【実施例】
【0091】
シリンガレシノールの分離及び分析
1.高麗人参の実の前処理
生高麗人参の実を収穫し、種を分離して除去した後、高麗人参の実の果皮を除去し果肉のみを日光乾燥または熱風乾燥して、高麗人参の実の果肉乾燥物を製造した。
【0092】
2.高麗人参の実の果肉抽出物からシリンガレシノールの分離及び分析
先に製造した高麗人参の実の果肉乾燥物1kgに水または酒精3Lを加えて常温または還流抽出しろ過した後、40〜45℃で減圧濃縮して、高麗人参の実の果肉抽出物300gを得た。抽出物にエーテル処理を施して脂溶性成分を除去した後、ブタノール粗サポニンを抽出及び濃縮した。これを分離、精製してシリンガレシノールを得、具体的な方法は次のとおりである。先ず、試料194gを逆相コラムクロマトグラフィー(reversed−phase(ODS)column-chromatography)にて精製し
、このとき、溶出溶媒として、最初は100%水を用い、メタノールを10%ずつ徐々に増加させて、最終的には100%メタノール溶媒を用いた。その結果、GB−1〜GB−10分画物を得、これらの分画物のうち、ヒトの長寿遺伝子と呼ばれているSIRT-1
発現活性を示した分画GB−3を選別し濃縮した後、50%水溶性メタノール(aqueous-methanol)を用いてセファデックスLH−20コラムクロマトグラフィ
ー(Sephadex-LH−20-column-chromatography)を行
った。得た分画物のうち、SIRT-1発現活性を示したGB−3−6を選別し濃縮した
後、クロロホルム:メタノール(10:1)を展開溶媒として予備シリカゲル(preparative-silica-gel)TLCを行い、その結果、Rf値0.67の活性分画を精製した。前記分離及び精製方法を図式化して
図1に示した。
【0093】
NMR分光分析とデータベース検索を行って、分離及び精製した活性化合物をシリンガレシノール(syringaresinol)と同定することができた。これを再確認するために質量(mass)分析を行い、ESI−massをpositive-mode
で測定した結果、[M+Na]+がm/z-440.9、[2M+Na]+がm/z-858.9で観察され、分子量が418であることが分かった。また、NMR分光分析を行った結果、一般式3で示すような結果が得られた。これによって、前記分離・精製した活性化合物は、シリンガレシノールであることが確認された。
【0094】
【化4】
【0095】
このように高麗人参の実の果肉からシリンガレシノールを分離した。
【0096】
[実験例1]
歯肉線維芽細胞におけるSIRT-1発現回復効果の評価
シリンガレシノールが喫煙による歯肉線維芽細胞のSIRT-1発現低減を回復できる
か否かの評価のために、以下のような実験を行なった。
【0097】
1.歯肉線維芽細胞の培養
歯肉線維芽細胞は健康な歯肉を有する患者から生検して得た。得た生検組織をダルベッコ改変イーグル培地(Dulbecco’s-Modified-Eagle’s-Med
ium、DMEM、Gibco-Co.,-USA)が入っている15mlの試験管に入れ、3回洗浄して血液と異物を除去した後、10%ウシ胎児血清(fetal-bovine-serum、Gibco-Co.,-USA)と1%抗生剤(ペニシリンG-10,000u
nits/ml、アンホテリシンB-25μg/ml、Gibco-Co.,USA)が添
加されたDMEMが入っている100mm組織培養皿に移し、No.15ブレードを用いて1mm
2に細切し、60mm培養皿に5〜6個の切片を均一に分布させた。約30分間、37℃、湿度100%、5%のCO
2培養器で培養して培養皿の底に組織が均一に付着されるように培養した後、各培養皿当たり10%ウシ胎児血清と1%抗生剤を含むDMEM-3mlを添加した。単一細胞層が形成されるまで2〜3日おきに培養液を交換した。
単層密生が形成されてから培養液を除去し、2回洗浄した後、0.25%トリプシン/E
DTA(1×、Gibco-Co.,-USA)を用いて細胞培養皿に付着された細胞をも
ぎ取った後、100mm組織培養用皿に分注した。培養液は細胞の十分な増殖が示されるまで2〜3日おきに交換し、継代培養を1:3〜4の割合で5〜6回実施した。
【0098】
2.タバコ煙凝縮物(CSC)の用意
自動喫煙装置(Heinr-Borgwaldt-RM-20、Germany)を利用
し、ISO喫煙条件(喫煙体積:35mL、喫煙時間:2秒、喫煙周期:1分、吸穀長さ:tip-paper+3mm)下で、標準タバコ3R4F-40本を燃焼させ、ケンブリッジガラス繊維フィルターでタバコ煙凝縮物を捕捉した。ろ紙に捕捉されたタバコ煙凝縮物にジクロロメタンを加え、30分間音波処理(sonication)を施した後、抽出して濃縮した。これをジメチルスルホキシド(DMSO)にて最終抽出物の濃度が100mg/mlになるように再度溶かした後、0.22μMシリンジフィルターでろ過してタバコ煙恐縮物を得、得られた凝縮物は−70℃で保存し使用した。
【0099】
3.PCRの実施
5〜6回継代培養を行った歯肉線維芽細胞を24−ウェルプレートの各ウェル当たり1×10
4個の細胞が入るように分注した。1日間培養した後、100μg/mlの濃度でタバコ煙凝縮物を添加し、実施例のシリンガレシノールをDMSOに溶かしてそれぞれ50、100μg/mlの濃度で入れ、対照群には培地体積1/1000のDMSOを処理した。また、タバコ煙凝縮物及び試料を添加していない群も用意した。2日間培養してから、冷たいPBSで2回洗浄した後、トリゾール試薬(TRIzol-agent、In
vitrogen)でRNAを抽出した。前記抽出して定量した1μg/μlのRNAと逆転写システム(Promega)を用いてcDNAを合成した。合成したcDNA及びSIRT-1とGAPDHの各遺伝子に対し、予めデザインされたプライマー(Prim
er)とプローブ(probe)(Applied-biosystems;SIRT-1、Hs01009006_m1;GAPDH、Hs99999905_m1)を利用して各遺伝子の発現様相を測定した。PCR反応と分析は、Rotor−Gene-3000
システム(Corbett-Research、Sydney、Australia)を
利用した。その結果を
図2に示した。
【0100】
図2に示すように、シリンガレシノールは、喫煙によって低減していた歯肉線維芽細胞のSIRT-1発現量を濃度依存的に増加させた。すなわち、シリンガレシノールは、S
IRT-1の発現量を増加させることで喫煙による毒性を解毒することができる。
【0101】
[実験例2]
歯肉線維芽細胞における細胞活性促進効果の評価(MTT分析)
実験例1と実質的に等しい方法にて、5〜6回継代培養を行った歯肉線維芽細胞を24−ウェルプレートの各ウェル当たり1×10
4個の細胞が入るように分注した。1日間培養した後、100μg/mlの濃度で実験例1と実質的に等しい方法にて用意したタバコ煙凝縮物を添加し、実施例のシリンガレシノールをDMSOに溶かしてそれぞれ50、100μg/ml入れ、対照群には培地体積1/1000のDMSOを処理した。また、タバコ煙凝縮物及び試料を添加していない群も用意した。2日間培養してから、生理食塩水に溶解したMTT[3−(4,5−dimethylthiazol−2−yl)−2,5−diphenyl-tetrazolium-bromide;Sigma、USA]溶液300μlずつをそれぞれのウェルに添加し、4時間培養した。培養後に培地を除去し、200μlのジメチルスルホキシド(DMSO;Junsei、Japan)を添加して形成されたホルマザン結晶を溶解させた後、96−ウェルプレート上に移して、ELISA分析機(Spectra-MAX-250、Molecular-Devices-Co.,-USA)にて540nmでの吸光度を測定した。それぞれの実験は3回繰り返し実施した。その結果を
図3に示した。
【0102】
図3に示すように、シリンガレシノールは喫煙による細胞活性の低下を正常値とほぼ同じ水準まで回復させた。すなわち、シリンガレシノールは、喫煙によって活性が低下した細胞を活性化させることで喫煙による毒性を解毒することができる。
【0103】
[実験例3]
脂肪細胞、肝細胞、及び筋細胞におけるSIRT-1発現促進効果の評価
シリンガレシノールのヒト脂肪細胞(adipocyte)、肝細胞(hepacyte)、及び筋細胞(myocyte)におけるSIRT-1遺伝子発現促進効果を評価す
るために、以下のような実験を行なった。
【0104】
ヒト脂肪細胞、肝細胞、及び筋細胞は、ZenBio社(Research-Tria
ngle-Park、NC、USA)から購入し、それぞれ脂肪細胞専用培地(OM−A
M、ZenBio)、肝細胞専用培地(HM−2、ZenBio)、及び筋細胞専用培地
(SKM−D、SKM−M、ZenBio)を利用して5%のCO
2培養器で培養した。各細胞に、DMSOに溶かしたシリンガレシノールを20、50、100μMの濃度で24時間処理し、陰性対照群には培地体積1/1000のDMSOを処理した。
【0105】
各試料を処理した細胞を冷たいPBSで2回洗浄した後、トリゾール試薬(TRIzol-agent、Invitrogen)を用いてそれらからRNAを抽出した。前記抽
出して定量した5mgのRNAで逆転写システム(Fermentas、Glen-Bu
rnie、MD、USA)を用いてcDNAを合成した。合成されたcDNA及びSIRT-1とGAPDHの各遺伝子に対し、予めデザインされたプライマー(primer)
を利用して各遺伝子の発現様相をqRT−PCRで測定した。PCR反応と分析は、Rotor−Gene-3000システム(Corbett-Research、Sydney、Australia)を利用した。mRNAの相対的発現結果を
図4に示した。
【0106】
図4に示すように、シリンガレシノールは、濃度依存的にヒト脂肪細胞、肝細胞、及び筋細胞においてSIRT-1の発現を増大させることができる。このことから、シリンガ
レシノールは、代謝異常、具体的に脂質代謝異常を改善することができることが分かる。
【0107】
[実験例4]
脂肪細胞及び肝細胞における脂肪代謝関連遺伝子発現調節能の評価
実験例3と実質的に等しい方法にてヒト脂肪細胞、肝細胞、及び筋細胞に50μMのシリンガレシノールを処理した後、PBSで洗浄し、RNAを抽出してcDNAを合成した。ADD1/SREBP1c、ACC、FASなどの脂肪酸合成関連遺伝子及びACO、CPT1、mCADなどの脂肪酸酸化関連遺伝子の発現様相の変化をqRT−PCRを用いて測定した。試料としてDMSOのみを処理した対照群と比較した結果を
図5〜
図10に示した。
【0108】
図5〜
図7に示すように、シリンガレシノールは、脂肪酸合成を誘導する遺伝子の発現を抑制した。また、
図8〜
図10に示すように、シリンガレシノールは、脂肪酸酸化を促進する遺伝子の発現を増大させた。このことから、シリンガレシノールは、脂肪合成を阻害すると共に脂肪の消費を増大させることで脂肪の蓄積を抑制することができることが分かる。
【0109】
[実験例5]
脂肪酸酸化促進能の評価
実験例3と実質的に等しい方法にて50μMのシリンガレシノールをヒト脂肪細胞、肝細胞、及び筋肉細胞に処理した。細胞をPBSで洗浄した後、脂肪酸の酸化測定用培地で一日間培養してから培地を集め、その中に含有された
3H
2Oの量を測定した。無処理群と比較した結果を
図11に示した。
【0110】
図11に示すように、シリンガレシノールは、ヒト脂肪細胞、肝細胞、及び筋細胞において脂肪酸の酸化を増大させることができる。このことから、シリンガレシノールは、体内脂肪蓄積を抑制することができることが分かる。
【0111】
[実験例6]
シリンガレシノールのPGC-1発現増大効果
実験例3と実質的に等しい方法にて50μMのシリンガレシノールをヒト脂肪細胞、肝細胞、及び筋細胞に処理した後、PBSで洗浄し、RNA及びcDNAを順次抽出した。エネルギー代謝に係わる遺伝子の発現を調節するPGC-1α及びPGC-1βのmRNA発現を専用プライマーを用いてqRT−PCRで分析した。試料としてDMSOのみを処理した対照群と比較したPGC-1α及びPGC-1βの発現結果をそれぞれ
図12及び図
13に示した。
【0112】
図12及び
図13に示すように、シリンガレシノールは、ヒト脂肪細胞、肝細胞、及び筋細胞においてPGC-1α及びPGC-1βの発現を増大させることができる。このことから、シリンガレシノールは、エネルギー代謝を促進することで体内脂肪蓄積を抑制することができることが分かる。
【0113】
[実験例7]
老化したヒト網膜上皮細胞におけるSIRT-1発現促進効果の評価
老化したヒト網膜上皮細胞におけるシリンガレシノールのSIRT-1遺伝子発現調節
効果を評価するために、以下のような実験を行なった。
【0114】
ヒト網膜上皮細胞株ARPE−19は、ATCC(Manassa、VA、USA)から購入し、ウシ血清10%、ペニシリン/ストレプトマイシン1%、アンホテリシンB、抗真菌剤を含むDMEM(Gibco-BRL、Grand-Island、NY、USA)培地を利用し、70%コンフルエント(confluent)するまで5%のCO
2培養器で培養した。網膜細胞の老化は、自然老化で育たないまで継代培養する方法にて誘導した。細胞株集団倍加レベル(Population-doubling-level、PDL)は、次式にて細胞成長が止まるまで各世代毎に計算した。PDL値は、老化した細胞であればあるほど高くなる。
【0115】
PDL=(Log
10Y−Log
10X)/Log
102
Yは、各世代の最後で数えた細胞数
Xは最初に継代した細胞数
【0116】
DMSOに溶かしたシリンガレシノールは、50、100μMの濃度で5継代細胞から二日に1回ずつ処理して15継代細胞まで老化を誘導しながら処理した。陰性対照群には培地体積1/1000のDMSOを処理した。
【0117】
各試料を処理した細胞を、冷たいPBSで2回洗浄した後、RIPAバッファー(Santa-Cruz-Biotechnology、Santa-Cruz、CA、USA)
を用いてタンパク質を分離した。BCA分析キット(Pierce、Rockford、USA)で分離したタンパク質を定量し、30μgをiBlot-Dry-blottin
g-system(Invitrogen、Carlsbad、CA、USA)でウェス
タンブロッティングを実施した。SIRT-1タンパク質発現水準は、抗−SIRT-1抗体(Santa-Cruz-Biotechnology、Santa-Cruz、CA、
USA)を用いて測定した。その結果を
図14に示した。
【0118】
図14に示すように、シリンガレシノールは、濃度依存的に老化した網膜細胞において低減していたSIRT-1の発現を増大させ、特に、100μMのシリンガレシノールを
処理した場合は、若い網膜上皮細胞のSIRT-1発現水準まで増大させた。このことか
ら、シリンガレシノールが網膜細胞のSIRT-1発現を増大させ、眼疾患、特に老化性
眼疾患を予防又は改善することができることが分かる。
【0119】
[実験例8]
老化した網膜細胞のミトコンドリア生合成増進効果の評価
実験例7と実質的に等しい方法にて、50及び100μMのシリンガレシノールの存在下、または陰性対照群に対してDMSOを処理しながら網膜細胞の老化を誘導した。各試料を処理した細胞を、冷たいPBSで2回洗浄した後、FastPure-DNAキット
(Tokyo、Japan)を用いてgenomic-DNA(gDNA)を抽出した。
ミトコンドリア生合成水準の評価に関連して、抽出したgDNAを用いてミトコンドリアDNAのマーカーであるシトクロム酸化酵素サブユニット(Cytochrome-ox
idase-subunit)IIと核DNAのマーカーであるシクロフィリン-A(Cyclophilin-A)をリアルタイムPCR反応にてその量を定量化し、核DNAに対
するミトコンドリアDNAの相対的な量を計算してミトコンドリア数を測定した。PCR反応と分析は、Rotor−Gene-3000システム(Corbett-Research、Sydney、Australia)を利用した。その結果を
図15に示した。
【0120】
図15に示すように、50及び100μMのシリンガレシノールを処理した細胞は、DMSOのみを処理した細胞に比べて、それぞれ約40%及び60%ほどミトコンドリア生合成が増大した。このことから、シリンガレシノールが老化した網膜細胞のミトコンドリア生合成を濃度依存的に増大させ、眼疾患を予防又は改善することができることが分かる。
【0121】
[実験例9]
老化した網膜細胞のミトコンドリア機能正常化効果の評価
実験例7と実質的に等しい方法にて、50及び100μMのシリンガレシノールの存在下、または陰性対照群に対してDMSOを処理しながら網膜細胞の老化を誘導した。ミトコンドリア機能が正常化したか否かを確認するために網膜細胞におけるエネルギー(ATP)と活性酸素種の生成水準を確認した。ミトコンドリアのエネルギー生成量は、老化した細胞をPBSで洗浄し、お湯で細胞を回収し、ATP判定キット(Molecular-Probes、Eugene、OR、USA)を利用してテカンシステム(Infin
ite-M200、Tecan、Austria)にて発光(luminescence
)水準を測定することで行われた。活性酸素種の生成水準は、老化した細胞をPBSで洗浄し、活性酸素種探知試薬(Reactive-Oxygen-Species-Dete
ction-reagents)(H
2DCFDA、Invitrogen、Carls
bad、CA、USA)にて染色し、フローサイトメトリー(Flow-cytomet
er)(BD-Biosciences、San-Jose、CA、USA)で測定した。その結果を
図16に示した。
【0122】
図16に示すように、50及び100μMのシリンガレシノールを処理した細胞は、DMSOのみを処理した細胞に比べて、それぞれ21%及び33%ほどエネルギー(ATP)生成が増大し、また、活性酸素種の生成水準は、それぞれ7%及び11%ほど有意的に減少した。このことから、シリンガレシノールは、濃度依存的に網膜細胞のエネルギー生成を増大させると共に活性酸素種の生成は低減させることで眼疾患を予防又は改善することができることが分かる。
【0123】
[実験例10]
ヒトPBMCにおけるSIRT-1発現促進効果の評価
シリンガレシノールのヒトPBMCにおけるSIRT-1遺伝子発現促進効果を評価す
るために、以下のような実験を行なった。
【0124】
ヒトPBMCは、ZenBio社(Research-Triangle-Park、NC、USA)から購入し、PBMC専用培地(ZenBio)で80%コンフルエント(confluent)するまで5%のCO
2培養器で培養した。DMSOに溶かしたシリンガレシノールを、20、50、及び100μMの濃度で24時間処理した。陰性対照群には培地体積1/1000のDMSOを処理した。各試料を処理した細胞をPBSで洗浄した後、トリゾール試薬(TRIzol-agent、Invitrogen)でRNA
を抽出した。前記抽出した5μgのRNAで逆転写システム(Fermentas、Glen-Burnie、MD、USA)を利用してcDNAを合成した。合成したcDNA
に対し、SIRT-1とGAPDHのプライマー(primer)を用いて各遺伝子の発
現様相を測定した。qRT−PCR反応と分析は、Rotor−Gene-3000シス
テム(Corbett-Research、Sydney、Australia)を利用
した。その結果を
図17に示した。
【0125】
図17に示すように、シリンガレシノールは、濃度依存的にヒトPBMCにおいてSIRT-1の発現を増大させることができる。このことから、シリンガレシノールは、末梢
血単核細胞においてSIRT-1の発現を促進して免疫力を増進させ、且つ免疫性疾患を
予防及び改善することができることが分かる。
【0126】
[実験例11]
ヒトPBMCにおける活性酸素種の発生抑制効果の評価
実験例10と実質的に等しい方法にて、ヒトPBMCに20、50、及び100μMのシリンガレシノールを前処理した後、PBSで洗浄し、LPS(lipopolysaccharide)10ng/mlを処理して炎症反応を誘導した。活性酸素種を感知する蛍光物質であるH
2−DCFDA(Invitrogen)を処理した後、マルチプレートリーダー(multiplate-reader)(Infinite-M200;TECAN、Mannedorf、Switzerland)で蛍光物質の量を測定した。その結果を
図18に示した。
【0127】
図18に示すように、シリンガレシノールを処理した細胞は、LPSのみを処理した細胞に比べて、活性酸素量が最大約60%程度低減した。このことから、シリンガレシノールは、活性酸素量を低減させて炎症反応を抑制することで免疫力を増進させ、且つ免疫性疾患を予防及び改善することができることが分かる。
【0128】
[実験例12]
ヒトPBMCにおける炎症関連遺伝子発現抑制効果の評価
実験例11と実質的に等しい方法にて、ヒトPBMCに50μMのシリンガレシノールを前処理した後、LPS-10ng/mlを処理して炎症反応を誘導した。各試料を処理
した細胞をPBSで洗浄した後、順次RNAとcDNAを抽出及び合成した。合成したcDNAに対し、IL−1b、IL−6、iNOS、COX2、MMP9、CCR2の炎症反応関連遺伝子プライマー(primer)を用いて各遺伝子の発現様相を測定した。その結果を
図19に示した。
【0129】
図19に示すように、シリンガレシノールを処理した細胞は、LPSのみを処理した細胞に比べて、前記炎症反応関連遺伝子の発現が最大約90%程度低減した。このことから、シリンガレシノールは、炎症反応を低減させて免疫力を増進させ、且つ免疫性疾患を予防又は改善することができることが分かる。
【0130】
[実験例13]
ヒトPBMCの移動及び沈着抑制効果の評価
実験例11と実質的に等しい方法にて、ヒトPBMCに20、50、及び100μMのシリンガレシノールを処理した後、またはDMSOを処理した後、TNF-10ng/m
lを処理して炎症反応を誘導した。分化した3T3−L1脂肪細胞(ZenBio)上にPBMCを処理し、脂肪細胞炎症シグナルによってPBMCが脂肪細胞上に移動して沈着するか否かを調べた。48時間後に移動せずに残っているPBMCを除去した後、トリプシン/EDTA溶液を用いて培養皿から細胞をもぎ取った。細胞計数器(cell-co
unter)を利用して、もぎ取った細胞の総数を測定して
図20に示した。
【0131】
図20に示すように、シリンガレシノールは、PBMCに対して脂肪細胞への移動及び
沈着を最大約50%抑制した。これは、シリンガレシノールが末梢血単核細胞の炎症シグナルによる移動及び沈着を抑制することができることを意味し、このことから、シリンガレシノールが炎症反応を抑制して免疫力を増進させ、且つ免疫性疾患を予防又は改善することができることが分かる。
【0132】
[実験例14]
ヒトPBMCのタイプ変化誘導効果の評価
実験例11と実質的に等しい方法にて、ヒトPBMCに20、50、及び100μMのシリンガレシノールを処理した後、またはDMSOを処理した後に2型免疫細胞に関連した遺伝子の発現を測定するために、PBMCからRNAを抽出し、cDNAを合成した。合成したcDNAに対し、PGC-1α、PGC-1βのように2型免疫細胞への分化を誘導するのに必要な転写調節因子及びIL−10、アルギナーゼIのように2型免疫細胞に
おいて主に発現する遺伝子の発現様相を測定した。その結果を
図21に示した。
【0133】
図21に示すように、シリンガレシノールを処理した細胞では、2型免疫細胞特異的マーカー遺伝子の発現が大きく増大していた。このことから、シリンガレシノールは、末梢血単核細胞に対して2型免疫細胞への分化を促進することで免疫力を増進させ、且つ免疫性疾患を予防又は改善することができることが分かる。
【0134】
本発明の一側面に係る組成物の剤形例を以下で説明するが、他の種々の剤形としても応用可能であり、これらは、本発明を限定するためのものではなく、単に本発明を具体的に説明するためのものに過ぎない。
【0135】
[剤形例1]健康食品
シリンガレシノール...................-1000mg
ビタミン混合物
ビタミンAアセテート.................-70μg
ビタミンE...........................-1.0mg
ビタミンB1.........................-0.13mg
ビタミンB2.........................-0.15mg
ビタミンB6.........................-0.5mg
ビタミンB12.......................-0.2μg
ビタミンC...........................-10mg
ビオチン.............................-10μg
ニコチン酸アミド.....................-1.7mg
葉酸.................................-50μg
パントテン酸カルシウム...............-0.5mg
無機質混合物
硫酸第一鉄...........................-1.75mg
酸化亜鉛.............................-0.82mg
炭酸マグネシウム.....................-25.3mg
第一リン酸カリウム...................-15mg
第二リン酸カルシウム.................-55mg
クエン酸カリウム.....................-90mg
炭酸カルシウム.......................-100mg
塩化マグネシウム.....................-24.8mg
前記ビタミン及びミネラル混合物の組成比は、比較的健康食品に適合した成分を好適な実施例に従い混合組成したが、その配合比を任意に変形実施してもよい。
【0136】
[剤形例2]健康飲料
シリンガレシノール....................-1000mg
クエン酸..............................-1000mg
オリゴ糖..............................-100g
タウリン..............................-1g
精製水................................-残量
通常の健康飲料の製造方法にて前記成分を混合した後、約1時間にわたって約85℃で撹拌加熱して得た溶液をろ過し、滅菌して得る。
【0137】
[剤形例3]錠剤
シリンガレシノール100mg、大豆抽出物50mg、葡萄糖100mg、紅参抽出物50mg、澱粉96mg、及びマグネシウムステアレート4mgを混合し、30%エタノールを40mg添加して顆粒を形成した後、60℃で乾燥し、打錠機を利用して打錠して得る。
【0138】
[剤形例4]顆粒剤
シリンガレシノール100mg、大豆抽出物50mg、葡萄糖100mg、及び澱粉600mgを混合し、30%エタノールを100mg添加して顆粒を形成した後、60℃で乾燥して顆粒を形成し、それを包みに充填して得る。
【0139】
[剤形例5]軟膏
下記の表1に表した組成で通常の方法にて軟膏を製造した。
【0140】
【表1】