(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、図面において、同一または類似の部分には同一の参照番号を付して、重複する説明を省く場合がある。
【0016】
[取引管理システム100の概要]
図1は、取引管理システム100のシステム構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、取引管理システム100は、給電管理装置120と、取引管理装置140とを備える。本実施形態において、給電管理装置120は、給電側識別情報取得部122と、受電側識別情報取得部124と、給電情報取得部126と、送信部128とを有する。本実施形態において、取引管理装置140は、取引情報取得部142と、取引情報格納部144とを有する。本実施形態によれば、給電管理装置120及び取引管理装置140は、通信ネットワーク10を介して情報を送受することができる。
【0017】
通信ネットワーク10は、有線通信の伝送路であってもよく、無線通信の伝送路であってもよく、無線通信の伝送路及び有線通信の伝送路の組み合わせであってもよい。通信ネットワーク10は、無線パケット通信網、インターネット、P2Pネットワーク、専用回線、VPNなどを含んでもよい。通信ネットワーク10は、携帯電話回線網などの移動体通信網を含んでもよく、無線MAN(例えば、WiMAX(登録商標)である。)、無線LAN(例えば、WiFi(登録商標)である。)、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、NFC(Near Field Communication)などの無線通信網を含んでもよい。
【0018】
本実施形態において、取引管理システム100は、給電側20及び受電側40の間の電力取引を管理する。また、給電側20から受電側40への給電を管理する。本実施形態では、理解を容易にすることを目的として、給電側20の車両22に搭載された電力供給設備から、受電側40の車両42に電力を供給して、車両42の蓄電装置を充電する場合を例として、取引管理システム100について説明する。
【0019】
車両22に搭載された電力供給設備としては、蓄電装置、充電装置、発電装置などを例示することができる。発電装置としては、(i)内燃機関を利用して発電するオルタネータ、(ii)燃料電池、(iii)太陽光発電装置のような自然力発電システムなどを例示することができる。電力供給設備は、車両22に組み込まれた車載型の設備であってもよく、車両22に搭載することができる携帯型の設備であってもよい。
【0020】
車両22は、給電側の機器の一例であってよい。車両22は、第1移動体の一例であってよい。電力供給設備は、給電側の機器の一例であってよい。ユーザ24は、給電側のユーザの一例であってよい。通信端末26は、給電側のユーザの通信端末の一例であってよい。車両42は、受電側の機器の一例であってよい。車両42は、第2移動体の一例であってよい。車両42の蓄電装置は、受電側の機器の一例であってよい。ユーザ44は、受電側のユーザの一例であってよい。通信端末46は、受電側のユーザの通信端末の一例であってよい。
【0021】
本実施形態において、車両22及び車両42は、近距離無線通信又は有線通信により、給電管理装置120との間で情報を送受してよい。車両22及び車両42のそれぞれは、近距離無線通信又は有線通信により、通信端末26及び通信端末46のそれぞれとの間で情報を送受してもよい。近距離無線通信としては、無線MAN(例えば、WiMAX(登録商標)である。)、無線LAN(例えば、WiFi(登録商標)である。)、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、NFC(Near Field Communication)などを例示することができる。
【0022】
車両22及び車両42は、移動体通信機能を有してもよい。この場合、車両22及び車両42は、通信ネットワーク10を介して、取引管理装置140との間で情報を送受してもよい。また、車両22及び車両42は、通信ネットワーク10を介して、互いに情報を送受してもよい。
【0023】
本実施形態において、通信端末26及び通信端末46は、通信ネットワーク10を介して、取引管理装置140との間で情報を送受する。通信端末26及び通信端末46は、通信ネットワーク10を介して、互いに情報を送受してもよい。通信端末26及び通信端末46のそれぞれは、近距離無線通信又は有線通信により、車両22及び車両42のそれぞれとの間で情報を送受してもよい。通信端末26及び通信端末46は、近距離無線通信又は有線通信により、給電管理装置120との間で情報を送受してもよい。
【0024】
通信端末26及び通信端末46としては、パーソナルコンピュータ、携帯端末などを例示することができる。携帯端末としては、携帯電話、スマートフォン、PDA、タブレット、ノートブック・コンピュータ又はラップトップ・コンピュータ、ウエアラブル・コンピュータなどを例示することができる。一実施形態において、通信端末26及び通信端末46のそれぞれは、情報処理装置に、給電側20用のプログラム及び受電側40用のプログラムのそれぞれがインストールされることにより実現される。他の実施形態において、情報処理装置に、給電側20用及び受電側40用の両方の機能を有するプログラムがインストールされることにより、通信端末26及び通信端末46が実現されてもよい。
【0025】
[取引管理システム100の各部の説明]
本実施形態において、給電管理装置120は、給電側20から受電側40への給電を管理する。本実施形態において、給電側識別情報取得部122は、車両22又は通信端末26から、給電側20を識別するための給電側識別情報(給電側IDと称する場合がある。)を取得する。給電側IDとしては、車両22の識別情報、ユーザ24の識別情報、通信端末26の識別情報などを例示することができる。車両22の識別情報は、車両22自体を識別する情報であってもよく、車両22に搭載された装置を識別する情報であってもよい。
【0026】
一実施形態において、給電側識別情報取得部122は、近距離無線通信により、車両22又は通信端末26から給電側IDを取得する。他の実施形態において、給電側識別情報取得部122は、有線通信により、車両22又は通信端末26から給電側IDを取得する。有線通信の方式としては、給電管理装置120に設けられた通信コネクタに、通信端末26を接続する方式、給電管理装置120に接続された通信ケーブルに、車両22又は通信端末26を接続する方式、給電管理装置120に接続された充電ケーブルに、車両22又は通信端末26を接続する電力線通信方式などを例示することができる。
【0027】
本実施形態において、受電側識別情報取得部124は、車両42又は通信端末46から、受電側40を識別するための受電側識別情報(受電側IDと称する場合がある。)を取得する。受電側IDとしては、車両42の識別情報、ユーザ44の識別情報、通信端末46の識別情報などを例示することができる。車両42の識別情報は、車両42自体を識別する情報であってもよく、車両42に搭載された装置を識別する情報であってもよい。受電側識別情報取得部124は、給電側識別情報取得部122が給電側IDを取得する方式と同様の方式により、受電側IDを取得してよい。
【0028】
本実施形態において、給電情報取得部126は、車両22から供給された電力量又は車両42に供給された電力量に関する給電情報を取得する。給電情報は、車両22から供給された電力量に関する情報と、車両42に供給された電力量に関する情報とを含んでもよい。給電情報としては、車両22から供給された電力量そのもの、車両42に供給された電力量そのもの、車両22から車両42に流れた電流の積算値、車両22の蓄電装置のSOCの減少量、車両42の蓄電装置のSOCの増加量、給電開始時刻、給電終了時刻、電力供給時の電流及び電圧の少なくとも一方に関する統計値(例えば、最大値、最小値、中央値、平均値などである。)などを示す情報を例示することができる。給電情報は、電力供給に利用された器具又はその種類を識別するための情報(例えば、充電ケーブルの型式、シリアルナンバーなどである。)、電力供給時の外部環境に関する情報(例えば、気温、湿度などを示す情報である。)などを含んでもよい。
【0029】
本実施形態において、送信部128は、給電管理装置120から、取引管理装置140に対して、各種の情報を送信する。例えば、送信部128は、給電側識別情報取得部122が取得した給電側ID、受電側識別情報取得部124が取得した受電側ID、及び、給電情報取得部126が取得した給電情報を対応付けて、取引管理装置140に送信する。給電ID、受電ID及び給電情報を対応付ける方法は特に限定されない。
【0030】
上記の情報の通信経路及び通信方式は特に限定されるものではないが、一実施形態において、送信部128は、車両22、通信端末26、車両42及び通信端末46の少なくとも1つを介して、通信ネットワーク10を利用して、取引管理装置140に情報を送信する。他の実施形態において、送信部128は、車両22、通信端末26、車両42及び通信端末46のいずれをも介することなく、通信ネットワーク10を利用して、取引管理装置140に情報を送信してよい。
【0031】
本実施形態において、取引管理装置140は、給電側20及び受電側40の間の電力取引を管理する。取引管理装置140は、給電側ID、受電側ID及び給電情報を管理してもよい。本実施形態において取引情報取得部142は、給電側ID、受電側ID及び給電情報が対応付けられた取引情報を取得する。取引情報取得部142は、例えば、給電管理装置120、車両22、通信端末26、車両42、及び、通信端末46の少なくとも1つから、通信ネットワーク10を介して、給電側ID、受電側ID及び給電情報が対応付けられた取引情報を取得する。本実施形態において取引情報格納部144は、取引情報取得部142が取得した取引情報を格納する。
【0032】
一実施形態において、取引情報取得部142は、給電管理装置120、車両22、通信端末26、車両42、及び、通信端末46の少なくとも1つから、給電側ID、受電側ID及び給電情報を含む取引情報を受信する。取引情報は、電力供給が実施された位置を示す情報、及び、電力供給が実施された時刻を示す情報の少なくとも一方を含んでよい。
【0033】
他の実施形態において、取引情報取得部142は、給電管理装置120、車両22、通信端末26、車両42、及び、通信端末46の少なくとも1つから、複数の情報を取得する。取引情報取得部142は、給電管理装置120、車両22、通信端末26、車両42、及び、通信端末46の少なくとも2つから、複数の情報を取得してもよい。複数の情報のそれぞれは、給電側ID、受電側ID及び給電情報の少なくとも1つを含む。複数の情報の少なくとも1つは、電力供給が実施された位置を示す情報、及び、電力供給が実施された時刻を示す情報の少なくとも一方を含んでよい。また、給電側ID、受電側ID及び給電情報は対応付けられており、取引情報取得部142は、受信した情報を適切に処理することで、給電側ID、受電側ID及び給電情報が対応付けられた取引情報を取得することができる。
【0034】
例えば、取引情報取得部142は、車両22又は通信端末26から、電力取引を識別するための取引ID、給電側ID及び給電情報を含む第1情報を受信し、車両42又は通信端末46から、取引ID、受電側IDを含む第2情報を受信する。取引情報取得部142は、取引IDをキーとして、第1情報及び第2情報を統合して取引情報を取得する。上記の実施形態において、第2情報は、取引IDに代えて、又は、取引IDとともに、給電側IDを含んでもよい。第2情報は、給電情報を含んでもよい。第1情報及び第2情報の両方が給電情報を含む場合、第1情報に含まれる給電情報と、第2情報に含まれる給電情報とを比較することができるので、取引の信頼性をより向上させることができる。
【0035】
以上のとおり、本実施形態によれば、給電側20から受電側40への給電を管理する給電管理装置120が、給電側ID、受電側ID及び給電情報を対応付けて、取引管理装置140に送信する。これにより、取引管理装置140は、給電側ID、受電側ID及び給電情報が対応付けられた取引情報を取得することができる。これにより、取引管理システム100は、電力取引の履歴を蓄積することができる。その結果、取引管理システム100は、電力取引の仲介から精算までを一括して管理することができる。これにより、電力取引の利便性が向上し、個人間取引のような小規模な電力取引も容易になる。また、例えば、取引に関するデータの改竄を抑制することができ、電力取引の信頼性を向上させることができる。本実施形態によれば、特に、移動体同士の間での電力取引を促進することができる。
【0036】
本実施形態において、給電側の機器及び受電側の機器が車両である場合について説明した。しかしながら、給電側の機器及び受電側の機器は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、給電側の機器及び受電側の機器の一方が移動体であってよい。移動体は、ユーザの操作により、又は、搭載されたコンピュータによる自動運転(オートクルーズ、クルーズコントロールなどと称される場合がある。)により、移動することができる物であれば、特に限定はされない。
【0037】
移動体としては、自動車、自動二輪車、船舶、飛行体などを例示することができる。自動車としては、エンジン車、電気自動車、燃料電池車、ハイブリッド車、移動可能な作業機械などを例示することができる。作業機械の移動方式は、自動式であってもよく、手動式であってもよい。作業機械としては、芝刈機、草刈機、耕うん機、トラクタ、運搬機、ポンプ、噴霧器、洗浄機、除雪機などを例示することができる。
【0038】
自動二輪車としては、(i)バイク、(ii)三輪バイク、(iii)セグウェイ(登録商標)、動力ユニット付きキックボード(登録商標)、動力ユニット付きスケートボードのような、動力ユニットを有する立ち乗り二輪車などを例示することができる。動力ユニットは、(i)エンジン、原動機などの内燃機関であってもよく、(ii)蓄電装置又は発電装置と、電動機との組み合わせであってもよい。船舶としては、船、ホバークラフト、水上バイク、潜水艦、潜水艇、水中スクータなどを例示することができる。飛行体としては、飛行機、飛行船又は風船、気球、ヘリコプター、ドローンなどを例示することができる。
【0039】
[取引管理システム100の各部の具体的な構成]
取引管理システム100の各部は、ハードウェアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよく、ハードウェア及びソフトウエアにより実現されてもよい。取引管理システム100の各部は、単一のサーバによって実現されてもよく、複数のサーバによって実現されてもよい。取引管理システム100の各部は、ブロックチェーンなどの分散型台帳技術又は分散型ネットワークを利用して、情報を格納してもよい。
【0040】
取引管理システム100に含まれる構成要素の少なくとも一部がソフトウエアにより実現される場合、当該構成要素は、一般的な構成の情報処理装置において、当該構成要素に関する動作を規定したソフトウエア又はプログラムを起動することにより実現されてよい。上記の情報処理装置は、(i)CPU、GPUなどのプロセッサ、ROM、RAM、通信インタフェースなどを有するデータ処理装置と、(ii)キーボード、タッチパネル、カメラ、マイク、各種センサ、GPS受信機などの入力装置と、(iii)表示装置、スピーカ、振動装置などの出力装置と、(iv)メモリ、HDDなどの記憶装置(外部記憶装置を含む。)とを備えてよい。取引管理システム100は、その少なくとも一部が、仮想サーバ上又はクラウドシステム上で実現されてもよい。
【0041】
上記の情報処理装置において、上記のデータ処理装置又は記憶装置は、上記のソフトウエア又はプログラムを記憶してよい。上記のソフトウエア又はプログラムは、プロセッサによって実行されることにより、上記の情報処理装置に、当該ソフトウエア又はプログラムによって規定された動作を実行させる。上記のソフトウエア又はプログラムは、非一時的なコンピュータ可読記録媒体に格納されていてもよい。
【0042】
図2は、電力取引システム200のシステム構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、電力取引システム200は、取引管理サーバ210と、充電ケーブル220とを備える。本実施形態において、充電ケーブル220は、制御ボックス230を有する。充電ケーブル220は、給電側コネクタ242と、受電側コネクタ244と、給電側ケーブル252と、受電側ケーブル254とを有してもよい。取引管理サーバ210は、取引管理装置の一例であってよい。充電ケーブル220は、給電管理装置及び充電用具の一例であってよい。制御ボックス230は、給電管理装置の一例であってよい。
【0043】
本実施形態において、電力取引システム200は、(i)電力取引の仲介処理、(ii)電力取引の履行管理処理、及び、(iii)電力取引の精算処理を実行する。本実施形態において、取引管理サーバ210は、給電側20及び受電側40の間の電力取引を管理する。取引管理サーバ210は、取引管理装置140と同様の構成を有してよい。本実施形態において、充電ケーブル220は、給電側20の車両22と、受電側40の車両42とを電気的に結合する。制御ボックス230は、給電側20から受電側40への給電を管理する。制御ボックス230は、給電管理装置120と同様の構成を有してよい。
【0044】
給電側コネクタ242は、車両22と電気的に結合される。給電側コネクタ242は、例えば、車両22の電源接続端子と電気的に結合するよう構成される。受電側コネクタ244は、車両42と電気的に結合される。受電側コネクタ244は、例えば、車両42の電源接続端子と電気的に結合するよう構成される。給電側コネクタ242及び受電側コネクタ244のそれぞれは、プラグであってもよく、レセプタクルであってもよい。給電側ケーブル252は、給電側コネクタ242と制御ボックス230とを電気的に結合する。給電側ケーブル252は、受電側コネクタ244と制御ボックス230とを電気的に結合する。
【0045】
本願明細書において、「電気的に結合する」とは、接触方式により電気エネルギーが伝送される場合に限定されない。「電気的に結合する」とは、非接触方式により電気エネルギーが伝送される場合、及び、接触方式及び非接触方式の組み合わせにより電気エネルギーが伝送される場合をも含む概念である。また、「電気的に結合する」とは、他の要素を介在させることなく、2つの要素の間で電気エネルギーを伝送する場合に限定されない。「電気的に結合する」とは、他の要素を介して、2つの要素の間で電気エネルギーを伝送する場合をも含む概念である。
【0046】
本実施形態において、制御ボックス230が充電ケーブル220の一部である場合について説明した。しかしながら、制御ボックス230は、本実施形態に限定されない。他の実施形態において、制御ボックス230の少なくとも一部が、充電ケーブルと、車両22又は車両42との間に配されるアダプタの内部に設けられてよい。さらに他の実施形態において、制御ボックス230の少なくとも一部が、車両22及び車両42の少なくとも一方に搭載されてよい。さらに他の実施形態において、車両22及び車両42が、それぞれ、制御ボックス230を有してもよい。
【0047】
本実施形態において、充電用具の一例である充電ケーブル220が、1本の給電側ケーブル252と、1本の受電側ケーブル254とを備える場合について説明した。しかしながら、充電用具は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、充電用具は、給電側ケーブル及び受電側ケーブルの少なくとも一方を備えなくてもよい。さらに他の実施形態において、充電用具は、複数の給電側コネクタ242及び給電側ケーブル252を備えてよい。また、充電用具は、複数の受電側コネクタ244及び受電側ケーブル254を備えてもよい。
【0048】
[電力取引システム200の各部の具体的な構成]
電力取引システム200の各部は、ハードウェアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよく、ハードウェア及びソフトウエアにより実現されてもよい。電力取引システム200の各部は、単一のサーバによって実現されてもよく、複数のサーバによって実現されてもよい。電力取引システム200の各部は、ブロックチェーンなどの分散型台帳技術又は分散型ネットワークを利用して、情報を格納してもよい。
【0049】
電力取引システム200に含まれる構成要素の少なくとも一部がソフトウエアにより実現される場合、当該構成要素は、一般的な構成の情報処理装置において、当該構成要素に関する動作を規定したソフトウエア又はプログラムを起動することにより実現されてよい。上記の情報処理装置は、(i)CPU、GPUなどのプロセッサ、ROM、RAM、通信インタフェースなどを有するデータ処理装置と、(ii)キーボード、タッチパネル、カメラ、マイク、各種センサ、GPS受信機などの入力装置と、(iii)表示装置、スピーカ、振動装置などの出力装置と、(iv)メモリ、HDDなどの記憶装置(外部記憶装置を含む。)とを備えてよい。電力取引システム200は、その少なくとも一部が、仮想サーバ上又はクラウドシステム上で実現されてもよい。
【0050】
上記の情報処理装置において、上記のデータ処理装置又は記憶装置は、上記のソフトウエア又はプログラムを記憶してよい。上記のソフトウエア又はプログラムは、プロセッサによって実行されることにより、上記の情報処理装置に、当該ソフトウエア又はプログラムによって規定された動作を実行させる。上記のソフトウエア又はプログラムは、非一時的なコンピュータ可読記録媒体に格納されていてもよい。
【0051】
図3は、制御ボックス230の内部構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、制御ボックス230は、筐体310と、電力変換部320と、電流センサ330と、制御部340とを備える。本実施形態において、制御部340は、通信制御部342と、給電制御部344と、取引制御部346とを有する。
【0052】
電力変換部320は、切替部の一例であってよい。電流センサ330は、測定部及び給電情報取得部の一例であってよい。通信制御部342は、給電側識別情報取得部、受電側識別情報取得部、給電情報取得部、約定情報取得部、送信部、通信監視部及び調整部の一例であってよい。給電制御部344は、制限部の一例であってよい。取引制御部346は、給電情報生成部、暗号化部及び取引主体認証部の一例であってよい。
【0053】
本実施形態において、筐体310は、電力変換部320、電流センサ330及び制御部340を収容する。本実施形態において、給電側コネクタ242及び受電側コネクタ244は、筐体310の外部に配される。筐体310は、給電側ケーブル252及び受電側ケーブル254を収容してもよい。例えば、筐体310は、給電側ケーブル252及び受電側ケーブル254を巻き取る機構(図示していない。)を有してもよい。
【0054】
本実施形態において、電力変換部320は、給電側20から入力された電力を変換して、受電側40に出力する。電力の変換方式としては、DC−DC変換、AC−DC変換、及び、DC−AC変換を例示することができる。電力変換部320は、給電の開始及び停止を制御してもよい。
【0055】
本実施形態において、電流センサ330は、車両22から供給された電力量又は車両42に供給された電力量に関する給電情報を取得する。例えば、電流センサ330は、車両22から供給された電力量又は車両42に供給された電力量に関連する物理量を測定する。より具体的には、本実施形態において、電流センサ330は、充電ケーブル220を流れる電流の値を測定する。電流センサ330は、電流センサ330により取得された情報を、制御部340に送信する。
【0056】
本実施形態において、制御部340は、制御ボックス230の動作を制御する。本実施形態において、通信制御部342は、制御ボックス230と他の機器との通信を制御する。他の機器としては、車両22、通信端末26、車両42、通信端末46、取引管理サーバ210などを例示することができる。本実施形態において、給電制御部344は、電力変換部320の動作を制御する。これにより、車両22から車両42への給電を制御することができる。本実施形態において、取引制御部346は、給電側20及び受電側40の間の電力取引に関する情報処理を制御する。
【0057】
図4は、電力変換部320の内部構成の一例を概略的に示す本実施形態において、電力変換部320は、入力切替回路420と、電圧変換回路430と、出力切替回路440とを備える。入力切替回路420及び出力切替回路440の少なくとも一方は、切替部の一例であってよい。
【0058】
本実施形態において、入力切替回路420は、給電側20から入力された電力を、電圧変換回路430の適切な端子に出力する。一実施形態において、入力切替回路420は、給電制御部344からの指示に従って、給電側コネクタ242の1以上の端子のそれぞれと、電圧変換回路430の1以上の端子のそれぞれとを電気的に結合させる。他の実施形態において、入力切替回路420は、給電側コネクタ242の端子と、電圧変換回路430の端子とが電気的に結合しないように動作する。入力切替回路420は、給電側コネクタ242の端子と、電圧変換回路430の端子との電気的な結合を切断するように動作してもよい。これにより、給電側20から受電側40への給電を停止させることができる。
【0059】
本実施形態において、電圧変換回路430は、入力切替回路420から入力された電力を変換して、出力切替回路440に出力する。電力の変換方式としては、DC−DC変換、AC−DC変換、及び、DC−AC変換を例示することができる。電圧変換回路430は、DC−DCコンバータ、AC−DCコンバータ、及び、DC−ACインバータの少なくとも1つを有してよい。電圧変換回路430は、給電制御部344からの指示に従って、出力電力の種類、出力電圧、出力電流の少なくとも1つを調整してよい。出力電力の種類としては、直流、交流、位相、周波数などを例示することができる。
【0060】
本実施形態において、出力切替回路440は、電圧変換回路430から入力された電力を、受電側40に出力する。一実施形態において、出力切替回路440は、給電制御部344からの指示に従って、電圧変換回路430の1以上の端子のそれぞれと、受電側コネクタ244の1以上の端子のそれぞれとを電気的に結合させる。他の実施形態において、出力切替回路440は、受電側コネクタ244の端子と、電圧変換回路430の端子とが電気的に結合しないように動作する。これにより、給電側20から受電側40への給電を停止させることができる。
【0061】
図5は、電力変換部520の内部構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、電力変換部520は、給電側コネクタ242の代わりに、1以上のAC入力コネクタ512と、1以上のDC入力コネクタ514とを備える点で、電力変換部320と相違する。また、電力変換部520は、受電側コネクタ244の代わりに、1以上のAC出力コネクタ552と、1以上のDC出力コネクタ554とを備える点で、電力変換部320と相違する。AC入力コネクタ512、DC入力コネクタ514、AC出力コネクタ552及びDC出力コネクタ554のそれぞれは、プラグであってもよく、レセプタクルであってもよい。
【0062】
本実施形態において、AC入力コネクタ512又はDC入力コネクタ514には、他の充電ケーブル502の一端が電気的に結合される。充電ケーブル502の他端は、車両22と電気的に結合される。これにより、AC入力コネクタ512又はDC入力コネクタ514は、充電ケーブル502を介して、車両22と電気的に結合される。本実施形態において、AC出力コネクタ552又はDC出力コネクタ554には、他の充電ケーブル504の一端が電気的に結合される。充電ケーブル504の他端は、車両42と電気的に結合される。これにより、AC出力コネクタ552又はDC出力コネクタ554は、充電ケーブル504を介して、車両42と電気的に結合される。
【0063】
AC入力コネクタ512は、給電側コネクタ及びAC入力部の一例であってよい。DC入力コネクタ514は、給電側コネクタ及びDC入力部の一例であってよい。AC出力コネクタ552は、受電側コネクタ及びAC出力部の一例であってよい。DC出力コネクタ554は、受電側コネクタ及びDC出力部の一例であってよい。充電ケーブル502は、第1充電ケーブルの一例であってよい。充電ケーブル504は、第2充電ケーブルの一例であってよい。
【0064】
本実施形態によれば、電圧変換回路430は、DC−DCコンバータ、AC−DCコンバータ、及び、DC−ACインバータを有する。入力切替回路420及び出力切替回路440の少なくとも一方は、(i)AC入力コネクタ512及びDC入力コネクタ514と、(ii)AC出力コネクタ552及びDC出力コネクタ554との接続関係を切り替えて、(i)AC入力コネクタ512及びDC入力コネクタ514の一方と、(ii)AC出力コネクタ552及びDC出力コネクタ554の一方とを電気的に結合する。
【0065】
例えば、入力切替回路420は、給電制御部344からの指示に従って、AC入力コネクタ512の1以上の端子のそれぞれ又はDC入力コネクタ514の1以上の端子のそれぞれと、電圧変換回路430の1以上の端子のそれぞれとを電気的に結合させる。また、出力切替回路440は、例えば、給電制御部344からの指示に従って、電圧変換回路430の1以上の端子のそれぞれと、AC出力コネクタ552の1以上の端子のそれぞれ又はDC出力コネクタ554の1以上の端子のそれぞれとを電気的に結合させる。
【0066】
これにより、入力方式及び出力方式の様々な組み合わせに対応することができる。その結果、給電側20の電力供給設備(例えば、各家庭のコンセント、発電装置、通常の充電装置、高速充電装置などである。)の種類を問わず、電力取引が可能となる。また、複数の車両22から1台の車両42に電力を供給したり、1台の車両22から複数の車両42に電力を供給したりすることができる。
【0067】
図6は、通信制御部342の内部構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、通信制御部342は、近距離無線通信制御部612と、有線通信制御部614と、移動体通信制御部616と、通信状況監視部620とを備える。近距離無線通信制御部612は、給電側識別情報取得部又は受電側識別情報取得部の一例であってよい。有線通信制御部614は、給電側識別情報取得部又は受電側識別情報取得部の一例であってよい。移動体通信制御部616は、送信部の一例であってよい。通信状況監視部620は、通信監視部及び調整部の一例であってよい。
【0068】
本実施形態において、近距離無線通信制御部612は、近距離無線通信を制御する。また、有線通信制御部614は、有線通信を制御する。一実施形態において、近距離無線通信制御部612及び有線通信制御部614の少なくとも一方は、車両22又は通信端末26から、給電側IDを取得する。また、近距離無線通信制御部612及び有線通信制御部614の少なくとも一方は、車両42又は通信端末46から、受電側IDを取得する。
【0069】
他の実施形態において、近距離無線通信制御部612及び有線通信制御部614の少なくとも一方は、車両22又は通信端末26から、取引相手の認証に利用する情報を取得する。取引相手の認証に利用する情報は、後述する約定情報であってもよい。
【0070】
移動体通信制御部616は、移動体通信を制御する。例えば、移動体通信制御部616は、取引管理サーバ210に対して、近距離無線通信制御部612又は有線通信制御部614が取得した給電側ID及び受電側IDと、取引制御部346が取得した給電情報とを対応付けて送信する。上記の情報は暗号化されていてもよい。一実施形態において、移動体通信制御部616は、給電側ID、受電側ID及び給電情報を含む情報を、取引管理サーバ210に送信する。他の実施形態において、移動体通信制御部616は、給電側ID、受電側ID及び給電情報の少なくとも2つが対応付けられた情報と、残りの情報とを対応付けて、取引管理サーバ210に送信する。
【0071】
例えば、移動体通信制御部616は、給電側ID及び給電情報が対応付けられた第1情報と、受電側ID及び給電情報が対応付けられた第2情報とを対応付けて、取引管理サーバ210に送信する。なお、第1情報は、第1取引情報の一例であってよい。第2情報は、第2取引情報の一例であってよい。より具体的には、移動体通信制御部616は、例えば、車両22及び通信端末26の少なくとも1つと、通信ネットワーク10とを介して、第1情報を取引管理サーバ210に送信する。移動体通信制御部616は、例えば、車両42又は通信端末46を経由して、通信ネットワーク10を介して、第2情報を取引管理サーバ210に送信する。
【0072】
他の実施形態において、移動体通信制御部616は、取引管理サーバ210に対して、(i)近距離無線通信制御部612又は有線通信制御部614が取得した給電側ID及び受電側IDと、(ii)取引制御部346が取得した給電情報と、(iii)電流センサ330の識別情報及び制御ボックス230の識別情報の少なくとも1つと、(iv)取引制御部346に格納された認証情報とを対応付けて送信する。
【0073】
さらに他の実施形態において、移動体通信制御部616は、取引管理サーバ210から送信された情報を受信する。例えば、取引管理サーバ210は、給電側20及び受電側40の電力取引を仲介して、給電側ID及び受電側IDの少なくとも一方を含む約定情報を生成する。また、取引管理サーバ210は、約定情報を、(i)車両22又は通信端末26、及び、(ii)車両42又は通信端末46の少なくとも一方に送信する。約定情報は暗号化されていてもよい。
【0074】
本実施形態において、通信状況監視部620は、制御ボックス230と、(i)車両22又は通信端末26及び(ii)車両42又は通信端末46との間の通信状況を監視する。制御ボックス230は、通信の異常を検出した場合、通信に異常が生じたことを示す情報を、給電制御部344に送信する。通信の異常としては、制御ボックス230と、(i)車両22又は通信端末26及び(ii)車両42又は通信端末46の少なくとも一方との間の接続が切断された場合などを例示することができる。
【0075】
本実施形態において、通信状況監視部620は、通信状況を監視する時間間隔を調整してよい。一実施形態によれば、通信状況監視部620は、充電が終了する予定時刻に関する情報を取得する。例えば、通信状況監視部620は、取引管理サーバ210から、充電が終了する予定時刻に関する情報を取得する。通信状況監視部620は、給電制御部344から、充電が終了する予定時刻に関する情報を取得してもよい。通信状況監視部620は、車両42の蓄電装置の経時変化に基づいて、充電が終了する予定時刻を推定してもよい。そして、通信状況監視部620は、第1の時間帯と、第1の時間帯よりも充電が終了する予定時刻に近い第2の時間帯とで、通信状況を監視する時間間隔が異なるように、時間間隔を調整してよい。第1の時間帯における時間間隔は、第2の時間帯における時間間隔はより長くてもよい。これにより、監視効率を向上させることができる。また、消費電力を抑制することができる。
【0076】
図7は、給電制御部344の内部構成の一例を概略的に示す本実施形態において、給電制御部344は、電圧制御部712と、電流制御部714と、給電制限部716とを備える。給電制限部716は、制限部の一例であってよい。
【0077】
本実施形態において、電圧制御部712は、出力電圧を制御する。電圧制御部712は、電圧変換回路430の設定値を調整することにより、出力電圧を制御してよい。電圧制御部712は、取引制御部346の指示に基づいて、出力電圧を制御してよい。本実施形態において、電流制御部714は、出力電流を制御する。電流制御部714は、電圧変換回路430の設定値を調整することにより、出力電流を制御してよい。電流制御部714は、取引制御部346の指示に基づいて、出力電流を制御してよい。
【0078】
本実施形態において、給電制限部716は、給電側20から受電側40への給電を制限する。一実施形態において、給電制限部716は、通信状況監視部620が、上述の通信状況に異常を検出した場合に、給電側20から受電側40への給電を制限する。他の実施形態において、給電制限部716は、取引制御部346又は取引管理サーバ210の指示に基づいて、給電を制限する。例えば、給電制限部716は、取引管理サーバ210又は取引制御部346における各種の認証処理の結果に基づいて、給電を制限する。認証処理としては、給電側20及び受電側40の少なくとも一方に関する認証処理、充電ケーブル220、制御ボックス230又は電流センサ330に関する認証処理などを例示することができる。
【0079】
給電の制限方法としては、給電の停止、給電速度の低下などを例示することができる。一実施形態において、給電制限部716は、電力変換部320の入力切替回路420及び出力切替回路440の少なくとも一方を制御して、給電側コネクタ242及び受電側コネクタ244の電気的な結合を切断することにより、給電を制限する。他の実施形態において、給電制限部716は、電圧変換回路430の設定値を調整することにより、給電速度を低下させてもよい。
【0080】
図8は、取引制御部346の内部構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、取引制御部346は、給電量算出部812と、取引情報生成部814と、暗号化部816と、約定情報取得部822と、復号化部824と、認証部826と、情報格納部830とを備える。本実施形態において、情報格納部830は、認証情報格納部832と、暗号情報格納部834とを有する。給電量算出部812は、給電情報生成部の一例であってよい。取引情報生成部814は、給電情報取得部の一例であってよい。認証部826は、取引主体認証部の一例であってよい。
【0081】
本実施形態において、給電量算出部812は、電流センサ330が測定した電流値に基づいて、給電情報を生成する。より具体的には、給電量算出部812は、電流センサ330から、電流値の測定データを受信する。給電量算出部812は、電流センサ330が測定した電流値を積算して、車両22から供給された電力量、又は、車両42に供給された電力量を算出する。
【0082】
本実施形態において、取引情報生成部814は、給電側ID、受電側ID及び給電情報を対応付ける。例えば、取引情報生成部814は、通信制御部342が取得した給電ID及び受電IDを取得する。また、取引情報生成部814は、給電量算出部812が算出した給電情報を取得する。取引情報生成部814は、給電側ID、受電側ID及び給電情報を含む取引情報を生成する。
【0083】
本実施形態において、暗号化部816は、各種の情報を暗号化する。暗号化部816は、各種の情報に署名データを付加したものを暗号化してもよい。暗号化部816は、通信制御部342を介して、暗号化された情報を取引管理サーバ210に送信してよい。一実施形態において、暗号化部816は、給電側ID、受電側ID及び給電情報の少なくとも1つを暗号化する。例えば、暗号化部816は、取引情報生成部814が生成した取引情報を暗号化する。暗号化方式は特に限定されるものではないが、暗号化部816は、暗号情報格納部834に格納された第2暗合化鍵を利用して、取引情報を暗号化してよい。第2暗合化鍵は、取引管理サーバ210に格納されている第2復号鍵に対応する。
【0084】
他の実施形態において、暗号化部816は、取引管理サーバ210における、充電ケーブル220、制御ボックス230又は電流センサ330の認証に利用される認証情報を暗号化してよい。認証情報は、(i)充電ケーブル220又は電流センサ330の特性を示す特性情報、及び、(ii)充電ケーブル220、制御ボックス230又は電流センサ330の認証に利用されるパスフレーズの少なくとも1つを含む。充電ケーブル220又は電流センサ330の特性としては、充電ケーブル220又は電流センサ330の電気抵抗値、精度などを例示することができる。
【0085】
暗号化方式は特に限定されるものではないが、暗号化部816は、暗号情報格納部834に格納された第1暗号鍵を利用して、認証情報を暗号化してよい。第1暗号鍵は、取引管理サーバ210に格納されている第1復号鍵に対応する。暗号化部816は、(a)充電ケーブルの識別情報、制御ボックス230の識別情報及び電流センサ330の識別情報の少なくとも1つと、(b)認証情報とが対応付けられた情報を暗号化してもよい。上記の識別情報に応じた適切な情報が認証情報として選択される。なお、暗号化部816は、取引情報及び認証情報が対応付けられた情報を暗号化してもよい。
【0086】
本実施形態において、約定情報取得部822は、取引管理サーバ210が生成した約定情報を取得する。約定情報は、成立した電力取引の内容に関する情報を含む。約定情報には、例えば、取引ID、給電側ID、受電側ID、充電量を示す情報、充電が終了する予定時刻を示す情報、電力の単価を示す情報、及び、取引主体を認証するためのパスフレーズの少なくとも1つが含まれる。約定情報は、給電側ID及び受電側IDを含んでよい。約定情報取得部822は、例えば、通信制御部342が受信した約定情報を取得する。
【0087】
本実施形態において、復号化部824は、暗号化された情報を復号化する。例えば、約定情報取得部822が取得した約定情報が暗号化されている場合、復号化部824は、当該約定情報を復号化する。約定情報は、暗号情報格納部834に格納された第3復号鍵に対応する第3暗号化鍵を利用して暗号化されていてもよい。これにより、復号化部824は、第3復号鍵を利用して、当該約定情報を復号化することができる。
【0088】
本実施形態において、認証部826は、給電側20及び受電側40の少なくとも一方を認証して、電力取引の当事者の正当性を確認する。例えば、認証部826は、約定情報に含まれる給電側ID及び受電側IDの少なくとも一方、並びに、通信制御部342が取得した給電側ID及び受電側IDの少なくとも一方に基づいて、給電側及び受電側の少なくとも一方を認証する。
【0089】
例えば、認証部826は、約定情報に含まれる給電側IDと、通信制御部342が給電側20から取得した給電側IDとが一致し、約定情報に含まれる受電側IDと、通信制御部342が受電側40から取得した受電側IDとが一致した場合に、給電側20及び受電側40を認証する。認証部826は、充電ケーブル220の所有者に関する認証を省略してもよい。例えば、給電側20のユーザ24が充電ケーブル220を所有している場合、認証部826は、約定情報に含まれる受電側IDと、通信制御部342が受電側40から取得した受電側IDとが一致した場合に、受電側40を認証する。
【0090】
認証部826は、取引管理サーバ210における、充電ケーブル220、制御ボックス230又は電流センサ330の認証処理の結果を示す情報を取得してもよい。例えば、認証部826は、通信制御部342を介して、取引管理サーバ210から、上記の認証処理の結果を示す情報を取得する。
【0091】
認証部826は、認証結果が予め定められた条件を満足する場合、(i)電力供給に関する制限を解除するための命令、又は、(ii)電力供給を許可することを示す命令を、給電制限部716に送信する。予め定められた条件としては、給電側及び受電側の少なくとも一方の認証に成功したという条件、充電ケーブル220、制御ボックス230又は電流センサ330の認証に成功したという条件、給電側及び受電側の少なくとも一方の認証と、充電ケーブル220、制御ボックス230又は電流センサ330の認証との両方に成功したという条件などを例示することができる。これにより、電力取引の信頼性をさらに向上させることができる。
【0092】
認証部826は、取引管理サーバ210から、電力取引の異常が検出されたことを示す信号を受信してよい。認証部826は、上記の信号を受信した場合、電力供給を制限するための命令を、給電制限部716に送信してよい。これにより、電力取引の信頼性をさらに向上させることができる。
【0093】
情報格納部830は、各種の情報を格納する。認証情報格納部832は、電流センサ330の特性を示す特性情報、及び、制御ボックス230又は電流センサ330の認証に利用されるパスフレーズの少なくとも1つを含む認証情報を格納する。暗号情報格納部834は、暗号化部816で利用される暗号化鍵を格納する。復号化部824で利用される復号鍵を格納する。
【0094】
図9は、充電アダプタ920の内部構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、充電アダプタ920は、筐体310の外部に配された給電側ケーブル252及び受電側ケーブル254の先端に設けられた給電側コネクタ242及び受電側コネクタ244の代わりに、筐体310に組み込まれた給電側コネクタ942及び受電側コネクタ944を有する点で、充電ケーブル220と相違する。その他の点は、充電ケーブル220と同様の構成を有してよい。本実施形態において、給電側コネクタ942は、(i)住宅90のコンセントに接続された充電ケーブル912、又は、(ii)他の充電ケーブル902と電気的に結合される。受電側コネクタ944は、他の充電ケーブル904と電気的に結合される。
【0095】
図10は、充電アダプタ1020の内部構成の一例を概略的に示す。筐体310の外部に配された給電側ケーブル252の先端に設けられた給電側コネクタ242の代わりに、筐体310に組み込まれた給電側コネクタ942を有する点で、充電ケーブル220と相違する。その他の点は、充電ケーブル220と同様の構成を有してよい。筐体310の外部に配された受電側ケーブル254の先端に設けられた受電側コネクタ244の代わりに、筐体310に組み込まれた受電側コネクタ944を有する点で、充電ケーブル220と相違する。その他の点は、充電ケーブル220と同様の構成を有してよい。
【0096】
図11は、取引管理サーバ210のシステム構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、取引管理サーバ210は、通信制御部1110と、マッチング部1120と、暗号化部1122と、復号化部1130と、情報格納部1132と、認証部1134と、異常検出部1136と、精算部1140とを備える。
【0097】
本実施形態において、通信制御部1110は、取引管理サーバ210と他の機器との間の通信を制御する。他の機器としては、制御ボックス230、車両22、通信端末26、車両42、及び、通信端末46の少なくとも1つを例示することができる。通信制御部1110は、例えば、他の機器から取得した情報を、取引管理サーバ210の他の適切な要素に転送する。本実施形態において、通信制御部1110は、他の機器から取得した情報を、マッチング部1120又は復号化部1130に転送する。通信制御部1110は、例えば、取引管理サーバ210の他の要素から取得した情報を、他の機器に転送する。
【0098】
本実施形態において、通信制御部1110は、制御ボックス230、車両22、通信端末26、車両42、及び、通信端末46の少なくとも1つから、通信ネットワーク10を介して、給電側ID、受電側ID及び給電情報が対応付けられた取引情報を取得する。一実施形態によれば、通信制御部1110は、給電側ID、受電側ID及び給電情報が含まれた取引情報を受信する。他の実施形態によれば、通信制御部1110は、給電管理装置120、車両22、通信端末26、車両42、及び、通信端末46の少なくとも1つから、複数の情報を取得する。通信制御部1110は、給電管理装置120、車両22、通信端末26、車両42、及び、通信端末46の少なくとも2つから、複数の情報を取得してもよい。複数の情報のそれぞれは、給電側ID、受電側ID及び給電情報の少なくとも1つを含む。
【0099】
例えば、通信制御部1110は、車両22又は通信端末26から、通信ネットワーク10を介して、給電側ID及び給電情報が対応付けられた第1情報を取得する。第1情報の給電情報は、車両22に搭載された機器により測定された物理量に基づいて算出された電力量を示してもよく、充電ケーブル220に搭載された機器により測定された物理量に基づいて算出された電力量を示してもよい。また、通信制御部1110は、車両42又は通信端末46から、通信ネットワーク10を介して、受電側ID及び給電情報が対応付けられた第2情報を取得する。第2情報の給電情報は、車両42に搭載された機器により測定された物理量に基づいて算出された電力量を示してもよく、充電ケーブル220に搭載された機器により測定された物理量に基づいて算出された電力量を示してもよい。
【0100】
本実施形態において、通信制御部1110は、制御ボックス230、車両22、通信端末26、車両42、及び、通信端末46の少なくとも1つから、通信ネットワーク10を介して、(a)電流センサ330の識別情報、及び、制御ボックス230の識別情報の少なくとも1つと、(b)認証情報とが対応付けられた情報を取得してもよい。上記の認証情報は、(i)充電ケーブル220又は電流センサ330の特性を示す特性情報、及び、(ii)充電ケーブル220、制御ボックス230又は電流センサ330の認証に利用されるパスフレーズの少なくとも1つを含んでよい。
【0101】
本実施形態において、マッチング部1120は、給電側20及び受電側40の電力取引を仲介する。マッチング部1120は、仲介した電力取引が成立した場合に、給電側ID及び受電側IDの少なくとも一方を含む約定情報を生成する。約定情報は、給電側ID、受電側ID、充電量を示す情報充電が終了する予定時刻を示す情報、電力の単価を示す情報、及び、取引主体を認証するためのパスフレーズの少なくとも1つを含んでよい。
【0102】
約定情報は、例えば、制御ボックス230に送信され、取引当事者の認証に利用される。約定情報は、通信ネットワーク10を介して、制御ボックス230に直接送信されてもよく、(i)車両22又は通信端末26、及び、(ii)車両42又は通信端末46の少なくとも一方を介して、制御ボックス230に送信されてもよい。
【0103】
本実施形態において、暗号化部1122は、各種の情報を暗号化する。例えば、暗号化部1122は、マッチング部1120が生成した約定情報を暗号化する。暗号化方式は特に限定されるものではないが、暗号化部1122は、制御ボックス230に格納された第3復号鍵に対応する第3暗号化鍵を利用して、約定情報を暗号化してよい。暗号化部1122は、約定情報に署名データを付加したものを暗号化してもよい。暗号化部1122は、暗号化された約定情報を、例えば、制御ボックス230、車両22、通信端末26、車両42、及び、通信端末46の少なくとも1つに送信する。
【0104】
本実施形態において、復号化部1130は、暗号化された情報を復号化する。一実施形態において、認証情報が、情報格納部1132に格納された第1復号鍵に対応する第1暗号化鍵で暗合化されている場合、復号化部1130は、第1復号鍵を利用して、暗号化された認証情報を復号化する。他の実施形態において、取引情報が、情報格納部1132に格納された第2復号鍵に対応する第2暗号化鍵で暗合化されている場合、復号化部1130は、第2復号鍵を利用して、暗号化された取引情報を復号化する。
【0105】
復号化部1130は、通信制御部1110から受信した情報又はその復号化データを、適切な他の要素に転送する。例えば、復号化部1130は、制御ボックス230が生成した取引情報を、情報格納部1132及び異常検出部1136に転送する。復号化部1130は、制御ボックス230が生成した認証情報を、認証部1134に転送する。
【0106】
本実施形態において、情報格納部1132は、各種の情報を格納する。情報格納部1132は、例えば、通信制御部1110が取得した取引情報を格納する。情報格納部1132は、認証部1134における認証処理に利用される認証情報を格納してもよい。情報格納部1132は、例えば、充電ケーブル220、制御ボックス230又は電流センサ330の識別情報と、(i)充電ケーブル220又は電流センサ330の特性を示す特性情報及び(ii)充電ケーブル220、制御ボックス230又は電流センサ330の認証に利用されるパスフレーズの少なくとも1つとを対応付けて格納する。
【0107】
認証部1134は、各種の認証処理を実行する。例えば、認証部1134は、通信制御部1110が取得した認証情報と、情報格納部1132に予め格納されていた認証情報とを照合して、両者が一致した場合に、充電ケーブル220、制御ボックス230又は電流センサ330を認証する。認証部1134は、認証結果を、制御ボックス230に送信してよい。認証結果は、通信ネットワーク10を介して、制御ボックス230に直接送信されてもよく、(i)車両22又は通信端末26、及び、(ii)車両42又は通信端末46の少なくとも一方を介して、制御ボックス230に送信されてもよい。
【0108】
本実施形態において、異常検出部1136は、電力取引の異常を検出する。例えば、異常検出部1136は、通信制御部1110が取得した第1情報により示される電力量と、通信制御部1110が取得した第2情報により示される電力量とを比較する。異常検出部1136は、第1情報により示される電力量と、第2情報により示される電力量との差が予め定められた値よりも大きい場合に、電力取引に異常が生じていると判定する。
【0109】
異常検出部1136は、電力取引の異常を検出した場合、制御ボックス230に送信してよい。上記の情報は、通信ネットワーク10を介して、制御ボックス230に直接送信されてもよく、(i)車両22又は通信端末26、及び、(ii)車両42又は通信端末46の少なくとも一方を介して、制御ボックス230に送信されてもよい。
【0110】
異常検出部1136は、電力取引の異常の有無にかかわらず、第1情報により示される電力量及び第2情報により示される電力量の少なくとも一方を、車両22又は通信端末26、及び、車両42又は通信端末46の少なくとも一方に送信してよい。これにより、例えば、ユーザ24は、通信端末26を利用して、第1情報により示される電力量と、第2情報により示される電力量とを確認することにより、取引を監視することができる。ユーザ24は、車両22の計器に表示されたバッテリ残量と、通信端末26の表示装置に表示された取引電力量とを確認することにより、取引を監視することもできる。
【0111】
精算部1140は、電力取引の料金を精算する。例えば、精算部1140は、給電側20から受電側40に給電された電力量に、約定情報に含まれる電力単価を乗算することにより、料金を算出する。精算部1140は、料金及び内訳に関する情報を、通信端末26及び通信端末46に送信してよい。精算部1140は、ユーザ24及びユーザ44に料金の確認を促す画面を表示させてもよい。精算部1140は、通信端末26及び通信端末46から、各ユーザが料金を確認したことを示す情報を受信してよい。精算部1140は、決済機能を有してもよい。決済の方法は、特に限定されない。
【0112】
図12は、情報格納部1132の内部構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、情報格納部1132は、取引情報格納部1210と、約定情報格納部1212と、暗号情報格納部1214と、認証情報格納部1216と、ユーザ情報格納部1218と、精算情報格納部1220とを備える。
【0113】
取引情報格納部1210は、通信制御部1110が取得した取引情報を格納する。約定情報格納部1212は、マッチング部1120が生成した約定情報を格納する。暗号情報格納部1214は、暗号化部1122における暗号化処理に利用される暗号化鍵を格納する。暗号情報格納部1214は、復号化部1130における復号化処理に利用される復号鍵を格納する。例えば、暗号情報格納部1214は、上述の第1復号鍵及び第2復号鍵を格納する。認証情報格納部1216は、予め、(a)制御ボックス230の識別情報及び電流センサ330の識別情報の少なくとも1つと、(b)認証情報とを対応付けて格納する。ユーザ情報格納部1218は、各ユーザに関する情報を格納する。精算情報格納部1220は、取引された電力の料金を示す情報を格納する。
【0114】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、技術的に矛盾しない範囲において、特定の実施形態について説明した事項を、他の実施形態に適用することができる。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0115】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【解決手段】 給電管理装置は、給電側の機器又は給電側のユーザの通信端末から、給電側を識別するための給電側識別情報を取得する給電側識別情報取得部と、受電側の機器又は受電側のユーザの通信端末から、受電側を識別するための受電側識別情報を取得する受電側識別情報取得部と、給電側の機器から供給された電力量又は受電側の機器に供給された電力量に関する給電情報を取得する給電情報取得部と、取引管理装置に対して、給電側識別情報、受電側識別情報及び給電情報を対応付けて送信する送信部とを有する。取引管理装置は、通信ネットワークを介して、送信部から取引情報を取得する取引情報取得部と、取引情報を格納する取引情報格納部とを有する。