特許第6234474号(P6234474)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234474
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】キーレスエントリシステム
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20171113BHJP
   B60R 25/40 20130101ALI20171113BHJP
   B60R 25/24 20130101ALI20171113BHJP
【FI】
   E05B49/00 J
   B60R25/40
   B60R25/24
【請求項の数】2
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-546659(P2015-546659)
(86)(22)【出願日】2014年11月5日
(86)【国際出願番号】JP2014079336
(87)【国際公開番号】WO2015068727
(87)【国際公開日】20150514
【審査請求日】2016年4月5日
(31)【優先権主張番号】特願2013-231057(P2013-231057)
(32)【優先日】2013年11月7日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプス電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120204
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 巌
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 明
【審査官】 藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−079868(JP,A)
【文献】 特開2008−106577(JP,A)
【文献】 特開2007−118899(JP,A)
【文献】 特開2010−138623(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0224876(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 49/00−49/04
E05B 77/00−85/28
B60R 25/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1通信機と第2通信機とを備え、
前記第1通信機と前記第2通信機との無線通信を利用して、
キーレスエントリ対象の装備を作動させるキーレスエントリシステムであって、
前記第1通信機は、
第1無線信号を前記第2通信機に送信する第1送信手段と、
前記第2通信機からの第2無線信号を受信する第1受信手段と、
第3無線信号を用いて前記第2通信機との双方向通信を行う第1双方向通信手段と、
を有し、
前記第2通信機は、
前記第1通信機からの前記第1無線信号を受信する第2受信手段と、
前記第2無線信号を前記第1通信機に送信する第2送信手段と、
前記第3無線信号を用いて前記第1通信機との双方向通信を行う第2双方向通信手段と、
を有し、
前記第1通信機又は前記第2通信機は、
前記第1通信機と前記第2通信機との無線通信で使用される無線信号の電界強度を検出する電界強度検出手段を有し、
前記第1送信手段は、
前記第2通信機に応答を求める呼び掛け信号を、
前記第1無線信号を用いて定期的に送信する呼び掛け機能を有し、
前記第2受信手段は、
前記第1通信機からの前記第1無線信号を待ち受ける待ち受け機能を有し、
前記第1通信機と前記第2通信機とが双方向通信によって通信接続されていないか、
又は、前記電界強度検出手段が検出した電界強度が規定値よりも小さい場合には、
前記第1通信機が前記第1送信手段の呼び掛け機能を停止させるか、
又は、前記第2通信機が前記第2受信手段の待ち受け機能を停止させるものであって、
前記第1通信機は、
複数の前記第2通信機と双方向通信による通信接続が可能であり、
前記第1通信機と少なくとも1つの前記第2通信機とが、
双方向通信によって通信接続されている場合には、
前記第1通信機が、
前記第1送信手段の呼び掛け機能を停止させ、
前記第1通信機と所定の台数の前記第2通信機とが、
双方向通信によって通信接続されている場合には、
前記第1通信機と通信接続されていない前記第2通信機が、
前記第2受信手段の前記待ち受け機能を停止させることを特徴とするキーレスエントリシステム。
【請求項2】
前記第1通信機は、車両に搭載された車載器であり、
前記第2通信機は、前記車両のユーザが携帯する携帯機であり、
前記装備は、前記車両に搭載された車載装備であることを特徴とする、
請求項1に記載のキーレスエントリシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キーレスエントリシステムに関し、特に、携帯機の不使用時に車載器又は携帯機の電力消費を抑制することができるキーレスエントリシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載された車載器と車両のユーザが携帯する携帯機との無線通信を利用して、機械式キーを用いないで車両のドアの施錠・開錠等の車両操作を行うことができる、キーレスエントリシステムが普及している。通常、このようなキーレスエントリシステムでは、車載器がLF(長波)帯の周波数(30kHz〜300kHz)の無線信号を携帯機に送信し、それに対応して携帯機がUHF(極超短波)帯の周波数(300MHz〜3GHz)の無線信号を車載器に送信することによって、車載器と携帯機との間で無線通信を行っている。そして、車載器と携帯機との無線通信を利用して、ID情報の照合を行ったり、車両操作に関する操作情報の送受信を行ったりしている。
【0003】
そして、近年、車載器と携帯機とが、それぞれブルートゥース(Bluetooth(登録商標))やブルートゥース・ローエナジー(Bluetooth(登録商標) Low Eergy)等の近距離無線通信規格に対応した双方向通信手段を更に有し、車載器と携帯機との双方向通信を利用して、より複雑な情報の送受信を行うことができるキーレスエントリシステムも実用化され始めている。このようなキーレスエントリシステムでは、通信機能の充実に伴って車載器と携帯機との電力消費も増大している。そのため、携帯機が使用されていない状態(携帯機の不使用状態)を検出し、携帯機が使用されていない時(携帯機の不使用時)には、車載器又は携帯機の通信機能の一部を停止させて、車載器又は携帯機の電力消費を抑制することが望ましい。
【0004】
携帯機の不使用時に車載器又は携帯機の電力消費を抑制することができるキーレスエントリシステムとしては、特許文献1に係るスマートエントリーシステム(キーレスエントリシステム)や、特許文献2に係るセキュリティシステム(キーレスエントリシステム)等が提案されている。図7は、特許文献1に係るスマートエントリーシステム201の構成を示す説明図である。図8は、特許文献2に係るセキュリティシステム301の構成を示す説明図である。
【0005】
図7に示すように、特許文献1に係るスマートエントリーシステム201は、車載無線通信装置210(車載器)と携帯型無線通信装置220(携帯機)とを備えている。車載無線通信装置210は、送信部211aと受信部211bと制御部211cとからなる電子制御装置211を有している。送信部211aは、携帯型無線通信装置220に無線信号を送信している。受信部211bは、携帯型無線通信装置220からの無線信号を受信している。制御部211cは、携帯型無線通信装置220との間の通信に対応して、車載LAN232を介してエンジンECU230やドアロックECU231等の車載装備を制御している。
【0006】
携帯型無線通信装置220は、LF受信部221とRF送信部222と操作部223と電池224とリレースイッチ225と振動発電デバイス226と振動成分判定回路227と制御部228とを有している。LF受信部221は、車載無線通信装置210からの無線信号を受信している。RF送信部222は、無線信号を車載無線通信装置210に送信している。制御部228は、LF受信部221やRF送信部222等を制御している。電池224は、LF受信部221やRF送信部222等に電力を供給している。LF受信部221とRF送信部222とへの電力供給は、リレースイッチ225によってそれぞれ停止することができる。
【0007】
振動発電デバイス226は、携帯型無線通信装置220に伝わる振動に基づき変化する電圧を出力している。振動成分判定回路227は、振動発電デバイス226の出力電圧に基づいて、携帯型無線通信装置220に振動が伝わっていない状態を、携帯型無線通信装置220の不使用状態として検出している。そして、携帯型無線通信装置220は、携帯型無線通信装置220の不使用状態を検出した場合に、電池224からLF受信部221への電力供給を停止し、LF受信部221の受信機能を停止させている。
【0008】
また、図8に示すように、特許文献2に係るセキュリティシステム301は、電子キー302(携帯機)とセキュリティ装置303(車載器)とを備えている。セキュリティ装置303は、車外送信回路331と車外送信アンテナ332と車内送信回路333と車内送信アンテナ334と受信アンテナ335と受信回路336と照合制御装置337を有している。車外送信回路331は、車外送信アンテナ332を介して電子キー302に無線信号を送信している。また、車内送信回路333は、車内送信アンテナ334を介して電子キー302に無線信号を送信している。受信回路336は、受信アンテナ335を介して電子キー302からの無線信号を受信している。照合制御装置337は、電子キー302とセキュリティ装置303との間の通信に対応して、図示しない各種の車載装備を制御している。
【0009】
電子キー302は、受信アンテナ321と受信回路322とマイコン323と送信回路324と送信アンテナ325と電子キー302とを有している。受信回路322は、受信アンテナ321を介してセキュリティ装置303からの無線信号を受信している。送信回路324は、送信アンテナ325を介してセキュリティ装置303に無線信号を送信している。マイコン323は、受信回路322や送信回路324等を制御している。振動センサ326は、電子キー302の振動の有無を検出している。
【0010】
そして、電子キー302は、セキュリティ装置303が搭載された車両のドアが施錠され、且つ、振動センサ326が電子キー302が振動していない状態を、電子キー302の不使用状態として検出し、電子キー302の不使用状態を検出した場合に、セキュリティ装置303からの無線信号の待ち受けを停止している。
【0011】
特許文献1に係るスマートエントリーシステム201や、特許文献2に係るセキュリティシステム301では、このようにして、携帯機の振動の有無によって、携帯機の不使用状態を検出し、携帯機の不使用時には、携帯機側の通信機能の一部を停止させて携帯機の電力消費を抑制している。
【0012】
尚、特許文献1及び特許文献2では、車載器の電力消費を抑制する方法は開示されていないが、前述した方法と同様の方法によって携帯機の不使用状態を検出し、携帯機の不使用時に車載器側の通信機能の一部を停止させることによって、車載器の電力消費を抑制することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2012−227586号公報
【特許文献2】特開2011−184959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献1に係るスマートエントリーシステム201や特許文献2に係るセキュリティシステム301では、いずれも、携帯機の振動を検知するための振動検知手段が必要となる。通常、このような振動検知手段は構成が複雑であり、携帯機の構成も複雑になってしまう。そして、それによって携帯機のコストアップにも繋がってしまう。
【0015】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、携帯機の構成を簡単にでき、且つ、携帯機の不使用時に車載器又は携帯機の電力消費を抑制することができるキーレスエントリシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この課題を解決するために、請求項1に記載のキーレスエントリシステムは、第1通信機(車載器)と第2通信機(携帯機)とを備え、前記第1通信機と前記第2通信機との無線通信を利用して、キーレスエントリ対象の装備を作動させるキーレスエントリシステムであって、前記第1通信機は、第1無線信号を前記第2通信機に送信する第1送信手段と、前記第2通信機からの第2無線信号を受信する第1受信手段と、第3無線信号を用いて前記第2通信機との双方向通信を行う第1双方向通信手段と、を有し、前記第2通信機は、前記第1通信機からの前記第1無線信号を受信する第2受信手段と、前記第2無線信号を前記第1通信機に送信する第2送信手段と、前記第3無線信号を用いて前記第1通信機との双方向通信を行う第2双方向通信手段と、を有し、前記第1通信機又は前記第2通信機は、前記第1通信機と前記第2通信機との無線通信で使用される無線信号の電界強度を検出する電界強度検出手段を有し、前記第1送信手段は、前記第2通信機に応答を求める呼び掛け信号を、前記第1無線信号を用いて定期的に送信する呼び掛け機能を有し、前記第2受信手段は、前記第1通信機からの前記第1無線信号を待ち受ける待ち受け機能を有し、前記第1通信機と前記第2通信機とが双方向通信によって通信接続されていないか、又は、前記電界強度検出手段が検出した電界強度が規定値よりも小さい場合には、前記第1通信機が前記第1送信手段の呼び掛け機能を停止させるか、又は、前記第2通信機が前記第2受信手段の待ち受け機能を停止させるものであって、前記第1通信機は、複数の前記第2通信機と双方向通信による通信接続が可能であり、前記第1通信機と少なくとも1つの前記第2通信機とが、双方向通信によって通信接続されている場合には、前記第1通信機が、前記第1送信手段の呼び掛け機能を停止させ、前記第1通信機と所定の台数の前記第2通信機とが、双方向通信によって通信接続されている場合には、前記第1通信機と通信接続されていない前記第2通信機が、前記第2受信手段の前記待ち受け機能を停止させることを特徴とする。
【0017】
この構成のキーレスエントリシステムでは、第1通信機と第2通信機とが双方向通信によって通信接続されているか否か、又は、電界強度検出手段が検出した電界強度が規定値よりも小さいか否かによって、第2通信機の不使用状態を検出することができる。そのため、第2通信機の振動を検知するための振動検知手段を必要とせず、第2通信機の構成を簡単にできる。しかも、第2通信機の不使用状態を検出した場合には、第1通信機が第1送信手段の呼び掛け機能を停止させるか、又は、第2通信機が第2受信手段の待ち受け機能を停止させることによって、第1通信機側又は第2通信機側の無駄な電力消費を抑制することができる。その結果、この構成のキーレスエントリシステムでは、第2通信機の構成を簡単にでき、且つ、第2通信機の不使用時に第1通信機又は第2通信機の電力消費を抑制することができる。
【0019】
また、この構成のキーレスエントリシステムでは、第1通信機は、複数の第2通信機との間で双方向通信による通信接続が可能である。そして、第1通信機と少なくとも1つの第2通信機とが、双方向通信によって通信接続されていれば、第1通信機とその第2通信機との無線通信を利用して、キーレスエントリ対象の装備を作動させることができる。そのため、第1通信機と少なくとも1つの第2通信機とが、双方向通信によって通信接続されている時に、第1通信機の第1送信手段が呼び掛け信号を送信し続けていては、第1通信機が無駄な電力を消費することになる。しかしながら、この構成のキーレスエントリシステムでは、第1通信機と少なくとも1つの第2通信機とが、双方向通信によって通信接続されている場合には、第1通信機が、第1送信手段の呼び掛け機能を停止させている。その結果、第1通信機側の無駄な電力消費を抑制することができる。
【0021】
さらに、この構成のキーレスエントリシステムでは、第1通信機と複数の第2通信機とが双方向通信によって通信接続可能な場合でも、通信速度の確保やセキュリティの維持等の観点から、第1通信機と双方向通信によって通信接続可能な第2通信機の台数を所定の台数以下に制限することが望ましい。そして、その場合、第1通信機と通信接続されていない第2通信機を用いて、キーレスエントリ対象の装備を作動させることはできない。そのため、第1通信機と双方向通信によって通信接続されていない第2通信機が第2受信手段の待ち受け機能を作動させていては、第2通信機が無駄な電力を消費することになる。しかしながら、この構成のキーレスエントリシステムでは、第1通信機と所定の台数の第2通信機とが、双方向通信によって通信接続されている場合には、第1通信機と通信接続されていない第2通信機が、第2受信手段の待ち受け機能を停止させている。その結果、第2通信機側の無駄な電力消費を抑制することができる。
【0022】
請求項2に記載のキーレスエントリシステムでは、前記第1通信機は、車両に搭載された車載器であり、前記第2通信機は、前記車両のユーザが携帯する携帯機であり、前記装備は、前記車両に搭載された車載装備であることを特徴とする。
【0023】
この構成のキーレスエントリシステムでは、第1通信機は、車両に搭載された車載器であり、第2通信機は、車両のユーザが携帯する携帯機であり、キーレスエントリ対象の装備は、車両に搭載された車載装備である。このように、キーレスエントリシステムを車両に使用することによって、車両に搭載されたバッテリのバッテリ残量低下の抑制や、携帯機に内蔵された電池の長寿命化等が可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、携帯機の構成を簡単にでき、且つ、携帯機の不使用時に車載器又は携帯機の電力消費を抑制することができるキーレスエントリシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1実施形態に係るキーレスエントリシステム1の構成を示すブロック図である。
図2図1に示すキーレスエントリシステム1の使用例を示す説明図である。
図3図1に示す第2通信機20の構成を示す説明図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る通信接続の手順を示すフローチャートである。
図5】本発明の第2実施形態に係るキーレスエントリシステム101の使用例を示す説明図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る通信接続の手順を示すフローチャートである。
図7】特許文献1に係るスマートエントリーシステム201の構成を示す説明図である。
図8】特許文献2に係るセキュリティシステム301の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第1実施形態]
以下、本考案の第1実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、各図において、X1方向を左方向、X2方向を右方向、Y1方向を前方、Y2方向を後方、Z1方向を上方、Z2方向を下方として、説明を進める。
【0027】
まず、本発明の第1実施形態に係るキーレスエントリシステム1の構成について、図1ないし図3を用いて説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るキーレスエントリシステム1の構成を示すブロック図である。図2は、図1に示すキーレスエントリシステム1の使用例を示す説明図である。図3は、図1に示す第2通信機20の構成を示す説明図である。図3(a)は上面図であり、図3(b)は側面図である。
【0028】
キーレスエントリシステム1は、図1に示すように、第1通信機10と第2通信機20とを備えている。第1通信機10は、図2に示すように、車両30に搭載される車載器である。車両30には、車両30のドア31の施錠・開錠を行うドア施錠装置32等の車載装備が搭載されている。第2通信機20は、車両30のユーザ40が携帯する携帯機である。本実施形態では、第2通信機20は、電子キーの機能が付加された、スマートフォンと呼ばれる携帯情報端末である。
【0029】
キーレスエントリシステム1では、LF(長波)帯の周波数(30kHz〜300kHz)の無線信号(電磁波信号)である第1無線信号を第1通信機10から第2通信機20に送信し、UHF(極超短波)帯の周波数(300MHz〜3GHz)の無線信号(電磁波信号)である第2無線信号を第2通信機20から第1通信機10に送信することによって、第1通信機10と第2通信機20との間で無線通信を行うことができる。また、キーレスエントリシステム1では、UHF帯の周波数の無線信号(電磁波信号)である第3無線信号を用いて第1通信機10と第2通信機20との間で双方向通信を行うこともできる。
【0030】
以下、第1無線信号と第2無線信号とを用いた第1通信機10と第2通信機20との無線通信を、第1無線信号と第2無線信号とを用いた無線通信と略称する。また、第3無線信号を用いた第1通信機10と第2通信機20との双方向通信を、第3無線信号を用いた双方向通信と略称する。また、第1無線信号と第2無線信号とを用いた無線通信と、第3無線信号を用いた双方向通信と、を合わせて、第1通信機10と第2通信機20との無線通信と略称する。
【0031】
キーレスエントリシステム1では、このような第1通信機10と第2通信機20との無線通信を利用して、車両操作に関する各種の指示や情報の伝達を行い、そして、車両30のドア31の施錠・開錠や、ユーザ40が車両30に近付いた時に車両30のライトを点灯させるウエルカムライトの点灯や、車両30の位置情報や燃料残量情報やタイヤ空気圧情報のような車両情報の送信等の車両操作を、機械式キーを用いないで行っている。
【0032】
尚、第1通信機10は図示しない車載バッテリに接続されており、車載バッテリが第1通信機10の各種回路に電源を供給している。また、第2通信機20には図示しない電池が内蔵されており、内蔵された電池が第2通信機20の各種回路に電源を供給している。
【0033】
次に、第1通信機10の構成について説明する。第1通信機10は、図1に示すように、第1送信手段11と第1受信手段12と第1双方向通信手段13と第1制御手段14とを有している。
【0034】
第1送信手段11は、第2通信機20に第1無線信号を送信している。第1無線信号としては、120kHz帯の周波数の信号等が使用される。第1無線信号にはAM変調等の変調を加えることができる。そして、第1無線信号に変調を加えることによって、第1通信機10から第2通信機20に各種の指示や情報を伝達することができる。第1無線信号が届く距離は、車両30の車内又はドア31付近に限定される。
【0035】
第1受信手段12は、第2通信機20から送信される第2無線信号を受信している。第2無線信号としては、300MHz帯の周波数の信号等が使用される。第2無線信号にはFM変調等の変調を加えることができる。そして、第2無線信号に変調を加えることによって、第2通信機20から第1通信機10に各種の指示や情報を伝達することができる。第2無線信号が届く距離は、第2通信機20から数m程度である。
【0036】
第1双方向通信手段13は、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))やブルートゥース・ローエナジー(Bluetooth(登録商標) Low Eergy)等の近距離無線通信規格に対応した通信手段である。第1双方向通信手段13は、第3無線信号を用いて第2通信機20との双方向通信を行っている。そして、第3無線信号を用いた双方向通信によって、第1通信機10と第2通信機20との間で各種の指示や情報を伝達することができる。第3無線信号としては、例えば、2.4GHz帯の周波数の信号が使用される。第3無線信号が届く距離は、車両30から数m程度である。
【0037】
第1制御手段14は、第1送信手段11と第1受信手段12と第1双方向通信手段13とを制御している。また、第1制御手段14は、第1通信機10と第2通信機20との無線通信を利用して第2通信機20から各種の情報を入手している。そして、第2通信機20からID情報を入手した場合には、自身が記憶するID情報との照合を行っている。また、第1制御手段14は、第1通信機10と第2通信機20との無線通信の通信接続状態をモニタしている。そして、第1制御手段14は、第2通信機20から入手した情報と自身がモニタした情報とに基づいて、各種の判断を行っている。
【0038】
また、第1制御手段14は、図示しない車載ネットワーク等を介して、ドア施錠装置32等の車載装備と接続されており、接続された車載装備に車両操作に関する各種の指示を出している。
【0039】
次に、第2通信機20の構成について説明する。第2通信機20は、図1に示すように、第2受信手段21と第2送信手段22と第2双方向通信手段23と電界強度検出手段24と表示手段25と入力手段26と第2制御手段27とを有している。
【0040】
第2受信手段21は、第1通信機10から送信される第1無線信号を受信している。第2送信手段22は、第1通信機10に第2無線信号を送信している。そして、第1通信機10の第1送信手段11から第2通信機20の第2受信手段21に第1無線信号を送信し、第2通信機20の第2送信手段22から第1通信機10の第1受信手段12に第2無線信号を送信することによって、第1通信機10と第2通信機20との間で、第1無線信号と第2無線信号とを用いた無線通信を行うことができる。
【0041】
第2双方向通信手段23は、ブルートゥースやブルートゥース・ローエナジー等の近距離無線通信規格に対応した双方向通信手段である。第2双方向通信手段23は、第3無線信号を用いて第1通信機10との双方向通信を行っている。そして、第1通信機10の第1双方向通信手段13と第2通信機20の第2双方向通信手段23とによって、第1通信機10と第2通信機20との間で、第3無線信号を用いた双方向通信を行うことができる。
【0042】
電界強度検出手段24は、第2双方向通信手段23が受信した第3無線通信の受信電界強度を検出している。第1通信機10と第2通信機20との距離が離れると、第3無線信号の受信電界強度は低下するので、電界強度検出手段24が検出した受信電界強度を、第2通信機20を携帯したユーザ40と第1通信機10が搭載された車両30との距離を推定するための情報として使用することができる。
【0043】
表示手段25は、液晶パネルと呼ばれる表示装置である。表示手段25は、図3に示すように、第2通信機20の上面側の所定の位置に配置されている。そして、表示手段25の表示画面25aには、各種の情報を表示させることができる。
【0044】
入力手段26は、タッチパネルと呼ばれる入力装置である。入力手段26は、図3に示すように、表示手段25の表示画面25aの上側に重ねるように配置されている。そして、ユーザ40が指先等を入力手段26の操作面26aに接触させることによって、各種の入力操作を行うことができる。
【0045】
第2制御手段27は、第2受信手段21と第2送信手段22と第2双方向通信手段23とを制御している。また、第2制御手段27は、第1通信機10と第2通信機20との無線通信を利用して第1通信機10から各種の情報を入手している。また、第2制御手段27は、第1通信機10と第2通信機20との無線通信の通信接続状態をモニタしている。また、第2制御手段27は、電界強度検出手段24が検出した受信電界強度や入力手段26への入力操作をモニタしている。そして、第2制御手段27は、第1通信機10から入手した情報と自身がモニタした情報とに基づいて、各種の判断を行っている。
【0046】
次に、本実施形態に係る無線通信の機能について説明する。前述したように、キーレスエントリシステム1では、第1無線信号と第2無線信号とを用いた無線通信を行うことができる。また、キーレスエントリシステム1では、第3無線信号を用いた双方向通信を行うこともできる。
【0047】
そして、第1無線信号と第2無線信号とを用いた無線通信を利用して、第2通信機20に応答を呼び掛ける呼び掛け信号や、第2通信機20にID情報の送信を求めるリクエスト信号等が、第1通信機10から第2通信機20に伝達される。また、第1無線信号と第2無線信号とを用いた無線通信を利用して、呼び掛け信号に対応した応答信号や、登録された携帯機か否かを照合するためのID情報等が、第2通信機20から第1通信機10に伝達される。また、第3無線信号を用いた双方向通信を利用して、第1通信機10と第2通信機20との間で、モニタした情報や、通信機能の設定に関する指示や、入力操作に対応した操作情報や、車両情報等の伝達が行われる。
【0048】
尚、第1通信機10の第1送信手段11は、第2通信機20に応答を求める呼び掛け信号を、第1無線信号を用いて定期的に第2通信機20に送信する呼び掛け機能を有している。このような呼び掛け機能は、第2通信機20を携帯するユーザ40が車両30ドア31付近にいるか否かを判断する場合等に利用される。また、第2通信機20が使用されていない時には、呼び掛け機能を停止させることによって、第1通信機10側の無駄な電力消費を抑制している。
【0049】
また、第2通信機20の第2受信手段21は、第1通信機10から送信される第1無線信号を待ち受ける待ち受け機能を有している。第2受信手段21が待ち受け機能を作動させることによって、第1通信機10から送信される第1無線信号の受信が可能となる。また、第2通信機20が使用されていない時には、待ち受け機能を停止させることによって、第2通信機20側の無駄な電力消費を抑制している。
【0050】
以下、第2通信機20が使用されていない時を、第2通信機20の不使用時と略称し、第2通信機20が使用されていない状態を、第2通信機20の不使用状態と略称する。本実施形態のキーレスエントリシステム1は、第1通信機10と第2通信機20とが双方向通信によって通信接続されていることを前提としたシステムなので、第1通信機10と第2通信機20とが双方向通信によって通信接続されていない場合には、第1通信機10と第2通信機20との無線通信を利用した車両操作ができなくなる。そのため、このような場合には、第2通信機20が不使用状態であると判断している。
【0051】
また、第2通信機20を携帯したユーザ40と車両30との距離が数m以上離れた場合には、双方向通信で使用される第3無線信号の受信電界強度が低下して、第3無線信号を用いた双方向通信が困難となる。そして、第1無線信号が届く距離は、車両30の車内又はドア31付近に限定されるので、ユーザ40と車両30との距離が数m以上離れた場合には、第1無線信号と第2無線信号とを用いた無線通信も不可能である。そのため、このような場合にも、第2通信機20が不使用状態であると判断している。尚、本実施形態では、ユーザ40と車両30との距離が数m以上離れ、第3無線信号の受信電界強度が規定値未満となった場合に、第2通信機20が不使用状態であると判断している。
【0052】
次に、本実施形態に係る車両操作について説明する。前述したように、キーレスエントリシステム1では、第1通信機10と第2通信機20との無線通信を利用して、車両30のドア31の施錠・開錠や、ウエルカムライトの点灯や、車両情報の送信等の車両操作を行っている。
【0053】
車両30のドア31の開錠は、ユーザ40が第2通信機20を携帯して、車両30のドア31付近まで近付くと自動的に行われる。また、車両30のドア31の施錠は、ユーザ40が車両30を下車して、車両30のドア31付近から遠ざかると自動的に行われる。ユーザ40が車両30のドア31付近まで近付いたか否かの判断や、ユーザ40が車両30のドア31付近から遠ざかったか否かの判断は、第1無線信号と第2無線信号とを用いた無線通信を利用して行われる。
【0054】
前述したように、第1無線信号が届く距離は、車両30の車内又はドア31付近に限定される。そのため、本実施形態では、呼び掛け信号を第1無線信号を用いて定期的に第2通信機20に送信し、呼び掛け信号に対応した応答信号が第2通信機20から送信された場合に、ユーザ40が車両30のドア31付近まで近付いたと判断し、呼び掛け信号に対応した応答信号が送信されなくなった場合に、ユーザ40が車両30のドア31付近から遠ざかったと判断している。
【0055】
ウエルカムライトの点灯は、ユーザ40が第2通信機20を携帯して車両30に近付くと、車両30のドア31の開錠と連動して自動的に行われる。
【0056】
車両情報の送信は、第2通信機20の入力手段26に対する入力操作に対応して行われる。入力手段26に対して所定の入力操作が行われると、入力操作に対応した操作情報が、第3無線信号を用いた双方向通信を利用して第2通信機20から第1通信機10に伝達される。そして、操作情報に対応した車両情報が、第3無線信号を用いた双方向通信を利用して第1通信機10から送信され、第2通信機20に伝達される。伝達された車両情報は第2通信機20の表示手段25に表示される。
【0057】
尚、このような車両操作が実施される際には、第1通信機10の第1制御手段14が、第1通信機10と第2通信機20との無線通信を利用して、第2通信機20からID情報を入手し、入手したID情報の照合を行っている。そして、第1通信機10の第1制御手段14が、ID情報の照合結果に基づいて、車両操作が「可」であると判断した場合に、所定の車両操作が実施される。
【0058】
次に、本実施形態に係る通信接続の方法について、図4を用いて説明する。図4は、本発明の第1実施形態に係る通信接続の手順を示すフローチャートである。
【0059】
図4に示すように、まず、第1通信機10の第1双方向通信手段13が、双方向通信による通信接続が可能な第2通信機20を探索する(ステップSa1)。次に、第1通信機10の第1制御手段14が、通信接続可能な第2通信機20の検出の有無に基づいて判断を行う(ステップSa2)。ステップSa2において、通信接続可能な第2通信機20が検出されなかった場合、ステップSa4に移動する。ステップSa2において、通信接続可能な第2通信機20が検出された場合、第1通信機10と第2通信機20とが双方向通信による通信接続を行う(ステップSa3)。そして、ステップSa4に移動する。
【0060】
次に、ステップSa4では、第1通信機10の第1制御手段14と第2通信機20の第2制御手段27とが、双方向通信の通信接続状態をモニタする。次に、第1通信機10の第1制御手段14と第2通信機20の第2制御手段27とが、双方向通信の通信接続の有無に基づいて判断を行う(ステップSa5)。
【0061】
ステップSa5において、第1通信機10と第2通信機20とが双方向通信によって通信接続されていない場合、第2通信機20が不使用状態であると判断し、ステップSa12に移動する。ステップSa5において、第1通信機10と第2通信機20とが双方向通信によって通信接続されている場合、第1通信機10の第1制御手段14と第2通信機20の第2制御手段27とが、双方向通信で用いられる第3無線信号の受信信号強度に基づいて判断を行う(ステップSa6)。
【0062】
ステップSa6において、第3無線信号の受信電界強度が規定値未満であった場合、第2通信機20が不使用状態であると判断し、ステップSa12に移動する。ステップSa6において、第3無線信号の受信電界強度が規定値以上であった場合、第1通信機10の第1制御手段14が第1送信手段11の呼び掛け機能を作動させ、第2通信機20の第2制御手段27が第2受信手段21の待ち受け機能を作動させる(ステップSa7)。その結果、第1通信機10と第2通信機20との間で呼び掛け信号の送受信が可能となる。
【0063】
次に、第1通信機10の第1送信手段11が、呼び掛け信号を第1無線信号を用いて第2通信機20に送信し、第2通信機20の第2受信手段21が呼び掛け信号を受信する(ステップSa8)。そして、呼び掛け信号に対応した応答信号を、第2無線信号を用いてID情報と共に送信し、第1通信機10の第1受信手段12が応答信号とID情報とを受信する(ステップSa9)。
【0064】
次に、第1通信機10の第1制御手段14が、ID情報の照合を行う(ステップSa10)。そして、ID情報の照合結果に基づいて各種の車両操作が実施される(ステップSa11)。その後、ステップSa1に戻り、ステップSa1以降の手順を繰り返す。
【0065】
ステップSa5及びステップSa6に関連して、ステップSa12では、第1通信機10の第1制御手段14が第1送信手段11の呼び掛け機能を停止させ、第2通信機20の第2制御手段27が第2受信手段21の待ち受け機能を停止させる。その結果、車両操作はできなくなるが、第1通信機10と第2通信機20との電力消費を抑制することができる。その後、ステップSa1に戻り、ステップSa1以降の手順を繰り返す。
【0066】
キーレスエントリシステム1では、このような手順に従って第1通信機10と第2通信機20とが通信接続される。そして、第1通信機10と第2通信機20との無線通信を利用して各種の車両操作が行われる。
【0067】
次に、本実施形態の効果について説明する。本実施形態のキーレスエントリシステム1では、第1通信機10と第2通信機20とが双方向通信によって通信接続されているか否か、又は、電界強度検出手段24が検出した電界強度が規定値よりも小さいか否かによって、第2通信機20の不使用状態を検出している。そのため、第2通信機20の振動を検知するための振動検知手段を必要とせず、第2通信機20の構成を簡単にできる。しかも、本実施形態のキーレスエントリシステム1では、第2通信機20の不使用状態を検出した場合には、第1通信機10が第1送信手段11の呼び掛け機能を停止させることによって、第1通信機10側の無駄な電力消費を抑制することができる。また、第2通信機20の不使用状態を検出した場合には、第2通信機20が第2受信手段21の待ち受け機能を停止させることによって、第2通信機20側の無駄な電力消費を抑制することができる。その結果、キーレスエントリシステム1では、第2通信機20の構成を簡単にでき、且つ、第2通信機20の不使用時に第1通信機10の電力消費と第2通信機20の電力消費とを抑制することができる。
【0068】
また、本実施形態のキーレスエントリシステム1では、第2通信機20の不使用状態を検出した場合には、第1通信機10が第1送信手段11の呼び掛け機能を停止させているので、ユーザ40が所持する第2通信機20以外の通信機を用いて、ユーザ40以外の第3者が第1通信機10からの呼び掛け信号を不正に受信するのを制限することができる。そして、不正に受信した呼び掛け信号を利用して、ユーザ40以外の第3者が第1通信機10に不正アクセスを試みるのを制限することもできる。その結果、キーレスエントリシステム1では、システムのセキュリティを向上することができる。
【0069】
また、本実施形態のキーレスエントリシステム1では、第1通信機10は、車両30に搭載された車載器であり、第2通信機20は、車両30のユーザ40が携帯する携帯機であり、キーレスエントリ対象の装備は、車両30に搭載されたドア施錠装置32等の車載装備である。このように、キーレスエントリシステム1を車両30に使用することによって、車両30に搭載されたバッテリのバッテリ残量低下の抑制や、携帯機である第2通信機20に内蔵された電池の長寿命化等が可能となる。
【0070】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、本実施形態において、前述した第1実施形態と同一の構成である場合、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0071】
まず、本発明の第2実施形態に係るキーレスエントリシステム101の構成について、図6を用いて説明する。図6は、本発明の第2実施形態に係るキーレスエントリシステム101の使用例を示す説明図である。
【0072】
キーレスエントリシステム101は、図5に示すように、第1通信機10と3台の第2通信機20とを備えている。第1通信機10は、車両30に搭載される車載器である。3台の第2通信機20は、車両30の3人のユーザ40がそれぞれ携帯する携帯機である。3人のユーザ40のうち、1人が車両30の運転者であり、他の2人は車両30の同乗者である。
【0073】
第1通信機10の構成は、第1実施形態において説明した第1通信機10の構成と同じである。また、第2通信機20の構成も、第1実施形態において説明した第2通信機20の構成と同じである。
【0074】
本実施形態では、3台の第2通信機20は、それぞれ車両30用の携帯機として登録されている。そして、第1通信機10は、3台の第2通信機20と第3無線信号を用いた双方向通信による通信接続が可能である。但し、通信速度の確保やセキュリティの維持等の観点から、双方向通信によって第1通信機10と同時に通信接続できる第2通信機20の台数は2台以下に制限されている。第1通信機10と複数の第2通信機20とが双方向通信によって通信接続を行う方法は公知なので、詳細な説明を省略するが、時分割による多重接続や周波数分割による多重接続等の方法によって実現することができる。
【0075】
次に、本実施形態に係る車両操作について説明する。キーレスエントリシステム101では、第1実施形態のキーレスエントリシステム1と同様に、第1通信機10と第2通信機20との無線通信を利用して、車両30のドア31の施錠・開錠や、ウエルカムライトの点灯や、車両情報の送信等の車両操作を行っている。
【0076】
但し、本実施形態では、車両30のドア31の施錠・開錠において、ユーザ40が車両30のドア31付近に近付いたか否かの判断や、ユーザ40が車両30のドア31付近から遠ざかったか否かの判断は、第1無線信号と第2無線信号とを用いた無線通信を利用して行うだけでなく、第3無線信号を用いた双方向通信を利用して行うこともできるようになっている。前述したように、第1通信機10と第2通信機20との距離が離れると、第3無線通信の受信電界強度は低下するので、電界強度検出手段24が検出した第3無線信号の受信電界強度を、ユーザ40が車両30のドア31付近に近付いたか否かの判断や、ユーザ40が車両30のドア31付近から遠ざかったか否かの判断を行うための情報として使用することができる。
【0077】
そして、本実施形態では、少なくとも1つの第2通信機20が双方向通信によって第1通信機10と通信接続されている場合には、第1通信機10が第1送信手段11の呼び掛け機能を停止させ、第3無線信号を用いた双方向通信を利用して、ユーザ40が車両30のドア31付近に近付いたか否かの判断や、ユーザ40が車両30のドア31付近から遠ざかったか否かの判断を行っている。そして、第1送信手段11の呼び掛け機能を停止させることによって、第1通信機10側の無駄な電力消費を抑制している。
【0078】
また、本実施形態では、双方向通信によって第1通信機10と同時に通信接続できる第2通信機20の台数は2台以下に制限されている。そして、第1通信機10と2台の第2通信機20とが双方向通信によって通信接続されている場合には、双方向によって通信接続されていない第2通信機20(以下、非接続の第2通信機20と略称)を用いて車両操作を行うことはできないので、非接続の第2通信機20が待ち受け機能を作動させて、呼び掛け信号を待ち受ける必要は無い。
【0079】
そのため、本実施形態では、第1通信機10と2台の第2通信機20とが双方向通信によって通信接続されている場合には、非接続の第2通信機20の待ち受け機能を停止させて、第2通信機20側の無駄な電力消費を抑制している。非接続の第2通信機20の待ち受け機能を停止させる方法としては、例えば、第1無線信号を用いて全ての第2通信機20に指示を出すことによって、全ての第2通信機20の待ち受け機能を停止させ、その後、第3無線信号を用いた双方向通信を利用して、双方向通信によって第1通信機10と通信接続された第2通信機20の待ち受け機能のみを作動させれば良い。
【0080】
尚、本実施形態でも、車両操作が実施される際にはID情報の照合を行っている。そして、本実施形態では、第1通信機10の第1送信手段11が呼び掛け機能を停止させている場合には、第1送信手段11が送信機能を一時的に作動させた後に、ID情報の送信を要求するリクエスト信号を第2通信機20に送信している。そして、第2通信機20の第2送信手段22が、リクエスト信号に対応してID情報を第1通信機10に送信することによって、第1通信機10と第2通信機20との間でID情報の送受信を行っている。
【0081】
次に、本実施形態に係る通信接続の方法について、図6を用いて説明する。図6は、本発明の第2実施形態に係る通信接続の手順を示すフローチャートである。
【0082】
図6に示すように、まず、第1通信機10の第1双方向通信手段13が、双方向通信による通信接続が可能な第2通信機20を探索する(ステップSb1)。次に、第1通信機10の第1制御手段14が、通信接続可能な第2通信機20の検出の有無に基づいて判断を行う(ステップSb2)。ステップSb2において、通信接続可能な第2通信機20が検出されなかった場合、ステップSb4に移動する。ステップSb2において、通信接続可能な第2通信機20が検出された場合、第1通信機10と第2通信機20とが双方向通信による通信接続を行う(ステップSb3)。尚、ステップSb2において、通信接続可能な第2通信機20が2台以上検出された場合、第1通信機10と2台の第2通信機20とが双方向通信による通信接続を行う。そして、ステップSb4に移動する。
【0083】
次に、ステップSb4では、第1通信機10の第1制御手段14と第2通信機20の第2制御手段27とが、第1通信機10と第2通信機20との通信接続状態をモニタする。次に、第1通信機10の第1制御手段14と第2通信機20の第2制御手段27とが、第1通信機10と第2通信機20との双方向通信による通信接続の有無に基づいて判断を行う(ステップSb5)。
【0084】
ステップSb5において、第1通信機10と第2通信機20とが双方向通信によって通信接続されていない場合、第2通信機20が不使用状態であると判断し、ステップSb13に移動する。ステップSb5において、第1通信機10と第2通信機20とが双方向通信によって通信接続されている場合、第1通信機10の第1制御手段14と第2通信機20の第2制御手段27とが、第1通信機10と第2通信機20との双方向通信で用いられる第3無線信号の受信信号強度に基づいて判断を行う(ステップSb6)。
【0085】
ステップSb6において、第3無線信号の受信電界強度が規定値未満であった場合、第2通信機20が不使用状態であると判断し、ステップSb13に移動する。ステップSb6において、第3無線信号の受信電界強度が規定値以上であった場合、第1通信機10の第1制御手段14が第1送信手段11の呼び掛け機能を停止させ、第2通信機20の第2制御手段27が第2受信手段21の待ち受け機能を作動させる(ステップSb7)。本実施では、第1送信手段11の呼び掛け機能を停止していても、車両操作は可能である。
【0086】
次に、第1通信機10の第1制御手段14と第2通信機20の第2制御手段27とが、第1通信機10と双方向通信によって通信接続された第2通信機20の台数に基づいて判断を行う(ステップSb8)。
【0087】
ステップSb8において、通信接続された第2通信機20の台数が2台以上であった場合、非接続の第2通信機20の第2制御手段27が第2受信手段21の待ち受け機能を停止させる。そして、ステップSb10に移動する。通信接続された第2通信機20の台数が2台未満であった場合、ステップSb10に移動する。
【0088】
次に、ステップSb10では、第2通信機20からの指示や情報に対応して、第1通信機10と第2通信機20との間でID情報の送受信が行われる。次に、第1通信機10の第1制御手段14が、ID情報の照合を行う(ステップSb11)。そして、ID情報の照合結果に基づいて各種の車両操作が実施される(ステップSb12)。その後、ステップSb1に戻り、ステップSb1以降の手順を繰り返す。
【0089】
ステップSb5及びステップSb6に関連して、ステップSb13では、第1通信機10の第1制御手段14が第1送信手段11の呼び掛け機能を停止させ、第2通信機20の第2制御手段27が第2受信手段21の待ち受け機能を停止させる。その結果、車両操作ができなくなるが、第1通信機10と第2通信機20との電力消費を抑制することができる。その後、ステップSb1に戻り、ステップSb1以降の手順を繰り返す。
【0090】
キーレスエントリシステム1では、このような手順に従って第1通信機10と第2通信機20とが通信接続される。そして、第1通信機10と第2通信機20との無線通信を利用して各種の車両操作が行われる。
【0091】
次に、本実施形態の効果について説明する。本実施形態のキーレスエントリシステム101では、第1通信機10は、複数の第2通信機20との間で双方向通信による通信接続が可能である。そして、第1通信機10と少なくとも1つの第2通信機20とが、第3無線信号を用いた双方向通信によって通信接続されていれば、双方向通信を利用して、ドア施錠装置32等の車載装備を作動させ、車両30のドア31の開錠・施錠等の車両操作を行うことができる。そのため、第1通信機10と少なくとも1つの第2通信機20とが、双方向通信によって通信接続されている時に、第1通信機10の第1送信手段11が呼び掛け信号を送信し続けていては、第1通信機10が無駄な電力を消費することになる。しかしながら、キーレスエントリシステム1では、第1通信機10と少なくとも1つの第2通信機20とが、双方向通信によって通信接続されている場合には、第1通信機10が、第1送信手段11の呼び掛け機能を停止させている。その結果、第1通信機10側の無駄な電力消費を抑制することができる。
【0092】
また、本実施形態のキーレスエントリシステム101では、第1通信機10は、複数の第2通信機20との間で双方向通信による通信接続が可能であるが、通信速度の確保やセキュリティの維持等の観点から、双方向通信によって同時に第1通信機10と通信接続可能な第2通信機20の台数は2台以下に制限されている。そして、その場合、非接続の第2通信機20を用いて、ドア施錠装置32等の車載装備を作動させ、車両30のドア31の開錠・施錠等の車両操作を行うことはできない。そのため、非接続の第2通信機20が第2受信手段21の待ち受け機能を作動させていては、第2通信機20が無駄な電力を消費することになる。しかしながら、キーレスエントリシステム101では、第1通信機10と2台の第2通信機20とが、双方向通信によって通信接続されている場合には、非接続の第2通信機20が、第2受信手段21の待ち受け機能を停止させている。その結果、第2通信機20側の無駄な電力消費を抑制することができる。
【0093】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更することができる。
【0094】
例えば、本発明の第1実施形態において、第1無線信号は、LF帯以外の周波数の無線信号であっても構わない。また、第2無線信号や第3無線信号は、UHF帯以外の周波数の無線信号であっても構わない。
【0095】
また、本発明の第1実施形態において、第1双方向通信手段13や第2双方向通信手段23は、前述した通信規格以外の通信規格に対応した通信手段であっても構わない。
【0096】
また、本発明の第1実施形態において、第1通信機10が電界強度検出手段24を有していても構わない。その場合、第1通信機10側で検出した受信電界強度を、第1通信機10と第2通信機20との双方向通信を利用して、第2通信機20側に伝達しても構わない。また、第1通信機10と第2通信機20とがそれぞれ電界強度検出手段24を有していても構わない。
【0097】
また、本発明の第1実施形態において、第2通信機20の不使用状態を検出した場合に、第1送信手段11の呼び掛け機能と第2受信手段21の待ち受け機能とのうち、どちらか一方のみを停止させても構わない。
【0098】
また、本発明の第2実施形態において、第1通信機10と双方向通信によって通信接続できる第2通信機20の台数は、4台以上であっても構わない。そして、通信速度の確保やセキュリティの維持が可能であれば、双方向通信によって第1通信機10と同時に通信接続できる第2通信機20の台数は、3台以上であっても構わない。
【0099】
また、本発明の第2実施形態において、第1通信機10と第2通信機20とは、それぞれGPS等の位置検出手段を有し、位置検出手段を利用して検出した第1通信機10と第2通信機20との位置情報を、第3無線信号を用いた双方向通信を利用して互いに伝達し合っても構わない。そして、得られた第1通信機10と第2通信機20との位置情報を利用して、ユーザ40が車両30に近付いたか否かの判断や、ユーザ40が車両30から遠ざかったか否かの判断を行っても構わない。
【0100】
また、本発明の第2実施形態において、第2通信機20はGPS等の位置検出手段と、ユーザ40が車両30を最後に下車した位置を記憶する記憶手段と、を有し、位置検出手段を利用して検出した第2通信機20の位置情報を記憶手段が記憶する位置情報と比較することによって、ユーザ40が車両30に近付いたか否かの判断や、ユーザ40が車両30から遠ざかったか否かの判断を行っても構わない。
【0101】
また、本発明の実施形態において、第2通信機20は携帯情報端末ではなく、所定の操作スイッチを有した専用の携帯機であっても構わない。
【0102】
また、本発明の実施形態において、第1通信機10と第2通信機20との無線通信を利用して、車両30のドア31の施錠・開錠や、ウエルカムライトの点灯や、車両情報の送信以外の車両操作を行っても構わない。
【0103】
また、本発明の実施形態において、キーレスエントリシステム1やキーレスエントリシステム101は、車両以外の船舶等の乗物や、家屋のドア等に使用されても構わない。
【符号の説明】
【0104】
1 キーレスエントリシステム
10 第1通信機(車載器)
11 第1送信手段
12 第1受信手段
13 第1双方向通信手段
14 第1制御手段
20 第2通信機(携帯機)
21 第2受信手段
22 第2送信手段
23 第2双方向通信手段
24 電界強度検出手段
25 表示手段
26 入力手段
27 第2制御手段
30 車両
31 ドア
32 ドア施錠装置
40 ユーザ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8