(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ詳説する。なお、断面図中の点模様部分はホットメルト接着剤等の接合手段を示している。
図1〜
図6はパンツタイプ使い捨ておむつを示している。このパンツタイプ使い捨ておむつ(以下、単におむつともいう。)は、前身頃F及び後身頃Bをなす外装体20と、この外装体20の内面に固定され一体化された内装体10とを有しており、内装体10は液透過性トップシート11と液不透過性シート12との間に吸収体13が介在されてなるものである。製造に際しては、外装体20の内面(上面)に対して内装体10の裏面がホットメルト接着剤などの接合手段によって接合された後に、内装体10及び外装体20が前身頃F及び後身頃Bの境界である前後方向LD(縦方向)の中央で折り畳まれ、その両側部が相互に熱溶着又はホットメルト接着剤などによって接合されてサイドシール部21が形成されることによって、ウエスト開口及び左右一対の
脚開口が形成されたパンツタイプ使い捨ておむつとなる。
【0021】
(内装体の構造例)
内装体10は、
図4〜
図6に示すように、液透過性トップシート11と、ポリエチレン等からなる液不透過性シート12との間に、吸収体13を介在させた構造を有しており、トップシート11を透過した排泄液を吸収保持するものである。内装体10の平面形状は特に限定されないが、
図1に示されるようにほぼ長方形とすることが一般的である。
【0022】
吸収体13の表側(肌側)を覆う液透過性トップシート11としては、有孔又は無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維は、ポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。液透過性トップシート11に多数の透孔を形成した場合には、尿などが速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。液透過性トップシート11は、吸収体13の側縁部を巻き込んで吸収体13の裏側まで延在している。
【0023】
吸収体13の裏側(非肌当接側)を覆う液不透過性シート12は、ポリエチレン又はポリプロピレンなどの液不透過性プラスチックシートが用いられるが、近年はムレ防止の点から透湿性を有するものが好適に用いられる。この遮水・透湿性シートは、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸又は二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートである。
【0024】
吸収体13としては、公知のもの、例えばパルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができる。この吸収体13は、形状及びポリマー保持等のため、必要に応じてクレープ紙等の、液透過性及び液保持性を有する包装シート14によって包装することができる。
【0025】
吸収体13の形状は、股間部に前後両側よりも幅の狭い括れ部分13Nを有するほぼ砂時計状に形成されている。括れ部分13Nの寸法は適宜定めることができるが、括れ部分13Nの前後方向長さはおむつ全長の20〜50%程度とすることができ、その最も狭い部分の幅は吸収体13の全幅の40〜60%程度とすることができる。このような括れ部分13Nを有する場合において、内装体10の平面形状がほぼ長方形とされていると、内装体10における吸収体13の括れ部分13Nと対応する部分に、吸収体13を有しない無吸収体側部17が形成される。
【0026】
液不透過性シート12は、液透過性トップシート11とともに吸収体13の幅方向両側で裏側に折り返されている。この液不透過性シート12としては、排便や尿などの褐色が出ないように不透明のものを用いるのが望ましい。不透明化としては、プラスチック中に、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、ホワイトカーボン、クレイ、タルク、硫酸バリウムなどの顔料や充填材を内添してフィルム化したものが好適に使用される。
【0027】
内装体10の両側部には脚周りにフィットする立体ギャザー90が形成されている。この立体ギャザー90は、
図5及び
図6に示されるように、内装体10の裏面の側部に固定された固定部91と、この固定部91から内装体10の側方を経て内装体10の表面の側部上まで延在する本体部92と、本体部92の前後端部が倒伏状態で内装体10の表面(図示形態ではトップシート11)の側部に固定されて形成された倒伏部分93と、この倒伏部分93間が非固定とされて形成された自由部分94とを有している。これらの各部は、不織布などのシートを折り返して二重シートとしたギャザーシート95により形成されている。ギャザーシート95は、内装体10の前後方向全体にわたり取り付けられており、倒伏部分93は無吸収体側部17よりも前側及び後側に設けられ、自由部分94は無吸収体側部17の前後両側に延在されている。また、二重のギャザーシート95間には、自由部分の先端部等に細長状ギャザー弾性伸縮部材96が配設されている。ギャザー弾性伸縮部材96は、製品状態において
図5に示すように、弾性収縮力により自由部分94を立ち上げるためのものである。
【0028】
図5及び
図6に示される立体ギャザー90は、本体部92が折り返されていない形態であるが、
図22(b)に示すように、本体部92における付け根側の部分が幅方向中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端側の部分が幅方向外側に向かって斜めに起立する形態とするなど、後述する倒伏非伸縮部分97に文字表示98を設けうる限り、公知のあらゆる形態を採用することができる。
【0029】
ギャザー弾性伸縮部材96としては、通常使用されるスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコ
ーン、ポリエステル等の素材を用いることができる。また、外側から見え難くするため、太さは925dtex以下、テンションは150〜350%、間隔は7.0mm以下として配設するのがよい。なお、ギャザー弾性伸縮部材96としては、図示形態のような糸状の他、ある程度の幅を有するテープ状のものを用いることもできる。
【0030】
前述のギャザーシート95を構成する素材繊維も液透過性トップシート11と同様に、ポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工方法に得られた不織布を用いることができるが、特にはムレを防止するために坪量を抑えて通気性に優れた不織布を用いるのがよい。さらにギャザーシート95については、尿などの透過を防止するとともに、カブレを防止しかつ肌への感触性(ドライ感)を高めるために、シリコ
ーン系、パラフィン金属系、アルキルクロミッククロ
ライド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布を用いるのが望ましい。
【0031】
特徴的には、
図14に示すように、立体ギャザー90の倒伏部分93はギャザー弾性伸縮部材96の収縮力が作用しない倒伏非伸縮部分97を有しており、内装体10における倒伏非伸縮部分97を有する位置に文字表示98が印刷され、この文字表示98がおむつの内側から視認可能となっている。立体ギャザー90の倒伏部分93は、おむつの内側に位置するものの、装着者が脚開口に脚を通した時にウエスト開口から覗く部分であり、目に付きやすい部分である。しかも、文字表示98が外観の美観を損ねることもない。また、倒伏非伸縮部分97は非伸縮部分であるため、それ自体の収縮皺や襞により文字表示98の視認性が悪化しにくいものとなる。
【0032】
文字表示98の文字は、特に限定されるものではないが、製造者名や販売者名、商品名のような使用に無関係の文字よりも、サイズを示す「S」「M」「L」等の文字や前後の向きを表す「前」「後」等の文字のように、使用者が使用の際に確認するための使用時確認文字に特に適している。また、文字表示98が、製品ロット番号のように、製品外面に表示すると美観を損ねるが、製品管理上必要となる製品管理文字の場合にも適している。
【0033】
倒伏部分93には文字表示98を複数有していてもよく、その場合、図示形態のようにすべての文字表示98が倒伏非伸縮部分97を有する位置に存在することが望ましいが、少なくとも1の文字表示98の全体が倒伏非伸縮部分97を有する位置に存在していれば、他の文字表示98の一部又は全部が倒伏非伸縮部分97を有する位置の外側に位置していても良い。
【0034】
倒伏非伸縮部分97は、倒伏部分93の全部であることが望ましいが、倒伏部分93の一部は伸縮性を有していてもよい。例えば、倒伏部分93のうち自由部分94側の端部は伸縮性を有し、残りの部分が倒伏非伸縮部分97となっていてもよい。倒伏非伸縮部分97を非伸縮とするために、ギャザー弾性伸縮部材96を全く有しない構造とすることもできるが、ギャザー弾性伸縮部材96の端部が位置しているものの、そのギャザー弾性伸縮部材96の端部が倒伏非伸縮部分97に対して非固定の自由部分94となっている、伸縮しない状態で固定されている、又は細かく切断されて伸縮性が実質的に殺されている形態とすることもできる。
図5及び
図6に示す形態では、倒伏非伸縮部分97以外ではギャザー弾性伸縮部材96の位置のホットメルト接着剤を介して、ギャザー弾性伸縮部材96がギャザーシート95に接着固定されるとともに、ギャザーシート95の対向面が接合されているものの、倒伏非伸縮部分97では、ギャザー弾性伸縮部材96の位置にホットメルト接着剤が無く、したがってギャザー弾性伸縮部材96とギャザーシート95とが接着されておらず、ギャザー弾性伸縮部材96を有する位置でギャザーシート95の対向面が接合されていないものである。
【0035】
倒伏非伸縮部分97の寸法は適宜定めることができるが、幅は10〜30mm程度、前後方向長さは50〜80mm程度であることが望ましい。また、文字表示98の大きさとしては5ポイント以上、特に5〜24ポイント程度であることが望ましい。
【0036】
文字表示98は、倒伏非伸縮部分97を有する位置であれば、特に限定されず、
図22(a)に示すように倒伏非伸縮部分97の表面に印刷する他、
図22(b)〜(d)及び
図23に示すように、倒伏非伸縮部分97の表面より裏側に位置する面に印刷することも可能である。前者の場合、最も視認しやすいため好ましく、後者の場合、印刷部分が直に肌に触れることがないため好ましい。より詳細には、
図22(a)に示す形態は、ギャザーシート95のうち最も表側に位置する部分の表面に文字表示98を印刷したものであり、
図22(b)(c)に示す形態は、ギャザーシート95が折り返されて形成された二層構造の対向面((b)は表側に位置する面、(c)裏側に位置する面)に文字表示98を印刷したものであり、
図22(d)に示す形態は、ギャザーシート95におけるトップシート11に対向する対向面に文字表示98を印刷したものである。また、
図23(a)に示す形態は、トップシート11の表面(ギャザーシート95に対する対向面)に文字表示98を印刷したものであり、
図23(b)に示す形態は、トップシート11の裏面(液不透過性シート12に対する対向面)に文字表示98を印刷したものであり、
図23(c)に示す形態は、液不透過性シート12の表面(トップシート11に対する対向面)に文字表示98を印刷したものである。
図22(a)に示す形態は印刷部分を直に視認することができるのに対して、これ以外の形態は表側に位置する層を介して透かし見ることになるものである。
【0037】
図6に示すように、倒伏非伸縮部分97における最も表側に位置する表面層95tが、裏側に隣接する95bに固定されておらず、かつ
図22(a)(b)に示すようにこの表面層95tに文字表示98が印刷されているのは一つの好ましい形態である。これにより、表面層95tより裏側に位置する部材の収縮等の変形が表面層95tに及びにくくなり、文字表示98が変形することによる視認性の悪化を効果的に防止することができる。このような構造は、例えば図示形態のようにギャザーシート95の折り返しにより形成された二層構造の場合、倒伏非伸縮部分97におけるギャザーシート95の対向面を非接合とすることにより形成することができる。
【0038】
立体ギャザー90の倒伏部分93は、
図14(b)に示すように、吸収体13を有する前後方向位置に設けることもできるが、倒伏部分93は漏れ防止機能をほとんど有しないため、
図14(a)等に示すように、吸収体13を有しない前後端部に設けることが望ましい。ただし、倒伏部分93が吸収体13を有しないと、剛性が低下して変形しやすくなり、倒伏非伸縮部分97の文字表示98が変形することにより文字表示98の視認性が悪化するおそれがある。これに対して、図示形態のように、液不透過性シート12を、倒伏部分93の前後方向位置まで前後方向LDに延在させるとともに、幅方向WDには、倒伏部分93における少なくとも文字表示98の位置まで延在させると、液不透過性シート12の剛性により倒伏非伸縮部分97が変形しにくくなる。このような観点から、図示形態のように、液不透過性シート12の幅方向両端部は折り返されて二重構造とされているとより好ましいが、液不透過性シート12の幅方向両端部が折り返されていない一重構造であっても、剛性向上効果は十分に得られるものである。
【0039】
図3〜
図6に示すように、内装体10はその裏面が、内外固定領域10B(斜線領域)において、外装体20の内面に対してホットメルト接着剤等により接合される。この内外固定領域10Bは、適宜定めることができ、内装体10の幅方向WDのほぼ全体とすることもできるが、内外固定領域10Bが文字表示98の少なくとも一部、好ましくは全体を含まないように幅方向両側部は外装体20に固定しないことが好ましい。すなわち、内装体10が外装体20の伸縮領域80に接合されていると、外装体20の収縮の影響が内装体10に及び、外装体20に文字表示98を設けた場合よりも文字表示98の視認性の悪化は少ないものの、文字表示98が変形することによる視認性の悪化は避けることができない。これに対して、上述のように、内装体10における文字表示98の少なくとも一部を含む幅方向両側部が、外装体20に接合されていない形態では、外装体20の収縮の影響が内装体10における文字表示98に及びにくくなるため好ましい。
【0040】
(外装体の構造例)
外装体20は吸収体13の側縁より側方まで延在されている。外装体20は図示形態のように股間部において外装体20の側縁が内装体10の側縁より幅方向中央側に位置していても、また幅方向外側に位置していても良い。また、外装体20は、サイドシール部21と対応する前後方向範囲である胴周り部Tと、前身頃Fの胴周り部T及び後身頃Bの胴周り部Tの間の前後方向範囲である中間部Lとを有する。そして、図示形態の外装体20では、その中間部Lの前後方向中間を除いて、
図2及び
図4〜
図6に示されるように、第1シート層20A及び第2シート層20Bの間に弾性フィルム30が積層されるとともに、
図7に示されるように、第1シート層20A及び第2シート層20Bが、間隔を空けて配列された多数のシート接合部40で弾性フィルム30を貫通する貫通孔31を通じて接合された、伸縮方向EDが幅方向WDとされた弾性フィルム伸縮構造20Xを有している。第1シート層20A及び第2シート層20Bは、弾性フィルム30の貫通孔31を通じてではなく、弾性フィルム30を介して間接的に接合されていても良い。外装体20の平面形状は、中間部Lの幅方向両側縁がそれぞれ
脚開口を形成するように凹状の脚周りライン29により形成されており、全体として砂時計に似た形状をなしている。外装体20は、前身頃F及び後身頃Bで個別に形成し、両者が股間部で前後方向LDに離間するように配置しても良い。
【0041】
図1及び
図2に示す形態は、弾性フィルム伸縮構造20Xがウエスト端部領域23まで延在されている形態であるが、ウエスト端部領域23に弾性フィルム伸縮構造20Xを用いると、ウエスト端部領域23の締め付けが不十分になる等、必要に応じて、
図15及び
図16に示すようにウエスト端部領域23には弾性フィルム伸縮構造20Xを設けずに、従来の細長状のウエスト部弾性部材24による伸縮構造を設けることもできる。ただし、外装体20における脚開口の縁部分には、脚開口に沿って延びる細長状弾性伸縮部材は設けられない。ウエスト部弾性部材24は、前後方向LDに間隔をおいて配置された複数の糸ゴム等の細長状弾性部材であり、身体の胴周りを締め付けるように伸縮力を与えるものである。ウエスト部弾性部材24は、間隔を密にして実質的に一束として配置されるのではなく、所定の伸縮ゾーンを形成するように3〜8mm程度の間隔を空けて、3本以上、好ましくは5本以上配置される。ウエスト部弾性部材24の固定時の伸長率は適宜定めることができるが、通常の成人用の場合230〜320%程度とすることができる。ウエスト部弾性部材24は、図示例では糸ゴムを用いたが、例えば平ゴム等、他の細長状の伸縮部材を用いても良い。また、図示しないが、外装体20に弾性フィルム伸縮構造20Xを設けずに、糸ゴム、平ゴム等の細長状の弾性伸縮部材のみ設ける汎用形態としてもよい。
【0042】
他の形態としては、図示しないが、前身頃Fの胴周り部Tと後身頃Bの胴周り部Tとの間の中間部Lには弾性フィルム伸縮構造20Xを設けない形態としたり、前身頃Fの胴周り部T内から中間部Lを経て後身頃Bの胴周り部T内まで前後方向LDに連続的に伸縮構造20Xを設けたり、前身頃F及び後身頃Bのいずれか一方にのみ弾性フィルム伸縮構造20Xを設けたりすること等、適宜の変形も可能である。
【0043】
個々のシート接合部40及び貫通孔31の自然長状態での形状は、適宜定めることができるが、真円形(
図7、
図8参照)、楕円形、三角形、長方形(
図9〜
図12参照)、ひし形(
図13(b)参照)等の多角形、あるいは凸レンズ形(
図13(a)参照)、凹レンズ形(
図13(c)参照)、星形、雲形等、任意の形状とすることができる。個々のシート接合部の寸法は特に限定されないが、最大長さは0.5〜3.0mm、特に0.7〜1.1mmとするのが好ましく、最大幅40xは0.1〜3.0mm、特に伸縮方向と直交する方向XDに長い形状の場合には0.1〜1.1mmとするのが好ましい。
【0044】
個々のシート接合部40の大きさは、適宜定めれば良いが、大きすぎるとシート接合部40の硬さが感触に及ぼす影響が大きくなり、小さすぎると接合面積が少なく資材同士が十分に接着できなくなるため、通常の場合、個々のシート接合部40の面積は0.14〜3.5mm
2程度とすることが好ましい。個々の貫通孔31の開口の面積は、貫通孔31を介してシート接合部が形成されるためシート接合部以上であれば良いが、シート接合部の面積の1〜1.5倍程度とすることが好ましい。なお、貫通孔31の開口の面積は、弾性フィルム30単独の状態ではなく第1シート層20A及び第2シート層20Bと一体化した状態で、かつ自然長の状態における値を意味し、貫通孔31の開口の面積が、弾性フィルム30の表と裏で異なる等、厚み方向に均一でない場合には最小値を意味する。
【0045】
シート接合部40及び貫通孔31の平面配列は適宜定めることができるが、規則的に繰り返される平面配列が好ましく、
図21(a)に示すような斜方格子状や、
図21(b)に示すような六角格子状(これらは千鳥状ともいわれる)、
図21(c)に示すような正方格子状、
図21(d)に示すような矩形格子状、
図21(e)に示すような平行体格子(図示のように、多数の平行な斜め方向の列の群が互いに交差するように2群設けられる形態)状等(これらが伸縮方向EDに対して90度未満の角度で傾斜したものを含む)のように規則的に繰り返されるものの他、シート接合部40の群(群単位の配列は規則的でも不規則でも良く、模様や文字状等でも良い)が規則的に繰り返されるものとすることもできる。
【0046】
シート接合部40における第1シート層20A及び第2シート層20Bの接合は、弾性フィルム30に形成された貫通孔31を通じて接合される場合、少なくともシート接合部40における第1シート層20A及び第2シート層20B間以外では、第1シート層20A及び第2シート層20Bは弾性フィルム30と接合されていないことが望ましい。
【0047】
シート接合部40における第1シート層20A及び第2シート層20Bの接合手段は特に限定されない。例えば、シート接合部40における第1シート層20A及び第2シート層20Bの接合はホットメルト接着剤によりなされていても、ヒートシールや超音波シール等の素材溶着による接合手段によりなされていても良い。
【0048】
シート接合部40において第1シート層20A及び第2シート層20Bが弾性フィルム30の貫通孔31を通じて接合される場合、シート接合部40が素材溶着により形成される形態は、シート接合部40における第1シート層20A及び第2シート層20Bの少なくとも一方の大部分又は一部の溶融固化物20mのみにより第1シート層20A及び第2シート層20Bが接合される第1溶着形態(
図17(a)参照)、シート接合部40における弾性フィルム30の全部若しくは大部分又は一部の溶融固化物30mのみにより第1シート層20A及び第2シート層20Bが接合される第2溶着形態(
図17(b)参照)、及びこれらの両者が組み合わさった第3溶着形態(
図17(c)参照)のいずれでも良いが、第2、第3溶着形態が好ましい。特に好ましいのは、第1シート層20A及び第2シート層20Bの一部の溶融固化物20mと、シート接合部40における弾性フィルム30の全部若しくは大部分の溶融固化物30mとにより第1シート層20A及び第2シート層20Bが接合される形態である。なお、
図19(b)に示される第3溶着形態では、黒色に写っている第1シート層20A又は第2シート層20Bの繊維溶融固化物20m間に、白色に写っている弾性フィルム30の溶融固化物30mが見られるのに対して、
図19(a)に示される第1溶着形態では、第1シート層20A又は第2シート層20Bの繊維溶融固化物20m間に弾性フィルムの溶融固化物は見られない(白色部分は繊維溶融固化物20mの境界と、繊維溶融固化物20mの乱反射である)。
【0049】
第1接着形態や第3接着形態のように、第1シート層20A及び第2シート層20Bの少なくとも一方の大部分又は一部の溶融固化物20mを接着剤として第1シート層20A及び第2シート層20Bを接合する場合、第1シート層20A及び第2シート層20Bの一部は溶融しない方がシート接合部40が硬質化しないため好ましい。なお、第1シート層20A及び第2シート層20Bが不織布であるときには、第1シート層20A及び第2シート層20Bの一部が溶融しないことには、シート接合部40の全繊維について芯(複合繊維における芯だけでなく単成分繊維の中心部分を含む)は残るがその周囲部分(複合繊維における鞘だけでなく単成分繊維の表層側の部分を含む)は溶融する形態や、一部の繊維は全く溶融しないが、残りの繊維は全部が溶融する又は芯は残るがその周囲部分は溶融する形態を含む。
【0050】
第2溶着形態及び第3溶着形態のように、弾性フィルム30の溶融固化物30mを接着剤として第1シート層20A及び第2シート層20Bを接合すると、剥離強度が高いものとなる。第2溶着形態では、第1シート層20A及び第2シート層20Bの少なくとも一方の融点が弾性フィルム30の融点及びシート接合部40形成時の加熱温度よりも高い条件下で、第1シート層20A及び第2シート層20B間に弾性フィルム30を挟み、シート接合部40となる部位を加圧・加熱し、弾性フィルム30のみを溶融することにより製造することができる。一方、第3溶着形態では、第1シート層20A及び第2シート層20Bの少なくとも一方の融点が弾性フィルム30の融点よりも高い条件下で、第1シート層20A及び第2シート層20B間に弾性フィルム30を挟み、シート接合部40となる部位を加圧・加熱し、第1シート層20A及び第2シート層20Bの少なくとも一方と弾性フィルム30とを溶融することにより製造することができる。このような観点から、弾性フィルム30の融点は80〜145℃程度のものが好ましく、第1シート層20A及び第2シート層20Bの融点は85〜190℃程度、特に150〜190℃程度のものが好ましく、第1シート層20A及び第2シート層20Bの融点と弾性フィルム30の融点との差は60〜90℃程度であるのが好ましい。また、加熱温度は100〜150℃程度とするのが好ましい。
【0051】
第2溶着形態及び第3溶着形態では、第1シート層20A及び第2シート層20Bが不織布であるときには、弾性フィルム30の溶融固化物30mは、
図18(c)に示すようにシート接合部40における第1シート層20A及び第2シート層20Bの厚み方向全体にわたり繊維間に浸透していても良いが、
図17(b)(c)及び
図18(a)に示すように厚み方向中間まで繊維間に浸透する形態、又は
図18(b)に示すように第1シート層20A及び第2シート層20Bの繊維間にほとんど浸透しない形態の方が、シート接合部40の柔軟性が高いものとなる。
【0052】
図20は、第2溶着形態及び第3溶着形態を形成するのに好適な超音波シール装置の例を示している。この超音波シール装置では、シート接合部40の形成に際して、外面にシート接合部40のパターンで形成した突起部60aを有するアンビルロール60と超音波ホーン61との間に、第1シート層20A、弾性フィルム30及び第2シート層20Bを送り込む。この際、例えば上流側の弾性フィルム30の送り込み駆動ロール63及びニップロール62による送り込み移送速度を、アンビルロール60及び超音波ホーン61以降の移送速度よりも遅くすることにより、送り込み駆動ロール63及びニップロール62によるニップ位置からアンビルロール60及び超音波ホーン61によるシール位置までの経路で、弾性フィルム30をMD方向(マシン方向、流れ方向)に所定の伸長率まで伸長する。この弾性フィルム30の伸長率は、アンビルロール60及び送り込み駆動ロール63の速度差を選択することにより設定することができ、例えば300%〜500%程度とすることができる。62はニップロールである。アンビルロール60と超音波ホーン61との間に送り込まれた、第1シート層20A、弾性フィルム30及び第2シート層20Bは、この順に積層した状態で、突起部60aと超音波ホーン61との間で加圧しつつ、超音波ホーン61の超音波振動エネルギーにより加熱し、弾性フィルム30のみを溶融するか、又は第1シート層20A及び第2シート層20Bの少なくとも一方と弾性フィルム30とを溶融することによって、弾性フィルム30に貫通孔31を形成するのと同時に、その貫通孔31を通じて第1シート層20A及び第2シート層20Bを接合する。したがって、この場合にはアンビルロール60の突起部60aの大きさ、形状、離間間隔、ロール長方向及びロール周方向の配置パターンなどを選定することにより、シート接合部40の面積率を選択することができる。
【0053】
貫通孔31が形成される理由は必ずしも明確ではないが、弾性フィルム30におけるアンビルロール60の突起部60aと対応する部分が溶融して周囲から離脱することにより開孔するものと考えられる。この際、弾性フィルム30における、伸縮方向EDに並ぶ隣接貫通孔31の間の部分は、
図7(a)、
図9(a)及び
図11(a)に示すように、貫通孔31により伸縮方向両側の部分から切断され、収縮方向両側の支えを失うことになるため、収縮方向と直交する方向の連続性を保ちうる範囲で、伸縮方向EDと直交する方向XDの中央側ほど伸縮方向中央側に釣り合うまで収縮し、貫通孔31が伸縮方向EDに拡大する。そして、後述する伸縮領域80のように弾性フィルム30が伸縮方向EDに沿って直線的に連続する部分が残るパターンでシート接合部40を形成すると、
図7(a)及び
図9(a)に示すように、個別の製品に切断すること等により自然長状態まで収縮するときに、貫通孔31の拡大部分の伸縮方向EDの長さは、貫通孔31とシート接合部40との間に隙間ができなくなるまで収縮することとなる。一方、後述する非伸縮領域70のように弾性フィルム30が伸縮方向EDに沿って直線的に連続する部分がないパターンでシート接合部40を形成すると、
図11(a)に示すように、個別の製品に切断すること等により自然長状態まで収縮するときにほとんど収縮しないため、貫通孔31とシート接合部40との間に隙間が大きく残されることとなる。
【0054】
第1シート層20A及び第2シート層20Bの構成材は、シート状のものであれば特に限定無く使用できるが、通気性及び柔軟性の観点から不織布を用いることが好ましい。不織布は、その原料繊維が何であるかは特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。不織布を用いる場合、その目付けは12〜20g/m
2程度とするのが好ましい。また、第1シート層20A及び第2シート層20Bの一部又は全部は、一枚の資材を折り返して対向させた一対の層であっても良い。例えば、図示形態のように、ウエスト端部領域23では、外側に位置する構成材を第2シート層20Bとし、かつそのウエスト開口縁で内面側に折り返してなる折り返し部分20Cを第1シート層20Aとして、その間に弾性フィルム30を介在させるとともに、それ以外の部分では内側に位置する構成材を第1シート層20Aとし、外側に位置する構成材を第2シート層20Bとして、その間に弾性フィルム30を介在させることができる。もちろん、前後方向LDの全体にわたり第1シート層20Aの構成材及び第2シート層20Bの構成材を個別に設け、構成材を折り返しすることなく、第1シート層20Aの構成材及び第2シート層20Bの構成材間に弾性フィルム30を介在させることもできる。
【0055】
弾性フィルム30は特に限定されるものではなく、それ自体弾性を有する熱可塑性樹脂フィルムであれば、無孔のものの他、通気のために多数の孔やスリットが形成されたものも用いることができる。特に、幅方向WD(伸縮方向ED、MD方向)における引張強度が8〜25N/35mm、前後方向LD(伸縮方向と直交する方向XD、CD方向)における引張強度が5〜20N/35mm、幅方向WDにおける引張伸度が450〜1050%、及び前後方向LDにおける引張伸度が450〜1400%の弾性フィルム30であると好ましい。弾性フィルム30の厚みは特に限定されないが、20〜40μm程度であるのが好ましい。
【0056】
(伸縮領域)
外装体20における弾性フィルム伸縮構造20Xを有する領域は、幅方向WDに伸縮可能な伸縮領域を有している。伸縮領域80では、弾性フィルム30が幅方向WDに沿って直線的に連続する部分32を有しており、かつ弾性フィルム30の収縮力により幅方向WDに収縮しているとともに、幅方向WDに伸長可能となっている。より具体的には、弾性フィルム30を幅方向WDに伸長した状態で、幅方向WD及びこれと直交する前後方向LD(伸縮方向と直交する方向XD)にそれぞれ間隔を空けて、弾性フィルム30の貫通孔31を介して第1シート層20A及び第2シート層20Bを接合し、多数のシート接合部40を形成することにより、弾性フィルム伸縮構造20Xを形成するとともに、伸縮領域80では弾性フィルム30が幅方向WDに沿って直線的に連続する部分を有するように貫通孔31を配置することによって、このような伸縮性を付与することができる。
【0057】
伸縮領域80は、自然長状態では、
図7(d)及び
図9(d)に示すように、シート接合部40間の第1シート層20A及び第2シート層20Bが互いに離間する方向に膨らんで、前後方向LDに延びる収縮皺25が形成され、
図7(c)及び
図9(c)に示すように、幅方向WDにある程度伸長した装着状態でも、収縮皺25は伸ばされるものの、残るようになっている。また、図示形態のように、第1シート層20A及び第2シート層20Bは、少なくともシート接合部40における第1シート層20A及び第2シート層20B間以外では弾性フィルム30と接合されていないと、装着状態を想定した
図7(c)及び
図9(d)及び第1シート層20A及び第2シート層20Bの展開状態を想定した
図7(a)(b)及び
図9(a)(b)からも分かるように、これらの状態では、弾性フィルム30における貫通孔31と、シート接合部40との間に隙間が形成され、弾性フィルム30の素材が無孔のフィルムやシートであっても、この隙間により通気性が付加される。また、
図7(d)及び
図9(d)に示す自然長状態では、弾性フィルム30の収縮により貫通孔31がすぼまり、貫通孔31とシート接合部40との間に隙間がほとんど形成されない。なお、装着状態及び自然長状態の収縮皺25の状態は、
図8及び
図10にも現れている。
【0058】
伸縮領域80の幅方向WDの弾性限界伸びは200%以上(好ましくは265〜295%)とすることが望ましい。伸縮領域80の弾性限界伸びは、製造時の弾性フィルム30の伸長率によってほぼ決まるがこれを基本として、幅方向WDの収縮を阻害する要因により低下する。このような阻害要因の主なものは、幅方向WDにおいて単位長さ当たりに占めるシート接合部40の長さ40xの割合であり、この割合が大きくなるほど弾性限界伸びが低下する。通常の場合、シート接合部40の長さ40xはシート接合部40の面積率と相関があるため、伸縮領域80の弾性限界伸びはシート接合部40の面積率により調整できる。
【0059】
伸縮領域80の伸長応力は、主に弾性フィルム30が幅方向WDに沿って直線的に連続する部分32の幅32wの総和により調整することができる。弾性フィルム30が幅方向WDに沿って直線的に連続する部分32の幅32wは、当該連続する部分32の両側縁に接する貫通孔31の、前後方向LDの間隔31dに等しく、当該貫通孔31の間隔31dは、前後方向LDにおける貫通孔31の長さ31yと、前後方向LDにおけるシート接合部40の長さ40yとが等しいとき(前述の貫通孔31及びシート接合部40の同時形成手法を採用する場合等)には、当該連続する部分の両側縁に接するシート接合部40の、前後方向LDの間隔40dに等しい。よって、この場合には、前後方向LDにおいて単位長さ当たりに占めるシート接合部40の長さ40yの割合により、伸縮領域80の伸長応力を調整することができ、通常の場合、シート接合部40の長さ40yはシート接合部40の面積率と相関があるため、シート接合部40の長さはシート接合部40の面積率により調整できる。伸縮領域80の伸長応力は、弾性限界の50%まで伸長したときの伸長応力を目安とすることができる。
【0060】
伸縮領域80におけるシート接合部40の面積率及び個々のシート接合部40の面積は適宜定めることができるが、通常の場合、次の範囲内とするのが好ましい。
シート接合部40の面積:0.14〜3.5mm
2(特に0.14〜1.0mm
2)
シート接合部40の面積率:1.8〜19.1%(特に1.8〜10.6%)
【0061】
このように、伸縮領域80の弾性限界伸び及び伸長応力はシート接合部40の面積により調整できるため、
図15に示すように、伸縮領域80内にシート接合部40の面積率が異なる複数の領域を設け、部位に応じてフィット性を変化させることができる。
図15に示す形態では、前身頃Fにおける脚の付け根に沿って斜め方向に延びる領域81、及び脚開口の縁部領域82は、それ以外の領域と比べてシート接合部40の面積率が高く、従って伸長応力が弱く、柔軟に伸縮する領域となっている。また、後身頃Bにおける腸骨対向領域83、及び脚開口の縁部領域82も、それ以外の領域と比べてシート接合部40の面積率が高く、したがって伸長応力が弱く、柔軟に伸縮する領域となっている。
【0062】
(非伸縮領域)
外装体20における弾性フィルム伸縮構造20Xを有する領域には、
図15に示すように、伸縮領域80の少なくとも幅方向一方側に非伸縮領域70を設けることができる。伸縮領域80及び非伸縮領域70の配置は適宜定めることができる。本実施形態のようなパンツタイプ使い捨ておむつの外装体20の場合、吸収体13と重なる部分は伸縮が不要な領域であるため、図示形態のように、吸収体13と重なる部分の一部又は全部(内外固定領域10Bのほぼ全体を含むことが望ましい)を非伸縮領域70とするのは好ましい。もちろん、吸収体13と重なる領域からその幅方向WD又は前後方向LDに位置する吸収体13と重ならない領域にかけて非伸縮領域70を設けることもでき、吸収体13と重ならない領域にのみ非伸縮領域70を設けることもできる。
【0063】
非伸縮領域70は、弾性フィルム30は幅方向WDに連続するものの、貫通孔31の存在により幅方向WDに沿って直線的に連続する部分を有しない領域とされている。したがって、弾性フィルム30を幅方向WDに伸長した状態で、幅方向WD及びこれと直交する前後方向LDにそれぞれ間隔を空けて、弾性フィルム30の貫通孔31を介して第1シート層20A及び第2シート層20Bを接合し、多数のシート接合部40を形成することにより、伸縮領域80及び非伸縮領域70の両者を含む弾性フィルム伸縮構造20X全体を形成するとしても、
図11に示すように、非伸縮領域70では、弾性フィルム30が幅方向WDに沿って直線的に連続しないため、弾性フィルム30の収縮力が第1シート層20A及び第2シート層20Bにほとんど作用せず、伸縮性がほぼ消失し、弾性限界伸びは100%に近くなるのである。そしてこのような非伸縮領域70では、第1シート層20A及び第2シート層20Bが間隔を空けて配列された多数のシート接合部40で接合されており、シート接合部40が連続的とならないため、柔軟性の低下は防止される。換言すれば、弾性フィルム30が幅方向WDに沿って直線的に連続しない部分の有無により伸縮領域80及び非伸縮領域70を形成することができる。また、非伸縮領域70でも弾性フィルム30の連続性が残っており、
図12からも分かるように、弾性フィルム30の独立切断片が残ることもなく、また皺も形成されないため、極めて見栄えが良く、かつ貫通孔31による厚み方向の通気性が確保される。非伸縮領域70は、幅方向WDの弾性限界伸びが120%以下(好ましくは110%以下、より好ましくは100%)であると好ましい。
【0064】
非伸縮領域70における弾性フィルム30における貫通孔31の配列パターンは適宜定めることができるが、
図11に示すように千鳥状配置とし、貫通孔31の前後方向LDの中心間隔31eが貫通孔31の前後方向LDの長さ31yより短いパターンとすると、弾性フィルム30の連続性を維持しつつ幅方向WDの直線連続性をほぼ完全に無くすことができ、見栄えも
図12に示すように好ましいものとなる。この場合、貫通孔31の幅方向WDの中心間隔31fが貫通孔31の幅方向WDの長さ31xより短いとがより好ましい。
【0065】
通常の場合、中でも弾性フィルム30を幅方向WDに4倍に伸長したときの伸長応力が4〜12N/35mmのものである場合、非伸縮領域70を幅方向WDに弾性限界まで伸ばした状態で、貫通孔31の前後方向LDの中心間隔31eが0.4〜2.7mm、かつ貫通孔31の前後方向LDの長さ31yが0.5〜3.0mm、特に0.7〜1.1mmであると好ましい。また、貫通孔31の幅方向WDの中心間隔31fが、貫通孔31の前後方向LDの長さ31yの0.5〜2倍、特に1〜1.2倍であると好ましく、貫通孔31の幅方向WDの長さ31xが、貫通孔31の幅方向WDの中心間隔31fの1.1〜1.8倍、特に1.1〜1.4倍であると好ましい。なお、非伸縮領域70を幅方向WDに弾性限界まで伸ばした状態(換言すれば第1シート層20A及び第2シート層20Bが完全に展開した状態)では、貫通孔31の幅方向WDの中心間隔31fはシート接合部40の幅方向WDの中心間隔40fに等しく、貫通孔31の前後方向LDの中心間隔31eはシート接合部40の前後方向LDの中心間隔40eに等しく、貫通孔31の前後方向LDの長さ31yはシート接合部40の前後方向LDの長さ40yに等しい。
【0066】
非伸縮領域70では、シート接合部40における第1シート層20A及び第2シート層20Bの間以外では、第1シート層20A及び第2シート層20Bと弾性フィルム30とが接合されておらず、かつ自然長の状態でシート接合部40の幅方向両側に弾性フィルム30の貫通孔31の周縁及びシート接合部40が離間されて形成された隙間を有していると、弾性フィルム30の素材が無孔のフィルムやシートであっても、この隙間により常に通気性が付加されるため好ましい。前述の貫通孔31及びシート接合部40の同時形成手法を採用する場合には、シート接合部40の形状等に関係なく、自然にこの状態になる。
【0067】
個々のシート接合部40及び貫通孔31の自然長状態での形状は、特に限定されないが、柔軟性の観点からは面積が小さいことが望ましく、弾性フィルム30の幅方向WDの直線連続性をなくすためには、前後方向LDに長い形状であることが望ましいため、前後方向LDに長い楕円形、長方形(
図11、
図13(d)参照)、ひし形(
図13(b)参照)、凸レンズ形(
図13(a)参照)、凹レンズ形(
図13(c)参照)とすることが好ましい。ただし、ひし形のように角が鋭角であると、弾性フィルム30が破断しやすい。これに対して、凸レンズ形はシート接合部40の溶着が安定するため好ましく、凹レンズ形は面積をより小さくできる点で好ましい。
【0068】
非伸縮領域におけるシート接合部40の面積率及び個々のシート接合部40の面積は適宜定めることができるが、通常の場合、次の範囲内とすると、各シート接合部40の面積が小さくかつシート接合部40の面積率が低いことにより非伸縮領域70が硬くならいためが好ましい。
シート接合部40の面積:0.10〜0.75mm
2(特に0.10〜0.35mm
2)
シート接合部40の面積率:4〜13%(特に5〜10%)
【0069】
このように、非伸縮領域70の弾性限界伸びは、貫通孔31の配列パターンや、個々の貫通孔31の寸法及び中心間隔により変化させることができる。よって、図示しないが、これらを伸縮領域80内の複数個所、又は複数の非伸縮領域70間で異ならしめることもできる。例えば、前身頃Fの非伸縮領域70における弾性限界伸びを後身頃Bの非伸縮領域70における弾性限界伸びよりも大きくするのは一つの好ましい形態である。
【0070】
非伸縮領域70は、伸縮領域と同様に幅方向WDに沿って直線的に連続する部分を有するものの、シート接合部の面積率が伸縮領域よりも高いことにより弾性限界伸びが著しく
低く、具体的には130%以下とされている形態、従来の糸ゴムを用いる伸縮構造のように幅方向WDに一か所又は複数個所で切断する形態等、他の伸縮性を殺す形態を採用することもできる。
【0071】
<明細書中の用語の説明>
明細書中の以下の用語は、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
・「前身頃」「後身頃」は、パンツタイプ使い捨ておむつの前後方向中央を境としてそれぞれ前側及び後側の部分を意味する。また、股間部は、パンツタイプ使い捨ておむつの前後方向中央を含む前後方向範囲を意味し、吸収体が括れ部を有する場合には当該括れ部を有する部分の前後方向範囲を意味する。
・「弾性限界伸び」とは、伸縮方向EDにおける弾性限界(換言すれば第1シート層及び第2シート層が完全に展開した状態)の伸びを意味し、弾性限界時の長さを自然長を100%としたときの百分率で表すものである。
・「面積率」とは単位面積に占める対象部分の割合を意味し、対象領域(例えば伸縮領域80、非伸縮領域70、主伸縮部分、緩衝伸縮部分)における対象部分(例えばシート接合部40、貫通孔31の開口、通気孔)の総和面積を当該対象領域の面積で除して百分率で表すものであり、特に伸縮構造を有する領域における「面積率」とは、伸縮方向EDに弾性限界まで伸ばした状態の面積率を意味するものである。対象部分が間隔を空けて多数設けられる形態では、対象部分が10個以上含まれるような大きさに対象領域を設定して、面積率を求めることが望ましい。
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度20±5℃、相対湿度65%以下)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を相対湿度10〜25%、温度50℃を超えない環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から米坪板(200mm×250mm、±2mm)を使用し、200mm×250mm(±2mm)の寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、20倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
・吸収体の「厚み」は、株式会社尾崎製作所の厚み測定器(ピーコック、ダイヤルシックネスゲージ大型タイプ、型式J−B(測定範囲0〜35mm)又は型式K−4(測定範囲0〜50mm))を用い、試料と厚み測定器を水平にして、測定する。
・上記以外の「厚み」は、自動厚み測定器(KES−G5 ハンディ圧縮計測プログラム)を用い、荷重:
0.098N/cm
2、及び加圧面積:2cm
2の条件下で自動測定する。
・「引張強度」及び「引張伸度(破断伸び)」は、試験片を幅35mm×長さ80mmの長方形状とする以外は、JIS K7127:1999「プラスチック−引張特性の試験方法−」に準じて、初期チャック間隔(標線間距離)を50mmとし、引張速度を300mm/minとして測定される値を意味する。引張試験機としては、例えばSHIMADZU社製のA
UTOGRAPHAGS−G100Nを用いることができる。
・「伸長応力」とは、JIS K7127:1999「プラスチック−引張特性の試験方法−」に準じて、初期チャック間隔(標線間距離)を50mmとし、引張速度を300mm/minとする引張試験により、弾性領域内で伸長するときに測定される引張応力(N/35mm)を意味し、伸長の程度は試験対象により適宜決定することができる。試験片は幅35mm、長さ80mm以上の長方形状とすることが好ましいが、幅35mmの試験片を切り出すことができない場合には、切り出し可能な幅で試験片を作成し、測定値を幅35mmに換算した値とする。また、対象領域が小さく、十分な試験片を採取できない場合であっても、伸長応力の大小を比較するのであれば、適宜小さい試験片でも同寸法の試験片を用いる限り少なくとも比較は可能である。引張試験機としては、例えばSHIMADZU社製のA
UTOGRAPHAGS−G100Nを用いることができる。
・「展開状態」とは、収縮や弛み無く平坦に展開した状態を意味する。
・各部の寸法は、特に記載が無い限り、自然長状態ではなく展開状態における寸法を意味する。
・試験や測定における環境条件についての記載が無い場合、その試験や測定は、標準状態(試験場所は、温度20±5℃、相対湿度65%以下)の試験室又は装置内で行うものとする。
【解決手段】上記課題は、内装体10の幅方向両側に立体ギャザー90がそれぞれ設けられ、この立体ギャザー90の倒伏部分93がギャザー弾性伸縮部材96の収縮力が作用しない倒伏非伸縮部分97を有しており、内装体10における倒伏非伸縮部分97を有する位置に文字表示98が印刷され、この文字表示98がおむつの内側から視認可能とされている、ことを特徴とするパンツタイプ使い捨ておむつにより解決される。