特許第6234533号(P6234533)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6234533
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】クレンジングオイル
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/37 20060101AFI20171113BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20171113BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20171113BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20171113BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20171113BHJP
   A61Q 1/14 20060101ALI20171113BHJP
   C11D 1/68 20060101ALI20171113BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20171113BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20171113BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   A61K8/37
   A61Q19/10
   A61K8/86
   A61K8/34
   A61K8/60
   A61Q1/14
   C11D1/68
   C11D3/20
   C11D3/37
   C11D17/08
【請求項の数】2
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-210393(P2016-210393)
(22)【出願日】2016年10月27日
【審査請求日】2017年5月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593106918
【氏名又は名称】株式会社ファンケル
(74)【代理人】
【識別番号】100122954
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 善太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 理弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202430
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 千香子
(72)【発明者】
【氏名】三譯 秀樹
【審査官】 駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−126664(JP,A)
【文献】 特開2009−242253(JP,A)
【文献】 特開2010−270105(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/100887(WO,A1)
【文献】 特開2003−335656(JP,A)
【文献】 特開2014−122197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
JSTPlus、JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記のA〜D成分を含有するクレンジングオイル。
A成分:炭素数14以上22以下の分岐脂肪酸とポリグリセリンとのジエステル
B成分:炭素数6以上10以下の脂肪酸とポリグリセリンとのエステルであって、ポリグリセリンの重合度と脂肪酸の結合数の比(=ポリグリセリンの重合度/脂肪酸の結合数)が2.0以上4.0以下のものであって、オクタイソノナン酸エイコサグリセリル、ヘキサカプリル酸エイコサグリセリル、ジカプリル酸ヘキサグリセリルの1種以上
C成分:二価アルコールと分岐脂肪酸のジエステル油、グリセリンと分岐脂肪酸のトリエステル油及びジカルボン酸と分岐脂肪族アルコールのジエステル油からなる群から選ばれる1種または2種以上
D成分:ポリオキシアルキレングリセリルエーテル、グリセリン、ポリグリセリン、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンポリグリセリルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルグルコース及び二価のアルコールからなる群から選ばれる1種または2種以上
【請求項2】
前記D成分が、PEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン、グリセリン、トリプロピレングリコール、イソプレングリコール、ポリプロパンジオール、PPG−14ポリグリセリル−2エーテル、PPG−10メチルグルコース、PPG−20メチルグルコース、PPG−9ジグリセリン、DPG、ジグリセリン、ポリグリセリン−3及びポリグリセリン−4からなる群から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1に記載のクレンジングオイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレンジングオイルに関する。
【背景技術】
【0002】
メイクアップ製品の耐水性・耐久性の向上に対応し、クレンジングオイルがメイク落としの主流となっている(非特許文献1)。
既存の技術としては、ポリグリセリン中鎖脂肪酸エステルを配合したクレンジングオイル(特許文献1)、イソノナン酸ポリグリセリルを含有するクレンジングオイル(特許文献2)、カプリル酸カプリリルを含有するクレンジングオイル(特許文献3)等が存在する。
クレンジングオイルはメイクアップ製品に対するクレンジング力が高い反面、水が混入するとクレンジング力が低下したり、洗い流し後に油性のぬるつきが残るという欠点を有しており、さらなる機能の改善が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−162691号公報
【特許文献2】特開2009−242253号公報
【特許文献3】国際公開第2014/119039号
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】H. Tsuda, J. Soc. Cosmet. Chem. Jpn., 39, 3-9 (2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、水が混入してもクレンジング力が低下しにくく、洗い流し時に微細な乳化粒径となって油性のぬるつきが残りにくいクレンジングオイルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、具体的には次の事項を要旨とする。
1.下記のA〜D成分を含有するクレンジングオイル。
A成分:炭素数14以上22以下の分岐脂肪酸とポリグリセリンとのジエステル、炭素数14以上22以下の不飽和脂肪酸とポリグリセリンとのジエステルのいずれか、または両方
B成分:炭素数6以上10以下の脂肪酸とポリグリセリンとのエステルであって、ポリグリセリンの重合度と脂肪酸の結合数の比(=ポリグリセリンの重合度/脂肪酸の結合数)が2.0以上4.0以下のもの
C成分:二価アルコールと分岐脂肪酸のジエステル油、グリセリンと分岐脂肪酸のトリエステル油及びジカルボン酸と分岐脂肪族アルコールのジエステル油からなる群から選ばれる1種または2種以上
D成分:親水性化合物
2.前記D成分が、ポリオキシアルキレングリセリルエーテル、グリセリン、ポリグリセリン、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンポリグリセリルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルグルコース及び二価のアルコールからなる群から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする1.に記載のクレンジングオイル。
3.前記D成分が、PEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン、グリセリン、トリプロピレングリコール、イソプレングリコール、ポリプロパンジオール、PPG−14ポリグリセリル−2エーテル、PPG−10メチルグルコース、PPG−20メチルグルコース、PPG−9ジグリセリン、DPG、ジグリセリン、ポリグリセリン−3及びポリグリセリン−4からなる群から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする1.または2.に記載のクレンジングオイル。
【発明の効果】
【0007】
本発明のクレンジングオイルは、水が混入した状態でも高い洗浄力を発揮することができるため、濡れた手で用いたり、浴室等で使用することができ、非常に簡便に用いることができる。
本発明のクレンジングオイルは、多量の水と懸濁した際の乳化粒径が小さく、洗い流し性に優れ、油由来のぬるつきが残りにくい。本発明のクレンジングオイルは、化粧料をしっかりと洗い流すことができるため、毛穴詰まりや肌荒れが起こりにくく、また、メイク落とし時の摩擦等による肌への負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1、比較例1、2のクレンジングオイルにおける水混入時の洗浄力の評価結果を示すグラフ。
図2】実施例2、比較例3、4のクレンジングオイルの官能評価(メイク落ち)の結果を示すグラフ。
図3】実施例2、比較例3、4のクレンジングオイルの官能評価(洗い流しの速さ)の結果を示すグラフ。
図4】実施例2、比較例3、4のクレンジングオイルの官能評価(洗浄後の手触り)の結果を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
クレンジングオイルは、耐水性の高いメイクアップ製品の利用が増えるのに伴い、これに適応したメイク落としとして汎用されている。クレンジングオイルは、一般に、油性成分に界面活性剤を配合した処方であるため、肌上の油性汚れを効果的に溶解・分散できる。クレンジングオイルは、洗い流し時にはクレンジングクリームと同様に、O/W型の乳化状態となり、汚れを含んだ油性成分が水中に分散することで汚れを落とす。
【0010】
「A成分」
本発明のクレンジングオイルには、非イオン性界面活性剤として、A成分である炭素数14以上22以下の分岐脂肪酸とポリグリセリンとのジエステル、炭素数14以上22以下の不飽和脂肪酸とポリグリセリンとのジエステルのいずれか、または両方を用いる。
A成分である炭素数14以上22以下の分岐脂肪酸とポリグリセリンとのジエステル、炭素数14以上22以下の不飽和脂肪酸とポリグリセリンとのジエステルとしては、ジイソステアリン酸ポリグリセリル−10、ジオレイン酸ポリグリセリル−10等が挙げられる。A成分である炭素数14以上22以下の分岐脂肪酸とポリグリセリンとのジエステル、炭素数14以上22以下の不飽和脂肪酸とポリグリセリンとのジエステルとしては、炭素数14以上22以下の分岐脂肪酸と重合度が5以上15以下のポリグリセリンとのジエステル、炭素数14以上22以下の不飽和脂肪酸と重合度が5以上15以下のポリグリセリンとのジエステルが好ましい。
【0011】
A成分である炭素数14以上22以下の分岐脂肪酸とポリグリセリンとのジエステル、炭素数14以上22以下の不飽和脂肪酸とポリグリセリンとのジエステルのいずれか、または両方の配合量は1質量%以上30質量%以下が好ましく、1質量%以上20質量%以下が特に好ましい。
【0012】
「B成分」
本発明のクレンジングオイルには、非イオン性界面活性剤として、さらに、B成分である炭素数6以上10以下の脂肪酸とポリグリセリンとのエステルであって、ポリグリセリンの重合度と脂肪酸の結合数の比(=ポリグリセリンの重合度/脂肪酸の結合数)が2.0以上4.0以下のものを用いる。
B成分の炭素数6以上10以下の脂肪酸とポリグリセリンとのエステルであって、ポリグリセリンの重合度と脂肪酸の結合数の比(=ポリグリセリンの重合度/脂肪酸の結合数)が2.0以上4.0以下のものとしては、オクタイソノナン酸エイコサグリセリル、ヘプタイソノナン酸エイコサグリセリル、デカイソノナン酸エイコサグリセリル、オクタイソノナン酸ペンタコサグリセリル、ヘプタイソノナン酸ペンタデカグリセリル、ヘキサカプリル酸エイコサグリセリル、ジカプリル酸ヘキサグリセリル等が挙げられる。
【0013】
B成分の炭素数6以上10以下の脂肪酸とポリグリセリンとのエステルであって、ポリグリセリンの重合度と脂肪酸の結合数の比(=ポリグリセリンの重合度/脂肪酸の結合数)が2.0以上4.0以下のものの配合量は1質量%以上30質量%以下が好ましく、1質量%以上20質量%以下が特に好ましい。
【0014】
「C成分」
本発明には、C成分として、二価アルコールと分岐脂肪酸のジエステル油、グリセリンと分岐脂肪酸のトリエステル油及びジカルボン酸と分岐脂肪族アルコールのジエステル油からなる群から選ばれる1種または2種以上を用いる。
C成分の二価アルコールと分岐脂肪酸のジエステル油としては、ジイソノナン酸1,3−ブチレングリコール、ジ2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジ2−エチルヘキサン酸プロピレングリコール、ジ2−エチルヘキサン酸1,3−ブチレングリコール、ジ2−エチルヘキサン酸ジプロピレングリコール、ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、ジ2−エチルヘキサン酸1,2−ペンタンジオール、ジイソノナン酸エチレングリコール、ジイソノナン酸プロピレングリコール、ジイソノナン酸ジプロピレングリコール、ジイソノナン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸1,2−ペンタンジオール等が挙げられる。
【0015】
C成分のグリセリンと分岐脂肪酸のトリエステル油としては、トリオクタノイン(トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル)、トリイソステアリン酸グリセリル等が挙げられる。
【0016】
C成分のジカルボン酸と分岐脂肪族アルコールのジエステル油としては、コハク酸ジエチルヘキシル等が挙げられる。
【0017】
C成分の二価アルコールと分岐脂肪酸のジエステル油、グリセリンと分岐脂肪酸のトリエステル油またはジカルボン酸と分岐脂肪族アルコールのジエステル油としては、ジイソノナン酸1,3−ブチレングリコール、トリオクタノイン、コハク酸ジエチルヘキシルが特に好ましい。
【0018】
C成分の二価アルコールと分岐脂肪酸のジエステル油、グリセリンと分岐脂肪酸のトリエステル油及びジカルボン酸と分岐脂肪族アルコールのジエステル油からなる群から選ばれる1種または2種以上の配合量は10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上80質量%以下が特に好ましい。
【0019】
「D成分」
本発明には、D成分として親水性化合物を用いる。
D成分の親水性化合物としては、ポリオキシアルキレングリセリルエーテル、グリセリン、ポリグリセリン、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンポリグリセリルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルグルコース、二価のアルコールが好ましい。
【0020】
D成分のポリオキシアルキレングリセリルエーテルとしては、PEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン等が挙げられる。
D成分のポリグリセリンとしては、ジグリセリン、ポリグリセリン−3、ポリグリセリン−4等が挙げられる。
D成分のポリアルキレングリコールとしてはトリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロパンジオール等が挙げられる。
D成分のポリオキシアルキレンポリグリセリルエーテルとしては、PPG−14ポリグリセリル−2エーテル、PPG−9ジグリセリン等が挙げられる。
D成分のポリオキシアルキレンアルキルグルコースとしては、PPG−10メチルグルコース、PPG−20メチルグルコース等が挙げられる。
D成分の二価のアルコールとしては、イソプレングリコール、DPG等が挙げられる。
【0021】
D成分の親水性化合物としては、化粧品表示名称で表記すると、PEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン、グリセリン、トリプロピレングリコール、イソプレングリコール、ポリプロパンジオール、PPG−14ポリグリセリル−2エーテル、PPG−10メチルグルコース、PPG−20メチルグルコース、PPG−9ジグリセリン、DPG、ジグリセリン、ポリグリセリン−3、ポリグリセリン−4が好ましく、PEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン、グリセリン、PPG−10メチルグルコース、PPG−20メチルグルコース、PPG−9ジグリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン−3が特に好ましい。
D成分の親水性化合物の配合量は1質量%以上60質量%以下が好ましく、5質量%以上50質量%以下が特に好ましい。
【0022】
本発明のクレンジングオイルには、A成分である炭素数14以上22以下の分岐脂肪酸とポリグリセリンとのジエステル、炭素数14以上22以下の不飽和脂肪酸とポリグリセリンとのジエステル、B成分である炭素数6以上10以下の脂肪酸とポリグリセリンとのエステルであって、ポリグリセリンの重合度と脂肪酸の結合数の比(=ポリグリセリンの重合度/脂肪酸の結合数)が2.0以上4.0以下のもの以外の非イオン性界面活性剤を配合することができる。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類として、ポリオキシエチレン(10)イソステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(10)オクチルドデシルエーテル等、ソルビタン脂肪酸エステル類として、イソステアリン酸ソルビタン、ラウリン酸ソルビタン、ヤシ脂肪酸ソルビタン等、脂肪酸ポリエチレングリコール類として、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(8)、オレイン酸ポリエチレングリコール(10)等、ポリオキシエチレンヒマシ油類として、ポリエチレングリコール(30)水添ヒマシ油等、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類として、ヤシ油脂肪酸ポリエチレングリコール(20)ソルビタン等、ポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステル類として、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(40)グリセリル、トリイソステアリン酸ポリエチレングリコール(30)グリセリル等を配合することができる。
【0023】
さらに、本発明のクレンジングオイルには、非イオン性界面活性剤以外に、本発明の効果を阻害しない範囲で、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤を配合することができる。
【0024】
本発明のクレンジングオイルには油性増粘剤を配合することができる。油性増粘剤としては、ステアリン酸イヌリン、ベヘン酸/エイコサン二酸グリセリル、パルミチン酸デキストリン、(パルミチン酸/オクタン酸)デキストリン等が挙げられる。
【0025】
本発明のクレンジングオイルには、二価アルコールと分岐脂肪酸のジエステル油、グリセリンと分岐脂肪酸のトリエステル油またはジカルボン酸と分岐脂肪族アルコールのジエステル油以外の油剤を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。例えば、炭化水素油、トリグリセライド油、ワックスエステル、高級アルコール等を配合してもよい。
【0026】
その他、化粧品に常用される各種原料、例えば、有機、無機粉末類や防腐剤、酸化防止剤等の機能成分を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
また、本発明のクレンジングオイルには水を配合することもできる。しかし、水を多量に配合すると水を油相中に内包しきれず、水中油型乳化組成物になってしまう。水を配合する場合は20質量%以下にすることが好ましく、水を配合しないことが特に好ましい。
【実施例】
【0027】
[自己乳化性、洗浄力の評価]
表1の処方で、実施例1、比較例1、2のクレンジングオイルを調製した。
【0028】
【表1】
ヘキサカプリル酸ポリグリセリル−20:ヘキサカプリル酸エイコサグリセリル
オクタイソノナン酸ポリグリセリル−20:オクタイソノナン酸エイコサグリセリル
ジイソノナン酸BG:ジイソノナン酸1,3−ブチレングリコール
PEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン:日油株式会社製WILBRIDE S−753D
【0029】
[自己乳化性評価]
試験方法
100gのイオン交換水中に、上記で調製したクレンジングオイル0.1gを静かに滴下し、一晩静置して0.1%aqの検体を作成した。
ゼータ電位・粒径測定システム(装置名:ELSZ−1000ZS、大塚電子株式会社製)を用いて、動的光散乱法により、作成した検体の体積平均粒径を測定した。
評価結果を表2に示す。
【0030】
【表2】
【0031】
評価
実施例1は、比較例1、2と比べて粒径が小さかった。
なお、粒径が小さいほど、自己乳化性が高く、洗浄性に優れていることを示す。
【0032】
[洗浄力の評価]
試験方法
(1)3cm×6cmの白色人工皮革の2cm×2cm枠内に、リップカラー(ファンケル モイスチュアールージュP#84ビロードレッド)0.004gを塗布し30分乾燥させた。これを試験検体とした。
(2)作成した試験検体の色差(L1)を色差計(装置名:CM−2600d、コニカミノルタ株式会社製)を用いて測定した。
(3)実施例1、または比較例1、2で調製したクレンジングオイルの重量100%に対して、所定量の水を添加して試験サンプルを作成した。
(4)上記(1)で作製した試験検体に、試験サンプル0.1mlを滴下し、摩耗試験機(装置名:Mini−Martindale、James H.Heal&Co.Ltd.)で10回擦った。
(5)続いてイオン交換水0.2mlを試験検体上に滴下し、同様に摩耗試験機で10回擦った。
(6)検体を水で十分に洗い流し、乾燥させた。
(7)乾燥後の試験検体の色差(L2)を色差計を用いて測定した。
(8)以下の計算式によりメイク洗浄率を算出した。
メイク洗浄率(%)=100×(L1−L2)/(L1−L0)
ただし、L0は、リップカラー塗布前の白色人工皮革の色差
結果を図1に示す。
【0033】
実施例1、比較例1、2のメイク洗浄率は、水を添加しないときには、それぞれ、98%、97%、98%であった。
80%相当量の水を添加すると、実施例1は96%メイク洗浄率を維持しているが、比較例1は51%、比較例2は87%にメイク洗浄率が低下した。
100%相当量の水を添加すると、実施例1のメイク洗浄率は88%であったが、比較例1は52%、比較例2は69%とメイク洗浄率の低下が顕著であった。
従って、実施例1は、C成分、D成分を含まない比較例1や、D成分を含まない比較例2と比べて、水が混入してもクレンジング力が低下しにくいことが確かめられた。
【0034】
[官能評価試験]
以下の表3の処方で実施例2、比較例3、4のクレンジングオイルを調製した。
【0035】
【表3】
ヘキサカプリル酸ポリグリセリル−20:ヘキサカプリル酸エイコサグリセリル
オクタイソノナン酸ポリグリセリル−20:オクタイソノナン酸エイコサグリセリル
ジイソノナン酸BG:ジイソノナン酸1,3−ブチレングリコール
PEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン:日油株式会社製WILBRIDE S−753D
【0036】
試験方法
専門のパネラー31名にブラインドで各サンプルを三日間ずつ使用させ、使用後にアンケートに回答させた。
評価項目と回答の選択肢を以下に示す。
評価項目 :メイク落ち
回答の選択肢:良い、やや良い、どちらでもない、やや悪い、悪い

評価項目 :洗い流しの速さ
回答の選択肢:良い、やや良い、どちらでもない、やや悪い、悪い

評価項目 :洗浄後の手触り
回答の選択肢:何も感じない、その他、キュキュッと、ザラザラ、なめらか
【0037】
実施例2、比較例3、4のメイク落ちの評価結果を図2に示す。
「良い」と「やや良い」の回答数を合計し、また、「やや悪い」と「悪い」の回答数を合計して、回答数の比率をグラフに示した。D成分を含まない比較例3、4では、メイク落ちが悪い、またはやや悪いとする割合がそれぞれ、12.9%、6.5%であったが、実施例2は0%であった。
専門パネラーの使用方法を特定していないが、クレンジングの際に水が混入することは通常想定されることであり、水の可溶化力の高い実施例2が安定してメイク落としの効果を発揮したことが確かめられた。
【0038】
実施例2、比較例3、4の洗い流しの速さの評価結果を図3に示す。
「良い」と「やや良い」の回答数を合計し、また、「やや悪い」と「悪い」の回答数を合計して、回答数の比率をグラフに示した。
実施例2は、D成分を含まない比較例3、4と比べて、洗い流しの速さについて「良い」、「やや良い」と回答した割合が大きく、「やや悪い」、「悪い」と回答した割合が小さかった。
実施例2は、D成分を含み、乳化粒径が小さくなるため、洗い流しが早くなったと推測される。
【0039】
実施例2、比較例3、4の洗浄後の手触りの評価結果を図4に示す。
実施例2は、D成分を含まない比較例3、4と比べて、洗浄後の手触りについて「なめらか」と回答した割合が大きかった。
実施例2は、D成分を含み、乳化粒径が小さくなるため、クレンジングオイルの後残りが少なく、なめらかな感触になったと考えられる。
【0040】
[界面活性剤の検討]
下記表4の処方で実施例3〜9のクレンジングオイルを調製した。
下記表5の処方で比較例5〜14のクレンジングオイルを調製した。
下記表6の処方で実施例10〜15、比較例15〜18のクレンジングオイルを調製した。
得られたクレンジングオイルの外観を観察し、表4〜6に記載した。
以下の手順により、水の可溶化力と、水を添加したときの乳化粒径を測定し、結果を表4〜6に記載した。
【0041】
<水の可溶化力の測定(「水で濡れた手で使用した時のクレンジング力」を評価する試験)>
油性クレンジング化粧料では油性成分が油性のメイク汚れを溶解するので、油相が連続していることが大切である。
本評価方法においては、油性クレンジング化粧料100質量%に対して、透明に可溶化される水の量を水可溶化力として評価した。
具体的には、各油性クレンジング化粧料を撹拌しながら水を滴下し、白濁するまでの水の滴下量を測定した。
なお、水を添加しても透明性を維持できるということは、水が混入してもO/W型乳化組成物になっていない(逆ミセル相、ラメラ液晶相、バイコンティニュアスマイクロエマルションのいずれか)ということである。
結果を水可溶化力として表4、5、6に示す。
【0042】
<水を添加してO/W型乳化組成物にした時の乳化粒径の測定(「水で洗い流した後の残油感がない」評価試験)>
クレンジング化粧料の60倍量になるように水を添加し、O/W型乳化組成物を調製し、この組成物中を粒径分析装置(装置名:マスターサイザー2000、Malvern Instruments Ltd.製)を用いてレーザー回折法により粒度分布を測定し、体積平均粒径を算出し、乳化粒径とした。
乳化粒径が大きいと肌に油性感が残る。水を添加した時に形成される乳化粒径が0.3μm以下であれば、素早くすっきりと洗い流すことができる。
なお、マスターサイザー2000の粒径の測定下限が0.1μmであるため、体積平均粒径の測定値について0.2μm近辺の数値が多くなった。これは、測定下限付近で測定しているためで、実際の粒径はさらに低い可能性がある。しかし、体積平均粒径が0.3μm以下かどうかが判別できればよいと考えてマスターサイザー2000を使用した。
結果を水添加時の乳化粒径として表4、5、6に示す。
【0043】
【表4】
オクタイソノナン酸ポリグリセリル−20:オクタイソノナン酸エイコサグリセリル
ヘキサカプリル酸ポリグリセリル−20:ヘキサカプリル酸エイコサグリセリル
ジイソノナン酸BG:ジイソノナン酸1,3−ブチレングリコール
PEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン:日油株式会社製WILBRIDE S−753D
【0044】
【表5】
オクタイソノナン酸ポリグリセリル−20:オクタイソノナン酸エイコサグリセリル
ジイソノナン酸BG:ジイソノナン酸1,3−ブチレングリコール
PEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン:日油株式会社製WILBRIDE S−753D
【0045】
【表6】
オクタイソノナン酸ポリグリセリル−20:オクタイソノナン酸エイコサグリセリル
ジイソノナン酸BG:ジイソノナン酸1,3−ブチレングリコール
PEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン:日油株式会社製WILBRIDE S−753D
【0046】
表4〜6に示すように、本発明である実施例3〜15のクレンジングオイルは、透明均一であり、水可溶化力が50%以上、乳化粒径が0.3μm以下であった。すなわち、本発明のクレンジングオイルは、水が混入しても優れた洗い流し性を示すことが示唆された。
比較例5〜10、12、14、17、18のクレンジングオイルは、水層と油層とが分離し、クレンジングオイルとして不適であった。また、比較例11、13、15、16のクレンジングオイルは、外観は透明均一であったが、水可溶化力に劣る、または乳化粒径が2.4μm以上と大きいため、水が混入した状態でのクレンジング力に劣る、または洗い流し性に劣ることが示唆された。
【0047】
[油剤の検討]
下記表7の処方で実施例16、17、比較例19〜24のクレンジングオイルを調製した。
下記表8の処方で実施例18、比較例25〜28のクレンジングオイルを調製した。
下記表9の処方で比較例29〜38のクレンジングオイルを調製した。
表4〜6と同様に、外観を観察し、水の可溶化力と、水を添加したときの乳化粒径を測定した。
【0048】
【表7】
オクタイソノナン酸ポリグリセリル−20:オクタイソノナン酸エイコサグリセリル
PEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン:日油株式会社製WILBRIDE S−753D
【0049】
【表8】
オクタイソノナン酸ポリグリセリル−20:オクタイソノナン酸エイコサグリセリル
PEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン:日油株式会社製WILBRIDE S−753D
【0050】
【表9】
オクタイソノナン酸ポリグリセリル−20:オクタイソノナン酸エイコサグリセリル
PEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン:日油株式会社製WILBRIDE S−753D
【0051】
表7〜9に示すように、本発明である実施例16〜18のクレンジングオイルは、透明均一であり、水可溶化力が50%以上、乳化粒径が0.3μm以下であった。すなわち、本発明のクレンジングオイルは、水が混入しても優れた洗い流し性を示すことが示唆された。
比較例19〜38のクレンジングオイルは、水層と油層とが分離するものが多く、外観が均一なものも水可溶化力に劣る、または、乳化粒径が7.0μm以上と大きく、水が混入した状態でのクレンジング力に劣る、または洗い流し性に劣ることが示唆された。
【0052】
[D成分の影響の検討]
下記表10の処方で実施例19〜21、比較例39のクレンジングオイルを調製した。
下記表11の処方で実施例22、比較例40のクレンジングオイルを調製した。
下記表12の処方で実施例23、比較例41のクレンジングオイルを調製した。
下記表13の処方で実施例24、比較例42のクレンジングオイルを調製した。
下記表14の処方で実施例25、26、比較例43のクレンジングオイルを調製した。
表4〜6と同様に、外観を観察し、水の可溶化力と、水を添加したときの乳化粒径を測定した。
【0053】
【表10】
オクタイソノナン酸ポリグリセリル−20:オクタイソノナン酸エイコサグリセリル
ジイソノナン酸BG:ジイソノナン酸1,3−ブチレングリコール
PEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン:日油株式会社製WILBRIDE S−753D
【0054】
【表11】
ヘキサカプリル酸ポリグリセリル−20:ヘキサカプリル酸エイコサグリセリル
ジイソノナン酸BG:ジイソノナン酸1,3−ブチレングリコール
PEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン:日油株式会社製WILBRIDE S−753D
【0055】
【表12】
ヘキサカプリル酸ポリグリセリル−20:ヘキサカプリル酸エイコサグリセリル
ジイソノナン酸BG:ジイソノナン酸1,3−ブチレングリコール
PEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン:日油株式会社製WILBRIDE S−753D
【0056】
【表13】
オクタイソノナン酸ポリグリセリル−20:オクタイソノナン酸エイコサグリセリル
PEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン:日油株式会社製WILBRIDE S−753D
【0057】
【表14】
オクタイソノナン酸ポリグリセリル−20:オクタイソノナン酸エイコサグリセリル
PEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン:日油株式会社製WILBRIDE S−753D
【0058】
表10〜14から、D成分を配合することにより、水可溶化力が向上することが確認できた。また、表13、14からわかるように、D成分は水添加時の乳化粒径を小さくする効果を併せ持つ。
【0059】
[D成分の検討]
下記表15の処方で実施例27〜31のクレンジングオイルを調製した。
下記表16の処方で実施例32〜40のクレンジングオイルを調製した。
下記表17の処方で実施例41〜43のクレンジングオイルを調製した。
表4〜6と同様に、外観を観察し、水の可溶化力と、水を添加したときの乳化粒径を測定した。
【0060】
【表15】
オクタイソノナン酸ポリグリセリル−20:オクタイソノナン酸エイコサグリセリル
ジイソノナン酸BG:ジイソノナン酸1,3−ブチレングリコール
PEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン:日油株式会社製WILBRIDE S−753D
ポリプロパンジオール:WEYL CHEM社製PO3G H500
PPG−14ポリグリセリル−2エーテル:阪本薬品工業株式会社製SY−DP14T
【0061】
【表16】
オクタイソノナン酸ポリグリセリル−20:オクタイソノナン酸エイコサグリセリル
ジイソノナン酸BG:ジイソノナン酸1,3−ブチレングリコール
PEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン:日油株式会社製WILBRIDE S−753D
PPG−10メチルグルコース:日油株式会社製マクビオブライドMG−10P
PPG−20メチルグルコース:日油株式会社製マクビオブライドMG−20P
PPG−9ジグリセリン:阪本薬品工業株式会社製SY−DP9
【0062】
【表17】
ヘキサカプリル酸ポリグリセリル−20:ヘキサカプリル酸エイコサグリセリル
オクタイソノナン酸ポリグリセリル−20:オクタイソノナン酸エイコサグリセリル
ジイソノナン酸BG:ジイソノナン酸1,3−ブチレングリコール
PEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン:日油株式会社製WILBRIDE S−753D
【0063】
表15〜17に示すように、本発明のクレンジングオイルは、水可溶化力に優れ、水添加時の乳化粒径が、0.3μm以下となるものであった。
【要約】      (修正有)
【課題】水が混入してもクレンジング力が低下しにくく、洗い流し時に微細な乳化粒径となって油性のぬるつきが残りにくいクレンジングオイルの提供。
【解決手段】下記のA〜D成分を含有するクレンジングオイル。A成分:炭素数14以上22以下の分岐脂肪酸とポリグリセリンとのジエステル、炭素数14以上22以下の不飽和脂肪酸とポリグリセリンとのジエステルのいずれか、又は両方、B成分:炭素数6以上10以下の脂肪酸とポリグリセリンとのエステルであって、ポリグリセリンの重合度と脂肪酸の結合数の比(=ポリグリセリンの重合度/脂肪酸の結合数)が2.0以上4.0以下のもの、C成分:二価アルコールと分岐脂肪酸のジエステル油、グリセリンと分岐脂肪酸のトリエステル油及びジカルボン酸と分岐脂肪族アルコールのジエステル油からなる群から選ばれる1種または2種以上、D成分:親水性化合物。
【選択図】なし
図1
図2
図3
図4