特許第6234471号(P6234471)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゾエティス・サービシーズ・エルエルシーの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234471
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】スピロ環状イソキサゾリン誘導体の合成
(51)【国際特許分類】
   C07D 491/107 20060101AFI20171113BHJP
   A61K 31/422 20060101ALN20171113BHJP
   A61P 33/14 20060101ALN20171113BHJP
【FI】
   C07D491/107
   !A61K31/422
   !A61P33/14
【請求項の数】13
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-544110(P2015-544110)
(86)(22)【出願日】2013年11月20日
(65)【公表番号】特表2016-500106(P2016-500106A)
(43)【公表日】2016年1月7日
(86)【国際出願番号】US2013070959
(87)【国際公開番号】WO2014081800
(87)【国際公開日】20140530
【審査請求日】2016年8月18日
(31)【優先権主張番号】61/729,022
(32)【優先日】2012年11月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515230154
【氏名又は名称】ゾエティス・サービシーズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106080
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 晶子
(72)【発明者】
【氏名】グリーンウッド,ショーン・ディー・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ストゥク,ティモシー・エル
【審査官】 前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/120399(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/017359(WO,A1)
【文献】 特表2007−516161(JP,A)
【文献】 特表平05−508390(JP,A)
【文献】 DATABASE REGISTRY [Online],米国,CHEMICAL ABSTRACT SERVICE, COLUMBUS, OHIO,(2009-06-16) RN 1158363-70-2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 491/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)化合物の製造方法であって、
【化1】
a)式(1a)化合物[式中、R1a、R1b、及びR1cはそれぞれ互いに独立して、水素、ハロゲンまたはCFから選択され;Xは酸付加塩であり;「」はキラル中心を表す]を、
【化2】
b)式(2a)化合物と
【化3】
;非水塩基の存在下、有機溶剤中で反応させることによる製造方法。
【請求項2】
1a、R1b、及びR1cは、それぞれ互いに独立して水素、フルオロおよびクロロから選択され;有機溶剤は酢酸イソプロピル、テトラヒドロフラン、メチルtert-ブチルエーテル、酢酸エチルおよびトルエンからなる群から選択され;酸付加塩はベンゼンスルホン酸である、請求項記載の方法。
【請求項3】
式(1a)化合物は式(1a1)化合物であって、非水塩基はトリエチルアミンである、請求項記載の方法。
【化4】
【請求項4】
a)等モル量の式(1a1)化合物と式(2a)化合物を酢酸イソプロピル中で反応させ;
b)固形物を除去し、有機物を水性塩基と水で順次洗浄し;
c)有機物を濃縮する、請求項記載の方法。
【請求項5】
a)前記の濃縮した有機物にアルコールを加え;
b)アルコール溶液を撹拌しながら水にゆっくり加え;
c)得られた固体をろ過し、乾燥させる、ことを更に含む請求項記載の方法。
【請求項6】
前記の濃縮した固体を水酸化物または炭酸塩から選択した水性塩基で二回洗浄し、次いで二回水洗する、請求項記載の方法。
【請求項7】
水性塩基が水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは水酸化アンモニウムから選択される、請求項記載の方法。
【請求項8】
前記アルコールがメタノールである、請求項記載の方法。
【請求項9】
a)前記の濃縮した有機物を酢酸エチル、n-ヘプタンおよびエタノールを含む溶液に加える;
b)前記の溶液に結晶種を加えて冷却する;
c)得られた固体をろ過し、乾燥する、ことを更に含む請求項記載の方法。
【請求項10】
式(3)化合物の製造方法であって、
【化5】
式(1b1)化合物を、式(2a)化合物と非水塩基の存在下、有機溶媒中で反応させることによる製造方法。
【化6】
【請求項11】
有機溶剤は酢酸イソプロピル、酢酸エチル、トルエン、テトラヒドロフランおよびメチルtert-ブチルエーテルからなる群から選択され;非水塩基はトリエチルアミンである、請求項10記載の方法。
【請求項12】
有機溶剤は酢酸イソプロピルであり、固形物を除去し、有機物を水性塩基と水で順次洗浄し、有機物を濃縮する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記の濃縮した有機物は、いずれもメタノールに加えて、水をゆっくり混合し、得られた固体をろ過により単離し、乾燥する;または、前記の濃縮した有機物を、酢酸エチル、n-ヘプタンおよびエタノールを含む溶液に加え、次いで、結晶種を混合し、放冷し、得られた固体をろ過により単離し、乾燥する、請求項12記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺寄生虫活性を有するスピロ環状イソキサゾリン誘導体を製造する改良方法に関する。スピロ環状イソキサゾリン誘導体は昆虫およびダニに対して例外的活性を有し、家畜用のために特に価値を与える低毒性を備えている。
【背景技術】
【0002】
以前の出願、国際公開第2012/120399号に記載されているように、スピロ-アゼチジンイソベンゾフラン誘導体は、この化合物上のアミン部分をブロックまたは保護するために置換基、すなわち保護基を使用して製造された。例えば,非限定的なアミン保護基としてアシル基、アシルオキシ基、ジフェニルメタンおよびカルバミン酸ベンジルが挙げられる。BOC保護基の除去は、後続のカップリング反応によって酸性条件下で達成し、キラルアミドを得た。さらに,結晶形(S)- 1- (5'-(5-(3,5-ジクロロ-4-フルオロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)- 4,5-ジヒドロイソオキサゾール-3-イル)-3'H-スピロ[アゼチジン-3,1'-イソベンゾフラン]-1-イル)-2-(メチルスルホニル)エタノンを製造する方法は国際出願番号(PCT/US2013/56945)で完全に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、メチルスルホニルエタノン スピロ[アゼチジン-3,1-イソベンゾフラン]イソキサゾリン誘導体を製造する改良方法を提供する。中間体アミンのベンゼンスルホン酸塩を中和し、次いでニトロフェニルスルホニルアセタート反応物との単純カップリングを経る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、式1のメチルスルホニルエタノン スピロ[アゼチジン-3,1-イソベンゾフラン]イソキサゾリン誘導体を製造する改良方法を記載する。
【0005】
【化1】
【0006】
上式において、R1a、R1b、R1cはそれぞれ互いに独立して水素、ハロゲンまたはCFから選択され;「」はキラル中心を表す。
【0007】
本発明の別の態様においては、R1a、R1b、R1cはそれぞれ互いに独立してハロゲンである式(1)を製造する方法がある。
【0008】
本発明の別の態様においては、R1a、R1b、R1cはそれぞれ互いに独立してフルオロおよびクロロから選択される式(1)を製造する方法がある。
【0009】
本発明の別の態様においては、R1aとR1cはそれぞれクロロであり、R1bはフルオロである式(1)を製造する方法がある。
【0010】
本発明の別の態様においては、R1a、R1b、R1cの少なくとも1つがCFである式(1)化合物を製造する方法がある。
【0011】
本発明の別の態様においては、
【0012】
【化2】
【0013】
式(1a)化合物[上式において、「」、R1a、R1b、R1cは本明細書に記載したとおりであり、Xは酸付加塩である]を、
【0014】
【化3】
【0015】
式(2)化合物[上式において、Rは水素,ハロゲンまたはニトロであり、mは整数1、2、3、4または5であり、Rの少なくとも1つはハロまたはニトロであるが、唯一のRはニトロである]と;非水塩基の存在下で反応させることによる式(1)化合物の製造方法がある。
【0016】
本発明のさらに別の態様においては、式(1a)化合物[R1a、R1b、R1cは本明細書に記載したとおりである]と式(2a)化合物を、有機溶剤中、非水塩基の存在下で反応させることによる式(1)化合物の製造方法がある。
【0017】
【化4】
【0018】
本発明の別の態様においては、
【0019】
【化5】
【0020】
式(1a1)化合物[上式において、「」は本明細書で定義するとおりである]と式(2)化合物[Rとmは本明細書で定義するとおりである]を、有機溶媒中、非水塩基の存在下で反応させることよる式(1)化合物の製造方法がある。
【0021】
本発明の別の態様においては、式(1a1)化合物を式(2a)化合物と、有機溶媒中、非水塩基の存在下で反応させることによる式(1)化合物の製造方法がある。
【0022】
本発明の別の態様においては、
【0023】
【化6】
【0024】
式(1b1)化合物を、
【0025】
【化7】
【0026】
式(2)化合物[式中、Rとmは本明細書で定義するとおりである]と有機溶剤中、非水塩基の存在下で反応させることによる式(3)化合物の製造方法がある。
【0027】
本発明の別の態様においては、式(1b1)化合物を式(2a)化合物と有機溶剤中、非水塩基の存在下で反応させることによる式(3)化合物の製造方法がある。
【0028】
本発明の別の態様においては、有機溶剤の非限定例として酢酸イソプロピル、テトラヒドロフラン、メチルtert-ブチルエーテル、酢酸エチル、トルエンなどが挙げられる。好ましい有機溶剤は酢酸イソプロピルである。
【0029】
本発明の別の態様においては、非水塩基の非限定例としてトリアルキルアミン(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなど)、ピリジン、ジアザビシクロ-ウンデカ-7-エン(DBU)などが挙げられる。好ましい非水塩基はトリエチルアミンである。
【0030】
本発明の別の態様においては、式(1a)化合物と式(2)化合物;式(1a)化合物と式(2a)化合物;式(1a1)化合物と式(2)化合物;式(1a1)化合物と式(2a)化合物;式(1b1)化合物と式(2)化合物;式(1b1)化合物と式(2a)化合物は、およそ等モル量で有機溶剤中、非水塩基の存在下で反応する。
【0031】
本発明の別の態様においては、有機溶液(すなわち、酢酸イソプロピル)から沈澱物を除去し、残りの有機溶液を水性塩基で少なくとも2回連続して洗浄し、次いで少なくとも2回水洗する。水性塩基の非限定例として水酸化物、炭酸塩などが挙げられる。好ましい水性塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウムおよび重炭酸カリウムから選択される。さらに好ましい水性塩基は、水酸化物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化アンモニウムである。次いで有機溶液を真空下で濃縮する。
【0032】
本発明の一態様においては、濃縮した有機物を一定量のアルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどに加える。好ましいアルコールはメタノールである。次いで、メタノール溶液を撹拌しながら水にゆっくり加える。得られた非晶質固体をろ過し、乾燥する。
【0033】
本発明の別の態様においては、濃縮した有機物を酢酸エチル、n-ヘプタンおよびエタノールを含む一定量の溶液に加える。酢酸エチルは約5容量(v/v)%、n-ヘプタンは約35容量(v/v)%、エタノールは約60容量(v/v)%である。(S)- 1-(5'-(5-(3,5-ジクロロ-4-フルオロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-3-イル)-3'H-スピロ[アゼチジン-3,1'-イソベンゾフラン]-1-イル)- 2-(メチルスルホニル)エタノンの多形体Aの結晶種を加える。混合物を冷却し、得られた結晶質固体をろ過によって単離し、乾燥する。
【0034】
本発明の別の態様においては、メタンスルホニル酢酸とアセトニトリルとトリエチルアミンを混合することを含む式(2a)化合物の製造方法がある。
【0035】
【化8】
【0036】
反応混合物を冷却し、次いでアセトニトリル中のp-ニトロフェニルクロロホルメートを加える。水を加えて、反応混合物をろ過し、アセトニトリル:水(1:3)で洗浄する。この物質を乾燥し、次いでこの固体を酢酸イソプロピル中で約80℃に加熱して更に精製する。混合物を冷却し、tert-ブチルメチルエーテルで洗浄する。次いで、固体を真空下で乾燥する。
【0037】
代わりに、窒素下でメタンスルホニル酢酸と4-ニトロフェノールとアセトニトリルを一緒に混合することによって式(2a)化合物を製造することができる。反応混合物を冷却し、N-(-3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミド塩酸塩を少しずつ加える。反応混合物を水で急冷する。固体をろ過し、水洗し、次いで真空下で乾燥する。
【0038】
上記の通り、非晶質(S)- 1- (5'-(5-(3,5-ジクロロ-4-フルオロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-3-イル)-3'H-スピロ[アゼチジン-3,1'-イソベンゾフラン]-1-イル)-2-(メチルスルホニル)エタノンと(S)- 1- (5'-(5-(3,5-ジクロロ-4-フルオロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-3-イル)-3'H-スピロ[アゼチジン-3,1'-イソベンゾフラン]-1-イル)-2-(メチルスルホニル)エタノンの結晶多形Aを包含する式1のメチルスルホニルエタノン スピロ[アゼチジン-3,1-イソベンゾフラン]イソキサゾリン誘導体はそれぞれ、国際公開第2012/120399号および国際出願番号(PCT/US2013/56945)に記載されているように製造することができる。
【0039】
定義
本発明の目的上、本出願の明細書および請求の範囲に記載したような下記の用語および表現は以下のように定義される。
【0040】
本明細書で使用する「アルコール」は、別段の定めがない限り、更なるアルキル置換基を持つヒドロキシ部分を指す。アルコール基のアルキル部分(すなわち、アルキル部分)は下記と同様な定義を持つ。非限定例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコールなどが挙げられる。
【0041】
本明細書で使用する「アルコキシ」は、別段の定めがない限り、更なるアルキル置換基を持つ酸素部分を指す。アルコキシ基のアルキル部分(すなわち,アルキル部分)は下記と同様な定義を持つ。非限定例としてメトキシ、エトキシなどが挙げられる。
【0042】
本明細書で使用する「アルキル」は、別段の定めがない限り、一般式C2n+1の飽和一価の炭化水素アルカンラジカル指す。アルカンラジカルは直鎖または分岐し、未置換または置換されていてもよい。例えば、用語「(C−C)アルキル」は1〜6の炭素原子を含む一価の直鎖または分岐した脂肪族基を指す。(C−C)アルキル基の包括的な例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、sec-ブチル、t-ブチル、n-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、n-ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、ネオペンチル、3,3-ジメチルプロピル、2-メチルペンチル、ヘキシルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。アルキル部分は脂肪族鎖の炭素原子の任意の一つによって化学的部位に結合されてもよい。アルキル基は、本明細書で記載したように任意に置換される。さらに、アルキルフェニルなどの複合語で使用する場合、前記アルキル部分は本明細書で定義したのと同様な意味を有し、脂肪族鎖の炭素原子の任意の一つによって化学的部分に結合されてもよい。複合語、アルキルフェニルの非限定例としてCアルキルフェニルは−CHフェニルであり、Cアルキルフェニルは−CHCHフェニルであり、Cフェニルはフェニルであり、その他同種類のものが挙げられる。
【0043】
「アルケニル」は、別段の定めがない限り、2〜6の炭素原子を有し少なくとも1の炭素‐炭素二重結合(例えば、−C=C−、または−C=CH)を含む直鎖または分岐した脂肪族炭化水素鎖を指す。アルケニルの包括的な例としては、ビニル、1-プロペニル、2-プロペニル、イソプロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2-ペンテニルなどが挙げられる。
【0044】
「アルキニル」は、別段の定めがない限り、2〜6の炭素原子を有し少なくとも1の炭素‐炭素三重結合(例えば、−C≡C−または−C≡CH)を含む直鎖または分岐した脂肪族炭化水素鎖を指す。アルキニルの包括的な例としては、エチニル、2-プロピニル、1-メチル-2-プロピニル、2-ブチニル,3-ブチニル,2-メチル-3-ブチニルなどが挙げられる。
【0045】
本明細書で使用する「キラル」は、別段の定めがない限り、ある分子の鏡像にその分子を重ね合せることが出来ない分子の構造上の特徴(例えば、「R」および「S」エナンチオマー)を指す。本用語は、例および製造物において星印(すなわち,*)としても表し、SエナンチオマーおよびRエナンチオマーの両方を包含するキラル中心を意味する。
【0046】
本明細書で使用する「シクロアルキル」は、別段の定めがない限り、完全に飽和または部分的に飽和の炭素環式アルキル部分を包含する。部分飽和シクロアルキルの非限定例としては、シクロプロパン、シクロブテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロヘプタ‐1,3‐ジエンなどが挙げられる。好ましいシクロアルキルはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルを包含する3〜6員飽和単環である。シクロアルキル基は、環状炭素の中の炭素原子の任意の一つによって化学的部分に結合されてもよい。シクロアルキル基は少なくとも1の置換基で任意に置換される。さらに、アルキルシクロアルキルなどの複合語で使用する場合、前記アルキル部分およびシクロアルキル部分は本明細書で定義した意味と同様な意味を有し、脂肪族鎖の炭素原子の任意の一つによって化学的部分に結合されてもよい。C−CアルキルC−Cシクロアルキルの例としては、メチルシクロプロパン(CアルキルCシクロアルキルまたは−CHシクロプロパン)、エチルシクロプロパン(CアルキルCシクロアルキルまたは−CHCHシクロプロパン)、メチルシクロブタン(CアルキルCシクロアルキルまたは−CHシクロブタン)、エチルシクロブタン(CアルキルCシクロアルキルまたは−CHCHシクロブタン)、メチルシクロヘキサン(CアルキルCシクロアルキルまたは−CHシクロヘキサン)などが挙げられる。CアルキルC−CシクロアルキルはC−Cシクロアルキルである。シクロアルキル部分は本明細書で記載したように任意に置換される。
【0047】
「ハロゲン(Halogen)」または「ハロ(halo)」は、別段の定めがない限り、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を指す。さらに,複合語、例えば「ハロアルキル」、「ハロアルコキシ」、「ハロアルケニル」または「ハロアルキニル」で使用する場合、前記のアルキル、アルコキシ、アルケニルおよびアルキニルは部分的または完全にハロゲン原子で置換されてもよく、ハロゲン原子は同じか異なってもよく、前記アルキル、アルコキシ、アルケニルおよびアルキニル部分は上記と同様な意味を有し、脂肪族鎖の炭素原子の任意の一つによって化学的部分に結合されてもよい。「ハロアルキル」の例としては、FC−、ClCH−、CFCH−およびCFCCl−などが挙げられる。用語「ハロアルコキシ」は用語「ハロアルキル」と類似的に定義される。「ハロアルコキシ」の例としては、CFO−、CClCHO−、HCFCHCHO−およびCFCHO−などが挙げられる。用語「ハロアルケニル」は、脂肪族鎖が少なくとも1の炭素‐炭素二重結合を含むことを除いて用語「ハロアルキル」と類似的に定義される。「ハロアルケニル」の例としては、CFHC=CH−、CClHC=CH−およびHCFHC=CH−などが挙げられる。
【0048】
本明細書で使用する「ヘテロアリール(Heteroaryl」または「ヘト(Het)」は、別段の定めがない限り、5〜6員芳香族単環性環または8〜10員縮合芳香族環を指し、前記の単環性環および縮合環部分は、おのおのが互いに独立してN、OまたはSから選択された1以上のヘテロ原子、好ましくは1〜4のヘテロ原子を含む。単環性ヘテロアリールの包括的な例としては、ピロリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニルなどが挙げられる。縮合ヘテロアリールの包括的な例としては、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、チエノ[2,3-c]ピリジン、チエノ[3,2-b]ピリジン、ベンゾ[1,2,5]チアジアゾールなどが挙げられる。ヘテロアリール基は、単環性環または縮合環の炭素原子または窒素ヘテロ原子の任意の一つによって化学的部分に結合されてもよい。さらに、アルキルへテロアリールなどの複合語を使用する場合、前記のアルキルおよびへテロアリール部分は本明細書で定義する意味と同様な意味を有し、脂肪族鎖の炭素原子の任意の一つによって化学的部分に結合されてもよい。例えば、Cアルキルへテロアリールはヘテロアリールであり、Cアルキルへテロアリールは−CHへテロアリールであり、Cアルキルへテロアリールは−CHCHヘテロアリールなどである。ヘテロアリールは本明細書で記載したように任意に置換される。
【0049】
本明細書で使用する「複素環」は、別段の定めがない限り、おのおのが互いに独立してN、OまたはSから選択された1以上のヘテロ原子、好ましくは1〜4のヘテロ原子を含む部分的飽和または飽和3〜7員単環性環を指す。複素環は縮合環またはスピロ環部分の一部であり得る。複素環の包括的な例としては、オキシラン,チアラン(thiarane)、アジリジン、オキセタン、アゼチジン,チアタン(thiatane)、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ピロリジン、テトラヒドロピラン、ピペリジン、ピペラジン、テトラヒドロピリジン、2H-アジリン、2,3-ジヒドロ-アゼト、3,4-ジヒドロ-2H-ピロールなどが挙げられる。複素環基は環中の炭素原子または窒素ヘテロ原子の任意の一つによって化学的部分に結合されてもよい。さらに、アルキルヘテロ環などの複合語で使用する場合、前記のアルキルおよびヘテロ環部分は本明細書で定義する意味と同様な意味を有し、脂肪族鎖の炭素原子の任意の一つによって化学的部分に結合されてもよい。例えば、Cアルキルヘテロ環はヘテロ環であり、Cアルキルヘテロ環は−CHヘテロ環であり、Cアルキルヘテロ環は−CHCHヘテロ環などである。ヘテロ環は本明細書で記載したように任意に置換される。
【0050】
本明細書で使用する「任意で置換された」は、未置換の、又は置換された、の表現と区別しないで使われる。別段の定めがない限り、任意に置換された基は、その基の各々の置換可能な位置に置換基を有していてもよく、各々の置換は他の置換から独立している。また、任意に置換された基は置換基を有していなくてもよい。したがって、「少なくとも1つの置換基で任意に置換された」の表現は、置換基の数がゼロから置換可能な位置の最大数まで多様であることを意味する。
【0051】
本明細書で使用する「保護基」または「Pg」は、別段の定めがない限り、化合物上のアミンをブロックまたは保護するために一般に用いる置換基を指し、それによって化合物上の他の官能基の反応を可能にしながら保護されたアミンの官能性を保護する。
【0052】
本明細書で使用する「種(複数)」または「結晶種(複数)」は、別段の定めがない限り、国際出願番号(PCT/US2013/56945)に記載されたような(S)-1- (5'-(5-(3,5-ジクロロ-4-フルオロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-3-イル)-3'H-スピロ[アゼチジン-3,1'-イソベンゾフラン]-1-イル)-2-(メチルスルホニル)エタノンの結晶多形Aを指す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明は、スピロ[アゼチジンイソベンゾフラン]イソキサゾリンを式(2)の化合物と反応させることによる式(1)化合物を製造する改良方法を提供する。
【0054】
本発明の化合物は、特に、本明細書に含まれる記載を考慮して、化学分野において周知の方法と類似する方法を包含する合成経路によって合成されてもよい。出発原料は通常、Aldrich Chemicals(Milwaukee, Wis.)などの商業的供給源から入手可能であり、または当業者に周知の方法(例えば、Louis F. Fieser and Mary Fieser, "Reagents for Organic Synthesis", 1; 19, Wiley, New York(1967, 1999 ed.)、またはBeilsteins Handbuch der organischen Chemie, 4, Aufl.ed. Springer-Verlag, Berlin, 増補を含む (バイルシュタイン・オンラインデータベースを介して入手も可能))を用いて容易に製造される。説明のために、下記に示した反応スキームは本発明の化合物および重要な中間体を合成するための可能な経路を例証する。個別の反応工程のより詳細な説明に関しては下記の実施例の段落を参照のこと。他の好適な出発原料、試薬および合成経路を使用して、本発明の化合物およびその種々の誘導体を合成することも可能であることを当業者なら理解するであろう。さらに、下記に記載した方法で製造された化合物の多くは、本開示を踏まえて、当業者に周知の従来化学によって更に修飾し得る。
【0055】
本明細書に記載した本発明の化合物は、少なくとも1の不斉中心またはキラル中心を含み;それによって異なる立体異性体型で存在する。RおよびS立体配置は既知のキラル反転/保持化学の知識に基づく。特に断りがない限り、ラセミ混合物およびジアステレオマー混合物を含む全立体異性体型ならびにそれらの混合物は本発明の一部を形成することが意図されている。
【0056】
エナンチオマー混合物は、当業者に周知の方法、例えばクロマトグラフィーおよび/または分別晶析による物理化学的差異に基づいて個々のエナンチオマーに分離することができる。ラセミ混合物から化合物の立体異性体を分割するために用い得る技術のより詳細な説明は、Jean Jacques Andre Collet, Samuel H. Wilen, Enantiomers, Racemates and Resolutions, John Wiley and Sons, Inc. (1981) に記載されている。
【0057】
本発明の化合物は1以上の立体異性体として存在し得る。種々の立体異性体としては、エナンチオマー、ジアステレオマーおよびアトロプ異性体が挙げられる。ある立体異性体が他の立体異性体(複数)と比較して濃縮されたときに、または他の立体異性体(複数)から分離されたときに、より活性化する、および/または有益な効果を示す場合があることを当業者なら理解するであろう。さらに、当業者は、前記立体異性体を分離する、濃縮する、および/または選択的に製造する方法を知っている。本発明の化合物は、立体異性体の混合物、個別の立体異性体または光学的に活性な形態として存在してもよい。例えば、式1の2つの可能なエナンチオマーは、イソキサゾリンキラル中心を含む式(a)(S‐異性体)および式(b)(R‐異性体)として表される。
【0058】
【化9】
【0059】
本明細書に抽出した分子描写は立体化学を表すための標準協定に従う。変数R1a、R1b、R1cおよびXは本明細書で定義するとおりである。説明のために、下記に表した反応スキームは本発明の重要な中間体および化合物を合成するための有力な経路を示す。個別の反応工程のより詳細な説明に関しては下記の実施例の段落を参照のこと。他の好適な出発原料、試薬および合成経路を使用して、本発明の中間体および化合物、ならびにその種々の誘導体を合成することが可能であることを当業者なら理解するであろう。さらに、下記に記載した方法で製造された化合物の多くは、本開示を踏まえて、従来化学によって更に修飾し得る。スキーム1は、本発明の化合物の製造および単離に有用な通常の手順を概説する。しかし、本明細書で全体を説明し、特許請求の範囲で記載したとおり、詳細な下記のスキームまたは製造様式によって本発明が限定される意図はないことを理解されたい。
【0060】
本発明の化合物の製造において望ましくない反応からの中間体の離れた官能基の保護は保護基で達成することができる。例えば,アミン保護基は、本化合物または中間体のアミン官能性をブロックまたは保護するアミンに結合した置換基である。好適なアミン保護基としては、アシル基(例えば、ホルミル、アセチル、クロロアセチル、トリクロロアセチル、o-ニトロフェニルアセチル、o-ニトロフェノキシアセチル、トリフルオロアセチル、アセトアセチル、4-クロロブチリル、イソブチリル、o-ニトロシンナモイル、ピコリノイル、アシルイソチオシアナート、アミノカプロイル、ベンゾイルなど);アシルオキシ基(例えば、1-tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、メトキシカルボニル、9-フルオレニル-メトキシカルボニル、2,2,2-トリフルオロエトキシ-カルボニル、2-トリメチルシリルエトキシカルボニル、ビニルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、1,1-ジメチル-プロピニルオキシカルボニル、ベンジルオキシ‐カルボニル、p-ニトロベンジルオキシカルボニル、2,4-ジクロロベンジルオキシカルボニルなど)、ジフェニルメタンおよびカルバミン酸ベンジルが挙げられる。ジフェニルメタンおよびカルバミン酸ベンジルはアミン保護基として同様に使用し得る。好適な保護基およびそれらの個別の使用は当業者によって容易に決定される。保護基およびそれらの使用の一般的な説明に関しては、T. W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, New York, 1991を参照のこと。
【0061】
スキーム1−キラル合成
【0062】
【化10】
【0063】
1a、R1b、R1cは本明細書において定義するとおりである。スキーム1では、R置換基はC−Cアルキル部分(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルなど)を表す。R置換基は水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−CアルキルC−C−シクロアルキル、C−Cアルキルフェニル、C−CアルキルへテロアリールまたはC−Cアルキルヘテロ環を表し;各々のR−CアルキルまたはC−CアルキルC−Cシクロアルキル部分はシアノ、ハロ、ヒドロキシル、オキソ、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、C−Cハロアルキル、C−Cアルキル、ヒドロキシルC−Cアルキル-、−S(O)−Cアルキル、−SH、−S(O)NR、−NR、−NRC(O)R、−SC(O)R、−SCNまたは−C(O)NRから選択された少なくとも1の置換基によって任意に独立して置換され得て;Rは水素、C−CアルキルまたはC−CアルキルC−Cシクロアルキルであり、Rアルキルおよびアルキルシクロアルキルはシアノまたは少なくとも1のハロ置換基によって任意に置換され;Rは水素、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルキルフェニル、C−CアルキルへテロアリールまたはC−Cアルキルヘテロ環であり、各々のRは、化学的に可能な場合にヒドロキシル、シアノ、ハロ、または−S(O)−Cアルキルから選択された少なくとも1の置換基で任意に置換され得て;R−Cアルキルフェニル、C−CアルキルへテロアリールまたはC−Cアルキルヘテロ環部分はシアノ、ハロ、オキソ、=S、ヒドロキシル、C−Cアルコキシ、ヒドロキシルC−Cアルキル−、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、−SH、−S(O)−CアルキルおよびC−Cハロアルコキシから選択された少なくとも1の置換基でさらに任意に置換され得て;pは整数0、1または2である。Pgは保護基、例えばBoc、ジフェニルメタンまたはカルバミン酸ベンジル、Yは臭素、塩素、ヨウ素、ヒドロキシルまたはスルホン酸塩脱離基である。星印()はキラル中心(すなわち,(R)または(S)立体化学)を表す。
【0064】
化合物のキラル合成はスキーム1に従って達成され得る。ヨードブロモベンジル誘導体(S1‐3)からグリニャール形成、3-オキソアゼチジン-1‐カルボン酸tert-ブチルとの縮合はワン・ポット反応または段階的な方法で5'-ブロモ-3'H-スピロ[アゼチジン-3,1'-イソベンゾフラン]-1-カルボン酸tert-ブチル(S1‐4)を提供する。パラジウム触媒によるビニルエーテルとの縮合はアセトフェノン(S1‐5)を提供し、トリフルオロアセトフェノン(S1‐2)との縮合を経てカルコン(S1‐6)を与える。ヒドロキシルアミンの添加とキラル触媒(Cat) の存在下での環化はイソキサゾリン(S1‐7)の所望のエナンチオマーを提供する。Boc保護基の除去は、メタノール中でベンゼンスルホン酸などの酸性条件下で達成され、キラルアゼチジン(S1‐8)を提供し、先に記載したようにカップリングを経てキラル化合物(S1‐9aとS1‐9b)を提供する。
【0065】
本発明の化合物が遊離塩基形態、例えば非保護化の式(S1‐8)化合物[式中、Pg基は酸付加塩(「X」)に置き換えられる]を有する場合、本化合物は、本化合物の遊離塩基形態と、許容範囲の無機酸または有機酸、例えば水素ハロゲン化物(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ふっ化水素酸塩、沃化水素塩);他の鉱酸およびその対応する塩(例えば、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩);アルキルおよびモノアリールスルホン酸塩(例えば、エタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩);他の有機酸およびその対応する塩(例えば、脂肪族モノとジカルボン酸、フェニル置換アルカノン酸、ヒドロキシアルカノン酸、アルカン二酸、芳香族酸、脂肪族スルホン酸、芳香族スルホン酸など)との反応によって酸付加塩として製造され得る。そのような塩としては、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、カプリル酸塩、イソ酪酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩 、酢酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、フタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、タンスルホン酸塩などが挙げられる。アミノ酸の塩(例えば、アルギン酸塩、 グルコン酸塩、ガラクツロン酸塩など)も検討され得る。例えば、Berge S. M., et al., Pharmaceutical Salts, J. Pharm. Sci., 66:1 (1977)を参照のこと。
【0066】
当業者は認めるであろうが、いつくかのケースで、式(1)および式(2)化合物の合成を完了するためにスキームに示した所定の試薬を導入した後、詳細に記載していない付加的な通常の合成工程を実行する必要があり得る。
【0067】
本発明の化合物は、本明細書に組み入れられたものとして記載された、本明細書の方法以外の方法によって、本明細書に記載された方法の適応によって、および/または当該技術分野における公知の方法(例えば、本明細書に記載した技術、あるいは標準テキストブック、例えば、「Comprehensive Organic Transformations - A Guide to Functional Group Transformations」, RC Larock, Wiley-VCH (1999 or later editions)の使用)の適応によって製造し得ることを当業者なら理解するであろう。
【0068】
下記の反応は通常、アルゴンまたは窒素の正圧下あるいは乾燥管を用いて、周囲温度(他に記載がない限り)で、無水溶媒中で行い、注射器を介して基体および試薬の導入のために反応フラスコにラバーセプタを取り付けた。ガラス容器は、炉乾燥および/または加熱乾燥した。分析薄層クロマトグラフィー(TLC)は、プレコート済みガラス背面シリカゲル60F254(pre−coated glass−backed silica gel)プレートを使用して実行し、適切な溶媒比(v/v)で溶離した。反応は、TLCまたはLCMSで分析し、出発原料の消費で判断して終了する。TLCプレートの可視化は紫外線(254nmの波長)または適切なTLC可視化溶媒と加熱活性化によって実行した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(Still et al., J. Org. Chem., 43, 2923, (1978))は、シリカゲル(RediSep Rf)または種々のMPLCシステム、例えばBiotageまたはISCO精製系を用いて実行した。
【0069】
従来手法および/または当業者に公知の分離および精製の技術によって本発明の化合物のみならずそれに関連する種々の中間体を単離し得る。そのような技術は、当業者に周知であり、例えば、あらゆるタイプのクロマトグラフィー(高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、シリカゲルなどの一般的吸着剤を使用したカラムクロマトグラフィー 、薄層クロマトグラフィー(TLC))、再結晶、および差異的(すなわち,液‐液)抽出技術を含んでいてもよい。
【0070】
下記の例の化合物構造は、1以上の以下の方法によって確認された。:プロトン磁気共鳴スペクトル法および質量分光測定法。プロトン磁気共鳴(H NMR)スペクトルは、400メガヘルツ(MHz)の電磁界強度でBruker分光器を使って測定した。マススペクトル(MS)データは大気圧化学イオン化を組み合わせたAgilent質量分析計によって得た。方法:Acquity UPLCのクロマトグラフ法でウォーターズ BEH C18カラム(2.1×50mm、1.7μm)上、50℃で実行した。移動相はアセトニトリル(0.1%のトリフルオロ酢酸を含有)と水(5−100%)の二成分傾斜であった。
【0071】
本発明の実施形態は、以下の実施例で説明する。しかし、この開示を考慮して、本発明の実施形態は、これらの実施例の具体的な詳細に限定されることはなく、本発明の他の変形形態は公知か、または当業者にとって自明であることを理解されたい。
【実施例】
【0072】
以下の中間体および実施例は式(1)化合物を製造する方法の条件のより詳細な記載を提供する。しかし,本発明は、本明細書で完全に説明し、特許請求の範囲に記載したように下記のスキームの詳細または製造様式によって限定される意図はないことを理解されたい。
【0073】
中間体1.
(4-ニトロフェニル)-2-メチルスルホニルアセタート(式(2a))
【0074】
【化11】
【0075】
100.0gのメタンスルホニル酢酸(724mmol)を500mLのアセトニトリルに加えた。トリエチルアミン(3.78g、724mmol)を加えて反応液を0℃に冷却した。p-ニトロフェニルクロロホルメート(161g、1.08当量)のアセトニトリル(240mL)溶液を5℃未満の温度でゆっくりと加えた。加えた後、約5−10℃で15分間撹拌した。1500mLの水を加えて、得られたスラリーを15分間撹拌した。ろ過し、25%アセトニトリル水溶液で洗浄した。その物質を乾燥した。前記物質を酢酸イソプロピル(835mL)中で80℃に加熱することによって更に精製した。混合物を2時間以上かけて20℃に冷却し、ろ過して製造物を単離した。200mLのtert‐ブチルメチルエーテルでろ過ケークを洗浄した。前記物質を50℃、真空下で乾燥すると147g(78%)の白色固体が得られた。1H NMR (CDC13, 600MHz) 8.35 (d, 2H), 7.37 (d, 2H), 4.28 (s, 2H), 3.23 (s, 3H). MS M+1 = 260.
代わりに、(4-ニトロフェニル)-2-メチルスルホニルアセタートは、メタンスルホニル酢酸(59g)と4-ニトロフェノール(119g)とアセトニトリル(600mL)を窒素下で撹拌することにより製造することができる。混合物を氷/水浴で約3℃の内部温度に冷却した。N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDAC、100g)を30分以上かけて少しずつ加えた。添加の間に内部温度が最高約8℃に上昇した。反応液を1時間撹拌しながら放置し、約1−3℃に冷却した。最高温度10℃で15分間以上かけて水(1200mL)を加え、反応混合物を急冷した。ろ過して製造物を単離した。黄色のろ過ケークを水が無色で流れるまで水洗した。ろ過ケークを真空下、50℃で乾燥すると79g(収率71%)の白色固体が得られた。1H NMR (CDC13, 600MHz) 8.35 (d, 2H), 7.37 (d, 2H), 4.28 10(s, 2H), 3.23 (s, 3H). MS M+1 = 260.
中間体2.
キラル-5'-(5-(3,5-ジクロロ-4-フルオロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-3-イル)-3'H-スピロ[アゼチジン-3, 1'-イソベンゾフラン]ベンゼンスルホン酸塩(式(1a1))
【0076】
【化12】
【0077】
本化合物は、p-トルエンスルホン酸をベンゼンスルホン酸と入れ替えた以外は国際公開第2012/120399号の製造31と同様に製造した。キラル-tert-ブチル 5'-(5-(3,5-ジクロロ-4-フルオロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-3-イル)-3'H-スピロ[アゼチジン-3,1-イソベンゾフラン]-1-カルボキシラート(195g、348mmol)を60℃でメタノール(600mL)に溶解した。ベンゼンスルホン酸(66.7g、418mmol)をメタノール(60mL)溶液で30分間以上かけて反応液に加えた。反応液を60℃で30分間撹拌し、次いでtert-ブチルメチルエーテル(455mL)を加えた。反応液を20℃に冷却し、ろ過して製造物を単離した。製造物をtert-ブチルメチルエーテル(200mL)で洗浄し、乾燥すると167.4g(92%)の白色粉末が得られた。1H NMR, 600MHz (d6-DMSO) d ppm: 9.08 (br s, 1H), 8.89 (d, 1H), 7.95 (d, 1H), 7.83 (m, 3H), 7.72 (s, 1H), 7.62 (d, 2H) , 7.33 (m, 3H), 5.13 (s, 2H), 4.36 (m, 6H), 2.25; m/z (Cl) 461 [M+H] (遊離アミン)。星印()はキラル中心を表す。
【0078】
実施例1.
(S)-1-(5'-(5-(3,5-ジクロロ-4-フルオロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-3-イル)-3'H-スピロ[アゼチジン-3,1'-イソベンゾフラン]-1-イル)-2-(メチルスルホニル)エタノン(式(3))
【0079】
【化13】
【0080】
酢酸イソプロピル(450mL)中の、(S)-(5'-(5-(3,5-ジクロロ-4-フルオロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-3-イル)-3'H-スピロ[アゼチジン-3,1'-イソベンゾフラン]ベンゼンルホン酸塩(中間体2、50.0g)と(4-ニトロフェニル)-2-メチルスルホニルアセタート(中間体1、22.4g、1.07当量)のスラリー液を約7℃に冷却した。酢酸イソプロピルの他に代替の非限定的な有機溶剤としては、例えばテトラヒドロフラン、酢酸エチル、トルエン、メチルtert-ブチルエーテルなどが使用できる。これにトリエチルアミン(9.26g、1.10当量)を加えた。反応液を約5−10℃で15分間撹拌し、次いで約20℃で2時間撹拌した。生じた固体をろ過で取り除いた。残りの有機溶液を順次に6Nの水酸化アンモニウム水溶液(2x250mL)、次いで水洗(2x200mL)した。水酸化アンモニウムの他に代替の非限定的な水性塩基として炭酸塩および他の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)が使用できる。洗浄した有機物を真空下で小容量に濃縮した。次いで、濃縮した有機物を300mLのメタノールに加えた。メタノール溶液を20℃の水(300mL)に30分以上撹拌しながらゆっくり加えた。更に15分間撹拌した後、ろ過し、固体を単離した。得られた白色粉末を50℃、真空下で乾燥すると38gの最終生成物が得られた。代わりに、結晶形態の製造物は、濃縮した有機物を酢酸エチル(5%)、n-ヘプタン(35%)およびエタノール(60%)を含む溶液(300mL)に加えることによって単離し得る。反応混合物を約60℃に加熱し、次いで、約15−20分間以上かけて約45℃に冷却した。(S)- 1- (5'-(5-(3,5-ジクロロ-4-フルオロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-3-イル)-3'H-スピロ[アゼチジン-3,1'-イソベンゾフラン]-1-イル)-2-(メチルスルホニル)エタノンの結晶種を混合液に加えた[結晶種は、非晶質(S)- 1- (5'-(5-(3,5-ジクロロ-4-フルオロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-3-イル)-3'H-スピロ[アゼチジン-3,1'-イソベンゾフラン]-1-イル)-2-(メチルスルホニル)エタノンをメタノールに溶解し、室温で5日間以上かけて外層をジイソプロピルエーテルで蒸気拡散し、非晶形を結晶形にゆっくり変換させて製造した]。反応混合物は、45℃で約2時間維持し、1時間当たり約1.5℃の割合で約30℃まで冷却し、次いで3時間以上かけて直線的に10℃に冷却し、次いで10℃で約4.5時間保持した。白色スラリーは、20分以上かけて約0−1℃に冷却し、約0−1℃で一夜(およそ23時間)保持した。ろ過し、乾燥すると本製造物が単離された。1H NMR, 600MHz (d6-DMSO): 7.88 (d, 2H), 7.82 (d, 1H), 7.73 (m, 2H), 5.18 (s, 2H), 4.62 (dd, 2H), 4.42 (dd, 2H), 4.28 (m, 4H), 3.20 (s, 3H). MS: M+H = 582.
本発明の態様
態様1
式(1)化合物の製造方法であって、
【化14】
a)式(1a)化合物[式中、R1a、R1b、及びR1cはそれぞれ互いに独立して、水素、ハロゲンまたはCFから選択され;Xは酸付加塩であり;「」はキラル中心を表す]を、
【化15】
b)式(2)化合物[式中、Rは水素、ハロゲンまたはニトロであり、mは整数1、2、3、4または5であり、Rの少なくとも1つはハロまたはニトロであるが、唯一のRはニトロである]と
【化16】
;非水塩基の存在下、有機溶剤中で反応させることによる製造方法。
態様2
式(2)が式(2a)の化合物である態様1記載の方法。
【化17】
態様3
1a、R1b、及びR1cは、それぞれ互いに独立して水素、フルオロおよびクロロから選択され;有機溶剤は酢酸イソプロピル、テトラヒドロフラン、メチルtert-ブチルエーテル、酢酸エチルおよびトルエンからなる群から選択され;酸付加塩はベンゼンスルホン酸である、態様2記載の方法。
態様4
式(1a)化合物は式(1a1)化合物であって、非水塩基はトリエチルアミンである、態様3記載の方法。
【化18】
態様5
a)等モル量の式(1a1)化合物と式(2a)化合物を酢酸イソプロピル中で反応させ;
b)固形物を除去し、有機物を水性塩基と水で順次洗浄し;
c)有機物を濃縮する、態様4記載の方法。
態様6
a)前記の濃縮した有機物にアルコールを加え;
b)アルコール溶液を撹拌しながら水にゆっくり加え;
c)得られた固体をろ過し、乾燥させる、ことを更に含む態様5記載の方法。
態様7
前記の濃縮した固体を水酸化物または炭酸塩から選択した水性塩基で二回洗浄し、次いで二回水洗する、態様5記載の方法。
態様8
水性塩基が水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは水酸化アンモニウムから選択される、態様7記載の方法。
態様9
前記アルコールがメタノールである、態様6記載の方法。
態様10
a)前記の濃縮した有機物を酢酸エチル、n-ヘプタンおよびエタノールを含む溶液に加える;
b)前記の溶液に結晶種を加えて冷却する;
c)得られた固体をろ過し、乾燥する、ことを更に含む態様5記載の方法。
態様11
式(3)化合物の製造方法であって、
【化19】
式(1b1)化合物を、式(2)化合物[式中、Rは水素、ハロゲンまたはニトロであり、mは整数1、2、3、4または5であり、Rの少なくとも1つはハロまたはニトロであるが、唯一のRはニトロである]と非水塩基の存在下、有機溶媒中で反応させることによる製造方法。
【化20】
態様12
式(2)化合物は式(2a)の化合物であり;有機溶剤は酢酸イソプロピル、酢酸エチル、トルエン、テトラヒドロフランおよびメチルtert-ブチルエーテルからなる群から選択され;非水塩基はトリエチルアミンである、態様11記載の方法。
【化21】
態様13
有機溶剤は酢酸イソプロピルであり、固形物を除去し、有機物を水性塩基と水で順次洗浄し、有機物を濃縮する、態様12記載の方法。
態様14
前記の濃縮した有機物は、いずれもメタノールに加えて、水をゆっくり混合し、得られた固体をろ過により単離し、乾燥する;または、前記の濃縮した有機物を、酢酸エチル、n-ヘプタンおよびエタノールを含む溶液に加え、次いで、結晶種を混合し、放冷し、得られた固体をろ過により単離し、乾燥する、態様13記載の方法。
態様15
式(2a)化合物の製造方法であって、
【化22】
A)a)メタンスルホニル酢酸とアセトニトリルとトリエチルアミンを混合し、b)反応混合物を冷却し、アセトニトリル中のp-ニトロフェニルクロロホルメートを加え、c)水を加えて、d)ろ過し、反応混合物をアセトニトリル/水(1:3)で洗浄し、e)固体を乾燥させ、固体を酢酸イソプロピル中で約80℃に加熱することによって更に精製し、f)混合液を冷却し、ろ過し、固体をtert-ブチルメチルエーテルで洗浄し、g)固体を乾燥させる;あるいは、
B)a)メタンスルホニル酢酸と4-ニトロフェノールとアセトニトリルを窒素下で混合し、b)反応混合物を冷却し、c)N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミド塩酸塩を少しずつ加え、d)反応混合物を水で急冷し、e)固体をろ過し、水洗し、f)固体を乾燥させる、ことのいずれかを含む製造方法。