、文脈中で特に明示しない限り、複数形を含むことは、当業者には理解できるであろう。したがって、例えば、“コンポーネント表面(a component surface)”との記載は、1つ又は複数の表面を含む。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態によるタッチスクリーン入力装置の入力感知パネル及び電子ペンを示す図である。
図1を参照すると、電磁共鳴(EMR)タイプのタッチスクリーンが図示され、便宜上、その構造又はサイズが簡素化され誇張される。また、図1に示すタッチスクリーン入力装置は、例えば、携帯端末1に適用されることができ、スタイラスペンのような電子ペン20の接触及び非接触(例えば、ホバリング)状態の入力を感知するための入力感知パネル12を備える。
【0026】
入力感知パネル12は、ディジタイザセンサ基板、EMR感知パネルなどとも呼ばれる。入力感知パネル12において、複数のループコイル(loop coil)パターン122及び124は、横軸及び縦軸で相互に直交するように構成される。電子ペン20及び入力感知パネル12は、共に予め定められた共振周波数を有する磁場を発生するように構成される。横軸上のループコイルパターン122は、部分的に重なる状態で形成されることができる。同様に、縦軸上のループコイルパターン124も部分的に重なる状態で形成されることができる。入力感知パネル12において、複数のループコイルパターン122及び124は、順次に選択され、磁場の形成のための共振周波数の交流電流を印加する動作及び電子ペン20で形成される共振周波数の磁場を検出する動作を反復して実行する。
【0027】
一方、入力感知パネル12上で座標を入力するための電子ペン20は、インダクタコイル及びキャパシタで形成されたLC共振回路(LC resonance circuit)を含むメイン共振回路24を備える。インダクタコイルは、入力感知パネル12で形成された磁場により電流を発生し、発生した電流をLC共振回路のキャパシタに送信する。その後に、キャパシタは、インダクタコイルから送信される電流で充電され、充電された電流をコイルに放電させる。結局、コイルには、共振周波数の磁場が放出される。
【0028】
したがって、入力感知パネル12の複数のループコイル122及び124は、電子ペン20により放出された磁場を検出することができ、電子ペン20がタッチスクリーンの任意の位置に隣接するか否かを判定できる。より詳細に、ユーザがタッチスクリーンの近傍で電子ペン20を接触させるか又はホバリングさせる場合に、複数のループコイル122及び124の各々は、電子ペン20により発生する磁場を感知し、この磁場により誘導された誘導電流を入力感知信号として出力する。複数のループコイル122及び124の各々は、電子ペン20がループコイル122及び124に近接するほど信号強度が大きい入力感知信号を出力する。電子ペン20の正確な位置は、入力感知信号を用いて識別されることができる。
【0029】
また、電子ペン20は、タッチスクリーン上の接触状態又はホバリング状態に従って異なる信号を発生させるためにメイン共振回路24の共振周波数を可変する可変共振回路22を備える。可変共振回路22は、電子ペンの終わり部分(tip)がタッチスクリーンと接触する場合に、接触圧力により可変するインダクタンス値を有する可変インダクタ成分を含むか、又は接触圧力により可変するキャパシタンス値を有する可変キャパシタ成分を含む。このような可変インダクタ成分及び可変キャパシタ成分の可変値は、比較的微細な値に設定されることができる。
【0030】
メイン共振回路24の共振周波数は、タッチスクリーン上で電子ペン20の接触状態又はホバリング状態に従って可変共振回路22により影響を受ける。したがって、入力感知パネル12は、このような共振周波数の変化を検出することにより、電子ペン20がタッチスクリーンと接触状態であるか又はタッチスクリーンでホバリング状態であるかを判定する。
一方、入力感知パネル12は、その下部で他の回路から入力感知パネル12に流入する磁場を遮断するための遮蔽層を有する。
【0031】
また、入力感知パネル12、アクティブマトリクス有機発光ダイオード(Active Matrix Organic Light Emitting Diode:AMOLED)などを含む表示パネルを備えるタッチスクリーンは、外部の衝撃から保護されるためにブラケット30に装着され固設される。もちろん、ブラケット30は、対応する携帯端末1の回路、装備、及び外装ケースなどを外部の衝撃などから保護するために適切な形状を有する。
図2は、本発明の一実施形態によるタッチスクリーン入力装置を有する携帯端末の構成を示すブロック図である。
【0032】
図2を参照すると、携帯端末は、対応する携帯端末の動作状態、対応する携帯端末でのアプリケーションの実行、及び対応する携帯端末でのサービスに従う様々な映像を表示する。また、携帯端末は、対応する動作状態又はサービスに対応するユーザインターフェース(User Interface:UI)をユーザに提供するために表示画面上の電子ペンの接触状態又はホバリング状態のようなタッチ入力を感知するタッチスクリーン10を含む。タッチスクリーン10は、AMOLEDディスプレイのような表示パネル14及びEMR感知パネルのような入力感知パネル12を含む。
【0033】
タッチスクリーン制御部40は、タッチスクリーン10の表示パネル14の映像表示を制御する表示制御器44と、タッチスクリーン10の入力感知パネル12から提供される入力感知信号を処理する入力感知制御器42とを含む。入力感知制御器42は、タッチスクリーン10の入力感知パネル12から提供され、電子ペンの入力に対応するアナログ入力感知信号(例えば、ハードウェアにより感知される座標信号)を受信して処理し、受信されたアナログ信号を座標信号(例えば、ソフトウェアにより処理された座標信号)、例えば、X及びY座標の座標信号に変換する。その後に、入力感知制御器42は、座標信号を端末制御部50に送信する。入力感知制御器42により提供される座標信号は、電子ペンの接触状態又はホバリング状態に対する信号(例えば、Z座標)を含むことができる。
【0034】
端末制御部50は、表示する映像データをタッチスクリーン制御部40の表示制御器44に提供する。また、端末制御部50は、タッチスクリーン制御部40の入力感知制御器42から提供される電子ペンの入力に対応する座標信号に応じて対応するユーザインターフェースを操作する。また、端末制御部50は、対応するアプリケーションの予め定義された動作又は対応するサービスの実行状態の変更の動作を実行する。
【0035】
さらに、携帯端末は、対応する装置の前面上の特定の位置又は側面などに機械的に設置されることにより、ユーザが予め定められた動作の実行に対応する信号を入力するようにする複数のキー(ハードキー又はソフトキー)を有するキー入力部90と、移動通信のためのアンテナを備え、移動通信のための無線信号処理動作を実行することにより通信網と通信するための移動通信部60と、移動通信機能による電話通話の間に、ユーザの音声を受信するか又はユーザに可聴音を出力し、各種動作に対応するサウンド又は各種ディジタルオーディオ及びビデオコンテンツに対応するサウンドを出力するスピーカ及びマイクロフォンを含む音声入出力部70と、タッチスクリーンコンテンツだけでなく、端末制御部50の動作に関連した動作プログラム、様々なアプリケーションプログラム、関連コンテンツ、及び映像データを記憶する記憶部80とを含む。
端末制御部50は、携帯端末の各機能部を制御し、対応する携帯端末の全動作を制御する。
【0036】
また、携帯端末は、充電用バッテリーを有する電源部(図示せず)、カメラ部(図示せず)、GPS部(図示せず)、振動部(図示せず)のような他の機能部を含む。もちろん、携帯端末が通常の携帯端末に適用されることができるいかなる機能部をさらに含んでもよい。
【0037】
タッチスクリーン制御部40は、本発明の他の実施形態において端末制御部50に含まれることができ、また、表示パネル14及び表示制御器44のそれぞれは、タッチスクリーン10及びタッチスクリーン制御部40とは個別に構成されることができる。
【0038】
図3は、本発明の一実施形態による電子ペンの移動が存在するか否かを判定するための移動判定基準フィルタを示す図である。
図3を参照して、タッチスクリーン制御部40の入力感知制御器42の動作について説明する。入力感知制御器42は、本発明の一実施形態による移動判定基準フィルタF(ムーブフィルタ又はボックスフィルタとも称する)を使用して電子ペンの移動が存在するか否かを判定する。すなわち、電子ペンに対する入力感知信号は、現在の座標Fpに対して、電子ペンの移動がX軸上の予め定められた基準距離±Frx又はY軸上の予め定められた基準距離±Fryを超過する場合に、電子ペンの移動を判定するようにタッチスクリーンの入力感知パネル12で処理される。
【0039】
より詳細に説明すると、入力感知信号は、例えば、秒当たり133回以上入力感知パネル12に提供されることができ、入力感知信号に対応する座標は、10μmの分解能(resolution)を有する。本例において、入力感知制御器42は、入力感知パネル12から提供される入力感知信号に対応する座標信号を発生させることができる。しかしながら、入力感知信号の強度又は雑音は、入力感知パネル12上の各領域で異なる。また、電子ペンの接触状態又はホバリング状態に従って入力感知信号の強度が変わる。この場合、入力感知信号に応じて座標信号を発生させる時に、不正確であるか又は不安定な座標信号を発生させる。
【0040】
図4は、本発明の一実施形態によるタッチスクリーン上の各領域での電子ペンの入力感知信号の強度を示す図である。
図4を参照すると、入力感知パネル12上の中心領域Aaでは、入力感知信号の強度が強いが、エッジ領域Abでは、入力感知信号の強度が弱い。このような信号の強度差は、入力感知パネル12を装着し固定するブラケットなどによりエッジ領域Abの入力感知信号が影響を受けるためである。さらに、入力感知パネル12のコーナ領域Acで入力感知信号の強度が最も弱くなることがわかる。
【0041】
図5A及び図5Bは、本発明の一実施形態によるタッチスクリーン上の電子ペンの各高さに対する入力感知信号の強度を示す図である。
図5Aは、タッチスクリーンを通した異なる高さを有する電子ペンの一例を示し、図5Bは、図5Aに示す電子ペンの各高さに対応する強度を有する信号の一例を示す。図5A及び図5Bに示すように、タッチスクリーン10での電子ペン20の高さがh0で0である場合、すなわち、電子ペン20がタッチスクリーンと接触状態にある場合、入力感知信号の強度がもっとも大きい。また、タッチスクリーンに関連した電子ペン20の高さが増加するに従って入力感知信号の強度が減少する。すなわち、h1又はh2でホバリングする場合に、h0で電子ペン20がタッチスクリーンと接触しているもののように、電子ペン20とタッチスクリーン10との間の距離が増加するほど入力感知信号の強度がそれぞれ減少する。
上述したように、入力感知信号が弱いことを考慮しない場合には、入力感知信号に対応する座標信号にジッタ(jitter)が現れる。
【0042】
図3をさらに参照すると、電子ペンの移動に対応する入力感知信号が現在の座標で移動判定基準フィルタFの範囲から外れる場合には、電子ペンの入力感知パネルの領域での移動が予め定められた範囲の移動判定基準フィルタFを使用して行われると判定され、座標信号が発生する。このような移動判定基準フィルタFは、現在の座標Fpを中心にして、X軸上の予め定められた基準距離±Frx及びY軸上の予め定められた基準距離±Fryを有するように設定される。
【0043】
しかしながら、移動判定基準フィルタFを設定する場合において、入力感知信号の信号強度だけを考慮して、弱い強度を有する入力感知信号が基準として設定される時に、移動判定基準フィルタFは、かなり広い範囲に設定される。したがって、座標の正確性のような座標品質を低下させることができる。
【0044】
したがって、本発明の一実施形態による方法は、電子ペンの接触状態と電子ペンのホバリング状態とを識別する。接触状態において、入力感知信号の強度が大きく、座標の品質が重要に考慮される。他方、タッチスクリーン上の電子ペンのホバリング状態においては、入力感知信号の強度が弱く、接触状態での 座標の品質よりは重要度が低く考慮され、したがって、この方法は、移動判定基準フィルタを対応する状態に合うように異なって適用する。すなわち、本発明の一実施形態は、電子ペンを用いて‘ドローイング(drawing)’アプリケーションなどを実行するにあたり、接触状態での電子ペンの移動に対応する微細な座標の変化を感知するようにし、ホバリング状態での座標のジッタ現象を改善するように移動判定基準フィルタを可変的に設定する。さらに、この場合に、タッチスクリーンの各領域でも入力感知信号の強度差を考慮して移動判定基準フィルタを可変的に設定する。
【0045】
図6は、本発明の一実施形態によるタッチスクリーン入力を処理する方法を示すフローチャートである。
図6を参照すると、タッチスクリーン入力を処理する方法は、図2に示したタッチスクリーン制御部40での入力感知制御器42を通して実行されることができる。まず、ステップ602において、入力感知制御器42は、入力感知パネル12の出力信号を把握し、電子ペンの入力がタッチスクリーン上で感知されるか否かを判定する。電子ペンの入力が感知される場合には、入力感知制御器42は、ステップ604に進み、電子ペンがタッチスクリーンで接触状態にあるか又は非接触(すなわち、ホバリング)状態にあるかを判定する。電子ペンが接触状態にある場合には、入力感知制御器42は、ステップ606に進む。他方、電子ペンがホバリング状態にある場合には、入力感知制御器42は、ステップ608に進む。
【0046】
ステップ606において、接触状態に対応して予め定められた第1の移動判定基準フィルタを出力信号に適用する。図4に示すように、第1の移動判定基準フィルタでのX軸上の基準距離±Frx及びY軸上の基準距離±Fryは、入力感知パネル12上の中心領域Aaで0に設定される。この場合、第1の移動判定基準フィルタは、フィルタリング動作を実行せず、入力感知信号その自体に対応するように座標信号を生成する。また、入力感知パネル12のエッジ領域Abについて、第1の移動判定基準フィルタのX軸の基準距離±Frx及びY軸の基準距離±Fryのすべては、0.1ミリメートル(mm)に設定される。エッジ領域Abは、コーナ領域Acを除いた、入力感知パネル12の上部、下部、及び両側部のそれぞれから15mmの範囲の領域に設定される。また、入力感知パネル12のコーナ領域Acについて、第1の移動判定基準フィルタのX軸の基準距離±Frx及びY軸の基準距離±Fryのすべては、0.2mmに設定される。この場合に、コーナ領域Acは、コーナから横方向及び縦方向に5mm×5mmの範囲の領域に設定される。ステップ606において、入力感知制御器42は、第1の移動判定基準フィルタを適用した後に、ステップ610に進む。
【0047】
他方、ステップ608において、非接触(ホバリング)状態に対応し、第1の移動判定基準フィルタに比べてより広い範囲の予め定められた第2の移動判定基準フィルタを適用する。例えば、入力感知パネル12上の中心領域Aaについて、第2の移動判定基準フィルタでのX軸上の基準距離±Frx及びY軸上の基準距離±Fryは、0.1mmに設定される。また、入力感知パネル12のエッジ領域Abについて、第2の移動判定基準フィルタのX軸の基準距離±Frx及びY軸の基準距離±Fryのすべては、0.3mmに設定される。入力感知パネル12のコーナ領域Acについて、第2の移動判定基準フィルタのX軸の基準距離±Frx及びY軸の基準距離±Fryのすべては、0.6mmに設定される。ステップ608において、入力感知制御器42は、第2の移動判定基準フィルタを適用した後に、ステップ610に進む。
【0048】
ステップ610において、入力感知制御器42は、現在適用されている移動判定基準フィルタ、すなわち、第1の移動判定基準フィルタ又は第2の移動判定基準フィルタを使用して、入力感知パネル上の電子ペンの座標移動が存在するか否かを確認する。その後に、ステップ612において、座標信号を出力する。このとき、電子ペンの座標移動が存在しないことが確認される場合には、ステップ612において、座標信号を出力できない。座標信号は、X及びY軸の座標を含むことができ、また、ホバリング状態でのZ軸の座標を含むことができる。この場合に、ホバリング状態を示すZ軸の座標が0又は1の値を有することによりホバリング状態が存在するか否かを示す。
【0049】
図6に示す動作を説明すると、ステップ602において、ハードウェアから提供される入力感知信号(すなわち、座標情報)が電子ペンの接触状態に従って、ステップ606又はステップ608において、第1又は第2の移動判定基準フィルタを通過する。この場合に、ステップ610において、座標イベントが発生する。入力感知信号が第1又は第2の移動判定基準フィルタによりフィルタリングされる場合には、座標イベントが発生しないと見なされることができる。
【0050】
移動判定基準フィルタは、電子ペンの接触状態及びホバリング状態のそれぞれに合うように適用されることができる。したがって、座標の分解能が重要である場合、すなわち、高い信号対雑音比(Signal-to-Noise Ratio:SNR)により座標のジッタが小さい接触状態では、座標のフィルタリングが実行されない。逆に、現在の座標に比べて小さな変化がある場合にも、座標イベントを処理する動作を実行する。他方、座標の安全性が重要である場合、すなわち、低いSNRにより座標のジッタが大きいホバリング状態において、座標の変化が所定の値より大きい場合のみに座標イベントを処理する動作が実行される。この場合に、タッチスクリーンで異なるSNRを有する各領域に対してフィルタリング基準値を異なって設定する。
【0051】
上述したように、タッチスクリーン入力処理方式がタッチスクリーンに対する電子ペンの接触状態及びホバリング状態を識別するので、入力を効率的に処理することができる。特に、ペンの移動が存在するか否かを安定して判定することができる。
【0052】
上述したように、本発明の一実施形態によるタッチスクリーン入力を処理する方法及び装置の構成及び動作がなされることができる。本発明の実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの組み合せの形態で実現することができる。このような任意のソフトウェアは、例えば、削除又は再記録が可能であるか否かに関係なく、読出し専用メモリ(ROM)などの記憶装置のような揮発性又は非揮発性記憶装置、又は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、メモリチップ、装置又は集積回路のようなメモリに記録可能であると同時に、機械(例えば、コンピュータ)で読み取ることができる記憶媒体に記憶することができる。
また、本発明は、具体的な実施形態を参照して説明されたが、本発明の範囲を逸脱することなく様々な変形を実施できることを理解できるはずである。
【0053】
例えば、電子ペンの接触状態又はホバリング状態に従って移動判定基準フィルタを異なって設定するものと説明された。しかしながら、本発明の他の実施形態において、電子ペンのホバリング状態で入力感知信号の強度に従って、すなわち、入力感知信号の強度が弱い場合に、より広い範囲で移動判定基準フィルタが動作するように移動判定基準フィルタを広い動作範囲に設定することができる。この場合には、ホバリング状態で電子ペンの高さに対応するように移動判定基準フィルタを異なって設定する。
【0054】
上述した説明では、タッチスクリーン上の領域が中心領域、エッジ領域、及びコーナ領域に区分されると記述されている。しかしながら、タッチスクリーン上の領域は、幾つかの領域に区分されることができ、エッジ領域も左端領域及び右端領域と上端領域及び下端領域に区分されることができる。
【0055】
また、上記の説明では、移動判定基準フィルタにおいて、X軸の基準距離±Frx、Y軸の基準距離±Fry、及びZ軸の基準距離±Frzが相互に同一に設定されると記述されている。しかしながら、移動判定基準フィルタにおいて、X軸の基準距離±Frx及びY軸の基準距離±Fryは、現在実行中であるアプリケーション又はサービスに従って相互に異なる値に設定されることができるだけではなく、タッチスクリーン上の各領域でも相互に異なる値に設定されることができる。
【0056】
さらに、上記の説明では、このような方法がEMR方式の電子ペン、入力感知パネルなどに適用されることができると記述されている。また、上記の方法は、電子ペンの接触状態及びホバリング状態を区分することができ、電子ペンの入力感知信号の強度を用いて座標信号を発生させることができるいかなる方式にでも適用可能である。
【0057】
以上、本発明を具体的な実施形態を参照して詳細に説明してきたが、本発明の範囲及び趣旨を逸脱することなく様々な変更が可能であるということは、当業者には明らかであり、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定されるべきではなく、特許請求の範囲の記載及びこれと均等なものの範囲内で定められるべきものである。
【符号の説明】
【0058】
1 携帯端末
10 タッチスクリーン
12 入力感知パネル
14 表示パネル
20 電子ペン
22 可変共振回路
24 メイン共振回路
30 ブラケット
40 タッチスクリーン制御部
42 入力感知制御器
44 表示制御器
50 端末制御部
60 移動通信部
70 音声入出力部
80 記憶部
90 キー入力部
122 ループコイル
124 ループコイルパターン
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6