(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
スタッド部の一端部にボール部が予め一体に設けられたボールスタッドの当該ボール部を中子とし、前記ボール部の少なくとも前記スタッド部とは反対側にある部分を覆うように樹脂製のボールシートをインサート成形することでボールシート組立体を形成するボールシート成形工程と、
前記ボールシート組立体の前記ボールシートによって一部覆われた前記ボール部を中子とし、樹脂製のハウジングをインサート成形するハウジング成形工程とを含み、
前記ハウジングは、開口部に、前記スタッド部の他端部に向かうほど広がる凹んだ形状のテーパ部を有し、
前記ハウジング成形工程は、
前記スタッド部の一端部側にある前記ボール部の前記ボールシートから露出した部位に当接するように、前記テーパ部を形成する分割中駒を配置する中駒配置ステップと、
前記スタッド部に形成された前記ボール部側に対向するように傾斜した傾斜部を、前記分割中駒を挿通する押圧手段で押圧して、前記分割中駒を基として、前記ボールスタッドを前記スタッド部側に移動する力を与えて、前記分割中駒に形成された球面状の内球面を、前記ボール部の前記ボールシートから露出した部位に密着させる中駒密着ステップと、
前記ハウジングをインサート成形するステップと、
前記分割中駒を、前記スタッド部の他端部方向へ移動させながら、前記分割中駒の前記スタッド部の他端部側に位置する部分を前記スタッド部から離間するように回転させて、取り外す中駒取り外しステップとを含む
ことを特徴とするボールジョイントの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、ボールジョイント100Jを組み立てるに際しては、ボールスタッド110のボール部110bを、予め形成したボールシート112内に収容する。
【0010】
ここで、ボールシート112の開口部112kの径が小さ過ぎると、ボール部110bをボールシート112の内部に入れる際に開口部112kが損傷するおそれがある。そこで、ボールスタッド110のボール部110bがボールシート112内に容易に押し込めるように、開口部112kの径を大きくすると、ボール部110bがボールシート112内から抜ける際の抜け荷重が低くなる。
【0011】
抜け荷重が低くなると、ボールシート112内から抜け易くなる。
【0012】
一方、特許文献2には、ボールシート付きのボール部のみを中子としてアウターハウジングをインサートインジェクションする構成が記載されている。
特許文献2の構成は、特許文献1の開口部の問題や抜け荷重低下の問題はないが、アウターハウジングをインサートインジェクションで成形後に、ボール部にスタッド部を抵抗溶接で接合する。そのため、ボール部に電極を配置するための穴がアウターハウジングに必要となる。そして、抵抗溶接後、穴を蓋部材によって閉塞する必要がある。
このように、特許文献2の構成では、アウターハウジングに不要な穴が必要となるという問題がある。
【0013】
上述の特許文献1、2の問題を解決して、
図16に示すスタッド部110sとボール部110bとが予め一体となったボールスタッド110を中子として、ボールジョイント100Jをインサートインジェクションで製作したいという要望がある。
【0014】
しかしながら、ボールスタッド110のストレート部110s1の長さs101(
図16参照)が短いという制約がある。その理由は下記である。
【0015】
例えば、
図16に示すボールスタッド110のボール部110bに矢印α10の外力が印加された場合、スタッド部110sには、曲げモーメントが加わる。ボールスタッド110のストレート部110s1は、当該曲げモーメントのウデの一部を形成するため、曲げモーメントを小さくするには短い方がよい。
【0016】
また、ボールスタッド110のストレート部110s1が長い場合、ストレート部110s1を覆うダストカバー113が必然的に長くなり可動範囲が大きく、耐久性が低下する。
【0017】
また、ボールスタッド110のストレート部110s1が長い場合、ボールジョイント100Jが運動した際、ボールスタッド110が他部品に当接しないような占有スペースが大きくなる。
【0018】
そのため、ボールスタッド110のストレート部110s1は、極力短い方が望ましい。
【0019】
以上のことから、ボールスタッド110のストレート部110s1が短く形成されるため、ボール部110b近くには、小鍔部110a2(
図16参照)が形成される。
そのため、ボール部110bとスタッド部110sが予め一体となったボールスタッド110を中子とするインサート成形は、成形後、フランジ部112fを形成する型が小鍔部110a2に干渉し抜けにくいという問題がある。
【0020】
本発明は上記実状に鑑み創案されたものであり、製造容易で動作性が良好なボールジョイントの製造方法およびスタビリンクの製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記課題を解決するため、第1の本発明のボールジョイントの製造方法は、スタッド部の一端部にボール部が予め一体に設けられたボールスタッドの当該ボール部を中子とし、前記ボール部の少なくとも前記スタッド部とは反対側にある部分を覆うように樹脂製のボールシートをインサート成形することでボールシート組立体を形成するボールシート成形工程と、前記ボールシート組立体の前記ボールシートによって一部覆われた前記ボール部を中子とし、樹脂製のハウジングをインサート成形するハウジング成形工程とを含
み、前記ハウジングは、開口部に、前記スタッド部の他端部に向かうほど広がる凹んだ形状のテーパ部を有し、前記ハウジング成形工程は、前記スタッド部の一端部側にある前記ボール部の前記ボールシートから露出した部位に当接するように、前記テーパ部を形成する分割中駒を配置する中駒配置ステップと、前記スタッド部に形成された前記ボール部側に対向するように傾斜した傾斜部を、前記分割中駒を挿通する押圧手段で押圧して、前記分割中駒を基として、前記ボールスタッドを前記スタッド部側に移動する力を与えて、前記分割中駒に形成された球面状の内球面を、前記ボール部の前記ボールシートから露出した部位に密着させる中駒密着ステップと、前記ハウジングをインサート成形するステップと、前記分割中駒を、前記スタッド部の他端部方向へ移動させながら、前記分割中駒の前記スタッド部の他端部側に位置する部分を前記スタッド部から離間するように回転させて、取り外す中駒取り外しステップとを含んでいる。
【0022】
第1の本発明によれば、スタッド部およびボール部が一体に形成されたボールスタッドを用いて、樹脂製のボールシートおよび樹脂製のハウジングがインサート成形で連続して形成できるので、ハウジングにスタッド部が挿通する以外の開口部がない成形が可能である。そのため、ボールジョイントの製造工数が減少し、生産性が向上する。また、ボール部とボールシートとが密着して球面が一致する。そのため、ガタがない安定な挙動が得られるボールジョイントを実現できる。
また、ハウジングを形成する樹脂が漏出することが抑制される。また、ボールスタッドのスタッド部が短い場合も、開口部に凹んだ形状のテーパ部を有するハウジングを成形することができる。
【0027】
第
2の本発明のボールジョイントの製造方法は、
スタッド部の一端部にボール部が予め一体に設けられたボールスタッドの当該ボール部を中子とし、前記ボール部の少なくとも前記スタッド部とは反対側にある部分を覆うように樹脂製のボールシートをインサート成形することでボールシート組立体を形成するボールシート成形工程と、前記ボールシート組立体の前記ボールシートによって一部覆われた前記ボール部を中子とし、樹脂製のハウジングをインサート成形するハウジング成形工程とを含み、前記ハウジングは、開口部に、前記スタッド部の他端部に向かうほど広がる凹んだ形状のテーパ部を有し、前記ハウジング成形工程は、前記スタッド部の一端部側にある前記ボール部の前記ボールシートから露出した部位に当接するように、前記テーパ部を形成する分割中駒を配置する中駒配置ステップと、
前記スタッド部に形成された前記ボール部側に対向するように傾斜した傾斜部を、前記分割中駒を挿通する押圧手段で押圧して、前記分割中駒を基として、前記ボールスタッドを前記スタッド部側に移動する力を与えて、前記分割中駒に形成された球面状の内球面を、前記ボール部の前記ボールシートから露出した部位に密着させる中駒密着ステップと、前記ハウジングをインサート成形するステップと、前記分割中駒を、前記スタッド部の他端部方向への移動と前記スタッド部の軸線からの離間を組み合わせて、取り外す中駒取り外しステップとを含んでいる。
【0028】
第
2の本発明のボールジョイントの製造方法によれば、
スタッド部およびボール部が一体に形成されたボールスタッドを用いて、樹脂製のボールシートおよび樹脂製のハウジングがインサート成形で連続して形成できるので、ハウジングにスタッド部が挿通する以外の開口部がない成形が可能である。そのため、ボールジョイントの製造工数が減少し、生産性が向上する。また、ボール部とボールシートとが密着して球面が一致する。そのため、ガタがない安定な挙動が得られるボールジョイントを実現できる。また、ハウジングを形成する樹脂が漏出することが抑制される。
また、ボールスタッドのボール部に連続するストレート部が長い場合、開口部に凹んだ形状のテーパ部を有するハウジングを成形することができる。
【0029】
第
3の本発明のボールジョイントの製造方法は、
第1または第2の本発明のボールジョイントの製造方法において、前記ボールシート成形工程は、前記ボール部における前記スタッド部とは反対側に設けられた第1成形型のゲートから前記ボールシートを成形する樹脂を吐出し、前記樹脂の吐出圧によって前記スタッド部側に配置された第2成形型に前記ボール部を押し付けて密着させている。
【0030】
第
3の本発明のボールジョイントの製造方法によれば、
ボール部を特殊な冶具を用いることなく所定位置に位置決めできる。樹脂の吐出圧によってボール部が第2成形型に密着させられるので、シール材が不要である。そのため、シール材無しに、ボールシートを成形する樹脂が外部に漏出することを防ぐことができる。
【0031】
第
4の本発明のボールジョイントの製造方法は、スタッド部の一端部にボール部が予め一体に設けられたボールスタッドの当該ボール部を中子とし、前記ボール部の少なくとも前記スタッド部とは反対側
にある部分を覆うように、樹脂製のハウジングをインサート成形するハウジング成形工程を含
み、前記ハウジングは、開口部に、前記スタッド部の他端部に向かうほど広がる凹んだ形状のテーパ部を有し、前記ハウジング成形工程は、前記スタッド部の一端部近くの前記ボール部の一部に当接するように、前記テーパ部を形成する分割中駒を配置する中駒配置ステップと、前記スタッド部に形成された前記ボール部側に対向するように傾斜した傾斜部を、前記分割中駒を挿通する押圧手段で押圧して、前記分割中駒を基として、前記ボールスタッドを前記スタッド部側に移動する力を与えて、前記分割中駒に形成された球面状の内球面を、前記ボール部の前記スタッド部側の部位に密着させる中駒密着ステップと、前記ハウジングをインサート成形するステップと、前記分割中駒を、前記スタッド部の他端部方向へ移動させながら、前記分割中駒の前記スタッド部の他端部側に位置する部分を前記スタッド部から離間するように回転させて、取り外す中駒取り外しステップとを含んでいる。
【0032】
第
4の本発明によれば、スタッド部およびボール部が一体に形成されたボールスタッドを用いて、樹脂製のハウジングがインサート成形で形成できるので、ハウジングにスタッド部が挿通する以外の開口部がない成形が可能である。そのため、製造が容易になる。また、ボールシートがないのでボールシートの形成工程がなく、製造工数が減少する。そのため、ボールジョイントの生産性が向上する。また、ボールシートがないので、製造工程の簡略化と相俟って、製造コストの削減に繋がる。また、ガタがない安定な挙動が得られるボールジョイントを実現できる。
また、ハウジングを形成する樹脂が漏出することが抑制される。また、ボールスタッドのスタッド部が短い場合も、開口部に凹んだ形状のテーパ部を有するハウジングを成形することができる。
【0035】
第
5の本発明は、
スタッド部の一端部にボール部が予め一体に設けられたボールスタッドの当該ボール部を中子とし、前記ボール部の少なくとも前記スタッド部とは反対側にある部分を覆うように、樹脂製のハウジングをインサート成形するハウジング成形工程を含み、前記ハウジングは、開口部に、前記スタッド部の他端部に向かうほど広がる凹んだ形状のテーパ部を有し、前記ハウジング成形工程は、前記スタッド部の一端部近くの前記ボール部の一部に当接するように、前記テーパ部を形成する分割中駒を配置する中駒配置ステップと、
前記スタッド部に形成された前記ボール部側に対向するように傾斜した傾斜部を、前記分割中駒を挿通する押圧手段で押圧して、前記分割中駒を基として、前記ボールスタッドを前記スタッド部側に移動する力を与えて、前記分割中駒に形成された球面状の内球面を、前記ボール部の前記スタッド部側の部位に密着させる中駒密着ステップと、前記ハウジングをインサート成形するステップと、前記分割中駒を、前記スタッド部の他端部方向への移動と前記スタッド部の軸線からの離間を組み合わせて、取り外す中駒取り外しステップとを含んでいる。
【0036】
第
5の本発明によれば、
スタッド部およびボール部が一体に形成されたボールスタッドを用いて、樹脂製のハウジングがインサート成形で形成できるので、ハウジングにスタッド部が挿通する以外の開口部がない成形が可能である。そのため、製造が容易になる。また、ボールシートがないのでボールシートの形成工程がなく、製造工数が減少する。そのため、ボールジョイントの生産性が向上する。また、ボールシートがないので、製造工程の簡略化と相俟って、製造コストの削減に繋がる。また、ガタがない安定な挙動が得られるボールジョイントを実現できる。また、ハウジングを形成する樹脂が漏出することが抑制される。
また、ボールスタッドのボール部に連続するストレート部が長い場合、開口部に凹んだ形状のテーパ部を有するハウジングを成形することができる。
【0039】
第
6の本発明は、棒状のサポートバーと、当該サポートバーの端部に設けられる第1から第
5のうちの何れかの本発明の前記ボールジョイントとを有し、車両のサスペンションとスタビライザとを連結するスタビリンクの製造方法であって、第1から第
5のうちの何れかの本発明の前記ボールジョイントの製造方法における前記ハウジング成形工程において、前記サポートバーの長手方向の少なくとも何れかの端部を中子として、前記ハウジングをインサート成形している。
【0040】
第
6の本発明によれば、生産性が高く、ガタがなく安定な挙動が得られるスタビリンクを実現できる。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、製造容易で動作性が良好なボールジョイントの製造方法およびスタビリンクの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
<<実施形態1>>
図1は、本発明に係る実施形態1のスタビリンクのボールジョイントの縦断面図である。
実施形態1のボールジョイントJは、樹脂製のボールシート12が、ボールスタッド10の端部のボール部10bにインサート成形される。そして、樹脂製のアウターハウジング11が、ボールシート12に覆われたボール部10bとサポートバー1aの先端部1a1とにインサート成形される点に特徴がある。
【0044】
具体的には、樹脂製のボールシート12を、ボールスタッド10のボール部10bを中子としてインサートインジェクション成形により形成し、ボールシート組立体12A(
図4参照)を製作する。その後、アウターハウジング11(
図1参照)を、ボールシート組立体12Aのボールシート12が形成されたボール部10bと、サポートバー1aの先端部1a1とを中子として、インサートインジェクション成形により形成する。
【0045】
上述の如くして、ボールスタッド10のボール部10bとボールシート12との間、および、ボールシート12とアウターハウジング11との間に隙間無しの結合構造を実現できる。これにより、ボールスタッド10のボール部10bがボールシート12に対して、円滑に揺動および回転できる。
【0046】
次に、実施形態1のボールジョイントJを、車両に使用されるスタビリンク1に適用した場合について説明する。
図2は、実施形態1のボールジョイントを備えるスタビリンクに、サスペンションとスタビライザとを連結した状態を示す斜視図である。
車両(図示せず)の走行を担う車輪Wは、サスペンション3を介して車体(図示せず)に取り付けられている。サスペンション3とスタビライザ2とは、スタビリンク1の端部のボールジョイントJを介して連結されている。
【0047】
<ボールスタッド10>
図1に示すボールスタッド10は、棒状のスタッド部10sと球状のボール部10bとを有する。
ボールスタッド10の一端部には、球形状のボール部10bが形成され、その他端部には、スタッド部10sが形成されている。
ボールスタッド10のスタッド部10sには、周回状に拡がる鍔部10a1と小鍔部10a2とが離間して形成されている。鍔部10a1よりもスタッド部10s側には、雄ねじ10nが螺刻されている。
【0048】
アウターハウジング11の上部の凸形フランジ部11fと鍔部10a1との間にはダストカバー13が配設されている。ダストカバー13は、雨水、塵埃等のボールジョイントJへの侵入を阻止する部材である。
ダストカバー13の上端周回部が、鍔部10a1と小鍔部10a2との間の周回凹部10eに嵌め込まれている。一方、ダストカバー13の下端周回部に埋め込まれた鉄リンク13a近傍の箇所が、アウターハウジング11の凸形フランジ部11fの周囲の凹部11oに嵌合固定されている。
【0049】
図2に示すように、サポートバー1aの一方のボールジョイントJから突き出るボールスタッド10は、ダンパ3bのブラケット3cに締結固定される。また、他方のボールジョイントJから突き出るボールスタッド10は、スタビライザ2のアーム部2bに締結固定される。
スタビリンク1は、両端部のボールジョイントJに揺動(
図1の矢印α1)および回転(
図1の矢印α2)可能に支持され、ダンパ3bおよびアーム部2b(
図2参照)に対して可動な構成となっている。換言すれば、スタビリンク1は、サスペンション3およびスタビライザ2の動きに応じて動くことができる。
【0050】
<ボールジョイントJ>
次に、ボールジョイントJの構成について詳細に説明する。
図1に示すボールジョイントJは、前記した如く、樹脂製のボールシート12がボールスタッド10のボール部10bの周りにインサート成形で形成される。そして、ボールシート12が周囲に形成されたボール部10bとサポートバー1aの先端部1a1を中子として、樹脂製のアウターハウジング11がインサート成形されている。
【0051】
ボールスタッド10の一端部のボール部10bは鋼等の金属製であるので、外力を加えて、樹脂製のアウターハウジング11に一体に成形される樹脂製のボールシート12から剥離させる。これにより、ボールスタッド10のボール部10bがボールシート12に揺動(
図1の矢印α1)および回転(
図1の矢印α2)可能に支持される。
こうして、ボールジョイントJは、ボールスタッド10の一端部のボール部10bがボールシート12で覆われ、さらにサポートバー1aの先端部1a1とともに樹脂製のアウターハウジング11に覆われ構成されている。
【0052】
ボールスタッド10のスタッド部10sに周回状に形成される小鍔部10a2のボール部10b側には、円柱形状のストレート部10s1が形成されている。
或いは、小鍔部10a2下方のR部10a3の下方を1mm以上の長さでストレートに延びる円柱形状のストレート部10s2とし、ストレート部10s2の下からボール部10b近くまでを、ボール部10bに近付くに従って細くなる円錐面のテーパ形状としてもよい。
【0053】
アウターハウジング11はPA66−GF30(PA66に重量比30%のガラス繊維を入れたもの)が用いられる。なお、アウターハウジング11の材料は強度要件が満たされるものであればよい。例えば、PEEK(polyetheretherketone)、PA66(Polyamide 66)、PPS(Poly Phenylene Sulfide Resin)、POM(polyoxymethylene)等のエンジニアリングプラスティック、スーパーエンジニアリングプラスティック、FRP(Fiber Reinforced Plastics:繊維強化プラスティック)、GRP(glass reinforced plastic:ガラス繊維強化プラスティック)、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics:炭素繊維強化プラスティック)等が使用される。
【0054】
アウターハウジング11の上部には、凸形状の凸形フランジ11fが円環状に形成されている。凸形フランジ11fには、ボール部10bのスタッド部10sの近傍部が挿通する開口部11f3が形成される。
凸形フランジ11fは、ボールシート12の上端12uから外方に広がって円錐面状のテーパ部11f1を開口部11f3に有して形成される。
換言すれば、アウターハウジング11の上部において、凸形フランジ11fの開口部11f3には、スタッド部10sのボール部10bの反対側に向かうほど広がる凹んだ形状の円錐面状のテーパ部11f1が形成されている。
テーパ部11f1の開始点は、ボールシート12の上端12uの外側コーナー12u1である。
【0055】
凸形フランジ11fの内周面であるテ−パ部11f1のボールスタッド10の軸線Cに対する傾斜角とボールスタッド10のストレート部10s1の外周面の軸線Cに対する傾斜角度とで、ボールスタッド10が揺動(
図1の矢印α1)する際の最大揺動角が設定される。
【0056】
ボールシート12は、ボールスタッド10の球形状のボール部10bを覆う球形状の内面を有して形成されている。
ボールシート12は、材料としてはPOMが用いられている。ボールシート12は、POMの他、同じく熱可塑性樹脂であって、摩耗要件等が満たされれば、他の材料でも構わない。上述したように、ボールシート12の内面は、ボールスタッド10のボール部10bが揺動および回転するため、所定の摩耗耐久性が求められる。
【0057】
ボールシート12は、例えば、PEEK(polyetheretherketone)、PA66(Polyamide 66)、PA6(Polyamide 6)、PPS(Poly Phenylene Sulfide Resin)等のエンジニアリングプラスティック、スーパーエンジニアリングプラスティックが使用される。ボールシート12はインサート成形で形成されるため、熱可塑性樹脂がよい。
【0058】
ボールシート12の厚みは、0.4mm以上2.0mm以下に設定される。ボールシート12の厚みが0.4mm未満であると、成形時の樹脂の流動性が悪くなる。一方、ボールシート12の厚みが2.0mmより厚いとボールシート12は弾性材であるので、弾性変形量が大きくなり、弾性リフト量が増加する。
そのため、ボールシート12の厚みは、0.4mm以上2.0mm以下が好適である。
【0059】
アウターハウジング11は厚さが厚いので、成形後の収縮が大きい。そのため、アウターハウジング11の成形後、ボール部10bはアウターハウジング11、ボールシート12によって内方に向けて締め付けられる。そのため、ボールスタッド10の揺摺動トルクの目標トルク値域によっては、トルクチューニングが行われる。なお、揺摺動トルクとは、ボールスタッド10が揺動する際の揺動トルク(
図1の矢印α1)と、ボールスタッド10が回転する際の回転トルク(
図1の矢印α2)とを総称したものである。
【0060】
サポートバー1aは、例えば鋼管が使用されており、先端部1a1はボールスタッド10が延在する方向にプレスされて平板状に塑性変形されている。
【0061】
<ボールジョイントJの製造法>
次に、ボールジョイントJの製造法について説明する。
図3は、一体で製作したボールスタッドを示す外観図である。
ボールスタッド10は、スタッド部10sとボール部10bとを一体に形成してもよいし、インサート成形の前であればボール部10bを溶接によりスタッド部10sに接合して一体化してもよい。
実施形態1では、ボールスタッド10を、スタッド部10sとボール部10bとを一体に製作した場合を例に挙げて説明する。
【0062】
図4は、ボールスタッドにボールシートを装着した状態を示す外観図である。
ボールスタッド10の製作後、ボールスタッド10のボール部10bを中子として、例えば第1成形型K1、第2成形型K2を用いて、ボールシート12をインサート成形して、ボールシート組立体12Aを製作する。
【0063】
この際、ボール部10bにおけるスタッド部10sとは反対側に設けられた第1成形型K1のゲートk1gからボールシート12を成形する樹脂を吐出する。
そして、当該樹脂の吐出圧によってスタッド部10sの側に配置された第2成形型K2の球面k21にボール部10bの上球面部10b1を押し付けて(
図4の白抜き矢印α2参照)密着させる。これにより、ボールシート12を成形する樹脂が、ボール部10bの上球面部10b1に漏出することなく、ボールシート12を成形できる。
【0064】
続いて、ボールシート組立体12Aのボールシート12が周囲に形成されたボール部10bと、サポートバー1aの先端部1a1とを中子としてアウターハウジング11(
図1参照)を下記のようにインサート成形する。
【0065】
図5Aは、ボールシート組立体とサポートバーの先端部を中子としてアウターハウジングをインサート成形した直後の状態を示す一部断面図であり、
図5Bは、
図5AのI部拡大図である。
アウターハウジング11を、ボールシート組立体12Aのボールシート12が形成されたボール部10bとサポートバー1aの先端部1a1を中子としてインサート成形する際、アウターハウジング11を成形する樹脂が、スタッド部10s側のボール部10bおよびストレート部10s1に漏出しないようにする必要がある。
【0066】
そこで、密着用の止めねじn3の先端で、ボールスタッド10のR部10a3を押す(
図5Bの力Fa)ことにより、上方向の力Fb(
図5B参照)を生じさせる。これにより、ボールスタッド10を上方向に移動させ、スタッド部10s側のボール部10bの上球面部10b1を型の分割中駒13(13A、13B)に密着させている。
【0067】
また、ボールスタッド10の揺動角を設定するため、および、ダストカバー13の下端周回部の鉄リンク13a近傍箇所(
図1参照)を固定する凹部11oを形成するため、アウターハウジング11の上部に凸形フランジ部11fを形成する必要がある。
【0068】
そこで、凸形フランジ部11fの内周面のテ−パ部11f1を形成するため、ボールシート組立体12A(
図4参照)の周囲にボールシート12が形成されたボール部10bとサポートバー1aの先端部1a1を中子としたアウターハウジング11のインサート成形に際し、中駒が必要になる。
【0069】
ところが、前記したように、ボールスタッド10のストレート部10s1の長さs1(
図1参照)は、アウターハウジング11等に加わる曲げモーメントを抑える点、ダストカバー13の耐久性の維持、スタビリンク1の占有スペースの狭小化の点等から、短い方が望ましい。
凸形フランジ部11fを成形後、テ−パ部11f1を形成した中駒を抜く必要があるが、ボールスタッド10のスタッド部10sには、周回状に拡がる鍔部10a1と小鍔部10a2とが形成されているため、ストレート部10s1の長さs1が短い場合、中駒を小鍔部10a2、鍔部10a1に干渉しないように抜く必要がある。つまり、ボールスタッド10のストレート部10s1が短い場合、上述の中駒を成形後に抜くに際し、小鍔部10a2に当接して抜けなくなるという事象が発生する。
【0070】
そこで、テ−パ部11f1を形成した型の中駒の抜き方が問題となる。
上記問題を解決するため、アウターハウジング11のインサート成形に際して、下記の
図6に示す分割型である分割中駒13(13A、13B)を用いている。
図6は、分割中駒を示す斜視図である。
【0071】
アウターハウジング11のインサート成形に際しては、分割中駒13がボールスタッド10のボールシート12の上方の上球面部10b1に密着した状態(
図5A参照)で遂行される。その他のアウターハウジング11の成形は、他の主金型(図示せず)が、ボールシート12が形成されたボール部10bとサポートバー1aの先端部1a1とを、取り囲んで行われる。なお、
図5Aでは、分割中駒13を示し、他の主金型は省略して示している。なお、
図5A、後記の
図9A〜
図9D、
図11A、
図11B等に図示したサポートバー1aは、分割中駒13を用いた成形工程の障害にならない位置に配置される。
【0072】
分割中駒13は、ボールスタッド10のボールシート12が形成されたボール部10b、サポートバー1aの先端部1a1に対して、アウターハウジング11が成形された後に、つまりアウターハウジング11の凸形フランジ11fが成形された後に、取り外される。
【0073】
<分割中駒13>
分割中駒13(
図6参照)は、半割の構成であり、第1分割中駒13A(
図7A、
図7B参照)と第2分割中駒13B(
図8A、
図8B参照)とで構成されている。
図7Aは、分割中駒を構成する第1分割中駒を内側上方から見た図であり、
図7Bは、分割中駒を構成する第1分割中駒を外側下方から見た図である。
図8Aは、分割中駒を構成する第2分割中駒を内側上方から見た図であり、
図8Bは、分割中駒を構成する第2分割中駒を外側下方から見た図である。
【0074】
図7A、
図7Bに示す第1分割中駒13Aは、分割中駒13の半割状の一方の形状を呈しており、第2分割中駒13Bとの当接面の平面部13a0と凸状のフランジ挿入部13a7とをもつ半円環状の形状を有している。
第1分割中駒13Aは、第1内球面13a1、第1円柱面13a2、第1フランジ当接面13a3、第1ボールシート当接面13a4、第1逃げ部13a5がそれぞれ半割状に形成されている。そして、第1分割中駒13Aには、固定用のねじ挿通孔13a6、密着用の雌ねじ部13a8が形成されている。
【0075】
第1内球面13a1は、ボールスタッド10のボール部10bに密着させることから、ボール部10bに沿う球面形状を有している。第1円柱面13a2は、ボールスタッド10のストレート部10s1(
図5A参照)に沿ってスライドさせることから、ストレート部10s1に沿う半円柱形状を有している。第1フランジ当接面13a3は、凸形フランジ11fの上面11f2およびテ−パ部11f1を形成する(
図5A参照)。そのため、第1フランジ当接面13a3は、凸形フランジ11fの上面を形成する平面と、テ−パ部11f1を形成する半円錐面とを有している。
第1ボールシート当接面13a4は、ボールシート12の上端12u(
図5A参照)を形成する半円環状の平面を有している。
【0076】
第1逃げ部13a5は、第1分割中駒13Aをボールスタッド10のボール部10bと小鍔部10a2との間からとり外す際(
図9A〜
図9C参照)の逃げ部であり、半円錐面形状を有している。ねじ挿通孔13a6は、第1分割中駒13Aと第2分割中駒13Bとを固定するねじが収納される孔である。そのため、ねじ挿通孔13a6は、段付き孔であり、雄ねじが挿通される小径の孔と、ねじ頭が収納される大径の孔とで成る。
【0077】
密着用の雌ねじ部13a8は、第1内球面13a1がボールスタッド10の上球面部10b1(
図5A参照)に密着するように作用する密着用の止めねじn3が螺合される雌ねじである。
図8A、
図8Bに示す第2分割中駒13Bは、分割中駒13の半割状の他方の形状を呈しており、第1分割中駒13Aとの当接面の平面部13b0と凸状のフランジ挿入部13b7とをもつ半円環状の形状を有している。
【0078】
第2分割中駒13Bは、第2内球面13b1、第2円柱面13b2、第2フランジ当接面13b3、第2ボールシート当接面13b4、第2逃げ部13b5がそれぞれ半割状に形成されている。そして、固定用の雌ねじ部13b6、密着用の雌ねじ部13b8が形成されている。
第2分割中駒13Bは、第1分割中駒13Aと対称な形状であるので、第1分割中駒13Aの構成要素の符号aを符号bに変えて示し、詳細な説明は省略する。
【0079】
<アウターハウジング11のインサート成形>
ボールシート組立体12Aのボールシート12が形成されたボール部10bとサポートバー1aの先端部1a1を中子とするアウターハウジング11のインサート成形は下記のように遂行される。
図5Aに示すように、ボールスタッド10のボール部10b周りのボールシート12とサポートバー1aの先端部1a1の周囲は、アウターハウジング11が形成される空間をおいて、不図示の主金型、分割中駒13で覆われる。
【0080】
この際、
図5Aに示すように、分割中駒13の雌ねじ部13a8、13b8にそれぞれ螺合される密着用の止めねじn3の先端部が、ボールスタッド10のR部10a3を水平方向に押す(
図5Bの力Fa)。これにより、ボールスタッド10のR部10a3が、傾斜面による三角分力で上方への力(
図5Bの力Fb)を受け、ボールスタッド10が上方に移動する。力Fbにより、ボールスタッド10のボール部10bの上球面部10b1が、第1・第2分割中駒13A、13Bの第1・第2内球面13a1、13b1にそれぞれ確実に密着する。
【0081】
この状態で、不図示の主金型と、第1分割中駒13Aと第2分割中駒13Bとで覆われる空間に、アウターハウジング11を形成する樹脂が充填され、ボールスタッド10のボール部10b周りのボールシート12とサポートバー1aの先端部1a1とを覆うアウターハウジング11が形成される。
【0082】
このように、ボールシート組立体12Aのボール部10bとサポートバー1aの先端部1a1を中子としてアウターハウジング11をインサート成形する際、ボールシート12上方のボール部10bの上球面部10b1には、第1分割中駒13Aの第1内球面13a1および第2分割中駒13Bの第2内球面13b1とが密着するので、ボールシート12より上方のボール部10bにアウターハウジング11の樹脂が漏出することがない(
図5A参照)。
なお、第1・第2分割中駒13A、13Bの各第1・第2内球面13a1、13b1をそれぞれボール部10bの上球面部10b1に密着させる密着手段の止めねじn3を、カム、エアーシリンダ等の他の密着手段で代替してもよい。
【0083】
<インサート成形後の第1分割中駒13Aと第2分割中駒13Bの取り外し>
成形後、樹脂が冷却して硬化した後、第1分割中駒13Aと第2分割中駒13Bとが不図示の主金型とともに、以下のようにして、取り外される。
【0084】
前記したように、ボールスタッド10のストレート部10s1は短い方が望ましい。また、アウターハウジング11の上部には、凸形フランジ11fが上方に突出して形成されている。加えて、ボールスタッド10のスタッド部10sには、鍔部10a1と小鍔部10a2とが形成されている。
【0085】
また、第1分割中駒13Aと第2分割中駒13Bとは、半円環状に形成されている。そのため、第1分割中駒13Aと第2分割中駒13Bが小鍔部10a2に干渉し、直線移動の水平方向移動と鉛直方向移動で、
図5Aに示すアウターハウジング11の成形後の状態から取り外すことが不可能である。
【0086】
そこで、アウターハウジング11のインサート成形後、第1分割中駒13Aと第2分割中駒13Bとは以下のようにして、取り外される。
図9A〜
図9Dは、アウターハウジング11のインサート成形後に第1分割中駒と第2分割中駒とを取り外す過程の一例を示す一部断面側面図である。
【0087】
まず、第1分割中駒13Aと第2分割中駒13Bの固定用のねじ(図示せず)を緩めて外す。また、雌ねじ部13a8、13b8に螺合される止めねじn3を緩めて、第1・第2分割中駒13A、13B内に後退させる。
続いて、
図9Aの矢印α3、
図9Bの矢印α4に示すように、第1分割中駒13Aと第2分割中駒13Bとを、徐々にスタッド部10s側の方向に持ち上げつつ、上部のスタッド部10s先端近くに位置する部分を外方に向けて回転させて、第1分割中駒13Aの凸状のフランジ挿入部13a7と第2分割中駒13Bの凸状のフランジ挿入部13b7とを、アウターハウジング11の凸形フランジ11fの内方から抜き出す。
【0088】
さらに、
図9Cの矢印α5に示すように、第1分割中駒13Aと第2分割中駒13Bとを徐々にスタッド部10s側の方向に持ち上げつつ上部のスタッド部10s先端近くに位置する部分を外方に向けて回転させるようにして、第1分割中駒13Aの凸状のフランジ挿入部13a7と第2分割中駒13Bの凸状のフランジ挿入部13b7とを、アウターハウジング11の凸形フランジ11fの内方から徐々に抜き出す。
【0089】
そして、
図9Dの矢印α6に示すように、第1分割中駒13Aと第2分割中駒13Bとを上方に持ち上げつつ上部を外方に向けて回転させて、第1・第2分割中駒13A、13Bを、アウターハウジング11の凸形フランジ11f内から完全に取り出して外す。
【0090】
図10は、ストレート部が比較的長いボールスタッドを示す外観図である。
図11A、
図11Bは、アウターハウジングのインサート成形後に第1分割中駒と第2分割中駒とを取り外す過程の他例を示す一部断面側面図である。
【0091】
図10に示すように、ボールスタッド10のストレート部10s1の長さs1が比較的長く形成できる場合には、アウターハウジング11のインサート成形後に、第1分割中駒13Aと第2分割中駒13Bとを、
図9A〜
図9Dに示すように回転動作させることなく、鉛直方向移動と水平方向移動とにより取り外すことができる(
図11A、
図11B参照)。
【0092】
具体的には、まず、第1分割中駒13Aと第2分割中駒13Bの固定用のねじ(図示せず)を緩めて外す。また、雌ねじ部13a8、13b8に螺合される止めねじn3を緩めて、第1・第2分割中駒13A、13B内に後退させる。
【0093】
続いて、
図11Aの矢印α7に示すように、第1分割中駒13Aと第2分割中駒13Bとをボールスタッド10のストレート部10s1に沿ってスタッド部10s側の方向に、アウターハウジング11との接触状態から離脱させる。
詳細には、第1分割中駒13Aと第2分割中駒13Bとを、それぞれフランジ挿入部13a7、13b7が、アウターハウジング11の凸形フランジ11fの内方から抜け出、かつ、第1・第2分割中駒13A、13Bが小鍔部10a2に当接しない位置まで、ストレート部10s1に沿って上方に移動させる。
【0094】
その後、
図11Bの矢印α8に示すように、第1分割中駒13Aと第2分割中駒13Bとを、ボールスタッド10の軸線Cから離間する方向に移動させて取り外す。つまり、第1分割中駒13Aと第2分割中駒13Bとを、スタッド部10sの反ボール部10b側の他端部方向への移動とスタッド部10sの軸線Cからの離間を組み合わせて、取り外す。
【0095】
なお、分割中駒13は、2つの場合を例示して説明したが3つ以上の分割構成としてもよい。3つ以上の分割構成の場合、分割中駒13の環形状の分割数が増加するために分割型の周長が短縮される。そのため、
図9A〜
図9Dの矢印α3〜α6のように分割中駒13を回転させて取り外す際の回転角を低下できる。従って、アウターハウジング11成形後の分割中駒13の取り外しが容易になる。
【0096】
一方、分割中駒13の分割数が増えると、多くの分割型を取り扱うことになるため、分割中駒13の取り扱いが困難となる。その意味では、分割中駒13の分割数は、2〜4が好適である。なお、分割数は、取り扱い性等を総合的に勘案すると、2つが最も有利である。
【0097】
<ダストカバー13の取り付け>
その後、
図1に示すように、ダストカバー13の下端周回部の鉄リンク13a近傍の箇所が、アウターハウジング11の上部の凸形フランジ部11fの周囲の凹部11oに圧入されて固定される。一方、ダストカバー13の上端周回部が、ボールスタッド10の鍔部10a1と小鍔部10a2との間の周回凹部10eに嵌め込まれる。これにより、ダストカバー13がアウターハウジング11の凸形フランジ部11fとボールスタッド10とに固定される。
【0098】
以上により、
図1に示すボールジョイントJが完成し、スタビリンク1(
図12参照)が組立てられる。
図12は、実施形態1のスタビリンクを示す一部断面外観図である。
【0099】
上記構成によれば、下記の効果を奏する。
1.ボールシート12をボールスタッド10のボール部10bを中子としてインサート成形で成形する。そして、ボールシート12が周囲に形成されたボール部10bと、サポートバー1aの先端部1a1とを中子として、分割中駒13(13A、13B)等を用いて、アウターハウジング11をインサート成形で成形する。
【0100】
詳細には、アウターハウジング11の形成後、分割構造の第1分割中駒13Aと第2分割中駒13Bとをボールスタッド10のストレート部10s1に沿って、ボール部10bから離すとともにスタッド10s先端近くに位置する部分を外方に向けて回転させて取り外す(
図9A〜
図9D参照)。
【0101】
これにより、ストレート部10s1の長さs1が短い場合にも、予めスタッド部10sが一体に設けられたボールスタッド10のボールシート12が形成されたボール部10bと、サポートバー1aの先端部1a1とを中子として、上方に凸形フランジ部11fが突設するアウターハウジング11をインサート成形で製作することが可能になる。
【0102】
2.従って、従来の特許文献2に記載されたボール部とスタッド部とを抵抗溶接にて接合する工程が不要となる。そのため、アウターハウジングの底部に穴を設ける必要がない。また、抵抗溶接後にアウターハウジングの底部にある穴を蓋部材によって閉塞する必要がない。
そのため、ボールジョイントJの製作工数を削減できる。
【0103】
3.また、ボール部10bに対して、ボールシート12とアウターハウジング11とを連続して樹脂成形できるので、従来の
図16に示すボールジョイント100Jで行われていたハウジング111、ボールシート112等の型調整が不要になる。
【0104】
4.従来のボールジョイント100Jを製作する一連の工程がインサート成形を繰り返すことで実現でき、ボールジョイントJの組立て工数の減少が図れ、ボールジョイントJの生産性が向上する。
また、ボールジョイントJを備えるスタビリンク1の組立て工数の減少が図れ、スタビリンク1の生産性が向上する。
【0105】
5.ボールスタッド10のボール部10bとボールシート12との間、および、ボールシート12とアウターハウジング11との間に隙間無しの結合構造が得られる。そのため、ボールスタッド10のボール部10bがボールシート12に対してガタがなく円滑に揺動および回転できるボールジョイントJが得られる。
【0106】
6.以上のことから、製造容易で高精度なボールジョイントJおよびこれを備えるスタビリンク1を実現できる。
【0107】
<<実施形態2>>
図13は、本発明に係る実施形態2のスタビリンクのボールジョイントの縦断面図である。
実施形態2のスタビリンクのボールジョイント2Jは、ボールスタッド10のボール部10bを直接アウターハウジング21で覆う構成としたものである。
その他の構成は、実施形態1と同様な構成であるから、同様な構成要素には、同一の符号を付して示し、アウターハウジングには20番台の符号を付して示し、詳細な説明は省略する。
【0108】
実施形態2のボールジョイント2Jは、実施形態1のボールシート12の箇所にアウターハウジング21が形成され、ボールスタッド10のボール部10bに隣接してアウターハウジング21が樹脂成形される。
【0109】
これにより、アウターハウジング21は凸形フランジ21fの円錐状のテ−パ部21f1に内方に連続して円環状の水平部21f4が形成される。
詳細には、アウターハウジング21には、ボール部10bのスタッド部10sの近傍部が挿通する開口部21f3が形成される。アウターハウジング21には、ボール部10bに接続されるスタッド部10s近くに、スタッド部10sに近付くほど広がる凹んだ形状の円錐状のテ−パ部21f1が開口部11f3に形成される。そして、テ−パ部21f1に連続して円環状の水平部21f4が形成される。
【0110】
次に、ボールジョイント2Jの製造法について説明する。
実施形態1と同様にしてボールスタッド10の製作後、ボールスタッド10のボール部10bとサポートバー1aの先端部1a1を中子としてアウターハウジング21を下記のようにインサート成形する。
【0111】
図14Aは、実施形態2のボールジョイントのアウターハウジングをボールスタッドのボール部とサポートバーの先端部を中子としてインサート成形した直後の状態を示す一部断面図であり、
図14Bは、
図14AのII部拡大図である。
アウターハウジング21を成形するに際して、アウターハウジング21を形成する樹脂が、ボールスタッド10のストレート部10s1およびボール部10bの上球面部10b1に漏出しないようにする必要がある。
【0112】
前記したように、ボールスタッド10のストレート部10s1の長さs1(
図1参照)は、短い方が望ましい。
以上の理由から、アウターハウジング21をインサート成形するに際しては、実施形態1で説明した半割状の分割中駒13(
図6参照)を用いることができる。
【0113】
図14Aに示すように、第1分割中駒13Aと第2分割中駒13Bとは、ボールスタッド10のストレート部10s1と、ストレート部10s1近傍のボール部10bの上球面部10b1に密着される。
第1分割中駒13A(
図7A参照)の第1フランジ当接面13a3、第1ボールシート当接面13a4は、それぞれアウターハウジング21の凸形フランジ21fのテ−パ部21f1および上面部21f2、水平部21f4を形成する。また、第2分割中駒13B(
図7B参照)の第2フランジ当接面13b3、第2ボールシート当接面13b4は、それぞれアウターハウジング21の凸形フランジ21fのテ−パ部21f1および上面部21f2、水平部21f4を形成する。
【0114】
その他のアウターハウジング21の箇所は、実施形態1と同様にして形成される。
アウターハウジング21のインサート成形に際し、実施形態1と同様に、
図14Aに示す第1分割中駒13Aの第1内球面13a1および第2分割中駒13Bの第2内球面13b1を、ボール部10bの上球面部10b1に密着した状態とする。
【0115】
具体的には、
図14Bに示すように、第1・第2分割中駒13A、13Bの雌ねじ部13a8、13b4に螺合される止めねじn3を締め、止めねじn3の先端部で、ボールスタッド10のR部10a3を水平方向に押す(
図14Bの力Fc)。これにより、ボールスタッド10のR部10a3が、三角分力で上方への力(
図14Bの力Fd)を受け、ボールスタッド10が上方に移動し、ボール部10bの上球面部10b1が、第1分割中駒13Aの第1内球面13a1と第2分割中駒13Bの第2内球面13b1に密着した状態とされる。
【0116】
これにより、第1分割中駒13Aの第1内球面13a1および第2分割中駒13Bの第2内球面13b1とが、それぞれボール部10bの上球面部10b1に密着する。
なお、実施形態1で説明したと同様に、第1分割中駒13Aの第1内球面13a1と第2分割中駒13Bの第2内球面13b1をボール部10bに密着させる密着手段を、止めねじn3に代えて、カム、エアーシリンダ等の他の密着手段で代替してもよい。
【0117】
このようにして、実施形態1と同様、
図14Aに示すように、アウターハウジング21が、ボールスタッド10のボール部10bとサポートバー1aの先端部1a1を中子として、不図示の主金型と第1・第2分割中駒13A、13Bを用いて、インサート成形される。
【0118】
成形後、固定用のねじが外され、止めねじn3が第1・第2分割中駒13A、13B内に後退される。
そして、第1分割中駒13Aと第2分割中駒13Bとは、ボールスタッド10のストレート部10s1の長さs1(
図1参照)が短い場合、
図14Aに示す状態から、
図9A〜
図9Dと同様にして、第1分割中駒13Aと第2分割中駒13Bとが、徐々にスタッド部10s側の方向に持ち上げられつつ、上部のスタッド部10s先端近くに位置する部分を外方に向けて回転させることで、取り外される。
【0119】
一方、ボールスタッド10のストレート部10s1の長さs1が長い場合(
図10参照)には、
図14Aに示す状態から、
図11A、
図11Bと同様にして、第1・第2分割中駒13A、13Bが、ボールスタッド10のストレート部10s1に沿ってスタッド部10s側の方向(
図1参照)に移動された後、ボールスタッド10の軸線Cから離間する方向に向けて移動され、取り外される。つまり、第1・第2分割中駒13A、13Bを、スタッド部10sの反ボール部10b側の他端部方向への移動とスタッド部10sの軸線Cからの離間を組み合わせて、取り外す。
【0120】
上記構成によれば、下記の効果を奏する。
1.予めスタッド部10sが設けられたボールスタッド10のボール部10bとサポートバー1aの先端部1a1とを中子としてアウターハウジング21がインサート成形される。
つまり、予めボール部10bが形成されたボールスタッド10を用いてアウターハウジング21をボールスタッド10のボール部10bの周りに樹脂成形できる。
【0121】
2.実施形態1のボールシート12がないため、ボールシート12の製作工程がなくなる。
【0122】
3.そのため、ボールジョイント2Jとこれを備えるスタビリンク1の製作工数が減少する。従って、ボールジョイント2J、スタビリンク1の生産性が向上する。
【0123】
4.ボールスタッド10のストレート部10s1の長さs1(
図1参照)が短い場合にも、第1・第2分割中駒13A、13Bを用いることで、外方に突出する形状の凸形フランジ21fをもつアウターハウジング21をボールスタッド10のボール部10bを中子として、インサート成形することができる。
【0124】
<変形例1>
図15は、実施形態2の変形例1のボールジョイントのアウターハウジングをボールスタッドのボール部とサポートバーの先端部を中子としてインサート成形した直後の状態を示す一部断面図である。
変形例1のボールジョイント3Jは、アウターハウジング31の凸形フランジ31fのテ−パ部31f1を延ばして形成し、水平部21f4(
図13参照)を形成しない構成としたものである。
その他の構成は、実施形態1と同様であるから、同様な構成には、同一の符号を付して示し、アウターハウジングには30番台の符号を付して示し、詳細な説明は省略する。
【0125】
変形例1のボールジョイント3Jは、アウターハウジング31の凸形フランジ31fの円錐状のテ−パ部31f1がアウターハウジング31の球面部31kまで連続して形成されたものである。アウターハウジング31には、ボール部10bのスタッド部10sの近傍部が挿通する開口部31f3が形成される。
ボール部10bに接続されるスタッド部10s近くに、スタッド部10sに近付くほど広がる凹んだ形状の円錐状のテ−パ部31f1が開口部31f3に形成される。
そのため、ボールジョイント3Jでは、
図15に示す第1・第2分割中駒23A、23Bを用いる。
【0126】
第1分割中駒23Aは、実施形態1の第1分割中駒13Aの第1ボールシート当接面13a4(
図7A参照)がなく、第1テーパ当接面23a3が第1内球面23a1に連続して形成される。その他は、実施形態1の第1分割中駒13Aと同様な構成である。
第2分割中駒23Bは、実施形態1の第1分割中駒13Bの第2ボールシート当接面13b4(
図8A参照)がなく、第2テーパ当接面23b3が第2内球面23b1に連続して形成される。その他は、実施形態1の第2分割中駒13Bと同様な構成である。
【0127】
変形例1のアウターハウジング31を、ボールスタッド10のボール部10bとサポートバー1aの先端部1a1とを中子としてインサート成形するに際しても、第1分割中駒23Aと第2分割中駒23Bとが、それぞれボールスタッド10のボール部10bに、実施形態2と同様にして、止めねじn3等を用いて密着して行われる。
【0128】
変形例1によれば、テ−パ部31f1がアウターハウジング31の球面部31kまで連続して形成される凸形フランジ31fをもつアウターハウジング31を形成することができる。
その他、実施形態1、2と同様な作用効果を奏する。
【0129】
<<その他の実施形態>>
1.前記実施形態1、2、変形例1等では、スタビリンク1の両側にボールジョイントJ〜3Jを有する場合を説明したが、スタビリンク1の何れか一方にボールジョイントJ〜3Jを有する構成としもよい。
【0130】
2.前記実施形態1、2、変形例1等では様々な構成を説明したが、適宜組み合わせて構成してもよい。
【0131】
3.前記実施形態1、2等で説明した構成は、本発明の一例を示したものであり、特許請求の範囲に記載した本発明の主旨を逸脱しない範囲で、様々な変形形態、具体的形態が可能である。
【0132】
なお、本発明のボールジョイントは、製造の自動化、FA(Factory Automation)等に使用される産業用ロボットや、医療、原子力発電所等に適用される人型ロボット等のロボットアームの関節部分や、ショベルカーやクレーン車等の産業用車両のアームが関節部分で回転する装置、その他の機械要素間、例えばリンクやアーム間の関節部分の構造に幅広く適用できる。