特許第6234470号(P6234470)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6234470ホログラフィック光学素子を有する光学テープピックアップユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234470
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】ホログラフィック光学素子を有する光学テープピックアップユニット
(51)【国際特許分類】
   G11B 7/135 20120101AFI20171113BHJP
   G11B 7/1353 20120101ALI20171113BHJP
   G11B 7/003 20060101ALI20171113BHJP
   G11B 7/0045 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   G11B7/135
   G11B7/1353
   G11B7/003
   G11B7/0045 B
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-544067(P2015-544067)
(86)(22)【出願日】2013年10月9日
(65)【公表番号】特表2016-502222(P2016-502222A)
(43)【公表日】2016年1月21日
(86)【国際出願番号】US2013063973
(87)【国際公開番号】WO2014081513
(87)【国際公開日】20140530
【審査請求日】2016年10月7日
(31)【優先権主張番号】13/682,915
(32)【優先日】2012年11月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502303739
【氏名又は名称】オラクル・インターナショナル・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン,スコット・ディ
【審査官】 川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/092785(WO,A1)
【文献】 特開2007−234194(JP,A)
【文献】 特開2000−293883(JP,A)
【文献】 特開2006−012218(JP,A)
【文献】 特開2002−163830(JP,A)
【文献】 特開2007−193912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 7/00 − 7/013
G11B 7/12 − 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学テープピックアップシステムであって
0次ならびに+1および−1次ビームを光学テープ上に集束し、前記+1および−1次ビームに波面誤差を導入するように構成される非球面対物レンズと
前記+1および−1次ビームが前記非球面対物レンズに入る前に、前記非球面対物レンズによって前記+1および−1次ビームに導入される前記波面誤差を事前補償するホログラフィック光学素子とを備え、
前記ホログラフィック光学素子は、前記非球面対物レンズを出る前記+1次ビームの波面誤差が50ミリ波以下であるように、前記非球面対物レンズによって前記+1次ビームに導入される前記波面誤差と大きさがほぼ等しく極性が反対である波面誤差を前記+1次ビームに導入することによって、前記非球面対物レンズによって導入される前記波面誤差を事前補償し、
前記ホログラフィック光学素子は、前記非球面対物レンズを出る前記−1次ビームの波面誤差が50ミリ波以下であるように、前記非球面対物レンズによって前記−1次ビームに導入される前記波面誤差と大きさがほぼ等しく極性が反対である波面誤差を前記−1次ビームに導入することによって、前記非球面対物レンズによって導入される前記波面誤差を事前補償し、
前記ホログラフィック光学素子によって導入される前記波面誤差は、前記非球面対物レンズによって導入される前記波面誤差を事前補償前記非球面対物レンズを出る集束された前記+1および−1次ビームの結果として生じる波面誤差を減少させる、システム。
【請求項2】
前記非球面対物レンズはカバーガラスなしの非球面対物レンズである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記非球面対物レンズは単一のガラス素子のみを有する、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ホログラフィック光学素子は体積位相ホログラフィック格子である、請求項1〜のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学テープシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
光学テープはデータ記憶媒体である。ある例では、それは細長片の形態をとり得、この上にパターンを書込むことができ、ここからパターンを読取ることができる。光学テープは、磁気テープに対してより高いデータ転送レート、より大きい記憶容量、およびアクセス時間の短縮を促進し得る。さらに、光学テープは、テープの記録面に触れない光ピックアップユニットを用いて書込および読取がなされるため、磁気テープよりも耐久性があり得る。
【0003】
光学テープは、複数の光ピックアップユニット(optical pick up unit:OPU)をドライブに組込むことによって将来の大容量テープ需要を満たすように探究されている。光技術を採用するテープドライブは、既存の磁気テープドライブと比較してコスト競争力があるべきである。各ドライブに24個以上ものOPUを有して、低いOPUコストが望まれ得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
光学テープピックアップユニットは、ホログラフィック光学素子および非球面対物レンズを含む。ホログラフィック光学素子は、レーザビームを1次ビームに分割し、1次ビームに波面誤差を導入する。非球面対物レンズは、1次ビームを光学テープ上に集束し、1次ビームに波面誤差を導入する。ホログラフィック光学素子によって導入される波面誤差は、非球面対物レンズによって導入される波面誤差をオフセットし、集束される1次ビームの結果として生じる波面誤差を減少させる。非球面対物レンズは、カバーガラスなしの非球面対物レンズであり得る。非球面対物レンズは、単一のガラス素子のみを有し得る。ホログラフィック光学素子は、体積位相ホログラフィック格子であり得る。結果として生じる波面誤差の値は、50ミリ波未満であり得る。
【0005】
光学テープシステムは、光学テープピックアップユニットを含む。光学テープピックアップユニットは、ホログラフィック光学素子を含む。ホログラフィック光学素子は、レーザビームを+1および−1次ビームに分割し、+1および−1次ビームの各々に特定の極性および大きさの波面誤差を導入する。当該システムは、+1および−1次ビームを光学テープ上に集束する非球面対物レンズを含み得る。非球面対物レンズは、+1および−1次ビームの各々に波面誤差を導入し得る。非球面対物レンズによって+1次ビームに導入される波面誤差は、ホログラフィック光学素子によって+1次ビームに導入される波面誤差と反対の極性を有し得る。非球面対物レンズによって−1次ビームに導入される波面誤差は、ホログラフィック光学素子によって−1次ビームに導入される波面誤差と反対の極性を有し得る。非球面対物レンズによって+1次ビームに導入される波面誤差は、ホログラフィック光学素子によって+1次ビームに導入される波面誤差とほぼ等しい大きさを有し得る。非球面対物レンズによって−1次ビームに導入される波面誤差は、ホログラフィック光学素子によって−1次ビームに導入される波面誤差とほぼ等しい大きさを有し得る。非球面対物レンズは、カバーガラスなしの非球面対物レンズであり得る。非球面対物レンズは、単一のガラス素子のみを有し得る。ホログラフィック光学素子は、体積位相ホログラフィック格子であり得る。
【0006】
光学テープシステムは、光学テープピックアップユニットを含む。光学テープピックアップユニットは、ホログラフィック光学素子および非球面対物レンズを含み、ホログラフィック光学素子および非球面対物レンズは、非球面対物レンズによって光学テープ上に集束される1次ビームの波面誤差が50ミリ波未満であるように配置される。非球面対物レンズは、カバーガラスなしの非球面対物レンズであり得る。非球面対物レンズは、単一のガラス素子のみを有し得る。ホログラフィック光学素子は、体積位相ホログラフィック格子であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】光学テープ記録システムの概略図である。
図2】光学テープ記録システムの一部の側面図である。
図3】高開口数(NA=0.85)のカバーガラスなしの非球面対物レンズについての波面誤差対画像高さのプロットの図である。
図4】1次ビームについての波面誤差輪郭プロットの図である。
図5】1次ビームについての波面誤差輪郭プロットの図である。
図6】体積位相ホログラフィック光学素子を記録するためのセットアップの概略図である。
図7】体積位相ホログラフィック光学素子を記録するためのセットアップの概略図である。
図8】高容量記録システムの概略図である。
図9】別の光学テープ記録システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な説明
本開示の実施形態がここに説明される。しかし、開示される実施形態は例に過ぎず、他の実施形態はさまざまな代替の形態をとり得ることを理解すべきである。図面は必ずしも一定の縮尺ではなく、いくつかの特徴は特定の構成要素の詳細を示すために拡大または縮小され得る。したがって、ここに開示される具体的な構造および機能の詳細は限定的であると解釈されるべきでなく、当業者に本発明をさまざまな方法で利用するように教示するための代表的な基礎としてのみ解釈されるべきである。当業者によって理解されるように、図面のいずれか1つに関連して図示および説明されるさまざまな特徴を1つ以上の他の図面に示される特徴と組み合わせて、明示的に図示または説明されていない実施形態を生成することができる。図示される特徴の組み合わせによって、典型的な用途についての代表的な実施形態が提供される。しかし、本開示の教示と一致する特徴のさまざまな組み合わせおよび変更が、特定の用途または実現に望まれ得る。
【0009】
書込み後直接読出し(Direct read after write:DRAW)は、企業レベルの光学テープ記録システムの特徴であることが多い。その目的は、データが光学テープに書込まれた直後にデータが光学テープに正確に記録されていることを確認することである。図1を参照して、光学記録システム10においてDRAWを達成するための一方法は、媒体20上に集束される3つのレーザスポット14,16,18を用いて単一の光ピックアップユニット(OPU)12を使用することを含む。この3スポットDRAW方式では、中心のメインスポット16はデータを書込むために用いられ、メインスポット16の両側に配置される2つのサテライトスポット14,18の一方が、メインスポット16によってデータが書込まれた直後にデータ確認するために用いられる。
【0010】
典型的なサテライト−メインスポット間隔は、約10ミクロンであり得る。手頃なOPU部品コストを維持するために、成形非球面対物レンズを典型的に採用して媒体面にレーザスポットを形成する。そのような非球面は、球または円筒の一部ではない表面プロファイルを有する。これらの複雑な表面プロファイルは、単レンズと比較して、球面収差を減少させるか除去することができ、歪み、コマ等の他の光学収差を減少させることもできる。すなわち、単一の非球面レンズはしばしば、それよりもはるかに複雑な多レンズ系の代わりになり得る。結果として得られる装置はより小型で軽量であり、多レンズ設計よりも安価である場合がある。しかし、高開口数の単一素子非球面レンズは視野が限られている。したがって、光軸を中心とするメインスポットは許容可能な光学性能を有するが、メインスポットからたとえば約10ミクロンオフセットしている2つのサテライトスポットは劣化しており、つまりそれらはメインスポットと比較して光学性能が低い。
【0011】
ある光学記録システムにおけるこの限られた視野の問題に対処する1つの解決策は、多素子対物レンズアセンブリを使用することである。たとえば、2素子非球面対物レンズおよび単一周波数回折格子を用いて、媒体面に3つのスポットを生成することができる。しかし、2素子レンズアセンブリは、2レンズ素子に必要とされる正確なアライメントによるアセンブリコストの増加とともに、第2の素子の付加的なコストのために、単一の非球面よりも高価である。また、2素子対物レンズの余分な重量によって、フォーカスおよびトラッキングアクチュエータの性能が劣化するか、または同等のサーボ性能を達成するためにより強力なフォーカスおよびトラッキングアクチュエータが必要となる。換言すれば、多素子対物レンズアセンブリは視野を広げることができるが、コストおよび重量が大幅に増加し、これらは両方とも光学記録駆動部品において望ましくない特性である。
【0012】
波面誤差の増加、スポットサイズの拡大、および解像度の低下によって特徴付けられる単一非球面レンズの視野減少は、光学系のDRAW機能実行能力を劣化させ得る。ここに説明される一定の実施形態は、より低コストの、より軽量の単一非球面レンズを使用する際にサテライトスポット内の波面誤差を補償することによってこの問題に対処することを試みている。したがって、一定の実施形態によって、光学設計が、より低いOPUコストで機能的要件を満たすことが可能になり得る。
【0013】
図2を参照して、1対のサテライトスポット14,18は、対物レンズ24の前のOPUの光路内に単一周波数回折格子22を配置することによって、媒体記録面に生成され得る。メイン(中心)スポット16は、非回折(ゼロ次)レーザビーム26を格子22を介して集束することによって形成される。サテライトスポット14,18は、対物レンズ24が、格子22を出る回折(+1次および−1次)ビーム28,30を集束すると生成される。
【0014】
市販の光ディスクドライブの中には、サテライトスポット14,18がDRAW以外の目的で使用されるものもある。それらはたとえば、差動プッシュプルとして公知のトラッキングサーボ誤差信号の特別なバージョンを生成するために用いられ、メインスポット16と同じ光学性能を必要としない場合がある。サテライトスポット14,18が代わりにDRAWのために用いられる場合は、それらはメインスポット16と同等の光学性能(解像度)を有する必要があり得る。したがって、それらの波面誤差は、メイン(軸上)スポット16と同様のレベルまで補償され得る。
【0015】
図3を参照して、開口数が0.85でありメインスポットから10ミクロンの距離に配置されたカバーガラスなしの非球面によって1.765ミリメートルの焦点距離に生成されるサテライトスポットは、全体の二乗平均平方根(root mean square:RMS)波面誤差の約0.080波を有することになる。したがって、サテライトスポットは大きく劣化し、この特定の非球面レンズ設計に許容不可能な解像度を有することになる。サテライトスポット間隔の増加は、全体のRMS波面誤差をやや直線的にさらに悪化させることになる。
【0016】
全体のRMS波面誤差の成分には、球面収差(spherical aberration:SA)RMS波面誤差、コマ収差(coma aberration:COMA)RMS波面誤差、および非点収差(astigmatic aberration:ASTIG)RMS波面誤差がある。球面収差は、光軸を中心として光軸に直交する回転対称面によって生成される単色軸収差の唯一の形態である。球面収差は、光学面の形態が入射波面の形態と適切に一致しない時はいつでも現れる。したがって、これは、対象物距離が変化すると、または適切な間隔から逸脱した多面対象物を用いると引き起こされる。球面収差は、ちょうど中心を含む画像フィールド全体に影響する。一般に、コマ収差は、入射波面が光学面に対して傾いているか偏心化していることによって起こる。したがって、これは、軸外画像点に影響する収差であるか、または光学面の軸方向のミスアライメントの結果のいずれかである。非点収差は、コマと同様に、光学面に対する入射波面の傾斜によって生じる。コマは常に光学面で始まるが、最も単純な形態の非点収差は、表面に対する波面の傾斜から生じる投影非対称に起因する。
【0017】
図4および図5を参照して、+1次および−1次回折ビームは反対の極性を有する。これらのビームの波面誤差は逆であるため、回折光学素子は、同時に両方のサテライトスポット内の波面誤差を補正するようにではなく、1つのサテライトスポット内の波面誤差を補正するように設計され得る。したがって、1つのサテライトスポットを補正するように設計される単純な位相または振幅変調回折光学素子によって、他方のスポット内の波面誤差が2倍になる。
【0018】
体積位相ホログラフィック(volume phase holographic:VPH)透過回折格子などのホログラフィック光学素子(holographic optical element:HOE)は、透過以外は従来の表面レリーフ反射回折格子とほとんど同じ働きをする。それらは周期的な位相構造であり、その基本的な目的は、共通の入力経路からの波長の異なる光を異なる角度出力経路内に回折させることである。VPH格子は、透明ガラスまたは溶融石英からなる2層同士の間に封止される、普通は重クロム酸ゼラチンである透過性材料からなる層内に形成され得る。入射光の位相は、入射光が周期的な硬度差または屈折率を有する光学的に厚いフィルムを通過する際に変調される(したがって「体積位相」という用語を用いる)。換言すると、VPH格子を通って進む光は、バルク反射率変調のために回折を受ける。これは、表面レリーフパターンの深さが入射光の位相を変調する従来の格子とは対照的である。従来の反射回折格子と同様に、周期的な構造の空間周波数が、回折光の波長成分のスペクトル分散または角度分離を決定する。平均屈折率、屈折率差または変調、およびフィルムの厚みが、格子の効率、偏光、および帯域幅性能特性を決定する。
【0019】
VPH格子の回折メカニズムは、バルク材料を介して、かつ吸収変調を伴わずに起こるため、それらによっていくつかの興味深い性質、すなわち、(1)100%の理論効率、(2)透過または反射回折格子はブラッグ面配向に依存して生成され得る、および(3)格子を通って進む非回折波長は摂動されず、さらなる目的のために再利用可能である、が生じる。したがって、HOEを使用してサテライトスポットを生成し、同時に、それらのスポット内の波面誤差を補償することができる。メインスポット、すなわちゼロ次回折項は、HOEに影響されない。すなわち、固有の角度選択性を有するVPH格子を作成して、両サテライトスポット内の波面誤差を同時に補償することができる。
【0020】
上述のように、VPH格子は一般に、透明ガラスまたは溶融石英からなる2層同士の間に封止される、普通は重クロム酸ゼラチンである透過性材料からなる層内に形成され得る。より具体的には、VPH格子は以下の例示的な方法によって作製され得る。フォトポリマー系ホログラフィック記録フィルムが2つのガラス基板同士の間に適用される。所望の回折パターンは、位相変調体積ホログラムの形態でフィルム内に光学的に記録される。所望のパターンは、一方は完全(平行化されてゼロ波面誤差を有する)であり、もう一方は補正すべき波面誤差の逆数を含む、2本のレーザビーム同士の間に干渉を作り出すことによって記録される。補正すべき非球面対物レンズの一方が、ホログラム記録用の光学セットアップに使用され得る。記録フィルム層内の回折パターンを「固定し」、基板の外面に反射防止コーティングを塗布した後、HOEは個々の素子にダイシングされる。
【0021】
図6を参照して、体積位相ホログラフィック光学素子を記録するためのセットアップは、レーザダイオード32、コリメートレンズ34、および回折格子36を含み得る。セットアップは、ピンホールアレイ42が間に配置されたレンズ38,40をさらに含み得る。セットアップは、高品質顕微鏡対物レンズ44および非球面対物レンズ46をさらに含み得る。非球面対物レンズは、光ビームをホログラフィック記録フィルム48上に誘導する。非球面対物レンズ46以外のすべての光学部品は、ホログラフィック記録フィルム48が非球面対物レンズ46によって導入される波面変動のみを記録し、セットアップ内の他の部品に帰する誤差は記録しないように、非常に高い光学性能、すなわち低い波面誤差を有するように設計または選択され得る。
【0022】
図7を参照して、体積位相ホログラフィック光学素子を記録するための別のセットアップは、レーザダイオード50、コリメートレンズ52、および偏光ビームスプリッタ54を含み得る。偏光ビームスプリッタ54は、2つの別個の光路を作る。第1の光路は、リターダ56、格子58、および反射ピンホールアレイ64が間に配置されたレンズ60,62を含み得る。第1の光路は、ミラー66、対物レンズ68、および非球面対物レンズ70をさらに含み得る。第2の光路は、ミラー72、レンズ74、ピンホール76、レンズ78、およびリターダ80をさらに含み得る。最後に、セットアップは振幅ビームスプリッタ82を含み得る。偏光ビームスプリッタ54によって作られる別個の光路は振幅ビームスプリッタ82によって組み合わされ、ホログラフィックフィルム84上に誘導される。
【0023】
このセットアップでは、レンズ60からのゼロ次(非回折)ビームは、+1次および−1次回折ビームがミラー式ピンホールアレイ64を通過する間、アレイ64によって反射される。偏光ビームスプリッタ54および四分の一波長板(λ/4リターダ)56は光アイソレータとして作用し、ゼロ次ビームを別個の光路に沿って反射する。上述のように、ビームは振幅ビームスプリッタ82で再び組み合わされてからホログラフィック記録フィルム84で干渉する。二分の一波長(λ/2)板リターダ80は偏光を回転させ、+1次および−1次ビームがフィルム平面で適切に干渉するようにこれらのビームの偏光と一致させる。したがって、ゼロ次ビームは、他の2つのビームと再び組み合わされる前に、ほぼゼロの波面誤差を有するように作られ得る。他のセットアップももちろん可能である。
【0024】
ここに説明されるセットアップは、他の機器とともに配置されて高容量記録システムを形成し、多数のホログラムを効率的に作製することができる。たとえば図8を参照して、最大で12インチ×12インチほどのホログラフィック記録板86が、ホログラムレコーダ光学系90を介して、ホログラムのステップアンドリピート方式の記録用の自動化されたX、Yステージ88に装着され得る。一例として、5ミリメートル×5ミリメートルの3,500個を超えるホログラムが12インチ四方の板86上に記録され得る。パターンを記録および固定した後、個別のホログラムは、光学テープピックアップユニットで使用するために、集積回路または他のウェハスケール光学部品と同様の態様でダイシングされ得る。
【0025】
図9を参照して、光学テープシステム92は、とりわけ、少なくとも1つのOPU94を含む。OPU94は、レーザ96、(一般的であるような)他のOPU素子98、HOE100、および非球面対物レンズ102を含む。これらの素子を通る光路は太線で示されている。HOE100は、+1次および−1次回折ビームが非球面対物レンズ102に入る前にこれらの波面誤差を事前補償する。すなわち、HOE100は、+1次ビームに、非球面対物レンズ102によって+1次ビームに導入される波面誤差と大きさがほぼ等しく極性が反対である波面誤差を導入し、−1次ビームに、非球面対物レンズ102によって−1次ビームに導入される波面誤差と大きさがほぼ等しく極性が反対である波面誤差を導入する。したがって、非球面対物レンズ102を出る+1次および−1次回折ビームの波面誤差は、たとえば50ミリ波以下であり得る。
【0026】
例示的な実施形態が上記に説明されたが、これらの実施形態は請求項に含まれるすべての可能な形態を記載することは意図されていない。明細書で用いられる用語は限定ではなく説明の用語であり、開示の思想および範囲から逸脱することなくさまざまな変更がなされ得ると理解される。上述のように、さまざまな実施形態の特徴を組み合わせて、明示的に説明または図示され得ない本発明のさらなる実施形態を形成することができる。さまざまな実施形態は、1つ以上の所望の特性に関して他の実施形態または先行技術の実現に対して利点を提供するとして、または好ましいとして説明されたかもしれないが、当業者は、具体的な用途および実現に依存する所望の全体的なシステム属性を達成するために1つ以上の特徴または特性が損なわれ得ることを認識する。これらの属性は、コスト、強度、耐久性、ライフサイクルコスト、市場性、外見、パッケージング、サイズ、サービス性、重量、製造性、組立容易性等を含み得るが、これらに限定されない。したがって、1つ以上の特性に関して他の実施形態または先行技術の実現よりも好ましくないとして説明される実施形態は開示の範囲外ではなく、特定の用途に所望され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9