(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234482
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】容器内に極低温で貯蔵されたガスの充填程度を検出するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
F17C 13/02 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
F17C13/02 301Z
【請求項の数】9
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-558380(P2015-558380)
(86)(22)【出願日】2014年1月17日
(65)【公表番号】特表2016-511370(P2016-511370A)
(43)【公表日】2016年4月14日
(86)【国際出願番号】EP2014050920
(87)【国際公開番号】WO2014131547
(87)【国際公開日】20140904
【審査請求日】2016年7月1日
(31)【優先権主張番号】102013203187.4
(32)【優先日】2013年2月26日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】カンピチュ・マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ショット・シュテファン
【審査官】
佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−116077(JP,A)
【文献】
特開2002−257618(JP,A)
【文献】
特開2010−169180(JP,A)
【文献】
特開2005−283127(JP,A)
【文献】
特開2010−144878(JP,A)
【文献】
特開2009−103246(JP,A)
【文献】
米国特許第06073081(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0010882(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0241371(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/02
F17C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
極低温で貯蔵されたガス(4)の為の断熱された容器内の充填程度を検出するための方法であって、その際、充填程度が、既知の容器容積及び容器のガス内容の計算された密度から決定され、その値が、容器圧力計測及び温度計測から計算される方法において、
温度センサー(TH2)が、ガスの液体相、及び気体相の混合温度の計測の為に使用され、液体相が容器中空空間の最も低い箇所で第一の取り出し引込配管(11)を介して取り出され、そして気体相が、容器中空空間の最も高い箇所で第二の取り出し引込配管(12)を介して取り出され、その際、温度センサー(TH2)が、容器から外に導かれる唯一の取り出し配管(5)への第一及び第二の取り出し引込配管(11,12)の合流の後の、取り出し箇所の流れ下流の、第一及び第二の取り出し引込配管(11,12)からのガスの液体相、及び気体相の完全な混合が既に行われているその中に又はその外に位置取っていることを特徴とする方法。
【請求項2】
保管された校正値又は補正値又は校正関数又は補正関数が、充填程度の検出の際の温度センサー(TH2)の少なくとも位置を考慮するのに使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
容器の充填程度が、要求に応じて、または時間間隔ごとに自動的に繰り返して検出されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
一部は液体相で、そして他の部分は気体相で存在する媒体(4)を含む断熱された容器内の充填程度の検出の為の装置において、
容器が、圧力計および温度センサー(TH2)を設けられており、この温度センサーが、ガスの液体相、および気体相の混合温度を計測し、この為、液体相が、容器中空空間の最も低い箇所における第一の取り出し引込配管(11)を介して、および気体相が、容器中空空間の最も高い箇所における第二の取り出し引込配管(12)を介して取り出され、そして温度センサー(TH2)が取り出し箇所の流れ下流、第一及び第二の取り出し引込配管(11,12)の容器から外に導かれる唯一の取り出し配管(5)への合流の後、第一及び第二の取り出し引込配管(11,12)からのガスの液体相、及び気体相の完全な混合が既に行われている所の中、又はその外に位置取っていることを特徴とする装置。
【請求項5】
第一及び第二の取り出し引込配管(11,12)からのガスの液体相、及び気体相の完全な混合が生じるよう、唯一の取り出し配管(5)又は両方の取り出し引込配管(11,12)の接続箇所(13)が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
温度センサー(TH2)が容器の外側に存在することを特徴とする請求項4または5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
演算装置を有する制御装置を有し、この演算装置が、容器の充填程度を、要求に応じて、または時間間隔ごとに自動的に繰り返して検出することを特徴とする請求項4または5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
演算装置内に記憶された校正値又は補正値又は校正関数又は補正関数が、充填程度の検出の際の温度センサー(TH2)の少なくとも位置を考慮するのに使用されることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
容器が、自動車の駆動装置の作動媒体としての極低温のガス(4)の収容の為のリザーバーとして使用され、および自動車内に格納されている外側容器内に断熱されて保持されていること、および自動車がその内部空間内に表示装置を有し、この表示装置が、自動車の運転者に、最後に計算した充填程度を、少なくとも最大及び最小の充填程度に対する比較として表示することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法を適用するための、請求項4から8のいずれか一項に記載の装置を有する容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一部は液体相にあり、他の部分は気体相にある媒体を含む容器内に極低温で貯蔵されたガスの充填程度を検出するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示目的、管理目的及び制御目的の為の、容器内に極低温で貯蔵されたガスの充填程度の検出の為に、様々な計測法が使用されているが、その使用分野及びその正確性に関して、一部は極めて制限されている。他の計測法に加えて、一つは、例えば容器の底部領域と頭部領域の間の圧力差の検出に基づいている。しかし、この方法の正確性は、しばしば不十分である。というのは、例えば計測値の激しい温度依存性が存在するからである。内部が周囲圧である容器内には、充填状態を容器の内部の温度センサーによって検出する可能性がある。というのは、一部は液体相であり、そして一部が気体相であり、そして周囲圧下にある媒体の液体相の部分は、ガス相よりも常に温度が低いからである。沸騰する液体を含む容器においては、温度センサーが、計測箇所において媒体の沸点よりも高い又は低い温度を示すかによって、計測箇所における相状態が検出される。周囲圧よりも高い圧力下にある、沸騰する液体によって充填されている容器内では、この方法は使用されることが不可能である。というのは、沸点は圧力と共に変化し、そして充填状態の変動によって圧力変動も生じるからである。その上、そのように充填された容器内には、時間と共に、液体相と気体相の間のバランス状態が生じる。その内容が、周囲圧よりも高い圧力下にある容器においては、逆に、容量性の計測方法が使用されることが可能である。しかし容器は、高い圧力と低い温度を有するとき、この方法は困難なこととなる。というのは、入手可能なセンサーが、低い温度に対して適しておらず、そしてこの領域において使用不可能だからである。その上、冷たいセンサーがガス空間内に進入し、そしてセンサーの表面に凝縮が生じるとき、容量性の計測においては大きなエラーが発生する。
【0003】
隔離された極低温タンクシステム内への熱侵入の結果、貯蔵された媒体、例えば自動車駆動装置の為の水素の熱による層形成が形成される。ここにおいて、温かいガスは容器の上側の領域、冷たいガスは下側の領域に集まる。そのようなタンクまたは容器の充填状態決定の為に、密度の計算の為の媒体の代表的な温度を決定することも可能である。これは、タンクの内部又はタンクの外部の複数の代表的な計測箇所における媒体温度の計測によってのみ可能である。
【0004】
よって特許文献1は、充填状態表示の為に、容器内に、抵抗温度計とリファレンスセンサーから成るセンサー列を配置することを提案する。リファレンスセンサーは、液体内に存在し、そしてセンサー列によって、どのセンサーがもはや液体内に存在しないか、充填の液面の状態が推測可能であるかが確定される。
【0005】
このため複数の温度センサーが必要である。この事はコスト、複雑性、およびエラー発症性を高める。計測箇所の位置を突き止めるのは労力を要し、そしてこれはライフタイムにわたって保証される必要がある。その上、容器内の故障したセンサーを交換するのは多大なる労力を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国実用新案登録出願第296 15 453号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
よって本発明の課題は、簡単な構造で十分正確な結果を提供し、そして上述したデメリットを防止する、容器内に極低温で貯蔵されたガスの充填程度の検出の為の方法及び装置を提供することである。有利な実施形および発展形は、従属請求項の内容である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、極低温で貯蔵されたガスの為の断熱された容器内の充填程度を検出するための方法を意図する。その際、充填程度は、既知の容器容積及び計算された容器のガス内容物の密度から決定される。その値は、容器圧力測定及び温度測定から計算される。本方法は、温度センサーが、ガスの液体相及び気体相の混合温度の測定に為に使用され、液体相が、測地学的に容器中空空間の最も低い箇所における第一の取り出し配管を介して取り出され、気体相が測地学的に容器中空空間の最も高い箇所における第二の取り出し配管を介して取り出され、その際、温度センサーが、取り出し箇所の流れ下流、容器から外に導かれる唯一の取り出し配管への第一の取り出し配管及び第二の取り出し配管の合流の後、この中またはこの外で、第一及び第二の取り出し配管からのガスの液体相及び気体相の完全な混合が既に行われるところに位置取っている点で際立っている。
【0009】
この方法は、有利には、一部は液体相にあり、他の部分は気体相にある媒体を含む、断熱された容器内の充填程度の検出の為の装置によって実施され、これは、容器が、圧力計および温度センサーを設けられており、この温度センサーがガスの液体相及び気体相の混合温度を計測し、この為、液体相が容器中空空間の測地学的に最も低い箇所における第一の取り出し配管を介して取り出され、そして気体相を容器中空空間の測地学的に最も高い箇所における第二の取り出し配管を介して取り出され、そして温度センサーが、取り出し箇所の流れ下流、容器から外に導かれる唯一の取り出し配管への第一及び第二の取り出し配管の合流の後、その中、またはその外で、第一の取り出し配管及び第二の取り出し配管からのガスの液体相及び気体相の完全な混合が既に行われているところに位置取っている点で際立っている。
【0010】
これは、取り出し配管合流部の取り出し箇所の流れ下流に位置する温度センサーが、混合温度と、これに伴い、充填状態決定の為に代表的な平均の媒体温度を計測するというメリットを有する。最高及び最低温度を有する媒体の取り出しによって、容器高さにわたる一次的な温度シフトを仮定して、極めて正確な媒体温度の決定が可能である。というのは、タンク内に存在する最も冷たいガスも、最も暖かいガスも同じ割合で取り出されるからである。損傷の場合に簡単に交換されることが可能であるよう、追加的に配置されることが可能である唯一のセンサーのみが必要である。簡単な計測列を介して、これは、取り出し配管に沿ったその位置決めから場合によって発生する影響が消滅されることが可能であるよう校正されることが可能である。
【0011】
よって好ましい方法は、保管された校正値、または補正値、または校正関数、または補正関数が、充填程度の検出の際の温度センサーの少なくとも位置を考慮するために使用される点で際立っている。
【0012】
他の好ましい方法は、容器の充填程度が、要求に応じて、または時間間隔をあけて自動的に繰り返し検出されることを意図する。
【0013】
これは、自動車の駆動装置の作動媒体としての極低温のガスの収容のためのリザーバーとしての容器が、使用され、そして自動車内に運び込まれている外側容器内に断熱されて保持されるとき、および自動車が、その内部空間内に表示装置を有し、この表示装置が自動車の運転者に最後に計算された充填程度を少なくとも最大の充填程度と最小の充填程度に対する比較として表示するとき、表示の定期的な更新の為に有利である。
【0014】
本方法の実施の為の有利な装置は、唯一の取り出し配管又は両方の取り出し配管の接続箇所が、第一及び第二の取り出し配管からのガスの液体相及び気体相の完全な混合が生じるよう形成されている点で際立っている。温度センサーが、容器の外に存在するとき、更に簡単なメンテナンスが可能である。
【0015】
充填程度の計算の為に、装置が、容器の充填程度を要求に応じて、または時間間隔をあけて自動的に繰り返して検出する、演算装置を有する制御装置を有すると有利である。その際、演算装置内に記憶された校正値又は補正値又は校正関数又は補正関数は、充填程度の検出の際の温度センサーの少なくとも位置を考慮するために使用されることが可能である。
【0016】
本発明の好ましい実施例を、以下に添付の図面と共に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】極低温に所蔵されたガスの為の容器の簡略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
唯一の図は、自動車のタンクとして使用可能な容器内に極低温に貯蔵されたガスの充填程度の検出の為の発明に係る方法を適用するための発明に係る装置を有する、極低温に貯蔵されたガスの為の容器の簡略断面図を示す。
【0019】
図に表されているように、図示されていない自動車は内で極低温で貯蔵されたガス4として使用可能な極低温タンクは、相互に入り込んで位置する二つの容器、つまり内側容器1と外側容器2から成る。外側容器2は、好ましくはステンレス(特殊鋼)合金またはアルミニウム合金から成る。内側容器1は、内側は、金属製のライナーから成る。このライナーは、繊維強化材料を巻き付けられている。容器1,2の間の空間3は、真空引きされ、そして内側容器1は外側容器2内に貯蔵されている。例えば水素のような極低温で貯蔵されたガスは、媒体4とも称されるが、内側容器1内に圧力下で貯蔵され、そして周囲に対しては、空間3内の真空によって熱的に隔離されている。
【0020】
媒体4は、容器から外に導かれる唯一の取り出し配管5によって取り出される。取り出し配管は、横になっているシリンダー6と、これに対して各側で球状に形成された締結カバー7,8からなる内側容器1内に、まっすぐシリンダー中心軸9に沿って推移し、そして球状の締結カバー7のその頂点を通ってこれを去る(矢印10によって示唆されている)。唯一の取り出し配管5の容器内側の端部において、これは、容器中空空間内の測地学的に最も低い箇所に向かって垂直方向に延在する第一の取り出し引込給管11と、容器中空空間の測地学的に最も高い箇所に向かって垂直方向に延在する第二の取り出し引込配管12に分岐し、その際、第一の取り出し引込配管11によって、媒体4の液体相が、そして第二の取り出し引込配管12によって気体相が取り出される。図面に表されているのは、矢印15による内側容器1の上側の領域の気体相の取り出しと、矢印16による内側容器1の下側の領域の液体相の取り出しである。両方の相は液面レベルを示す線17によって別々に表されている。唯一の取り出し配管5との第一および第二の取り出し引込配管11,12の接続箇所13は、媒体の液体相と気体相の完全な混ぜ合わせが、または、第一及び第二の取り出し引込配管11,12から極低温で貯蔵されたガス4の完全な混ぜ合わせもそこで行われるよう形成されている。代替として、唯一の取り出し配管5が内側容器1内で、単に十分長く形成されていることも可能である。
【0021】
内側容器1内の極低温で貯蔵されたガス4の程度の検出の為に、この中に図示されていない圧力計が存在している。温度センサーTH2は、中間空間3内、つまり内部容器1と外部容器2の間で唯一の取り出し配管5に収容されている。これは、温度センサーTH2によって中断される唯一の取り出し配管5(矢印14を付されている)によって表されている。その際、温度センサーTH2は、内側又は外側の取り出し配管5に取り付けられていることが可能である。
【0022】
温度センサーTH2は、媒体4の液体相および気体相の混合温度を計測する。この為、液体相は、内側容器1の中空空間の第一の取り出し引込配管11を介して測地学的に最も低い(矢印16によって示された)、そして気体相は第二の取り出し引込配管12を介して測地学的に最も高い(矢印15によって示された)箇所で取り出される。この為、温度センサーTH2は、内側容器1から外に導かれる唯一の取り出し配管5への第一及び第二の取り出し引込配管11,12の接続箇所13を介しての合流の後ろ、取り出し箇所15,16の流れ下流に、その中またはその外側に位置取っている。そこでは、第一及び第二の取り出し引込配管11,12からの媒体4の液体相と気体相の完全な混合が既に行われている。
【0023】
極低温で貯蔵されたガス4のこの混合温度から、断熱された内側容器1内のその充填程度を検出するために、既知の内側容器容積と計算された密度を使った方法ルーチンによって、内側容器1のガス含有量が決定される。密度は、圧力センサーによって計測される容器圧力とガス4の混合温度から計算される。この為、演算装置を有する制御装置が必要である。この中では、方法ルーチンが実施され、そしてこれは、内側容器1の充填程度を要求に応じて、または時間間隔ごとに自動的に繰り返し検出することができる。計算ルーチンの結果が、常に真の容器内容に一致するように、各極低温タンクはその製造の後構成されるべきである。これは、演算装置内に校正値又は補正値又は構成関数を保管し、これを使って例えば充填程度の検出の際の温度センサー(TH2)の位置を考慮するのに使用される。
【0024】
内側容器1は、自動車の駆動装置の作動媒体としての、例えば極低温のガス4の収容のためのリザーバーとして使用されることが可能であり、そして外側容器2内で断熱されて保持されていることが可能である。この外側容器は、これもまた、自動車内に収納されており、これはその内部空間内に表示装置を有している。この表示装置は、自動車の運転者に対し、制御装置からの命令に基づいて最後に演算装置によって計算された充填程度を、少なくとも最大及び最小の充填程度との比較として表示する。